説明

レーザエリアセンサ

【課題】屋外での悪天候時などにレーザ光が受ける悪影響などをできる限り排除し、設置場所や気象条件などに関わらず侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができるレーザエリアセンサを提供する。
【解決手段】物体までの距離と反射光の受光レベルを取得するレーザ距離計110と、測定方向を変える走査機構部120と、測定方向を変えながら測定を周期的に行う情報取得部130と、取得された距離情報および受光レベル情報を前後の測定周期と方向毎に比較して不連続変化に対応する箇所の距離情報を除去するとともに非対応箇所の受光レベル情報を補正する情報補正部135と、補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出して時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部140と、人体検知信号を出力する人体検知信号出力部150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物の敷地内への侵入者などを検知するレーザエリアセンサに関し、特に、レーザエリアセンサによる侵入者などの検知の信頼性を悪天候時であっても維持可能なレーザエリアセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯装置の一つとして、マイクロ波を検知エリアに向けて送信し、検知エリア内に侵入者が存在する場合には、その侵入者からの反射波を受信して検知するマイクロウエーブセンサが知られている。
【0003】
また、マイクロ波の代わりに、レーザ光を光源としたレーザ距離計を使用して侵入者を検知するようにした「警備システム」も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この「警備システム」は、光距離計の光を2次元スキャンさせるスキャン角度によって監視エリアを設定し、エリア内の侵入者を検知したとき、侵入者までの距離データおよび角度データを出力するセンサ部と、電動旋回台上に設置され、前記センサ部と連動して旋回する旋回カメラ部と、前記センサ部が前記距離データまたは前記角度データの変化を複数回連続して検出することにより侵入者の有無を検知するとともに、変化した前記センサ部からの前記距離データおよび前記角度データにより侵入者の位置を算出し、その位置データにより前記電動旋回台の前記旋回カメラ部を旋回させ、前記侵入者の画像データをモニタに表示させる機能を有する制御部と、を具備することを特徴とするものである。
【0005】
一方、防犯装置や警備システムとはやや異なるものの、レーザ光を使用して歩行者などを正確に識別可能な「エリアセンサによる物体識別方法」も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この「エリアセンサによる物体識別方法」は、歩行者を誘導する歩行エリアと該歩行エリアの周辺エリアとをカバーする検出範囲に、レーザ感知器によるエリアセンサによりパルスレーザ光を投射しながら走査して光の反射時間を計測し、物体が存在しない時の反射時間と物体が存在する時の反射時間との差を走査各点ごとに求めることにより物体の形状と、大きさと、走査ごとの物体の位置の変化によるベクトルとを演算し、その演算信号から、歩行エリアを誘導方向に移動する物体と、歩行エリアを横切る方向に移動する物体とを識別することを特徴とするものである。
【特許文献1】特許第3011121号公報
【特許文献2】特開2004−185363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1のような警備システムで使用されるレーザ距離計や、上述の特許文献2のようなエリアセンサによる物体識別方法で使用されるレーザ感知器では、屋外での悪天候時、例えば、雨、雪、濃霧などによってレーザ光の反射や減衰などが生じることがあり、侵入者などの適確な検知に支障を及ぼすことがあった。
【0008】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、屋外での悪天候時などにレーザ光が受ける悪影響などをできる限り排除し、設置場所や気象条件などに関わらず侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができるレーザエリアセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のレーザエリアセンサは、パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報も取得する第1レーザ距離計と、この第1レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第1レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル情報を時系列で取得する情報取得部と、測定方向毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定周期の前後の測定周期における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定方向の当該測定周期における前記不連続変化に対応する距離情報を除去するとともに前記不連続変化に対応しない部分の受光レベル情報を補正する第1情報補正部と、この第1情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成のレーザエリアセンサによれば、例えば、雨、雪などによって生じ得る距離データが予め除去されるとともに、減衰などの影響も適切に補正されるので、雨天や降雪時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0011】
あるいは、本発明のレーザエリアセンサは、パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報も取得する第1レーザ距離計と、この第1レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第1レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル情報を時系列で取得する情報取得部と、測定周期毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定方向に隣接する測定方向における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定周期の当該測定方向における前記不連続変化に対応する距離情報を除去する第2情報補正部と、この第2情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部とを備えていることを特徴としてもよい。
【0012】
このような構成のレーザエリアセンサによれば、例えば、雨、雪などによって生じ得る距離データが予め除去されるので、雨天や降雪時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0013】
