レーザ加工装置およびレーザ加工方法
【課題】 3次元加工において、より高い寸法精度を得ることができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供すること。
【解決手段】 加工対象物5にレーザビームLを照射して形状形成を行う加工装置であって、加工対象物にレーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射機構22と、加工対象物を保持して該加工対象物とレーザビームとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構と、これら機構を制御する制御部25と、を備え、レーザ光照射機構が、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射し、制御部が、加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、レーザ光照射機構と位置調整機構とを制御して、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射する。
【解決手段】 加工対象物5にレーザビームLを照射して形状形成を行う加工装置であって、加工対象物にレーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射機構22と、加工対象物を保持して該加工対象物とレーザビームとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構と、これら機構を制御する制御部25と、を備え、レーザ光照射機構が、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射し、制御部が、加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、レーザ光照射機構と位置調整機構とを制御して、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高寸法精度で3次元加工が可能なレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、今まで砥石を使って切削加工されていた部材等の形態形成(形状形成)にも、レーザビーム(レーザ光)を照射して加工を行うレーザ加工装置が用いられている。例えば、特許文献1には、切刃部を有するダイヤモンドチップとエンドミル本体とを備えるエンドミルであって、すくい面切り取り部を紫外線レーザによるレーザ加工で切り取った単結晶ダイヤモンドを用いたエンドミルが記載されている。なお、このエンドミルでも、切刃を構成する部分は砥石や遊離砥粒で研磨することで形成される。
【0003】
このようなレーザ加工装置では、高い寸法精度で加工を行うことが要求され、例えば、特許文献2には、加工対象物を保持する加工テーブルをレーザ光の照射方向に沿って移動可能にすると共に、レーザ光の加工対象物への照射角度を変えるために加工テーブルを傾ける3自由度ステージを備えたレーザ加工装置が提案されている。すなわち、このレーザ加工装置では、照射するレーザビームと加工対象物との角度を、加工対象物を設置しているステージを傾斜させることによって、レーザビームのエッジ面が加工領域のエッジ面に内接するように変えている。これにより、レーザビームの集光点を加工対象物に一致させ、円錐形状となるレーザビームの集光点以外が加工対象物に照射されてしまうことによる加工精度の悪化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4339573号公報
【特許文献2】特開2000−334594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来のレーザ加工装置でレーザ加工を行う場合、単にレーザビームの集光点が加工対象物の表面に一致していたとしても、照射するレーザビームと加工面とのなす角度によって、加工後のモホロジーが変わり、寸法精度が悪くなる場合がある。すなわち、レーザビームは、通常、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布を有しており、図14に示すように、レーザビームLの中心ほど強度が高いため、レーザビームLの中心ほど深く加工されると共に周辺ほど浅く加工され、加工対象物5のレーザ照射した加工部分5aの側面に一定の傾斜が生じて加工形状がだれてしまう。したがって、円錐形状のレーザビームのエッジ面が加工領域のエッジ面に内接するにように加工対象物を傾けても、ビーム断面の光強度分布によって加工部分の側面が傾斜してしまうことから、高い寸法精度を得ることができなかった。特に、加工対象物を3次元的に加工する場合、上記従来のレーザ加工装置では、加工対象物の3次元形状に対応して加工対象物の傾きを細かく頻繁に変更する必要があり、ステージによる傾き制御が複雑で実用化が困難であった。例えば、ボールエンドミルなどを加工対象物とした場合、高い寸法精度や小さい面粗さが要求される切刃などをレーザ加工で3次元的に形状形成することが困難であった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、3次元加工において、より高い寸法精度を得ることができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のレーザ加工装置は、加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工装置であって、前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射機構と、前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構と、これら機構を制御する制御部と、を備え、前記レーザ光照射機構が、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射し、前記制御部が、前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記レーザ光照射機構と前記位置調整機構とを制御して、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のレーザ加工方法は、加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工方法であって、前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射工程と、前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整する位置調整工程と、を有し、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布である前記レーザビームを照射し、前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とする。
【0009】
これらのレーザ加工装置およびレーザ加工方法では、加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射するので、分割領域内の加工面全域で、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成することができる。すなわち、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度(レーザビームの伝播方向とレーザビームが照射される面の法線方向とがなす角度)を、ビーム断面の光強度分布を考慮した角度である50°未満に設定することで、ガウシアン分布である光強度分布の影響を受け難く、加工形状がだれずに、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成を行うことができる。また、加工領域を、レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射するので、分割領域内では、レーザビームの走査中に加工対象物の傾きを変化させるような複雑なステージ制御等が不要で、分割領域内の加工面全域に対して容易に高い寸法精度で形状形成することができる。
