説明

レンズ系、特に携帯電話のためのレンズ系、デジタル式のカメラモジュールおよびレンズ

【課題】特に、携帯電話のデジタル式のカメラモジュールのために用いられ、僅かな所要面積しか要せず、安価であり、更に、高い光学的性能を有するレンズ系、デジタル式のカメラモジュールおよびレンズを提供することにある。
【解決手段】第1のレンズ(9)は、物体に向いた第1の面(11)と、第2のレンズ(10)に向いた第2の面(12)とを有する。第2のレンズ(10)の第1の面(13)は、第2のレンズ(10)の第1の面(13)の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第1の領域が、凹面状に形成されている。第2のレンズ(10)の第2の面(14)は、第2のレンズ(10)の第2の面(14)の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第2の領域が、平面状に形成されている。カメラモジュールでは、第2のレンズ(10)の第2の面(14)は、画像検出ユニット(16,17)の方向に向けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話(ハンディ)に設けられている特に複数のデジタル式のカメラモジュールに適したレンズ系、デジタル式のカメラモジュールおよびレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯可能な装置(例えばデジタル式のカメラ、ハンドヘルドコンピュータ等)に設けられるデジタル式のカメラモジュールは、1つまたは複数のレンズによって画像をCCDまたはCMOSのような画像検出ユニットに写し出す対物レンズを用いる。このようなデジタル式のカメラモジュールは、最近、特に携帯電話(ハンディ)にも設けられる。デジタル式のカメラモジュールまたはカメラモジュールのレンズは、多くの条件を満たさねばならない。例えば、デジタル式のカメラモジュールが非常に僅かな所要面積しか必要とせず、これに従って小型に形成されていなければならないことは、特に重要である。従って、対物レンズのために用いられるレンズの数が出来る限り僅かであることが意図される。これらのレンズが大量製品であるので、デジタル式のカメラモジュールが極めて安価に製造されることができることも重要である。それ故に、デジタル式のカメラモジュールは、僅かな要素で形成されることができるほうがよい。更に、僅かな要素は安価であるほうがよい。実際また、デジタル式のカメラモジュールは、高い光学性能を保証するレンズを有するほうがよい。
【0003】
特に携帯電話(ハンディ)に用いられるデジタル式のカメラモジュールは、特許文献1から公知である。公知のデジタル式のカメラモジュールは、2つのレンズからなるレンズ系を有する。プラスチックからなる第1のレンズは、物体に向いた第1の面と、プラスチックからなる第2のレンズに向いた第2の面とを有する。第2のレンズも、同様に、第1のレンズの第2の面に向いている第1の面と、画像検出ユニットに向いた第2の面とを有する。第2のレンズの2つの面は非球面状に形成されており、更に、第2のレンズの第2の面はなお平面状に(平らに)形成されている。公知のデジタル式のカメラモジュールは、僅かな所要面積しか要しないが、このカメラモジュールが、プラスチックレンズの故に、制限された光学的性能しか有しないという欠点を有する。
【0004】
特許文献2からも、2つのレンズからなるレンズ系を有するデジタル式のカメラモジュールが公知である。2つのレンズのうちの1は、レンズ系の光学的性能を非球面収差および色収差の補正によって改善する回析光学素子(DOE)を有する。とはいえ、DOEの使用によっても、上記の全条件を同時に満たすことは不可能である。
【特許文献1】米国特許公開第2004/0223235A1号公報
【特許文献2】米国特許第5,978,159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特に、携帯電話のデジタル式のカメラモジュールのために用いられ、僅かな所要面積しか要せず、安価であり、更に、高い光学的性能を有するレンズ系、デジタル式のカメラモジュールおよびレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴を有するレンズ系によって解決される。本発明に係わるデジタル式のカメラモジュールは、請求項25の特徴によって特徴づけられる。更に、本発明に係わるレンズは、請求項28の特徴によって特徴づけられる。
【0007】
