説明

レンズモジュールの製造方法、レンズモジュール、カメラモジュール、及び電子機器

【課題】精度の高いプリズム付きのレンズモジュールを効率よく製造する。
【解決手段】光路を光軸方向D1、D3に対して折り曲げる光路折り曲げ素子104を備えるレンズモジュール123の製造方法であって、基板に複数のレンズ152が形成されたレンズ基板150を形成するレンズ基板形成工程S11と、光路折り曲げ素子を複数形成するための光路折り曲げ部材104bをレンズ基板の光軸方向に設置する光路折り曲げ部材設置工程S15と、を含み、前記光路折り曲げ部材設置工程では、前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する際に、前記光路折り曲げ部材を固定する外枠部材190が前記レンズ基板の外周を覆うように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズモジュールの製造方法、レンズモジュール、カメラモジュール、及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、カメラモジュールは、携帯電話機、携帯型コンピュータ等の携帯型の電子機器等への搭載が進んでおり、いわゆるウェハレベルのカメラモジュールが提案されている。
【0003】
このようなウェハレベルのカメラモジュールとして、ウェハレベル・チップサイズ・パッケージ構造の固体撮像素子チップと、固体撮像素子チップの周囲を覆う筒状の外枠体によって構成されたカメラモジュールが特許文献1に開示されている。当該カメラモジュールは、外枠体の一端に固体撮像素子チップにおける受光面に集光される複数のレンズを保持するレンズバレルが螺着固定され、他端に固体撮像素子チップの面一の端面が嵌合されている。そして、レンズの光軸が固体撮像素子チップの受光面の中心に垂直固定されるようにして、固体撮像素子チップをレンズバレルに取付ける際の光軸ずれを最小限に抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯電話等の電子機器に用いられるカメラモジュールは、電子機器の小型化に伴って、さらなる小型化、及びズームやオートフォーカス等の機能の具備等の高性能化も要請されている。例えば、レンズユニット内の群内偏芯のみならず、複数のレンズユニットを含むカメラモジュールにおけるレンズユニット間の群間偏芯が生じないように、カメラモジュールの高精度化がカメラモジュールの小型化と共に要求される。また、カメラモジュールには、光が直進するレンズ群からなる直進式光学系の他に、プリズム等により光を分散・屈折・全反射・複屈折させる折り曲げ式光学系がある。当該折り曲げ式光学系のカメラモジュールを製造する際には、例えば積層させたレンズ群とプリズムとの間に塗布した接着剤にUV光を照射して接着するが、このとき斜面となるプリズム面でUV光が全反射してUV光が接着部位に届かずに接着が不十分となることが懸念される。
【0006】
本発明に係る幾つかの態様によれば、精度の高いレンズモジュール及びカメラモジュールを効率よく製造できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、光路を光軸方向に対して折り曲げる光路折り曲げ素子を備えるレンズモジュールの製造方法であって、基板に複数のレンズが形成されたレンズ基板を形成するレンズ基板形成工程と、複数の前記光路折り曲げ素子を形成するための光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する光路折り曲げ部材設置工程と、を含み、前記光路折り曲げ部材設置工程では、前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する際に、前記光路折り曲げ部材を固定する外枠部材が前記レンズ基板の外周を覆うように設けられるレンズモジュールの製造方法に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、レンズ基板の光軸方向に光路折り曲げ部材を設置する際に、光路折り曲げ部材と、レンズ基板から構成される光学系との偏芯の発生を抑制して、製造されたレンズモジュールの精度を高めることができる。
【0009】
このとき、本発明の一態様では、前記光路折り曲げ部材は、前記光軸方向を第1の方向とした場合に、前記第1の方向に対して垂直方向となる第2の方向に複数の前記光路折り曲げ素子を切り分けられる分の長さを有する三角柱形状のプリズム部材としてもよい。
【0010】
このようにすれば、光路折り曲げ素子を含む複数のレンズモジュールを効率よくまとめて製造することができる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記プリズム部材の前記第2の方向の一方の端面には、前記プリズム部材を設置する位置を決める位置決め用の貫通孔が形成された位置決め部材が設けられ、前記プリズム部材の前記第2の方向の他方の端面には、前記プリズム部材の回転を防止するための回転止め用の貫通孔が形成された回転止め部材が設けられ、前記光路折り曲げ部材設置工程では、前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する際に、前記位置決め部材及び前記回転止め部材を介して前記プリズム部材を固定する外枠部材が前記レンズ基板の外周を覆うように設けてもよい。
【0012】
このようにすれば、外枠部材を使用することによって、プリズム部材をレンズ基板の光軸方向に設置する際の作業効率が向上する。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記外枠部材は、前記位置決め部材に形成された貫通孔を挿通するための前記プリズム部材の位置決め用ボスと、前記回転止め部材に形成された貫通孔を挿通するための前記プリズム部材の回転止め用ボスと、を含み、前記光路折り曲げ部材設置工程では、前記位置決め用ボスを前記位置決め部材に形成された貫通孔を挿通させ、かつ前記回転止め用ボスを前記回転止め部材に形成された貫通孔を挿通させることによって、前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置してもよい。
【0014】
