説明

レーザー加工法を使用するSMDおよび挿入実装ヒューズの製造

本発明は、回路保護装置を製造する方法、および回路保護装置に関する。その方法は、対向する端部を有する基板110を供給するステップと、基板の上面112にエレメント層120を結合するステップと、エレメント層を所定の形状に形成する、エレメント層をレーザー加工するステップと、を備える。回路保護装置は、対向する端部を有する基板110と、基板の対向する端部において上面に結合された終端パッドと、終端パッド間のスペースを横切って配置され終端パッドを電気接続するヒューズエレメント122であり、所定の形状の有するヒューズエレメント122と、を備える。所定の形状は、0.025から0.050ミリメートルの最も狭い幅を有する、カバー130は上面と結合し、基板、ヒューズエレメントおよび終端パッドを覆う。終端140,142は、対向する端部において終端パッドと電気接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的に回路保護装置、特にSMDおよび挿入実装ヒューズ、SMDおよび挿入実装ヒューズを製造する方法に関する。本発明は、特にすべての非標準のヒューズ寸法と同様に1206、0805、0603および0402ヒューズを含み、これらに限定されない表面実装可能デバイスおよび挿入実装ヒューズのすべての標準寸法に関して使用されてもよい。「リード線を有するハイブリッド・チップ・ヒューズ・アセンブリとその製造方法」(これは2006年9月28日に米国公開2006−0214259号として公表された)の表題をつけられた米国出願番号11/091,665は、挿入実装ヒューズに関するものであり、参照によってここに組込まれる。
【0002】
超小型の回路保護装置は、サイズおよびスペースの制限が、電子回路の密なパッキングおよび小型化のために、例えば電子機器用回路基板上で重要である用途に役立つ。
【背景技術】
【0003】
セラミックチップ型ヒューズは、セラミックまたはガラスの基板プレート上でエレメント層を蒸着させる工程、エレメント層をスクリーン印刷する工程、所定の抵抗を得るために所定の厚さと幅へエレメント層を印刷する工程、エレメント層の上に絶縁カバーを取付ける工程、完成した構造から個別のヒューズを切断あるいは方形切断する工程、により典型的に製造される。スクリーン印刷工程が行なわれる時、エレメント層は鮮明度を失う。スクリーン印刷工程はあまり正確ではない。また、最終的なエレメント層の端明瞭度はあまりよくない。写真平版エッチングはスクリーン印刷工程の代わりとして使用されてもよい。しかし、このプロセスは、追加で要求される処理ステップおよびより長いリードタイムにより比較的高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単純で、比較的安い超小型の回路保護装置を製造する方法の必要性がある。さらに、エレメント層が所定の形状に設計され、精密な端明瞭度を有する、超小型の回路保護装置を製造する方法の必要性もある。
【0005】
(発明の簡単な説明)
発明の前述および他の特徴および形態は、添付の図面と共に読まれる時、発明のある典型的な実施形態の次の説明を参照することにより最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一つの典型的な実施形態の回路保護装置の斜視図を示す。
【0007】
【図2】図2は、本発明の一つの典型的な実施形態の、図1の2−2ラインに沿った回路保護装置の側面断面図を示す。
【0008】
【図3】図3は、回路保護装置を製造する典型的な方法を表すフローチャートである。
【0009】
【図4】図4A−4Jは、本発明の一つの典型的な実施形態による製造の諸工程における回路保護装置を示す。
【0010】
【図5】図5は、複数の回路保護装置を製造する別の典型的な方法を表すフローチャートである。
【0011】
【図6】図6は、実質的に間隔を置かれた、基板に結合されたエレメント層の複数の平行コラムの平面図を示す。その基板から、複数の回路保護装置が本発明の典型的な実施形態に従って形成される。
【0012】
【図7】図7A−7Cは、本発明の一つの典型的な実施形態の、様々な形状のヒューズエレメントを有する典型的な回路保護装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
図1は、典型的な実施形態の回路保護装置100の斜視図を示す。図は寸法通りではなく、様々な要素の厚さが明瞭さの目的で誇張されていることが理解される。