あるいは、本発明のレーザエリアセンサは、パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報も取得する第1レーザ距離計と、この第1レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第1レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル情報を時系列で取得する情報取得部と、測定方向毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定周期の前後の測定周期における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定方向の当該測定周期における前記不連続変化に対応する距離情報を除去するとともに前記不連続変化に対応しない部分の受光レベル情報を補正する第1情報補正部と、測定周期毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定方向に隣接する測定方向における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定周期の当該測定方向における前記不連続変化に対応する距離情報を除去する第2情報補正部と、前記第1情報補正部および前記第2情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部とを備えていることを特徴としてもよい。
【0014】
このような構成のレーザエリアセンサによれば、例えば、雨、雪などによって生じ得る距離データが予め除去されるとともに、減衰などの影響も適切に補正されるので、雨天や降雪時においても侵入者などのさらに適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0015】
あるいは、本発明のレーザエリアセンサは、パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報および前記反射光の時間軸上での時間幅情報も取得する第2レーザ距離計と、この第2レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第2レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報、受光レベル情報および時間幅情報を時系列で取得する情報取得部と、測定周期毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定方向に隣接する測定方向における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定周期の当該測定方向における前記不連続変化に対応する距離情報を除去する第2情報補正機能と、測定周期毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報、受光レベル情報および時間幅情報を当該測定方向に隣接する複数の測定方向における距離情報、受光レベル情報および時間幅情報と比較したときに、隣接測定方向間の変化量がすべて所定程度以内である測定方向範囲を検知角度幅と呼ぶことにすると、当該測定方向の特定の距離情報に対応する受光レベル情報、時間幅情報および検知角度幅が所定の関係を満たすときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去する第3情報補正機能とによって補正を行う情報補正部と、この情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部とを備えていることを特徴としてもよい。
【0016】
前記情報補正部はさらに、測定方向毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定周期の前後の測定周期における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定方向の当該測定周期における前記不連続変化に対応する距離情報を除去するとともに前記不連続変化に対応しない部分の受光レベル情報を補正する第1情報補正機能による補正も併せて行うようにしてもよい。
【0017】
また、前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報に対応する時間幅情報が所定時間幅以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去するようにしてもよい。
【0018】
また、前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報に対応する検知角度幅が所定角度幅以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去するようにしてもよい。
【0019】
また、前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報に対応する時間幅情報が所定時間幅以上であって且つ前記特定の距離情報に対応する検知角度幅が所定角度幅以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去するようにしてもよい。
【0020】
また、前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報にそれぞれ対応する時間幅情報および検知角度幅の比率が所定比率以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去するようにしてもよい。
【0021】
また、前記情報補正部における前記第3情報補正機能が当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去するのは、前記特定の距離情報に対応する検知角度幅における受光レベル情報の平均値が所定値以下の場合に限るようにしてもよい。
【0022】
このような構成のレーザエリアセンサによれば、例えば、雨天や降雪時だけでなく濃霧などによって生じ得る距離データが予め除去されるので、雨天や降雪時だけでなく濃霧発生時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0023】
あるいは、本発明のレーザエリアセンサは、パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベルを時間積分した受光レベル時間積分情報も取得する第3レーザ距離計と、この第3レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第3レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル時間積分情報を時系列で取得する情報取得部と、測定周期毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル時間積分情報を当該測定方向に隣接する複数の測定方向における距離情報および受光レベル時間積分情報と比較したときに、隣接測定方向間の変化量がすべて所定程度以内である測定方向範囲を検知角度幅と呼ぶことにすると、当該測定方向の第1距離情報に対応する第1受光レベル時間積分情報および第1検知角度幅が所定の関係を満たすときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去する補正を行う情報補正部と、この情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部とを備えていることを特徴としてもよい。
【0024】
また、前記情報補正部は、前記第1検知角度幅が所定角度幅以上であるときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去するようにしてもよい。
【0025】
また、前記情報補正部は、前記第1検知角度幅が所定角度幅以上であって、且つ、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報がより遠距離側に存在するときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去するようにしてもよい。
【0026】