本発明に係わるレンズ系は、第1のレンズおよび第2のレンズを有する。第1のレンズは、物体に向いた第1の面と、第2のレンズに向いた第2の面とを有する。第2のレンズは、第1のレンズの第2の面に向いた第1の面と、画像検出ユニットに向いた第2の面とを有する。第2のレンズの両面は非球面状に形成されている。更に、第2のレンズの第1の面は、第2のレンズの第1の面の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第1の領域で、凹面状に形成されている。換言すれば、第2のレンズの第1の面は、第2のレンズの第1の面の直径の、最大限3分の2(またはそれとは僅かに異なった)の寸法を有する領域で、凹面状に形成されている。これに対し、第2のレンズの第2の面は、第2のレンズの第2の面の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第2の領域で、平面状に形成されている。換言すれば、第2のレンズの第2の面は、第2のレンズの第2の面の直径の、最大限3分の2(またはそれとは僅かに異なった)の寸法を有する領域で、平面状に形成されている。更に、本発明に係わるレンズ系は回析光学素子(以下、常にDOEという)を有する。
【0008】
面(Seite)は、前にもかつ以下にも、常に面(Flaeche)を意味する。
【0009】
本発明に係わるレンズ系は、このレンズ系が僅かな所要面積しか必要でなく、同時に、高い光学的性能を用いるという利点を有する。更に、個々のレンズを、安価な材料、特にプラスチックから製造することが可能である。本発明に係わるレンズ系は、特に、携帯電話(ハンディ)に設けられているデジタル式のカメラモジュールでの使用のために、適している。
【0010】
本発明の特別な実施の形態では、第2のレンズの第1の面が第1の領域で実質的に球面状・凹面状に形成されていることが提案されている。
【0011】
本発明の他の実施の形態では、第2のレンズの第1の面が凹面状にまたは実質的に球面状・凹面状に形成されてなる第1の領域は、第2のレンズの第1の面の直径の、実質的に最大限半分(半径)の寸法を有する。第1の領域が、第2のレンズの第1の面の直径の、実質的に最大限5分の2に対応してなる実施の形態は特に好ましい。本発明の他の実施の形態では、第1の領域は、第2のレンズの第1の面の直径の、実質的に最大限3分の1に対応する。
【0012】
本発明の他の好ましい実施の形態では、第2のレンズの第2の面が平面状に形成されている第2の領域は、第2のレンズの第2の面の直径の、実質的に最大限半分(半径)の寸法を有する。第2の領域が、第2のレンズの第2の面の直径の、実質的に最大限5分の2に対応することは好ましい。第2の領域が、第2のレンズの第2の面の直径の、実質的に最大限3分の1に対応することは、特に好ましい。
【0013】
第2のレンズの第1の面が凹面状にまたは実質的に球面状・凹面状に形成されてなる第1の領域が、実質的に2.55mmの寸法を有することが提案されていることは好ましい。その代わりにまたは追加的に、第2のレンズの第2の面が平面状に形成されてなる第2の領域が、実質的に2.3mmの寸法を有することが提案されている。
【0014】
発明の他の実施の形態では、第2のレンズの第1の面が凹面状にまたは実質的に球面状・凹面状に形成されてなる第1の領域と、第2のレンズの第2の面が平面状に形成されてなる第2の領域とが、レンズ系の光軸を中心として対称的に設けられていることが利点であることが明らかになった。
【0015】
第2のレンズの第2の面を同様に凸面状に形成することが、特に好都合であることが明らかになった。従って、第2の面は平面状の形から凸面状の形へ移行する。更に、第1のレンズの第1の面が凸面状に形成されていることは好ましい。これに対し、第1のレンズの第2の面が凹面状に形成されていることは好ましい。
【0016】
第1のレンズおよび第2のレンズはガラスから形成されていてもよい。しかし、2つのレンズのうち少なくとも1をプラスチックから製造することが提案されている。これらの材料は特に軽くかつ安価である。好ましい実施の形態では、プラスチックとしては、ポリカーボネートおよび/またはゼオネックス(登録商標)が用いられる。例えば、第1のレンズがゼオネックス(登録商標)から形成されており、他方、第2のレンズはポリカーボネートから形成されている。
【0017】
本発明の他の実施の形態では、第1のレンズの第1の面または第2の面が非球面状に形成されてもいる。この代わりに、特に好ましい実施の形態では、第1のレンズの第1の面および第2の面を非球面状に形成することが提案されている。特別な実施の形態の第1のおよび第2のレンズの面の非球面状のデザインは、以下の式により生じる。
【数4】

