説明

レーザダイオード駆動回路

【課題】複数のレーザダイオードを液晶バックライトユニットに使用した場合でも均斉度を図るとともに、レーザダイオードの発光効率を高める。
【解決手段】直列に接続されたレーザダイオードLD1〜LDnに対し、周囲温度を検出する温度センサ11およびレーザダイオードLD1〜LDnにそれぞれ対応の光量センサOS1〜OSnを設けて、マイコン12に温度および光量のデータを取り込む。取り込まれた温度データに基づいてレーザダイオードLD1〜LDnを駆動する定電流回路13の定電流値を決定する。光量センサOS1〜OSnから得られるレーザダイオードLD1〜LDnの光量を平均化するために、レーザダイオードLD1〜LDnからの光量に基づきレーザダイオードLD1〜LDnの温度を制御することにより、レーザダイオードLD1〜LDnから得られる光量特性の均斉度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バックライトユニットの光源として用いたレーザダイオードを駆動させるレーザダイオード駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザダイオード駆動回路は、定電流電源に複数のレーザダイオードが直列接続され、各レーザダイオードにはバイパス電流センサ、比較器、それに電流制御手段からなる負帰還回路によるバイパス回路がそれぞれ設けられている。特性バラツキによりレーザダイオードの駆動電流が減少すると、バイパス回路のバイパス電流が増加するので、負帰還制御によって駆動電流を元の値に戻している。また、レーザダイオードそのものの特性バラツキを抑制するために、レーザダイオードの発光量が減少した場合、光量センサが発光量を検出して駆動電流を制御し、発光量を正常な値に戻すようにしている。(例えば、特許文献1)
また、レーザダイオードを駆動させる制御回路が周囲温度検出手段の出力に基づいて、その温度に合った最適な時定数を決定し、その時定数とレーザダイオードの温度検出素子の出力に基づいて温度制御用定電流回路の出力電流値を制御するようにしている。(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−259965公報
【特許文献2】特開2001−53378公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザダイオードは素子により、図7に示すようにレーザダイオードの電気的特性にバラツキdがあることが知られている。また、図8に示すように周囲温度によっても、電流−光出力特性が大幅に変化することが知られている。このため、複数のレーザダイオードの光出力を一定に制御するには、それぞれの光出力に応じてレーザダイオードへ供給する電流を調整する必要がある。
【0005】
上記した特許文献1の技術は、全てのレーザダイオードに供給する定電流の一部をバイパスに流して、レーザダイオードの電流を増減させて光量を一定にする制御を行っていることから、光出力に用いられないバイパスで消費させるための余分な電流を供給する必要がある、という問題があった。
【0006】
また、上記した特許文献2の技術は、レーザダイオードが直列あるいは並列に複数接続された場合には、レーザダイオードのバラツキには対応できないことから、光出力にバラツキが発生する、という問題があった。
【0007】
この発明の目的は、複数のレーザダイオードを使用した場合の均斉度を図るとともに、レーザダイオードの発光効率を高めることのできるレーザダイオード駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、この発明のレーザダイオード駆動回路は、直列または並列接続させた複数のレーザダイオードと、温度センサと、前記温度センサから得られる温度情報に基づき前記複数のレーザダイオードに印加させる定電流を設定する定電流回路と、前記複数のレーザダイオードから発光される光量を検出する光量センサと、前記光量センサにより検出された光量に基づき、前記複数のレーザダイオードの温度調整することにより光量を制御する光量制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数のレーザダイオードを液晶バックライトユニットに使用した場合でも均斉度を図るとともに、レーザダイオードの発光効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のレーザダイオード駆動回路に関する第1の実施形態について説明するための回路構成図である。
【図2】図1の動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明のレーザダイオード駆動回路に関する第2の実施形態について説明するための回路構成図である。
【図4】この発明のレーザダイオード駆動回路に関する第3の実施形態について説明するための回路構成図である。
【図5】この発明のレーザダイオード駆動回路がバックライトユニットに搭載された場合の一例について説明するための説明図である。
