説明

レンズ鏡胴並びに画像投影装置

【課題】変倍に伴って光軸方向に移動する可変絞りを有するズーム光学系であっても、周辺部材の形状が複雑化せず、簡易な構成で絞りを駆動するようにしたレンズ鏡胴を得る。
【解決手段】複数のレンズ群のうち所定のレンズ群を移動させて変倍を行う変倍光学系と、変倍時に光軸方向に移動する絞り部材とを有し、絞り部材は、絞り部材を保持する枠部材に植設されたカム案内ピンが、カム部材及び直進案内部材により案内されて光軸方向に移動するよう構成されたレンズ鏡胴において、カム案内ピンの少なくとも1つには貫通穴が形成され、絞り部材を動作させるための部材が貫通穴を貫通しているレンズ鏡胴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍に対応して絞りの位置が移動する変倍光学系を内包し、簡易な構成で絞り値を変更可能とした、特に画像投影装置に用いるに好適なレンズ鏡胴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像投影装置として、デジタル・マイクロミラー・デバイス等の反射型画像表示素子を備え、表示素子に表示された画像を投影光学系によりスクリーン上に拡大投影する画像投影装置(以下、プロジェクタとも称す)が知られている。
【0003】
家庭用のホームシアター用プロジェクタにおいては、投影像の明るさやコントラストを使用する環境に合わせて変更できるよう、電動の可変絞りが内蔵され、照射光量を変化させるものがある。また、近年では、シネマ用などの大型の高輝度プロジェクタにおいても可変絞りを内蔵し、照射光量を変化させるようにしたものがある。
【0004】
従来より、ズーム光学系の内部に配置され、変倍に伴って光軸方向に移動する可変絞りを動作させるよう構成したものとして、レンズ鏡胴内部で光軸方向に沿って、本体側の絞り駆動部材の動きを中間運動伝達部材を介して絞開閉環に伝達するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−119367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような構成では、鏡胴内部で中間運動伝達部材が動作するためのスペースが必要となり、干渉を避けるために、近傍のレンズを保持している鏡枠等の形状が複雑になったり、部品点数が増加する問題がある。更に、光軸方向の長い距離を連結させる必要があり、部材の撓み等により動作が不安定となる恐れがある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、変倍に伴って光軸方向に移動する可変絞りを有するズーム光学系であっても、周辺部材の形状が複雑化せず、簡易な構成で絞りを駆動するようにしたレンズ鏡胴を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0008】
1.複数のレンズ群のうち所定のレンズ群を移動させて変倍を行う変倍光学系と、該変倍光学系中に配置され変倍時に光軸方向に移動する絞り部材とを有し、該絞り部材は該絞り部材を保持する枠部材に植設されたカム案内ピンが、該カム案内ピンに係合するカム部材及び直進案内部材により案内されて光軸方向に移動するよう構成されたレンズ鏡胴において、前記カム案内ピンの少なくとも1つに貫通穴が形成され、前記絞り部材を動作させるための部材が前記貫通穴を貫通していることを特徴とするレンズ鏡胴。
【0009】
2.前記絞り部材を動作させるための部材は、前記貫通穴内を光軸直交方向に移動するものであることを特徴とする1に記載のレンズ鏡胴。
【0010】
3.前記絞り部材を動作させるための部材は、前記貫通穴内で回転するものであることを特徴とする1に記載のレンズ鏡胴。
【0011】
4.前記絞り部材を動作させるための部材は、前記レンズ鏡胴内部に配置された絞り駆動用アクチュエータへの給電用の導線であることを特徴とする1に記載のレンズ鏡胴。
【0012】