このようにすれば、位置決め部材を位置決め用ボスに挿通させ、かつ回転止め部材を回転止め用ボスに挿通させることによって、プリズム部材をレンズ基板の光軸方向に設置する際の精度が向上する。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記レンズ基板に前記光路折り曲げ素子を設置して形成されるレンズモジュールアレイの2つを前記光路折り曲げ部材の斜面が互いに当接するように嵌合させるレンズモジュールアレイ嵌合工程と、前記レンズモジュールアレイ嵌合工程後に紫外光を少なくとも前記光路折り曲げ部材と前記レンズ基板との間の接着箇所に照射して固定する接着固定工程と、を含めてもよい。
【0016】
このようにすれば、複数の光路折り曲げ素子を形成するための光路折り曲げ部材をレンズ基板の光軸方向に設置して形成した2つのレンズモジュールアレイに含まれる光路折り曲げ部材の斜面を互いに当接するように嵌合してから、接着固定工程を実行する。このため、照射させる紫外光が光路折り曲げ部材の斜面に全反射して、接着箇所に届かなくなることによって当該接着箇所の接着が不十分となることを防止できる。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記レンズモジュールアレイ嵌合工程では、前記光路折り曲げ部材設置工程で一方のレンズモジュールアレイを形成する際に設けられた前記外枠部材に含まれる前記位置決め用ボスに、他方のレンズモジュールアレイに含まれる前記プリズム部材の前記位置決め部材に形成された貫通孔を挿通させ、かつ前記外枠部材に含まれる前記回転止め用ボスに、他方のレンズモジュールアレイに含まれる前記プリズム部材の前記回転止め部材に形成された貫通孔を挿通させることによって、前記一方のレンズモジュール及び前記他方のレンズモジュールに含まれる光路折り曲げ部材の斜面が互いに当接するように嵌合させてもよい。
【0018】
このようにすれば、双方のレンズモジュールアレイの位置決め部材を外枠部材の位置決め用ボスに挿通させ、かつ双方のレンズモジュールアレイの回転止め部材を回転止め用ボスに挿通させることによって、プリズム部材の斜面を当接させて2つのレンズモジュールアレイを嵌合させる精度が向上する。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記接着固定工程後に前記レンズ基板に形成された前記複数のレンズの各々に切り分ける切断工程と、前記切断工程後に前記折り曲げ素子の斜面が互いに当接した2つのレンズモジュールを分けて前記レンズモジュールを組み立てる組立工程と、を含めてもよい。
【0020】
このようにすれば、光路折り曲げ素子を設置した複数のレンズモジュールを効率よく製造することができるようになる。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記レンズ基板形成工程では、複数のレンズ基板を形成し、前記レンズ基板形成工程の後に、前記レンズ基板に形成された前記各レンズの周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔形成工程の後に前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層する積層工程と、を含み、前記光路折り曲げ素子設置工程では、前記積層工程後に前記外枠部材を設けてもよい。
【0022】
このようにすれば、積層工程によって形成されたレンズアレイにプリズム部材を設置する際に、外枠部材を使用してプリズム部材を設置することができるようになる。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記レンズ基板形成工程では、前記各レンズの前記周縁部に対して前記光軸方向に厚みを付加する厚み付加工程を含み、前記貫通孔形成工程では、前記厚みが付加された前記周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成し、前記積層工程では、前記光軸方向から見て前記厚みが付加された前記周縁部に形成した前記貫通孔の位置が重なるように、前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層してもよい。
【0024】
このようにすれば、複数のレンズ基板を積層させてレンズモジュールアレイを製造する際の製造精度が向上する。
【0025】
また、本発明の一態様では、前記貫通孔形成工程後に前記貫通孔に軸部を挿通する軸部挿通工程を含み、前記組立工程では、前記積層工程で積層させた複数のレンズ基板から複数のレンズユニットを形成するために、前記軸部挿通工程で挿通した前記軸部を介して、前記複数のレンズユニットを前記光軸方向に移動させて前記レンズモジュールを組み立ててもよい。
【0026】
このようにすれば、光軸方向に移動可能なレンズユニットを含むレンズモジュールを効率よく製造することができる。
【0027】
また、本発明の一態様では、前記レンズ基板形成工程では、複数のレンズ基板を形成し、前記レンズ基板形成工程の後に、前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層する積層工程と、前記積層工程の後に、前記レンズ基板に形成された前記各レンズの周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、前記光路折り曲げ素子設置工程では、前記積層工程後に前記外枠部材を設けてもよい。
【0028】
このように、複数のレンズ基板を光軸方向に積層後に、貫通孔形成工程を行うことによって、当該複数のレンズ基板の各レンズの周縁部に貫通孔を形成する際の貫通孔の位置精度を確保することができる。
【0029】
また、本発明の一態様では、前記レンズ基板形成工程では、複数のレンズ基板を形成し、前記レンズ基板形成工程の後に、前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層する積層工程と、前記積層工程の間に、前記レンズ基板に形成された前記各レンズの周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、前記光路折り曲げ素子設置工程では、前記積層工程後に前記外枠部材を設けてもよい。
【0030】