また、前記情報補正部は、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応する受光レベル時間積分情報のそれぞれの検知角度幅にわたる平均値又はすべての検知角度幅にわたる平均値に対して、前記第1受光レベル時間積分情報の前記第1検知角度幅にわたる第1平均値が所定程度以上に大きいときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去するようにしてもよい。
【0027】
また、前記情報補正部は、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応するそれぞれの検知角度幅に対して、前記第1検知角度幅が所定程度以上に大きいときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去するようにしてもよい。
【0028】
また、前記情報補正部は、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応する受光レベル時間積分情報のそれぞれの検知角度幅にわたる平均値又はすべての検知角度幅にわたる平均値に対して、前記第1受光レベル時間積分情報の前記第1検知角度幅にわたる第1平均値が所定程度以上に大きく、且つ、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応するそれぞれの検知角度幅に対して、前記第1検知角度幅が所定程度以上に大きいときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去するようにしてもよい。
【0029】
このような構成のレーザエリアセンサによれば、例えば、雨天や降雪時だけでなく濃霧などによって生じ得る距離データがより適確に除去されるので、雨天や降雪時だけでなく濃霧発生時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のレーザエリアセンサによれば、屋外での悪天候時などにレーザ光が受ける悪影響などをできる限り排除し、設置場所や気象条件などに関わらず侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザエリアセンサ100の概略構成を示すブロック図である。図2は、このレーザエリアセンサ100によって形成される検知エリアの概略説明図である。図3は、このレーザエリアセンサ100によって取得される距離データの例を示す説明図である。なお、図2では隣接する距離測定方向の間隔を実際の間隔よりも遙かに広く描画してあるが、あくまでも説明の便宜のためである。
【0033】
≪概略構成について≫
図1に示すように、レーザエリアセンサ100は、レーザ距離計110と、スキャン機構120と、データ取得部130と、データ補正部135と、人体判定部140と、警告出力制御部150とを備えている。
【0034】
レーザ距離計110は、パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの微小な時間を精密に測定することによってそれらの物体までの距離を正確に測定するとともに、それぞれの反射光の受光レベルも併せて取得する。レーザ距離計110におけるレーザ光の発光素子としては、例えば、半導体レーザーダイオード(LD)などが挙げられる。受光素子としては、例えば、アバランシェフォトダイオード(APD)などが挙げられる。発光素子の駆動制御や反射光が戻ってくるまでの時間測定や反射光の受光レベルの取得および記録には、例えば、専用のハードウェア回路などを設けることが望ましいが、必ずしもそのような構成に限られるわけでない。レーザ距離計の一般的な特徴としては、かなりの長距離まで精密な距離測定が可能であり、例えば、最大で数十m、場合によってはそれより遙かに長距離であっても測定可能であるが、このレーザ距離計110では最大検知距離を30mとしておく。
【0035】
スキャン機構120は、不図示のモータなどを内蔵することで回転可能としてあり、レーザ距離計110による距離の測定方向(角度)を変えられるようにレーザ距離計110の少なくとも一部と機械的に連結されている。例えば、レーザ距離計110のうちで光学系の部分のみを回転させるような構成が考えられるが、レーザ距離計110全体を回転させるような構成でもよいし、それ以外の構成でもかまわない。そして、スキャン機構120が一定速度で所定方向に回転することにより、それに連動してレーザ距離計110による距離の測定方向が変化する。
【0036】
データ取得部130は、スキャン機構120によって測定方向を変えながらレーザ距離計110による測定を周期的に繰り返すことによって、図2に示すような検知エリアA100を形成するとともにその検知エリアA100内における所定角度間隔の方向毎の距離データおよび反射光の受光レベルデータを所定時間毎に時系列で取得する。
【0037】
例えば、スキャン機構120によるスキャン周期Tを50ms(1秒間に20回のスキャンを行う)、1回転の半分の180度の範囲でパルスレーザ光を発光して距離を測定するものとして、パルスレーザ光のパルス幅を34ns、その発光周期を34.7μsとすれば、180度の範囲で720回の距離測定ができる。この場合の距離測定の角度間隔は0.25度で、これは30m先でも図2に示すように約13cmに過ぎないから、検知エリアA100内の空間分解能としてはかなり高い。そのため、データ取得部130によって取得される距離データなどに基づいて対象物の位置、大きさ、形状などをかなり正確に識別して人体か否かなどの判定をすることが可能であり、検知エリアA100内に複数の人体が存在する場合であってもそれらを個別に識別することも可能である。そして、そのような距離データがスキャン周期Tである50ms毎に得られることになる。なお、ここに示した数値はあくまでも例示に過ぎない。
【0038】
データ補正部135は、データ取得部130によって取得された距離データなどを解析し、屋外での悪天候時、例えば、雨、雪、濃霧などによってパルスレーザ光の反射や減衰などが生じていると判断された場合には該当箇所の距離データの除去や補正などを行う。なお、詳細については後述する。
【0039】
人体判定部140は、データ取得部130によって取得されるとともにデータ補正部135によって必要に応じて補正された距離データを解析して、その中から人体形状に対応すると推測される部分を抽出する。
【0040】
例えば、人体がレーザエリアセンサ100側の方向を向いている場合、人間の胴体部分の幅は数十cm程度であるから仮に40cmとすれば、30mの距離では約3個の隣接データに相当する。距離が短くなると隣接データ間の幅もそれに応じて狭くなり、例えば、20mの距離では約8.8cmとなり、10mの距離では約4.4cmとなる。このとき、実際の同じ幅に対する隣接データの個数は逆に増えるので、例えば、10mの距離では40cmの幅が約9個の隣接データに相当する。
【0041】
人体がレーザエリアセンサ100側の方向を向いておらず斜めや横向きであるときは、もちろん距離データに現れる幅は狭くなる。また、人体はゆるやかな丸みを帯びているから、それに対応する隣接データの中央部ほどやや短めの距離になるはずで、図3では、T1、T2、T3のように、一定幅で下向きに凸のゆるやかな曲線になるはずであり、距離データ中にそういう部分が存在していれば人体である可能性があると判断できる。
【0042】
一方、T4のように幅が狭すぎるものや、逆にT5のように幅が広すぎてしかも直線状になっているものは明らかに人体ではないと判断できる。
【0043】
距離データはデータ取得部130によって時系列で取得されているので、次に、距離データ中に人体である可能性があると判断された部分が、それ以降の距離データではどのように変化しているか、つまり、まず移動距離を求めるとともにそれに基づいて移動速度などを算出して移動状況を把握する。人体の移動速度には限界があるから、移動距離や移動速度が極端に大きいときは人体ではない可能性が高いと判断できる。また、移動の軌跡が著しく不連続であるときなども同様に人体ではない可能性が高いと判断できる。さらに、移動方向なども考慮することにより、警戒すべき侵入者であるのか、単に検知エリアA100の境界付近を歩行している通行人なのかなどの判別を行うこともできる。そして、以上の判断などを総合して、警戒すべき人体が存在しているか否かを判断する。
