説明

レーザレーダ装置の設置角度設定システム及びレーザレーダ装置の設置角度設定方法

【課題】レーザビームの走査面を、より簡単に地面と平行に設定できるレーザレーダ装置の設置角度設定システムを提供する。
【解決手段】レーザレーダ装置を、レーザビームの走査面を90°以内で変化可能な構成とし、走査面を一方向に角度45°だけ傾けて距離Laを測定し(S3)、次は走査面を逆方向に90°だけ傾けて距離Lbを測定する(S4,S5)。測定距離La,Lbより地面内の第1基準水平方向に対して傾いている角度θcを算出し(S6)角度θc傾ける(S7)。次に走査面を地面と直角にして(S8)距離Ld1,Ld2を夫々測定し(S10,S11)、その測定結果よりレーザビームが基準角度0°にある状態で第2基準水平方向と平行になるまでの角度差θxを算出すると(S12)、本体を地面の方向に角度差θxだけ傾けて走査面を90°回転させる(S14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザレーダ装置におけるレーザビームの走査面を地面と平行に設定するシステム,及びレーザレーダ装置の設置角度設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図14に示すように、レーザレーダ装置1は、地面2に立設する壁面3に設置され、レーザビームの走査面を監視する場所の地面2と平行になる状態で測定を行うのが一般的である。しかしながら、監視する場所の地面2は必ずしも水平面であるとは限らず、水準器を用いてレーザビームの走査面を水平にしても前記地面2とは平行にならない場合がある。そのため、現状では、図15に示すように、例えば同じ高さh3の基準測定対象物4を複数設置して、レーザ走査によりそれらの対象物4が検出できるか確認しながらレーザレーダ装置4の設置角度を調整しており、設置作業が煩雑であるという問題がある。また、地面は必ずしも1方向だけに傾いているとは限らず、図16に示すように水平面に対して2方向に傾いている場合もあり、そのような場合には調整がさらに困難となる。
【0003】
特許文献1には、等間隔で平行な3つ以上のレーザビームを用いて目標物までの位置を算出する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3659957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、3つのレーザビームを壁面に当てることで計測される2つの距離a’,a’’が等しくなるように装置を傾けることで、壁面に対してレーザビームが垂直となるように調整することは開示されている。この技術では、壁面が地面に対して垂直である場合のみレーザビームを地面に対して平行にすることができるが、必ずしも壁面が地面に対して垂直であるとは限らないので、課題を解決するために適した技術であるとは言えない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、レーザビームの走査面を、より簡単に地面と平行に設定できるレーザレーダ装置の設置角度設定システム及びレーザレーダ装置の設置角度設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システムによれば、レーザレーダ装置を、本体が設置面に設置された状態で、レーザビームの走査面を両方向に90°以内で変化させることが可能な構成とする。そして、ユーザインターフェイス手段は、先ず、レーザビームの走査面を、一方向に角度θ0(<90°)だけ傾けるようにユーザに対して報知し、ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、レーザレーダ装置に走査角θaについて地面までの距離Laを測定させる。
【0007】
次に、レーザビームの走査面を、角度θ0傾いた状態から逆方向に角度θmoveだけ傾けるようにユーザに対して報知し、ユーザにより作業完了応答があると、レーザレーダ装置に、走査角θb1,θb2(|θb1|>|θb2|)について、地面までの距離Lb,Lcをそれぞれ測定させる。それから、測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態での走査面が地面内の第1基準水平方向に対して傾いている角度;第1傾き角θcを算出し、測定距離Lb,Lcより走査面が第2基準水平方向に対して傾いている角度;第2傾き角θdを算出する。そして、レーザレーダ装置の本体を第1基準水平方向に角度θcだけ傾けるようにユーザに対して報知し、作業完了応答があると、レーザレーダ装置の本体を第2基準水平方向に角度θdだけ傾けるようにユーザに対して報知する。
すなわち、地面内の第1基準水平方向に対する傾き角θcは、走査角θa,θb1及び角度θmove,測定距離La,Lbの幾何学的関係から求めることができ、また、地面内の第2基準水平方向に対する傾き角θdは、走査角θb1,θb2及び測定距離Lb,Lcの幾何学的関係から求めることができる。
【0008】
したがって、レーザレーダ装置の本体を接地面に設置した状態で走査面が地面に対して2方向に傾いていても、本体を第1基準水平方向に角度θcだけ傾け、且つ第2基準水平方向に角度θdだけ傾ければ、走査面が何れの方向についても平行となるように調整できる。つまり、レーザレーダ装置に、レーザビームの走査面を両方向に90°以内で変化させることが可能な構成を採用した上で、ユーザインターフェイス手段がユーザに対して作業指示を行ない、且つ必要な測定をレーザレーダ装置に行わせて、作業に必要な計算値を求めてユーザに提示することで、ユーザは従来よりも調整作業を簡単に実行することができる。