【0018】
zはZ軸に対し平行な面からの距離であり、
cは面(CUY)の極における曲率であり、
kは円錐係数(K)であり、
但し、k=0は球を表わし、
−1<k<0は光軸上に主軸を有する楕円体(伸ばされた回転楕円面)を表わし、
k=−1は放物面を表わし、
k<−1は双曲面を表わし、
k=−e、但し、eは偏心であり、
k>0は平たくなった回転楕円面(非円錐領域)を表わし、面は短軸を中心として楕円を回転することによって形成される。
【0019】
k=e/(1−e)、但し、eは形成される楕円の偏心であり、
−A,B,C,D,E,F,G,H,Jは、4次の、6次の、8次の、10次の、12次の、14次の、16次の、18次のおよび20次の非球面係数であり、A=B=C=D=E=F=G=H=J=0は純粋の円錐面を表わし、
−h=x+yである。
【0020】
好ましい実施の形態の第1のおよび第2のレンズの複数の面は、以下の半径および非球面係数を有する。
【表3】

【0021】
第1のレンズの第1の面の非球面係数
K:0.138142
A:−0.362941E−02 B:0.141070E−03 C:−0.500044E−03 D:0.000000E+00
第1のレンズの第2の面の非球面係数
K:14.805015
A:−0.430389E−01 B:0.761216E−01 C:−0.258166E+00 D:0.363395E+00 E:−0.231421E+00
第2のレンズの第1の面の非球面係数
K:12.532823
A:−0.255452E−01 B:−0.129167E−01 C:0.315051E−01 D:−0.497153E−01 E:0.345714E−01 F:−0.101087E−01
第2のレンズの第2の面の非球面係数
K:−0.238656E57
A:−0.128992E−01 B:0.257544E−02 C:−0.116486E−02 D:0.176791E−03 E:−0.381907E−06 F:−0.294503E−05 G:0.250155E−06 H:0.303670E−08 J:−0.768736E−09
表1に記載した距離は、光軸上での個々の面同士の距離に対応する。例えば、第1のレンズの第1の面および第1のレンズの第2の面は、光軸上で、互いに1.59mm離れている。更に、第1のレンズの第2の面と、第2のレンズの第1の面との距離は、光軸上で、1.233mmである。第2のレンズの第1の面と、第2のレンズの第2の面との距離は、光軸上で、2.977mmである。換言すれば、光軸上での第1のレンズは、1.59mmの厚さを有する。これに対し、光軸上での第2のレンズは2.977mmを有する。
【0022】
本発明の他の実施の形態では、DOEは第1のレンズに設けられている。他の実施の形態は、第2のレンズにおけるDOEの設置を提案する。DOEが第1のレンズの第2の面に設けられることが特に好都合であることが明らかになった。DOEが位相ずれの以下の式によって算定される形を有することは好ましい。
【数5】

【0023】
但し、Φ(x)は位相関数、aはi次の位相係数、xは光軸に対し垂直な高さ、λは457.9nmの設計波長に対応し、係数は以下の通りに与えられている。
【0024】
a1:−1.1005E−02 a2:8.6289E−03 a3:−5.1338E−03 a4:1.0897E−03。
【0025】
本発明は、前記複数の特徴のうちの少なくとも1またはこれらの特徴のうち少なくとも2つの特徴の組合せを有するレンズ系を具備するデジタル式のカメラモジュールにも関する。更に、デジタル式のカメラモジュールは、画像検出ユニットを有する。第2のレンズの第2の面は画像検出ユニットの方向に向けられている。本発明に係わるこのようなデジタル式のカメラモジュールは、特に携帯電話(ハンディ)のために用いられている。画像検出ユニットがCCDまたはCMOSとして形成されていることは好ましい。更に、デジタル式のカメラモジュールの実施の形態では、画像検出ユニットと第2のレンズの第2の面との間にフィルタを設けることが提案されている。このフィルタが赤外線フィルタとして形成されていることは好ましい。
【0026】
本発明は、上記レンズ系に第2のレンズとして用いられることができるレンズにも関する。このレンズは、非球面状に形成されている第1の面および第2の面を有する。更に、第1の面は、第1の面の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第1の領域で、凹面状に、好ましくは実質的に球面状・凹面状に形成されている。更に、第2の面は、第2の面の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第2の領域で、平面状に形成されている。2つの面の非球面状のデザインは以下の式および表によって算定される。
【数6】

