説明

レーザプロジェクタ

【課題】より簡便に投影画像を補正することができるレーザプロジェクタを実現する。
【解決手段】レーザプロジェクタ100は、傾斜角センサ5を備え、その傾斜角センサ5によって検出されたレーザプロジェクタ100(筐体100a)のスクリーンSに対する仰角または俯角の角度に応じて、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるようにすることで、スクリーンSに投影された画像が長方形となるように補正することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源からの光を投影面に走査して画像を表示させるレーザプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを光源とするレーザプロジェクタとして、例えば、共振ミラーによる反射によって、レーザ光源からのレーザ光を2軸方向に走査してスクリーンに照射し、画像を表示させる技術が知られている。
このレーザプロジェクタからスクリーンに向けて照射されるレーザ光は、ミラーにより照射角度を変えながら走査されるので、プロジェクタからの距離が長いほどスクリーンに投影された画像が大きくなる台形歪みが生じてしまうことがある。
このような台形歪みを補正する技術として一般的に、プロジェクタにおいて画像処理を施すことによって、画像が長方形になるように補正する技術が知られている。
【0003】
また、プロジェクタからスクリーンまでの距離を計測し、その計測した距離に応じてミラーがレーザ光を走査する角度を調整することで、スクリーンに投影される画像を補正して表示するプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328428号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の場合、光学的な画像処理によっては情報欠落が生じることがあり、表示画像の画質が劣化してしまうことがあるという問題があった。
また、上記特許文献1の場合、例えば、スクリーンに対するレーザ光の照射角度が浅く、スクリーンで反射されたレーザ光の反射光がプロジェクタ側に戻らないなどのために、受光部で反射光を検出できず、プロジェクタからスクリーンまでの距離を計測できなければ、画像の補正処理が行えなくなってしまうことがあった。
【0006】
本発明の目的は、より簡便に投影画像を補正することができるレーザプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を投影面上の左右方向および上下方向に走査する走査手段と、を備え、左右方向に走査された前記レーザ光の軌跡を上下方向に並べるように、前記投影面に画像を形成するレーザプロジェクタにおいて、
前記走査手段が前記レーザ光を左右方向に走査するためのパルス信号を生成する走査信号生成手段と、
前記走査信号生成手段により生成されたパルス信号に応じて、前記走査手段を左右方向に往復させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を変えるために、前記走査信号生成手段が生成するパルス信号のパルスパターンを変化させるパルス調整手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザプロジェクタにおいて、
前記走査手段がレーザ光を左右方向に走査しつつ、始端から終端の上下方向に走査位置が切り替えられて前記投影面に画像が形成される投影区間と、前記終端から前記始端に戻る上下方向へ前記走査手段による走査位置が切り替えられる非投影区間と、を有し、
前記投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第一の振り幅から第二の振り幅になる投影用のパルスパターンとされ、前記非投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第二の振り幅から第一の振り幅に戻る非投影用のパルスパターンとされるように、前記パルス調整手段による制御によって、前記走査信号生成手段が生成するパルス信号のパルスパターンが設定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレーザプロジェクタにおいて、
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス数を増減させることで、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のレーザプロジェクタにおいて、
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス幅を増減させることで、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のレーザプロジェクタにおいて、
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス中心を基準にして、前記パルス信号のパルス幅を増減させることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のレーザプロジェクタにおいて、