【0044】
なお、仮に30m以上の距離にある物体を検知したとしても、検知エリアA100外に相当するため、以上で述べた人体か否かの判断の対象としては扱わないものとしておくが、これに限るものではない。
【0045】
警告出力制御部150は、人体判定部140によって人体が存在していると判断された場合に警告信号Dout1を出力する。
【0046】
なお、データ取得部130、データ補正部135、人体判定部140、および警告出力制御部150などは、例えば、機器組み込み用のワンチップマイコンとそのソフトウェア処理によって構成することができる。上述した各判別処理などは、パターンマッチングなどの手法によって実現できるので、比較的コストの安いワンチップマイコンを採用することもでき、レーザエリアセンサ100全体としてのコストダウンに貢献することができる。ただし、必ずしもワンチップマイコンを使用して構成しなくてもよい。
【0047】
≪雨、雪などによる影響と対策≫
ところで、例えば、雨、雪などによってパルスレーザ光の反射や減衰などが生じることがあり、侵入者などの適確な検知に支障を及ぼすことがあった。そこで、そのような場合にパルスレーザ光などが受け得る影響と、データ補正部135において行なわれる対策とについて次に説明する。
【0048】
図4(a)〜図4(d)は、本発明の第1実施形態に係るレーザエリアセンサ100において、雨天時での特定の測定方向についてのパルスレーザ光の投光信号波形とその反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図4(a)はパルスレーザ光の投光信号波形(測定の各周期とも共通)を示し、図4(b)は測定の第M周期目における反射光の受光信号波形を示し、図4(c)は測定の第M+1周期目における反射光の受光信号波形を示し、図4(d)は測定の第M+2周期目における反射光の受光信号波形を示す。なお、これらのタイムチャートは説明のために使用しているものであり、レーザエリアセンサ100がこのような波形信号をそのまま取得しているわけではない。後述する説明で参照する他のタイムチャートについても同様である。
【0049】
レーザ距離計110から出射されるパルスレーザ光が、図4(a)に示すパルスP0のような波形であるとすると、例えば、測定の第M周期目において、パルスレーザ光がその光路上で雨滴の影響を全く受けなかった場合には、図4(b)に示すようなほぼ相似形のパルスP10を含む波形が得られるはずである。
【0050】
ここで、パルスP0とパルスP10との時間差をΔt1とすると、パルスレーザ光を反射した人体などの物体までの距離d1については、時間差Δt1の間にパルスレーザ光が進む距離として計算によって求めることができる。
【0051】
次の測定周期である第M+1周期目において、上記物体より近い距離にたまたま雨滴が存在してパルスレーザ光の一部を反射したとすると、図4(c)に示すように、その雨滴による反射光が先に戻ってきて小さなパルスP20となって現れるとともに、その雨滴では反射されなかった残りのパルスレーザ光が図4(b)の場合と同じ人体などの物体によって反射された結果としてパルスP11となって現れることになる。
【0052】
ここで、パルスP0とパルスP20との時間差をΔt2とすると、パルスレーザ光を反射した雨滴までの距離d2については距離d1と同様に計算によって求めることができる。また、人体などが1測定周期に相当する短時間で移動可能な距離はごくわずかなので、パルスP0とパルスP11との時間差から計算によって求まる距離は、距離d1とあまり差がないと考えられる。一方、雨滴によってパルスレーザ光の一部が反射されたために、パルスP11の受光レベルL11については、パルスP10の受光レベルL10より減衰していると想定されるので、この減衰量をΔL11とする。
【0053】
さらに次の測定周期である第M+2周期目において、上記物体や図4(c)の場合の雨滴より近い距離にたまたま別の雨滴が存在してパルスレーザ光の一部を反射したとすると、図4(d)に示すように、その雨滴による反射光が先に戻ってきて小さなパルスP30となって現れるとともに、その雨滴では反射されなかった残りのパルスレーザ光が図4(b)の場合と同じ人体などの物体によって反射された結果としてパルスP12となって現れることになる。
【0054】
ここで、パルスP0とパルスP30との時間差をΔt3とすると、パルスレーザ光を反射した雨滴までの距離d3については距離d1と同様に計算によって求めることができる。また、人体などが1測定周期に相当する短時間で移動可能な距離はごくわずかなので、パルスP0とパルスP12との時間差から計算によって求まる距離は、距離d1とあまり差がないと考えられる。一方、雨滴によってパルスレーザ光の一部が反射されたために、パルスP12の受光レベルL12については、パルスP10の受光レベルL10より減衰していると想定されるので、この減衰量をΔL12とする。図4(d)に示すように、距離d3が距離d2よりも短ければ、雨滴によってパルスレーザ光が反射される光も通常はより多くなるはずなので、それに応じて減衰量ΔL12は減衰量ΔL11より大きくなると考えられる。なお、図4(c)の場合の雨滴は1測定周期に相当する時間の経過中にすでに下降しているはずであり、ほとんど同じ距離に相当する位置に偶然別の雨滴が再び存在していることは確率的にほとんどあり得ないと考えられる。
【0055】
以上の説明でわかるように、雨滴によってパルスレーザ光の一部が反射された場合に現れるようなパルスP20およびパルスP30は、同じ測定方向で前後の測定周期における反射光の受光信号波形には通常は現れない。これらのパルスP20およびパルスP30に対応する距離d2および距離d3は、パルスP10に対応する距離d1やパルスP11やパルスP12に対応する距離などとは大きく異なる。つまり、ある測定周期において取得された特定の距離データが、同じ測定方向で前後の測定周期において取得された距離データとは大きく異なっており、不連続な変化が生じていると言えるような場合には、そのような不連続変化に対応する特定の距離データに対応する物体は少なくとも人体ではなくて、例えば、雨滴や雪などの可能性が高いと判断できる。そのような特定の距離データは、以後の人体判定処理などにおける誤検知防止などの観点からも判定対象とすべきではない。そこで、そのような特定の距離データを予め除去しておく。
【0056】
また、そのような特定の距離データが存在している測定周期では、反射光の受光レベルデータに減衰が生じているはずである。そこで、同じ測定方向で前後の測定周期におけるほぼ同じ距離データに対応する受光レベルデータ同士を比較し、その比較結果に基づいて、減衰が生じているはずの受光レベルを補正する。例えば、パルスP11に対しては減衰量ΔL11を打ち消すような補正を行うことによってパルスP11xを含むような波形が得られていたのと同様になる。また、パルスP12に対しては減衰量ΔL12を打ち消すような補正を行うことによってパルスP12xを含むような波形が得られていたのと同様になる。
【0057】
以上で説明した第1実施形態の構成によれば、例えば、雨、雪などによってパルスレーザ光の一部が反射されて生じ得る人体判定の対象とすべきではない距離データが予め除去されるとともに、減衰などの影響も適切に補正されるので、雨天や降雪時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0058】
<第2実施形態>