【0010】
また、本発明のレーザ加工装置は、前記レーザ光照射機構が、前記レーザビームのビーム断面形状を楕円形状とし、前記レーザビームの走査方向を、上記ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させていることを特徴とする。
レーザビームの走査方向が、光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致せずに長軸または短軸に対して傾いた方向であると、走査終端部分の加工形状が傾いてズレが生じてしまうが、本発明のレーザ加工装置では、レーザビームの走査方向を、ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させているので、走査終端部分の加工形状が傾かず、ズレが生じ難くなるため、より正確な形状形成が可能になる。
【0011】
また、本発明のレーザ加工装置は、前記制御部が、前記レーザビームの走査を行う際に、前記加工領域を前記レーザビームの照射方向に複数の加工レイヤーを積み重ねたものとして設定し、各加工レイヤーに対して前記レーザビームを照射し、前記加工レイヤー毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくことを特徴とする。
すなわち、このレーザ加工装置では、各加工レイヤーに対してレーザビームを照射し、加工レイヤー毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくので、加工レイヤーの分解能(厚さ)と加工レイヤー自体の平滑さとが加工後の面精度(RzやRa等)を律することになり、高精度に面粗さを設定することができる。また、この各加工レイヤーをレーザ加工した面は、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成された面粗さが小さく高い面精度の加工面となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法によれば、加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射するので、走査中に加工対象物の傾きを変化させるような複雑な制御が不要で、分割領域内の加工面全域で小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成することができる。
したがって、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法は、例えば、直径2mm以下の小径ボールエンドミルなどの切削工具の3次元的な形状加工に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法において、レーザ加工装置を示す概略的な全体構成図である。
【図2】本実施形態において、レーザビームの走査方向とレーザビームの断面形状との関係を示す説明図である。
【図3】本実施形態において、レーザビームの照射角度に対する設計上の加工面と実際の加工面との傾斜角ズレを示す説明図である。
【図4】本実施形態において、レーザビームの照射角度に対する傾斜角ズレを示すグラフである。
【図5】本実施形態において、加工前の加工面と設計上の加工後の加工面とに対するレーザビームの照射角度を示す説明図である。
【図6】本実施形態において、加工レイヤー毎の加工を示す説明図である。
【図7】本実施形態において、加工面の微細凹凸を示す模式図である。
【図8】本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法の実施例において、加工対象物である加工後のエンドミルを示す工具先端部の側面図および上面図である。
【図9】本実施例において、加工対象物である加工後のエンドミルを示す全体の側面図である。
【図10】本実施例において、レーザビームと加工面との関係を示す2分割で加工する方法(a)と本実施形態の4分割で加工する方法(b)との説明図である。
【図11】本実施例において、加工領域を周方向に4分割して加工する工程を示す説明図である。
【図12】本実施例において、形状形成した加工面を示す拡大画像である。
【図13】本実施例において、形状形成の設計値と実施例の測定値とを示すグラフである。
【図14】レーザビームが照射されて加工された部分の断面形状を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法の一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している部分がある。
【0015】
本実施形態のレーザ加工装置21は、図1に示すように、加工対象物5にレーザビーム(レーザ光)Lを照射して3次元加工する装置であって、レーザビームLをパルス発振して加工対象物5に一定の繰り返し周波数で照射すると共に走査するレーザ光照射機構22と、加工対象物5を保持して回転可能なモータ等の回転機構23と、該回転機構23が設置されて移動可能な移動機構24と、これらを制御する制御部25と、を備えている。なお、回転機構23と移動機構24とにより、加工対象物5を保持して該加工対象物5とレーザビームLとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構が構成されている。
【0016】
上記移動機構24は、水平面に平行なX方向に移動可能なX軸ステージ部24xと、該X軸ステージ部24x上に設けられX方向に対して垂直なかつ水平面に平行なY方向に移動方向なY軸ステージ部24yと、該Y軸ステージ部24y上に設けられ回転機構23が固定されて加工対象物5を保持可能であると共に水平面に対して垂直方向に移動可能なZ軸ステージ部24zと、で構成されている。
【0017】
上記レーザ光照射機構22は、Qスイッチのトリガー信号によりレーザビームLとなるレーザ光を発振すると共にスポット状に集光させる光学系も有するレーザ光源26と、照射するレーザビームLを走査させるガルバノスキャナ27と、保持された加工対象物5の加工位置を確認するために撮像するCCDカメラ28と、を備えている。
【0018】
このレーザ光照射機構22により出射されるレーザビームLは、シングルモードでありビーム断面の光強度分布がガウシアン分布となっていると共に、図2に示すように、集光点においてビーム断面の光強度分布が楕円形状となっている。
また、レーザ光照射機構22は、レーザビームLの走査方向を、楕円形状である上記光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致させている。これは、レーザビームLの走査方向が、上記光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致せずに長軸または短軸に対して傾いた方向であると、走査終端部分の加工形状が傾いてズレが生じてしまうためである。なお、図2では、レーザビームLの走査方向を、上記光強度分布の短軸方向に一致させている。
【0019】
上記レーザ光源26は、190〜550nmのいずれかの波長のレーザ光を照射できるものが使用可能であり、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザ光を発振して出射できるものを用いている。
上記ガルバノスキャナ27は、移動機構24の直上に配置されている。また、上記CCDカメラ28は、ガルバノスキャナ27に隣接して設置されている。