【0009】
請求項2記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システムによれば、ユーザインターフェイス手段は、レーザビームの基準角度0°に対して走査角θa,θb1の一方を−90°,他方を90°とすると、第1傾き角θcを(1)式により算出する。
La・cosθc=Lb・cos(180°−θmove−θc) …(1)
すなわち、走査角θa,θb1の振り幅は180°となり、測定距離La,Lbは、レーザレーダ装置の正面から見た場合の見かけ状の距離と一致する。したがって、その状態での幾何学的関係より(1)式が成り立つので、第1傾き角θcを(1)式によって算出することができる。
【0010】
請求項3記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システムによれば、ユーザインターフェイス手段は、角度θb1と地面と直角となる角度との差である角度θ3を(2)式により算出する。
Lb・cosθ3=Lc・cos(θ3+θb1−θb2) …(2)
すなわち、(2)式の両辺は、レーザレーダ装置におけるレーザビームの照射点から地面に下ろした垂線の長さを示している。そして、角度θ3を求めれば、基準角度におけるレーザビームが地面と平行になるまでの角度差θdは(3)式により算出できる。
θd=θ3+θb1−90° …(3)
【0011】
請求項4記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システムによれば、ユーザインターフェイス手段は、レーザビームの走査面を、角度θ0傾いた状態から逆方向に角度θmoveだけ傾けるようにユーザに対して報知するまでは請求項1と同様に処理を行うが、ユーザによる作業完了応答があると、レーザレーダ装置に、1つの走査角θbについて地面までの距離Lbを測定させる。そして、測定距離La,Lbより第1傾き角θcを算出すると、レーザレーダ装置の本体を、第1基準水平方向に角度θcだけ傾けるようにユーザに対して報知する。
【0012】
続いて、作業完了応答があると、レーザビームの走査面を地面と直角にするようにユーザに対して報知し、作業完了応答があるとレーザレーダ装置に走査を実行させ、2つの走査角度θd1,θd2(θd1>θd2)について測定された地面までの距離Ld1,Ld2に基づいて、レーザビームが基準角度0°にある状態で地面と平行になるまでの角度差θxを算出する。それから、レーザレーダ装置の本体を、地面方向に角度差θxだけ傾けるようにユーザに対して報知し、作業完了応答があるとレーザレーダ装置におけるレーザビームの走査面を90°回転させるようにユーザに対して報知する。
【0013】
すなわち、請求項1とは異なり、最初に、レーザビームの走査面が地面内の第1基準水平方向に対して平行となるように調整させる。その状態からレーザビームの走査面を地面と直角にして、2つの走査角度θd1,θd2について距離Ld1,Ld2を測定させ、走査面が地面内の第2基準水平方向に対して傾いている角度;角度差θxを求めるので、角度差θxをより高い精度で求めることができる。
請求項5又は6記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システムによれば、請求項4記載のシステムについて、請求項2又は3と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例であり、レーザレーダ装置の設置角度の調整手順を示すフローチャート
【図2】設置角度の調整手順を説明する正面図
【図3】同側面図
【図4】レーザレーダ装置を壁面に設置した状態の(a)平面図、(b)側面図
【図5】スキャン角度の方向を定義する図
【図6】パソコンのディスプレイに表示されるユーザインターフェイス画面を示す図
【図7】第2実施例を示す図6相当図(その1)
【図8】図6相当図(その2)
【図9】図6相当図(その3)
【図10】第3実施例であり、レーザレーダ装置の設置角度の調整手順を示す側面図及び平面図
【図11】レーザレーダ装置の設置角度を調整手順を示す斜視図
【図12】図1相当図
【図13】第4実施例を示す図6相当図
【図14】従来技術を説明する図(その1)
【図15】従来技術を説明する図(その2)
【図16】従来技術を説明する図(その3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図1ないし図6を参照して説明する。また、図14及び図15と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。図4は、本実施例で使用するレーザレーダ装置11の特徴的な構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は図14と同様の側面図である。一般的なレーザレーダ装置1では、図14に示したように、レーザビームは水平方向に走査面が拡がるように出力される。一方、レーザレーダ装置11は、図4に示すように、壁面(設置面)3に本体11が設置された状態で、走査面が地面2に対して垂直となるように、出力部11bが±90°の範囲内で回転可能となるように構成されている。また、図5には、レーザレーダ装置11がスキャンを行う場合の角度の±を示す(平面図)。
