説明

レーザードップラー速度計

【課題】被検体の速度を安定して精度良く測定するレーザードップラー速度計を提供する。
【解決手段】レーザードップラー速度計100は、被検体Dの表面で干渉及び反射された散乱光を受光する複数の受光素子120を含む光学センサ110と信号処理ユニット130とを有し、信号処理ユニット130は、複数の受光素子120の出力のうち信号レベルが許容値以上であるかどうかを判断することによってその一つ選択するための選択信号を生成するCPU138と、選択信号に基づいて信号S1を信号S2に切り替える選択切換部146と、信号S1と信号S2の位相差に対応する時間差だけ信号S2の立ち上がり及び立ち下がりを遅延させて信号S1と重ねることによってパルス信号を生成する差分遅延処理部148と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザードップラー速度計に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザードップラー速度計は、被検体からの散乱光を検出する光学センサと、光学センサの出力を信号処理する信号処理ユニットと、を有する。光学センサは、被検体からの散乱光を受光する受光素子を有するが、受光素子は必ずしも良好な散乱光を受光できるわけではない。このため、光学センサが単一の受光素子を有する場合には、その出力信号のレベルが著しく低下するドロップアウトと呼ばれる現象が発生して被検体の速度を測定できなくなるという問題が発生する。これを回避するために、特許文献1は、複数の受光素子を設けて、そのうちの一つを速度測定用に使用し、その出力信号レベルが低下した場合には、信号レベルが高い別の受光素子を切り変えることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3423396号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、信号切り替え時に切り替え前後の信号の位相が一致していないと、切り替え時に出力されるパルスの幅が変化して測定誤差が発生することになる。
【0005】
そこで、本発明は、被検体の速度を安定して精度良く測定するレーザードップラー速度計を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのレーザードップラー速度計は、被検体からの散乱光を受光する複数の光学素子を含む光学センサと、前記光学センサの前記複数の光学素子の出力に基づいて前記被検体の速度を測定するためのパルス信号を出力する信号処理ユニットと、を有するレーザードップラー速度計であって、前記信号処理ユニットは、前記複数の光学素子の出力のうち信号レベルが許容値以上であるかどうかを判断することによって前記複数の光学素子の出力の一つ選択するための選択信号を生成する選択信号生成部と、前記選択信号生成部が生成した選択信号に基づいて前記複数の光学素子のうちで現在選択されている第1信号を次に選択される第2信号に切り替える選択切換部と、前記第1信号と前記第2信号の位相差に対応する時間差だけ前記第2信号の立ち上がりと立ち下がりを遅延させて前記第1信号と重ねることによって前記パルス信号を生成する差分遅延処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、被検体の速度を安定して精度良く測定するレーザードップラー速度計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】レーザードップラー速度計のブロック図である。
【図2】図1に示す光学センサのブロック図である。
【図3】図1に示す信号処理ユニットのブロック図である。
【図4】図3に示す差分遅延処理部がない信号処理ユニットの動作とその問題点を説明するためのタイムチャートである。
【図5】図3に示す信号処理ユニットの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】図5の後で更に信号を切り替える場合の図3に示す信号処理ユニットの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図7】図3に示すCPUの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はレーザードップラー速度計100の要部ブロック図である。レーザードップラー速度計100は、移動物体である被検体Dの速度Vを検出する装置であり、光学センサ110と、信号処理ユニット130と、を有し、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部装置150と通信可能に構成されている。