【0020】
上記制御部25は、加工対象物5の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームLの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームLを走査して照射するようにレーザ光照射機構22と位置調整機構(回転機構23および移動機構24)とを制御する。
【0021】
すなわち、図3に示すように、形状形成しようとする加工面29aの傾斜角度θ2と実際にレーザビームLで加工して形状形成した加工面29bの傾斜角度θ3とは、上述したようにビーム断面の光強度分布がガウシアン分布を有しているため、レーザビームLが大きく傾いて照射されると傾斜角度にズレが発生してしまう。この現象は、図4に示すグラフからわかるように、形状形成しようとする加工面29aに対するレーザビームLの照射角度が50°以上になると顕著に生じて、傾斜角度が大きくずれる。
【0022】
このため、本実施形態では、図5に示すように、加工前形状の加工面29cと設計上の加工後形状の加工面29dとの両方に対するレーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定してレーザビームLを照射する。また、レーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定するため、加工領域を分割し、レーザビームLの角度θ4および角度θ5が50°未満となる分割領域毎に、レーザ加工を行う。
【0023】
また、上記制御部25は、図6に示すように、レーザビームLの走査を行う際に、加工領域をレーザビームLの照射方向に複数の加工レイヤー30を積み重ねたものとして設定し、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを垂直に照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成するようにレーザ光照射機構22、回転機構23および移動機構24を制御する。
【0024】
すなわち、本実施形態では、レーザビームLの走査を行う際に、走査プログラム上、複数の加工レイヤー30を積み重ねて設定することで、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを垂直に照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面29を形成していく。このため、レーザビームLの走査制御において、まず加工対象物5をレーザビームLの照射方向に複数の加工レイヤー30に分けて設定する。
【0025】
そして、加工前の形状と設計上の加工後形状とから加工除去する部分を、加工レイヤー30毎に設定し、加工レイヤー30毎にレーザビームLを走査して所定部分を除去することで、所定の加工面29を形成していく。この加工方法では、加工レイヤー30の分解能(厚さ)と加工レイヤー30自体の平滑さとが加工後の面精度(RzやRa等)を律することになる。例えば、本実施形態では、面粗さが、少なくともRz(最大面粗さ):2μm以下、Ra(算術平均粗さ):1μm以下となるように加工レイヤー30の分解能等が設定される。
【0026】
このレーザ加工装置21によりレーザ加工した面は、図7に示すように、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝M1と、隣接する微細長溝M1間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝M2と、からなる網目状の微細凹凸が形成された面粗さが小さく高い面精度の加工面となる。
【0027】
なお、加工面29のテクスチャーは、多数の微細長溝M1と多数の微細短溝M2とによる微細凹凸となることから、本実施形態のレーザ加工方法によれば、面粗さRz:2μm以下かつ面粗さRa:1μm以下が実現可能である。なお、微細長溝M1のピッチは、例えば0.7〜15μmであり、微細短溝M2のピッチは、例えば0.5〜10μmである。
【0028】
このように本実施形態のレーザ加工装置21およびレーザ加工方法では、加工対象物5の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面29に対するレーザビームLの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームLを走査して照射するので、分割領域内の加工面29全域で、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成することができる。
【0029】
すなわち、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面29に対するレーザビームLの角度を、ビーム断面の光強度分布を考慮した角度である50°未満に設定することで、ガウシアン分布である光強度分布の影響を受け難く、加工形状がだれずに、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成を行うことができる。また、加工領域を、レーザビームLの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームLを走査して照射するので、分割領域内では、レーザビームLの走査中に加工対象物5の傾きを変化させるような複雑なステージ制御等が不要で、分割領域内の加工面29全域に対して容易に高い寸法精度で形状形成することができる。
【0030】
また、レーザビームLの走査方向を、ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させているので、走査終端部分の加工形状が傾かず、ズレが生じ難くなるため、より正確な形状形成が可能になる。
さらに、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくので、加工レイヤー30の分解能(厚さ)と加工レイヤー30自体の平滑さとが加工後の面精度(RzやRa等)を律することになり、高精度に面粗さを設定することができる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法により、加工対象物としてエンドミルをレーザ加工で実際に形状形成した実施例について、図8から図13を参照して説明する。
【0032】
加工対象物であるエンドミル10の加工最終形状は、図8および図9に示すように、軸線0回りに回転される工具先端部12に、一対の切刃13が先端において軸線0を挟んで互いに反対側に形成され、切刃13として上記軸線0回りの回転軌跡が略半球状をなす一対のボール刃部13aを有した2枚刃のボールエンドミルである。このエンドミル10は、超硬合金等の硬質材料により形成され先端側に小径の首部14aを有した円柱状のシャンク部14と、首部14a先端に拡散接合により接合された略円柱状のチップ部11と、で構成されている。
【0033】
上記チップ部11は、首部14aに接合される超硬合金部15と、該超硬合金部15に接合されたcBN焼結体の刃部となる工具先端部12と、で構成されている。すなわち、上記チップ部11の工具先端部12は、cBN焼結体で形成されている。
そして、このエンドミル10は、切刃13の外径が、直径2mm以下であり、工具先端部12全体がレーザ加工で形状形成されると共に、切刃13のすくい面16側にチャンファ19(図1のハッチング部分)がレーザ加工で帯状に形成される。
【0034】
上記切刃13は、先端側に設けられ円弧状に形成された一対のボール刃部13aと、ボール刃部13aから連続して軸線0に沿って直線状に延在する一対の外周刃部13bと、を有している。すなわち、工具先端部12は、ボール刃部13aおよび外周刃部13bからなる切刃13が形成された先端部分である。なお、ボール刃部13aの外径は、例えばR=0.5mmに設定されている。
