レーザアブレーション装置を用いて且つキャリブレーションステップの利用を通じて三次元表面を切除する方法、及び、その方法を実行する装置
本発明は、装置のキャリブレーションプレートを行うステップ(E1)であり、キャリブレーションプレートにおける複数の決定された点を照らすべく、検流ヘッドが、2つの軸に沿って、ある深さのところに位置するキャリブレーションプレートを照らし、一方で、カメラがそのキャリブレーションプレートを観察し、制御ユニットが、その深さのところにあるキャリブレーションプレートにおける複数の照らされた点のそれぞれの照明位置と、それら複数の照らされた点に関するカメラによって観察された位置との間の関係を構築し、複数回の、検流ヘッドによる照明、カメラによる観察、及び、制御ユニットによる関係の構築を可能にすべく、キャリブレーションステップ中に、そのキャリブレーションプレートが複数の深さのところに連続的に位置付けられ、制御ユニットが対応関係を構築するところのステップ(E1)と、キャリブレーションステップ(E1)に基づいて三角測量によりその切除される表面の三次元形状を決定するステップ(E2)と、三次元表面を切除するステップ(E3)であり、制御ユニットが、平面を定める複数の軸と深さに沿って、その切除される表面にビームを集中させ且つ方向付けるために、その表面の決定された形状に応じて検流ヘッドを制御するところのステップ(E3)と、を有することを特徴とする方法に関する。また、本発明は、上述の方法を実行するための装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレーション装置を用いて三次元表面を切除するプロセスに関する。
【0002】
その装置は、
−パルスレーザビームを生成するレーザ源と、
−深さzに沿ってレーザビームの焦点を変えるレンズと、
−平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、切除される表面にそのビームを向ける検流ヘッドと、
−球面ではなく平面にそのレーザビームを広げるfθレンズと、
−切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラと、
−少なくとも検流ヘッド、レンズ、及びカメラに接続される制御ユニットと、
を含む。
【0003】
本発明はまた、上述のプロセスを実行する装置に関する。
【背景技術】
【0004】
図1に示すように、例えば、建物の外観の修復のため、或いは、核施設の除染のために表面1のアブレーションをもたらす既知の解決策は、レーザアブレーションの使用で構成される。
【0005】
レーザアブレーションは、干渉性の、集束される、パルス状レーザから生じる光と除去対象の物質(例えば、粉塵、塗料、又は汚染物質である。)との相互作用を用いたその物質の薄い層の除去から成る。
【0006】
この層の表面の迅速な加熱は、その物質の第1層の蒸発ひいては噴出をもたらす。
【0007】
既知のレーザアブレーション装置2は、通常、パルスレーザビーム4を生成するために提供されるレーザ源3と、レーザ源3の下流に置かれる光学モジュール6へのそのビームの伝達手段とを含む。また、それは、レンズ5と、検流ヘッド7と、そのパルスビームを集中させ、X軸及びY軸に沿って、切除される表面1にそのパルスビームを向けるfθレンズ8とを備える。装置2はまた、切除される物質の排出のための出口13及び排出管12を含む。
【0008】
レンズ5の出口及び検流ヘッド7の出口のところで、焦点の座標は、球面上に位置付けられる。これは、そのビームの制御を複雑にする場合がある。この困難を克服するために、fθレンズ8が、その焦点を平面上に位置付けるために、そのレーザビームの経路上に配置される。
【0009】
このことは、その層のアブレーション閾値を実現するのに十分な量のエネルギをその層に与えることを意味する。しかしながら、このことは、その層に当たるレーザビームによる唯一の効果ではない。実際には、レーザ衝撃の瞬間には、衝撃波が創出され、その衝撃波は、その衝撃波が適用される表面1の物質の分離に貢献する。
【0010】
図2は、ビーム4の典型的な形態を概略的に示す。
【0011】
物質のアブレーションを引き起こすために必要な流量密度すなわちエネルギ密度(J/m2)は、その物質の性質、切除される厚さ、及び、その表面の構成に依存する。
【0012】
試験は、1〜50J/cm2の流量が必要とされることを示す。結果として、伝えられるエネルギの量は、ビーム4が輸送するエネルギの量、及び、処理される物質と相互作用するこのビームの断面に依存する。そのビームの最小断面は、焦点距離Lのところに位置付けられる。焦点距離Lは、所望のアブレーション点が位置付けられるところである(図1も参照。)。それは、例えば、レンズ8から約50cmのところである。
【0013】
図2で示すように、ビーム4は、表面の平面性の問題(planeity defect)から自身を解放しながらの表面での作業のために、レイリー距離に相当する、すなわち約1cmの、かなりの焦点深度(depth of filed)Iを有する。それ故に、その装置は、二次元表面によく適している。
【0014】
目的が三次元表面1でのアブレーションを実行することである場合、図3に示すように、可変焦点レンズ5が、焦点距離Lを補正するために、レーザ源3にリンクされなければならない。
【0015】
また、図4に示すように、制御ユニット9を用いて焦点距離Lを動的に変更することは、三次元表面1におけるアブレーション距離の制御を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/173792号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/144760号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/220349号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、既知の先行する技術は、複数の不利点を有する。
【0018】
三次元表面は、その装置によって考慮され得るように、制御ユニット9内に事前に記憶されなければならない。
【0019】
事前に知らされておらず、また、例えばセオドライト、干渉計、コノスコープセンサ等の、表面を決定するための追加的な装置によって、事前に決定されていない表面におけるアブレーションを実行することは不可能である。
【0020】
また、表面の事前の決定に必要な、従来技術における三次元表面を決定するための追加的な装置は、高価で且つ巨大であり、また、表面アブレーション適用に適していない。
【0021】
最後に、追加的な装置は、歪みを発生させるアブレーション装置と同じフレームワーク内で動作することはない。追加的な装置は、切除される表面に関し、アブレーション装置と同じ視界を有していないためであり、また、レーザビームの位置決めの際に誤差を引き起こし得るためである。
【0022】
米国特許出願公開第2007/173792号は、レーザシステムの適格性確認及びキャリブレーションのための技術を開示する。その技術によると、レーザシステムは、画像システムによって観察される、望ましい方向に対する、レーザビームの平面における偏差に応じて、適格性の確認が行われ、且つ/或いは、キャリブレーションが行われる。
【0023】
米国特許出願公開第2004/144760号は、画像システムによって観察される面に対向する面にマークを付けるレーザのキャリブレーション技術を開示する。
【0024】
米国特許出願公開第2009/220349号は、画像システムによる三次元表面の三角測量のための技術を開示する。また、画像システムはその表面を照らす。なお、そのシステムは、表面アブレーション装置とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によってそれらの不利点のうちの少なくとも1つを取り除くことが提案される。
【0026】
この目的のため、本発明にしたがって、請求項1におけるアブレーションプロセスが提案される。
【0027】
本発明は、単一で採用される、或いは、技術的に可能な任意の組み合わせで採用される請求項2〜9の特徴によって有利的に補完される。
【0028】
また、本発明は、上述のプロセスを実行する装置に関する。
【0029】
本発明は、多くの有利点を有する。
【0030】
三次元表面は、制御ユニットによって考慮され得るように事前に知らされている必要はない。本発明は、事前に知らされていない表面でアブレーションを実行する。
【0031】
また、本発明は、三次元表面を決定するための追加的な装置の使用を必要としない。本発明は、結果的に同じフレームワークを有し且つ歪みを発生させないアブレーション装置の要素のみを利用する。
【0032】
このため、その装置は、より安価で且つかさばることが無く、表面アブレーション適用に適する。
【0033】
本発明の他の特徴、目的、及び有利点は、純粋に例示的で非限定的であり、且つ、添付図に関連して検討される必要がある以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】既に言及された、既知のアブレーション装置を概略的に示す。
【図2】既に言及された、既知のアブレーションレーザビームを概略的に示す。
【図3】既に言及された、三次元表面のアブレーションを概略的に示す。
【図4】既に言及された、三次元表面のアブレーションを概略的に示す。
【図5】本発明にしたがったプロセスの主要なステップを概略的に示す。
【図6】本発明にしたがったプロセスを実行する装置の実現可能な例を概略的に示す。
【図7】三角測量の原理を概略的に示す。
【図8】本発明にしたがった制御ユニットによる、ヘッドの基準面における座標sx及び座標syの決定を概略的に示す。
