説明

レーザレーダ装置

【課題】装置の周囲にわたる検出が可能であり、かつ3次元的な検出をも行いうるレーザレーダ装置を提供する。
【解決手段】レーザレーダ装置1は、レーザダイオード10と、フォトダイオード20とを有し、所定の中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部41を備えるとともに、偏向部41によりレーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する回動偏向機構40と、回動偏向機構40を回転駆動するモータ50とを備えている。さらに、レーザダイオード10を回転させるモータ70とこのモータ70を制御する制御回路80とを備え、モータ70によりレーザダイオード10を回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光の入射方向を変化させ、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ光を用いて検出物体までの距離や方位を検出する技術として例えば特許文献1のような装置が提供されている。この特許文献1の装置では、レーザ光発生手段からのレーザ光の光軸上に、レーザ光を透過させ、かつ検出物体からの反射光を検出手段に向けて反射する光アイソレータを設けている。さらに、光アイソレータを透過するレーザ光の光軸上において当該光軸方向の中心軸を中心として回動する凹面鏡を設け、この凹面鏡によってレーザ光を空間に向けて反射させると共に、検出物体からの反射光を光アイソレータに向けて反射させることで360°の水平走査を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2789741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術では凹面鏡の回動により360°の水平走査を可能とし、検出領域(レーザ光による走査がなされる領域)を装置の周囲全体にまで拡大しているが、その一方で、検出領域が平面に限定されてしまうという問題がある。即ち、凹面鏡から空間に向けて反射されたレーザ光は所定平面(走査平面)内で走査がなされるため、その走査平面から外れた領域については検出が不能となる。従って、走査平面から外れた検出物体は検出することができず、また、走査平面内に検出物体が存在する場合であってもその検出物体を立体的に把握することはできなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、装置の周囲にわたる検出が可能であり、かつ3次元的な検出をも行いうるレーザレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、
レーザ光を発生するレーザ光発生手段と、
前記レーザ光発生手段から前記レーザ光が発生したときに、検出物体によって反射される前記レーザ光の反射光を検出する光検出手段と、
所定の中心軸を中心として回動可能に構成された1つの偏向手段を備えるとともに、当該偏向手段により前記レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ前記反射光を前記光検出手段に向けて偏向する回動偏向手段と、
前記レーザ光発生手段からの前記レーザ光を前記偏向手段に向けて偏向するミラーと、
前記回動偏向手段の前記偏向手段を回転駆動する駆動手段と、
前記レーザ光発生手段を第1の回転軸を中心として回転させる第1の回転手段と、
前記レーザ光発生手段を前記第1の回転軸と直交する向きの第2の回転軸を中心として回転させる第2の回転手段と、
前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記偏向手段の回動位置に応じて前記レーザ光発生手段を前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段の少なくともいずれかにより回転させ、前記レーザ光発生手段から前記レーザ光偏向手段に入射する前記レーザ光の入射角度を変化させることで、前記偏向手段に入射する前記レーザ光の入射方向を変化させ、前記偏向手段からの前記レーザ光の向きを、前記中心軸の方向に関して変化させるように構成され、
前記中心軸の方向を縦方向としたとき、前記光検出手段は、前記ミラーに対し縦方向一方側に配置され、前記偏向手段は、前記ミラーに対し縦方向他方側に配置され、前記レーザ光発生手段、前記第1の回転手段、及び前記第2の回転手段は、前記ミラーの横側に配置されており、
前記制御手段は、
前記偏向手段が、予め設定された所定の回動範囲にあるときには、前記レーザ光発生手段を、前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段により前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸を中心として回転させることで、前記偏向手段に入射する前記レーザ光の前記入射方向を変化させ、前記所定の回動範囲以外のときには、前記レーザ光発生手段を、前記第1の回転手段により前記第1の回転軸を中心として回転させることで、前記偏向手段に入射する前記レーザ光の前記入射方向を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、レーザ光の向きを、中心軸と直交する平面方向だけでなく、中心軸の方向にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。特に、回転手段を用いてレーザ光発生手段を回転させることで、偏向手段に入射するレーザ光の入射方向を変化させ、偏向手段からのレーザ光の向きを中心軸の方向に関して変化させるようにしているため、装置構成が複雑化しにくく、さらに、回転手段を制御することで、レーザ光の中心軸方向の変化を制御できるようになるため、レーザ光の方向制御を良好に行うことができる。また互いに異なる回転軸を有する2つの回転手段を回転させて偏向手段に入射するレーザ光の入射方向を変化させるようにしているため、偏向手段に対してレーザを2方向に振ることができ、中心軸方向の走査を行う上での自由度が大きくなる。