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス振幅を増減させることで、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載のレーザプロジェクタにおいて、
当該レーザプロジェクタが前記投影面に対して設置された仰角または俯角を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段が検出した角度に応じた前記パルス調整手段による制御によって、前記走査信号生成手段が前記パルス信号のパルスパターンを変化させて、
前記レーザ光が前記投影面に当たる角度が浅くなるほど、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を小さくすることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、
レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を投影面上の左右方向および上下方向に走査する走査手段と、を備え、左右方向に走査された前記レーザ光の軌跡を上下方向に並べるように、前記投影面に画像を形成するレーザプロジェクタにおいて、
前記走査手段が前記レーザ光を左右方向に走査するためのパルス信号を生成する走査信号生成手段と、
前記走査信号生成手段により生成されたパルス信号に応じて、前記走査手段を左右方向に往復させる駆動手段と、
当該レーザプロジェクタが前記投影面に対して設置された仰角または俯角を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段が検出した角度に応じて、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を変えるために、前記走査信号生成手段が生成するパルス信号のパルスパターンを変化させるパルス調整手段と、
を備え、
前記走査手段がレーザ光を左右方向に走査しつつ、始端から終端の上下方向に走査位置が切り替えられて前記投影面に画像が形成される投影区間と、前記終端から前記始端に戻る上下方向へ前記走査手段による走査位置が切り替えられる非投影区間と、を有し、
前記投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第一の振り幅から第二の振り幅になる投影用のパルスパターンとされ、前記非投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第二の振り幅から第一の振り幅に戻る非投影用のパルスパターンとされるように、
前記角度検出手段が検出した角度に応じた前記パルス調整手段による制御によって、前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス数を増減させることと、前記パルス信号のパルス幅を増減させることと、前記パルス信号のパルス振幅を増減させることの、少なくとも1つのパルス信号のパルスパターンの変化がなされて、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されて、
前記レーザ光が前記投影面に当たる角度が浅くなるほど、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レーザプロジェクタは、レーザ光が投影面に当たる角度が浅くなるほど、走査手段の左右の振り幅が小さくなるように、パルス信号のパルスパターンを変化させることができ、投影面に形成される画像が長方形となるように補正することを可能とするので、より簡便に投影画像を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るレーザプロジェクタの要部構成を示すブロック図である。
【図2】電磁駆動型走査ミラーの構造を示す斜視図である。
【図3】レーザプロジェクタが、スクリーンに画像を投影する際の角度を示す説明図であり、筐体の角度が0°である場合(a)と、筐体の角度がα°である場合(b)である。
【図4】共振周波数fを有するパルス信号を示す説明図であり、基準的な信号(a)、パルス数を減らした信号(b)、パルス数を更に減らした信号(c)である。
【図5】共振周波数fを有するパルス信号を示す説明図であり、基準的な信号(a)、パルス幅を増大させた信号(b)、パルス幅を減少させた信号(c)である。
【図6】共振周波数fを有するパルス信号を示す説明図であり、基準的な信号(a)、パルス中心を合わせてパルス幅を増大させた信号(b)、パルス中心を合わせてパルス幅を減少させた信号(c)である。
【図7】共振周波数fを有するパルス信号を示す説明図であり、基準的な信号(a)、パルス振幅を増大させた信号(b)、パルス振幅を減少させた信号(c)である。
【図8】レーザプロジェクタによる投影区間と非投影区間に関する説明図であり、電磁駆動型走査ミラーの垂直走査位置に対応する投影区間と非投影区間を示す図(a)と、投影区間における水平ミラー駆動信号の一例を示す図(b)と、非投影区間における水平ミラー駆動信号の一例を示す図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0018】