【図6】この発明のレーザダイオード駆動回路がバックライトユニットに搭載された場合の他の例について説明するための説明図である。
【図7】レーザダイオードの電気的特性のバラツキについて説明するための説明図である。
【図8】周囲温度により電流−光出力特性の大幅な変化について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、この発明のレーザダイオード駆動回路に関する一実施形態について説明するための回路構成図である。
【0013】
図1において、11は温度センサであり、この温度センサ11で検出された温度情報を、マイコン12に供給する。13は、マイコン12からの定電流値の情報に基づいた定電流を出力する定電流回路である。
【0014】
100は、n個が直列に接続されたレーザダイオードLD1〜LDn、レーザダイオードLD1〜LDnに対向する位置に配置した光量センサOS1〜OSn、2種類の金属の接合部に電流を流すと片方の金属からもう片方へ熱が移動するペルチェ効果を利用した温度制御手段であるペルチェ素子PL1〜PLnから構成される光量制御手段である。光量制御手段100は、レーザダイオードLD1〜LDnからそれぞれ発光される光量を、個別に検出する光量を検出する機能および温度を制御する機能を備えている。
【0015】
定電流回路13から出力される定電流である駆動電流Idは、レーザダイオードLD1〜LDnを駆動し、これらを発光させる。レーザダイオードLD1〜LDnの発光量を検出する光量センサOS1〜OSnのそれぞれ出力情報は、I/Oポート14を介して多重化されマイコン12に供給する。I/Oポート14は、光量センサOS1〜OSnから入力されるアナログ値をデジタルデータに変換するとともに、多重信号化する機能を有し、この多重デジタル信号を、マイコン12に供給することで、マイコン12に直接接続されるライン数を減らしている。
【0016】
ペルチェ素子PL1〜PLnは、マイコン12から出力される多重化された駆動電圧データをI/Oポート15を介してそれぞれに入力し、ここでマイコン12からのペルチェ素子PL1〜PLnのそれぞれに対応の駆動電圧に変換するとともに分離してペルチェ素子PL1〜PLnにそれぞれ供給し、ペルチェ効果による冷却を行う。I/Oポート15は、マイコン12からの多重デジタル信号をアナログ信号に変換するとともに、分離させて対応のペルチェ素子PL1〜PLnにそれぞれ供給することで、マイコン12に直接接続されるライン数を減らしている。
【0017】
次に、図1の動作について図2のフローチャートとともに説明する。
まず、マイコン12は、温度センサ11で検出された温度情報を供給し、この検出温度をデジタルデータとして生成する(S1)。マイコン12では、予めマイコン12に内蔵されたROM(Read Only Memory)に記憶された温度データに対し、どれたけ差があるかを演算し(S2)、演算結果を制御電圧値として定電流回路13に供給し、制御電圧値に対応の定電流を生成し、直列接続されたレーザダイオードLD1〜LDnの駆動電流Idとする(S3)。
【0018】
駆動電流Idに基づき点灯されたレーザダイオードLD1〜LDnの発光量を光量センサOS1〜OSnで検出し(S4)、マイコン12に内蔵されたROMに予め記憶された光量データとの差をそれぞれ演算する(S5)。
【0019】
光量センサOS1〜OSnで検出された光量データと記憶された光量データ値よりも上か下かをそれぞれ判断する(S6)。ステップS6において、記憶された光量データと検出された該当するレーザダイオードの光量データを比較し、該当するレーザダイオードの光量データが上であれば、マイコン12は出力から該当するペルチェ素子の温度を上げるのに必要な電圧値を演算し、該当のペルチェ素子に供給し、レーザダイオードの温度を上げて光量を低下させる(S7)。
【0020】
ステップS6において、記憶された光量データよりも該当するレーザダイオードの光量データが下であれば、マイコン12は出力から該当するペルチェ素子の温度を下げるのに必要な電圧値を演算し、該当のペルチェ素子に供給し、レーザダイオードの温度を下げて光量を上昇させる(S8)。
【0021】
このような制御を、光量センサOS1〜OSnとレーザダイオードLD1〜LDnとの間でそれぞれ行うことで、レーザダイオードLD1〜LDnから得られる分光特性の均斉度を向上させることができる。
【0022】
なお、光量の合わせ方としては種々考えられるが、光量の低い方から高い方に合わせた場合、レーザダイオードLD1〜LDn全体で高い輝度を得ることができる。
【0023】
この実施形態では、温度センサからの温度情報で定電流回路の出力される定電流を決定して直列接続の複数のレーザダイオードに供給し、レーザダイオードから周囲の温度に対応した光量を得るとともに、各レーザダイオードの光量を検出し、各レーザダイオードの光量を均一化させる制御を行うことで、複数のレーザダイオードから得られる照度の均斉度の向上を図ることができる。