また、第1の回転手段及び第2の回転手段の少なくともいずれかによりレーザ光発生手段を回転させ、レーザ光発生手段からレーザ光偏向手段に入射するレーザ光の入射角度を変化させることで、レーザ光偏向手段から偏向手段に入射するレーザ光の入射方向を変化させている。このようにすると、レーザ光発生手段から偏向手段に対して直接レーザ光を照射させにくい事情がある場合において三次元的検出を行う上で有利な構成となる。
更に、偏向手段の角度に応じて、第1の回転手段によるレーザ光制御を用いるか、第1の回転手段及び第2の回転手段の両方によるレーザ光制御を用いるかを使い分けることができ、偏向手段の角度に応じた適切なレーザ光制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、参考例1に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。
【図2】図2(a)は、図1のレーザレーダ装置に用いるレーザ光発生手段及び回転手段等を拡大して説明する説明図であり、図2(b)は、レーザ光発生手段及び回転手段等を図2(a)とは異なる方向から説明する説明図である。
【図3】図3は、図1のレーザレーダ装置における検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図4】図4は、第1実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。
【図5】図5(a)は、図4のレーザレーダ装置に用いるレーザ光発生手段及び回転手段等を拡大して説明する説明図であり、図5(b)は、レーザ光発生手段及び回転手段等を図5(a)とは異なる方向から説明する説明図である。
【図6】図6は、図4のレーザレーダ装置における検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[参考例1]
以下、参考例1について、図面を参照して説明する。図1は参考例1に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図2(a)は、図1のレーザレーダ装置に用いるレーザ光発生手段及び回転手段等を拡大して説明する説明図であり、図2(b)は、レーザ光発生手段及び回転手段等を図2(a)とは異なる方向から説明する説明図である。なお、図1、図2では、中心軸42aの方向をY軸方向、モータ70の回転中心(回転軸74)の方向をZ軸方向、これらY軸方向及びZ軸方向と直交する方向をX軸方向と定義している。
【0010】
図1に示すように、レーザレーダ装置1は、レーザダイオード10と、検出物体からの反射光を受光するフォトダイオード20とを備え、検出物体までの距離や方位を検出する装置として構成されている。なお、図1では、反射光の光路の例を符号L2にて示している。
【0011】
レーザダイオード10は、「レーザ光発生手段」の一例に相当するものであり、図示しない駆動回路からパルス電流を供給されてパルスレーザ光(レーザ光L1)を投光するものである。フォトダイオード20は、「検出手段」の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光を検出し電気信号に変換する構成をなしている。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが取り込まれる構成となっており、図1の例において、レーザ光L1が実線で示す経路を通過する場合には、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光がフォトダイオード20に取り込まれるようになっている。
【0012】
レーザダイオード10からのレーザ光L1の光軸上にはレンズ60が設けられている。このレンズ60は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード10からのレーザ光L1を平行光に変換する機能を有する。なお、レーザダイオード10やレンズ60は、基板等からなる支持部72に搭載されている。
【0013】
さらに、図2(a)(b)に示すように、レーザダイオード10を回転させるモータ70が設けられている。参考例1では、モータ70によって中心軸42aと直交する方向(Z軸方向)の回転軸74を中心としてレーザダイオード10を回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光の入射方向を変化させ、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向(即ち、縦方向)に関して変化させている。なお、図1、図2では、モータ70の回転軸を点によって概念的に示している。本参考例では、モータ70及びこのモータ70を制御する制御回路80が「回転手段」の一例に相当している。
【0014】
レンズ60を通過したレーザ光L1の光路上には、「レーザ光偏向手段」の一例に相当するミラー30が配置されている。ミラー30は、ケース3の所定位置に固定されており、レーザダイオード10からのレーザ光L1を回動偏向機構40に向けて偏向(反射)する構成をなすものである。本参考例では、モータ70によりレーザダイオード10を回転させ、レーザダイオード10からミラー30に入射するレーザ光の入射角度を変化させ、ミラー30から偏向部41に入射するレーザ光の入射方向を変化させるようにしている。なお、レーザダイオード10を回転させる構成や制御については後述する。
【0015】
ミラー30で反射されたレーザ光L1の光軸上には、回動偏向機構40が設けられている。この回動偏向機構40は、「回動偏向手段」の一例に相当しており、平坦な反射面41aを備えたミラーからなる偏向部41と、この偏向部41を支持する支持台43と、この支持台43に連結された軸部42と、この軸部42を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えてなり、偏向部41によりレーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ反射光をフォトダイオード20に向けて偏向するように機能する。回動偏向機構40の一部を構成する偏向部41は、中心軸42aを中心として回動可能とされており、「偏向手段」の一例に相当している。
【0016】
なお、本参考例に係るレーザレーダ装置1では、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部41における反射面41aの領域)が、ミラー30におけるレーザ光を偏向する偏向領域(ミラー30における反射面30aの領域)よりも大きく構成されている。