レーザプロジェクタ100は、図1に示すように、筐体100a内に、操作部1、レーザ光を照射するレーザ光源2、レーザ光源2からのレーザ光を合波するミラー部3、レーザ光源2からのレーザ光を投影面であるスクリーンS上に走査する電磁駆動型走査ミラー4、スクリーンSに対するレーザプロジェクタ100の傾斜角度を検出する傾斜角センサ5、所定の周波数の駆動信号を生成する駆動信号生成部6、駆動信号生成部6により生成された駆動信号に基づいて電磁駆動型走査ミラー4を駆動するミラー駆動部7、スクリーンSに走査する画像の画像データを記憶する画像メモリ8、画像データに基づいてレーザ光源2を駆動する光源駆動部9、制御部10等を備えて構成される。
【0019】
レーザ光源2は、例えば、半導体レーザ(LD:Laser Diode)であり、画像メモリ8における画像データに基づく光源駆動部9の駆動により、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のレーザ光を出力する。
【0020】
ミラー部3は、例えば、特定の波長の光を透過して、それ以外の波長の光を反射するダイクロイックミラー等であり、複数のレーザ光源2からの各色レーザ光を合波して1軸の光軸を有するレーザ光とし、そのレーザ光を電磁駆動型走査ミラー4に出射する。
【0021】
電磁駆動型走査ミラー4は、電磁的な駆動によって、レーザ光源2からのレーザ光を二次元方向に反射させ、スクリーンSにレーザ光を投射して走査する走査手段として機能する。この電磁駆動型走査ミラー4は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を利用した電磁駆動型のMEMSミラーを用いるものとする。MEMSミラーは、マイクロマシニング技術を利用して、シリコンウエハ上に機械的な機構と電気回路とを集積することにより製造される微小な装置であり、このMEMSミラーを用いることにより、装置全体の小型化を図ることができる。
【0022】
電磁駆動型走査ミラー4としてのMEMSミラーは、図2に示すように、レーザ光を反射するミラー基板31、ミラー基板31を囲むように形成された内側フレーム32、内側フレーム32を囲むように形成された外側フレーム33を備えている。
ミラー基板31は、内側軸34によって内側フレーム32の内側に支持され、内側軸34の軸周りに揺動可能となっている。また、内側フレーム32は、内側軸34と直交する方向の外側軸35によって外側フレーム33の内側に支持され、外側軸35の軸周りに揺動可能となっている。
ミラー基板31の表面の略中央部にはミラーMが設けられており、ミラーMを囲む周縁部に平面状のコイル311が形成されている。また、内側フレーム32の表面の周縁部には平面状のコイル312が形成されており、各コイル311、312の両端は電極36に電気的に接続されている。
また、外側フレーム33の側面には、2対の永久磁石37、38が、N極とS極とが互いに対向するように配置されている。なお、対を成す永久磁石37は、内側軸34の軸線方向に対向しており、対を成す永久磁石38は、外側軸35の軸線方向に対向している。
【0023】
駆動信号生成部6は、制御部10による制御に応じて、電磁駆動型走査ミラー4の固有共振周波数を有する駆動信号を生成する。
特に、駆動信号生成部6は、走査信号生成手段として機能し、電磁駆動型走査ミラー4が、レーザ光を左右方向に主走査するためのパルス信号を生成する。また、駆動信号生成部6は、電磁駆動型走査ミラー4が、レーザ光を上下方向に副走査するための駆動信号を生成する。
なお、電磁駆動型走査ミラー4による左右方向の主走査は速く、上下方向の副走査は遅いものであり、左右方向に1往復の主走査が行われた後のタイミングに、下方向に一段ずれる副走査が行われるようになっている。ただし、最下行の主走査を行った後は、最上行の主走査を行うために上方向に比較的早く戻る副走査が行われる。
【0024】
ミラー駆動部7は、電磁駆動型走査ミラー4の電極36に接続され、駆動信号生成部6において生成された駆動信号に基づき電磁駆動型走査ミラー4を駆動する駆動手段として機能する。
【0025】
そして、電磁駆動型走査ミラー4における、コイル311、312の両端の電極36に駆動電圧を印加して電流を流すと、永久磁石37、38によって発生する磁界との相互作用によりローレンツ力が生じ、内側軸34と外側軸35を軸心としてミラー基板31及び内側フレーム32がそれぞれ傾斜する。
従って、電磁駆動型走査ミラー4に流す電流信号を制御することで、電磁駆動型走査ミラー4を、内側軸34と外側軸35を軸心とする直交する2つの方向(左右方向及び上下方向)に自在に揺動させることができる。
この電磁駆動型走査ミラー4に所定の周期で変動する駆動信号であるパルス信号を流すと、電磁駆動型走査ミラー4は、そのパルス信号の周期(周波数)に応じた所定の周期で振動することとなる。特に、共振周波数fで駆動した場合、電磁駆動型走査ミラー4はその電流値における最大の振れ角で揺動するため、低電力で最も効率よく大きな画像を表示させることができる。
【0026】
傾斜角センサ5は、レーザプロジェクタ100がスクリーンSに対して設置された角度である、スクリーンSに対する筐体100aの仰角または俯角を検出する角度検出手段として機能し、検出した角度データを制御部10に出力する。
【0027】
操作部1は、筐体100aの表面に設けられており、レーザプロジェクタ100がスクリーンSに対して設置された角度である、スクリーンSに対する筐体100aの仰角または俯角に関するデータなどの入力を受け付け、そのデータや操作信号を制御部10に出力する。