このように、複数のレンズ基板を光軸方向に積層する積層工程間に、貫通孔形成工程を行うことによって、当該複数のレンズ基板の各レンズの周縁部に貫通孔を形成する際の貫通孔の位置精度を確保することができる。
【0031】
また、本発明の他の態様は、光路を光軸方向に対して折り曲げる光路折り曲げ素子を備えるレンズモジュールであって、基板に複数のレンズが形成されたレンズ基板から各レンズを切り分けることで形成された光学素子と、前記光学素子の前記光軸方向に設置された光路折り曲げ素子と、を含むレンズモジュールに関係する。
【0032】
このとき、本発明の他の態様では、前記光学素子の前記各レンズの周縁部に形成された少なくとも1つの貫通孔を前記光軸方向に貫通する軸部と、前記光学素子の前記レンズの周縁部に対して前記光軸方向に厚みを付加するために設けられたスペーサを含み、前記軸部は、前記スペーサによって厚みが付加された前記各レンズの周縁部に形成された前記少なくとも1つの貫通孔を前記光軸方向に貫通させてもよい。
【0033】
また、本発明の他の態様では、前記光路折り曲げ素子に対して前記光軸方向に移動可能な少なくとも1つのレンズユニットを含むこととしてもよい。
【0034】
また、本発明の他の態様は、上記に記載のレンズモジュールと、前記レンズモジュールにて結像された光を電気信号に変換する撮像素子と、を含むカメラモジュールに関係する。
【0035】
また、本発明の他の態様は、上記に記載のカメラモジュールを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のカメラモジュールの一実施形態の光軸方向における断面図。
【図2】同実施形態に係るレンズモジュールの製造方法を示すフローチャート。
【図3】図3(A)、図3(B)は、同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図4】図4(A)、図4(B)は、同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図5】本実施形態に係るレンズモジュールの製造方法の厚み付加工程を示すフローチャート。
【図6】同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)は、同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図8】図8(A)、図8(B)は、同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図9】同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図10】同実施形態のレンズモジュールの製造方法の概略的な説明図。
【図11】図11(A)は、同実施形態のレンズモジュールの外観斜視図、図11(B)は、図11(A)のC−C断面図。
【図12】本実施形態のカメラモジュールを含む電子機器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0038】
1.構成
図1に本発明の一実施形態のレンズモジュールを含むカメラモジュールの構成を説明する断面図を示す。
【0039】
本実施形態のカメラモジュール100は、図1に示すように、被写体側から入射される被写体光の光路Lを被写体側レンズ102の光軸方向D2、D4に対して折り曲げる光路折り曲げ素子であるプリズム104により略直角に折り曲げて、撮像素子108まで導くレンズユニット122、124等により構成されるレンズモジュール123を含む。
【0040】
具体的には、図1に示すように、カメラモジュール100は、略筒状の本体部105に、被写体側レンズ102、第1のレンズユニット122、第2のレンズユニット124、シャフト126(軸部)、撮像素子108、及びIRカットフィルタ110を含む。本実施形態では、カメラモジュール100は、第1のレンズユニット122が本体部105の被写体側レンズ102側に固定され、第2のレンズユニット124がシャフト126を介して当該レンズユニット124の光軸方向D1、D3に移動可能な構成となっているレンズモジュール123にて結像された光を撮像素子108で電気信号に変換する。
【0041】
撮像素子108は、例えばCCDであり、受光した光に応じた信号を出力する。撮像素子108は、図1に示すように、回路基板106に設けられ、撮像素子108とレンズユニット102の間には、赤外線をカットするためのIRカットフィルタ110が設けられている。
【0042】
本実施形態では、第1のレンズユニット122では、先端側レンズ130が形成された先端側光学素子128と後端側レンズ134が形成された後端側光学素子132との間に、スペーサ136が光軸方向D1、D3に積層される。すなわち、光学素子128、132のレンズ130、134の周縁部129、133の光軸方向D1,D3での厚さが厚くなるように、スペーサ136を光軸方向D1、D3に積層する。そして、第1のレンズユニット122は、図1に示すように、先端側光学素子128の光軸方向D1、D3のD1側にスペーサ137を介してプリズム104が設置されている。また、本実施形態では、第1のレンズユニット122は、先端側光学素子128と後端側光学素子132との間に積層されたスペーサ136に、シャフト126の光軸方向D1、D3の先端側(D1側)を嵌合させて固定される。
【0043】
一方、第2のレンズユニット124では、先端側レンズ140が形成された先端側光学素子138と後端側レンズ144が形成された後端側光学素子142との間に、スペーサ146を光軸方向D1、D3に積層する。すなわち、光学素子138、142のレンズ140、144の周縁部139、143の光軸方向D1,D3での厚さが厚くなるように、スペーサ146が光軸方向D1、D3に積層される。そして、第2のレンズユニット124は、当該スペーサ146をスリーブ部としてシャフト126に対して摺動自在に嵌合されている。
【0044】
このように本実施形態では、レンズ基板から複数のレンズの各レンズを切り分けることで形成された光学素子128、132、138、142に、スペーサ136、146を設けることによって、光軸方向D1,D3での厚さを確保している。このようにすることによって、カメラモジュール100の小型化に伴って光学素子128、132、138、142が薄くなっても、レンズユニット122、124をスペーサ136、146によって光軸方向D1、D3に厚みを持たせることができる。