【0016】
また、レーザレーダ装置11には、パーソナルコンピュータ(パソコン,ユーザインターフェイス手段)12が通信線13を介して接続されており、両者は例えばシリアル通信インターフェイスを介して通信可能となっている。パソコン12は、レーザレーダ装置11を使用して計測を行う場合のユーザインターフェイスプログラムが搭載されており、ユーザの入力操作に応じてレーザレーダ装置11に測定指示を出力したり、レーザレーダ装置11による測定結果をディスプレイ12Dに表示させる。また、ユーザに対して必要なメッセージをディスプレイ12Dに表示したり、図示しないスピーカを介して音声で出力するなどして報知を行う。
【0017】
次に、本実施例の作用、すなわち、レーザレーダ装置11の設置角度を調整する手順について図1ないし図3を参照して説明する。図2及び図3は、設置角度の調整手順を説明する図であり、図1は、同手順を示すフローチャートである。図2,図3は、レーザレーダ装置11をそれぞれ正面,側面から見た図であり、壁面3(図2では、図示の都合上柱状に示す)が水平に対して垂直に立ち上がっているとして、地面2は水平面より2方向に傾斜しているとする。図2に示す、地面2の平面内にある第1基準水平方向からの傾きを第1傾き角と称し、図3に示す第2基準水平方向(第1基準水平方向と直交する方向)からの傾きを第2傾き角と称する。
【0018】
ユーザは、レーザレーダ装置11を監視したい場所の地面2に立設する壁面3に設置すると(S1)、次に、レーザレーダ装置11より出力されるレーザビームの走査面を、図2(a)に示す設置状態Aとするように傾ける(S2,第1ステップ)。例えば、通常の使用方向に対して45°(θ0)回転させて固定する。その状態で、所定のスキャン角度(この場合−90°)において測定点Aまでの距離Laを測定する(S3,第2ステップ)。次に、レーザビームの走査面を、図2(b)に示す設置状態Bとするように角度θmoveだけ傾ける(S4,第3ステップ)。例えば、設置状態Aから、逆方向に90°回転させて固定する。その状態で、所定のスキャン角度(この場合90°)において測定点Bまでの距離Lbを測定する(S5,第4ステップ)。
【0019】
測定された距離La,Lbは、パソコン12のディスプレイ12Dに表示されるので、ユーザは、その測定結果に基づいて第1傾き角θcを(1)式により算出する(S6,第5ステップ)。
La・cosθc=Lb・cos(180°−θmove−θc) …(1)
(1)式は、図2に示す幾何学的関係より決まる。尚、180°はS3,S5におけるスキャン角度の開きであり、角度θmoveも既知であるから(1)式を解けば第1傾き角θcを求めることができる。
ユーザは、第1傾き角θcを求めると、レーザレーダ装置11の本体11aを、図2(d)に示すように角度θcだけ傾けて固定する(S7,第6ステップ)。これにより、地面2の第1基準水平方向と、レーザレーダ装置11の走査面とが平行になる。
【0020】
次に、ユーザは、図2(d)の状態を基準として出力部11bを90°回転させて、図4,図3(a)に示す状態,すなわち、走査面が地面2と直角となるようにする(S8)。その状態で、レーザレーダ装置11に地面2を走査させる(S9)。図4(b)はレーザビームによる走査の状態を示している。測定結果は、図6に示すようにパソコン12のディスプレイ12Dにリストとして表示される。ここでは、走査角0.5°毎に測定された距離(m)が表示されている。
【0021】
ユーザは、上記測定結果を参照して適当な2ポイントを選択する。ここでは、図6(a)に示すp1「走査角14.0°;距離5.76m」と、図6(b)に示すp2「走査角10.0°;距離9.57m」とを選択したものとする。ここで、p1の走査角がθd1,測定距離がLd1に対応し、p2の走査角がθd2,測定距離がLd2に対応する(S10,S11,第7ステップ)。
【0022】
図3(a)に示すように、地面2に立つ垂線(レーザレーダ装置11におけるレーザビームの照射点から地面に下ろした垂線)より距離Ld1の走査線がなす角をαとし、基準角度におけるレーザビームが、地面2と平行になるまで俯角方向に調整する角度をθx(第2傾き角)とする。すると、幾何学的関係より(2)式及び(3)式が成り立つ。
Ld1・cosα=Ld2・cos(α+θd1−θd2) …(2)
θx=α+θd1−90° …(3)
【0023】
すなわち、(2)式の両辺は上記垂線の長さを示している。そして、角度αを求めれば、基準角度におけるレーザビームが地面2と平行になるまでの角度差θxは、(3)式により算出できる。(2)式より、角度αは以下のように求められる。
Ld1・cosα/Ld2=cosα・cos(θd1−θd2)
+sinα・sin(θ1d−θd2)
Ld1/Ld2=cos(θd1−θd2)+tanα・sin(θ1d−θd2)
tanα={l1/l2−cos(θd1−θd2)}/sin(θd1−θd2)
α=tan-1[{Ld1/Ld2−cos(θd1−θd2)}
/sin(θd1−θd2)]
【0024】
上述したp1,p2の測定結果についてユーザが角度θxを計算するとθx=4°となる(S12,第8ステップ)。図3(b)に示すように、レーザレーダ装置11の走査角が角度(θd2−θx)となったときに測定された距離がLb2になれば、レーザビームの基準角度が地面2と平行になる。