【0028】
画像メモリ8は、スクリーンSに表示させる画像の画像データを記憶する。なお、画像データの供給源はこれに限らず、筐体100aに接続されたPC(Personal Computer)、ビデオカメラ等の各種の記憶装置に記憶された画像データを用いてもよい。
【0029】
光源駆動部9は、画像メモリ8から読み出した画像データに基づきレーザ光源2を駆動し、画素毎のレーザ光を調整して、ミラー部3で合波されるレーザ光の色を切り替える。
【0030】
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、CPU101のワークエリアとして利用されるRAM(Random Access Memory)102、各種データやプログラム等を格納するROM(Read Only Memory)103等を備えて構成される。
【0031】
CPU101は、レーザプロジェクタ100の各部から入力される入力信号に応じて、ROM103に格納された各種プログラムを実行するとともに、実行にかかるプログラムに基づいて各部に出力信号を出力することにより、レーザプロジェクタ100の動作全般を統括制御する。
【0032】
ROM103は、プログラム格納エリアに、パルス調整プログラム103a等を格納している。
また、ROM103には、レーザ光がスクリーンSに当たる角度に対応し、スクリーンSに投影された画像が長方形となるように、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を調節するためのパルス信号に関するデータが記憶されている。
【0033】
パルス調整プログラム103aは、例えば、CPU101に、傾斜角センサ5が検出した角度、または、操作部1を介して入力されたデータに応じて、駆動信号生成部6が生成するパルス信号のパルスパターンを調整し変化させる機能を実現させるためのプログラムである。
CPU101は、パルス調整プログラム103aの実行において、傾斜角センサ5が検出したレーザプロジェクタ100(筐体100a)の仰角または俯角の角度、または、操作部1を介して入力されたデータに基づき、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、ミラー駆動部7による電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を小さくするように、駆動信号生成部6が生成するパルス信号を変調させるなど、パルス信号のパルスパターンを変化させる。
CPU101は、かかるパルス調整プログラム103aを実行することにより、パルス調整手段として機能する。
【0034】
具体的には、パルス調整手段としてのCPU101は、走査信号生成手段としての駆動信号生成部6が生成するパルス信号のパルス数を間引くなど増減させることで、ミラー駆動部7による電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を調節する制御を実行する。
また、パルス調整手段としてのCPU101は、走査信号生成手段としての駆動信号生成部6が生成するパルス信号のパルス幅を増減させることで、ミラー駆動部7による電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を調節する制御を実行する。
また、パルス調整手段としてのCPU101は、走査信号生成手段としての駆動信号生成部6が生成するパルス信号のパルス振幅を増減させることで、ミラー駆動部7による電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を調節する制御を実行する。
【0035】
次に、本発明に係るレーザプロジェクタ100が、スクリーンSに画像を投影する際の処理について説明する。
なお、レーザプロジェクタ100における電磁駆動型走査ミラー4が最上行の走査を行う際のミラーの角度が「+θ」であり、最下行の走査を行う際のミラーの角度が「−θ」であるとする。
【0036】
このレーザプロジェクタ100(筐体100a)のスクリーンSに対する角度(仰角、俯角)がα=0°である場合、図3(a)に示すように、レーザプロジェクタ100の正面に走査されスクリーンSに垂直に当たるレーザ光より、上側や下側で走査されるレーザ光の方がスクリーンSに当たる角度が浅くなる。
そして、スクリーンSに対して設置されたレーザプロジェクタ100(筐体100a)の角度(仰角、俯角)がα=0°であると傾斜角センサ5が検出した場合、パルス調整手段としてのCPU101は、レーザプロジェクタ100がスクリーンSの上下方向の中央(図3(a)中「0」の位置)に向け、左右方向にレーザ光を走査する際の電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が最大となるパルス信号を駆動信号生成部6に生成させ、また、レーザ光の走査が最上行(図3(a)中「+θ」の位置)や最下行(図3(a)中「−θ」の位置)に向かうほど、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が徐々に小さくなるパルス信号を駆動信号生成部6に生成させる。
【0037】