【0017】
さらに、回動偏向機構40を回転駆動するようにモータ50が設けられている。このモータ50は、軸部42を回転させることで、軸部42と連結された偏向部41を回転駆動する構成となっている。モータ50は、例えばステップモータによって構成されている。ステップモータは、種々のものを利用でき、1ステップ毎の角度が小さいものを使用すれば、緻密な回動が可能となる。本参考例では、モータ50及びこのモータ50を制御する制御回路80が「駆動手段」の一例に相当している。
【0018】
なお、モータ50としてステップモータ以外のモータを用いてもよい。例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部41が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。
【0019】
また、本参考例では、図1に示すように、モータ50の軸部42の回転角度位置(即ち偏向部41の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ52が設けられている。回転角度位置センサ52は、ロータリーエンコーダなど、軸部42の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用でき、また、検出対象となるモータ50の種類も特に限定されず、様々な種類のものに適用できる。
【0020】
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上には、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62が設けられ、その集光レンズ62とフォトダイオード20の間にはフィルタ64が設けられている。集光レンズ62は、偏向部41からの反射光を集光してフォトダイオード20に導くものであり、集光手段の一例に相当している。また、フィルタ64は、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上において反射光を透過させ且つ反射光以外の光を除去するものであり、光選択手段の一例に相当している。具体的には、検出物体からの反射光に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成することができる。
【0021】
また、本参考例では、レーザダイオード10、フォトダイオード20、ミラー30、レンズ60、回動偏向機構40、モータ50、モータ70、制御回路80等がケース3内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース3における偏向部41の周囲には、当該偏向部41を取り囲むようにレーザダイオード10からのレーザ光L1、及び検出物体からの反射光の通過を可能とする導光部4が形成されている。導光部4は、偏向部41に入光するレーザ光L1の光軸をほぼ中央とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部4を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板5が配され、防塵が図られている。なお、レーザ光透過板5は、回動偏向機構40の中心軸42aと直交する仮想平面に対し全周にわたり傾斜した構成となっている。即ち、偏向部41から空間に向かうレーザ光L1に対して板面が傾斜した構成をなしている。従って、偏向部41から空間に向かうレーザ光L1がレーザ光透過板5にて反射してもノイズ光となりにくくなっている。
【0022】
ケース3内には、レーザレーダ装置1全体を制御する制御回路80が設けられている。制御回路80は、CPU、バスライン、記憶手段等を備えたマイクロコンピュータとして構成されており、図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行し得る情報処理装置として構成されている。本参考例では、この制御回路80によってモータ70の回転制御や、モータ50の回転制御が行われるようになっている。
【0023】
次に、レーザレーダ装置1の動作について説明する。
図1に示すレーザレーダ装置1では、レーザダイオード10にパルス電流が供給されると、このレーザダイオード10からはパルス電流のパルス幅に応じた時間間隔のパルスレーザ光(レーザ光L1)が出力される。このレーザ光L1は、ある程度の広がり角をもった拡散光として投光され、レンズ60を通過することで平行光に変換される。レンズ60を通過したレーザ光L1は、ミラー30で反射されて偏向部41に入射し、この偏向部41にて反射され空間に向けて照射される。
【0024】
偏向部41によって反射されたレーザ光L1は検出物体によって反射され、この反射光の一部(L2参照)は再び偏向部41に入射する。偏向部41は、この反射光をフォトダイオード20側へ反射する。偏向部41にて反射された反射光は、集光レンズ62で集光され、フィルタ64を通過してフォトダイオード20に入光する。
【0025】
フォトダイオード20は、受光した反射光に応じた電気信号(例えば受光した反射光に応じた電圧値)を出力する。この構成では、レーザダイオード10によってレーザ光L1を出力してからフォトダイオード20によってその反射光を検出するまでの時間を測定することにより検出物体までの距離を求めることができる。また、そのときの、モータ70の変位(即ち、レーザダイオード10の変位)、偏向部41の変位によって方位をも求めることができる。つまり、レーザーダイオード10からのレーザ光の方向が定まり、偏向部41の回転位置が定まると、偏向部41からレーザ光L1が向かう方向が、一の方位に定まるため、検出物体の方位を的確に把握できることとなる。
【0026】