【0010】
図2は、光学センサ110の光学系のブロック図である。光学センサ110は、被検体Dに複数の方向からレーザー光LBを照射して被検体Dから干渉及び反射された散乱光SLを複数の受光素子(光検出器)で検出する。複数の受光素子を使用するため、ある受光素子の出力信号のレベルが低下した場合に別の信号レベルの高い受光素子の出力信号を使用することができるのでドロップアウトによる測定不能を防止して被検体Dの速度を安定して測定することができる。
【0011】
光学センサ110は、レーザー112と、コリメーターレンズ114と、ビームスプリッター116と、一対のミラー118a及び118bと、複数の受光素子(光検出器)120(120a及び120bなど)と、を有する。
【0012】
レーザー112は、被検体Dに照射する検出光を生成する光源である。コリメーターレンズ114は、レーザー112からのレーザー光束を平行光束L1に変換する。ビームスプリッター(又はハーフミラー)116は、入射光束を透過光束L2と反射光束L3に分岐する。
【0013】
一対のミラー118a及び118bは、対応する光束を被検体Dの表面の所定の領域D1に異なった方向から導光する。具体的には、透過光束L2はミラー118aで反射されて反射光束L4となり、反射光束L3はミラー118bで反射されて反射光束L5となる。反射光束L4とL5は、速度Vで移動している被検体Dの領域D1に光軸OAに対して入射角±θで照射される。
【0014】
2つ以上の受光素子120は、被検体Dの上側の異なる位置に配置され、被検体Dの領域D1からの散乱光SLを検出して、光電変換により電気信号を生成する。なお、図2では、作図の便宜上、2つの受光素子120a及び120bを示し、受光素子120aは検出信号S1を生成し、受光素子120bは検出信号S2を生成する。しかし、図1に示すように、実際には、光学センサ110には4つの受光素子120が設けられて4つの検出信号S1〜S4が信号処理ユニット130に出力(供給)される。
【0015】
二光束の散乱光SLの周波数は、被検体Dの速度Vに比例して各々+Δf、−Δfのドップラーシフトを受ける。レーザー112のレーザー光の波長をλとすると周波数変化Δfは数式1で表わされる。
(数1)
Δf=V・sin(θ)/λ
+Δf、−Δfのドップラーシフトを受けた散乱光SLは干渉して受光素子120の受光面の明暗の変化をもたらし、その周波数F(以下、「ドップラー周波数」と呼ぶ。)は数式2のようになる。
(数2)
F=2・Δf=2・V・sin(θ)/λ
数式2から、受光素子120のドップラー周波数Fを測定して被検体Dの移動速度Vを求めることができる。被検体Dの移動速度Vは信号処理ユニット130が算出してもよいし、外部装置150が算出してもよい。
【0016】
図3は、信号処理ユニット130のブロック図である。図1に対応して、4つの光学センサ110(4チャンネル)が設けられている。信号処理ユニット130は、光学センサ110から出力された4種類の信号S1〜S4のうちのいずれか一つを選択基準に従って選択すると共に信号切替時に切替前後の信号の位相差を補正する。
【0017】
信号処理ユニット130は、図3に示すように、複数の(4つの)信号受信部132a〜132d、複数の(4つの)ADC134a〜134d、信号レベル検出部136、CPU138、記憶部140、ゼロクロス検出部142を有する。また、信号処理ユニット130は、差分計測部144、選択切換部146、差分遅延処理部148を更に有する。
【0018】
4つの受光素子120から出力された信号は、4つの信号受信部132a〜132dによって受信される。各受光素子120には一つの信号処理部が対応している。受光素子120aには信号受信部132aが対応し、信号S1を受信する。受光素子120bには信号受信部132bが対応し、信号S2を受信する。信号受信部132cは信号S3を受信し、信号受信部132dは信号S4を受信する。
【0019】
ADC(A/Dコンバータ)134a〜134dの各々は、4つの信号受信部132a〜132dの対応する一つに接続し、信号受信部が受信したアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0020】
信号レベル検出部136は、ADC134a〜134dに接続されて、各ADCの出力が供給される。信号レベル検出部136は、供給されたディジタル信号の信号レベルを検出する。
【0021】