また、図3(b)に示すように、レーザプロジェクタ100(筐体100a)のスクリーンSに対する角度(仰角、俯角)がα°である場合、電磁駆動型走査ミラー4の上下角度に応じて、レーザ光の走査が最上行に向かいレーザ光がスクリーンSに当たる角度は「α+θ」となり、レーザ光の走査が最下行に向かいレーザ光がスクリーンSに当たる角度は「α−θ」となる。
そして、スクリーンSに対して設置されたレーザプロジェクタ100(筐体100a)の角度(仰角、俯角)がα°であると傾斜角センサ5が検出した場合、パルス調整手段としてのCPU101は、レーザ光の走査が最上行(図3(b)中「α+θ」の位置)から最下行(図3(b)中「α−θ」の位置)に移行する間に、レーザ光がスクリーンSに当たる角度に応じて、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるパルス信号を駆動信号生成部6に生成させる。
【0038】
具体的に、パルス調整手段としてのCPU101は、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が最大となる共振周波数fを有する図4(a)に示すパルス信号を基準に、パルスを間引いてパルス数を減らした間欠的なパルス信号(図4(b)(c)参照)を駆動信号生成部6に生成させ、電磁駆動型走査ミラー4の上下角度に応じて、レーザ光の走査が最上行や最下行に向かい、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、パルスがより間引かれた間欠的なパルス信号で電磁駆動型走査ミラー4を駆動させ、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるように制御する。
【0039】
また、パルス調整手段としてのCPU101は、共振周波数fを有する図5(a)に示すパルス信号を基準に、パルス幅を増大させたパルス信号(図5(b)参照)や、パルス幅を減少させたパルス信号(図5(c)参照)を駆動信号生成部6に生成させ、電磁駆動型走査ミラー4の上下角度に応じて、レーザ光の走査が最上行や最下行に向かい、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、パルス幅を減少させたパルス信号で電磁駆動型走査ミラー4を駆動させ、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるように制御する。
なお、パルス調整手段としてのCPU101は、図6(a)(b)(c)に示すように、共振周波数fを有する図6(a)に示すパルス信号のパルス中心を基準にして、パルス信号のパルス幅を増減させることが好ましい。このようなパルス幅を増減によって、より短い時間でレーザ光の走査幅を増減させることが可能となり、より大きな歪みの補正を好適に行うことが可能になる。
【0040】
また、パルス調整手段としてのCPU101は、共振周波数fを有する図7(a)に示すパルス信号を基準に、パルス振幅を増大させたパルス信号(図7(b)参照)や、パルス振幅を減少させたパルス信号(図7(c)参照)を駆動信号生成部6に生成させ、電磁駆動型走査ミラー4の上下角度に応じて、レーザ光の走査が最上行や最下行に向かい、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、パルス振幅を減少させたパルス信号で電磁駆動型走査ミラー4を駆動させ、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるように制御する。
【0041】
次に、レーザプロジェクタ100が、スクリーンSに画像を投影する際に、1フレーム内でパルスパターンを変化させてパルス信号を切り替えるタイミングや、その切り替えられたパルス信号で電磁駆動型走査ミラー4によるレーザ光の走査が行われる区間について、図8を参照して説明する。
なお、ここでは、図3(b)の投射角度でスクリーンSに対して設置されたレーザプロジェクタ100を例に説明する。
【0042】
図8(a)に示すように、レーザプロジェクタ100における電磁駆動型走査ミラー4によるレーザ光の走査が行われる区間として、電磁駆動型走査ミラー4がレーザ光を左右方向に走査しつつ、始端である最上行から終端である最下行の上下方向に垂直走査位置が切り替えられて、スクリーンSに画像が形成される投影区間(区間a)と、終端である最下行から始端である最上行に戻る上下方向へ電磁駆動型走査ミラー4による垂直走査位置が切り替えられる非投影区間(区間b)と、がある。
【0043】
この投影区間(区間a)では、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が、始端である「α+θ」の位置で最も小さな振り幅となる第一の振り幅から、終端である「α−θ」の位置で最も大きな振り幅となる第二の振り幅に変化させるように、例えば、図8(b)に示す、パルス数が比較的多いパルスパターン(投影用パルスパターン)に設定される。
また、非投影区間(区間b)では、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が、終端である「α−θ」の位置での最も大きな振り幅(第二の振り幅)から、始端である「α+θ」の位置で最も小さな振り幅(第一の振り幅)に戻るように変化させるように、例えば、図8(c)に示す、パルス数が比較的少ないパルスパターン(非投影用パルスパターン)に設定される。
