説明

レボセチリジンの合成方法及びそれに使用する中間体

本発明は、式(IV)の化合物(式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、かつR'はアルキルである。)及びレボセチリジンの合成におけるその使用(これは、レボセチリジンの合成に有用な中間体である(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンの合成におけるその使用を含む。)を提供する。本発明はまた、化合物(IV)の合成に有用な化合物(II)及び(III)も提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、レボセチリジンの合成の鍵となる中間体である(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジン(I)の製造方法、及び該方法に使用する新規中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景及び先行技術)
セチリジン、化学的には、[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]エトキシ]酢酸は、抗ヒスタミン非鎮静型ヒスタミンH1遮断薬であり、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、及び関連の疾患に関わる症状の軽減に用いられる。
【化1】

【0003】
US4525358及びその対応するEP58146には、セチリジン及びその医薬として許容し得る塩が開示されている。セチリジンの合成方法は、1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンを2-クロロエトキシアセトアミドと縮合して、2-[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]-エトキシアセトアミドを得て、これを加水分解してセチリジンを得ることを含む。
【0004】
後に、該薬理学的活性は、主に、レボセチリジンとして公知の(R)-異性体又は(-)形態に存在することが見出された。GB2225321には、2-[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]-エトキシアセトニトリルの加水分解を含む、セチリジンの右旋性及び左旋性異性体の製造方法が記載されている。
【化2】

【0005】
(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンは、レボセチリジンの合成における非常に重要な中間体である。US5478941には、1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]-4-(4-メチルフェニル)スルホニルピペラジンを、4-ヒドロキシ安息香酸の存在下で臭化水素酸を用いて加水分解することを含む、(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンの合成方法が開示されている。
【化3】

【0006】
該先行技術に開示されている(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンの合成の別経路は、本質的に発癌性であるビスクロロエチルアミンの使用を含む。
レボセチリジンは、極めて強力な非鎮静型抗アレルギー薬である。そのため、レボセチリジン及びその中間体の合成のための新規方法を開発するという継続的な試みがなされている。本発明では、該鍵となる中間体である(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンの新規製造方法を記載する。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、レボセチリジン又はその塩の合成に使用する鍵となる中間体である、(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジン(I)の製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、レボセチリジンの合成に有用な新規中間体を提供することである。
本発明の更に別の目的は、レボセチリジンの合成に有用な新規中間体の製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様により、式(IV)の化合物を提供する。
【化4】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'から選択され、かつR'はアルキルである。一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0009】
本発明の別の態様により、式(III)の化合物を(-)-(4-クロロフェニル)フェニルメチルアミンと、塩基及び溶媒の存在下で反応させることを含む、式(IV)の化合物の製造方法を提供する。
【化5】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは保護基である。一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0010】
該反応に使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、炭酸カリウムとすることができる。該有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選択することができる。最も好ましくは、該使用される塩基は、N-エチルジイソプロピルアミンである。
【0011】
該溶媒は、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルピロリジン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、スルホラン、テトラヒドロフラン、最も好ましくは、ジメチルスルホキシド、又はN,N-ジメチルホルムアミドとアセトニトリル、若しくはN,N-ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシドとアセトニトリルとの混合物などの溶媒混合物から選択することができる。
【0012】
該保護基は、メシラート、ベシラート、テトラブチルジメチルシリル、ジメトキシトリチル、テトライソプロピルシリル、及びテトラヒドロピラニルから選択することができる。該保護基は、それぞれ下記保護剤:メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホン酸、テトラブチルジメチルシラン、ジメトキシトリチルクロリド、テトライソプロピルシリルクロリド、及びテトラヒドロピランから誘導される。
【0013】
好ましい実施態様において、化合物(III)は、下記構造(IIIa)を有する。すなわち、該保護基は、メシラートである。
【化6】