【0014】
回路保護装置100は、電気的に絶縁する材料の基板110と、基板110の上面112に結合された、電気的に導体である材料のエレメント層120と、エレメント層120の少なくとも一部に結合されたカバー130と、基板110の対向する端部116、117に結合された電気的に導電性の終端部140、142と、を備える。終端部140、142は、回路保護装置100を通過して回路伝導路を形成するようにエレメント層120に電気的に結合される。さらに、マーキング150はカバー130の表面に結合されてもよい。マーキング150は、ヒューズのある特性の識別のシンボルあるいは色を含んでもよい。これらの特性は、ヒューズ、ヒューズの設置面積、ヒューズの電気的特性およびヒューズのアンペア・レーティング(格付け)を作るために使用される技術を含んでもよい(しかし制限はされない)。他の実施形態では、カバー130は、エレメント層120の少なくとも一部および基板110の少なくとも一部に結合されてもよい。
【0015】
図2は、典型的な実施形態において図1の2−2ラインに沿って得られる回路保護装置100の側面断面図を示す。回路保護装置100は、エレメント層120に(例えばその上面の上で)結合された電気的に終点となる終端パッド160、162をさらに備えることが理解される。終端部140、142は、基板110の対向する端部116、117をカバーし、終端パッド160、162に電気的に結合される。終端部140、142は、回路(図示せず)中の回路保護装置100との接続のためにこのように外部の電気的端子を形成する。
【0016】
一つの実施形態では、エレメント層120は、終端パッド160、162および、終端パッド160、162の間に配置されて電気的に終端パッド160、162を接続するヒューズエレメント122を備える。終端パッド160、162およびヒューズエレメント122は、エレメント層120から形成される単一の構造体でも良い。さらに、ヒューズエレメント122、終端パッド160、162は各々、所定厚さを有してもよい。例えば、終端パッド160、162の厚さは少なくともヒューズエレメント122の厚さでも良い。
【0017】
他の実施形態では、終端パッド160、162は、エレメント層120とは別々に形成され、エレメント層120に電気的に結合されてもよい。
【0018】
一つの典型的な実施形態の回路保護装置100の構造について概説した後、本発明の回路保護装置を製造する典型的方法が、図3および図4A−4Jを参照しながらこれから記述される。図3は、回路保護装置100を製造する典型的方法300を表すフローチャートである。図4A−4Jは、図3を参照して記述される典型的な方法300に従った、製造の諸工程における単一の典型的な回路保護装置100を示す。
【0019】
典型的な方法300は、ステップ301から始まり、それはステップ310へ進む。ステップ310では、対向する端部116、117を有する基板110が供給される。ある実施形態では、提供される基板110は1つの回路保護装置のサイズに近いかもしれない。基板110(それは単一の回路保護装置100のベースを形成する)の平面図および側面図は、図4Aおよび図4Bにそれぞれ示される。基板110は、セラミック、ガラス、ポリイミドのような高分子材料、FR4、アルミナ、凍石岩、フォルステライトあるいはその混合物を含み、これらに限定されずに任意の適切な電気的に絶縁である材料から作られてもよい。図示された実施形態では、基板は実質的に長方形断面の形状に形成される。しかしながら、他の実施形態では、基板110は発明の範囲および思想から外れずに、他のサイズおよび形状に形成されてもよい。基板110は上面112、底面114、対向する端部116、117、対向する側面の縁118、119を有する。いくつかの実施形態では、基板110の上面112は実質的に平面である。
【0020】
次に、ステップ320では、公知のように、エレメント層120は適切な手段によって基板110の上面112に結合される。基板110およびエレメント層120の平面図および側面図は、図4Cおよび図4Dにそれぞれ示される。エレメント層120は、適切な導電性材料のいずれからでも作ってもよい。導電性材料は、銀、金、パラジウム銀、銅、ニッケルあるいはその任意の合金を含んでもよい(しかしそれに制限されない)。
【0021】