【0044】
そして、投影区間(区間a)において、始端である「α+θ」の垂直走査位置から終端である「α−θ」の垂直走査位置に向かうように、電磁駆動型走査ミラー4がレーザ光を左右方向に走査する際に、図8(b)に示す投影用パルスパターンが設定されることで、左右の振り幅が第一の振り幅から第二の振り幅に徐々に大きくなるので、スクリーンSに投影された画像が長方形に補正されて表示される。
また、非投影区間(区間b)において、終端である「α−θ」の垂直走査位置から始端である「α+θ」の垂直走査位置に戻る際に、図8(c)に示す非投影用パルスパターンが設定されることで、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が徐々に小さくなり、投影区間(区間a)の始端に応じた第一の振り幅に戻り、次の投影区間(区間a)での走査に好適に移行することができる。
【0045】
このように、投影区間(区間a)から非投影区間(区間b)に移行するタイミングで、投影用のパルスパターン(図8(b)参照)から非投影用のパルスパターン(図8(c)参照)に切り替えることと、非投影区間(区間b)から投影区間(区間a)に移行するタイミングで、非投影用のパルスパターン(図8(c)参照)から投影用のパルスパターン(図8(b)参照)に切り替えることを繰り返し行うパルス調整手段としてのCPU101による制御によって、各区間に対応して駆動信号生成部6が生成するパルス信号のパルスパターンが設定されることで、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるようにすることができ、台形歪みを補正してスクリーンSに投影された画像が長方形となるようにすることが可能になる。
【0046】
こうして電磁駆動型走査ミラー4の上下角度に応じ、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるようにすることで、スクリーンSに投影された画像が長方形となるように補正される。
なお、電磁駆動型走査ミラー4が左右方向に走査するレーザ光の軌跡の間隔を等間隔とするように、磁駆動型走査ミラー4の上下の振り幅を調整するようにすれば、所望のアスペクト比を維持した長方形の画像をスクリーンSに投影することができる。
【0047】
以上のように、本発明に係るレーザプロジェクタ100は、傾斜角センサ5が検出したレーザプロジェクタ100(筐体100a)がスクリーンSに対向する仰角または俯角の角度に応じて、レーザ光がスクリーンSに当たる角度が浅くなるほど、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅が小さくなるようにすることで、スクリーンSに投影された画像が長方形となるように補正することができる。
つまり、レーザプロジェクタ100は、傾斜角センサ5を備え、検出したレーザプロジェクタ100(筐体100a)の角度(仰角、俯角)に応じて、電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を調節するパルス信号を駆動信号生成部6が生成するので、容易に電磁駆動型走査ミラー4の左右の振り幅を調節することができ、より簡便に投影画像を補正することができる。
【0048】
なお、以上の実施の形態においては、傾斜角センサ5が検出したレーザプロジェクタ100(筐体100a)の角度(仰角、俯角)に応じたパルス信号を駆動信号生成部6が生成するとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、操作部1を手動操作することによって、レーザプロジェクタ100(筐体100a)の角度(仰角、俯角)に応じたパルス信号を駆動信号生成部6に生成させてもよい。
【0049】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 操作部
2 レーザ光源
3 ミラー部
4 電磁駆動型走査ミラー(走査手段)
5 傾斜角センサ(角度検出手段)
6 駆動信号生成部(走査信号生成手段)
7 ミラー駆動部(駆動手段)
8 画像メモリ
9 光源駆動部
10 制御部
101 CPU(パルス調整手段)
102 RAM
103 ROM
103a パルス調整プログラム
100 レーザプロジェクタ
100a 筐体
S スクリーン(投影面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を投影面上の左右方向および上下方向に走査する走査手段と、を備え、左右方向に走査された前記レーザ光の軌跡を上下方向に並べるように、前記投影面に画像を形成するレーザプロジェクタにおいて、
前記走査手段が前記レーザ光を左右方向に走査するためのパルス信号を生成する走査信号生成手段と、
前記走査信号生成手段により生成されたパルス信号に応じて、前記走査手段を左右方向に往復させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を変えるために、前記走査信号生成手段が生成するパルス信号のパルスパターンを変化させるパルス調整手段と、
を備えることを特徴とするレーザプロジェクタ。
【請求項2】
前記走査手段がレーザ光を左右方向に走査しつつ、始端から終端の上下方向に走査位置が切り替えられて前記投影面に画像が形成される投影区間と、前記終端から前記始端に戻る上下方向へ前記走査手段による走査位置が切り替えられる非投影区間と、を有し、