【0024】
図3は、この発明のレーザダイオード駆動回路に関する第2の実施形態について説明するための回路構成図である。この実施形態は、光量制御手段100と同一の構成の光量制御手段200,300を、光量制御手段100に並列接続したものである。図1と同一の機能の部分には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0025】
この場合は、光量制御手段100〜300の各レーザダイオードLD1〜LDnに対して共通の温度センサ11により検出された温度情報で駆動電流を設定できる。また、レーザダイオードLD1〜LDnを備えた複数の光量制御手段100〜300により照射面積を拡大することができる。
【0026】
図4は、この発明のレーザダイオード駆動回路に関する第3の実施形態について説明するための回路構成図である。上記した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0027】
この実施形態は、レーザダイオードLD1〜LDnを並列に接続したものである。この場合、複数のレーザダイオードが並列接続されていることから、レーザダイオードに印加する電圧が小さい値で構わない。
【0028】
図5は、この発明のレーザダイオード駆動回路が液晶パネルのバックライトユニットに搭載された場合の一例について説明するための説明図である。
【0029】
51は、液晶パネルのバックライトユニットである。バックライトユニット51の一方の辺には、レーザダイオードLD1〜LDnが配置され、対向する他方に辺には、レーザダイオードと同じ数の光量センサOS1〜OSnが配置される。
【0030】
これにより、光量センサOS1〜OSnは、対向する位置にあるレーザダイオードLD1〜LDnの光量を検出することができる。検出された光量に基づきレーザダイオードLD1〜LDnから出力される光量を平均化させることができ、均斉度の向上を図ることができる。
【0031】
図6は、この発明のレーザダイオード駆動回路がバックライトユニットに搭載された場合の他の例について説明するための説明図である。
【0032】
この例は、レーザダイオードLD1〜LDnに基づく配光を考え、光量センサの数をレーザダイオードLD1〜LDnの数よりも少なくしたものである。この場合は、光量センサからの検出結果を、レーザダイオードLD1〜LDnの中でグルーピングし、各グループ間の光量を平均化させることにより、全体の均斉度の向上を図ることができる。この場合、光量センサの数を少なくした分だけシステムを廉価にすることが可能となる。
【0033】
この発明は上記した形態に限定されるものではない。例えば、レーザダイオードを冷却させる温度制御手段の一例としてペルチェ素子を挙げたが、強制的に冷却をさせるものであればなんでも構わない。強制的に冷却を他の温度制御手段としてはファンが考えられる。また、発光量制御部とマイコンとの入出力にI/Oポートを用いたが、直接マイコンに接続されるライン数を気にしなければ、直接接続しても構わない。
【符号の説明】
【0034】
100 光量制御手段
11 温度センサ
12 マイコン
13 定電流回路
14,15 I/Oポート
LD1〜LDn レーザダイオード
OS1〜OSn 光量センサ
PL1〜PLn ペルチェ素子
51 バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列または並列接続させた複数のレーザダイオードと、
温度センサと、
前記温度センサから得られる温度情報に基づき前記複数のレーザダイオードに印加させる定電流を設定する定電流回路と、
前記複数のレーザダイオードから発光される光量を検出する光量センサと、
前記光量センサにより検出された光量に基づき、前記複数のレーザダイオードの温度調整することにより光量を制御する光量制御手段と、を具備したことを特徴とするレーザダイオード駆動回路。
【請求項2】
前記光量センサは、前記光量制御手段の数よりも少なくしたことを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード駆動回路。
【請求項3】
前記レーザダイオードの光量制御手段は、光量が少ないレーザダイオードの温度を下げて光量を増やすことを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード駆動回路。
【請求項4】
前記複数のレーザダイオードは、それぞれのレーザダイオードの光出力のバラツキに基づき温度分布を制御することを特徴とする請求項1記載のレーザダイオード駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−228597(P2011−228597A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99179(P2010−99179)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】