θd2−θx=10°−4°=6°
となるから、ユーザは、レーザレーダ装置11の出力部11bを、本体11aに対して俯角方向に傾けて、図6(c)に示すように、走査角6°において測定される距離がLb2=9.57mとなるように調整する(S13)。そのように調整すれば、レーザビームの基準角度は地面2と平行になるので、その状態で、図3(c)に示すように出力部11bを90°回転させれば(S14,第9ステップ)レーザビームの走査面は地面2の第2基準水平方向と平行になる。
【0025】
以上のように本実施例によれば、レーザレーダ装置11について、本体11aが壁面3に設置された状態でレーザビームの走査面を90°以内で変化させることが可能な構成を採用し、レーザビームの走査面を、一方向に角度45°だけ傾けて走査角−90°で地面までの距離Laを測定すると、次は走査面を逆方向に90°だけ傾けて、走査角90°で地面までの距離Lbを測定する。そして、測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態でのレーザビームの走査面が地面2内の第1基準水平方向に対して傾いている角度;第1傾き角θcを算出し、レーザレーダ装置11の本体11aを、第1基準水平方向に角度θcだけ傾ける。
【0026】
それから、レーザビームの走査面を地面2と直角にした状態で、2つの走査角度θd1,θd2について地面までの距離Ld1,Ld2をそれぞれ測定し、その測定結果に基づいて、レーザビームが基準角度0°にある状態で、地面2の第2基準水平方向と平行になるまでの角度差θxを算出する。そして、レーザレーダ装置11の本体11aを第2基準水平方向に角度差θxだけ傾けて、レーザビームの走査面を90°回転させるようにした。
【0027】
すなわち、距離La,Lbを測定すれば第1傾き角θcを算出することができ、レーザレーダ装置11の走査面が地面2の第1基準水平方向と平行となるように調整できる。そして、走査角度θd1,θd2について距離Ld1,Ld2を測定すれば、レーザビームが基準角度から地面2の第2基準水平方向と平行になるまでの角度差θxを計算により求めることができる。角度差θxが求められれば、レーザレーダ装置11の本体11aを地面2の方向に角度差θxだけ傾けてレーザビームの走査面を90°回転させることで、レーザビームの走査面が地面2と平行なる。従って、地面2が絶対水平に対して2方向に傾斜している場合でも、ユーザは調整作業を従来よりも簡単に行うことができる。
【0028】
そして、第1傾き角θcを(1)式により算出する。すなわち、走査角θa,θb1の振り幅は180°となり、測定距離La,Lbは、レーザレーダ装置11の正面から見た場合の見かけ状の距離と一致する。したがって、その状態での幾何学的関係より(1)式が成り立つので、第1傾き角θcを(1)式によって算出することができる。また、角度θd1と地面2と直角となる角度との差である角度αを(2)式により算出し、基準角度におけるレーザビームが地面2の第2基準水平方向と平行になるまでの角度差θxを(3)式により算出することができる。更に、本体11aを地面2の方向に角度差θxだけ傾けるため、レーザビームの走査角度が、角度θd2と角度差θxとの差である角度(θd2−θx)を示す際に検出される距離が距離Ld2となるように調整するので、レーザビームの走査面が地面2と直角になっている状態で、基準角度におけるレーザビームが第2基準水平方向と平行になるように調整できる。
【0029】
(第2実施例)
図7ないし図9は第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例は、第1実施例を同様の手順でレーザレーダ装置11の設置角度を調整する場合に、パソコン12が関与する度合をより高めてユーザの作業負担を軽減する例を示す 図7ないし図9は、図6と同様にパソコン12のディスプレイ12Dに表示されるユーザインターフェイス画面の例である。
【0030】
先ず、パソコン12は、図7(a)に示すように「レーザレーダを取り付けてください。」といった文字メッセージを表示させる。ユーザが、そのメッセージに従いレーザレーダ装置11を壁面3に設置して(S1)、例えばジョイパッドやマウスなどのポインティングデバイスにより画面上の「次へ」をクリックする(作業完了応答)。次は図7(b)に示すように「設置状態Aにしたあと測定を開始してください。」といった文字メッセージを表示させる。ユーザが、そのメッセージに従いレーザビームの走査面を45°傾けてから画面上の「測定スタート」をクリックすると、パソコン12はレーザレーダ装置11に距離Laを測定させる(S2,S3)。
【0031】
次は図7(c)に示すように「測定が完了しました。所定角度θmove動かし設置状態Bにしたあと測定を開始してください。」といった文字メッセージを表示させる。ユーザが「測定スタート」をクリックすると、パソコン12はレーザレーダ装置11に距離Lbを測定させる(S4,S5)。次は図7(d)に示すように「測定が完了しました。算出角度θc動かし設置状態Cにしてください。完了後、『次へ』を押してください。」といった文字メッセージを表示させる。また、ディスプレイ12Dには、パソコン12が計算した第1傾き角θcを表示させる(「θc=5°」,S6,S7)。