5.1〜4のいずれかに記載のレンズ鏡胴を備えたことを特徴とする画像投影装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、変倍に伴って光軸方向に移動する可変絞りを有するズーム光学系であっても、周辺部材の形状が複雑化せず、簡易な構成で絞りを駆動可能としたレンズ鏡胴を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る画像投影装置の一例の全体構成を示す概略図である。同図(a)は水平断面を示し、同図(b)は同図(a)に示す投影レンズの光軸Oを含む部分的な垂直断面を示している。
【0016】
同図に示す画像投影装置100は、照明系1と、光路分離プリズム2と、色合成プリズム6と、3つのデジタル・マイクロミラー・デバイス(以下、DMDと称す)3R、3G、3Bと、投影レンズである変倍光学系40とを備えている。
【0017】
照明系1は、白色光を発光する光源11と、回転楕円面鏡であるリフレクター12と、平行変換レンズ13と、ミラー14と、コンデンサーレンズ15からなる。照明系1において、光源11からの光は直接平行変換レンズ13に入射しここで平行光に変換される。この平行光は、さらにミラー14で反射されてコンデンサーレンズ15で集光され、光路分離プリズム2に入射する。
【0018】
光路分離プリズム2は、空気層を介して面21bと面22aが対向するように配されている2つのプリズムブロック21、22からなる。このような構成により、プリズムブロック21の面21aから光路分離プリズム2に入射する照明光は、面21bで全反射され、色合成プリズム6に入射する。
【0019】
色合成プリズム6は、3つのプリズム61、62、63からなる。プリズム61は面61aが薄い空気層を介してプリズム62の面62aと対向するように配されている。プリズム63は面63aが薄い空気層を介してプリズム62の面62bと対向するように配されている。面61aは、青色(B)の光のみを反射するダイクロイック膜が蒸着されたダイクロイック面である。面62bは、赤色(R)の光のみを反射するダイクロイック膜が蒸着されたダイクロイック面である。
【0020】
上記の色合成プリズム6の構成により、光路分離プリズム2からの白色光のうち、Bの光は面61aで反射され、面61bで全反射された後対応するDMD3Bに導かれる。Rの光は、面62bで反射され、面62aで全反射された後対応するDMD3Rに導かれる。Gの光は、いずれの面でも反射されることなく色合成プリズム6を透過し、対応するDMD3Gに導かれる。
【0021】
DMD3R、3G、3Bは、基板上に極めて多数のミラー素子が配列されたミラー面を備えてなり、このミラー面を構成するミラー素子の反射方向を各々独立して二方向(法線を挟んで約±12度)に切り替え得るように構成されている。この反射方向の切り替えは、上記ミラー素子を画素としてDMD3R、3G、3Bに入力される映像信号のオンオフ制御により行われる。各DMD3R、3G、3Bのミラー面で反射された光は、再び色合成プリズム6に入射する。
【0022】
色合成プリズム6内において、DMD3Bからの反射光は、面61b、面61aで反射され、DMD3Rからの反射光は面62a、面62bで反射され、DMD3Gからの反射光はいずれの面でも反射されることなくそのまま透過されることによって、各色の光が合成される。
【0023】
以下、DMD3R、3G、3Bのミラー面からの反射光について説明する。説明をわかりやすくするために、DMD3Gを代表させて同図(a)に基づいて説明する。同図(a)においては、DMD3Gのミラー面を形成する素子のうち二つのミラー素子3a、3bを模式的に図示する。ミラー素子3aは対応する画素信号がオンであるオン状態にあり、ミラー素子3bは対応する画素信号がオフであるオフ状態にあるものとする。
【0024】
DMD3Gのミラー面への光入射は、照明系1から光路分離プリズム2、色合成プリズム6を介して行われるが、その際、投影レンズ4の光軸Oと所定角度なす方向からミラー面へ光が入射される。各ミラー素子の反射方向は、オン状態のときには変倍光学系40の光軸O方向(ミラー素子3aからの反射光を参照)、オフ状態のときには変倍光学系40に入射しないようなオン状態のときとは異なる方向(ミラー素子3bからの反射光を参照)である。以下、オン状態のミラー素子からの反射光をオン光、オフ状態のミラー素子からの反射光をオフ光ということにする。
【0025】
