説明

レーザ加工装置

【課題】集光レンズに吸収される特性を有するレーザ光を含む複数のレーザ光を重畳させて、それらのレーザ光によって被加工物を加工するレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ加工装置に、集光レンズ19に吸収される性質を有する第1のレーザ光9を発生させる第1の光源2と、第2のレーザ光10を発生させる第2の光源3とを備える。第1のレーザ光9を被加工物5に導く第1の光路11には、集光レンズ19が設けられず、第1の凹面反射鏡12が設けられている。第2のレーザ光10を被加工物5に導く第2の光路15には、集光レンズ19が設けられている。集光レンズ19によって集光された第2のレーザ光10は、第1の凹面反射鏡12の開口13を通過して被加工物5に到達する。第1のレーザ光9は、集光レンズ19を通過することなく、第1の凹面反射鏡12によって反射され収束して被加工物5に到達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物にレーザ光を照射してその被加工物を加工するレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光による加工が広く行われている。レーザ光による加工は、被加工物を照射してその被加工物を加熱溶融させることによって行われる熱加工が主体である。また、近年ではパルス発振レーザにおいて、そのパルス幅が短いものを用いることで熱影響を抑制した高精度の加工(非熱加工)も可能である。
【0003】
ところで、近年、異種材料から構成される複合部材を加工する場合や、光学系部材を加工する場合等において、外観品位に代表される加工品位として高いレベルが要求される場合が増えてきた。第1の例として、メモリチップからなるチップ状素子(以下適宜「チップ」という。)を樹脂封止して樹脂封止体を形成し、これを切断してメモリカードを製造する場合が挙げられる。メモリカードについては、ユーザーが直接指で持って取り扱うことから、高い外観品位が要求されている。第2の例として、透光性樹脂によってLEDチップを樹脂封止して樹脂封止体を形成し、これを切断してLEDパッケージを製造する場合が挙げられる。第3の例として、透光性樹脂を使用して樹脂成形体を形成し、これを切断してレンズ等の光学系部材を製造する場合が挙げられる。これらの場合において、被加工物の特性に応じて複数のレーザ光を選択して、集光レンズを使用してそれらのレーザ光を重畳させて被加工物に向かって照射させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−226475号公報(第6−9頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術によれば、石英ガラス等からなる集光レンズによって複数のレーザ光を集光させる必要がある。しかし、ある種のレーザ光(例えば、CO レーザによるCO レーザ光)は、石英ガラス等に吸収される特性を有する。したがって、従来の技術によれば、集光レンズに吸収される特性を有するレーザ光を使用することができなかった。本発明が解決しようとする課題は、集光レンズに吸収される特性を有するレーザ光を含む複数のレーザ光を重畳させて被加工物を加工することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、「課題を解決するための手段」、「発明の効果」、及び、「発明を実施するための形態」との説明におけるかっこ内の符号は、説明における用語と図面に示された構成要素とを対比しやすくする目的で記載されたものである。また、これらの符号等は、「図面に示された構成要素に限定して、説明における用語の意義を解釈すること」を意味するものではない。
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1B、1C、1D)は、少なくとも2つのレーザ光を使用して被加工物(5)に対して加工を行うレーザ加工装置であって、第1のレーザ光(9)を発生させる第1の光源(2)と、第2のレーザ光(10、29、32)を発生させる第2の光源(3、28、31)と、第1のレーザ光(9)を第1の光源(2)から被加工物(5)に導く第1の光路(11)と、第2のレーザ光(10、29、32)を第2の光源(3、28、31)から被加工物(5)に導く第2の光路(15)と、第1の光路(11)に設けられた第1の凹面反射鏡(12)とを少なくとも備えるとともに、第1の光路(11)には集光レンズ(19)が設けられておらず、第1の凹面反射鏡(12)には第2のレーザ光(10、29、32)が通過する開口(13)が設けられ、被加工物(5)に対して第1のレーザ光(9)と第2のレーザ光(10、29、32)とが重畳して照射されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1B)は、上述のレーザ加工装置において、第2の光路(15)には第2の凹面反射鏡(30)が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1C)は、上述のレーザ加工装置において、第2の光路(15)には平面反射鏡(33)が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1C)は、上述のレーザ加工装置において、第2の光路(15)には集光レンズ(19)が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1B、1C、1D)は、上述のレーザ加工装置において、第1のレーザ光(9)は集光レンズ(19)に吸収されるという性質を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1B、1C、1D)は、上述のレーザ加工装置において、第1の光源(2)はCO レーザ発振器であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1B、1C、1D)は、上述のレーザ加工装置において、第2の光源(3、28、31)はファイバーレーザ発振器であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1B、1C、1D)は、上述のレーザ加工装置において、第1の光源(2)はリングモードを有するレーザ光(9)を発生させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るレーザ加工装置(1A、1B、1C、1D)は、上述のレーザ加工装置において、加工は切断、穴開け、又は、表面処理のうち少なくともいずれか1つを目的とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るレーザ加工装置によれば、集光レンズ(19)に吸収されるという性質を有する第1のレーザ光(9)を発生させる第1の光源(2)と、第2のレーザ光(10、29、32)を発生させる第2の光源(3、28、31)とを、少なくとも備える。