ある実施形態では、ガラス・フリットは、エレメント層120に典型的に含まれており、基板110にエレメント層120を結合するために接着剤として使用される。そのような実施形態では、エレメント層120は、液体形態の基板110の上面112上に接着されてもよい。それにより、ガラス・フリットは、エレメント層120の底に沈下するだろう。上に記述されたように、終端パッド160、162はエレメント層120の一部として形成されてもよい。あるいは、終端パッド160、162は、エレメント層120とは別々に形成されてもよい。基板110にエレメント層120を付着する他の既知の方法は、厚膜方法、薄膜方法、スパッタリング方法および積層フィルム法を含み、これらに限定されずに、本発明の範囲および思想から外れずに、ステップ320において使用されてもよい。
【0022】
エレメント層120の選択される厚さは、回路保護装置100の必要な特性(例えば抵抗)に非常に依存して変更されてもよい。それは典型的に用途要求によって指示される。例えば、薄膜としてエレメント層120を付着する時、厚さは約0.2ミクロンで良い。しかしながら、厚膜としてエレメント層120を付着する時、厚さは約12ミクロンから約15ミクロンかもしれない。
【0023】
ステップ330では、エレメント層120は所定の形状にレーザー加工される。この所定の形状は、最終的なヒューズエレメント122の時間・電流特性を画定する。基板110および所定の形状にレーザー加工されたエレメント層120の平面図および側面図は、図4Eおよび図4Fにそれぞれ示される。図4Eは、エレメント層120の形状が実質的に曲がりくねっていることを示す。終端パッド160、162もレーザー加工によりエレメント層120から形成されてもよい。
【0024】
レーザー加工は、精密な端明瞭度を維持し、サイドウォール形状に沿って鋭い直角あるいはカーブを可能にしながら、様々な複雑な形状へエレメント層120を形成することを可能にする。したがって、エレメント層120がレーザー加工される時、サイドウォールは90°にカットされる。従って、先行技術のSMDヒューズと比較した時、レーザー加工により、ヒューズエレメント122は、深さにおいてより厚く、幅においてより狭くなることが可能となる。現状の製造工程と比較される時、レーザー加工により製造されたヒューズエレメントは、ピンホール数が減少する。ピンホールは、印刷および焼成工程時にインク中の気泡に起因する約0.05mm−0.2mmの直径の孔である。ピンホール数の減少は迷惑なブロー(nuisance blows)を低減する。さらに、レーザー加工は、ヒューズエレメント122の局部加熱改善による回路保護装置性能を高める。それは基板110内への熱放散を低減する。
【0025】
例として(制限としてではない)、レーザー加工技術は、精密な端明瞭度をなお維持しながら、ヒューズエレメント122の最も狭い部分の幅が、約0.025mmしかないヒューズエレメント形状を生産するために使用できる。さらに、ヒューズエレメント122の最も狭い部分を囲む、最も狭く蒸着した幅は、約0.019mmしかなく、精密な端明瞭度を維持することができる。当業者は、本発明の範囲および思想から外れずに、より大きいかより小さな幅(その選択は典型的にはその回路保護装置100の用途要求に依存する)を有するヒューズエレメント形状を生産するためにレーザー加工を使用できることを認識する。
【0026】
本発明の一つの実施形態では、IPG Photonics株式会社によって製造されたYLPシリーズ・レーザーがレーザー加工を行なうために使用される。YLPシリーズ中の適切な1つのモデルはYLP−0.5/80/20モデルである。波長、パワー、ビーム品質およびスポット・サイズはレーザー加工ダイナミックスを決定するパラメーターのうちのいくつかである。このモデルは、パルス運転モードを利用し、1パルス当たり0.5ミリ・ジュールを伝えるイッテルビウム・ファイバー・レーザーである。パルス幅は約80ナノ秒である。これらのレーザーは、柔軟金属の鞘に納められたファイバー・ケーブルを介して作業サイトに高パワー1060〜1070ナノメーターの波長レーザー・ビーム(それは可視スペクトル内にない)を直接送る。レーザー加工プロセスの時に基板110を破損せずに、エレメント層120をレーザー加工するように、レーザーは低レベル熱を提供する。さらに、レーザー・ビームは照準を正され、典型的に数ミクロン以下のスポット・サイズに焦点を結ばれる。更に、出力ファイバー供給長さは約3〜8メートルである。このレーザーのパルス繰返し率は、20kHから100kHzに及ぶ。さらに、このレーザーの名目上の平均出力パワーは約10Wであり、最大出力消費は約160Wである。
【0027】