Gのオン光、オフ光には、面62bにおいてそれぞれRのオン光、オフ光が合成され、面61aにおいてそれぞれBのオン光、オフ光の光が合成される。上記の各DMD3R、3G、3Bのミラー面からの反射光のうち、信号光(像光)となるオン光は、色分離合成プリズム6で合成された後、光路分離プリズム2を透過し、投影レンズである変倍光学系40により前方のスクリーン上に投影される。変倍光学系40は、複数のレンズにより構成されている(同図(a)においては、最前部及び最後部のレンズ面のみを示す)。
【0026】
図2は、本実施の形態に係るレンズ鏡胴に内包される変倍光学系40の一例を示す断面図である。同図(a)は光軸Oの上側にテレ端(長焦点端)時、下側にワイド端(短焦点端)時のレンズ位置を示した断面図であり、同図(b)は各レンズ群の変倍時の移動線図である。
【0027】
同図(a)に示す変倍光学系40は、16枚構成のレンズであり、プリズムブロック22の前方に配置されている。
【0028】
より詳しくは、変倍光学系40は、スクリーン側よりレンズL1〜L5で構成された負のパワーを有する固定レンズ群である第1レンズ群41、レンズL6で構成された正のパワーを有する移動レンズ群である第2レンズ群42、レンズL7〜L8で構成された負のパワーを有する固定レンズ群である第3レンズ群43、レンズL9で構成された正のパワーを有する移動レンズ群である第4レンズ群44、レンズL10〜L14で構成された負のパワーを有する移動レンズ群である第5レンズ群45、レンズL15〜L16で構成された正のパワーを有する固定レンズ群である第6レンズ群46で構成されている。
【0029】
第2レンズ群42、第4レンズ群44、第5レンズ群45は、同図(b)に示すように移動して変倍を行うようになっている。更に、第4レンズ群44であるレンズL9のスクリーン側には光量を変化させるための絞り部材81が配置され、第4レンズ群44と一体的に光軸O方向に移動するようになっている。
【0030】
(第1の実施の形態)
図3は、第1の実施の形態に係るレンズ鏡胴50の断面図である。
【0031】
同図に示すように、第1レンズ群41は第1レンズ群鏡枠71に保持され、固定胴82に固定されている。第2レンズ群42は、第2レンズ群鏡枠72に保持されており、第2レンズ群鏡枠72に植設されたカム案内ピン92は、固定胴82に形成された直進案内部82a及びカム筒83に形成されたカム溝と係合している。第3レンズ群43は、第3レンズ群鏡枠73に保持され、固定胴82に固定されている。第4レンズ群44は、第4レンズ群鏡枠74に保持されており、第4レンズ群鏡枠74に植設されたカム案内ピン94は、固定胴82に形成された直進案内部82a及びカム筒83と係合している。このカム案内ピン94には、貫通穴が形成されている。また、不図示であるが絞り部材が配置されている。第5レンズ群45は、第5レンズ群鏡枠75a及び75bに保持されており、第5レンズ群鏡枠75aに植設されたカム案内ピン95は、固定胴82に形成された直進案内部82a及びカム筒83と係合している。第6レンズ群46は、第6レンズ群鏡枠76に保持され、固定胴82に固定されている。
【0032】
これにより、カム筒83を回転させると、第2レンズ群42、第4レンズ群44、第5レンズ群45は、カム筒83に形成されたカム溝の形状に対応して、光軸O方向に移動させられ、変倍が行われるようになっている。なお、カム案内ピン92、94、95は各鏡枠それぞれの円周方向の3箇所に植設されている。
【0033】
更に固定胴82には、絞り操作ノブマウント84が組み付けられている。
【0034】
図4は、図3に示すレンズ鏡胴50の第3レンズ群43〜第6レンズ群46周辺の拡大断面図である。
【0035】
同図に示すように、絞り操作ノブマウント84にはノブ台座85が固定されており、絞り操作ノブ86がノブ台座85に支持され、軸周りに回転可能となされている。絞り操作ノブ86の先端にはネジ部86gが形成されている。絞り操作ノブ86のネジ部86gには、移動板88に形成されたネジ部88gが螺合しており、絞り操作ノブ86の回転により、移動板88は図示矢印方向に移動可能となされている。
【0036】