【図9】本発明にしたがった制御ユニットによる、カメラのマトリクスの基準面における座標px及び座標pyの決定を概略的に示す。
【図10】本発明にしたがったキャリブレーションステップにおける主要なステップを概略的に示す。
【図11】許容公差を示すために、平面図で見られる一連のプレートを、(点線で示す)斜めのプレートとともに概略的に示す。
【図12】様々な深さzにおけるsxの関数としてのpxの対応カーブを概略的に示す。
【図13】pxの関数としてのa、b、及びcの各対応カーブを概略的に示す。
【図14】cの関数としてのzの関連カーブを概略的に示す。
【図15】切除される表面の三次元形状を決定するためのステップにおける主要なステップを概略的に示す。
【図16】切除される表面の三次元形状を決定するためのステップにおける主要なステップを概略的に示す。
【図17】ヘッド7の光軸におけるヘッド7のレーザビームの主要な調整ステップを概略的に示す。
【図18】平面(xOz)に関するマトリクスの直交性のための主要なステップを概略的に示す。
【図19】切除される表面の三次元形状を決定するためのステップ中の制御ユニットによる挿入ステップを概略的に示す。
【図20】2つのカメラを含む装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
全ての図において、同様の要素は同じ参照番号を有する。
【0036】
図5及び図6は、アブレーション装置2で実行される、三次元表面1のアブレーションプロセスの主要ステップを概略的に示す。
【0037】
装置2は、通常、パルスレーザビーム4を生成するレーザ源3と、深さzに沿ってレーザビーム4の焦点を調整するためのレンズ5と、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、切除される表面1にビーム4を向けるための検流ヘッド7と、焦点を平面上に位置付けるfθレンズ8と、切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラ10と、を含む。
【0038】
レーザ源3は、例えば、良好なビーム質(M2=1.5)を備える、低出力パルスファイバレーザ(例えば20kHzのレートで平均出力20Wの、すなわち、1mJのパルスレーザ(impulsion laser))であり、ビーム/物質の相互作用断面が上述の切除フローを達成するのに十分に小さいことを意味する。衝突点(point of impact)は、30〜200μmの直径を有する。
【0039】
図6において、レンズ5、ヘッド7、及びレンズ8は、符号6で参照される光学モジュールを形成する。また、レンズ8は、モジュール6から独立していてもよい。
【0040】
ヘッド7は、通常、2つの電動回転ミラーのセットを含む。それらミラーのそれぞれは、(160mmの焦点距離で7m/sまでの)極めて迅速なビームの動きで、X及びYの2つの軸に沿ってレーザビームを逸らす。
【0041】
fθレンズ8は、そのレーザビームの焦点を平面上に位置付けるために、(そのレーザビームの伝搬方向における)ヘッド7の下流に配置される。このfθレンズ8は、何れのコマンドも存在しない場合、そのレーザビームの初期の焦点を元に戻す。
【0042】
図7に示すように、カメラ10は、例えば、(1辺が約8μmの、512×512のピクセルを有する)CCDタイプのマトリクス100を含む低解像度カメラである。このピクセルサイズは、概して、推奨される適用には十分である。1ピクセルの不確実性は、1mmの100分の1程度の、表面1の深さzにおける誤差を引き起こす。8mmのカメラ10のレンズ101に関しては、上述の不確実性は、1度の100分の6程度の角度誤差を引き起こす。16mmのレンズ101に関しては、上述のように測定される角度誤差は、1度の100分の3程度である。
【0043】
また、装置2は、一方で、モジュール6、すなわち少なくともレンズ5及び検流ヘッド7に取り付けられ、他方でカメラ10に取り付けられる制御ユニット9を含む。レンズ5及びヘッド7は、制御ユニット9によって十分に制御される。この主旨において、制御ユニット9は、従来のメモリ、制御ユニット、及びデータ処理手段の全てを含む。
【0044】
図5は、
装置2のキャリブレーションステップE1と、
三角測量により、キャリブレーションステップE1から、切除される表面1の三次元形状を決定するステップE2と、
三次元表面のアブレーションステップE3と、
を主に含むプロセスを概略的に示す。
【0045】
アブレーションステップE3にしたがい、制御ユニット9は、切除される表面1上にビーム4を集中させ、且つ、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、また、深さzに沿ってビーム4を方向付けるために、モジュール6、具体的には少なくともレンズ5及び検流ヘッド7を、その表面に関する決定された形状に応じて制御する。
【0046】
以下の展開は、キャリブレーションステップE1が三角測量ステップE2を可能にすることを示す。
【0047】
図7で示すように、装置2は、切除される表面1において処理される点P1の深さzを測定するために三角測量の原理を利用する。
【0048】
三角形(P0、P1、P2)における三角測量を用い、構成からカメラ10(P2)とヘッド7(P0)との間の距離Dを知り、且つ、2つの角度β及びθを測定することによって、制御ユニット9は、当業者に知られた関係である
【0049】
【数1】
を用いて、照らされた点P1のzにおける深さを返すことができる。
【0050】
マトリクス100/レンズ101のアセンブリは、その照らされた点P1のビーム像がレンズ101の光軸102とともに作る角度θの測定を可能にする。
【0051】
レンズ101の光学中心P2とカメラのマトリクス100の中心c’との間の距離、及び、その照らされたピクセルpとマトリクスc’の中心ピクセルとを隔てる距離(p−c’)を知ることによって、制御ユニット9は、以下の三角法の公式を用いて、角度θを算出する。
【0052】
【数2】
なお、レンズ101は薄レンズで近似されるものとする。
【0053】
検流ヘッド7を用いることによって、制御ユニット9は、以下の三角法の公式により、レーザビームが検流ヘッド7の光軸70とともに作る角度βを返すことができる。
【0054】
【数3】
図7で示すように、焦点をzに合わせる同じ深さの平面では、三角測量における2つの基準点P0(ヘッド7)及びP2(カメラ10)がヘッド7の光軸を含む平面(xOz)にある場合で且つその場合に限り、(Y軸に沿った)垂直線における複数の点は、同じ三角測量パラメータ(D、β、及びθ)を有する。深さ平面zでは、Y軸に沿った2つの点は、Y軸上の座標のそれぞれのみによって差別化され、また、点P1は、制御ユニットが測定したい点の、Y軸に沿った、平面(xOz)上への正射影である。
【0055】
それ故に、それは、制御ユニット9が三角測量によって深さzを決定できるようにする、求められる点のX軸に沿った位置にすぎない。
【0056】
結果として、装置2の構成により三角形(P0、P1、P2)が平面(xOz)にある場合、すなわち、カメラ10がヘッド7に関して正確に位置付けられる場合、測定される点のY軸に沿った位置の変化によってもたらされる三角測量システムにおける変化が除去される。
【0057】
また、図8に示すように、検流ヘッド7を通過するレーザビーム4の軌跡は、ビーム4とヘッド7の基準面Rとの交点Pにおける2つの座標(sx、sy)によって完全に定められる。ヘッド7の基準面Rは、光軸70に直交する面であり、基準面Rでは、(fθ光学システム8の特性によってサイズが限定される矩形において)全ての点がヘッド7に関する既知の座標を有する。
【0058】
また、図9に示すように、pxは、例えばCCDであるカメラ10のマトリクス100においてX軸に沿って測定され、且つ、レーザビーム4’を捕捉する焦点zの面11に事実上位置付けられる位置xに対応する、実観測位置と呼ばれる。
【0059】
図7を参照すると、測定される点は、D、β、及びθで定義される。点P1(平面(xOz)上で測定される点の正射影)が移動すると測定系において変化するパラメータは、検流ヘッド7の基準面Rにおけるその測定される点のX軸に沿った座標sx、点P1を含む焦点面の深さz、及び、カメラ10のマトリクス100上のこの点の像のX軸に沿った座標pxである。
【0060】
深さzの点に関し、唯一無二の組み合わせ(sx、px)が存在し、そして、キャリブレーションステップE1は、制御ユニット9がzにおける各点の組み合わせ(sx、px)を繋ぐ対応を見つけることで構成される。深さzは、制御ユニット9が見つけようとしている大きさであるため、制御ユニット9は、sxから、測定対象の点xの照明、及び、カメラ10によって行われるその照らされた点の測定pxを可能し、且つ、制御ユニット9がzを返すことができるようにする関係を決定しなければならない。
【0061】
そのため、既知の深さzの焦点面に関し、制御ユニットは、点(sx、px)の複数の組み合わせを測定し、且つ、複数のzを有する様々な焦点面のためのカーブpx(sx)を描き出す。
【0062】
この目的のため、また、図9と組み合わせて図10に示すように、キャリブレーションステップE1は、モジュール6、より正確には検流ヘッド7が、深さzに位置付けられるキャリブレーションプレート11の点111をビーム4’で照らすステップS1を含む。それ故、座標sxは、検流ヘッド7を用いて、制御ユニット9に知らされる。この深さzは、レイリー距離lよりも高い精度、望ましくは、その距離の10分の1未満の精度で知られていなければならない。同様に、平面(xOy)を有するキャリブレーションプレート11の平行度誤差εは、図11に示すように、レイリー距離lの10分の1を超えてはならない。
【0063】