ファイバー・レーザーは広い動的な運転出力範囲を有し、レーザパワーが変更される時であっても、ビーム焦点およびその位置は一定のままである。これにより、一貫した処理結果が常に可能になる。広範囲のスポット・サイズも光学構造の変更により達成される。これらの特徴によって、ユーザーは適切なパワー密度を選び、様々な材料および壁厚をカットすることができる。
【0028】
最適化されたパルスを持つファイバー・レーザーの高モード品質および小さなスポット・サイズは、薄い材料における複雑な形状および幾何学形状のレーザー加工を容易にする。このパルスモード切断により、最小のスラグおよびHAZ(熱影響域)が可能となる。それは多くの超精密加工用途に非常に重要である。ファイバー・レーザーの小さなスポット・サイズに関連付けられた高パワー密度は、優れた端品質を備えたより速い切断に変換される。
【0029】
これらのファイバー・レーザーは、エレメント層120の不要な金属被覆を蒸発させ、ヒューズエレメント122の最適性能に必要な精密な形状を維持することを可能にする。そのようなファイバー・レーザーが金の上で使用される時、焦点は約15マイクロメートルである。しかしながら、レーザーが銀の上で使用される時、焦点は約20−25マイクロメートルである。金は銀ほど反射しないので、それはカットするのがより簡単である。エレメント層の特性次第で、ファイバー・レーザーは、約10マイクロメートルである焦点を有してもよい。より小さな焦点は発光面積の制限により達成されてもよい。他の実施形態では、別のタイプのファイバー・レーザーあるいは別のタイプのレーザーが、本発明の範囲および思想から外れずに非常に長く使用されてもよいので、レーザーは、基板110を破損せずに、エレメント層120上に高い解像度を生む。
【0030】
エレメント層120がステップ330においてレーザー加工された後、カバー130はステップ340においてエレメント層120の少なくとも一部に結合される。基板110、エレメント層120およびカバー130の平面図および側面図は、図4Gおよび図4Hにそれぞれ示される。カバー130はガラスまたはセラミック、あるいは他の電気的に絶縁性の適切な材料から作られてもよい。カバー130は、基板110の上面112の少なくとも一部、ヒューズエレメント122の少なくとも一部、および終端パッド160、162の少なくとも一部を覆い、それらのまわりの、およびそれらの間のいかなる空間も塞ぐ。他の実施形態では、カバー130は、エレメント層120の少なくとも一部および基板110の少なくとも一部に結合される。
【0031】
ある実施形態では、カバー130は、印刷されたガラスあるいは高温安定高分子材料でも良く、基板110の上面112およびエレメント層120(ヒューズエレメント122および終端パッド160、162を含む)の表面上に直接付着される。一つの実施形態では、ガラスは金属を有せず、厚膜として付着されてもよい。ガラス塗膜は乾かされ、火が通されて、次に、冷却される。あるいは、カバー130は、下に位置する構成要素(つまりヒューズエレメント122および終端パッド160、162)を覆うために基板110の上面112の上に機械的に押されるセラミックス材料の層を備えてもよい。また次に、アセンブリは、カバー130をキュア(硬化)するために火が通される。さらに他の実施形態では、カバー130は、電気的絶縁材のプレートを備えてもよい。それ(プレート)は、組み立てられた構成要素の上面112へ一層の接着材によって接着される。接着材は、上面112および上述された組み立てられた構成要素を覆うために、上面112に、および接着材上に置かれるカバー130に付着されてもよい。カバー130は、アークを消す特性を有する表面安定化処理層として、作用してもよい。
【0032】
次に、ステップ350では、回路保護装置100は終端される。平面図および終端された回路保護装置100の側面図は、図4Iおよび図4Jにそれぞれ示される。終端部140、142は、カバー130がそれ(回路保護装置)に結合された後に、回路保護装置サブアセンブリーの端部上に覆われる導体材料から成ってもよい。終端部140、142は回路保護装置サブアセンブリー上で既知の任意の適切な方法で覆われてもよい。制限ではなく例として、終端部140、142は、サブアセンブリーの端部を、焼成が後続する適切なコーティング・バスに漬けることにより塗布されてもよい。終端部140、142は、基板110の端部116、117において、終端パッド160、162と接触する。業界基準によって許される限り、終端部140、142は、好ましくは基板110の側面の縁118、119に沿って伸びる。その結果、終端パッド160、162の側面の縁は終端部140、142の中で少なくとも部分的に囲まれる。終端部140、142は、また同様にカバー130および基板110の底面114の一部の上を伸びる。ある実施形態では、終端部140、142は、その後、銀錫合金でメッキされた銀色インキから作られてもよい。他の導電材は、本発明の範囲および思想から外れること無く、終端部140、142に使用されてもよい。回路保護装置100の終端に続いて、方法300はステップ360で終了する。