【0014】
該方法は、化合物(IV)を精製することを更に含むことができる。該精製は、化合物(IV)を、アセトン又は酢酸エチル又はメタノールなどの溶媒の存在下、シュウ酸又は塩酸(ガス)などの酸で処理することによって、その塩に変換すること、該塩を塩基溶液と反応させること、及び化合物(IV)を単離することを含む。
【0015】
該塩基溶液は、水酸化ナトリウム溶液とすることができ、これを使用して、反応塊(reaction mass)のpHを13〜14に調整する。該生成物は、適当な溶媒を使用して抽出され、精製化合物(IV)を単離することができる。該抽出溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル又はトルエン、好ましくは、ジクロロメタンから選択することができる。
【0016】
該化合物(IV)からその塩への変換は、反応の間に形成された不純物を除去するための有効な任意方法である。
上記で製造された化合物(IV)は、化合物(I)を生成するための下記方法のいずれか1つに使用することができる。
【0017】
本発明の別の態様により、化合物(IV)をレボセチリジンに変換することを含む、レボセチリジン又はその医薬として許容し得る塩の製造方法を提供する。該変換は、下記方法のいずれか1つに従って行われ得る。
【0018】
本発明の更なる態様により、式(III)の化合物を提供する。
【化7】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは保護基である。
一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0019】
該保護基は、メシラート、ベシラート、テトラブチルジメチルシリル、ジメトキシトリチル、テトライソプロピルシリル、及びテトラヒドロピラニルから選択することができる。好ましくは、該保護基は、メシラートである。
上記方法に使用するための化合物(III)は、下記方法に従って製造することができる。
【0020】
本発明の別の態様により、式(II)の化合物を保護剤と、溶媒及び塩基の存在下で反応させることを含む、式(III)の化合物の製造方法を提供する。
【化8】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは、該保護剤に対応した保護基である。一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0021】
該適当な保護剤は、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホン酸、テトラブチルジメチルシラン、ジメトキシトリチルクロリド、テトライソプロピルシリルクロリド、及びテトラヒドロピラン、最も好ましくは、メタンスルホニルクロリドから選択することができる。
該使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、及び炭酸ナトリウムから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン、最も好ましくは、トリエチルアミンから選択することができる。
【0022】
該溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、又はトルエン、最も好ましくは、ジクロロメタンとすることができる。
上記で製造された化合物(III)は、化合物(IV)を生成するための上記方法のいずれか1つに使用することができる。
【0023】
本発明の別の態様により、化合物(III)をレボセチリジンに変換することを含む、レボセチリジン又はその医薬として許容し得る塩の製造方法を提供する。該変換は、下記方法のいずれか1つに従って行われ得る。
上記方法に使用するための化合物(II)は、下記方法に従って製造することができる。
【0024】
本発明の更なる態様により、式(II)の化合物を提供する。
【化9】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、かつR'はアルキルである。一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0025】
本発明の別の態様により、ジエタノールアミンと塩化ベンジル(V)とを、塩基及び溶媒の存在下で縮合することを含む、式(II)の化合物の製造方法を提供する。
【化10】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、かつR'はアルキルである。一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0026】
該使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、及び炭酸ナトリウムから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン、最も好ましくは、トリエチルアミンから選択することができる。
【0027】
適当な溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、最も好ましくは、ジクロロメタンとすることができる。
上記で製造された化合物(II)は、化合物(III)を生成するための上記方法のいずれか1つに使用することができる。
【0028】
本発明の別の態様により、化合物(IV)をレボセチリジンに変換することを含む、レボセチリジン又はその医薬として許容し得る塩の製造方法を提供する。該変換は、下記方法のいずれか1つに従って行われ得る。
【0029】
本発明の別の態様により、式(IV)の化合物を化合物(I)に変換することを含む、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【化11】