第1実施形態では、測定方向毎に、時系列で前後する測定周期との間で距離データなどを相互比較することにより、雨、雪などの影響によって生じた可能性が高い距離データを予め除去するように構成した。一方、測定周期毎に、隣接する測定方向との間で距離データなどを相互比較することにより、雨、雪などの影響によって生じた可能性が高い距離データを予め除去することも可能である。そこで、そのように構成したレーザエリアセンサを第2実施形態として以下で説明する。なお、基本構成などは第1実施形態とほぼ同様であるので、以下の説明は主として相違点について行う。
【0059】
図5(a)〜図5(f)は、本発明の第2実施形態に係るレーザエリアセンサにおいて、雨天時での特定の測定周期についてのパルスレーザ光の反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図5(a)は測定方向が角度N−2である受光信号波形を示し、図5(b)は測定方向が角度N−1である受光信号波形を示し、図5(c)は測定方向が角度Nである受光信号波形を示し、図5(d)は測定方向が角度N+1である受光信号波形を示し、図5(e)は測定方向が角度N+2である受光信号波形を示し、図5(f)は測定方向が角度N+3である受光信号波形を示す。
【0060】
人体などの物体では一定の大きさがあるから、同一の測定周期で取得された全測定方向の距離データの中では、その物体の大きさに相当する角度範囲にわたってほぼ同一の距離データが存在するはずである。
【0061】
図2を参照して説明したように、30m先では隣接する測定方向の間隔は約13cmに相当するのであるから、人体の幅を数十cm程度と想定すれば、例えば、図5(b)〜図5(e)に示すように、4つ程度の隣接する測定方向(角度N−1から角度N+2まで)にわたってほぼ同一の距離データに対応するパルスP41、パルスP42、パルスP43、パルスP44が存在することになる。
【0062】
一方、雨滴や雪などは人体に比較すると極めて小さなものであるから、ある測定方向で偶然それらを捉えたことにより対応する距離データが得られたとしても、隣接する測定方向でもほぼ同一の距離に存在する雨滴や雪などをやはり偶然に捉えることは通常は想定し難い。
【0063】
例えば、かなり強い雨が降っていて、全測定方向の距離データの中では雨滴を捉えたものが比較的多いとしても(パルスP50、パルスP51、パルスP53、パルスP54、パルスP55)、それぞれの距離データは大きくばらついている可能性が高く、しかも隣接する測定方向でほぼ同一の距離データが存在することはまずあり得ない。
【0064】
そこで、第2実施形態のデータ補正部では、ある測定周期において取得された特定の距離データを、同じ測定周期で隣接する測定方向において取得された距離データと比較し、それらが大きく異なっていて不連続な変化が生じていると言えるような場合には、そのような特定の距離データを除去するような補正を行うようにしておく。
【0065】
以上で説明した第2実施形態の構成によれば、例えば、雨、雪などによってパルスレーザ光の一部が反射されて生じ得る人体判定の対象とすべきではない距離データが予め除去されるので、雨天や降雪時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0066】
なお、データ補正部において、上述した補正に、第1実施形態と説明した同様の補正とを組み合わせて実行するようにしてもよい。その場合は、雨天や降雪時においても侵入者などのさらに適確な検知を行うとともに誤検知も極力防止することができる。
【0067】
<第3実施形態>
第1実施形態や第2実施形態では、主として雨、雪などの影響への対策を行ったが、例えば、濃霧が発生しているような場合は、霧として空中に浮かんでいる水滴の大きさが雨滴や雪に比べて非常に小さいため、対策の効果が十分有効ではないこともあり得る。そこで、このような霧への対策を考慮して構成したレーザエリアセンサを第3実施形態として以下で説明する。なお、基本構成などは第1実施形態や第2実施形態とほぼ同様であるので、以下の説明は主として相違点について行う。
【0068】
この第3実施形態では、レーザ距離計によってパルスレーザ光の出射方向に存在する少なくとも1以上の物体までの距離および反射光の受光レベルが取得できるだけでなく、さらにそれぞれの時間軸上のパルス時間幅も併せて取得可能に構成されている。そして、データ取得部では、検知エリア内における所定角度間隔の方向毎の距離データ、反射光の受光レベルデータ、およびパルス時間幅データが所定時間毎に時系列で取得される。
【0069】
図6(a)〜図6(f)は、本発明の第3実施形態に係るレーザエリアセンサにおいて、濃霧発生時での特定の測定周期についてのパルスレーザ光の反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図6(a)は測定方向が角度N−2である受光信号波形を示し、図6(b)は測定方向が角度N−1である受光信号波形を示し、図6(c)は測定方向が角度Nである受光信号波形を示し、図6(d)は測定方向が角度N+1である受光信号波形を示し、図6(e)は測定方向が角度N+2である受光信号波形を示し、図6(f)は測定方向が角度N+3である受光信号波形を示す。
【0070】
第3実施形態において、人体などが存在している場合には第2実施形態とほぼ同様の距離データが得られる。例えば、図6(b)〜図6(d)に示すように、ほぼ同一の距離データに対応するパルスP61、パルスP62、パルスP63が3つの隣接する測定方向(角度N−1から角度N+1まで、角度幅としてはWd60)にわたって存在するような場合である。このとき、これらの各パルスの時間幅もほぼ同様の値(≒Wt63)を示す。
【0071】
一方、濃霧が発生しているような場合には、雨滴や雪などと比べて遙かに微小な水滴が空中にまとまった形で極めて多数浮遊していることになり、それらの多数の微小な水滴によってパルスレーザ光が拡散反射されるため、受光信号波形におけるパルスとしては、例えば、パルスP71、パルスP72、パルスP73、パルスP74のように、それぞれの受光レベルが他の反射に比べて低いところで変動しつつ且つ時間軸上のパルス時間幅も広くなった形状(パルス時間幅としてはWt74またはその付近)が比較的長時間にわたって連続するような形状で現れることになる。また、パルスP70やパルスP75などのような雨滴や雪とは異なり、隣接する測定方向においてもほぼ同様の形状のパルスが存在し、連続した広い角度範囲(例えば4つの隣接する測定方向として角度N−1から角度+2まで。角度幅としてはWd70)にわたってほぼ同様のパルス状態が存在することになる。
【0072】
そこで、第3実施形態のデータ補正部では、第2実施形態と同様の補正に加えて、次のような補正を行ってもよい。
【0073】
例えば、パルスP74のようにそのパルス時間幅Wt74が所定時間幅以上であるときには、対応する距離データを除去するようにしてもよい。
【0074】
また、パルスP71、パルスP72、パルスP73、パルスP74のようにそれらの角度幅Wd70が所定角度幅以上(例えば4つの測定方向以上を含む場合)であるときに、対応する距離データを除去するようにしてもよい。
【0075】
また、パルスP74のようにそのパルス時間幅Wt74が所定時間幅以上であって、このパルスP74と隣接するパルスP71、パルスP72、パルスP73の角度幅Wd70も所定角度幅以上であるときに、対応する距離データを除去するようにしてもよい。
【0076】
また、パルスP74のようなそのパルス時間幅Wt74と、このパルスP74と隣接するパルスP71、パルスP72、パルスP73の角度幅Wd70の比率(Wd70/Wt74)が所定値以上の場合に、対応する距離データを除去するようにしてもよい。
【0077】
また、パルスP71、パルスP72、パルスP73、パルスP74に対応する距離データを実際に除去するか否かを、それらの受光レベル(L74など)の平均値が十分小さい(所定値以下)場合に限るようにしてもよい。
【0078】