【0035】
上記工具先端部12には、エンドミル回転方向を向く壁面に先端から基端側に向かって軸線0に沿って延びる平面状のすくい面16が形成されている。また、工具先端部12の外周面には、逃げ面17が形成されている。すなわち、レーザ加工で形状形成されるすくい面16と逃げ面17との交差稜線に、ボール刃部13aと外周刃部13bとが形成される。
【0036】
上記逃げ面17の設定される面粗さは、Rz(最大面粗さ)が2μm以下かつ面粗さRa(算術平均粗さ)が1μm以下である。
上記チャンファ19は、ボール刃部13aから外周刃部13bまで延在して一定幅で形成されている。例えば、チャンファ幅は、30〜40μmの範囲で一定に設定される。また、チャンファ19の設定される面粗さは、少なくともRz:2μm以下、Ra:1μm以下である。
【0037】
上記本実施形態のレーザ加工装置21を用いてエンドミル10を作製するには、まず略円柱状のチップ部11を接合したシャンク部14を回転機構23に設置して保持させる。
この状態で、レーザビームLを照射して工具先端部12全体を形状形成する(三次元レーザ加工工程)。この際、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームLの角度を50°未満に設定してレーザビームLを照射する。
【0038】
すなわち、図10の(a)に示すように、工具先端部12を周方向に2分割してレーザ加工する場合、周方向の端部では、加工面29に対するレーザビームLの角度θが50°以上になってしまう。この場合、レーザビームLのビーム断面の光強度分布がガウシアン分布を有しているため、図14に示すように、レーザビームLの中心ほど強度が高く、レーザビームLの中心ほど深く加工されると共に周辺ほど浅く加工され、レーザ照射した加工部分5の側面に一定の傾斜が生じて加工形状がだれてしまう。
【0039】
このため、本実施例では、図5に示すように、加工前形状の加工面29cと設計上の加工後形状の加工面29dとの両方に対するレーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定してレーザビームLを照射する。また、レーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定するため、図10の(b)および図11に示すように、工具先端部12を周方向に4分割(領域A〜Dに分割)してレーザ加工を行う。
【0040】
すなわち、工具先端部12を周方向に4分割したうちの1つの領域(分割領域)だけでレーザビームLを走査することで、この加工領域内ではどの加工面(加工前形状の加工面29cと設計上の加工後形状の加工面29dとの両方を含む)に対してもレーザビームLの角度θが50°未満となる。したがって、図11に示すように、レーザビームLの照射方向と照射される加工面とのなす角度が、常に適切な角度範囲(θ<50°)になるように、回転機構23を用いて工具先端部12を、軸線0を中心に90°毎4回分割回転させて加工を行う。なお、本実施例では、レーザビームLがチップ部11の軸線0方向に沿って走査される。
【0041】
また、本実施例では、レーザビームLの走査を行う際に、図6に示すように、走査プログラム上、複数の加工レイヤー30を積み重ねて設定することで、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを垂直に照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面29(逃げ面17やチャンファ19など)を形成していく。すなわち、レーザビームLの走査制御において、まず加工対象物のチップ部11をレーザビームLの照射方向に複数の加工レイヤー30に分けて設定する。
【0042】
そして、加工前の形状と設計上の加工後形状とから加工除去する部分を、加工レイヤー30毎に設定し、加工レイヤー30毎にレーザビームLを走査して所定部分を除去することで、逃げ面17等の所定の加工面29を形成していく。
【0043】
このように実際にレーザ加工した面(逃げ面17)を拡大した写真画像(350倍の拡大画像)を、図12に示す。
この画像からわかるように、本実施例で加工された面は、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成されていると共に、面粗さRzが2μm以下、Raが1μm以下であった。
【0044】
次に、本発明のレーザ加工装置において、波長355nm、繰り返し周波数166kHz、平均出力0.5WのレーザビームをFθレンズによって集光し、ガルバノスキャナを用いて300mm/sの走査速度で、加工対象物であるセラミックスの3次元形成を実際に行い、狙いの形状設計値と実際に加工した形状測定値とを比較した。この設計値と測定値とを比較したグラフを、図13に示す。
【0045】
このグラフでは、形状は3次元であるが、紙面に対して垂直な方向は前後に同じ形状が続いているので、その任意の部位の断面をプロットし2次元で表している。グラフ中の太線がレーザ加工後の実際の形状を示し、細線が狙いの設計上の形状(設計図)を示している。なお、加工対象物のセラミックスは平板であり、必要としない部分をレーザ加工で上述した加工レイヤー毎に層状に加工し除去した。この加工層である加工レイヤーの間隔は、各1μmに設定した。また、このグラフ中の矢印は、各加工レイヤーの層状加工を模式的に示したものである。
【0046】
狙いの加工後の形状も加工前の平板の形状および配置も、それぞれ加工面に対するレーザビームの照射角度が50°未満になるように設定して本発明のレーザ加工方法によって加工した。また、レーザビームのビーム断面は、集光点で長軸20μm、短軸15μmの楕円形状とし、レーザビームの走査方向は長軸方向と一致する方向とした。
この結果、図13のグラフに示すように、狙いの形状設計値と実際の加工した形状測定値とが2μmの差で高い寸法精度により一致させることができた。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
5…加工対象物、10…エンドミル(加工対象物)、22…レーザ光照射機構、23…回転機構(位置調整機構)、24…移動機構(位置調整機構)、25…制御部、29,29a,29b,29c,29d…加工面、30…加工レイヤー、L…レーザビーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、高寸法精度で3次元加工が可能なレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、今まで砥石を使って切削加工されていた部材等の形態形成(形状形成)にも、レーザビーム(レーザ光)を照射して加工を行うレーザ加工装置が用いられている。例えば、特許文献1には、切刃部を有するダイヤモンドチップとエンドミル本体とを備えるエンドミルであって、すくい面切り取り部を紫外線レーザによるレーザ加工で切り取った単結晶ダイヤモンドを用いたエンドミルが記載されている。なお、このエンドミルでも、切刃を構成する部分は砥石や遊離砥粒で研磨することで形成される。
【0003】
このようなレーザ加工装置では、高い寸法精度で加工を行うことが要求され、例えば、特許文献2には、加工対象物を保持する加工テーブルをレーザ光の照射方向に沿って移動可能にすると共に、レーザ光の加工対象物への照射角度を変えるために加工テーブルを傾ける3自由度ステージを備えたレーザ加工装置が提案されている。すなわち、このレーザ加工装置では、照射するレーザビームと加工対象物との角度を、加工対象物を設置しているステージを傾斜させることによって、レーザビームのエッジ面が加工領域のエッジ面に内接するように変えている。これにより、レーザビームの集光点を加工対象物に一致させ、円錐形状となるレーザビームの集光点以外が加工対象物に照射されてしまうことによる加工精度の悪化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4339573号公報