【0030】
該化合物(IV)から化合物(I)への変換は、化合物(IV)を脱保護剤と反応させて、対応する(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンのカルバミン酸エステルを得ること、及び該カルバミン酸エステルを加水分解して化合物(I)を得ることを含むことができる。
【0031】
一実施態様において、該脱保護剤は、クロロギ酸エチル、クロロギ酸1-クロロエチル、クロロギ酸ビニル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル、クロロチオノギ酸4-クロロフェニル、クロロチオノギ酸2,4,6-トリブロモフェニル、トリホスゲン、及び臭化シアンから選択される。
好ましくは、該脱保護は、該溶媒の還流温度で行われる。
好適には、該加水分解は、メタノールを使用して行われる。
【0032】
本発明の別の態様により、式(IV)の化合物をレボセチリジンに変換すること、及び任意に該レボセチリジンをその塩に変換することを含む、レボセチリジン又はその塩の製造方法を提供する。
【0033】
一実施態様において、該変換は、上記式(IV)の化合物から式(I)の化合物を製造すること、及び該化合物(I)をレボセチリジンに変換することを含む。
一実施態様において、該化合物(I)からレボセチリジンへの変換は、化合物(I)を2-クロロエトキシ酢酸誘導体と、塩基及び溶媒の存在下で反応させて、対応する[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジン-1-イル]エトキシ]酢酸誘導体を得ること、及び該酢酸誘導体を加水分解してレボセチリジンを得ることを含む。
【0034】
一実施態様において、該2-クロロエトキシ酢酸誘導体は、2-クロロエトキシアセトアミド、2-クロロエトキシアセタート、又は2-クロロエトキシアセトニトリルである。
該塩基は、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムとすることができる。該溶媒は、トルエン又はキシレンとすることができる。
一実施態様において、該加水分解は、水酸化ナトリウムを使用して行われる。
【0035】
好ましい実施態様において、下記工程を含むレボセチリジンの製造方法を提供する。
i) ジエタノールアミンと塩化ベンジル(V)とを、ジクロロメタン及びトリエチルアミンの存在下で縮合して、式(II)の化合物を得ること;
ii) 該化合物(II)をメタンスルホニルクロリドと、ジクロロメタン及びトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(III)の化合物を得ること;
iii) 該化合物(III)を(-)-(4-クロロフェニル)フェニルメチルアミンと、N-エチルジイソプロピルアミン及びN,N-ジメチルスルホキシドの存在下で反応させて、式(IV)の化合物を得ること;
iv) 該化合物(IV)をクロロギ酸1-クロロエチルと反応させて、対応する(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンのカルバミン酸エステルを得て、メタノールを使用してこれを加水分解して、式(I)の化合物を得ること;及び
v) 該化合物(I)を炭酸カリウム及びトルエンの存在下で、2-クロロエトキシアセトアミドで処理して、[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]エトキシ]アセトアミドを得て、水酸化ナトリウムを使用して、これを加水分解して、レボセチリジンを得ること;である。
【0036】
式(II)、(III)及び(IV)の新規化合物は、レボセチリジンの新規製造方法に有用である。該方法は、発癌性であるビス-クロロエチルアミンを前駆体として使用することを含まない。該新規中間体は、使用が容易かつ安全である。したがって、本発明の方法及び化合物は有益である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(発明の詳細な説明)
本発明は、レボセチリジンの合成において鍵となる中間体である、(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジン(I)の合成方法を提供する。
該方法は、容易で、安全で、環境に優しく、かつ高収率及び高純度なレボセチリジンを与える。
一実施態様において、本発明は、新規中間体(II)、(III)及び(IV)の使用を含むことができる、化合物(I)の合成方法を提供する。
【0038】
一実施態様において、式(IV)の新規化合物を提供する。
【化12】