一方、第4レンズ群鏡枠74に植設されたカム案内ピン94に形成された貫通穴には、軸部材96が嵌合して貫通している。軸部材96の一方の端部は、図示の如く、移動板88と係合し、他方の端部は絞り部材駆動ラック97と係合している。
【0037】
この構成により、絞り操作ノブ86を回転させると、移動板88が図示矢印方向(光軸直交方向)に移動させられ、これに伴い、係合する軸部材96がカム案内ピン94の貫通穴内を光軸直交方向に移動し、軸部材96に係合する絞り部材駆動ラック97が光軸直交方向に移動する。この絞り部材駆動ラック97の移動により、不図示の絞り部材が移動して開口部を絞るようになっている。移動板88は、図示の如く光軸方向に長く形成され、第4レンズ群鏡枠74の移動範囲、即ちカム案内ピン94及び軸部材96の光軸方向の移動範囲において、係合が維持されるようになっている。
【0038】
図5は、図4に示すF−F線断面から見て、軸部材96、絞り部材駆動ラック97等を抜き出した模式図である。同図(a)は絞り部材81が開口部Kより退避した状態を示し、同図(b)は絞り部材81が開口部K内に移動し絞った状態を示している。
【0039】
同図に示すように、絞り部材81には歯車81gが一体的に形成されており、歯車81gは絞り部材駆動ラック97に形成されたラック歯車97Lと歯合している。歯車81g及び絞り部材81は、第4レンズ群鏡枠74に形成されたボス74bに軸支されている。
【0040】
同図(a)に示す状態から、図4に示す絞り操作ノブ86を回転させ、移動板88を光軸から遠ざかるよう移動させると、同図(b)に示すように、係合する軸部材96がカム案内ピン94の貫通穴内を図示矢印方向に移動し、軸部材96に係合する絞り部材駆動ラック97も図示矢印方向に移動する。この絞り部材駆動ラック97の移動により、ラック歯車97Lと歯合する歯車81gが回転させられ、絞り部材81は図示の如くボス74bを軸にして開口部K内に回動移動し、絞るようになっている。
【0041】
このように、カム案内ピン94に貫通穴を形成し、この貫通穴に絞り部材81を動作させるための部材である軸部材96を貫通させ、光軸直交方向に移動させることにより、絞り部材81を動作させるよう構成することで、周辺のレンズ及び鏡枠等の形状が複雑化せず、簡易な構成で安定した絞り駆動動作が可能なレンズ鏡胴を得ることができる。
【0042】
更に、本例のレンズ鏡胴をシネマ用の高輝度プロジェクタ等に適用する場合には、電動アクチュエータを内部に配置せずに絞りを可変できるため、プロジェクタ内部、特に光学系内部での温度上昇を抑制することもできる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係るレンズ鏡胴50の第3レンズ群43〜第6レンズ群46周辺の拡大断面図である。同図に示すレンズ鏡胴は説明の重複を避けるため同機能部材には同符号を付与し、第1の実施の形態に示したレンズ鏡胴とは異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
第2の実施の形態に係るレンズ鏡胴50は、第4レンズ群鏡枠74に植設されたカム案内ピン94の貫通穴内で、絞り部材を動作させるための部材を回転させることでレンズ鏡胴内の絞り部材を動作させるものの例である。
【0045】
同図に示すように、カム案内ピン94に形成された貫通穴には、絞り操作ノブ106の細軸部106sが貫通している。細軸部106の先端部にはネジ部106nが形成されている。このネジ部106nには、絞り部材駆動ラック107に形成されたネジ部107nが螺合しており、絞り操作ノブ106の回転により、絞り部材駆動ラック107は図示矢印方向に移動可能となされている。
【0046】
図7は、図6に示すF−F線断面から見て、絞り操作ノブ106、絞り部材駆動ラック107等を抜き出した模式図である。同図(a)は絞り部材81が開口部Kより退避した状態を示し、同図(b)は絞り部材81が開口部K内に移動し絞った状態を示している。
【0047】
同図に示すように、絞り部材81には歯車81gが一体的に形成されており、歯車81gは絞り部材駆動ラック107に形成されたラック歯車107Lと歯合している。歯車81g及び絞り部材81は、第4レンズ群鏡枠74に形成されたボス74bに軸支されている。
【0048】