あるいは、特定の距離データに対応する受光レベルが他の距離データに対応する受光レベルに対して所定程度以上低く、かつ、その特定の距離データに対応するパルス時間幅が他の距離データに対応するパルス時間幅に対して所定程度以上長い(例えば、2倍以上)ときは、その特定の距離データを除去するような補正を行うようにしてもよい。
【0079】
また、このときに濃霧が発生している可能性が高い旨の警告信号を警告信号Dout1から出力するようにしてもよいし、あるいは別の出力端子(不図示)などから出力するようにしてもよい。
【0080】
以上で説明した第3実施形態の構成によれば、例えば、雨天や降雪時だけでなく濃霧などによってパルスレーザ光の一部が反射されて生じ得る人体判定の対象とすべきではない距離データが予め除去されるので、雨天や降雪時だけでなく濃霧発生時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0081】
なお、データ補正部において、上述した補正に、さらに第1実施形態と説明したものと同様の補正も組み合わせて実行するようにしてもよい。その場合は、侵入者などの一層適確な検知を行うとともに誤検知も極力防止することができる。
【0082】
<第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態とはやや異なる方法によって濃霧への対策を行うものである。なお、基本構成などは第1実施形態〜第3実施形態とほぼ同様であるので、以下の説明は主として相違点について行う。
【0083】
この第4実施形態では、レーザ距離計によってパルスレーザ光の出射方向に存在する少なくとも1以上の物体までの距離が取得できるだけでなく、反射光の受光レベルの時間積分値も併せて取得可能に構成されている。そして、データ取得部では、検知エリア内における所定角度間隔の方向毎の距離データおよび受光レベル時間積分データが所定時間毎に時系列で取得される。
【0084】
図7(a)〜図7(g)は、本発明の第4実施形態に係るレーザエリアセンサにおいて、濃霧発生時での特定の測定周期についてのパルスレーザ光の反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図7(a)は測定方向が角度N−3である受光信号波形を示し、図7(b)は測定方向が角度N−2である受光信号波形を示し、図7(c)は測定方向が角度N−1である受光信号波形を示し、図7(d)は測定方向が角度Nである受光信号波形を示し、図7(e)は測定方向が角度N+1である受光信号波形を示し、図7(f)は測定方向が角度N+2である受光信号波形を示し、図7(g)は測定方向が角度N+3である受光信号波形を示す。なお、これらのタイムチャートの各パルスの横幅は特に具体的な意味をなさない。
【0085】
第4実施形態において、人体などが存在している場合には、例えば、図7(c)〜図7(e)に示すように、ほぼ同一の距離データに対応するパルスP82、パルスP83、パルスP84が3つの隣接する測定方向(角度N−1から角度N+1まで、角度幅としてはWd80)にわたって存在する。人体の反射光レベルは比較的高いと考えられるもののその時間幅が比較的短いため、例えば、パルスP83に対応する時間積分値Li83は比較的低くなるはずだからである。隣接する測定方向においてほぼ同一の距離に対応するパルスP82やパルスP84に対応する時間積分値も同様に比較的低くなる。
【0086】
また、別の人体も同時に存在している場合、例えば、パルスP100やパルスP101などが存在することもあり得る。これらの時間積分値についてはいずれもパルスP101の時間積分値Li101とほぼ同じと考えられる。これらの角度幅Wd100はこれらのタイムチャートでは2つの測定方向のみであるが、実際には図示されていない測定方向にわたって連続している可能性もあり得る。
【0087】
一方、濃霧が発生しているような場合には、例えば、図7(b)〜図7(f)に示すように、ほぼ同一の距離データに対応するパルスP91〜パルスP95が5つの隣接する測定方向(角度N−2から角度N+2まで、角度幅としてはWd90)にわたって存在する。濃霧による拡散反射光レベル自体は比較的低いと考えられるもののその時間幅がかなり長いため、例えば、パルスP93に対応する時間積分値Li93は比較的高くなるはずだからである。隣接する測定方向においてほぼ同一の距離に対応するパルスP91、パルスP92、パルスP94、パルスP95に対応する時間積分値も同様に比較的高くなる。なお、パルスP106のような雨滴では、反射光レベルも比較的低いだけでなくその時間幅も短いため、時間積分値はかなり低くなるはずである。
【0088】
そこで、第4実施形態のデータ補正部では、次のような補正を行ってもよい。
【0089】
例えば、Wd90などの角度幅が所定角度幅以上であるときに、対応する距離データを除去するようにしてもよい。この所定角度を例えば4つの測定方向とすれば、Wd90に対応する距離データは除去されるが、Wd80やWd100に対応する距離データはそのまま残される。
【0090】
また、ある距離情報に対応する角度幅が所定角度幅以上であって、且つ、その角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する角度幅として共通に含むような他の距離情報がより遠距離側に存在するときに、対応する距離データを除去するようにしてもよい。この所定角度を例えば4つの測定方向とすれば、例えば、Wd90はこの所定角度以上であり、3つの測定方向(角度N−1から角度N+1まで)を共通に含むWd80がより遠距離側に存在しており、これとは別の1つの測定方向(角度N−2)を共通に含むWd100がやはりより遠距離側に存在している。そこで、Wd90に対応する距離データを除去することになる。
【0091】
また、例えば、Wd90の範囲内に対応する各パルスの時間積分値の平均値が、他のWd80やWd100の範囲内に対応する各パルスの時間積分値のそれぞれの平均値(あるいはこれらのすべての平均値)より所定程度以上に大きいときに、Wd90に対応する距離データを除去するようにしてもよい。このときの大小比較としては、単純な比較だけでなく、一定以上の大きさであるか否かや、一定の比率以上であるか否かに基づく比較でもよい。
【0092】
また、例えば、Wd90自体が所定角度幅以上に大きいときに、Wd90に対応する距離データを除去するようにしてもよい。
【0093】
また、これらのいくつかを組み合わせて、対応する距離データを除去するか否かの判定を行うようにしてもよい。
【0094】
以上で説明した第4実施形態の構成によれば、例えば、雨天や降雪時だけでなく濃霧などによってパルスレーザ光の一部が反射されて生じ得る人体判定の対象とすべきではない距離データが予め除去されるので、雨天や降雪時だけでなく濃霧発生時においても侵入者などの適確な検知を行うとともに誤検知を極力防止することができる。
【0095】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザエリアセンサ100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のレーザエリアセンサ100によって形成される検知エリアA100の概略説明図である。
【図3】図1のレーザエリアセンサ100によって取得される距離データの例を示す説明図である。
【図4】図1のレーザエリアセンサ100において、雨天時での特定の測定方向についてのパルスレーザ光の投光信号波形とその反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図4(a)はパルスレーザ光の投光信号波形(各測定周期とも共通)を示し、図4(b)は測定の第M周期目における反射光の受光信号波形を示し、図4(c)は測定の第M+1周期目における反射光の受光信号波形を示し、図4(d)は測定の第M+2周期目における反射光の受光信号波形を示す。