式中、Rは、Cl、Br、NO2、OH又はOR'(R'=アルキル)から選択される。
【0039】
本発明の別の実施態様において、レボセチリジンの製造方法を提供する。該方法は、化合物(IV)を脱保護剤と反応させて、対応する(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンのカルバミン酸エステルを得て、例えば、メタノールを使用して、これを加水分解して、式(I)の化合物を得ることを含む。該化合物(I)を、更に、塩基及び溶媒の存在下で、2-クロロエトキシアセトアミド又は2-クロロエトキシアセタート又は2-クロロエトキシアセトニトリルなどの2-クロロエトキシ酢酸誘導体で処理して、対応する[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]エトキシ]酢酸誘導体を得て、例えば、水酸化ナトリウムを使用して、これを加水分解してレボセチリジンを得る。
【0040】
該脱保護剤は、クロロギ酸エチル、クロロギ酸1-クロロエチル、クロロギ酸ビニル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル、クロロチオノギ酸4-クロロフェニル、クロロチオノギ酸2,4,6-トリブロモフェニル、トリホスゲン、及び臭化シアンから選択することができる。最も好ましい脱保護剤は、クロロギ酸1-クロロエチルである。
【0041】
該溶媒は、1,2-ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、又はアセトニトリル、又はトルエンとジクロロメタンとの(1:1)混合物から選択することができる。好ましい溶媒はテトロヒドロフランである。
該脱保護は、該反応塊を、溶媒の還流温度で加熱することによって行うことができる。
該加水分解は、(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンのカルバミン酸エステルをアルコール、好ましくは、メタノールと反応させることによって行うことができる。
【0042】
該カルバミン酸エステルを溶媒の還流温度で加熱し、濃縮して、残渣を得ることができる。該残渣を水性HClで処理し、ジクロロメタンで洗浄することができ、それによって、層が分離される。該水層は、水酸化ナトリウム溶液などの塩基溶液で処理し、例えば、ジクロロメタンを用いて抽出することができる。分離した有機層を濃縮して、化合物(I)が得られる。
【0043】
任意に、化合物(I)は、例えば、再結晶化によって、精製することができる。該再結晶化は、溶媒の存在下、化合物(I)を塩酸又はシュウ酸などの酸で処理することによって、化合物(I)をその塩に変換することを含むことができる。該反応塊を、溶媒の還流温度で加熱することができ、例えば、濾過及び乾燥によって、塩が単離される。該塩を水酸化ナトリウム溶液などの塩基溶液で処理して、該反応塊のpHを13〜14に調整することができ、続いて約50〜55℃まで加熱する。冷却後、得られた生成物を、例えば、濾過及び真空下での乾燥によって単離して、精製化合物(I)が得られる。
【0044】
任意に、化合物(I)は、ヘプタンで処理すること、及び水酸化ナトリウム溶液などの塩基溶液を使用して、該溶液のpHを13〜14に調整することによって再結晶化することができる。該溶液を25〜30℃の範囲の温度で、約15時間撹拌することができ、それによって、化合物(I)が得られる。
【0045】
更に、該化合物(I)を、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムなどの塩基、及びトルエン又はキシレンなどの溶媒の存在下、2-クロロエトキシアセトアミド又は2-クロロエトキシアセタート又は2-クロロエトキシアセトニトリルなどの2-クロロエトキシ酢酸誘導体で処理して、対応する[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]エトキシ]酢酸誘導体を得て、例えば、水酸化ナトリウムを使用して、これを加水分解してレボセチリジンを得る。
【0046】
本発明の別の態様により、化合物(III)を(-)-(4-クロロフェニル)フェニルメチルアミンと、塩基及び溶媒の存在下で反応させることを含む、式(IV)の新規化合物の製造方法を提供する。
別の好ましい実施態様において、化合物(III)は、化合物(IIIa)である。すなわち、保護基は、メシラートである。
【化13】

【0047】
該反応に使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、炭酸カリウムから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選択することができる。最も好ましくは、該使用される塩基は、N-エチルジイソプロピルアミンである。
【0048】
該溶媒は、トルエン、ジメチルスルホキシド、N.N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルピロリジン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、スルホラン、テトラヒドロフラン、最も好ましくは、ジメチルスルホキシドから選択することができる。
該溶媒混合物は、N,N-ジメチルホルムアミドとアセトニトリル、又はN,N-ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシドとアセトニトリルとの混合物とすることができる。
【0049】
任意に、式(IV)の化合物は、アセトン又は酢酸エチル又はメタノールなどの溶媒の存在下、シュウ酸又は塩酸(ガス)などの酸で処理することによって、その塩に変換することができる。
該反応塊は、溶媒又は溶媒混合物の還流温度で加熱される。
式(IV)の化合物の塩を水酸化ナトリウム溶液で処理して、該反応塊のpHを13〜14に調整する。該生成物を適当な溶媒を使用して抽出して、純粋な式(IV)の化合物を単離する。該抽出溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、又はトルエン、好ましくは、ジクロロメタンから選択される。
【0050】
更に別の実施態様において、式(III)の化合物を提供する。
【化14】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは保護基である。
【0051】
一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
該保護剤は、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホン酸、テトラブチルジメチルシラン、ジメトキシトリチルクロリド、テトライソプロピルシリルクロリド、及びテトラヒドロピランから選択することができる。好ましくは、該保護基は、メシラートである。
【0052】
一実施態様において、本発明は、式(II)の化合物を適当な保護剤と、適当な溶媒及び塩基の存在下で反応させることを含む、式(III)の化合物の製造方法を提供する。
【化15】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは、該保護剤に対応した保護基である。一実施態様において、R'は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、ペンチル又はヘキシルである。好ましくは、RはOR'である。より好ましくは、RはOMe、すなわち、メトキシである。
【0053】
該化合物(II)と保護剤との反応は、塩基の存在下で行われる。使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、最も好ましくは、トリエチルアミンから選択することができる。
【0054】
該溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、又はトルエンから選択することができる。最も好ましい溶媒は、ジクロロメタンである。
該適当な保護剤は、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホン酸、テトラブチルジメチルシラン、ジメトキシトリチルクロリド、テトライソプロピルシリルクロリド、テトラヒドロピラン、最も好ましくは、メタンスルホニルクロリドから選択することができる。
【0055】
使用される保護剤は、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中の溶液のものである。
式(II)の化合物と保護剤との反応は、-5〜-10℃の範囲の温度で行われる。
該反応の完了後、該混合物を水で洗浄し、それによって、該層を分離する。該有機層を収集し、濃縮して、化合物(III)が得られる。
【0056】
別の実施態様において、式(II)の化合物を提供する。
【化16】