【0033】
複数の回路保護装置100を製造する別の方法は、図5および図6を参照して記述される。図5は、複数の回路保護装置100を製造する別の典型的な方法500を表すフローチャートである。図6は、基板110に結合されたエレメント層120の、間隔を置いて配置され実質的に平行の複数のカラム(列)の平面図である。基板110から、複数の回路保護装置100が典型的な方法500により形成できる。
【0034】
図5の典型的方法500はスタート・ステップ501において始まり、ステップ510に移る。ステップ510では、間隔を置いて配置された実質的に平行の複数の(エレメント層120の)カラム(列)が、基板110の上面112に結合される。図7は、基板110の上面112に結合された、間隔を置いて配置された実質的に平行の複数の(エレメント層120の)カラムを示す。図示する基板110は、実質的に矩形断面を有する。例として、基板110は約63.5mm(2.5インチ)〜約76.2mm(3インチ)の正方形でも良い。それは複数の回路保護装置100を形成するのにふさわしい。約63.5mm(2.5インチ)〜約76.2mm(3インチ)の正方形の単一の基板は、回路保護装置100の寸法次第で、およそ798個の回路保護装置を収容することができる。基板110の、他のサイズおよび形状は、本発明の範囲および思想から外れずに利用されてもよい。
【0035】
基板110へのエレメント層120の付着の典型的な方法は、上に記述された。ある実施形態では、エレメント層120は、エリア172によって基板110上で離れて間隔を置かれた金属被覆ライン170の形成により、基板110の上面112に結合されてもよい。エレメント層120が付けられた後、エレメント層120は、ステップ520において、レーザー加工されて、所定の幾何学形状へ形成される。前に記述されたように、レーザー加工は端明瞭度を維持しながら、エレメント層120が様々な複雑な形状に作られることを可能にする。複雑な形状のサイドウォールは90°カットを有してもよい。
【0036】
次に、ステップ530では、カバー130は基板110の上面112に結合される。そこにおいてはカバー130は、エレメント層120の少なくとも一部をカバーする。すなわち、カバー130は、基板110の上面112の少なくとも一部、ヒューズエレメント122、および各回路保護装置100の終端パッド160、162の少なくとも一部を覆い、それらのまわりの、およびそれらの間のいかなる空間も塞ぐ。カバー130の付着の典型的な方法は上に記述された。
【0037】
ステップ540では、基板110は、複数の個別の回路保護装置100を形成するために単数化(1個に)される。そこでは、回路保護装置100はそれぞれ、対向する端部116、117を備えた基板110を有する。例えば、複数の回路保護装置100は、エリア172に沿い基板110を横切って水平に、および金属被覆ライン170を横切って垂直に、方形切断することにより、基板110から単数化(1個に)されてもよい。ある実施形態によれば、そのような方形切断はダイヤモンドの方形切断のこぎりにより行なわれてもよい。別の実施形態において、他の既知の方法が、本発明の範囲および思想から外れずに、基板110からの複数の回路保護装置100を単数化するために使用されてもよい。
【0038】
複数の回路保護装置100が基板110から単数化された後、各回路保護装置100の対向する端部116、117は、ステップ550において終端化される。回路保護装置100を終端化する典型的な方法は上に記述された。回路保護装置100の終端の後、典型的な方法500はステップ560で終了する。
【0039】