【特許文献2】特開2000−334594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来のレーザ加工装置でレーザ加工を行う場合、単にレーザビームの集光点が加工対象物の表面に一致していたとしても、照射するレーザビームと加工面とのなす角度によって、加工後のモホロジーが変わり、寸法精度が悪くなる場合がある。すなわち、レーザビームは、通常、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布を有しており、図14に示すように、レーザビームLの中心ほど強度が高いため、レーザビームLの中心ほど深く加工されると共に周辺ほど浅く加工され、加工対象物5のレーザ照射した加工部分5aの側面に一定の傾斜が生じて加工形状がだれてしまう。したがって、円錐形状のレーザビームのエッジ面が加工領域のエッジ面に内接するにように加工対象物を傾けても、ビーム断面の光強度分布によって加工部分の側面が傾斜してしまうことから、高い寸法精度を得ることができなかった。特に、加工対象物を3次元的に加工する場合、上記従来のレーザ加工装置では、加工対象物の3次元形状に対応して加工対象物の傾きを細かく頻繁に変更する必要があり、ステージによる傾き制御が複雑で実用化が困難であった。例えば、ボールエンドミルなどを加工対象物とした場合、高い寸法精度や小さい面粗さが要求される切刃などをレーザ加工で3次元的に形状形成することが困難であった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、3次元加工において、より高い寸法精度を得ることができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のレーザ加工装置は、加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工装置であって、前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射機構と、前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構と、これら機構を制御する制御部と、を備え、前記レーザ光照射機構が、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射し、前記制御部が、前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記レーザ光照射機構と前記位置調整機構とを制御して、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のレーザ加工方法は、加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工方法であって、前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射工程と、前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整する位置調整工程と、を有し、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布である前記レーザビームを照射し、前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とする。
【0009】
これらのレーザ加工装置およびレーザ加工方法では、加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射するので、分割領域内の加工面全域で、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成することができる。すなわち、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度(レーザビームの伝播方向とレーザビームが照射される面の法線方向とがなす角度)を、ビーム断面の光強度分布を考慮した角度である50°未満に設定することで、ガウシアン分布である光強度分布の影響を受け難く、加工形状がだれずに、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成を行うことができる。また、加工領域を、レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射するので、分割領域内では、レーザビームの走査中に加工対象物の傾きを変化させるような複雑なステージ制御等が不要で、分割領域内の加工面全域に対して容易に高い寸法精度で形状形成することができる。
【0010】
また、本発明のレーザ加工装置は、前記レーザ光照射機構が、前記レーザビームのビーム断面形状を楕円形状とし、前記レーザビームの走査方向を、上記ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させていることを特徴とする。
レーザビームの走査方向が、光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致せずに長軸または短軸に対して傾いた方向であると、走査終端部分の加工形状が傾いてズレが生じてしまうが、本発明のレーザ加工装置では、レーザビームの走査方向を、ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させているので、走査終端部分の加工形状が傾かず、ズレが生じ難くなるため、より正確な形状形成が可能になる。
【0011】
また、本発明のレーザ加工装置は、前記制御部が、前記レーザビームの走査を行う際に、前記加工領域を前記レーザビームの照射方向に複数の加工レイヤーを積み重ねたものとして設定し、各加工レイヤーに対して前記レーザビームを照射し、前記加工レイヤー毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくことを特徴とする。
すなわち、このレーザ加工装置では、各加工レイヤーに対してレーザビームを照射し、加工レイヤー毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくので、加工レイヤーの分解能(厚さ)と加工レイヤー自体の平滑さとが加工後の面精度(RzやRa等)を律することになり、高精度に面粗さを設定することができる。また、この各加工レイヤーをレーザ加工した面は、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成された面粗さが小さく高い面精度の加工面となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法によれば、加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームを走査して照射するので、走査中に加工対象物の傾きを変化させるような複雑な制御が不要で、分割領域内の加工面全域で小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成することができる。
したがって、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法は、例えば、直径2mm以下の小径ボールエンドミルなどの切削工具の3次元的な形状加工に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法において、レーザ加工装置を示す概略的な全体構成図である。
【図2】本実施形態において、レーザビームの走査方向とレーザビームの断面形状との関係を示す説明図である。