式中、Rは、前記のものと同じである。
【0057】
本発明の一実施態様において、ジエタノールアミンをp-置換塩化ベンジルと、塩基及び溶媒の存在下で縮合することを含む、式(II)の化合物の製造方法を提供する。
好ましくは、縮合に使用される塩化ベンジルの置換は、パラ位であり、かつクロロ、ブロモなどのハロゲン、又はアルコキシ、又はニトロ、又はエーテル、又はヒドロキシ、好ましくは、アルコキシ基、最も好ましくは、メトキシ基から選択することができる。
【0058】
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、最も好ましくは、トリエチルアミンから選択することができる。
該縮合に使用される適当な溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、最も好ましくは、ジクロロメタンとすることができる。
該縮合は、5℃未満の温度、好ましくは、0〜5℃の範囲で行われる。
【0059】
本発明の更に別の態様により、下記工程を含むレボセチリジンの製造方法を提供する。
i) ジエタノールアミンとp-置換塩化ベンジルとを、ジクロロメタン及びトリエチルアミンの存在下で縮合して、式(II)の化合物を得ること;
ii) 該式(II)の化合物をメタンスルホニルクロリドと、ジクロロメタン及びトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(III)の化合物を得ること;
iii) 該化合物(III)を(-)-(4-クロロフェニル)フェニルメチルアミンと、N-エチルジイソプロピルアミン及びN,N-ジメチルスルホキシドの存在下で反応させて、化合物(IV)を得ること;
iv) 該化合物(IV)をクロロギ酸1-クロロエチルと反応させて、対応する(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンのカルバミン酸エステルを得て、メタノールを使用してこれを加水分解して、式(I)の化合物を得ること;
v) 該化合物(I)を炭酸カリウム及びトルエンの存在下で、2-クロロエトキシアセトアミドで処理して、[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジニル]エトキシ]アセトアミドを得て、水酸化ナトリウムを使用してこれを加水分解して、レボセチリジンを得ること;である。
【0060】
反応スキームを下記に示す。
【化17】