同図(a)に示す状態から、絞り操作ノブ106を回転させ、螺合する絞り部材駆動ラック107を図示矢印方向に移動させる。この絞り部材駆動ラック107の移動により同図(b)に示すように、ラック歯車107Lと歯合する歯車81gが回転させられ、絞り部材81は図示の如くボス74bを軸にして開口部K内に回動移動し、絞るようになっている。
【0049】
このように、カム案内ピン94に貫通穴を形成し、この貫通穴に絞り部材81を動作させるための部材である絞り操作ノブ106の細軸部106sを貫通させ、該貫通穴内で回転させ、絞り部材81を動作させるよう構成することで、周辺のレンズ及び鏡枠等の形状が複雑化せず、簡易な構成で安定した絞りの駆動動作が可能なレンズ鏡胴を得ることができる。
【0050】
更に、本例のレンズ鏡胴をシネマ用の高輝度プロジェクタ等に適用する場合には、電動アクチュエータを内部に配置せずに絞りを可変できるため、プロジェクタ内部、特に光学系内部での温度上昇を抑制することもできる。
【0051】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、操作ノブを操作して絞り部材を動作させる構成で説明したが、操作ノブに相当する部材を、例えばステッピングモータ等のアクチュエータにより回転させるよう構成してもよいのは勿論である。この場合も、電動アクチュエータを鏡胴外部に配置することができ、プロジェクタ内部、特に光学系内部での温度上昇を抑制することができる。
【0052】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係るレンズ鏡胴50の第3レンズ群43〜第6レンズ群46周辺の拡大断面図である。同図に示すレンズ鏡胴は説明の重複を避けるため同機能部材には同符号を付与し、第2の実施の形態に示したレンズ鏡胴とは異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
第3の実施の形態に係るレンズ鏡胴50は、第4レンズ群鏡枠74に植設されたカム案内ピン94の貫通穴に、鏡胴内部に配置された絞り駆動用アクチュエータの導線を貫通させて給電することでレンズ鏡胴内の絞り部材を動作させるものの例である。
【0054】
同図に示すように、カム案内ピン94に形成された貫通穴には、導線116rが貫通している。内部にはモータ116が配置されている。2本の導線116rはモータ116に接続されている。モータ116の回転軸には、ピニオンギア117が組み付けられている。
【0055】
図9は、図8に示すF−F線断面から見て、モータ116、絞り部材81等を抜き出した模式図である。同図(a)は絞り部材81が開口部Kより退避した状態を示し、同図(b)は絞り部材81が開口部K内に移動し絞った状態を示している。
【0056】
同図に示すように、絞り部材81には歯車81gが一体的に形成されており、歯車81gは、モータ116に組み付けられたピニオンギア117と歯合している。歯車81g及び絞り部材81は、第4レンズ群鏡枠74に形成されたボス74bに軸支されている。
【0057】
同図(a)に示す状態から、ピニオンギア117を回転させることにより、同図(b)に示すように、歯車81gが回転させられ、絞り部材81は図示の如くボス74bを軸にして開口部K内に回動移動し、絞るようになっている。
【0058】
このように、カム案内ピン94に貫通穴を形成し、この貫通穴にレンズ鏡胴内部に配置された絞り駆動用アクチュエータへの給電用の導線を貫通させるよう構成することで、周辺のレンズ及び鏡枠等の形状が複雑化せず、簡易な構成で絞りの駆動が可能なレンズ鏡胴を得ることができる。
【0059】
なお、上記の実施の形態では、開口部K及び光軸Oに対し非対称に絞り部材が動作する例で説明したが、本発明はこれに限るものでなく、カメラ等に用いられるレンズ鏡胴にも適用できる。
【0060】
図10は、本発明を複数枚の絞り羽根を有する絞りユニットに適用した例を示す図である。レンズ鏡胴の構成は図4、図6に示すものと略同様で良いため省略する。
【0061】