【図3】本実施形態において、レーザビームの照射角度に対する設計上の加工面と実際の加工面との傾斜角ズレを示す説明図である。
【図4】本実施形態において、レーザビームの照射角度に対する傾斜角ズレを示すグラフである。
【図5】本実施形態において、加工前の加工面と設計上の加工後の加工面とに対するレーザビームの照射角度を示す説明図である。
【図6】本実施形態において、加工レイヤー毎の加工を示す説明図である。
【図7】本実施形態において、加工面の微細凹凸を示す模式図である。
【図8】本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法の実施例において、加工対象物である加工後のエンドミルを示す工具先端部の側面図および上面図である。
【図9】本実施例において、加工対象物である加工後のエンドミルを示す全体の側面図である。
【図10】本実施例において、レーザビームと加工面との関係を示す2分割で加工する方法(a)と本実施形態の4分割で加工する方法(b)との説明図である。
【図11】本実施例において、加工領域を周方向に4分割して加工する工程を示す説明図である。
【図12】本実施例において、形状形成した加工面を示す拡大画像である。
【図13】本実施例において、形状形成の設計値と実施例の測定値とを示すグラフである。
【図14】レーザビームが照射されて加工された部分の断面形状を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法の一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している部分がある。
【0015】
本実施形態のレーザ加工装置21は、図1に示すように、加工対象物5にレーザビーム(レーザ光)Lを照射して3次元加工する装置であって、レーザビームLをパルス発振して加工対象物5に一定の繰り返し周波数で照射すると共に走査するレーザ光照射機構22と、加工対象物5を保持して回転可能なモータ等の回転機構23と、該回転機構23が設置されて移動可能な移動機構24と、これらを制御する制御部25と、を備えている。なお、回転機構23と移動機構24とにより、加工対象物5を保持して該加工対象物5とレーザビームLとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構が構成されている。
【0016】
上記移動機構24は、水平面に平行なX方向に移動可能なX軸ステージ部24xと、該X軸ステージ部24x上に設けられX方向に対して垂直なかつ水平面に平行なY方向に移動方向なY軸ステージ部24yと、該Y軸ステージ部24y上に設けられ回転機構23が固定されて加工対象物5を保持可能であると共に水平面に対して垂直方向に移動可能なZ軸ステージ部24zと、で構成されている。
【0017】
上記レーザ光照射機構22は、Qスイッチのトリガー信号によりレーザビームLとなるレーザ光を発振すると共にスポット状に集光させる光学系も有するレーザ光源26と、照射するレーザビームLを走査させるガルバノスキャナ27と、保持された加工対象物5の加工位置を確認するために撮像するCCDカメラ28と、を備えている。
【0018】
このレーザ光照射機構22により出射されるレーザビームLは、シングルモードでありビーム断面の光強度分布がガウシアン分布となっていると共に、図2に示すように、集光点においてビーム断面の光強度分布が楕円形状となっている。
また、レーザ光照射機構22は、レーザビームLの走査方向を、楕円形状である上記光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致させている。これは、レーザビームLの走査方向が、上記光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致せずに長軸または短軸に対して傾いた方向であると、走査終端部分の加工形状が傾いてズレが生じてしまうためである。なお、図2では、レーザビームLの走査方向を、上記光強度分布の短軸方向に一致させている。
【0019】
上記レーザ光源26は、190〜550nmのいずれかの波長のレーザ光を照射できるものが使用可能であり、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザ光を発振して出射できるものを用いている。
上記ガルバノスキャナ27は、移動機構24の直上に配置されている。また、上記CCDカメラ28は、ガルバノスキャナ27に隣接して設置されている。
【0020】
上記制御部25は、加工対象物5の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームLの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームLを走査して照射するようにレーザ光照射機構22と位置調整機構(回転機構23および移動機構24)とを制御する。
【0021】
すなわち、図3に示すように、形状形成しようとする加工面29aの傾斜角度θ2と実際にレーザビームLで加工して形状形成した加工面29bの傾斜角度θ3とは、上述したようにビーム断面の光強度分布がガウシアン分布を有しているため、レーザビームLが大きく傾いて照射されると傾斜角度にズレが発生してしまう。この現象は、図4に示すグラフからわかるように、形状形成しようとする加工面29aに対するレーザビームLの照射角度が50°以上になると顕著に生じて、傾斜角度が大きくずれる。
【0022】
このため、本実施形態では、図5に示すように、加工前形状の加工面29cと設計上の加工後形状の加工面29dとの両方に対するレーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定してレーザビームLを照射する。また、レーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定するため、加工領域を分割し、レーザビームLの角度θ4および角度θ5が50°未満となる分割領域毎に、レーザ加工を行う。
【0023】
また、上記制御部25は、図6に示すように、レーザビームLの走査を行う際に、加工領域をレーザビームLの照射方向に複数の加工レイヤー30を積み重ねたものとして設定し、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを垂直に照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成するようにレーザ光照射機構22、回転機構23および移動機構24を制御する。
【0024】
すなわち、本実施形態では、レーザビームLの走査を行う際に、走査プログラム上、複数の加工レイヤー30を積み重ねて設定することで、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを垂直に照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面29を形成していく。このため、レーザビームLの走査制御において、まず加工対象物5をレーザビームLの照射方向に複数の加工レイヤー30に分けて設定する。
【0025】
そして、加工前の形状と設計上の加工後形状とから加工除去する部分を、加工レイヤー30毎に設定し、加工レイヤー30毎にレーザビームLを走査して所定部分を除去することで、所定の加工面29を形成していく。この加工方法では、加工レイヤー30の分解能(厚さ)と加工レイヤー30自体の平滑さとが加工後の面精度(RzやRa等)を律することになる。例えば、本実施形態では、面粗さが、少なくともRz(最大面粗さ):2μm以下、Ra(算術平均粗さ):1μm以下となるように加工レイヤー30の分解能等が設定される。
【0026】