【0061】
本発明の方法は、本質的に発癌性であるビスクロロエチルアミンの使用を回避するので、先行技術を上回って有益である。本発明の方法の1つは、ジエタノールアミンとパラ-置換塩化ベンジルとの反応を含む。このパラ-置換は、式(III)及び(IV)の化合物の脱保護が温和な反応条件下で起こるのに役立つ。したがって、本発明の方法は、容易かつ安全である。
本発明の非制限的な説明のために、下記に実施例を挙げる。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
(2-[(2-ヒドロキシ-エチル)-(4-メトキシ-ベンジル)-アミノ]-エタノールの製造)
75mlのジクロロメタン中の25gms(0.2380モル)のジエタノールアミン及び60ml(0.4312モル)のトリエチルアミンを反応容器にとり、撹拌しながら0〜5℃まで冷却した。50mlのジクロロメタン中の40gms(0.2554モル)のp-メトキシベンジルクロリドを、そこにゆっくりと添加した。更に該反応塊をジクロロメタンとともに撹拌し、25〜30℃の温度で約16時間維持した。得られた溶液を濃縮して、残渣を得た。200mlのアセトンを該残渣に添加し、約1時間0〜5℃まで冷却し、濾過した。該濾液を濃縮して、標題化合物を油状物として得た(50.8gms)。
【0063】
(実施例2)
(メタンスルホン酸2-[(2-メタンスルホニルオキシ-エチル)-(4-メトキシ-ベンジル)-アミノ]-エチルエステルの製造)
25gms(0.1111モル)の実施例1から得られた生成物及び45gms(0.4455モル)のトリエチルアミンを、125mlのジクロロメタンとともに反応容器に加え、-5〜-10℃まで冷却した。ジクロロメタン(50ml)中のメタンスルホニルクロリド(45gms、0.3888モル)の溶液を、-5〜10℃でゆっくりと添加し、25〜30℃で約16時間撹拌した。得られた混合物を水(25ml)で洗浄した。収集した有機層を濃縮して、標題化合物を得た(36gms)。
【0064】
(実施例3)
((-)1-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-4-(4-メトキシ-ベンジル)ピペラジンの製造)
i) 7gms(0.03218モル)の(-)-(4-クロロフェニル)フェニルメチルアミン及び10gms(0.02624モル)の実施例2で製造された化合物を、14mlのジメチルスルホキシド及び14gms(0.1083モル)のN-エチルジイソプロピルアミンと混合する。次に、該混合物を90℃で約4時間加熱し、次いで、冷却した。該反応塊を水中で反応停止させ、ジクロロメタンで抽出した。収集した有機層を濃縮して、残渣を得た(13gms)。
ii) 工程i)で得られた残渣に、130mlの酢酸エチル及び14gms(0.1111モル)のシュウ酸二水和物を添加した。該混合物を加熱して透明溶液を得て、冷却して(-)1-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-4-(4-メトキシ-ベンジル)ピペラジンのシュウ酸塩を得た。該塩を濾過し、真空下55℃で乾燥させた(15gms)。
iii) 更に、該シュウ酸塩を、水酸化ナトリウム溶液で処理してpH9〜10にし、次いで、酢酸エチルを用いて抽出した(3×25ml)。収集した有機層を濃縮して、標題化合物を得た(9.2gms)。
【0065】
(実施例4)
((-)1-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-4-(4-メトキシ-ベンジル)ピペラジンの製造)
i) 実施例3の工程i)で得られた残渣に、130mlのアセトンを添加し、15〜20℃まで冷却した。該反応塊のpHを、HClガスのパージによって1〜2に調整した。該反応混合物を約1時間撹拌し、50〜55℃まで約1時間加熱し、次いで、徐々に25〜30℃まで冷却して、(-)1-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-4-(4-メトキシ-ベンジル)ピペラジンの二塩酸塩を得た。該塩を濾過し、真空下55℃で乾燥させた(15gms)。
ii) 工程i)から得られた塩を、水酸化ナトリウム溶液で処理してpH9〜10にし、次いで、ジクロロメタンを用いて抽出した(3×25ml)。収集した有機層を濃縮して、標題化合物を得た(9.2gms)。
【0066】
(実施例5)
((-)-1-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジンの製造)
i) 35mlのテトラヒドロフランを、10gms(0.02463モル)の実施例3から得られた化合物に添加し、続いて、10mlのテトラヒドロフラン中の4gms(0.02797モル)のクロロギ酸1-クロロエチルをゆっくりと添加した。該反応塊を還流温度で約3時間加熱し、油状物になるまで濃縮した。該油状物に50mlのメタノールを添加し、還流するまで約16時間加熱し、濃縮して残渣を得た。更に、該残渣を50mlの水性HClで処理し、ジクロロメタンで洗浄した(3×30ml)。水層を水酸化ナトリウム溶液で処理し、ジクロロメタンを用いて抽出した(50ml)。有機層を収集し、濃縮して油状物を得た(5.7gms)。