図7A−7Cは、発明のある典型的な実施形態による、様々な形状のヒューズエレメント122を有する典型的な回路保護装置100の平面図を示す。図7Aに示すように、典型的な回路保護装置100のエレメント層120は、レーザー加工されて、第1の終端パッド160から第2の終端パッド162へ伸びる狭い直線形状を有するヒューズエレメント122を形成する。図7Bに示すように、典型的な回路保護装置100のエレメント層120はレーザー加工されて、第1の終端パッド160から第2の終端パッド162へ伸びる狭い曲がりくねった形状を有するヒューズエレメント122を形成する。図6Cに示すように、典型的な回路保護装置100のエレメント層120はレーザー加工されて、第1の終端パッド160から第2の終端パッド162へ伸びる比較的狭い直線形状を有するヒューズエレメント122を形成し、比較的狭い直線形状は、より大きな長方形の部分をさらに備える。したがって、レーザー加工により、精密な端明瞭度を維持しながら、様々な複雑な形状にヒューズエレメント122を形成することが可能になることが理解される。
【0040】
発明は特定の実施形態を参照して記述されたが、これらの説明は制限する意味で解釈されるのが目的ではない。発明の他の実施形態と同様に示された実施形態の様々な改造も、発明の説明の参照により当業者には明白になる。発明と同じ目的を実行するための他の構造を修正するまたは設計するベースとして、示された概念および特定の実施形態が容易に利用可能であることは当業者によって認識されるべきである。また、そのような等価な構造は、従属請求項に述べられた発明の思想および範囲から離れてはいないことを、当業者は理解すべきである。したがって、本願請求項は、本発明の範囲内のあらゆる改造あるいは実施形態をカバーすることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路保護装置を製造する方法であって、
基板を供給するステップと;
前記基板の上面にエレメント層を結合するステップと;
エレメント層をレーザー加工し、エレメント層を所定の形状に形成するステップと;
を備える回路保護装置を製造する方法。
【請求項2】
エレメント層の少なくとも一部にカバーを結合するステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カバーの表面にマーキングを付けるステップをさらに備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基板の対向する端部に導電性の終結する端部を付けることにより、回路保護装置を終端し、その結果、終結する端部がエレメント層に電気的に結合されるステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エレメント層をレーザー加工して、エレメント層を所定の形状に形成するステップが、ファイバー・レーザーを用いて実行される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エレメント層を所定の形状に形成する、エレメント層をレーザー加工するステップは、ヒューズエレメント、および基板の対向する端部における終端パッドを創造する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の形状は実質的に曲がりくねっている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板は、セラミック、ガラス、ポリマー、FR4、アルミナ、凍石岩およびフォルステライトから成るグループから選ばれた電気的絶縁材料から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板の上面にエレメント層を結合するステップは、基板の上面へエレメント層を金属被覆するステップである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
エレメント層は、銀、金、パラジウム銀、銅、ニッケル、銀合金、金合金、パラジウム銀合金、銅合金およびニッケル合金から成るグループから選ばれた少なくとも1つの導体材料から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の回路保護装置を製造する方法であって、
基板を供給するステップと;
前記基板の上面にエレメント層を結合するステップであって、前記エレメント層は、間隔を置いて配置され実質的に平行な導電性材料の複数のカラム(列)を備える、ステップと;
エレメント層をレーザー加工して、導電性材料の各カラムを所定形状に形成するステップと;
を備える、複数の回路保護装置を製造する方法。
【請求項12】
基板の上面にカバーを結合するステップであり、カバーはエレメント層の少なくとも一部をカバーするステップと;