これらの条件の下、プレート11は、レーザビーム4’が到達可能なフィールド全体で、プレート11の深さzに関係なく、レーザビーム4’を捕捉するのに十分に平らで且つ十分に大きいものでなければならない。キャリブレーションプレート11は、図11及び図17に概略的に示される。
【0064】
ビーム4’は、低減された出力で使用されるレーザアブレーションのビーム、又は、レーザ源3における補助的なアライメントビーム(例えば、HeNeレーザ)であり、その構成により、レーザ源3で利用可能であり、且つ、レーザ源3と同一直線上にある。ビーム4’の出力は、キャリブレーションプレート11のアブレーションを実行するのに必要ではなく、以下で説明するように、カメラ10が各点111を観察できるように各点111を照らすことができる照明のためだけのものであるため、低減される。ステップS2中、カメラ10は、キャリブレーションプレート11と、照らされた点111とを観察する。そして、制御ユニット9は、カメラ10のマトリクス100で観察される座標pxを決定する。
【0065】
ステップS2’中、X軸、Y軸に沿って、モジュール6のヘッド7は、キャリブレーションプレート11における複数の決定された点111を照らすために、見える範囲でビーム4’をシフトさせる。
【0066】
キャリブレーションプレート11におけるそれら決定された複数の点111は、連続線又は点線の行、及び/又は、連続線又は点線の列に沿って分布する。
【0067】
点111の数が十分(例えば約5個)である場合、制御ユニットはステップS3に進む。
【0068】
ステップS3中、制御ユニット9は、深さzでのキャリブレーションプレート11におけるそれら照らされた複数の点111のそれぞれの照明位置sxと、それら照らされた複数の点のカメラ10によって観察された位置pxとの間の対応を構築する。
【0069】
この目的のため、制御ユニット9は、ステップS3に含まれるステップS31中、カーブpx=f(sx)をトレースする。
【0070】
これらのカーブの例(x印を伴うカーブ)を図12に示す。これらのカーブは二次の多項式によって近似され得る点に注目すべきである。
【0071】
その後、ステップS32中、ステップS31のカーブから、制御ユニット9は、px(sx)=a×sx2+b×sx+c(EQ1)のような二次の多項式の形でpxとsxとをリンクする係数a、b、及びcを決定する。
【0072】
図13に示すように、a、b、及びcは実質的にsxの一次関数であるため、この近似が可能である。
【0073】
ステップS33中、制御ユニット9は、(図12の全ラインにおける)対応するカーブをトレースする。
【0074】
ステップS4中、別の深さzのために上述のステップS1、S2、S2’、及びS3が繰り返され、それ故に、キャリブレーションプレート11が別の深さzのところに配置される。ステップS1、S2、S2’、及びS3の繰り返しは、モジュール6による複数の照明(S1)、カメラ10による複数の観察(S2)、及び、制御ユニット9による複数の対応構築(S3)を可能にする。
【0075】
その結果、制御ユニット9は、図12に示すように、複数のカーブのネットワークを有し、各カーブが所与の深さzに対応する。
【0076】
深さzの数が十分(例えば約5個)である場合、制御ユニット9は、ステップS5に進む。
【0077】
図12における複数のカーブのうちの1つをトレースするために、例えば、点sx及び点pxの5つの組み合わせが、キャリブレーションプレート11の深さz毎に、対応するように置かれる。ビーム4’は、例えば、深さzのキャリブレーションプレート11のそれぞれにおいて、−120、−60、0、60、120(ミリメートル単位のsx軸における座標)に投射される。
【0078】
同様に、5つの深さzに関して測定が行われる。具体的には、例えば、−100、−50、0、50、100(例えば、目盛り付きの定規を用いて測定される、ミリメートル単位のz軸における座標)の深さに関して測定が行われる。
【0079】
深さzが0mmのところにある座標焦点面は、検流ヘッド7の基準面である。
【0080】
ステップS5中、制御ユニット9は、それらの対応の間の関係を決定する。
【0081】
この目的のため、ステップS5に含まれるステップS51中、制御ユニット9はカーブz=g(c)をトレースする。
【0082】
そのようなカーブの例(x印を伴うカーブ)を図14に示す。
【0083】
このカーブは、二次の多項式によって近似され得る点に注目すべきである。
【0084】
ステップS52中、制御ユニットは、z(c)=α×c2+β×c+γ(EQ2)のような二次の多項式の形で、事前に決定されたzとcの全ての組み合わせをリンクするパラメータα、β、及びγを決定する。
【0085】
その結果、制御ユニット9は、(図14の実線で示す)対応するカーブをトレースできる。
【0086】
キャリブレーションステップE1は、キャリブレーションプレート11を用いて終了させられる。
【0087】
図5を参照すると、そのプロセスはまた、キャリブレーションステップE1から、三角測量により、切除される表面1の三次元形状を決定するためのステップE2を含む。
【0088】
以下の展開は、ステップE2に関する。
【0089】
図15及び図16を参照すると、表面1の三次元形状を決定するためのステップE2のために、検流ヘッド7、すなわちモジュール6は、ステップS6中、切除される表面1の点eを照らす。照明は、低減された出力のビーム4’によって、ステップE1のときと同じように実現される。
【0090】
その結果、ステップS6中、制御ユニット9は、検流ヘッド7を用いて、X軸に沿って座標sxeを決定する。
【0091】
ステップS7中、カメラ10は、表面1を観察する。
【0092】
その後、制御ユニット9は、カメラ10のマトリクス100で観察された座標pxeを決定する。
【0093】
ステップS8中、制御ユニット9は、キャリブレーションステップE1中に制御ユニット9によって構築された対応を用いて、表面1の三次元形状を決定する。
【0094】
そして、ステップS8に含まれるステップS81中、制御ユニット9は、キャリブレーションステップE1中に制御ユニット9によって決定された係数a及び係数bを用いることによって、ce=pxe−a×sxe2−b×sxe(EQ3)の式より、値pxe及び値sxeを用いて値ceを決定する。
【0095】
係数a及び係数bは、以下に示すように、制御ユニット9によって選択される。
【0096】
図19に示すように、ステップE1におけるステップS4の完了時に、制御ユニット9は、図19における複数の実線で示される複数のカーブCのネットワークを有する。カーブCのそれぞれは、係数a、b、及びcの異なる値に対応する。
【0097】
さらに、ステップE2におけるステップS6及びステップS7中、制御ユニット9は、(図19のx印1000で示される)sxe及びpxeを決定する。
【0098】
式(EQ3)におけるa及びbの適切な値を選択するために、制御ユニット9は、補間Δを実行する。
【0099】
制御ユニット9は、図19のキャリブレーションネットワークにおける複数のカーブCに属する複数の点であり、且つ、求められている点であるsxeの座標に等しい座標sxを有する複数の点の座標pxを算出して保存する。次に、一連の逐次テストによって、制御ユニット9は、測定される点の真上に位置付けられるキャリブレーションネットワークのカーブC1を決定する。その点の上にカーブが存在しない場合、制御ユニット9は、真下に位置するカーブC2を採用する。最後に、制御ユニット9は、a及びbの対応する値とともに、決定されたカーブに対応する関係(EQ3)を利用する。
【0100】
また、ステップS8に含まれるステップS82中、制御ユニット9は、キャリブレーションステップE1中に制御ユニット9によって決定されたパラメータα、β、及びγを用いることによって、ze=α×ce2+β×ce+γ(EQ4)の式より、深さzeを決定する。
【0101】
図15に示すように、表面1における、ビーム4’によって照らされた点e1毎に、制御ユニット9は、関連する深さze1を決定することができる。
【0102】
図16のステップS9に示すように、前述のステップS6、S7、及びS8は、表面1を決定するための望ましい正確さに応じて、その表面における必要なだけ多くの点に関して繰り返される。2つの連続する測定点の間の、X軸及びY軸に沿った最大間隔は、使用されるレーザビームのレイリー距離、及び、切除される表面1で観察された深さzに沿った最大変位に依存する。
【0103】
図15は、ze1及びze2に関する、2つの例e1、e2のみを示す。制御ユニット9は、キャリブレーションステップ中に制御ユニット9によって構築された複数の対応を用いて、表面1の三次元形状を決定する。
【0104】
その結果、切除される表面1の三次元形状を決定するためのステップE2は、終了させられる。
【0105】
図5を参照すると、そのプロセスはまた、三次元表面のアブレーションステップE3を含む。それにしたがって、制御ユニット9は、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さzに沿って、切除される表面1上にビーム4を集中させ且つ方向付けるために、その表面の決定された形状に応じてモジュール6を制御する
このステップは、当業者が知っているアブレーションに関するものであるため、このステップについては、本明細書全体を通じて、これ以上詳細に説明することはない。
【0106】
しかしながら、アブレーションステップE3のために、制御ユニット9は、有利的には、連続する複数の深さzに応じて、切除される表面1上の全ての点にビーム4を集中させ且つ方向付けるために、モジュール6を制御する。このように、制御ユニット9は、より少ない回数だけモジュール6を制御し、その結果、アブレーションのための時間を稼ぐことができる。制御ユニット9は、同じ深さzのところに位置付けられるキャリブレーション対象の全ての点が、別の深さのところに位置付けられる、表面1における複数の点の処理に先立って処理されるように、モジュール6を制御する。