前記投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第一の振り幅から第二の振り幅になる投影用のパルスパターンとされ、前記非投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第二の振り幅から第一の振り幅に戻る非投影用のパルスパターンとされるように、前記パルス調整手段による制御によって、前記走査信号生成手段が生成するパルス信号のパルスパターンが設定されることを特徴とする請求項1に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項3】
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス数を増減させることで、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項4】
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス幅を増減させることで、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項5】
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス中心を基準にして、前記パルス信号のパルス幅を増減させることを特徴とする請求項4に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項6】
前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス振幅を増減させることで、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項7】
当該レーザプロジェクタが前記投影面に対して設置された仰角または俯角を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段が検出した角度に応じた前記パルス調整手段による制御によって、前記走査信号生成手段が前記パルス信号のパルスパターンを変化させて、
前記レーザ光が前記投影面に当たる角度が浅くなるほど、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を小さくすることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のレーザプロジェクタ。
【請求項8】
レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を投影面上の左右方向および上下方向に走査する走査手段と、を備え、左右方向に走査された前記レーザ光の軌跡を上下方向に並べるように、前記投影面に画像を形成するレーザプロジェクタにおいて、
前記走査手段が前記レーザ光を左右方向に走査するためのパルス信号を生成する走査信号生成手段と、
前記走査信号生成手段により生成されたパルス信号に応じて、前記走査手段を左右方向に往復させる駆動手段と、
当該レーザプロジェクタが前記投影面に対して設置された仰角または俯角を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段が検出した角度に応じて、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を変えるために、前記走査信号生成手段が生成するパルス信号のパルスパターンを変化させるパルス調整手段と、
を備え、
前記走査手段がレーザ光を左右方向に走査しつつ、始端から終端の上下方向に走査位置が切り替えられて前記投影面に画像が形成される投影区間と、前記終端から前記始端に戻る上下方向へ前記走査手段による走査位置が切り替えられる非投影区間と、を有し、
前記投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第一の振り幅から第二の振り幅になる投影用のパルスパターンとされ、前記非投影区間では前記走査手段の左右の振り幅が、第二の振り幅から第一の振り幅に戻る非投影用のパルスパターンとされるように、
前記角度検出手段が検出した角度に応じた前記パルス調整手段による制御によって、前記走査信号生成手段が、前記パルス信号のパルス数を増減させることと、前記パルス信号のパルス幅を増減させることと、前記パルス信号のパルス振幅を増減させることの、少なくとも1つのパルス信号のパルスパターンの変化がなされて、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅が調節されて、
前記レーザ光が前記投影面に当たる角度が浅くなるほど、前記駆動手段による前記走査手段の左右の振り幅を小さくすることを特徴とするレーザプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−217372(P2010−217372A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62612(P2009−62612)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】