説明

レーザー加工機の光学系のミラー装置

レーザー加工機の光学系のミラー装置(1)が、中空室を有するフレーム(2)と、装着可能なミラー(3)とを有している。前記中空室内に、磁気レオロジー的な又は電気レオロジー的な流体(4)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工機の光学系のミラー装置であって、中空室を有するフレームと装着可能なミラーとを有している形式のものに関する。
【0002】
このような形式のミラー装置はレーザー及びレーザー加工機の主要な構成部分である。ミラーはレーザービームを変向するために使用することができる。ミラー背面を圧力負荷することにより、ミラーの焦点距離を変更することができる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3900467号明細書によりこのような形式のミラーが公知である。
【0004】
この公知の装置では、変向ミラーの所望の焦点距離が、ミラー背面を相応に圧力負荷することにより調節される。このミラーはレーザーの冷却水回路に組み込まれている。流出分岐部における固定絞りに対する圧力調節は比例弁を介して行われる。公知の装置により得られる動力学は一方では、制御システム(電磁的に制御される座弁)のカットオフ周波数により制限され、他方では、伝達媒体(水柱)への軸加速度の反作用により影響が与えられる。制御されるシステムの典型的なカットオフ周波数は約10Hzである。この場合、約2gの軸加速度が可能な上限としてみなされる。座弁と固定絞りとを備えた公知の装置は汚染に対して極めて敏感である。
【0005】
US6751004B2号明細書により、磁気レオロジー的な流体の使用が公知である。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10157983号明細書には、ワークを位置決めし、レーザー加工機により加工するための方法及び装置が記載されている。
【0007】
本発明の課題は、損傷や摩耗が生じない、高い動力学性を有するミラー装置の使用を可能にすることである。
【0008】
この課題を解決するために本発明の構成では、レーザー加工機の光学系のミラー装置であって、中空室を有するフレームと、装着可能なミラーとを有している形式のものにおいて、中空室内に、磁気レオロジー的な又は電気レオロジー的な流体が配置されているようにした。
【0009】
本発明によるミラー装置は汚染に対して耐性がある。何故ならば必要な弁は、比較的大きな流れ横断面に基づき完全に問題がないからである。このような弁は可動な部分を有さない。ミラー体に組み込まれた弁に基づくシステムにより、動力学性と堅牢性に関して全く新しい次元が開かれる。磁気レオロジー的な又は電気レオロジー的な弁(以下、ERF弁と言う)のミラーへの組み込みは、動圧の直接的な測定と共に、制御距離における無駄体積を最小化するために行われる。100Hzを越えるERF弁のカットオフ周波数が可能である。磁気レオロジー的または電気レオロジー的な液体の切換時間はミリ秒の範囲である。
【0010】
電気レオロジー的な又は磁気レオロジー的な流体の圧力を直接測定するためのセンサが設けられているならば、流体弁の制御を特に簡単に行うことができる。このことは、本発明によるミラー装置の使用のために有利である。
【0011】
本発明の利点は、電気信号を直接に、機械的な特性に変換することにある。有利には、弁又はアクチュエータの卓越した反応時間が得られる。構成部分の構成および組み込みに関して高い自由度が得られる。本発明のさらなる利点は、簡単な機械的な構成が考えられることにある。必要な弁は殆ど摩耗しない。
【0012】
本発明の有利な実施例が図面に概略的に示されている。
【0013】
図1には、レーザー加工機の装着可能なミラー装置1が示されている。リング状のフレーム2はミラー3を支持している。リング状のフレーム2はミラー3を、ミラー3の後方に中空室(図2参照)が形成されるように収容している。この中空室には流体4を充填することができる。この中空室に多かれ少なかれ圧力が加えられると、その圧力の影響下でミラー3のジオメトリが変化する。
【0014】
ミラー装置1では、電気レオロジー的な液体が使用され、弁がミラー装置1に組み込まれている。電気レオロジー的または磁気レオロジー的な流体4は、電磁界分極性の粒子5と、粒子のキャリアとしての液体6とを含んでいる。この流体4は磁界もしくは磁界の変化に反応する。粒子5は分極可能であり、鎖状に配置されることができる。流体4は、無極性のキャリア液6と分極性の固体粒子5とから成る分散系である。鎖は流体4の粘性を高める。磁界がなければ、粒子5は整然とした状態にはない。この状態では流体4は、電界及び/又は磁界にさらされている場合の整然とした状態よりも僅かな粘性を有する。電界及び/又は磁界は流体4の流動特性を変化させる。この変化は液状のものから流れ限界に到達するまで達する。この変化は連続的であり、1ミリ秒よりも速く行うことができる。これによりメカトロニックな効果が得られる。
【0015】
ミラー背面7は圧力負荷され、圧力調節は流れ圧の変更により行われる。しかしながら圧力と体積流とは電界において電気レオロジー的な流体4の粘性変化により調節される。弁は、比較的大きな横断面を有する流れ通路によって形成され、この流れ通路の壁には、電界を形成するための電極8,9が埋め込まれている。これらの電極は種々様々な形式のものであって良い。磁気レオロジー的な液体の制御のために適当な磁界を形成するために、巻線を設けることもできる。
【0016】
ミラー3の領域の中空室内に配置されているセンサ10によって、電気レオロジー的な流体の圧力を直接測定することができる。電気レオロジー的な流体弁は、レーザー加工機の制御装置に容易に組み込むことができる。
【0017】
レーザービームガイドの変向ミラーとして使用可能なミラー3の所望の焦点距離は、ミラー背面7を相応に圧力負荷することにより調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】装着可能なミラー装置の平面図である。
【図2】図1のミラー装置の側方図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー加工機の光学系のミラー装置(1)であって、中空室を有するフレーム(2)と、装着可能なミラー(3)とを有している形式のものにおいて、
中空室内に、磁気レオロジー的な又は電気レオロジー的な流体(4)が配置されていることを特徴とする、レーザー加工機の光学系のミラー装置。
【請求項2】
磁気レオロジー的な又は電気レオロジー的な流体弁がフレーム(2)に組み込まれている、請求項1記載のミラー装置。
【請求項3】
フレーム(2)に電極(8,9)が埋め込まれている、請求項1又は2記載のミラー装置。
【請求項4】
電気レオロジー的な又は磁気レオロジー的な流体の圧力を直接検出するためのセンサ(10)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−543573(P2008−543573A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517331(P2008−517331)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006839
【国際公開番号】WO2007/000171
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(502300646)トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (76)
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann−Maus−Strasse 2,D−71254 Ditzingen,Germany
【Fターム(参考)】