【0107】
図20に示すように、その装置は、2つのカメラ10を有利的に含む。その装置は、切除される表面1に関するより詳細な情報を与え、また、それら2つのカメラによって観察される領域にビーム4がアクセスできる場合には、必要に応じてより良好なアブレーション(単一のカメラの場合に観察されない領域のアブレーション)をもたらす。
【0108】
以下の展開は、装置2のキャリブレーションステップE1のより高い精度のために行われる調整に関する。
【0109】
ヘッド7及びカメラ10は、同じ平面(xOz)になければならない(図7参照。)。キャリブレーションプレート11は、使用されるレーザビームのレイリー距離l未満、望ましくはその距離の10分の1より良好な最大許容公差で、平面(xOy)に平行でなければならない。しかしながら、その公差を超える場合には、制御ユニット9は、歪みの影響を相殺するために、それら照らされた点のカメラ10によって観察された位置pxの補正を実行し得る。
【0110】
ヘッド7は、その光軸70を定めるためにその基準面Rの中心にレーザビームを向けるようにパラメータ化される。ヘッド7のビームは、平面(xOz)になければならない。当業者が知っている単純なアクチュエータは、ヘッド7の光軸に沿って、基準キャリブレーションプレート11をシフトさせる。図17に示すように、ヘッド7のレーザビーム4’は、光軸70が同じ点0のところで2つの平面z及びz’と交差する場合、光軸70に合わせられる。
【0111】
一旦、光軸70が平面(xOz)に入ると、点P0及び点P1は、上述のパラメータ化によって、光軸70上に位置付けられ、その結果、2つの点P0及びP1は、同じ平面(xOz)に位置付けられる。なお、点P1は、光軸70とキャリブレーションプレート11との交点である。
【0112】
また、マトリクス100の中心、及び、レンズ101の中心P2は、実質的に、P1と同じ直線上に置かれる。このとき、3つの点(P0、P1、P2)によって定められる三角形は、同じ平面(xOz)に置かれる。
【0113】
マトリクス100が平面(xOz)に対して直角であることを確かなものとするため、図17及び図18に示すように、ヘッド7は、キャリブレーションプレート11で、Y軸に沿った座標y1の所与の点を照らす。画像処理を用いることによって、制御ユニット9は、カメラ10のマトリクス100における点像のY軸に沿ったピクセル座標py1を測定する。さらに、同じ深さzにあるキャリブレーションプレート11で、ヘッド7は、xでは同じ座標であるがyでは前述の座標の反対にある座標y2を有する第2の点を照らす。同様に、制御ユニット9は、マトリクス100におけるyにおけるピクセル座標py2を測定する。この座標が、マトリクス100の中心点に関して、第1の点の座標の反対にあるならば、マトリクス100は、平面(xOz)に対して垂直である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレーション装置を用いて三次元表面を切除するプロセスに関する。
【0002】
その装置は、
−パルスレーザビームを生成するレーザ源と、
−深さzに沿ってレーザビームの焦点を変えるレンズと、
−平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、切除される表面にそのビームを向ける検流ヘッドと、
−球面ではなく平面にそのレーザビームを広げるfθレンズと、
−切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラと、
−少なくとも検流ヘッド、レンズ、及びカメラに接続される制御ユニットと、
を含む。
【0003】
本発明はまた、上述のプロセスを実行する装置に関する。
【背景技術】
【0004】
図1に示すように、例えば、建物の外観の修復のため、或いは、核施設の除染のために表面1のアブレーションをもたらす既知の解決策は、レーザアブレーションの使用で構成される。
【0005】
レーザアブレーションは、干渉性の、集束される、パルス状レーザから生じる光と除去対象の物質(例えば、粉塵、塗料、又は汚染物質である。)との相互作用を用いたその物質の薄い層の除去から成る。
【0006】
この層の表面の迅速な加熱は、その物質の第1層の蒸発ひいては噴出をもたらす。
【0007】
既知のレーザアブレーション装置2は、通常、パルスレーザビーム4を生成するために提供されるレーザ源3と、レーザ源3の下流に置かれる光学モジュール6へのそのビームの伝達手段とを含む。また、それは、レンズ5と、検流ヘッド7と、そのパルスビームを集中させ、X軸及びY軸に沿って、切除される表面1にそのパルスビームを向けるfθレンズ8とを備える。装置2はまた、切除される物質の排出のための出口13及び排出管12を含む。
【0008】
レンズ5の出口及び検流ヘッド7の出口のところで、焦点の座標は、球面上に位置付けられる。これは、そのビームの制御を複雑にする場合がある。この困難を克服するために、fθレンズ8が、その焦点を平面上に位置付けるために、そのレーザビームの経路上に配置される。
【0009】
このことは、その層のアブレーション閾値を実現するのに十分な量のエネルギをその層に与えることを意味する。しかしながら、このことは、その層に当たるレーザビームによる唯一の効果ではない。実際には、レーザ衝撃の瞬間には、衝撃波が創出され、その衝撃波は、その衝撃波が適用される表面1の物質の分離に貢献する。
【0010】
図2は、ビーム4の典型的な形態を概略的に示す。
【0011】
物質のアブレーションを引き起こすために必要な流量密度すなわちエネルギ密度(J/m2)は、その物質の性質、切除される厚さ、及び、その表面の構成に依存する。
【0012】
試験は、1〜50J/cm2の流量が必要とされることを示す。結果として、伝えられるエネルギの量は、ビーム4が輸送するエネルギの量、及び、処理される物質と相互作用するこのビームの断面に依存する。そのビームの最小断面は、焦点距離Lのところに位置付けられる。焦点距離Lは、所望のアブレーション点が位置付けられるところである(図1も参照。)。それは、例えば、レンズ8から約50cmのところである。
【0013】
図2で示すように、ビーム4は、表面の平面性の問題(planeity defect)から自身を解放しながらの表面での作業のために、レイリー距離に相当する、すなわち約1cmの、かなりの焦点深度(depth of filed)Iを有する。それ故に、その装置は、二次元表面によく適している。
【0014】
目的が三次元表面1でのアブレーションを実行することである場合、図3に示すように、可変焦点レンズ5が、焦点距離Lを補正するために、レーザ源3にリンクされなければならない。
【0015】
また、図4に示すように、制御ユニット9を用いて焦点距離Lを動的に変更することは、三次元表面1におけるアブレーション距離の制御を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/173792号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/144760号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/220349号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、既知の先行する技術は、複数の不利点を有する。
【0018】
三次元表面は、その装置によって考慮され得るように、制御ユニット9内に事前に記憶されなければならない。
【0019】
事前に知らされておらず、また、例えばセオドライト、干渉計、コノスコープセンサ等の、表面を決定するための追加的な装置によって、事前に決定されていない表面におけるアブレーションを実行することは不可能である。
【0020】
また、表面の事前の決定に必要な、従来技術における三次元表面を決定するための追加的な装置は、高価で且つ巨大であり、また、表面アブレーション適用に適していない。
【0021】
最後に、追加的な装置は、歪みを発生させるアブレーション装置と同じフレームワーク内で動作することはない。追加的な装置は、切除される表面に関し、アブレーション装置と同じ視界を有していないためであり、また、レーザビームの位置決めの際に誤差を引き起こし得るためである。
【0022】
米国特許出願公開第2007/173792号は、レーザシステムの適格性確認及びキャリブレーションのための技術を開示する。その技術によると、レーザシステムは、画像システムによって観察される、望ましい方向に対する、レーザビームの平面における偏差に応じて、適格性の確認が行われ、且つ/或いは、キャリブレーションが行われる。
【0023】
米国特許出願公開第2004/144760号は、画像システムによって観察される面に対向する面にマークを付けるレーザのキャリブレーション技術を開示する。
【0024】
米国特許出願公開第2009/220349号は、画像システムによる三次元表面の三角測量のための技術を開示する。また、画像システムはその表面を照らす。なお、そのシステムは、表面アブレーション装置とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によってそれらの不利点のうちの少なくとも1つを取り除くことが提案される。
【0026】
この目的のため、本発明にしたがって、請求項1におけるアブレーションプロセスが提案される。
【0027】
本発明は、単一で採用される、或いは、技術的に可能な任意の組み合わせで採用される請求項2〜9の特徴によって有利的に補完される。
【0028】
また、本発明は、上述のプロセスを実行する装置に関する。
【0029】