【0045】
このため、第1のレンズユニット122に光軸方向D1、D3のD1側からシャフト126の先端を挿通して嵌合する部分を、光軸方向D1、D3に大きく確保することができる。それによって、第1のレンズユニット122が光軸方向D1、D3に対してぶれずに、シャフト126の先端側に安定して固定されるようになる。一方、第2のレンズユニット124を光軸方向D1、D3に移動させるシャフト126が第2のレンズユニット124と嵌合する部分を、光軸方向D1、D3に大きく確保することができる。それによって、第2のレンズユニット124がシャフト126を介して光軸方向D1、D3に移動する際に、レンズユニット124が光軸方向D1、D3に対してぶれずに、光軸方向D1、D3に対する偏芯の発生を抑制できる。
【0046】
本実施形態では、レンズユニット122、124をスペーサ136、146によって光軸方向D1、D3に厚みを持たせることによって、各レンズユニット122、124内における各レンズ130、134、140、144の群内偏芯の発生を抑制する。また、レンズユニット122、124を光軸方向D1、D3に厚みを持たせることによって、シャフト126に嵌合する部分を光軸方向D1、D3に大きく確保することができるので、レンズユニット122、124が光軸方向D1、D3に対してぶれずに、各レンズユニット122、124間の群間偏芯の発生を抑制することが出来る。
【0047】
2.製造方法
図2は、本実施形態に係るレンズモジュールの製造方法を示すフローチャートである。本実施形態のレンズモジュールの製造方法は、主にウェハレベルのカメラモジュールに含まれるレンズモジュールの製造に使用され、特にプリズムが設置されたレンズモジュールの製造方法に関する。当該製造方法は、図2に示すように、レンズ基板形成工程S11、貫通孔形成工程S12、積層工程S13、軸部挿通工程S14、光路折り曲げ部材設置工程S15、レンズモジュールアレイ嵌合工程S16、接着固定工程S17、切断工程S18、及び組立工程S19を含む。
【0048】
図3は、レンズ基板形成工程S11及び貫通孔形成工程S12の概略的な説明図を示す。レンズ基板形成工程S11では、図3に示すように、レンズ用硝材、例えば、ガラスや透明な樹脂、あるいはその複合材等からなる光学ウェハである基板150の上に複数(例えば数千個)のレンズ152を形成する。本実施形態では、レンズ基板150は、例えば半導体製造で一般的なリソグラフィ技術、エッチング技術等を使用して形成する。なお、レンズ基板形成工程S11にレンズ基板150に形成された各レンズ152の周縁部153の光軸方向D1、D3の厚みを持たせるために、周縁部153に厚みを付加する厚み形成工程を含むこととしてもよい。すなわち、貫通孔形成工程S12の前に各レンズ152の周縁部153を光軸方向D1、D3に厚くしてから、厚くなった周縁部153に貫通孔154、156を形成することとしてもよい。
【0049】
次に、貫通孔形成工程S12で、レンズ基板150に形成された各レンズ152の周縁部153に対して、図3に示すように、光軸方向D1、D3に貫通する貫通孔154、156をエッチング技術等により形成する。貫通孔形成工程S12で形成される貫通孔154、156は、後述するように、積層工程S13では、複数のレンズ基板150、160及び複数のスペーサ(切断前)170、180を積層する際の位置決めのマーキングとして利用される。そして、軸部挿通工程S14では、貫通孔154、156は、レンズユニットを光軸方向D1、D3に移動させる際の移動手段となるシャフトSH1、SH2(軸部)を挿通させる貫通孔として利用される。なお、レンズユニットを光軸方向D1、D3に移動させる際の移動が円滑になるようにするために、貫通孔形成工程S12では、貫通孔154、156の表面を、摺動性を有する材質でコーティングすることが好ましい。
【0050】
図4は、積層工程S13の概略的な説明図を示す。積層工程S13では、図4に示すように、例えば、同じ大きさであって、かつ同じ個数及び配置でレンズ152、162が形成されたレンズアレイとなる複数のレンズ基板150、160を光軸方向D1、D3に積層する。その際に、光軸方向D1、D3から見て複数のレンズ基板150、160に形成した貫通孔154、156の位置が重なるように、複数のレンズ基板150、160を光軸方向D1、D3に積層する。本実施形態では、図4に示すように、積層工程S13で、レンズ基板150、160上に、所定の厚さを有し、かつレンズ152、162と当接する部分にエッチング技術等により開口部172、182が形成されたスペーサ(切断前)170、180とレンズ基板150、160とを積層することによって、レンズユニットの光軸方向D1、D3に厚みを持たせている。すなわち、本実施形態では、積層工程S13は、各レンズ152、162の周縁部153、163の光軸方向D1、D3での厚みを持たせるために、周縁部153、163に厚みを付加する厚み付加工程を兼用している。
【0051】
また、本実施形態では、スペーサ(切断前)170、180の開口部172、182の周縁部には、エッチング技術等により光軸方向D1、D3に貫通させたスペーサ側貫通孔184、186が、レンズ基板150、160に形成された貫通孔154、156と重なる位置に設けられている。なお、本実施形態では、積層工程S13の前に貫通孔形成工程S12を行っているが、積層工程S13の後、又は積層工程S13の間に貫通孔形成工程S12を行うこととしてもよい。すなわち、例えば、レンズ基板150、160及びスペーサ170、180の端部に、位置決め用のマーキングをエッチング技術等により別途形成しておけば、レンズ基板150、160及びスペーサ170、180を積層してから、貫通孔154、156、184、186を形成してもよい。このように、レンズ基板150、160及びスペーサ170、180を積層してから貫通孔154、156、184、186を形成する方が貫通孔154、156、184、186の位置が各レンズ基板150、160及びスペーサ170、180毎にずれることがなくなって、位置精度を確保することができるので望ましい。
【0052】