【図5】本発明の第2実施形態に係るレーザエリアセンサにおいて、雨天時での特定の測定周期についてのパルスレーザ光の反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図5(a)は測定方向が角度N−2である受光信号波形を示し、図5(b)は測定方向が角度N−1である受光信号波形を示し、図5(c)は測定方向が角度Nである受光信号波形を示し、図5(d)は測定方向が角度N+1である受光信号波形を示し、図5(e)は測定方向が角度N+2である受光信号波形を示し、図5(f)は測定方向が角度N+3である受光信号波形を示す。
【図6】本発明の第3実施形態に係るレーザエリアセンサにおいて、濃霧発生時での特定の測定周期についてのパルスレーザ光の反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図6(a)は測定方向が角度N−2である受光信号波形を示し、図6(b)は測定方向が角度N−1である受光信号波形を示し、図6(c)は測定方向が角度Nである受光信号波形を示し、図6(d)は測定方向が角度N+1である受光信号波形を示し、図6(e)は測定方向が角度N+2である受光信号波形を示し、図6(f)は測定方向が角度N+3である受光信号波形を示す。
【図7】本発明の第4実施形態に係るレーザエリアセンサにおいて、濃霧発生時での特定の測定周期についてのパルスレーザ光の反射光の受光信号波形などを例示するタイムチャートであり、図7(a)は測定方向が角度N−3である受光信号波形を示し、図7(b)は測定方向が角度N−2である受光信号波形を示し、図7(c)は測定方向が角度N−1である受光信号波形を示し、図7(d)は測定方向が角度Nである受光信号波形を示し、図7(e)は測定方向が角度N+1である受光信号波形を示し、図7(f)は測定方向が角度N+2である受光信号波形を示し、図7(g)は測定方向が角度N+3である受光信号波形を示す。
【符号の説明】
【0097】
10 建物
10a 建物壁面
100 レーザエリアセンサ
A100 検知エリア
110 レーザ距離計
120 スキャン機構
130 データ取得部
135 データ補正部
140 人体判定部
150 警告出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報も取得する第1レーザ距離計と、
この第1レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、
この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第1レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル情報を時系列で取得する情報取得部と、
測定方向毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定周期の前後の測定周期における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定方向の当該測定周期における前記不連続変化に対応する距離情報を除去するとともに前記不連続変化に対応しない部分の受光レベル情報を補正する第1情報補正部と、
この第1情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、
この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部と
を備えていることを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項2】
パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報も取得する第1レーザ距離計と、
この第1レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、
この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第1レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル情報を時系列で取得する情報取得部と、
測定周期毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定方向に隣接する測定方向における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定周期の当該測定方向における前記不連続変化に対応する距離情報を除去する第2情報補正部と、
この第2情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、
この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部と
を備えていることを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項3】
パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報も取得する第1レーザ距離計と、
この第1レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、
この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第1レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル情報を時系列で取得する情報取得部と、
測定方向毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定周期の前後の測定周期における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定方向の当該測定周期における前記不連続変化に対応する距離情報を除去するとともに前記不連続変化に対応しない部分の受光レベル情報を補正する第1情報補正部と、
測定周期毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定方向に隣接する測定方向における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定周期の当該測定方向における前記不連続変化に対応する距離情報を除去する第2情報補正部と、
前記第1情報補正部および前記第2情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、
この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部と
を備えていることを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項4】
パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベル情報および前記反射光の時間軸上での時間幅情報も取得する第2レーザ距離計と、
この第2レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、
この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第2レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報、受光レベル情報および時間幅情報を時系列で取得する情報取得部と、