【0032】
ユーザが「次へ」をクリックすると、図8(a)に示すように「(通常の)レーザ走査面に対して90°レーザレーダを回転させてください。」といった文字メッセージを表示させる。ユーザが、そのメッセージに従い出力部11bを90°回転させてから(S8)画面上の「次へ」をクリックすると、次は図8(b)に示すように「レーザ走査を開始してください。」といった文字メッセージを表示させる。ユーザが「次へ」をクリックすると、レーザレーダ装置11による走査が開始され(S9)、測定結果が図8(c),図9(a)に示すように表示される。
【0033】
パソコン12は、上記のように測定結果を表示するのに伴い、ユーザにθd1,θd2を選択させるためのメッセージを表示する。「θd1を入力してください。」,「θd2を入力してください。」等である。例えば、ユーザが図8(c)よりθd1=15°を選択し(S10)、図9(a)よりθd2=10°を選択して(S11)それぞれの画面で「次へ」をクリックすると、パソコン12は、それらの選択結果に応じて第1実施例と同様に、(2)式,(3)式に従い角度差θxを計算し、角度(θd2−θx)を計算した結果を図9(b)に示すように表示する。
【0034】
この場合、角度(θd2−θx)=6°であり、例えば「表示の角度(6°)にて表示の距離(Ld2=9.57m)になるようにレーザレーダの取り付け角度を調整してください」といったメッセージを表示する(S12,S13)。ユーザが、そのメッセージに従い出力部11bの角度調整を行い「次へ」をクリックすると、パソコン12は、「レーザレーダを90°回転してください。」といった文字メッセージを表示させる。ユーザが、そのメッセージに従い出力部11bを90°回転させてから(S14)画面上の「次へ」をクリックすると処理を終了する。パソコン12は、文字メッセージ「設置完了です。」を表示させる(図8(d)参照)。
【0035】
以上のように第2実施例によれば、パソコン12は、レーザレーダ装置11を設置状態Aとするようにユーザに対して報知し、ユーザによる作業完了応答があると、レーザレーダ装置11に走査角θaについて距離Laを測定させ、次に設置状態Aから逆方向に角度θmoveだけ傾けて設置状態Bとするようにユーザに対して報知し、ユーザによる作業完了応答があると、レーザレーダ装置11に走査角θbについて距離Lbを測定させると、測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態でのレーザビームの走査面が地面2内の第1基準水平方向に対して傾いている角度である第1傾き角θcを算出する。
【0036】
すると、レーザレーダ装置11の走査面を、第1基準水平方向に角度θcだけ傾けて設置状態Cとするようにユーザに対して報知し、ユーザによる作業完了応答があると、次に走査面を地面2と直角にするように報知し、ユーザからの作業完了応答があると、レーザレーダ装置11が走査した測定結果のうち、2点の走査角度θd1,θd2について測定された距離Ld1,Ld2に基づいて角度差θxを算出する。それから、レーザレーダ装置11の本体1aを地面方向に角度差θxだけ傾けるようにユーザに対して報知し、作業完了応答があると、レーザビームの走査面を90°回転させるようにユーザに対して報知する。
【0037】
すなわち、パソコン12が第1傾き角θc及び角度差θxを計算するので、ユーザ自身が計算を行う必要がない。そして、ユーザは、ディスプレイ12Dに表示されるユーザインターフェイス画面を参照し、報知されるメッセージに従った手順で作業すれば、レーザビームの走査面が地面2と平行なるように簡単に調整できる。また、パソコン12は、本体11aを地面方向に角度差θxだけ傾けるため、レーザビームの走査角度が、角度θd2と角度差θxとの差である角度(θd2−θx)を示す際に検出される距離が距離Ld2となるように調整することをユーザに報知する。したがって、ユーザがそのように調整を行えば、レーザビームの走査面が地面2と直角になっている状態で、基準角度におけるレーザビームが地面2と平行になるように調整できる。
【0038】
(第3実施例)
図10ないし図12は第3実施例であり、第1又は第2実施例と異なる部分のみ説明する。第1,第2実施例では、第1傾き角θcを算出するのに距離La,Lbを測定し、第2傾き角θxを算出するのに距離Ld1,Ld2を測定したが、第3実施例では、後者の2つの距離Ld1,Ld2に替えて、1つの距離Lcを測定するだけで第2傾き角θd(=θx)を算出する。図10は、その測定手順を側面図及び正面図の組で示しており、図11は、それらを斜視図として三次元的に示している。そして、図12は、測定手順を示すフローチャートである。図11において、水平X,Yは絶対水平面内で直交する2方向であり、地面2は、水平Xに対しては仰角方向に角度α3,水平Yに対しては仰角方向に角度β3傾いている。
【0039】
第3実施例では、距離Ld1に距離Lbを使用し、距離Ld2を距離Lcとするように測定を行う。図12において、S21〜S23は第1実施例のS2〜S4と同様であり、これらは第1〜第3ステップに対応する。続くS24では、スキャン角度θb1を第1実施例のθbと同様の90°として、スキャン角度θb2は角度θb1より小さい値に設定して、それぞれに対応する測定点B,Cまでの距離Lb,Lcを測定する(第4ステップ)。
【0040】