本発明は、多くの有利点を有する。
【0030】
三次元表面は、制御ユニットによって考慮され得るように事前に知らされている必要はない。本発明は、事前に知らされていない表面でアブレーションを実行する。
【0031】
また、本発明は、三次元表面を決定するための追加的な装置の使用を必要としない。本発明は、結果的に同じフレームワークを有し且つ歪みを発生させないアブレーション装置の要素のみを利用する。
【0032】
このため、その装置は、より安価で且つかさばることが無く、表面アブレーション適用に適する。
【0033】
本発明の他の特徴、目的、及び有利点は、純粋に例示的で非限定的であり、且つ、添付図に関連して検討される必要がある以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】既に言及された、既知のアブレーション装置を概略的に示す。
【図2】既に言及された、既知のアブレーションレーザビームを概略的に示す。
【図3】既に言及された、三次元表面のアブレーションを概略的に示す。
【図4】既に言及された、三次元表面のアブレーションを概略的に示す。
【図5】本発明にしたがったプロセスの主要なステップを概略的に示す。
【図6】本発明にしたがったプロセスを実行する装置の実現可能な例を概略的に示す。
【図7】三角測量の原理を概略的に示す。
【図8】本発明にしたがった制御ユニットによる、ヘッドの基準面における座標sx及び座標syの決定を概略的に示す。
【図9】本発明にしたがった制御ユニットによる、カメラのマトリクスの基準面における座標px及び座標pyの決定を概略的に示す。
【図10】本発明にしたがったキャリブレーションステップにおける主要なステップを概略的に示す。
【図11】許容公差を示すために、平面図で見られる一連のプレートを、(点線で示す)斜めのプレートとともに概略的に示す。
【図12】様々な深さzにおけるsxの関数としてのpxの対応カーブを概略的に示す。
【図13】pxの関数としてのa、b、及びcの各対応カーブを概略的に示す。
【図14】cの関数としてのzの関連カーブを概略的に示す。
【図15】切除される表面の三次元形状を決定するためのステップにおける主要なステップを概略的に示す。
【図16】切除される表面の三次元形状を決定するためのステップにおける主要なステップを概略的に示す。
【図17】ヘッド7の光軸におけるヘッド7のレーザビームの主要な調整ステップを概略的に示す。
【図18】平面(xOz)に関するマトリクスの直交性のための主要なステップを概略的に示す。
【図19】切除される表面の三次元形状を決定するためのステップ中の制御ユニットによる挿入ステップを概略的に示す。
【図20】2つのカメラを含む装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
全ての図において、同様の要素は同じ参照番号を有する。
【0036】
図5及び図6は、アブレーション装置2で実行される、三次元表面1のアブレーションプロセスの主要ステップを概略的に示す。
【0037】
装置2は、通常、パルスレーザビーム4を生成するレーザ源3と、深さzに沿ってレーザビーム4の焦点を調整するためのレンズ5と、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、切除される表面1にビーム4を向けるための検流ヘッド7と、焦点を平面上に位置付けるfθレンズ8と、切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラ10と、を含む。
【0038】
レーザ源3は、例えば、良好なビーム質(M2=1.5)を備える、低出力パルスファイバレーザ(例えば20kHzのレートで平均出力20Wの、すなわち、1mJのパルスレーザ(impulsion laser))であり、ビーム/物質の相互作用断面が上述の切除フローを達成するのに十分に小さいことを意味する。衝突点(point of impact)は、30〜200μmの直径を有する。
【0039】
図6において、レンズ5、ヘッド7、及びレンズ8は、符号6で参照される光学モジュールを形成する。また、レンズ8は、モジュール6から独立していてもよい。
【0040】
ヘッド7は、通常、2つの電動回転ミラーのセットを含む。それらミラーのそれぞれは、(160mmの焦点距離で7m/sまでの)極めて迅速なビームの動きで、X及びYの2つの軸に沿ってレーザビームを逸らす。
【0041】
fθレンズ8は、そのレーザビームの焦点を平面上に位置付けるために、(そのレーザビームの伝搬方向における)ヘッド7の下流に配置される。このfθレンズ8は、何れのコマンドも存在しない場合、そのレーザビームの初期の焦点を元に戻す。
【0042】
図7に示すように、カメラ10は、例えば、(1辺が約8μmの、512×512のピクセルを有する)CCDタイプのマトリクス100を含む低解像度カメラである。このピクセルサイズは、概して、推奨される適用には十分である。1ピクセルの不確実性は、1mmの100分の1程度の、表面1の深さzにおける誤差を引き起こす。8mmのカメラ10のレンズ101に関しては、上述の不確実性は、1度の100分の6程度の角度誤差を引き起こす。16mmのレンズ101に関しては、上述のように測定される角度誤差は、1度の100分の3程度である。
【0043】
また、装置2は、一方で、モジュール6、すなわち少なくともレンズ5及び検流ヘッド7に取り付けられ、他方でカメラ10に取り付けられる制御ユニット9を含む。レンズ5及びヘッド7は、制御ユニット9によって十分に制御される。この主旨において、制御ユニット9は、従来のメモリ、制御ユニット、及びデータ処理手段の全てを含む。
【0044】
図5は、
装置2のキャリブレーションステップE1と、
三角測量により、キャリブレーションステップE1から、切除される表面1の三次元形状を決定するステップE2と、
三次元表面のアブレーションステップE3と、
を主に含むプロセスを概略的に示す。
【0045】
アブレーションステップE3にしたがい、制御ユニット9は、切除される表面1上にビーム4を集中させ、且つ、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、また、深さzに沿ってビーム4を方向付けるために、モジュール6、具体的には少なくともレンズ5及び検流ヘッド7を、その表面に関する決定された形状に応じて制御する。
【0046】
以下の展開は、キャリブレーションステップE1が三角測量ステップE2を可能にすることを示す。
【0047】
図7で示すように、装置2は、切除される表面1において処理される点P1の深さzを測定するために三角測量の原理を利用する。
【0048】
三角形(P0、P1、P2)における三角測量を用い、構成からカメラ10(P2)とヘッド7(P0)との間の距離Dを知り、且つ、2つの角度β及びθを測定することによって、制御ユニット9は、当業者に知られた関係である
【0049】
【数1】
を用いて、照らされた点P1のzにおける深さを返すことができる。
【0050】
マトリクス100/レンズ101のアセンブリは、その照らされた点P1のビーム像がレンズ101の光軸102とともに作る角度θの測定を可能にする。
【0051】
レンズ101の光学中心P2とカメラのマトリクス100の中心c’との間の距離、及び、その照らされたピクセルpとマトリクスc’の中心ピクセルとを隔てる距離(p−c’)を知ることによって、制御ユニット9は、以下の三角法の公式を用いて、角度θを算出する。
【0052】
【数2】
なお、レンズ101は薄レンズで近似されるものとする。
【0053】
検流ヘッド7を用いることによって、制御ユニット9は、以下の三角法の公式により、レーザビームが検流ヘッド7の光軸70とともに作る角度βを返すことができる。
【0054】
【数3】
図7で示すように、焦点をzに合わせる同じ深さの平面では、三角測量における2つの基準点P0(ヘッド7)及びP2(カメラ10)がヘッド7の光軸を含む平面(xOz)にある場合で且つその場合に限り、(Y軸に沿った)垂直線における複数の点は、同じ三角測量パラメータ(D、β、及びθ)を有する。深さ平面zでは、Y軸に沿った2つの点は、Y軸上の座標のそれぞれのみによって差別化され、また、点P1は、制御ユニットが測定したい点の、Y軸に沿った、平面(xOz)上への正射影である。
【0055】
それ故に、それは、制御ユニット9が三角測量によって深さzを決定できるようにする、求められる点のX軸に沿った位置にすぎない。
【0056】
結果として、装置2の構成により三角形(P0、P1、P2)が平面(xOz)にある場合、すなわち、カメラ10がヘッド7に関して正確に位置付けられる場合、測定される点のY軸に沿った位置の変化によってもたらされる三角測量システムにおける変化が除去される。
【0057】
また、図8に示すように、検流ヘッド7を通過するレーザビーム4の軌跡は、ビーム4とヘッド7の基準面Rとの交点Pにおける2つの座標(sx、sy)によって完全に定められる。ヘッド7の基準面Rは、光軸70に直交する面であり、基準面Rでは、(fθ光学システム8の特性によってサイズが限定される矩形において)全ての点がヘッド7に関する既知の座標を有する。
【0058】
また、図9に示すように、pxは、例えばCCDであるカメラ10のマトリクス100においてX軸に沿って測定され、且つ、レーザビーム4’を捕捉する焦点zの面11に事実上位置付けられる位置xに対応する、実観測位置と呼ばれる。
【0059】
図7を参照すると、測定される点は、D、β、及びθで定義される。点P1(平面(xOz)上で測定される点の正射影)が移動すると測定系において変化するパラメータは、検流ヘッド7の基準面Rにおけるその測定される点のX軸に沿った座標sx、点P1を含む焦点面の深さz、及び、カメラ10のマトリクス100上のこの点の像のX軸に沿った座標pxである。
【0060】