【表4】

【0027】
第1の面の非球面係数
K:12.532823
A:−0.255452E−01 B:−0.129167E−01 C:0.315051E−01 D:−0.497153E−01 E:0.345714E−01 F:−0.101087E−01
第2の面の非球面係数
K:−0.238656E57
A:−0.128992E−01 B:0.257544E−02 C:−0.116486E−02 D:0.176791E−03 E:−0.381907E−06 F:−0.294503E−05 G:0.250155E−06 H:0.303670E−08 J:−0.768736E−09
更に、このレンズは、第2のレンズの上記複数の特徴のうちの少なくとも1をも有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図面を参照して本発明の1つの実施の形態を詳述する。以下、レンズ系の例を挙げて本発明を説明する。このレンズ系は、携帯電話(ハンディ)のデジタル式のカメラモジュールに設けられている。レンズ系が、各々のデジタル式のカメラモジュールに、特に、デジタル式のカメラに、あるいは、デジタル式カメラモジュールを有するいわゆるハンドヘルドコンピュータにも適切であることを、はっきり指摘する。
【0029】
図1は、カバー部分2およびベース部分3を有する携帯電話1を示す。カバー部分2はベース部分3へ折り畳み可能である。カバー部分2にはディスプレー5が、ベース部分3には制御板4が設けられている。
【0030】
カバー部分2には、対物レンズ7を有するデジタル式のカメラモジュール6が設けられている。以下、デジタル式のカメラモジュール6と、レンズ系によって形成される対物レンズ7とを、図2および3を参照して説明する。
【0031】
図2および3はデジタル式のカメラモジュール6の略図を示す。2つの図は図示した光路の数によってのみ異なっている。レンズ系は、2つのレンズ、すなわち第1のレンズ9と、第2のレンズ10とからなる。双方のレンズは、レンズ系の光軸8を中心として対称的に設けられている。第1のレンズ9は、物体の方向に向いた第1の面11と、第2のレンズ10の第1の面13の方向に向いた面12とを有する。第1の面13に追加して、第2のレンズ10は、フィルタ(画像検出ユニット)16の方向に向いた第2の面14も有する。図示した実施の形態では、フィルタ16は、BK7という名称で販売される材料から形成されている。この材料は、一方では保護(カバーガラス)として、他方ではセンサ(画像検出ユニット)17のための赤外線フィルタとして用いられる。センサはフィルタ16の後方に設けられており、物体が写像されるCCDまたはCMOSの形に形成されている。フィルタ16は前記の材料または使用に限定されない。むしろ、如何なる所望のフィルタも用いられる。センサ17は携帯電話1の読み出しユニット(図示せず)に接続されている。読み出しユニットは、画像を、携帯電話1のディスプレー5に示す。
【0032】
第1のレンズ9および第2のレンズ10は、プラスチックから形成されている。ここに示した実施の形態では、第1のレンズ9はゼオネックス(登録商標)から形成されており、第2のレンズ10はポリカーボネートから形成されている。本発明は、前記2つのプラスチックに限定されない。むしろ、レンズの形成のために適切である他のプラスチックも使用可能である。
【0033】
以下の表2はデジタル式のカメラモジュールの個々の素子の特性を示す。レンズ系から形成される、カメラモジュールの対物レンズは、6.41mmの焦点距離および2w=62°の画角を有する。
【表5】