測定周期毎に、この情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定方向に隣接する測定方向における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定周期の当該測定方向における前記不連続変化に対応する距離情報を除去する第2情報補正機能と、測定周期毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報、受光レベル情報および時間幅情報を当該測定方向に隣接する複数の測定方向における距離情報、受光レベル情報および時間幅情報と比較したときに、隣接測定方向間の変化量がすべて所定程度以内である測定方向範囲を検知角度幅と呼ぶことにすると、当該測定方向の特定の距離情報に対応する受光レベル情報、時間幅情報および検知角度幅が所定の関係を満たすときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去する第3情報補正機能とによって補正を行う情報補正部と、
この情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、
この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部と
を備えていることを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項5】
請求項4に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部はさらに、測定方向毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル情報を当該測定周期の前後の測定周期における距離情報および受光レベル情報と比較したときに、所定程度を超える不連続変化が生じている場合には、当該測定方向の当該測定周期における前記不連続変化に対応する距離情報を除去するとともに前記不連続変化に対応しない部分の受光レベル情報を補正する第1情報補正機能による補正も併せて行うことを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報に対応する時間幅情報が所定時間幅以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報に対応する検知角度幅が所定角度幅以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報に対応する時間幅情報が所定時間幅以上であって且つ前記特定の距離情報に対応する検知角度幅が所定角度幅以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項9】
請求項4または請求項5に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部における前記第3情報補正機能は、前記特定の距離情報にそれぞれ対応する時間幅情報および検知角度幅の比率が所定比率以上であるときに、当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部における前記第3情報補正機能が当該測定周期の当該測定方向における前記特定の距離情報を除去するのは、前記特定の距離情報に対応する検知角度幅における受光レベル情報の平均値が所定値以下の場合に限ることを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項11】
パルスレーザ光を出射し、その方向に存在する少なくとも1以上の物体からのそれぞれの反射光が戻ってくるまでの時間を測定して前記物体までの距離情報を取得するとともに、前記反射光の受光レベルを時間積分した受光レベル時間積分情報も取得する第3レーザ距離計と、
この第3レーザ距離計による測定方向を変える走査機構部と、
この走査機構部によって測定方向を変えながら前記第3レーザ距離計による測定を周期的に行うことにより、検知エリアを形成するとともにその検知エリア内における測定方向毎の距離情報および受光レベル時間積分情報を時系列で取得する情報取得部と、
測定周期毎に、前記情報取得部によって取得された距離情報および受光レベル時間積分情報を当該測定方向に隣接する複数の測定方向における距離情報および受光レベル時間積分情報と比較したときに、隣接測定方向間の変化量がすべて所定程度以内である測定方向範囲を検知角度幅と呼ぶことにすると、当該測定方向の第1距離情報に対応する第1受光レベル時間積分情報および第1検知角度幅が所定の関係を満たすときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去する補正を行う情報補正部と、
この情報補正部によって補正された距離情報の中から人体に対応すると推測される部分を抽出するとともに、そうして抽出された部分の時系列での移動状況に基づいて人体であるか否かを判定する人体判定部と、
この人体判定部によって人体が存在していると判定された場合に人体検知信号を出力する人体検知信号出力部と
を備えていることを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項12】
請求項11に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部は、前記第1検知角度幅が所定角度幅以上であるときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項13】
請求項11に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部は、前記第1検知角度幅が所定角度幅以上であって、且つ、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報がより遠距離側に存在するときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項14】
請求項11に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部は、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応する受光レベル時間積分情報のそれぞれの検知角度幅にわたる平均値又はすべての検知角度幅にわたる平均値に対して、前記第1受光レベル時間積分情報の前記第1検知角度幅にわたる第1平均値が所定程度以上に大きいときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項15】
請求項11に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部は、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応するそれぞれの検知角度幅に対して、前記第1検知角度幅が所定程度以上に大きいときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。
【請求項16】
請求項11に記載のレーザエリアセンサにおいて、
前記情報補正部は、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応する受光レベル時間積分情報のそれぞれの検知角度幅にわたる平均値又はすべての検知角度幅にわたる平均値に対して、前記第1受光レベル時間積分情報の前記第1検知角度幅にわたる第1平均値が所定程度以上に大きく、且つ、前記第1検知角度幅に含まれる複数の測定方向の少なくとも一部を対応する検知角度幅として共通に含む他の距離情報に対応するそれぞれの検知角度幅に対して、前記第1検知角度幅が所定程度以上に大きいときに、当該測定周期の前記第1距離情報を除去することを特徴とするレーザエリアセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−110069(P2009−110069A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278957(P2007−278957)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】