なお、本実施形態では、スペーサ170、180は、接着剤との相性が良い材質であって、ダイシングができる材質であり、耐熱性及び遮光性を有し、ある程度の強度があり、かつ摺動性が良いか、シャフトコートが出来る材質であることが好ましい。また、レンズユニットを光軸方向D1、D3に移動する際の移動が円滑になるようにするために、レンズ基板150、160と同様に、スペーサ170、180に形成される貫通孔184、186の表面を、摺動性を有する材質でコーティングしてもよい。
【0053】
このように本実施形態では、レンズユニットの光軸方向D1、D3に厚みを持たせるために、図4に示すように、積層工程S13では、レンズ基板150、160と、スペーサ170、180とを積層させる。なお、光軸方向D1、D3に厚さが確保されていれば、積層されるスペーサの枚数は、何枚でもよい。
【0054】
積層工程S13において、レンズ基板150のレンズ152とレンズ基板160のレンズ162との間隔を一定に固定する場合は、レンズ基板150とスペーサ170との間、及びスペーサ170とレンズ基板160との間に接着剤等を塗布して接着する。これに対して、双方のレンズ152、162を光軸方向D1、D3に接離自在にする場合には、レンズ基板150とスペーサ170、又はスペーサ170とレンズ基板160との間を非接着にして、そのまま積層する。以下、積層工程S13でレンズ基板とスペーサとを積層する動作の詳細について、図5に示すフローチャートを用いながら説明する。
【0055】
積層工程S13において、少なくとも1つのスペーサを介して第1〜第Nのレンズ基板を積層する際に、図5に示すように、まず第iのレンズ基板に対して第i+1のレンズ基板が光軸方向に移動させるか否かを判断する(S51)。第iのレンズ基板に対して第i+1のレンズ基板を固定する場合には、第iのレンズ基板とスペーサとの間に接着剤を塗布してから(S52)、第iのレンズ基板の上にスペーサを積層する(S53)。その後、第iのレンズ基板の上に積層したスペーサと第i+1のレンズ基板との間に接着剤を塗布し(S54)、その上に第i+1のレンズ基板を積層して(S55)、第iのレンズ基板とスペーサとの間、及びスペーサと第i+1のレンズ基板との間を接着する。
【0056】
これに対して、第iのレンズ基板に対して第i+1のレンズ基板を光軸方向に移動させる場合には、図5に示すように、第iのレンズ基板とスペーサとの間の接着剤の塗布を省略して非接着にし、そのまま第iのレンズ基板の上にスペーサを積層する(S53)。
【0057】
また、本実施形態では、前述したように、スペーサ170、180の開口部172、182の周縁部には、光軸方向D1、D3に貫通するスペーサ側貫通孔184、186が、レンズ基板150、160に形成された貫通孔154、156と重なる位置に形成されている。このように貫通孔184、186を形成することによって、積層工程S13で、レンズ基板150、160及びスペーサ170、180を積層する際に、レンズ基板150、160の貫通孔154、156と、スペーサ170、180のスペーサ側貫通孔184、186とを位置合わせするためのマーキングに利用することができる。すなわち、レンズ基板150、160の貫通孔154、156と、スペーサ170、180のスペーサ側貫通孔184、186が光軸方向D1、D3に貫通する配置となるように、位置決めを行うことができる。このため、レンズ基板150、160とスペーサ170、180を積層させてレンズユニットを製造する際の位置ずれを抑制して、レンズモジュールを製造する際の精度が向上する。
【0058】
積層工程S13が完了すると、貫通孔184、186に摺動させるように、ステンレス等の金属や硬質の樹脂等からなるシャフト126(図1参照)を貫通孔184、186に挿通する(軸部挿通工程S14)。
【0059】
軸部挿通工程S14が完了すると、光路折り曲げ素子となるプリズム104を複数形成するための光路折り曲げ部材をレンズ基板の光軸方向に設置する(光路折り曲げ部材設置工程S15)。以下、光路折り曲げ部材設置工程S15の詳細について図面を使用しながら説明する。図6は、光路折り曲げ部材設置工程S15でプリズム部材を設置するための外枠部材を設けた状態を示す概略的な説明図であり、図7(A)は、プリズム部材の外観斜視図であり、図7(B)は、光路折り曲げ部材設置工程S15でプリズム部材を外枠部材を介して設置した状態を示す概略的な説明図である。
【0060】
本実施形態では、図7(A)に示すように、光路折り曲げ部材は、光軸方向D1、D3の一方を第1の方向D1とした場合に、第1の方向D1に対して垂直方向となる第2の方向D2に複数のプリズム104(光路折り曲げ素子)を切り分けられる分の長さを有する略三角柱形状のプリズム部材104bである。図7(A)に示すように、プリズム部材104bの第2の方向D2側の端面104cには、プリズム部材104bを設置する位置を決める位置決め用の貫通孔104c1が形成された位置決め部材104c2が設けられる。一方、プリズム部材104bの第2の方向D2と反対側となる第4の方向D4側の端面104dには、プリズム部材104bをレンズ基板150、160の光軸方向D1、D3のD1側に設置する際に、プリズム部材104bの回転を防止するための回転止め用の貫通孔104d1が形成された回転止め部材104d2が設けられる。
【0061】
なお、これらの貫通孔104c1、104d1の両方とも後述の外枠部材190の位置決め用ボス194、回転止め用ボス196と嵌合する丸穴形状とした場合では、僅かな誤差でも作動不良につながるおそれがある。このため、本実施形態では、製造時の部品精度に誤差が生じる場合に備えて、当該誤差の影響を吸収するために、これらの貫通孔104c1、104d1のうち、例えば位置決め用の貫通孔104c1を位置決め用ボス194と嵌合する丸穴形状の貫通孔とし、回転止め用の貫通孔104d1を長穴形状の貫通孔として形成してもよい。このように、位置決め用の貫通孔104c1を丸穴形状の貫通孔としてプリズム部材104bの回転中心にして、回転止め用の貫通孔104d1を長穴形状の貫通孔として、製造時の部品精度の誤差の影響を吸収させることによって、プリズム部材104bを設置する際の位置精度を確保することができる。
【0062】