深さzの点に関し、唯一無二の組み合わせ(sx、px)が存在し、そして、キャリブレーションステップE1は、制御ユニット9がzにおける各点の組み合わせ(sx、px)を繋ぐ対応を見つけることで構成される。深さzは、制御ユニット9が見つけようとしている大きさであるため、制御ユニット9は、sxから、測定対象の点xの照明、及び、カメラ10によって行われるその照らされた点の測定pxを可能し、且つ、制御ユニット9がzを返すことができるようにする関係を決定しなければならない。
【0061】
そのため、既知の深さzの焦点面に関し、制御ユニットは、点(sx、px)の複数の組み合わせを測定し、且つ、複数のzを有する様々な焦点面のためのカーブpx(sx)を描き出す。
【0062】
この目的のため、また、図9と組み合わせて図10に示すように、キャリブレーションステップE1は、モジュール6、より正確には検流ヘッド7が、深さzに位置付けられるキャリブレーションプレート11の点111をビーム4’で照らすステップS1を含む。それ故、座標sxは、検流ヘッド7を用いて、制御ユニット9に知らされる。この深さzは、レイリー距離lよりも高い精度、望ましくは、その距離の10分の1未満の精度で知られていなければならない。同様に、平面(xOy)を有するキャリブレーションプレート11の平行度誤差εは、図11に示すように、レイリー距離lの10分の1を超えてはならない。
【0063】
これらの条件の下、プレート11は、レーザビーム4’が到達可能なフィールド全体で、プレート11の深さzに関係なく、レーザビーム4’を捕捉するのに十分に平らで且つ十分に大きいものでなければならない。キャリブレーションプレート11は、図11及び図17に概略的に示される。
【0064】
ビーム4’は、低減された出力で使用されるレーザアブレーションのビーム、又は、レーザ源3における補助的なアライメントビーム(例えば、HeNeレーザ)であり、その構成により、レーザ源3で利用可能であり、且つ、レーザ源3と同一直線上にある。ビーム4’の出力は、キャリブレーションプレート11のアブレーションを実行するのに必要ではなく、以下で説明するように、カメラ10が各点111を観察できるように各点111を照らすことができる照明のためだけのものであるため、低減される。ステップS2中、カメラ10は、キャリブレーションプレート11と、照らされた点111とを観察する。そして、制御ユニット9は、カメラ10のマトリクス100で観察される座標pxを決定する。
【0065】
ステップS2’中、X軸、Y軸に沿って、モジュール6のヘッド7は、キャリブレーションプレート11における複数の決定された点111を照らすために、見える範囲でビーム4’をシフトさせる。
【0066】
キャリブレーションプレート11におけるそれら決定された複数の点111は、連続線又は点線の行、及び/又は、連続線又は点線の列に沿って分布する。
【0067】
点111の数が十分(例えば約5個)である場合、制御ユニットはステップS3に進む。
【0068】
ステップS3中、制御ユニット9は、深さzでのキャリブレーションプレート11におけるそれら照らされた複数の点111のそれぞれの照明位置sxと、それら照らされた複数の点のカメラ10によって観察された位置pxとの間の対応を構築する。
【0069】
この目的のため、制御ユニット9は、ステップS3に含まれるステップS31中、カーブpx=f(sx)をトレースする。
【0070】
これらのカーブの例(x印を伴うカーブ)を図12に示す。これらのカーブは二次の多項式によって近似され得る点に注目すべきである。
【0071】
その後、ステップS32中、ステップS31のカーブから、制御ユニット9は、px(sx)=a×sx2+b×sx+c(EQ1)のような二次の多項式の形でpxとsxとをリンクする係数a、b、及びcを決定する。
【0072】
図13に示すように、a、b、及びcは実質的にsxの一次関数であるため、この近似が可能である。
【0073】
ステップS33中、制御ユニット9は、(図12の全ラインにおける)対応するカーブをトレースする。
【0074】
ステップS4中、別の深さzのために上述のステップS1、S2、S2’、及びS3が繰り返され、それ故に、キャリブレーションプレート11が別の深さzのところに配置される。ステップS1、S2、S2’、及びS3の繰り返しは、モジュール6による複数の照明(S1)、カメラ10による複数の観察(S2)、及び、制御ユニット9による複数の対応構築(S3)を可能にする。
【0075】
その結果、制御ユニット9は、図12に示すように、複数のカーブのネットワークを有し、各カーブが所与の深さzに対応する。
【0076】
深さzの数が十分(例えば約5個)である場合、制御ユニット9は、ステップS5に進む。
【0077】
図12における複数のカーブのうちの1つをトレースするために、例えば、点sx及び点pxの5つの組み合わせが、キャリブレーションプレート11の深さz毎に、対応するように置かれる。ビーム4’は、例えば、深さzのキャリブレーションプレート11のそれぞれにおいて、−120、−60、0、60、120(ミリメートル単位のsx軸における座標)に投射される。
【0078】
同様に、5つの深さzに関して測定が行われる。具体的には、例えば、−100、−50、0、50、100(例えば、目盛り付きの定規を用いて測定される、ミリメートル単位のz軸における座標)の深さに関して測定が行われる。
【0079】
深さzが0mmのところにある座標焦点面は、検流ヘッド7の基準面である。
【0080】
ステップS5中、制御ユニット9は、それらの対応の間の関係を決定する。
【0081】
この目的のため、ステップS5に含まれるステップS51中、制御ユニット9はカーブz=g(c)をトレースする。
【0082】
そのようなカーブの例(x印を伴うカーブ)を図14に示す。
【0083】
このカーブは、二次の多項式によって近似され得る点に注目すべきである。
【0084】
ステップS52中、制御ユニットは、z(c)=α×c2+β×c+γ(EQ2)のような二次の多項式の形で、事前に決定されたzとcの全ての組み合わせをリンクするパラメータα、β、及びγを決定する。
【0085】
その結果、制御ユニット9は、(図14の実線で示す)対応するカーブをトレースできる。
【0086】
キャリブレーションステップE1は、キャリブレーションプレート11を用いて終了させられる。
【0087】
図5を参照すると、そのプロセスはまた、キャリブレーションステップE1から、三角測量により、切除される表面1の三次元形状を決定するためのステップE2を含む。
【0088】
以下の展開は、ステップE2に関する。
【0089】
図15及び図16を参照すると、表面1の三次元形状を決定するためのステップE2のために、検流ヘッド7、すなわちモジュール6は、ステップS6中、切除される表面1の点eを照らす。照明は、低減された出力のビーム4’によって、ステップE1のときと同じように実現される。
【0090】
その結果、ステップS6中、制御ユニット9は、検流ヘッド7を用いて、X軸に沿って座標sxeを決定する。
【0091】
ステップS7中、カメラ10は、表面1を観察する。
【0092】
その後、制御ユニット9は、カメラ10のマトリクス100で観察された座標pxeを決定する。
【0093】
ステップS8中、制御ユニット9は、キャリブレーションステップE1中に制御ユニット9によって構築された対応を用いて、表面1の三次元形状を決定する。
【0094】
そして、ステップS8に含まれるステップS81中、制御ユニット9は、キャリブレーションステップE1中に制御ユニット9によって決定された係数a及び係数bを用いることによって、ce=pxe−a×sxe2−b×sxe(EQ3)の式より、値pxe及び値sxeを用いて値ceを決定する。
【0095】
係数a及び係数bは、以下に示すように、制御ユニット9によって選択される。
【0096】
図19に示すように、ステップE1におけるステップS4の完了時に、制御ユニット9は、図19における複数の実線で示される複数のカーブCのネットワークを有する。カーブCのそれぞれは、係数a、b、及びcの異なる値に対応する。
【0097】
さらに、ステップE2におけるステップS6及びステップS7中、制御ユニット9は、(図19のx印1000で示される)sxe及びpxeを決定する。
【0098】
式(EQ3)におけるa及びbの適切な値を選択するために、制御ユニット9は、補間Δを実行する。
【0099】
制御ユニット9は、図19のキャリブレーションネットワークにおける複数のカーブCに属する複数の点であり、且つ、求められている点であるsxeの座標に等しい座標sxを有する複数の点の座標pxを算出して保存する。次に、一連の逐次テストによって、制御ユニット9は、測定される点の真上に位置付けられるキャリブレーションネットワークのカーブC1を決定する。その点の上にカーブが存在しない場合、制御ユニット9は、真下に位置するカーブC2を採用する。最後に、制御ユニット9は、a及びbの対応する値とともに、決定されたカーブに対応する関係(EQ3)を利用する。
【0100】
また、ステップS8に含まれるステップS82中、制御ユニット9は、キャリブレーションステップE1中に制御ユニット9によって決定されたパラメータα、β、及びγを用いることによって、ze=α×ce2+β×ce+γ(EQ4)の式より、深さzeを決定する。
【0101】
図15に示すように、表面1における、ビーム4’によって照らされた点e1毎に、制御ユニット9は、関連する深さze1を決定することができる。
【0102】
図16のステップS9に示すように、前述のステップS6、S7、及びS8は、表面1を決定するための望ましい正確さに応じて、その表面における必要なだけ多くの点に関して繰り返される。2つの連続する測定点の間の、X軸及びY軸に沿った最大間隔は、使用されるレーザビームのレイリー距離、及び、切除される表面1で観察された深さzに沿った最大変位に依存する。