【0034】
表2では、略語cxは「凸面状の」を意味し、略語ccは「凹面状の」を意味する。以下、表2に示したデジタル式のカメラモジュール6の特性を詳述する。
【0035】
第1のレンズ9の第1の面11は、1.8501の半径をもって凸面状に形成されている。これに対し、第1のレンズ9の第2の面12は3.8205の半径をもって凹面状に形成されている。第1のレンズ9の第1の面11と第2の面12との間には、1.59mmの距離がある。この距離は光軸8に沿って算定された。第1のレンズ9の第2の面12は、光軸8上で、第2のレンズ10の第1の面13からの1.233mmの距離を有する。後者の面は4.885の半径をもって凹面状に形成されている。第2のレンズ10の第2の面14は、光軸8上で、第1の面13から2.977mmの間隔を有し、更に、105.434の半径をもって凸面状に形成されている。フィルタ16の第1の面19は、光軸8上で第2のレンズ10の第2の面14から0.4mmの間隔をあけて設けられている。フィルタは0.4mmの厚みを有する。フィルタ16の第2の面20は、センサ17から0.4mmの間隔をあけて設けられている。
【0036】
個々の間隔を合算すると、デジタル式のカメラモジュール6の全長は7mmとなる。この全長は、特に、図1に示した携帯電話1のような携帯電話での使用に、適切である。
【0037】
表2に記載された半径「oo」は、対応の面が平面状に形成されていることを表わす。
【0038】
第1のレンズ9の第1の面11と、第1のレンズ9の第2の面12と、第2のレンズ10の第1の面13と、第2のレンズ10の第2の面14とは非球面状に形成されている。非球面状のデザインは、既に上記の式から生じる。
【数7】

【0039】
式の変数は既に上述された。詳しくは、個々の面の非球面係数は以下の通りである。
【0040】
第1のレンズ9の第1の面11の非球面係数
K:0.138142
A:−0.362941E−02 B:0.141070E−03 C:−0.500044E−03 D:0.000000E+00
第1のレンズ9の第2の面12の非球面係数
K:14.805015
A:−0.430389E−01 B:0.761216E−01 C:−0.258166E+00 D:0.363395E+00 E:−0.231421E+00
第2のレンズ10の第1の面13の非球面係数
K:12.532823
A:−0.255452E−01 B:−0.129167E−01 C:0.315051E−01 D:−0.497153E−01 E:0.345714E−01 F:−0.101087E−01
第2のレンズ10の第2の面14の非球面係数
K:−0.238656E57
A:−0.128992E−01 B:0.257544E−02 C:−0.11648E−02 D:0.176791E−03 E:−0.381907E−06 F:−0.294503E−05 G:0.250155E−06 H:0.303670E−08 J:−0.768736E−09
従って、第2のレンズ10の第2の面14は、光軸8の回りに、平面状の形15を有する。この形は、第2のレンズ10の縁部の付近で、凸面状の形に移行する。
【0041】
第1のレンズ9の第2の面12には、DOE18も設けられている。このDOE18は、既に上述した以下の式から算定される。
【数8】