CPU138は、まず、記憶部140に格納された選択基準と信号レベル検出部136の検出結果に従って複数の信号の一つを選択するための選択信号を生成する選択信号生成部として機能する。この機能のため、CPU138は、信号レベル検出部136、記憶部140及び選択切換部146に接続されている。記憶部140は、RAMなどのメモリであり、以下に説明する計測した時間差P2を記憶する。
【0022】
まず、選択基準は、通常時(又は初期状態)において、被検体Dの速度を計測するのに使用される基準信号を4つの信号(のディジタル化された信号)の中で選択する。本実施例の選択基準は、通常時(又は初期状態)において、信号S1を被検体Dの速度を測定するための信号として選択している。もちろんこの設定は単なる例示である。
【0023】
次に、選択基準は、基準信号(信号S1)の信号レベルが許容値以下になった場合に切り替える信号(次候補の信号)の優先度を規定する。本実施例の選択基準は、信号S1の信号レベルが許容値以下になった場合に切り替える信号(次候補の信号)として信号S2、S3、S4をこの優先度の順番で設定している。もちろんこの設定は単なる例示である。
【0024】
CPU138は、現在選択されている信号の信号レベルを常時監視し、信号レベルが小さくなってきた場合に、信号レベルが許容値未満になる時刻より前に信号切換動作を開始するタイミングを設定することができる。例えば、CPU138は、現在選択されている信号の信号レベルの減衰率からその信号レベルが許容値未満になる時刻を予測することによって、それよりも前に信号切換動作を開始することができる。
【0025】
優先度が最も高い次候補の信号が実際にCPU138によって選択されるかどうかは、信号レベル検出部136の検出結果次第である。即ち、選択されるべき次候補の信号は信号レベルが許容値以上でなければならず、CPU138は信号レベル検出部136の出力を許容値(閾値)と比較する。例えば、CPU138は、信号S1の信号レベルが許容値以下になって信号S2の信号レベルが許容値以上であれば信号S1を信号S2に切り替える。しかし、CPU138は、信号S1とS2の両信号レベルが許容値以下になって信号S3の信号レベルが許容値以上であれば信号S1を信号S3に切り替える。
【0026】
この結果、CPU138は、次候補の信号の中で適当な(即ち、信号レベルが許容値以上である次候補の信号の中で優先度が最も高い)信号を被検体Dの速度計測の算出に使用する選択信号を生成することができる。本実施例のCPU138は、現在選択されている信号に拘らず、全ての信号S1〜S4の信号レベルの情報を信号レベル検出部136から常時取得している。その後、CPU138は、選択信号を選択切換部146に出力する。
【0027】
また、CPU138は、複数の光学素子の出力に対応する信号のうち、現在選択されている信号(第1信号)を次に選択される信号(次候補の信号、第2信号)に切り替える際に、両者間の位相差(時間差)の情報を差分計測部144から取得する。そして、CPU138は、その情報を記憶部140に一時的に格納する。そして、CPU138は、この情報に基づいて、これを補正する遅延信号を生成して差分遅延処理部148に出力する。
【0028】
ゼロクロス検出部142は、ADC134a〜134dに接続されて、各ADCの出力が供給される。ゼロクロス検出部142は、各ADCの出力信号のゼロクロスを捕らえ、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを生成する。
【0029】
差分計測部144は、ゼロクロス検出部142に接続されて、その出力が供給される。また、差分計測部144は、CPU138にも接続されている。差分計測部144は、チャンネル切換時に必要になる選択中の信号の立ち上がりと、それと最も近い、次候補の信号の立ち上がり時間差を計測する。差分計測部144は、計測結果をCPU138に供給する。なお、差分計測部144の計測結果は、CPU138を経由せずに、直接に差分遅延処理部148に供給されてもよい。即ち、差分計測部144は、差分遅延処理部148と一体に構成されて差分計測部144の計測結果を格納する記憶部に接続されてもよい。
【0030】
選択切換部146は、ゼロクロス検出部142に接続されて、その出力が供給される。また、選択切換部146は、CPU138に接続され、選択信号が供給される。更に、選択切換部146は、CPU138からの指令で選択された信号を差分遅延処理部148に出力する。選択切換部146は、通常はCPU138によって選択されたチャンネルの信号のみを差分遅延処理部148に出力するが、信号切り換え時では2チャンネルの信号を差分遅延処理部148に出力する。