図10において、歯車131gは絞り部材駆動ラック107に形成されたラック歯車107Lと歯合している。歯車131gは、不図示の鏡枠に形成されたボスに軸支されている。歯車131gは、絞り開閉リング125の外周に形成された歯車部125gと歯合している。絞り羽根121には軸支穴122が形成され、絞り羽根支持リング126に形成されたボスで軸支され回動可能に支持されている。また、絞り羽根121にはピン123が植設され、絞り開閉リング125に形成された溝部124に挿入されている。
【0062】
このような構成にして、絞り部材駆動ラック107の図示矢印方向の移動により、歯車131gを介して絞り開閉リング125が回転し、複数の絞り羽根121が軸支穴122を中心に回動し絞り動作をおこなう、虹彩絞りとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態に係る画像投影装置の一例の全体構成を示す概略図である。
【図2】本実施の形態に係るレンズ鏡胴に内包される変倍光学系の一例を示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るレンズ鏡胴の断面図である。
【図4】図3に示すレンズ鏡胴の第3レンズ群〜第6レンズ群周辺の拡大断面図である。
【図5】図4に示すF−F線断面から見て、軸部材、絞り部材駆動ラック等を抜き出した模式図である。
【図6】第2の実施の形態に係るレンズ鏡胴の第3レンズ群〜第6レンズ群周辺の拡大断面図である。
【図7】図6に示すF−F線断面から見て、絞り操作ノブ、絞り部材駆動ラック等を抜き出した模式図である。
【図8】第3の実施の形態に係るレンズ鏡胴の第3レンズ群〜第6レンズ群周辺の拡大断面図である。
【図9】図8に示すF−F線断面から見て、モータ、絞り部材等を抜き出した模式図である。
【図10】本発明を複数枚の絞り羽根を有する絞りユニットに適用した例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
41 第1レンズ群
42 第2レンズ群
43 第3レンズ群
44 第4レンズ群
45 第5レンズ群
46 第6レンズ群
50 レンズ鏡胴
71 第1レンズ群鏡枠
72 第2レンズ群鏡枠
73 第3レンズ群鏡枠
74 第4レンズ群鏡枠
75a、75b 第5レンズ群鏡枠
76 第6レンズ群鏡枠
82 固定胴
82a 直進案内部
83 カム筒
86、106 絞り操作ノブ
92、94、95 カム案内ピン
96 軸部材
97、107 絞り部材駆動ラック
81 絞り部材
81g 歯車
K 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズ群のうち所定のレンズ群を移動させて変倍を行う変倍光学系と、該変倍光学系中に配置され変倍時に光軸方向に移動する絞り部材とを有し、該絞り部材は該絞り部材を保持する枠部材に植設されたカム案内ピンが、該カム案内ピンに係合するカム部材及び直進案内部材により案内されて光軸方向に移動するよう構成されたレンズ鏡胴において、
前記カム案内ピンの少なくとも1つに貫通穴が形成され、前記絞り部材を動作させるための部材が前記貫通穴を貫通していることを特徴とするレンズ鏡胴。
【請求項2】
前記絞り部材を動作させるための部材は、前記貫通穴内を光軸直交方向に移動するものであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴。
【請求項3】
前記絞り部材を動作させるための部材は、前記貫通穴内で回転するものであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴。
【請求項4】
前記絞り部材を動作させるための部材は、前記レンズ鏡胴内部に配置された絞り駆動用アクチュエータへの給電用の導線であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を備えたことを特徴とする画像投影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−53410(P2009−53410A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219630(P2007−219630)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】