なお、レーザダイオード10の回転に伴うレーザ光の経路変化は以下の通りとなる。図1では、回動偏向機構40が所定の回動状態となっている例を示しているが、この回動状態で、レーザダイオード10が図1の変位にあるときは、レーザ光L1が実線で示す経路を通過し、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれることとなる。一方、レーザダイオード10の回転位置が変化すると、二点鎖線L1'に示すように、偏向部41に対するレーザ光L1の入射角度が相対的に変化する(図2(a)も参照)。即ち、レーザダイオード10の回転位置が変化することで、ミラー30でのレーザ光の反射角度が変化し、実線で示す経路から二点鎖線L1'で示す経路に変化する。これにより、偏向部41から空間に向かうレーザ光が中心軸42aの方向(縦方向)に変化することとなる。この場合、反射光の経路も二点鎖線L2'のように変化し、偏向部41で反射した後、集光レンズ62、フィルタ64を介してフォトダイオード20に取り込まれることとなる。
【0027】
次に、レーザレーダ装置1の制御について説明する。
図3は、図1のレーザレーダ装置1における検出処理の流れを例示するフローチャートである。検出処理は例えば電源投入や所定操作などによって開始されるものであり、まず、レーザダイオード10及び偏向部41を初期位置に設定する(S1)。本参考例では、図1にて実線で示す位置が初期位置とされており、レーザダイオード10及び偏向部41が当該位置となるようにモータ70やモータ50を回転駆動する。なお、検出処理前の待機状態においてレーザダイオード10及び偏向部41が初期位置に設定されるようにも構成でき、このような構成の場合にはS1の処理を省略することができる。
【0028】
次いで、現在の設定状態(検出処理開始直後の場合には初期位置に設定された状態)での物体の検出処理を行う(S2)。具体的には制御回路80によってレーザダイオード10にレーザ光を投光させる制御を行うと共に、フォトダイオード20から出力される電気信号を制御回路80によって読み取り、レーザダイオード10及び偏向部41の現在の設定位置に対応した方向に検出すべき物体が存在するか否かを確認する。フォトダイオード20から一定レベル以上の電気信号が出力される場合には、レーザダイオード10によるレーザ光の投光からフォトダイオード20による反射光の受光までの時間に基づいて検出物体までの距離を算出する。また、レーザダイオード10及び偏向部41の現在の設定位置に基づいて偏向部41からレーザ光L1が向かう方位を算出する。なお、算出された距離や方位は図示しない表示部等に出力することができる。
【0029】
その後、レーザダイオード10が予め定められた範囲分回転したかを判断する(S3)。本参考例では、制御回路80の制御により、モータ50が偏向部41を予め定められた一定角度(本参考例では1°)ずつ回動させる構成をなしており、偏向部41が一定角度(1°)ずつ回動する毎にモータ70がレーザダイオード10を「定められた範囲」(例えば数十度)に亘って回転することで、モータ50の一定角度(1°)毎に中心軸の方向(中心軸42aに沿った縦方向)の走査が行われるようになっている。S3の処理では、現在の偏向部41の設定状態で、レーザダイオード10が「定められた範囲」分だけ回転し終わったか否かを判断しており、回転し終わった場合には、現在の偏向部41の設定状態での縦方向(即ち中心軸42aの方向)の走査が終了したことになるため、S3にてYesに進む。一方、現在の偏向部41の設定状態で、レーザダイオード10が「定められた範囲」分だけ回転し終わっていない場合には、S3にてNoに進み、レーザダイオード10を予め定められた一定角度(1°)回転し(S4)、その一定角度回転後のレーザダイオード10にてS2の検出処理を繰り返す。本参考例ではレーザダイオード10の回転ステップを1°とした例を示したが、これよりも大きい角度としてもよく、小さい角度としてもよい。
【0030】
S3にてYesに進む場合には、制御回路80の制御により、偏向部41をさらに一定角度(1°)回動させるようにモータ50が駆動され(S5)、その回動後の偏向部41の設定状態でS2以降の処理が繰り返される。即ち、偏向部41が新たな位置に設定された状態で、再度縦方向の走査が行われることとなる。なお、上記例では、「一定角度」の例として「1°」を例示したが、偏向部41の回転ステップとなる「一定角度」は、これよりも小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。
【0031】
以上のように、本参考例に係るレーザレーダ装置1によれば、レーザダイオード10からのレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出対象からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する偏向部41が所定の中心軸42aを中心として回動可能とされるため、装置の周囲にわたる検出が可能となる。また、レーザ光L1の向きを、中心軸42aと直交する平面方向(XZ平面方向)だけでなく、中心軸42aの方向(Y軸方向、即ち縦方向)にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。
【0032】
特に、回転手段によりレーザダイオード10を回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させ、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させるようにしているため、装置構成が複雑化しにくく、さらに、回転手段によって、空間に向けて発せられるレーザ光L1の中心軸方向の変化を制御できるため、レーザ光の方向制御を良好に行うことができる。このような構成は、特に工場等におけるエリアセンサ、セーフティセンサなどとして利用すると有用である。
【0033】
また、回転手段によりレーザダイオード10を回転させて、レーザダイオード10からミラー30に入射するレーザ光L1の入射角度を変化させることで、ミラー30から偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させている。このようにすると、レーザダイオード10から偏向部41に対して直接レーザ光を照射させにくい事情がある場合において三次元的検出を行う上で有利な構成となる。
【0034】
また、偏向部41を一定角度ずつ回動させる構成をなしており、偏向部41が一定角度ずつ回動する毎に回転手段がレーザダイオード10を定められた範囲に亘って回転することで、一定角度毎に中心軸42aの方向(Y軸方向、即ち縦方向)の走査が行われる。このようにすると、偏向部41を一度に大きく回転させる必要がなく、少しずつ駆動しながら三次元的検出を行うことができるようになり、回動偏向機構40やモータ50の負荷を抑えることができる。