【0031】
差分遅延処理部148では、選択切換部146に接続されて、信号切り替え時には現在選択されている信号と次候補の信号が供給される。また、差分遅延処理部148は、CPU138に接続されて、遅延信号が供給される。差分遅延処理部148は、次候補の信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに各々遅延時間を加算して出力する。即ち、信号切り替え時には、差分遅延処理部148は、切り替え時刻までは切り替え前の信号を出力し、切り替え時刻後は切り替え後の信号を出力する。
【0032】
現在選択されている信号のレベルが更に低下した場合は、同様の処理を繰り返して更に別の信号に切り替えれば、測定終了までパルス幅の乱れないパルス出力を実現することができる。
【0033】
図4は、差分遅延処理部148がない信号処理ユニットの動作とその問題点を説明するためのグラフである。一例として、現在選択されている信号を信号S1とし、次候補の信号を信号S2とする。
【0034】
信号レベル検出部136は、信号S1と信号S2の1周期のピークとボトムを検出することによってそれぞれの信号の信号レベルに対応する振幅A11及びA21を算出することができる。CPU138は、振幅A11とA21を許容値(閾値)と比較して両振幅が許容値以上であると判断し、信号S1の選択を維持する選択信号を選択切換部146に出力する。
【0035】
ゼロクロス検出部142は、信号S1のゼロクロスを捕えて点線で示す矩形パルスの信号S11を生成し、信号S2のゼロクロスを捕えて実戦で示す矩形パルスの信号S21を生成する。ゼロクロス検出部142が生成する信号S11とS21のパルス幅は等しい。
【0036】
差分計測部144は、両信号S11及びS21の間の位相差P1を計測する。ここでは、差分計測部144は、位相差P1を、信号S11の立ち上がりとそれに最も近い、信号S21の立ち上がりとの時間差として計測する。なお、差分遅延処理部148が設けられなければ、差分計測部144も通常は設けられないであろう。
【0037】
次に、CPU138は、振幅A11よりも小さい振幅A12を認識することによって信号S1の振幅が減衰し始めたことを認識する。一方、CPU138は、次候補である信号S2の振幅は振幅A22であり、振幅A21と同程度で許容値よりも大きいことを認識する。このため、CPU138は、信号S1を信号S2に近い将来切り替えるべきであると判断する。
【0038】
そして、CPU138は、時刻Tにおいて選択切換部146に信号S1から信号S2に切り替えるべき旨の選択信号を供給する。図4に示すS51は、選択切換部146(又は信号処理ユニット130)から出力されるパルス信号を示している。CPU138の選択信号に基づいて、選択切換部146は、時刻Tまでは信号S1を出力し、時刻T以降は信号S2を出力する。すると、時刻Tにおけるパルス幅が点線Kで示すように変化して被検体Dの測定精度が劣化してしまう。
【0039】
図5は、図3に示す信号処理ユニット130の動作を示すグラフである。信号S1、S2、S11、S21、振幅A11、12、21、22は図4に示すものと同様であるため、説明は省略する。図5においては、差分遅延処理部148が出力する信号はパルス信号S52である。
【0040】
前提として、差分計測部144は、信号S21の立ち上がりから、それに最も近い信号S11の立ち上がりまでの時間差P2を計測し、それをCPU138に供給しておく。差分計測部144は、上記期間に存在する不図示の基準クロック数をカウントすることによって時間差P2を計測することができる。T1、T2での出力は、S11に基づいて出力される。ここで、信号S11は、パルス出力S52から切り離される。
【0041】
次に、CPU138は、時刻T2の直後の信号S21の立ち下がりTE11を時間差P2だけ遅らせた立ち下がりTE21の生成を開始する。次に、時刻T3で信号S2の立ち上がりLE11を時間差P2だけ遅らせた立ち上がりLE21をパルス信号S52の立ち上がりとして出力する。
【0042】
次に、CPU138は、時刻T3の直後で、次の信号S21の立ち上がりLE12を時間差P2だけ遅らせた立ち上がりLE22の生成を開始する。次に、時刻T4で信号S2の立ち下がりTE11を時間差P2だけ遅らせた立ち下がりTE12をパルス信号S52として出力する。
【0043】
以降は同様にしてパルス信号S52を出力することによって、信号切り換え時にパルス幅が変化することを防止することができる。パルス信号S52は、あたかも信号S11が継続された場合と同様な形状を有する。