そして、光路折り曲げ部材設置工程S15では、プリズム部材104b(光路折り曲げ部材)をレンズ基板150、160の光軸方向D1、D3のD1側に設置するために、まず、図6に示すように、プリズム部材104bを固定するための外枠部材190が積層されたレンズ基板150、160、及びスペーサ170、180の外周を覆うように設けられる。外枠部材190は、プラスチックや真鍮等の金属と言った加工性を有する硬質な材質で形成され、図6に示すように、外枠部材190の一辺190Lにプリズム部材104bの位置決め部材104c2に形成された貫通孔104c1を挿通するためのプリズム部材104bの位置決め用ボス194が、当該一辺190Lに沿うように複数設けられている。そして、外枠部材190の一辺190Lに対向する一辺190Rに、プリズム部材104b回転止め部材104d2に形成された貫通孔104d1を挿通するためのプリズム部材104bの回転止め用ボス196が、当該一辺190Rに沿うように複数設けられている。これらの位置決め用ボス194、回転止め用ボス196は、樹脂等により外枠部材190と一体成型により形成したものであってもよいし、樹脂等により形成された外枠部材190に対してステンレス等の金属等からなる金属ピンをあとから圧入して形成したものであってもよい。また、外枠部材190は、厚みを付加するために設けられるレンズ基板150、160に積層されるスペーサ170、180の外縁部に一体成型されたものでもよい。
【0063】
光路折り曲げ部材設置工程S15では、プリズム部材104bをレンズ基板150、160の光軸方向D1、D3のD1側に設置する際に、プリズム部材104bと積層されたスペーサ180との当接面に接着剤等を塗布してから、プリズム部材104bをスペーサ180の上に載置する。このとき、図7(B)に示すように、位置決め用ボス194をプリズム部材104bの位置決め部材104c2に形成された貫通孔104c1に挿通させて、プリズム部材104bの位置決めをする。そして、プリズム部材104bが位置決め用ボス194を介して回転するのを防止するために、回転止め用ボス196をプリズム部材104bの回転止め部材104d2に形成された貫通孔104d1に挿通させる。
【0064】
このようにして、一対の位置決め用ボス194、回転止め用ボス196に対して1つのプリズム部材104bが嵌合され、図7(B)に示すように、各対の位置決め用ボス194、回転止め用ボス196ごとにそれぞれプリズム部材104bが嵌合されて、レンズモジュール123に切り分けられる前のレンズモジュールアレイ50が形成される。本実施形態では、レンズモジュールアレイ50を形成する際に、レンズモジュールアレイ50に含まれる各プリズム部材104bの両端側に位置決め部材104c2と回転止め部材104d2を設けている。そして、当該プリズム部材104bを載置する積層されたレンズ基板150、160及びスペーサ170、180に、位置決め部材104c2と回転止め部材104d2を固定するためのボス194、196が設けられた外枠部材190を嵌めてから、各プリズム部材104bの位置決め部材104c2と回転止め部材104d2を嵌合させる。このようにして、プリズム部材104bと光軸方向D1、D3に積層されたレンズ基板150、160等から構成される光学系との偏芯の発生を抑制して、製造されたレンズモジュールの精度を高めることができる。
【0065】
図8(A)は、レンズモジュールアレイ嵌合工程S16の概略的な説明図を示し、図8(B)は、接着固定工程S17の概略的な説明図を示す。レンズモジュールアレイ嵌合工程S16では、図8(A)に示すように、前述した工程S11〜S15を経て形成された2つのレンズモジュールアレイ50a、50bを、当該レンズモジュールアレイ50a、50bに設置されたプリズム部材104bの斜面104sが互いに当接するように、嵌合させる。
【0066】
このとき、一方のレンズモジュールアレイ50aを形成する際に設けられた外枠部材190に含まれる位置決め用ボス194に、他方のレンズモジュールアレイ50bに含まれるプリズム部材104bの位置決め部材104c2に形成された貫通孔104c1を挿通させる。そして、同時に外枠部材190に含まれる回転止め用ボス196に、他方のレンズモジュールアレイ50bに含まれるプリズム部材104bの回転止め部材104d2に形成された貫通孔104d1を挿通させる。
【0067】
図9に、レンズモジュールアレイ嵌合工程S16が終了後の概略的な説明図を示す。レンズモジュールアレイ嵌合工程S16では、図9に示すように、双方のレンズモジュールアレイ50a、50bの位置決め部材104c2を位置決め用ボス194に挿通させ、回転止め部材104d2を回転止め用ボス196に挿通させる。このように位置決め部材104c2を位置決め用ボス194に挿通させ、回転止め部材104d2を回転止め用ボス196に挿通させることによって、一方のレンズモジュール50a及び他方のレンズモジュール50bに含まれるプリズム部材104bの斜面104sが互いに当接するように嵌合される。
【0068】
レンズモジュールアレイ嵌合工程S16が終了すると、図8(B)に示すように、紫外光UVをプリズム部材104bとレンズ基板160との間に有するスペーサ180と、プリズム部材104bとの接着箇所、及びスペーサ170、180とレンズ基板150、160との接着箇所に照射して接着材を固定する(接着固定工程S17)。このように、本実施形態では、レンズモジュールアレイ嵌合工程S16で2つのレンズモジュールアレイ50a、50bのプリズム部材104bの斜面104sを互いに当接させて嵌合させてから、プリズム部材104bとスペーサ180との間、及びスペーサ170、180とレンズ基板150、160との間に接着剤を塗布した接着箇所にUV光を照射する。
【0069】
仮に、レンズモジュールアレイ嵌合工程S16を経ずに、光路折り曲げ部材設置工程S15の終了後に接着固定工程S17を行った場合、照射したUV光の照射角度によっては、UV光がプリズム部材104bの斜面104sに全反射して接着箇所に届かず、プリズム部材104bとスペーサ180との接着が不十分となるおそれがある。
【0070】
これに対して本実施形態では、UV光を照射して接着固定する際に、2つのレンズモジュールアレイのプリズム部材104bの斜面104sを互いに当接させて嵌合されるので、UV光がプリズム部材104bの斜面104sに全反射することを防止できる。このため、当該接着箇所にUV光を確実に照射されるようになり、各部材間の接着強度の高いレンズモジュールをより確実に製造することができる。
【0071】