【0035】
また、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(即ち、反射光を反射する反射領域)が、ミラー30におけるレーザ光L1を偏向する偏向領域(即ち、レーザ光L1を反射する反射領域)よりも大きく構成されているため、相対的に広範な領域の反射光を検出に用いることができ、検出精度を効果的に高めることができる。
【0036】
さらに、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62が設けられているため、フォトダイオード20を大型化させることなく広範囲の反射光を検出に利用できるようになる。
【0037】
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64が設けられているため、ノイズ光を好適に除去できる。
【0038】
[第1実施形態]
次に第1実施形態について説明する。図4は第1実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図5(a)は、図4のレーザレーダ装置に用いるレーザ光発生手段及び回転手段等を拡大して説明する説明図であり、図5(b)は、レーザ光発生手段及び回転手段等を図5(a)とは異なる方向から説明する説明図である。図6は、図4のレーザレーダ装置における検出処理の流れを例示するフローチャートである。なお、図4、図5では、中心軸42aの方向をY軸方向、Y軸方向と直交する特定方向をZ軸方向、これらY軸方向及びZ軸方向と直交する方向をX軸方向と定義している。
【0039】
図4に示すレーザレーダ装置100も参考例1と同様のレーザダイオード10(レーザ光発生手段)と、フォトダイオード20(検出手段)とを備えており、検出物体までの距離や方位を検出する装置として構成されている。また、レーザダイオード10からのレーザ光L1の光軸上には参考例1と同様のレンズ60が設けられ、これらレーザダイオード10及びレンズ60は、基板等からなる支持部172に搭載されている。レーザダイオード10やフォトダイオード20の構成は、参考例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0040】
レンズ60を通過したレーザ光L1の光路上には、ミラー30(レーザ光偏向手段)が配置され、ミラー30で反射されたレーザ光L1の光軸上には、回動偏向機構40(回動偏向手段)が設けられている。ミラー30及び回動偏向機構40の構成も参考例1と同様である。回動偏向機構40は、平坦な反射面41aを備えたミラーからなる偏向部41と、この偏向部41を支持する支持台43と、この支持台43に連結された軸部42と、この軸部42を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えてなり、偏向部41によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ反射光をフォトダイオード20に向けて偏向するように機能する。回動偏向機構40の一部を構成する偏向部41は、中心軸42aを中心として回動可能とされており、「偏向手段」の一例に相当している。なお、本実施形態に係るレーザレーダ装置100でも、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部41における反射面41aの領域)が、ミラー30におけるレーザ光を偏向する偏向領域(ミラー30における反射面30aの領域)よりも大きく構成されている。
【0041】
また、回動偏向機構40を回転駆動するように参考例1と同様のモータ50が設けられている。本実施形態では、モータ50及びこのモータ50を制御する制御回路120が「駆動手段」の一例に相当している。さらに、モータ50の軸部42の回転角度位置(即ち偏向部41の回転角度位置)を検出する参考例1と同様の回転角度位置センサ52が設けられている。
【0042】
回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上には、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62が設けられ、その集光レンズ62とフォトダイオード20の間にはフィルタ64が設けられている。これら集光レンズ62及びフィルタ64も参考例1と同様の構成をなしている。また、レーザダイオード10、フォトダイオード20、ミラー30、レンズ60、回動偏向機構40、モータ50、第1モータ170、第2モータ180、制御回路120等が、参考例1と同様のケース3の内部に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。
【0043】
ケース3内には、レーザレーダ装置100全体を制御する制御回路120が設けられている。制御回路120は、CPU、バスライン、記憶手段等を備えたマイクロコンピュータとして構成されており、図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行し得る情報処理装置として構成されている。本実施形態では、この制御回路120によってモータ50の回転制御や、第1モータ170、第2モータ180の回転制御が行われるようになっている。
【0044】
また、本実施形態のレーザレーダ装置100は、レーザダイオード10を第1の回転軸174を中心として回転させる第1モータ170(第1モータ170は「第1の回転手段」の一例に相当する)と、レーザダイオード10を第1の回転軸174と直交する向きの第2の回転軸184を中心として回転させる第2モータ180(第2モータ180は「第2の回転手段」の一例に相当する)と、を備えており、偏向部41の回動位置に応じてレーザダイオード10を第1モータ170及び第2モータ180の少なくともいずれかにより回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させ、偏向部41からのレーザ光L1の向きを、中心軸42aの方向(即ち縦方向)に関して変化させる構成となっている。
【0045】