ii) 工程i)から得られた生成物を、57mlの酢酸エチルで処理し、5.7gmsのシュウ酸をそれに添加した。該反応塊を還流温度で約1時間加熱し、徐々に25〜30℃まで冷却し、約2時間撹拌した。反応完了後、得られたシュウ酸塩を濾過し、真空下55℃で乾燥させた(9gms)。
iii) 工程ii)から得られた塩を、100mlの水及び2.7mlのヘプタンで処理した。該反応塊のpHを、10%水酸化ナトリウム溶液を使用して13〜14に調整し、約1時間撹拌した。該反応塊を50〜55℃で約1時間加熱し、徐々に25〜30℃まで冷却し、約4時間撹拌した。得られた生成物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物を得た(4.5gms)。
【0067】
(実施例6)
((-)-1-[(4-クロロ-フェニル)-フェニル-メチル]-ピペラジンの製造)
35mlのテトラヒドロフランを、10gms(0.02463モル)の実施例3から得られた化合物に添加し、続いて、10mlのテトラヒドロフラン中の4gms(0.02797モル)のクロロギ酸1-クロロエチルをゆっくりと添加した。該反応塊を還流温度で約3時間加熱し、油状物になるまで濃縮した。該油状物に50mlのメタノールを添加し、還流するまで約16時間加熱し、濃縮して残渣を得た。更に、該残渣を50mlの水性HClで処理し、ジクロロメタンを用いて洗浄した(3×30ml)。水層に2mlのn-ヘプタンを添加し、次いで、25〜30℃で水酸化ナトリウム溶液を用いて処理した。該反応塊を25〜30℃で約12時間撹拌した。反応完了後、得られた生成物を濾過し、真空下50〜55℃で乾燥させて、標題化合物を得た(4.5gms)。
【0068】
(実施例7)
(レボセチリジン二塩酸塩の製造)
i) 8gmsの実施例5又は6の生成物を、48mlのトルエンに溶解させた。5.8gms(0.04233モル)の2-クロロエトキシアセトアミドを、5gms(0.03623モル)の炭酸カリウム、0.4gm(0.002440モル)のカリウムイドジド(potassium idodide)、及び8mlのジメチルホルムアミドとともに、25〜30℃で添加した。該反応塊を105〜110℃で加熱して、共沸的に水を除去した。該加熱を反応が完了するまで続けた。該混合物を50℃まで冷却し、64mlのアセトン、12gmsのハイフロをそれに添加した。該混合物を更に10〜15℃まで冷却し、約1時間維持し、次いで、濾過した。透明な濾液が得られるまで、アセトンで洗浄した。更に32mlのアセトンを該濾液に添加し、10〜15℃まで冷却した。これに11mlのIPA-HClをゆっくりと添加し、該混合物のpHが1〜2に調整されるようにした。該混合物を0〜5℃で約1時間撹拌して、固形物を得て、これを濾過し、真空下で乾燥させた(11gms)。
ii) 10gms(0.02583モル)の工程i)から得られた生成物に、5%NaOH溶液(140mlの水に7gmsのNaOHを溶解した。)を添加し、反応が完了するまで約90℃まで加熱した。該混合物を、徐々に10〜15℃まで冷却し、2NのHClを使用してpHを9〜9.5に調整した。この溶液をEtOAcで3×20mlの洗浄を行い、2NのHClを使用してpHを4.5〜5に調整した。該混合物を25〜30℃で維持し、約30分間撹拌した。該混合物のpHを4.5〜5に維持し、40mlのジクロロメタンを用いて抽出し、続いて、2×20mlのジクロロメタンで洗浄した。分離した有機層を45℃未満で濃縮して残渣を得た。該残渣に70mlのアセトンを添加し、0〜5℃まで冷却した。HClガスを該溶液に通してパージさせてpH1〜2を達成した。該混合物を25〜30℃で撹拌し、0〜5℃まで徐々に1時間冷却し、それによって、固形物を得た。該固形物を濾過し、真空下で乾燥させてレボセチリジンを得た(7gms)。
本発明は、添付の特許請求の範囲内で改良され得ることが、明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)の化合物;
【化1】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、かつR'はアルキルである。
【請求項2】
式(IV)の化合物の製造方法であって、式(III)の化合物を(-)-(4-クロロフェニル)フェニルメチルアミンと、塩基及び溶媒の存在下で反応させることを含み、
【化2】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは保護基である、前記製造方法。
【請求項3】
前記塩基が、炭酸カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルピロリジン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、スルホラン、テトラヒドロフラン、及びそれらの混合物から選択される、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記保護剤が、メシラート、ベシラート、テトラブチルジメチルシリル、ジメトキシトリチル、テトライソプロピルシリル、及びテトラヒドロピラニルから選択される、請求項2、3又は4記載の方法。
【請求項6】
化合物(III)が、下記構造(IIIa)を有する、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法;
【化3】