そして、S6と同様に第1傾き角θc(角度β3に相当)を(1)式により算出すると(S25,第4ステップ)、続いて、距離Lb,Lcから第2傾き角θd(角度α3に相当)を(2),(3)式により算出する(S26,第5ステップ)。それから、レーザレーダ装置11の設置角度をθcだけ調整して設置状態Bから設置状態Cに変更し(S27)、そこから、レーザレーダ装置11の設置角度をθdだけ調整して設置状態Cから設置状態Dに変更する(S27,第6ステップ)。
【0041】
以上のように第3実施例によれば、レーザレーダ装置11を設置状態Aにして走査角θaについて地面までの距離Laを測定し、そこから逆方向に角度θmoveだけ傾けて設置状態Bにすると、走査角θb1,θb2について、地面までの距離Lb,Lcをそれぞれ測定し、測定距離La,Lbより第1傾き角θcを算出し、測定距離Lb,Lcより第2傾き角θdを算出すると、レーザレーダ装置11の本体11a(走査面)を、第1基準水平方向に角度θcだけ傾け設置状態Cにして、第2基準水平方向に角度θdだけ傾け設置状態Dにする。したがって、第1,第2実施例よりも測定手順及び調整手順が少なくなるので、これらの作業をより簡単に行うことができる。
【0042】
(第4実施例)
図13は第4実施例であり、第3実施例の処理を、第2実施例と同様にパソコン12が介在して行う場合のユーザインターフェイス画面例である。図13(a)〜(c)は、第2実施例の図8(b)〜(d)と同じであり、図13(c)の画面においてユーザが「次へ」をクリックすると、「算出角度θd動かし設置状態Dにしてください。完了後、『次へ』を押してください。」といった文字メッセージを表示させる。また、ディスプレイ12Dには、パソコン12が計算した第2傾き角θdを表示させる(「θd=4°」)。そして、ユーザが、そのメッセージに従いレーザレーダ装置11の本体11aを角度θdだけ調整し、画面上の「次へ」をクリックすると処理を終了する。パソコン12は、文字メッセージ「設置完了です。」を表示させる(図13(e)参照)。
【0043】
以上のように第4実施例によれば、パソコン12は、レーザレーダ装置11を設置状態Aにするようにユーザに対して報知し、ユーザにより作業完了応答があると、レーザレーダ装置11に距離Laを測定させ、次に、レーザレーダ装置11を設置状態Bにするようにユーザに対して報知し、作業完了応答があると、レーザレーダ装置11に距離Lb,Lcをそれぞれ測定させる。
【0044】
それから、測定距離La,Lbより第1傾き角θcを算出し、測定距離Lb,Lcより第2傾き角θdを算出すると、レーザレーダ装置11を設置状態Cにするようにユーザに対して報知し、作業完了応答があると、レーザレーダ装置11を設置状態Dにするようにユーザに対して報知する。したがって、第2実施例と同様にパソコン12がユーザに対して作業指示を行ない、且つ必要な測定をレーザレーダ装置11に行わせ、作業に必要な計算値を求めてユーザに提示するので、ユーザは従来よりも調整作業を簡単に実行することができる。
【0045】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にも限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
地面が水平面より仰角方向に傾斜している場合も同様に、角度差θx(符号は負となる)を求めることができる。
設置状態A,Bとする角度は±45°に限ることはない。また、2つの角度の絶対値が異なっても良い。
レーザビームの角度を調整する場合は、レーザレーダ装置11の本体11aを壁面3に取り付ける角度を調整しても良い。ようは、レーザビームの走査面を調整すれば良い。
【0046】
走査角は、0.5°単位でなくても良い。
第2実施例において、θd1,θd2をユーザに選択させることなく、パソコン12が適切な測定点を自動的に選択して角度差θxを計算しても良い。
また、第2実施例における図9(b)の指示メッセージは、「出力部12を4°(=θx)地面方向に傾けてください。」としても良く、ユーザはその指示に応じて調整を行えばよい。第1実施例についても、同様に調整を行っても良い。
第3実施例において、角度θc,θdの調整手順を入れ替えても良い。
ユーザインターフェイス手段は、パーソナルコンピュータである必要はなく、レーザレーダ装置の専用機器であっても良い。また、ユーザインターフェイス手段がレーザレーダ装置の本体に設けられていても良い。
【符号の説明】
【0047】
2は地面、3は壁面(接地面)、11はレーザレーダ装置、11aは本体、11bは出力部、12はパーソナルコンピュータ(ユーザインターフェイス手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体が設置面に設置された状態でレーザビームの走査面を90°以内で変化させることが可能に構成され、前記レーザビームを照射した反射光を受光することで、対象物までの距離及び角度を測定するレーザレーダ装置と、
このレーザレーダ装置に対して測定指示を行い、前記レーザレーダ装置による測定結果,並びに作業指示メッセージをユーザに対して報知し、且つ前記測定結果に基づく演算処理を実行するユーザインターフェイス手段とで構成され、
前記ユーザインターフェイス手段は、前記レーザレーダ装置における前記レーザビームの走査面を、一方向に角度θ0(<90°)だけ傾けるようにユーザに対して報知し、 ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置に走査角θaについて地面までの距離Laを測定させ、