より詳しくは、偏向部41の回動位置に応じ、モータ170及び第2モータ180の少なくともいずれかによりレーザダイオード10を回転させ、レーザダイオード10からミラー30に入射するレーザ光L1の入射角度を変化させることで、ミラー30から偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させている。本実施形態では、レーザダイオード10及びレンズ60が搭載された支持部172を第1モータ170によって回転する構成をなしており、この第1モータ170が搭載された保持体110に軸182を介して第2モータ180が連結されている。そして、この第2モータ180により、保持体110及び当該保持体110に保持される部品(レーザダイオード10、レンズ60、第1モータ170等)を第2の回転軸184を中心として一体的に回転させる構成となっている。なお、図4、図5(a)では、第1の回転軸(符号174)を点にて概念的に示している。図5(b)では、第2の回転軸(符号184)を点にて概念的に示している。
【0046】
次に、レーザレーダ装置100の動作について説明する。
図4に示すレーザレーダ装置100では、レーザダイオード10にパルス電流が供給されると、このレーザダイオード10からはパルス電流のパルス幅に応じた時間間隔のパルスレーザ光(レーザ光L1)が出力される。このレーザ光L1は、ある程度の広がり角をもった拡散光として投光され、レンズ60を通過することで平行光に変換される。レンズ60を通過したレーザ光L1は、ミラー30で反射されて偏向部41に入射し、この偏向部41にて反射され空間に向けて照射される。
【0047】
偏向部41によって反射されたレーザ光L1は検出物体によって反射され、この反射光の一部(L2参照)は再び偏向部41に入射する。偏向部41は、この反射光をフォトダイオード20側へ反射する。偏向部41にて反射された反射光は、集光レンズ62で集光され、フィルタ64を通過してフォトダイオード20に入光する。
【0048】
フォトダイオード20は、受光した反射光に応じた電気信号(例えば受光した反射光に応じた電圧値)を出力する。この構成では、レーザダイオード10によってレーザ光L1を出力してからフォトダイオード20によってその反射光を検出するまでの時間を測定することにより検出物体までの距離を求めることができる。また、そのときの、第1モータ170及び第2モータ180の変位(即ち、レーザダイオード10の変位)、偏向部41の変位によって方位をも求めることができる。つまり、レーザーダイオード10からのレーザ光L1の方向が定まり、偏向部41の回転位置が定まると、偏向部41からレーザ光L1が向かう方向が、一の方位に定まるため、検出物体の方位を的確に把握できることとなる。
【0049】
さらに本実施形態では、偏向部41が「所定の回動範囲」にある場合と、「所定の回動範囲」以外にある場合とでレーザダイオード10の制御を異ならせている。具体的には、第1モータ170の初期位置(図5(a)(b)の実線位置)の第1の回転軸174と直交しかつ中心軸42aとも直交する仮想直線(即ちX軸方向の直線)と、反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度をαとした場合、この角度αが予め定められた閾値以下となる回動範囲を「所定の回動範囲」の一例として定めている。そして、偏向部41がこの「所定の回動範囲」のとき(即ち角度αが閾値(例えば10°)以下のとき)には、レーザダイオード10を、第1モータ170及び第2モータ180により第1の回転軸174及び第2の回転軸184を中心として回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させている。また、偏向部41が「所定の回動範囲」以外のとき(即ち角度αが閾値(例えば10°)を超えるとき)には、レーザダイオード10を、第1モータ170のみにより第1の回転軸174を中心として回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させるようにしている。
【0050】
図4では、偏向部41が上記「所定の回動範囲」以外の位置において、レーザダイオード10が所定回転状態となっている例を示しているが、レーザダイオード10が図4の実線で示す位置にあるときは、レーザ光L1が実線で示す経路を通過し、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれることとなる。また、このような「所定の回動範囲」以外の場合においては、第1モータ170のみが回転し、第2モータ180は回転しないようになっており、第1モータ170が回転してレーザダイオード10の回転位置が変化すると、二点鎖線L1'に示すように、偏向部41に対するレーザ光L1の入射角度が相対的に変化する(図5(a)も参照)。即ち、レーザダイオード10の回転位置が変化することで、ミラー30におけるレーザ光の反射角度が変化し、実線で示す経路から二点鎖線L1'で示す経路に変化する。これにより、偏向部41から空間に向かうレーザ光が中心軸42aの方向(縦方向)に変化することとなる。この場合、反射光の経路も二点鎖線L2'のように変化し、偏向部41で反射した後、集光レンズ62、フィルタ64を介してフォトダイオード20に取り込まれることとなる。
【0051】
一方、偏向部41が「所定の回動範囲」にある場合(即ち角度αが閾値(例えば10°)以内のとき)には、第1モータ170だけでなく第2モータ180も共に回転し((図5(b)の二点鎖線参照)、ミラー30におけるレーザ光の反射角度が変化し、偏向部41から空間に向かうレーザ光が中心軸42aの方向(縦方向)に変化することとなる。即ち、第1モータ170の初期位置の第1の回転軸174と直交しかつ中心軸42aとも直交する仮想直線と、反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが予め定められた閾値以下の場合、第1モータ170のみによってレーザダイオード10を回転させても、偏向部41から空間に向かうレーザ光の中心軸42aの方向(縦方向)の変化を大きくすることができないため、偏向部41がこのような「所定の回動範囲」にある場合には、第1モータ170だけでなく第2モータ180をも用いてレーザダイオード10を回転させ、偏向部41から空間に向かうレーザ光を中心軸42aの方向(縦方向)に変化させるようにしている。なお、第1モータ170及び第2モータ180を共に回転させる具体的方法としては、偏向部41から空間に向かうレーザ光を中心軸42aの方向(縦方向)に変化させうる方法であれば様々な方法を用いることができ、その一例としては、例えば、両モータ170、180を共に一定角度ずつ回転させる方法などが挙げられる。