【0042】
変数は既に上で説明した。設計波長は457.9nmに対応し、係数は以下の通りに与えられている。
【0043】
a1:−1.1005E−02 a2:8.6289E−03 a3:−5.1338E−03 a4:1.0897E−03
DOEによって、球面収差および色収差の十分な補正が可能である。
【0044】
本発明の他の実施の形態は図4に示されている。同一の参照符号は、既に上述の如く、同一の部材を示す。この図が、DOE18が第2のレンズ10の第1の面13にも設けられることができることを明示すること、が意図される。
【0045】
本発明に係わる前記レンズ系は、このレンズ系が僅かな所要面積しか必要でなく、同時に、高い光学的性能を用いるという利点を有する。更に、個々のレンズを、安価な材料、特にプラスチックから製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】デジタル式のカメラモジュールを有する携帯電話(ハンディ)の正面図および背面図を示す。
【図2】レンズ系を有するカメラモジュールの略図を示す。
【図3】図2に示したデジタル式のカメラモジュールの他の略図を示す。但し、光路が描き込まれている。
【図4】デジタル式のカメラモジュールの他の実施の形態の略図を示す。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯電話
2 カバー部
3 ベース部
4 制御板
5 表示部
6 デジタル式のカメラモジュール
7 対物レンズ(レンズ系)
8 光軸
9 第1のレンズ
10 第2のレンズ
11 第1のレンズの第1の面
12 第1のレンズの第2の面
13 第2のレンズの第1の面
14 第2のレンズの第2の面
15 平面状の部分
16 フィルタ、画像検出ユニット
17 センサ、画像検出ユニット
18 DOE
19 フィルタの第1の面
20 フィルタの第2の面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズ(9)および第2のレンズ(10)を具備し、物体を画像検出ユニット(16,17)に写し出すためのレンズ系(7)であって、
前記第1のレンズ(9)は、物体に向いた第1の面(11)と、前記第2のレンズ(10)に向いた第2の面(12)とを有し、
前記第2のレンズ(10)は、前記第1のレンズ(9)の前記第2の面(12)に向いた第1の面(13)と、画像検出ユニット(16,17)に向いた第2の面(14)とを有し、前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)および前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)は非球面状に形成されており、前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)は、この第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第1の領域が、凹面状に形成されており、前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)は、この第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第2の領域が、平面状に形成されており、また、
回析光学素子(18)を更に具備するレンズ系(7)。
【請求項2】
前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)は、前記第1の領域で、実質的に球面状の凹面状に形成されている、請求項1に記載のレンズ系(7)。
【請求項3】
前記第1の領域は、前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)の直径の、実質的に最大限半分(半径)の寸法を有する、請求項1または2に記載のレンズ系(7)。
【請求項4】
前記第1の領域は、前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)の直径の、実質的に最大限5分の2に対応する、請求項3に記載のレンズ系(7)。
【請求項5】
前記第1の領域は、前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)の直径の、実質的に最大限3分の1に対応する、請求項4に記載のレンズ系(7)。
【請求項6】
前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)で平面状に形成されている前記第2の領域は、この第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)の直径の、実質的に最大限半分(半径)の寸法を有する請求項1ないし5のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項7】
前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)で平面状に形成されている前記第2の領域は、前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)の直径の、実質的に最大限5分の2に対応する、請求項6に記載のレンズ系(7)。
【請求項8】
前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)で平面状に形成されている前記第2の領域は、前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)の直径の、実質的に最大限3分の1に対応する、請求項7に記載のレンズ系(7)。
【請求項9】
前記第1の領域は、実質的に2.55mmの寸法を有する、請求項1ないし8のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項10】
前記第2の領域は実質的に2.3mmの寸法を有する、請求項1ないし9のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項11】
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記レンズ系(7)の光軸(8)を中心として対称的に設けられている、請求項1ないし10のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項12】
前記第1のレンズ(9)の前記第1の面(11)は凸面状に形成されている、請求項1ないし11のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項13】
前記第1のレンズ(9)の前記第2の面(12)は凹面状に形成されている、請求項1ないし12のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項14】
前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)は凸面状に形成されている、請求項1ないし13のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項15】
前記第1のレンズ(9)と前記第2のレンズ(10)との少なくとも一方は、ガラスまたはプラスチックから形成されている、請求項1ないし14のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項16】
プラスチックとしてはポリカーボネートまたはゼオネックス(登録商標)が用いられる、請求項15に記載のレンズ系(7)。
【請求項17】
前記第1のレンズ(9)の前記第1または前記2の面(11,12)は、非球面状に形成されている、請求項1ないし16のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項18】
前記第1のレンズ(9)の前記第1の面(11)および前記第1のレンズ(9)の前記第2の面(12)は、非球面状に形成されている、請求項17に記載のレンズ系(7)。
【請求項19】
前記第1のレンズ(9)および前記第2のレンズ(10)の前記第1のおよび第2の面(11,12,13,14)の非球面状のデザインは、以下の式および以下の表に従って生じる、請求項17または18に記載のレンズ系(7)。
【数1】