図10は、切断工程S18が終了後の概略的な説明図を示す。接着固定工程S17が終了すると、切断工程S18でレンズ基板150、160上に形成された複数のレンズ150、160の各々にダイシングして切り分けることによって、図10に示すように、2つのレンズモジュール122a、122bをプリズム104の斜面104sを当接させて合わさった状態で別個に切り分ける。
【0072】
図11(A)は、組立工程S19が終了後の概略的な説明図を示し、図11(B)は、図11(A)のC−C断面図である。切断工程S18の後に、組立工程S19では、プリズム104の斜面104sが互いに当接した2つのレンズモジュール122a、122bを分けて、図11(A)に示すように、レンズユニット122を組み立てる(組立工程S19)。このようにして組立工程S19を経て、図11(B)に示すように、レンズ130、134が形成された光学素子128、132の光軸方向D1、D3のD1側にプリズム104が設置されたレンズユニット122が形成される。なお、組立工程S19では、積層工程S13で積層させた複数のレンズ基板から複数のレンズユニットを形成する場合には、レンズユニット122の所望の光学性能を実現するために、軸部挿通工程S14で挿通したシャフト126(軸部)を介して、複数のレンズユニットを光軸方向に移動させる。そして、当該レンズユニット間の距離を所望の大きさに設定して、レンズモジュールを組み立てる。
【0073】
3.電子機器
図12は、本実施形態のレンズモジュールを含むカメラモジュールが搭載された電子機器の一例である携帯電話機の斜視図である。本実施形態のカメラモジュール16は、携帯電話機10の操作部や表示画面が設けられる表面12の裏側となる背面14に設けられている。なお、カメラモジュール16が設けられる部位は、携帯電話機10の背面側に限定されず、他の部位に設置しても良い。また、本実施形態のカメラモジュールを搭載する電子機器は、携帯電話機に限定されず、例えば携帯型コンピュータ等の携帯型電子機器やその他の電子機器等にも適用可能である。
【0074】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0075】
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、レンズモジュール、カメラモジュール、及び電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 携帯電話機(電子機器)50、50a、50b レンズモジュールアレイ、
16、100 カメラモジュール、102 被写体側レンズ、
104 プリズム(光路折り曲げ素子)、
104b プリズム部材(光路折り曲げ部材)、
104c1、104d1 貫通孔、104c2 位置決め部材、
104d2 回転止め部材、105 本体部、106 回路基板、108 撮像素子、
110 IRカットフィルタ、122、124 レンズユニット、
123 レンズモジュール、126 シャフト(軸部)、
128、132、138、142 光学素子、150、160 レンズ基板、
129、133、139、143、153、163 周縁部、
130、134、140、144、152、162 レンズ、
136、137、146 スペーサ、154、156、184、186 貫通孔、
170、180 スペーサ(切断前)、190 外枠部材、194 位置決め用ボス、
196 回転止め用ボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路を光軸方向に対して折り曲げる光路折り曲げ素子を備えるレンズモジュールの製造方法であって、
基板に複数のレンズが形成されたレンズ基板を形成するレンズ基板形成工程と、
複数の前記光路折り曲げ素子を形成するための光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する光路折り曲げ部材設置工程と、
を含み、
前記光路折り曲げ部材設置工程では、
前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する際に、前記光路折り曲げ部材を固定する外枠部材が前記レンズ基板の外周を覆うように設けられることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記光路折り曲げ部材は、
前記光軸方向を第1の方向とした場合に、前記第1の方向に対して垂直方向となる第2の方向に複数の前記光路折り曲げ素子を切り分けられる分の長さを有する三角柱形状のプリズム部材であることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記プリズム部材の前記第2の方向の一方の端面には、前記プリズム部材を設置する位置を決める位置決め用の貫通孔が形成された位置決め部材が設けられ、
前記プリズム部材の前記第2の方向の他方の端面には、前記プリズム部材の回転を防止するための回転止め用の貫通孔が形成された回転止め部材が設けられ、
前記光路折り曲げ部材設置工程では、
前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置する際に、前記位置決め部材及び前記回転止め部材を介して前記プリズム部材を固定する外枠部材が前記レンズ基板の外周を覆うように設けられることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記外枠部材は、
前記位置決め部材に形成された貫通孔を挿通するための前記プリズム部材の位置決め用ボスと、
前記回転止め部材に形成された貫通孔を挿通するための前記プリズム部材の回転止め用ボスと、
を含み、
前記光路折り曲げ部材設置工程では、
前記位置決め用ボスを前記位置決め部材に形成された貫通孔を挿通させ、かつ
前記回転止め用ボスを前記回転止め部材に形成された貫通孔を挿通させることによって、前記光路折り曲げ部材を前記レンズ基板の前記光軸方向に設置することを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記光路折り曲げ部材設置工程の後に、
前記レンズ基板に前記光路折り曲げ素子を設置して形成されるレンズモジュールアレイの2つを前記光路折り曲げ部材の斜面が互いに当接するように嵌合させるレンズモジュールアレイ嵌合工程と、