【0103】
図15は、ze1及びze2に関する、2つの例e1、e2のみを示す。制御ユニット9は、キャリブレーションステップ中に制御ユニット9によって構築された複数の対応を用いて、表面1の三次元形状を決定する。
【0104】
その結果、切除される表面1の三次元形状を決定するためのステップE2は、終了させられる。
【0105】
図5を参照すると、そのプロセスはまた、三次元表面のアブレーションステップE3を含む。それにしたがって、制御ユニット9は、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さzに沿って、切除される表面1上にビーム4を集中させ且つ方向付けるために、その表面の決定された形状に応じてモジュール6を制御する
このステップは、当業者が知っているアブレーションに関するものであるため、このステップについては、本明細書全体を通じて、これ以上詳細に説明することはない。
【0106】
しかしながら、アブレーションステップE3のために、制御ユニット9は、有利的には、連続する複数の深さzに応じて、切除される表面1上の全ての点にビーム4を集中させ且つ方向付けるために、モジュール6を制御する。このように、制御ユニット9は、より少ない回数だけモジュール6を制御し、その結果、アブレーションのための時間を稼ぐことができる。制御ユニット9は、同じ深さzのところに位置付けられるキャリブレーション対象の全ての点が、別の深さのところに位置付けられる、表面1における複数の点の処理に先立って処理されるように、モジュール6を制御する。
【0107】
図20に示すように、その装置は、2つのカメラ10を有利的に含む。その装置は、切除される表面1に関するより詳細な情報を与え、また、それら2つのカメラによって観察される領域にビーム4がアクセスできる場合には、必要に応じてより良好なアブレーション(単一のカメラの場合に観察されない領域のアブレーション)をもたらす。
【0108】
以下の展開は、装置2のキャリブレーションステップE1のより高い精度のために行われる調整に関する。
【0109】
ヘッド7及びカメラ10は、同じ平面(xOz)になければならない(図7参照。)。キャリブレーションプレート11は、使用されるレーザビームのレイリー距離l未満、望ましくはその距離の10分の1より良好な最大許容公差で、平面(xOy)に平行でなければならない。しかしながら、その公差を超える場合には、制御ユニット9は、歪みの影響を相殺するために、それら照らされた点のカメラ10によって観察された位置pxの補正を実行し得る。
【0110】
ヘッド7は、その光軸70を定めるためにその基準面Rの中心にレーザビームを向けるようにパラメータ化される。ヘッド7のビームは、平面(xOz)になければならない。当業者が知っている単純なアクチュエータは、ヘッド7の光軸に沿って、基準キャリブレーションプレート11をシフトさせる。図17に示すように、ヘッド7のレーザビーム4’は、光軸70が同じ点0のところで2つの平面z及びz’と交差する場合、光軸70に合わせられる。
【0111】
一旦、光軸70が平面(xOz)に入ると、点P0及び点P1は、上述のパラメータ化によって、光軸70上に位置付けられ、その結果、2つの点P0及びP1は、同じ平面(xOz)に位置付けられる。なお、点P1は、光軸70とキャリブレーションプレート11との交点である。
【0112】
また、マトリクス100の中心、及び、レンズ101の中心P2は、実質的に、P1と同じ直線上に置かれる。このとき、3つの点(P0、P1、P2)によって定められる三角形は、同じ平面(xOz)に置かれる。
【0113】
マトリクス100が平面(xOz)に対して直角であることを確かなものとするため、図17及び図18に示すように、ヘッド7は、キャリブレーションプレート11で、Y軸に沿った座標y1の所与の点を照らす。画像処理を用いることによって、制御ユニット9は、カメラ10のマトリクス100における点像のY軸に沿ったピクセル座標py1を測定する。さらに、同じ深さzにあるキャリブレーションプレート11で、ヘッド7は、xでは同じ座標であるがyでは前述の座標の反対にある座標y2を有する第2の点を照らす。同様に、制御ユニット9は、マトリクス100におけるyにおけるピクセル座標py2を測定する。この座標が、マトリクス100の中心点に関して、第1の点の座標の反対にあるならば、マトリクス100は、平面(xOz)に対して垂直である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーション装置を用いて三次元表面を切除する方法であって、
前記装置は、
パルスレーザビームを発生させるレーザ源と、
平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さ(z)に沿って、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付ける光学モジュールと、
前記切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラと、
前記モジュール及び前記カメラに接続される制御ユニットと、を含み、
当該方法は、
前記装置のキャリブレーションステップであり、前記キャリブレーションステップにしたがって、キャリブレーションプレートにおける決定された複数の点を照らすために、前記モジュールが、前記複数の軸(X、Y)に沿って、深さ(z)のところに位置付けられた前記キャリブレーションプレートを照らし、一方で、前記カメラが前記キャリブレーションプレートを観察し、前記制御ユニットが、前記キャリブレーションプレートにおける前記照らされた複数の点のそれぞれの照明位置sxと、前記照らされた複数の点の前記カメラによって観察された位置pxとの間の対応を構築し、前記キャリブレーションプレートは、当該キャリブレーションステップ中、複数回の、前記モジュールによる照明、前記カメラによる観察、及び、前記制御ユニットによる対応の構築を可能にすべく、複数の深さ(z)のところに連続的に位置付けられ、前記制御ユニットは、複数の対応の間の関係を構築するところのキャリブレーションステップと、
前記キャリブレーションステップに基づいて、三角測量により、前記切除される表面の三次元形状を決定するステップと、
前記三次元形状のアブレーションステップであり、前記アブレーションステップにしたがって、前記制御ユニットが、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さ(z)に沿って、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付けるために、前記表面の決定された形状に応じて前記モジュールを制御するところのアブレーションステップと、を有する、
方法。
【請求項2】
キャリブレーションステップ中に、深さ(z)毎に、前記深さ(z)にある前記キャリブレーションプレートにおける前記照らされた複数の点のそれぞれの前記照明位置sxと、前記カメラによって観察された位置pxとの間の前記対応を構築するために、前記制御ユニットは、px(sx)=a×sx2+b×sx+c(EQ1)のような二次の多項式の形で(px)と(sx)とをリンクする係数a、b、及びcを決定し、且つ、前記制御ユニットは、z(c)=α×c2+β×c+γ(EQ2)のような二次の多項式の形で事前に決定されたzとcの全ての組み合わせをリンクするパラメータα、β、及びγを決定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリブレーションステップのために、前記キャリブレーションプレートにおける前記決定された複数の点は、連続線若しくは点線の行、及び/又は、連続線若しくは点線の列に沿って分布する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリブレーションプレートの深さ(z)毎に、sx及びpxの少なくとも5つの組み合わせが、対応するように配置され、キャリブレーションのために、前記キャリブレーションプレートは、少なくとも5つの異なる深さ(z)のところに配置される、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御ユニットは、歪みの影響を相殺するために、前記照らされた複数の点に関する、前記カメラによって観察された点pxの補正を実行する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記表面の三次元形状を決定するステップのために、前記モジュールは、前記表面における決定された複数の点sxeを照らすべく、前記複数の軸(X、Y)に沿って、前記切除される表面を照らし、一方で、前記カメラは、前記表面と、照らされた複数の点pxeとを観察し、前記制御ユニットは、前記キャリブレーションステップ中に前記制御ユニットによって構築された前記対応及び前記関係を用いて、前記表面の三次元形状を決定する、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モジュールによって照らされた複数の点sxeに関する、前記カメラで観察された点pxeに基づいて、前記表面の三次元形状を決定するステップのために、前記制御ユニットは、前記キャリブレーションステップ中に前記制御ユニットによって決定された係数a及びbを用いることによって、ce=pxe−a×sxe2−b×sxe(EQ3)の式により値pxe及びsxeを用いて値ceを決定し、その後、前記キャリブレーションステップ中に前記制御ユニットによって決定されたパラメータα、β、及びγを用いることによって、ze=α×ce2+β×ce+γ(EQ4)の式を用いて深さzeを決定する、