このレーザ加工装置21によりレーザ加工した面は、図7に示すように、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝M1と、隣接する微細長溝M1間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝M2と、からなる網目状の微細凹凸が形成された面粗さが小さく高い面精度の加工面となる。
【0027】
なお、加工面29のテクスチャーは、多数の微細長溝M1と多数の微細短溝M2とによる微細凹凸となることから、本実施形態のレーザ加工方法によれば、面粗さRz:2μm以下かつ面粗さRa:1μm以下が実現可能である。なお、微細長溝M1のピッチは、例えば0.7〜15μmであり、微細短溝M2のピッチは、例えば0.5〜10μmである。
【0028】
このように本実施形態のレーザ加工装置21およびレーザ加工方法では、加工対象物5の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面29に対するレーザビームLの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームLを走査して照射するので、分割領域内の加工面29全域で、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成することができる。
【0029】
すなわち、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面29に対するレーザビームLの角度を、ビーム断面の光強度分布を考慮した角度である50°未満に設定することで、ガウシアン分布である光強度分布の影響を受け難く、加工形状がだれずに、小さい面粗さかつ高寸法精度で形状形成を行うことができる。また、加工領域を、レーザビームLの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、分割した領域毎にレーザビームLを走査して照射するので、分割領域内では、レーザビームLの走査中に加工対象物5の傾きを変化させるような複雑なステージ制御等が不要で、分割領域内の加工面29全域に対して容易に高い寸法精度で形状形成することができる。
【0030】
また、レーザビームLの走査方向を、ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させているので、走査終端部分の加工形状が傾かず、ズレが生じ難くなるため、より正確な形状形成が可能になる。
さらに、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくので、加工レイヤー30の分解能(厚さ)と加工レイヤー30自体の平滑さとが加工後の面精度(RzやRa等)を律することになり、高精度に面粗さを設定することができる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法により、加工対象物としてエンドミルをレーザ加工で実際に形状形成した実施例について、図8から図13を参照して説明する。
【0032】
加工対象物であるエンドミル10の加工最終形状は、図8および図9に示すように、軸線0回りに回転される工具先端部12に、一対の切刃13が先端において軸線0を挟んで互いに反対側に形成され、切刃13として上記軸線0回りの回転軌跡が略半球状をなす一対のボール刃部13aを有した2枚刃のボールエンドミルである。このエンドミル10は、超硬合金等の硬質材料により形成され先端側に小径の首部14aを有した円柱状のシャンク部14と、首部14a先端に拡散接合により接合された略円柱状のチップ部11と、で構成されている。
【0033】
上記チップ部11は、首部14aに接合される超硬合金部15と、該超硬合金部15に接合されたcBN焼結体の刃部となる工具先端部12と、で構成されている。すなわち、上記チップ部11の工具先端部12は、cBN焼結体で形成されている。
そして、このエンドミル10は、切刃13の外径が、直径2mm以下であり、工具先端部12全体がレーザ加工で形状形成されると共に、切刃13のすくい面16側にチャンファ19(図1のハッチング部分)がレーザ加工で帯状に形成される。
【0034】
上記切刃13は、先端側に設けられ円弧状に形成された一対のボール刃部13aと、ボール刃部13aから連続して軸線0に沿って直線状に延在する一対の外周刃部13bと、を有している。すなわち、工具先端部12は、ボール刃部13aおよび外周刃部13bからなる切刃13が形成された先端部分である。なお、ボール刃部13aの外径は、例えばR=0.5mmに設定されている。
【0035】
上記工具先端部12には、エンドミル回転方向を向く壁面に先端から基端側に向かって軸線0に沿って延びる平面状のすくい面16が形成されている。また、工具先端部12の外周面には、逃げ面17が形成されている。すなわち、レーザ加工で形状形成されるすくい面16と逃げ面17との交差稜線に、ボール刃部13aと外周刃部13bとが形成される。
【0036】
上記逃げ面17の設定される面粗さは、Rz(最大面粗さ)が2μm以下かつ面粗さRa(算術平均粗さ)が1μm以下である。
上記チャンファ19は、ボール刃部13aから外周刃部13bまで延在して一定幅で形成されている。例えば、チャンファ幅は、30〜40μmの範囲で一定に設定される。また、チャンファ19の設定される面粗さは、少なくともRz:2μm以下、Ra:1μm以下である。
【0037】
上記本実施形態のレーザ加工装置21を用いてエンドミル10を作製するには、まず略円柱状のチップ部11を接合したシャンク部14を回転機構23に設置して保持させる。
この状態で、レーザビームLを照射して工具先端部12全体を形状形成する(三次元レーザ加工工程)。この際、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対するレーザビームLの角度を50°未満に設定してレーザビームLを照射する。
【0038】
すなわち、図10の(a)に示すように、工具先端部12を周方向に2分割してレーザ加工する場合、周方向の端部では、加工面29に対するレーザビームLの角度θが50°以上になってしまう。この場合、レーザビームLのビーム断面の光強度分布がガウシアン分布を有しているため、図14に示すように、レーザビームLの中心ほど強度が高く、レーザビームLの中心ほど深く加工されると共に周辺ほど浅く加工され、レーザ照射した加工部分5の側面に一定の傾斜が生じて加工形状がだれてしまう。
【0039】
このため、本実施例では、図5に示すように、加工前形状の加工面29cと設計上の加工後形状の加工面29dとの両方に対するレーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定してレーザビームLを照射する。また、レーザビームLの角度θ4および角度θ5を、50°未満に設定するため、図10の(b)および図11に示すように、工具先端部12を周方向に4分割(領域A〜Dに分割)してレーザ加工を行う。
【0040】
すなわち、工具先端部12を周方向に4分割したうちの1つの領域(分割領域)だけでレーザビームLを走査することで、この加工領域内ではどの加工面(加工前形状の加工面29cと設計上の加工後形状の加工面29dとの両方を含む)に対してもレーザビームLの角度θが50°未満となる。したがって、図11に示すように、レーザビームLの照射方向と照射される加工面とのなす角度が、常に適切な角度範囲(θ<50°)になるように、回転機構23を用いて工具先端部12を、軸線0を中心に90°毎4回分割回転させて加工を行う。なお、本実施例では、レーザビームLがチップ部11の軸線0方向に沿って走査される。
【0041】
また、本実施例では、レーザビームLの走査を行う際に、図6に示すように、走査プログラム上、複数の加工レイヤー30を積み重ねて設定することで、各加工レイヤー30に対してレーザビームLを垂直に照射し、加工レイヤー30毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面29(逃げ面17やチャンファ19など)を形成していく。すなわち、レーザビームLの走査制御において、まず加工対象物のチップ部11をレーザビームLの照射方向に複数の加工レイヤー30に分けて設定する。