【0052】
次に、レーザレーダ装置100の制御について説明する。
図6は、図4のレーザレーダ装置100における検出処理の流れを例示するフローチャートである。この検出処理は例えば電源投入や所定操作などによって開始されるものであり、まず、レーザダイオード10及び偏向部41を初期位置に設定する(S10)。本実施形態では、図4にて実線で示す位置が初期位置とされており、レーザダイオード10及び偏向部41が当該位置となるように第1モータ170、第2モータ180、或いはモータ50を回転駆動する。なお、検出処理前の待機状態においてレーザダイオード10及び偏向部41が初期位置に設定されるようにも構成でき、このような構成の場合にはS10の処理を省略することができる。
【0053】
次いで、現在のモータ50、第1モータ170、第2モータ180の設定状態(検出処理開始直後の場合には初期位置に設定された状態)での物体の検出処理を行う(S20)。具体的には制御回路120によってレーザダイオード10にレーザ光を投光させる制御を行うと共に、フォトダイオード20から出力される電気信号を制御回路120によって読み取り、レーザダイオード10及び偏向部41の現在の設定位置に対応した方向に検出すべき物体が存在するか否かを確認する。フォトダイオード20から一定レベル以上の電気信号が出力される場合には、レーザダイオード10によるレーザ光L1の投光からフォトダイオード20による反射光の受光までの時間に基づいて検出物体までの距離を算出する。また、レーザダイオード10及び偏向部41の現在の設定位置に基づいて偏向部41からレーザ光L1が向かう方位を算出する。なお、算出された距離や方位は図示しない表示部等に出力することができる。
【0054】
その後、レーザダイオード10が予め定められた範囲分回転したかを判断する(S30)。このS30の処理では、現在の偏向部41の設定状態で、レーザダイオード10が「定められた範囲」分だけ回転し終わったか否かを判断している。即ち、偏向部41が「所定の回動範囲」以外のとき(即ち角度αが閾値(例えば10°)を超えるとき)には、第1モータ170が定められた範囲にわたって回転したかを判断しており、偏向部41が「所定の回動範囲」のとき(即ち角度αが閾値(例えば10°)以内のとき)には、第1モータ170及び第2モータ180のいずれもが定められた範囲にわたって回転したかを判断している。
【0055】
S30において予め定められた範囲分回転し終わったと判断される場合には、現在の偏向部41の設定状態での縦方向(即ち中心軸42aの方向)の走査が終了したことになるため、S30にてYesに進む。一方、現在の偏向部41の設定状態で、レーザダイオード10が「定められた範囲」分だけ回転し終わっていない場合には、S30にてNoに進み、偏向部41が上述の「所定の回動範囲」にあるか否かを判断する。偏向部41が「所定の回動範囲」にある場合にはS40にてYesに進み、S50にて第1モータ170及び第2モータ180を一定角度回転(例えば両モータ170、180を共に1°回転)することとなる。一方、偏向部41が「所定の回動範囲」以外にある場合にはS40にてNoに進み、第1モータ170を一定角度回転(例えば1°回転)することとなる。そして、いずれの場合も、その一定角度回転後のレーザダイオード10にてS20の検出処理を繰り返す。なお、本実施形態ではモータ170、180の回転ステップを1°とした例を示したが、これよりも大きい角度としてもよく、小さい角度としてもよい。
【0056】
S30にてYesに進む場合には、制御回路120の制御により、偏向部41をさらに一定角度(1°)回動させるようにモータ50が駆動され(S70)、その回動後の偏向部41の設定状態でS20以降の処理が繰り返される。即ち、偏向部41が新たな位置に設定された状態で、再度縦方向の走査が行われることとなる。なお、上記例では偏向部41の回転ステップとなる「一定角度」の例として「1°」を例示したが、この「一定角度」は、これよりも小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。
【0057】
本実施形態では、空間に放たれるレーザ光の向きを、中心軸42aと直交する平面方向だけでなく、中心軸42aの方向(即ち縦方向)にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。特に、回転手段を用いてレーザダイオード10を回転させることで、偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させ、偏向部41からのレーザ光L1の向きを中心軸42aの方向(縦方向)に関して変化させるようにしているため、装置構成が複雑化しにくくなる。さらに、回転手段を制御することで、レーザ光L1の中心軸42aの方向(縦方向)の変化を制御できるため、レーザ光L1の方向制御を良好に行うことができる。このような構成は、特に工場等におけるエリアセンサ、セーフティセンサなどとして利用すると極めて有用である。
【0058】
また、互いに異なる回転軸174、184をそれぞれ有する2つのモータ170、180を回転させて偏向部41に入射するレーザ光L1の入射方向を変化させるようにしているため、偏向部41に対してレーザ光L1を2方向に振ることができ、中心軸42aの方向(縦方向)の走査を行う上での自由度が大きくなる。
【0059】
また、2つのモータ170、180の少なくともいずれかを回転させてレーザダイオード10からミラー30に入射するレーザ光の入射角度を変化させ、ミラー30から偏向部41に入射するレーザ光の入射方向を変化させている。このようにすると、レーザダイオード10から偏向部41に対して直接レーザ光を照射させにくい事情がある場合において三次元的検出を行う上で有利となる。
【0060】
また、偏向部41の角度に応じて、第1モータ170によるレーザ光制御を用いるか、第1モータ170及び第2モータ180の両方によるレーザ光制御を用いるかを使い分けることができ、偏向部41の角度に応じた適切なレーザ光制御が可能となる。
【0061】
また、第1モータ170によるレーザ光制御と、第1モータ170及び第2モータ180の両方によるレーザ光制御と、を使い分ける構成を、偏向部41を大きく回転させずに済む構成にて実現しており、回動偏向機構40やモータ50の負荷を効果的に抑えることができる。