次に、前記レーザビームの走査面を、前記角度θ0傾いた状態から逆方向に角度θmoveだけ傾けるようにユーザに対して報知し、ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置に、走査角θb1,θb2(|θb1|>|θb2|)について地面までの距離Lb,Lcをそれぞれ測定させると、
前記測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態での前記レーザビームの走査面が前記地面内の第1基準水平方向に対して傾いている角度である第1傾き角θcを算出し、前記測定距離Lb,Lcより前記走査面が前記第1基準水平方向と直交する第2基準水平方向に対して傾いている角度である第2傾き角θdを算出し、
前記レーザレーダ装置の本体を、前記第1基準水平方向に対して前記角度θcだけ傾けるようにユーザに対して報知し、ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置本体を、前記第2基準水平方向に対して前記角度θdだけ傾けるようにユーザに対して報知することを特徴とするレーザレーダ装置の設置角度設定システム。
【請求項2】
前記ユーザインターフェイス手段は、前記レーザビームの基準角度0°に対して前記走査角θa,θb1の一方を−90°,他方を90°とすると、
前記第1傾き角θcを(1)式により算出することを特徴とする請求項1記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システム。
La・cosθc=Lb・cos(180°−θmove−θc) …(1)
【請求項3】
前記ユーザインターフェイス手段は、前記角度θb1と、前記地面と直角となる角度との差である角度θ3を(2)式により算出し、
Lb・cosθ3=Lc・cos(θ3+θb1−θb2) …(2)
前記第2傾き角θdを、(3)式により算出することを特徴とする請求項1又は2記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システム。
θd=θ3+θb1−90° …(3)
【請求項4】
本体が設置面に設置された状態でレーザビームの走査面を90°以内で変化させることが可能に構成され、前記レーザビームを照射した反射光を受光することで、対象物までの距離及び角度を測定するレーザレーダ装置と、
このレーザレーダ装置に対して測定指示を行い、前記レーザレーダ装置による測定結果,並びに作業指示メッセージをユーザに対して報知し、且つ前記測定結果に基づく演算処理を実行するユーザインターフェイス手段とで構成され、
前記ユーザインターフェイス手段は、前記レーザレーダ装置における前記レーザビームの走査面を、一方向に角度θ0(<90°)だけ傾けるようにユーザに対して報知し、 ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置に走査角θaについて地面までの距離Laを測定させ、
次に、前記レーザビームの走査面を、前記角度θ0傾いた状態から逆方向に角度θmoveだけ傾けるようにユーザに対して報知し、ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置に走査角θbについて、地面までの距離Lbを測定させると、前記測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態での前記レーザビームの走査面が前記地面内の第1基準水平方向に対して傾いている角度である第1傾き角θcを算出し、
前記レーザレーダ装置の本体を、前記第1基準水平方向に対して前記角度θcだけ傾けるようにユーザに対して報知し、ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置における前記レーザビームの走査面を前記地面と直角にするようにユーザに対して報知し、
ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置に走査を実行させ、2点の走査角度θd1,θd2(|θd1|>|θd2|)について測定された距離Ld1,Ld2に基づいて、前記レーザビームが基準角度0°にある状態で前記地面と平行になるまでの角度差θxを算出し、
前記レーザレーダ装置の本体を、前記地面方向に前記角度差θxだけ傾けるようにユーザに対して報知し、
ユーザにより前記作業を完了したことを示す応答があると、前記レーザレーダ装置における前記レーザビームの走査面を90°回転させるようにユーザに対して報知することを特徴とするレーザレーダ装置の設置角度設定システム。
【請求項5】
前記ユーザインターフェイス手段は、前記レーザビームの基準角度0°に対して前記走査角θa,θbの一方を−90°,他方を90°とすると、
前記第1傾き角θcを(1)式により算出することを特徴とする請求項4記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システム。
La・cosθc=Lb・cos(180°−θmove−θc) …(1)
【請求項6】
前記ユーザインターフェイス手段は、前記角度θd1と、前記地面と直角となる角度との差である角度αを、(2)式により算出し、