【0042】
そして、加工前の形状と設計上の加工後形状とから加工除去する部分を、加工レイヤー30毎に設定し、加工レイヤー30毎にレーザビームLを走査して所定部分を除去することで、逃げ面17等の所定の加工面29を形成していく。
【0043】
このように実際にレーザ加工した面(逃げ面17)を拡大した写真画像(350倍の拡大画像)を、図12に示す。
この画像からわかるように、本実施例で加工された面は、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成されていると共に、面粗さRzが2μm以下、Raが1μm以下であった。
【0044】
次に、本発明のレーザ加工装置において、波長355nm、繰り返し周波数166kHz、平均出力0.5WのレーザビームをFθレンズによって集光し、ガルバノスキャナを用いて300mm/sの走査速度で、加工対象物であるセラミックスの3次元形成を実際に行い、狙いの形状設計値と実際に加工した形状測定値とを比較した。この設計値と測定値とを比較したグラフを、図13に示す。
【0045】
このグラフでは、形状は3次元であるが、紙面に対して垂直な方向は前後に同じ形状が続いているので、その任意の部位の断面をプロットし2次元で表している。グラフ中の太線がレーザ加工後の実際の形状を示し、細線が狙いの設計上の形状(設計図)を示している。なお、加工対象物のセラミックスは平板であり、必要としない部分をレーザ加工で上述した加工レイヤー毎に層状に加工し除去した。この加工層である加工レイヤーの間隔は、各1μmに設定した。また、このグラフ中の矢印は、各加工レイヤーの層状加工を模式的に示したものである。
【0046】
狙いの加工後の形状も加工前の平板の形状および配置も、それぞれ加工面に対するレーザビームの照射角度が50°未満になるように設定して本発明のレーザ加工方法によって加工した。また、レーザビームのビーム断面は、集光点で長軸20μm、短軸15μmの楕円形状とし、レーザビームの走査方向は長軸方向と一致する方向とした。
この結果、図13のグラフに示すように、狙いの形状設計値と実際の加工した形状測定値とが2μmの差で高い寸法精度により一致させることができた。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
5…加工対象物、10…エンドミル(加工対象物)、22…レーザ光照射機構、23…回転機構(位置調整機構)、24…移動機構(位置調整機構)、25…制御部、29,29a,29b,29c,29d…加工面、30…加工レイヤー、L…レーザビーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工装置であって、
前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射機構と、
前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構と、
これら機構を制御する制御部と、を備え、
前記レーザ光照射機構が、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射し、
前記制御部が、前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記レーザ光照射機構と前記位置調整機構とを制御して、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記レーザ光照射機構が、前記レーザビームのビーム断面形状を楕円形状とし、前記レーザビームの走査方向を、前記ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、
前記制御部が、前記レーザビームの走査を行う際に、前記加工領域を前記レーザビームの照射方向に複数の加工レイヤーを積み重ねたものとして設定し、各加工レイヤーに対して前記レーザビームを照射し、前記加工レイヤー毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工方法であって、
前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射工程と、
前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整する位置調整工程と、を有し、
ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布である前記レーザビームを照射し、
前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項1】
加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工装置であって、
前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射機構と、
前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整可能な位置調整機構と、
これら機構を制御する制御部と、を備え、
前記レーザ光照射機構が、ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射し、
前記制御部が、前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記レーザ光照射機構と前記位置調整機構とを制御して、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記レーザ光照射機構が、前記レーザビームのビーム断面形状を楕円形状とし、前記レーザビームの走査方向を、前記ビーム断面形状の長軸方向または短軸方向に一致させていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、
前記制御部が、前記レーザビームの走査を行う際に、前記加工領域を前記レーザビームの照射方向に複数の加工レイヤーを積み重ねたものとして設定し、各加工レイヤーに対して前記レーザビームを照射し、前記加工レイヤー毎に所定部分を除去して、三次元形状の加工面を形成していくことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行う加工方法であって、
前記加工対象物に前記レーザビームを照射すると共に走査するレーザ光照射工程と、
前記加工対象物を保持して該加工対象物と前記レーザビームとの相対的な位置関係を調整する位置調整工程と、を有し、
ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布である前記レーザビームを照射し、
前記加工対象物の加工領域を、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度が50°未満になる複数の領域に分割し、前記分割した領域毎に前記レーザビームを走査して照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図4】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図4】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−16735(P2012−16735A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156414(P2010−156414)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]