複数の個別の回路保護装置を形成するために基板を分割するステップであり、個別の保護装置はそれぞれ対向する端部を有するステップと;
前記対向する端部の各々を終端させるステップと;
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
カバーの表面に少なくとも1つのマーキングを付けるステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の個別の回路保護装置を形成するために基板を分割するステップは、基板を単数化(1個に)することから成る、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エレメント層をレーザー加工して、エレメント層を所定の形状に形成するステップが、ファイバー・レーザーを用いて実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
エレメント層をレーザー加工するステップは、ヒューズエレメントがそれぞれその対向する端部において終端パッドを有するように、各カラムの範囲内で複数のヒューズエレメントを創造する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ヒューズエレメントはそれぞれ、形状が実質的に曲がりくねっている、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
基板は、セラミック、ガラス、ポリマー、FR4、アルミナ、凍石岩およびフォルステライトから成るグループから選ばれた電気的絶縁材料から成る、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
基板の上面にエレメント層を結合するステップは、基板の上面へエレメント層を金属で被覆するステップから成る、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
エレメント層は、銀、金、パラジウム銀、銅、ニッケル、銀合金、金合金、パラジウム銀合金、銅合金およびニッケル合金から成るグループから選ばれた少なくとも1つの導体材料から成る、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
回路保護装置であって、
上面、底面、および端部縁と対向する側面縁を有する対向する端部を有する、電気的に絶縁する基板と;
基板の対向する端部において基板の上面に結合される導電性材料の終端パッドであり、各パッドは1つの端部縁へ伸び、両方のパッドは側面の縁が対向している終端パッドと;
終端パッド間のスペースを横切って配置され複数の終端パッドを電気的に接続するヒューズエレメントであり、ヒューズエレメントは所定の形状を有するサイドウォールを備え、形状の少なくとも一部の幅は約0.025ミリメートルから約0.050ミリメートルであり、サイドウォールは90°のカットを有する、ヒューズエレメントと;
前記上面に結合された電気的絶縁材料のカバーであり、前記基板、前記ヒューズエレメントおよび前記終端パッドを覆うカバーと;
端部縁および側面の縁で終端パッドと電気接触する対向する端部において終端する導電性の端部終端であり、端部終端は前記底面の一部の上を伸び、前記カバーは前記終端パッドを囲む、端部終端と;
を備える回路保護装置。
【請求項22】
ヒューズエレメントおよび終端パッドは、各々所定厚さを有し、終端パッドの厚さは少なくともヒューズエレメントの厚さである、請求項21に記載の回路保護装置。
【請求項23】
ヒューズエレメントおよび終端パッドは、単一の構造体である、請求項21に記載の回路保護装置。
【請求項24】
カバーは印刷されたガラスから成る、請求項21に記載の回路保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2011−508407(P2011−508407A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540918(P2010−540918)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/088399
【国際公開番号】WO2009/086496
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(506257537)クーパー テクノロジーズ カンパニー (35)
【Fターム(参考)】