前記レンズモジュールアレイ嵌合工程後に紫外光を少なくとも前記光路折り曲げ部材と前記レンズ基板との間の接着箇所に照射して固定する接着固定工程と、
を含むことを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記レンズモジュールアレイ嵌合工程では、
前記光路折り曲げ部材設置工程で一方のレンズモジュールアレイを形成する際に設けられた前記外枠部材に含まれる前記位置決め用ボスに、他方のレンズモジュールアレイに含まれる前記プリズム部材の前記位置決め部材に形成された貫通孔を挿通させ、かつ
前記外枠部材に含まれる前記回転止め用ボスに、他方のレンズモジュールアレイに含まれる前記プリズム部材の前記回転止め部材に形成された貫通孔を挿通させることによって、前記一方のレンズモジュール及び前記他方のレンズモジュールに含まれる光路折り曲げ部材の斜面が互いに当接するように嵌合させることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記接着固定工程後に前記レンズ基板に形成された前記複数のレンズの各々に切り分ける切断工程と、
前記切断工程後に前記折り曲げ素子の斜面が互いに当接した2つのレンズモジュールを分けて前記レンズモジュールを組み立てる組立工程と、
を含むことを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれかにおいて、
前記レンズ基板形成工程では、複数のレンズ基板を形成し、
前記レンズ基板形成工程の後に、前記レンズ基板に形成された前記各レンズの周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔形成工程の後に前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層する積層工程と、を含み、
前記光路折り曲げ素子設置工程では、前記積層工程後に前記外枠部材を設けることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記レンズ基板形成工程では、
前記各レンズの前記周縁部に対して前記光軸方向に厚みを付加する厚み付加工程を含み、
前記貫通孔形成工程では、
前記厚みが付加された前記周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成し、
前記積層工程では、
前記光軸方向から見て前記厚みが付加された前記周縁部に形成した前記貫通孔の位置が重なるように、前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層することを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記貫通孔形成工程後に前記貫通孔に軸部を挿通する軸部挿通工程を含み、
前記組立工程では、
前記積層工程で積層させた複数のレンズ基板から複数のレンズユニットを形成するために、前記軸部挿通工程で挿通した前記軸部を介して、前記複数のレンズユニットを前記光軸方向に移動させて前記レンズモジュールを組み立てることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項3乃至7のいずれかにおいて、
前記レンズ基板形成工程では、複数のレンズ基板を形成し、
前記レンズ基板形成工程の後に、前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層する積層工程と、
前記積層工程の後に、前記レンズ基板に形成された前記各レンズの周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、
前記光路折り曲げ素子設置工程では、
前記積層工程後に前記外枠部材を設けることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項12】
請求項3乃至7のいずれかにおいて、
前記レンズ基板形成工程では、複数のレンズ基板を形成し、
前記レンズ基板形成工程の後に、前記複数のレンズ基板を前記光軸方向に積層する積層工程と、
前記積層工程の間に、前記レンズ基板に形成された前記各レンズの周縁部を前記光軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を含み、
前記光路折り曲げ素子設置工程では、
前記積層工程後に前記外枠部材を設けることを特徴とするレンズモジュールの製造方法。
【請求項13】
光路を光軸方向に対して折り曲げる光路折り曲げ素子を備えるレンズモジュールであって、
基板に複数のレンズが形成されたレンズ基板から各レンズを切り分けることで形成された光学素子と、
前記光学素子の前記光軸方向に設置された光路折り曲げ素子と、
を含むことを特徴とするレンズモジュール。
【請求項14】
請求項13において、
前記光学素子の前記各レンズの周縁部に形成された少なくとも1つの貫通孔を前記光軸方向に貫通する軸部と、
前記光学素子の前記レンズの周縁部に対して前記光軸方向に厚みを付加するために設けられたスペーサを含み、
前記軸部は、前記スペーサによって厚みが付加された前記各レンズの周縁部に形成された前記少なくとも1つの貫通孔を前記光軸方向に貫通することを特徴とするレンズモジュール。
【請求項15】
請求項13又は14において、
前記光路折り曲げ素子に対して前記光軸方向に移動可能な少なくとも1つのレンズユニットを含むことを特徴とするレンズモジュール。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれかに記載のレンズモジュールと、
前記レンズモジュールにて結像された光を電気信号に変換する撮像素子と、
を含むことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項17】
請求項16に記載のカメラモジュールを含む電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−186135(P2010−186135A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31394(P2009−31394)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】