【表1】

第1のレンズ(9)の第1の面(11)の非球面係数
K:0.138142
A:−0.362941E−02 B:0.141070E−03 C:−0.500044E−03 D:0.000000E+00
第1のレンズ(9)の第2の面(12)の非球面係数
K:14.805015
A:−0.430389E−01 B:0.761216E−01 C:−0.258166E+00 D:0.363395E+00 E:−0.231421E+00
第2のレンズ(10)の第1の面(13)の非球面係数
K:12.532823
A:−0.255452E−01 B:−0.129167E−01 C:0.315051E−01 D:−0.497153E−01 E:0.345714E−01 F:−0.101087E−01
第2のレンズ(10)の第2の面(14)の非球面係数
K:−0.238656E57
A:−0.128992E−01 B:0.257544E−02 C:−0.116486E−02 D:0.176791E−03 E:−0.381907E−06 F:−0.294503E−05 G:0.250155E−06 H:0.303670E−08 J:−0.768736E−09
【請求項20】
前記第1のレンズ(9)に、前記回析光学素子が設けられている、請求項1ないし19のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項21】
前記第2のレンズ(10)に、前記回析光学素子が設けられている、請求項1ないし20のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【請求項22】
前記第1のレンズ(9)の前記第2の面(12)は前記回析光学素子(18)を有する、請求項20に記載のレンズ系(7)。
【請求項23】
前記第2のレンズ(10)の前記第1の面(13)は前記回析光学素子(18)を有する、請求項21に記載のレンズ系(7)。
【請求項24】
前記回析光学素子(18)は以下の式に基づいて算定される、請求項1ないし23のいずれか1に記載のレンズ系(7)。
【数2】

但し、Φ(x)は位相関数、aはi次の位相係数、xは光軸に対し垂直な高さ、λは457.9nmの設計波長に対応し、係数は以下の通りに与えられている。
a1:−1.1005E−02 a2:8.6289E−03 a3:−5.1338E−03 a4:1.0897E−03
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1に記載のレンズ系(7)および画像検出ユニット(16,17)を有するデジタル式のカメラモジュール(6)であって、前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)は、前記画像検出ユニット(16,17)の方向に向けられている。
【請求項26】
前記画像検出ユニット(17)は、CCDまたはCMOSを有する、請求項25に記載のデジタル式のカメラモジュール(6)。
【請求項27】
前記画像検出ユニット(17)と、前記第2のレンズ(10)の前記第2の面(14)との間に、フィルタ(16)が設けられている、請求項25または26に記載のデジタル式のカメラモジュール(6)。
【請求項28】
第1の面(13)および第2の面(14)を有し、レンズ系(7)のための、特に、請求項1ないし24のいずれか1に記載のレンズ系(7)のためのレンズ(10)であって、前記第1の面(13)および前記第2の面(14)は非球面状に形成されており、前記第1の面(13)は、前記第1の面(13)の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第1の領域で、凹面状に形成されており、前記第2の面(14)は、前記第2の面(14)の直径の、実質的に最大限3分の2に対応する第2の領域で、平面状に形成されており、前記第1のおよび第2の面(13,14)の非球面状のデザインは以下の式および表によって算定される。
【数3】

【表2】

第1の面(13)の非球面係数
K:12.532823
A:−0.255452E−01 B:−0.129167E−01 C:0.315051E−01 D:−0.497153E−01 E:0.345714E−01 F:−0.101087E−01
第2の面(14)の非球面係数
K:−0.238656E57
A:−0.128992E−01 B:0.257544E−02 C:−0.116486E−02 D:0.176791E−03 E:−0.381907E−06 F:−0.294503E−05 G:0.250155E−06 H:0.303670E−08 J:−0.768736E−09
【請求項29】
前記レンズ(10)の前記第1の面(13)は、前記第1の領域で、実質的に球面状の凹面状に形成されている、請求項28に記載のレンズ(10)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−235637(P2006−235637A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50703(P2006−50703)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(504284168)カールツァイス アーゲー (15)
【出願人】(597141922)カール ツァイス イェナ ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】