請求項2乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記キャリブレーションステップ中に決定された係数a及びbを用いて、pxeとsxeの補間を完了する、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
アブレーションステップのために、前記制御ユニットは、連続する深さ(z)に応じて、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付けるために、前記モジュールを制御する、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
パルスレーザビームを発生させるレーザ源と、
平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さ(z)に沿って、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付ける光学モジュールと、
前記切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラと、を備える装置であって、
当該装置は、前記モジュール及び前記カメラに接続され、且つ、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法を実行するよう構成される制御ユニットを備える、
装置。
【請求項1】
アブレーション装置を用いて三次元表面を切除する方法であって、
前記装置は、
パルスレーザビームを発生させるレーザ源と、
平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さ(z)に沿って、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付ける光学モジュールと、
前記切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラと、
前記モジュール及び前記カメラに接続される制御ユニットと、を含み、
当該方法は、
前記装置のキャリブレーションステップであり、前記キャリブレーションステップにしたがって、キャリブレーションプレートにおける決定された複数の点を照らすために、前記モジュールが、前記複数の軸(X、Y)に沿って、深さ(z)のところに位置付けられた前記キャリブレーションプレートを照らし、一方で、前記カメラが前記キャリブレーションプレートを観察し、前記制御ユニットが、前記キャリブレーションプレートにおける前記照らされた複数の点のそれぞれの照明位置sxと、前記照らされた複数の点の前記カメラによって観察された位置pxとの間の対応を構築し、前記キャリブレーションプレートは、当該キャリブレーションステップ中、複数回の、前記モジュールによる照明、前記カメラによる観察、及び、前記制御ユニットによる対応の構築を可能にすべく、複数の深さ(z)のところに連続的に位置付けられ、前記制御ユニットは、複数の対応の間の関係を構築するところのキャリブレーションステップと、
前記キャリブレーションステップに基づいて、三角測量により、前記切除される表面の三次元形状を決定するステップと、
前記三次元形状のアブレーションステップであり、前記アブレーションステップにしたがって、前記制御ユニットが、平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さ(z)に沿って、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付けるために、前記表面の決定された形状に応じて前記モジュールを制御するところのアブレーションステップと、を有する、
方法。
【請求項2】
キャリブレーションステップ中に、深さ(z)毎に、前記深さ(z)にある前記キャリブレーションプレートにおける前記照らされた複数の点のそれぞれの前記照明位置sxと、前記カメラによって観察された位置pxとの間の前記対応を構築するために、前記制御ユニットは、px(sx)=a×sx2+b×sx+c(EQ1)のような二次の多項式の形で(px)と(sx)とをリンクする係数a、b、及びcを決定し、且つ、前記制御ユニットは、z(c)=α×c2+β×c+γ(EQ2)のような二次の多項式の形で事前に決定されたzとcの全ての組み合わせをリンクするパラメータα、β、及びγを決定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリブレーションステップのために、前記キャリブレーションプレートにおける前記決定された複数の点は、連続線若しくは点線の行、及び/又は、連続線若しくは点線の列に沿って分布する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリブレーションプレートの深さ(z)毎に、sx及びpxの少なくとも5つの組み合わせが、対応するように配置され、キャリブレーションのために、前記キャリブレーションプレートは、少なくとも5つの異なる深さ(z)のところに配置される、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御ユニットは、歪みの影響を相殺するために、前記照らされた複数の点に関する、前記カメラによって観察された点pxの補正を実行する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記表面の三次元形状を決定するステップのために、前記モジュールは、前記表面における決定された複数の点sxeを照らすべく、前記複数の軸(X、Y)に沿って、前記切除される表面を照らし、一方で、前記カメラは、前記表面と、照らされた複数の点pxeとを観察し、前記制御ユニットは、前記キャリブレーションステップ中に前記制御ユニットによって構築された前記対応及び前記関係を用いて、前記表面の三次元形状を決定する、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モジュールによって照らされた複数の点sxeに関する、前記カメラで観察された点pxeに基づいて、前記表面の三次元形状を決定するステップのために、前記制御ユニットは、前記キャリブレーションステップ中に前記制御ユニットによって決定された係数a及びbを用いることによって、ce=pxe−a×sxe2−b×sxe(EQ3)の式により値pxe及びsxeを用いて値ceを決定し、その後、前記キャリブレーションステップ中に前記制御ユニットによって決定されたパラメータα、β、及びγを用いることによって、ze=α×ce2+β×ce+γ(EQ4)の式を用いて深さzeを決定する、
請求項2乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記キャリブレーションステップ中に決定された係数a及びbを用いて、pxeとsxeの補間を完了する、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
アブレーションステップのために、前記制御ユニットは、連続する深さ(z)に応じて、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付けるために、前記モジュールを制御する、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
パルスレーザビームを発生させるレーザ源と、
平面(X、Y)を定める複数の軸に沿って、且つ、深さ(z)に沿って、前記切除される表面に前記ビームを集中させ且つ方向付ける光学モジュールと、
前記切除される表面を観察する少なくとも1つのカメラと、を備える装置であって、
当該装置は、前記モジュール及び前記カメラに接続され、且つ、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法を実行するよう構成される制御ユニットを備える、
装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2013−514889(P2013−514889A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545324(P2012−545324)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070484
【国際公開番号】WO2011/076844
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511152500)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L‘ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】25, rue Leblanc Batiment Le Ponant D, F−75015 Paris,France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070484
【国際公開番号】WO2011/076844
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511152500)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L‘ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】25, rue Leblanc Batiment Le Ponant D, F−75015 Paris,France
【Fターム(参考)】
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