【0062】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
上記実施形態では、レーザ光発生手段としてレーザダイオード10を例示したが、レーザ光を投光しうるものであればこれ以外であってもよい。
【0064】
上記実施形態では、光検出手段としてフォトダイオード20を例示したが、反射光を受光して電気信号を生成しうるものであればこれ以外であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、偏向手段としてミラーからなる偏向部41を例示したが、プリズム等の他の光学部品によって偏向手段が構成されていてもよい。
【0066】
上記実施形態では、回動偏向手段からフォトダイオード10に至るまでの反射光の光路上に、フォトダイオード10に向けて反射光を集光する集光手段が設けられていたが、このような集光手段を省略すると共に比較的大型の光検出手段によって検出を行うようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、回動偏向手段からフォトダイオード10に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去する光選択手段が設けられていたが、このような光選択手段を省略することもできる。
【符号の説明】
【0068】
100…レーザレーダ装置
10…レーザダイオード(レーザ光発生手段)
20…フォトダイオード(光検出手段)
30…ミラー(レーザ光偏向手段)
40…回動偏向機構(回動偏向手段)
41…偏向部(偏向手段)
50…モータ(駆動手段)
120…制御回路(制御手段)
170…第1モータ(第1の回転手段)
174…第1の回転軸
180…第2モータ(第2の回転手段)
184…第2の回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生するレーザ光発生手段と、
前記レーザ光発生手段から前記レーザ光が発生したときに、検出物体によって反射される前記レーザ光の反射光を検出する光検出手段と、
所定の中心軸を中心として回動可能に構成された1つの偏向手段を備えるとともに、当該偏向手段により前記レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ前記反射光を前記光検出手段に向けて偏向する回動偏向手段と、
前記レーザ光発生手段からの前記レーザ光を前記偏向手段に向けて偏向するミラーと、
前記回動偏向手段の前記偏向手段を回転駆動する駆動手段と、
前記レーザ光発生手段を第1の回転軸を中心として回転させる第1の回転手段と、
前記レーザ光発生手段を前記第1の回転軸と直交する向きの第2の回転軸を中心として回転させる第2の回転手段と、
前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記偏向手段の回動位置に応じて前記レーザ光発生手段を前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段の少なくともいずれかにより回転させ、前記レーザ光発生手段から前記レーザ光偏向手段に入射する前記レーザ光の入射角度を変化させることで、前記偏向手段に入射する前記レーザ光の入射方向を変化させ、前記偏向手段からの前記レーザ光の向きを、前記中心軸の方向に関して変化させるように構成され、
前記中心軸の方向を縦方向としたとき、前記光検出手段は、前記ミラーに対し縦方向一方側に配置され、前記偏向手段は、前記ミラーに対し縦方向他方側に配置され、前記レーザ光発生手段、前記第1の回転手段、及び前記第2の回転手段は、前記ミラーの横側に配置されており、
前記制御手段は、
前記偏向手段が、予め設定された所定の回動範囲にあるときには、前記レーザ光発生手段を、前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段により前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸を中心として回転させることで、前記偏向手段に入射する前記レーザ光の前記入射方向を変化させ、前記所定の回動範囲以外のときには、前記レーザ光発生手段を、前記第1の回転手段により前記第1の回転軸を中心として回転させることで、前記偏向手段に入射する前記レーザ光の前記入射方向を変化させることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項2】
前記第1回転手段が所定の初期位置にあるときに前記第1の回転軸の方向及び前記中心軸の方向と直交する方向をX軸方向としたとき、
前記偏向手段の反射面の平面と平行な仮想平面と、前記X軸方向とのなす角度が予め定められた閾値以下となる回動範囲が前記所定の回動範囲として定められていることを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記偏向手段を一定角度ずつ回動させる構成をなしており、
前記偏向手段が前記所定の回動範囲以外のときには、前記偏向手段が前記一定角度ずつ回動する毎に前記第1の回転手段が前記レーザ光発生手段を定められた範囲に亘って回転することで、前記一定角度毎に前記中心軸の方向の走査が行われ、
前記偏向手段が前記所定の回動範囲のときには、前記偏向手段が前記一定角度ずつ回動する毎に前記第1の回転手段及び前記第2の回転手段が前記レーザ光発生手段を定められた範囲に亘って回転することで、前記一定角度毎に前記中心軸の方向の走査が行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザレーダ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−11613(P2013−11613A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196039(P2012−196039)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2007−237966(P2007−237966)の分割
【原出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】