【0044】
図6は、この後で、信号S2(又は信号S21)から信号S3(又は信号S31)に切り替える場合の信号処理ユニット130の動作を説明するためのグラフである。図6においては、差分遅延処理部148が出力する信号はパルス信号S53である。時刻T1〜T4で図5と同様の方法でパルス信号S53を生成している。なお、図6においては、時間差はP3である。パルス信号S52は、あたかも信号S21(従って、信号S11)が継続された場合と同様な形状を有する。
【0045】
図7は、CPU138の動作を説明するためのフローチャートであり、「S」はステップを表す。まず、CPU138は、選択基準に従って選択信号を生成し、パルス信号の出力を開始する(S201)。次に、CPU138は、信号レベル検出部136の検出結果に基づいて現在選択されている信号の信号レベルが記憶部140に記憶された許容値未満であるかどうかを判断する(S202)。次に、CPU138は、S202で許容値未満であると判断すると次候補を選択する(S203)。また、CPU138は、事前に若しくは同時並行で差分計測部144によって計測された、切換前後の信号のエッジの時間差(立ち上がり間の時間差又は立ち下がり間の時間差)を取得する(S204)。
【0046】
次に、CPU138は、時間差分だけ切換後の信号の立ち下がり及び立ち上がりを遅延させた信号を生成する差分遅延処理を行うように差分遅延処理部148を制御する(S205)。具体的には、現在選択されている信号の立ち上がりを出力後に次候補の信号の立ち上がりから遅延分のカウントを開始する。その間に、現在選択されている信号の立ち下がりエッジを出力する。カウント値に達したら立ち上がりエッジを出力して切換を完了する。
そして、CPU138は、遅延された切換後の信号を切換前の信号に重ねることによって信号を切り替える(S206)。
【0047】
S202でNoの場合若しくはS206の後で、CPU138は、測定時間に達したかどうかを判断し(S207)、達したと判断すれば測定動作を終了し、達していないと判断すればS202に帰還する。
【0048】
以上、レーザードップラー速度計100は複数の受光素子120をしてドロップアウトによる測定不能を防止し、信号切り替え時に両信号の位相差に対応した時間差だけ後の信号を遅延させて先の信号に重ねることによって測定誤差を防止する。これによって、インラインでのリアルタイム計測に最適なシステムを構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
レーザードップラー速度計は、連続パルス出力機能を使用することで、非接触での速度測定が必要な生産装置やプリンタなど送り機能を持つ装置を評価する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 レーザードップラー速度計
110 光学センサ
120、120a、120b 光学素子
130 信号処理ユニット
136 信号レベル検出部
138 CPU
142 ゼロクロス検出部
144 差分計測部
146 選択切替部
148 差分遅延処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からの散乱光を受光する複数の光学素子を含む光学センサと、
前記光学センサの前記複数の光学素子の出力に基づいて前記被検体の速度を測定するためのパルス信号を出力する信号処理ユニットと、
を有するレーザードップラー速度計であって、
前記信号処理ユニットは、
前記複数の光学素子の出力のうち信号レベルが許容値以上であるかどうかを判断することによって前記複数の光学素子の出力の一つ選択するための選択信号を生成する選択信号生成部と、
前記選択信号生成部が生成した選択信号に基づいて前記複数の光学素子のうちで現在選択されている第1信号を次に選択される第2信号に切り替える選択切換部と、
前記第1信号と前記第2信号の位相差に対応する時間差だけ前記第2信号の立ち上がりと立ち下がりを遅延させて前記第1信号と重ねることによって前記パルス信号を生成する差分遅延処理部と、
を有することを特徴とするレーザードップラー速度計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−175493(P2010−175493A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21119(P2009−21119)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】