Ld1・cosα=Ld2・cos(α+θd1−θd2) …(2)
前記角度差θxを、(3)式により算出することを特徴とする請求項4又は5記載のレーザレーダ装置の設置角度設定システム。
θx=α+θd1−90° …(3)
【請求項7】
レーザビームを照射した反射光を受光することで、対象物までの距離及び角度を測定するレーザレーダ装置を地面に立設する設置面に設置した状態で、前記レーザビームの走査面を前記地面と平行に設定する方法であって、
前記レーザレーダ装置として、前記設置面に設置された状態で、前記レーザビームの走査面を両方向に90°以内で変化させることが可能であるものを使用し、
前記レーザビームの走査面を、一方向に角度θ0(<90°)だけ傾ける第1ステップと、
走査角θaについて地面までの距離Laを測定する第2ステップと、
前記レーザビームの走査面を、前記角度θ0傾いた状態から逆方向に角度θmoveだけ傾ける第3ステップと、
走査角θb1,θb2(|θb1|>|θb2|)について、地面までの距離Lb,Lcをそれぞれ測定する第4ステップと、
前記測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態での前記レーザビームの走査面が前記地面内の第1基準水平方向に対して傾いている角度である第1傾き角θcを算出し、前記測定距離Lb,Lcより前記走査面が前記第1基準水平方向と直交する第2基準水平方向に対して傾いている角度である第2傾き角θdを算出する第5ステップと、
前記レーザレーダ装置の本体を、前記第1基準水平方向に対して前記角度θcだけ傾け、前記第2基準水平方向に対して前記角度θdだけ傾ける第6ステップとからなることを特徴とするレーザレーダ装置の設置角度設定方法。
【請求項8】
前記第5ステップにおいて、前記レーザビームの基準角度0°に対して前記走査角θa,θb1の一方を−90°,他方を90°とすると、
前記第1傾き角θcを(1)式により算出することを特徴とする請求項7記載のレーザレーダ装置の設置角度設定方法。
La・cosθc=Lb・cos(180°−θmove−θc) …(1)
【請求項9】
前記第5ステップにおいて、 前記角度θb1と、前記地面と直角となる角度との差である角度θ3を(2)式により算出し、
Lb・cosθ3=Lc・cos(θ3+θb1−θb2) …(2)
前記第2傾き角θdを、(3)式により算出することを特徴とする請求項7又は8記載のレーザレーダ装置の設置角度設定方法。
θd=θ3+θb1−90° …(3)
【請求項10】
レーザビームを照射した反射光を受光することで、対象物までの距離及び角度を測定するレーザレーダ装置を地面に立設する設置面に設置した状態で、前記レーザビームの走査面を前記地面と平行に設定する方法であって、
前記レーザレーダ装置として、前記設置面に設置された状態で、前記レーザビームの走査面を両方向に90°以内で変化させることが可能であるものを使用し、
前記レーザビームの走査面を、一方向に角度θ0(<90°)だけ傾ける第1ステップと、
走査角θaについて地面までの距離Laを測定する第2ステップと、
前記レーザビームの走査面を、前記角度θ0傾いた状態から逆方向に角度θmoveだけ傾ける第3ステップと、
走査角θbについて、地面までの距離Lbを測定する第4ステップと、
前記測定距離La,Lbより、通常測定を行う状態での前記レーザビームの走査面が前記地面内の第1基準水平方向に対して傾いている角度である第1傾き角θcを算出する第5ステップと、
前記レーザレーダ装置の本体を、前記第1基準水平方向に対して前記角度θcだけ傾ける第6ステップと、
前記レーザビームの走査面を前記地面と直角にした状態で、2つの走査角度θd1,θd2(θd1>θd2)について、前記地面までの距離Ld1,Ld2をそれぞれ測定する第7ステップと、
前記測定結果に基づいて、前記レーザビームが基準角度0°にある状態で、前記地面と平行になるまでの角度差θxを算出する第8ステップと、
前記レーザレーダ装置の本体を前記地面方向に前記角度差θxだけ傾けて、前記レーザビームの走査面を90°回転させる第9ステップとからなることを特徴とするレーザレーダ装置の設置角度設定方法。
【請求項11】
前記第5ステップにおいて、前記レーザビームの基準角度0°に対して前記走査角θa,θbの一方を−90°,他方を90°とすると、前記第1傾き角θcを(1)式により算出することを特徴とする請求項10記載のレーザレーダ装置の設置角度設定方法。
La・cosθc=Lb・cos(180°−θmove−θc) …(1)
【請求項12】
前記第8ステップにおいて、 前記角度θd1と、前記地面と直角となる角度との差である角度αを、(2)式により算出し、
Ld1・cosα=Ld2・cos(α+θd1−θd2) …(2)
前記角度差θxを、(3)式により算出することを特徴とする請求項10又は11記載のレーザレーダ装置の設置角度設定方法。
θx=α+θd1−90° …(3)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−64692(P2013−64692A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204522(P2011−204522)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】