【請求項7】
化合物(IV)を精製することを更に含む、請求項2〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記精製が、化合物(IV)と酸との反応によって化合物(IV)をその塩に変換すること、該塩を塩基溶液と反応させること、及び化合物(IV)を単離することを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記塩基溶液が、水酸化ナトリウム溶液の溶液であり、かつ前記単離が、ジクロロメタン、酢酸エチル及びトルエンから選択される溶媒を使用して抽出することを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記式(III)の化合物が、式(II)の化合物を保護剤と、溶媒及び塩基の存在下で反応させることによって製造され、
【化4】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは、該保護剤に対応した保護基である、請求項2〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記保護剤が、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホン酸、テトラブチルジメチルシラン、ジメトキシトリチルクロリド、テトライソプロピルシリルクロリド、及びテトラヒドロピランから選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記保護基が、メタンスルホニルクロリドである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記塩基が、カリウムtertブトキシド、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選択される、請求項10、11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、及びトルエンから選択される、請求項10〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記式(II)の化合物が、ジエタノールアミンと式(V)の塩化ベンジルとを、塩基及び溶媒の存在下で縮合することによって製造され、
【化5】

式中、RがCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、かつR'がアルキルである、請求項10〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記塩基が、カリウムtertブトキシド、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンから選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒が、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びメタノールから選択される、請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
式(I)の化合物の製造方法であって、式(IV)の化合物を脱保護剤と反応させて、対応する(-)-1-[(4-クロロフェニル)-フェニルメチル]ピペラジンのカルバミン酸エステルを得ること、及び該カルバミン酸エステルを加水分解して化合物(I)を得ることを含む、前記製造方法。
【請求項19】
前記脱保護剤が、クロロギ酸エチル、クロロギ酸1-クロロエチル、クロロギ酸ビニル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル、クロロチオノギ酸4-クロロフェニル、クロロチオノギ酸2,4,6-トリブロモフェニル、トリホスゲン、及び臭化シアンから選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記加水分解が、メタノールを使用して行われる、請求項18、19又は20記載の方法。
【請求項21】
前記式(IV)の化合物が、請求項2〜17のいずれか一項に従って製造される、請求項18、19又は20記載の方法。
【請求項22】
レボセチリジン又はその塩の製造方法であって、式(IV)の化合物をレボセチリジンに変換すること、及び任意に該レボセチリジンをその塩に変換することを含む、前記製造方法。
【請求項23】
前記変換が、請求項18〜21のいずれか一項に従って前記式(IV)の化合物から式(I)の化合物を製造すること、及び該化合物(I)をレボセチリジンに変換することを含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記化合物(I)からレボセチリジンへの変換が、化合物(I)を2-クロロエトキシ酢酸誘導体と、塩基及び溶媒の存在下で反応させて、対応する[2-[4-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-1-ピペラジン-1-イル]エトキシ]酢酸誘導体を得ること、及び該酢酸誘導体を加水分解してレボセチリジンを得ることを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記2-クロロエトキシ酢酸誘導体が、2-クロロエトキシアセトアミド、2-クロロエトキシアセタート、又は2-クロロエトキシアセトニトリルである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記塩基が、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである、請求項24又は25記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒が、トルエン又はキシレンである、請求項24、25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記加水分解が、水酸化ナトリウムを使用して行われる、請求項24〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
式(II)の化合物;
【化6】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、かつR'はアルキルである。
【請求項30】
請求項15〜17のいずれか一項に従って製造された、請求項29記載の化合物(II)。
【請求項31】
式(III)の化合物;
【化7】

式中、RはCl、Br、NO2、OH又はOR'であり、R'はアルキルであり、かつPは保護基である。
【請求項32】
請求項10〜14のいずれか一項に従って製造された、請求項31記載の化合物(III)。
【請求項33】
請求項18〜21のいずれか一項に従って製造された、化合物(I)。
【請求項34】
請求項22〜27のいずれか一項に従って製造された、レボセチリジン又はその塩。
【請求項35】
実施例を参照して、本明細書中に実質的に記載された方法。
【請求項36】
実施例を参照して、本明細書中に実質的に記載された化合物(II)。
【請求項37】
実施例を参照して、本明細書中に実質的に記載された化合物(III)。
【請求項38】
実施例を参照して、本明細書中に実質的に記載された化合物(IV)。

【公表番号】特表2011−523659(P2011−523659A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512196(P2011−512196)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001385
【国際公開番号】WO2009/147389
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】