第1のレーザ光(9)を第1の光源(2)から被加工物(5)に導く第1の光路(11)には、集光レンズ(19)が設けられておらず、かつ、開口(13)を有する第1の凹面反射鏡(12)が設けられている。第2のレーザ光(10、29、32)は、第1の凹面反射鏡(12)に設けられた開口(13)を通過して被加工物(5)に到達する。第1の凹面反射鏡(12)によって反射された第1のレーザ光(9)は、収束して被加工物(5)に到達する。これにより、集光レンズ(19)に吸収されるという性質を有する第1のレーザ光(9)が集光レンズ(19)を通過することなく、被加工物(5)に対して第1のレーザ光(9)と第2のレーザ光(10、29、32)とが重畳して照射される。したがって、集光レンズ(19)に吸収されるという性質を有する第1のレーザ光(9)を含む複数のレーザ光を重畳させて被加工物(5)を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るレーザ加工装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2に係るレーザ加工装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施例3に係るレーザ加工装置の概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施例4に係るレーザ加工装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るレーザ加工装置は、集光レンズ(19)に吸収されるという性質を有する第1のレーザ光(9)を発生させる第1の光源(2)と、第2のレーザ光(10)を発生させる第2の光源(3)とを備える。第1のレーザ光(9)はリングモードを有する。第1のレーザ光(9)を第1の光源(2)から被加工物(5)に導く第1の光路(11)には、集光レンズ(19)が設けられておらず、かつ、開口(13)を有する第1の凹面反射鏡(12)が設けられている。第2のレーザ光(10)を第2の光源(3)から被加工物(5)に導く第2の光路(15)には、集光レンズ(19)が設けられている。集光レンズ(19)によって集光された第2のレーザ光(10)は、第1の凹面反射鏡(12)に設けられた開口(13)を通過して被加工物(5)に到達する。第1の凹面反射鏡(12)によって反射された第1のレーザ光(9)は、収束して被加工物(5)に到達する。これにより、集光レンズ(19)に吸収されるという性質を有する第1のレーザ光(9)が集光レンズ(19)を通過することなく、被加工物(5)に対して第1のレーザ光(9)と第2のレーザ光(10)とが重畳して照射される。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1に係るレーザ加工装置を、図1を参照して説明する。図1は、本実施例に係るレーザ加工装置の概略図である。なお、本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。また、同一の構成要素には同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0020】
図1に示されたレーザ加工装置1Aは、本実施例に係るレーザ加工装置である。レーザ加工装置1Aは、第1の光源2と第2の光源3と観察手段4とを備える。また、レーザ加工装置1Aは、被加工物5を固定するステージ6を備える。ステージ6は、図のX、Y及びZ方向に移動する。これにより、レーザ光に対して被加工物5を移動させることができる。ステージ6については、必要に応じて、図のθ方向に回転することができるようにしてもよい。なお、レーザ光と被加工物5とが相対的に移動することができるようになっていればよい。
【0021】
被加工物5としては、異種材料から構成される複合部材が挙げられる。複合部材としては、例えば、セラミックス製の回路基板であるセラミックス基板7の上に複数のLEDチップ(図示なし)が実装され、それらのLEDチップがシリコーン樹脂8によって一括して樹脂封止された樹脂封止体が挙げられる。本実施例では、シリコーン樹脂8を上にしてセラミックス基板7の面(図では下面)をステージ6に固定する。
【0022】
第1の光源2は、例えばCO レーザ発振器であって、集光レンズ(後述)に吸収されるという性質を有する第1のレーザ光であるCO レーザ光9を発生させる。CO レーザ光9は、リングモードを有するレーザ光であることが好ましい。第2の光源3は、例えばファイバーレーザ発振器であって、第2のレーザ光であるファイバーレーザ光10を発生させる。ファイバーレーザ光10は、集光レンズに吸収されないという性質を有する。
【0023】
CO レーザ光9は、9〜11μm程度の波長を有する。CO レーザ光9のスポット径とエネルギーとについては,加工条件、発振のモード、被加工物5の特性等によって大きく変わる。例えば、スポット径は20μm〜1mm程度、エネルギーは数百W程度が考えられる。ファイバーレーザ光10についてパルス発振であるQ−SW発振を使用する場合には、スポット径は10〜100μm程度、エネルギーは50μJ〜1J/Pulseが考えられる。また、ファイバーレーザ光10について連続発振による連続波を使用することもできる。
【0024】
CO レーザ光9は、被加工物5を構成する材料のうちシリコーン樹脂8の切断に適したレーザ光である。ファイバーレーザ光10は、被加工物5を構成する材料のうちセラミックス基板7の切断に適したレーザ光である。
【0025】
CO レーザ光9を第1の光源2から被加工物5に導く第1の光路11には、集光レンズが設けられておらず、かつ、第1の凹面反射鏡12が設けられている。第1の凹面反射鏡12には、ファイバーレーザ光10が通過するための開口13が設けられている。第1の凹面反射鏡12は、モータ等からなる駆動装置14によって図の矢印が示す両方向に微小に回転(回動)する。これらのことによって、被加工物5に対してCO レーザ光9を照射すること、及び、被加工物5に対してCO レーザ光9を走査させることができる。
【0026】
ファイバーレーザ光10を第2の光源3から被加工物5に導く第2の光路15が、第1の凹面反射鏡12よりも第2の光源3に近い側(図1では第1の凹面反射鏡12の上方)に設けられている。第2の光路15には、導光ケーブルである光ファイバー16と、コリメータ17と、ダイクロイックミラー18と、集光レンズ19とが設けられている。これにより、第2の光源3において発生したファイバーレーザ光10は、光ファイバー16によって導かれ、コリメータ17によって光軸調整されるとともに平行に放射される。ファイバーレーザ光10は、集光レンズ19によって屈折することによって収束(集光)される。このことによって、ファイバーレーザ光10は、開口13を通過して被加工物5の表面20(必要に応じて被加工物5の内部を含む。以下同じ。)に焦点を結んで被加工物5を照射する。焦点のZ方向の位置は、光学的な手段又はステージ6の駆動によって適宜制御される。
【0027】
観察手段4には、CCDカメラ21と、結像レンズ22と、バンドパスフィルター23と、照明器24と、ダイクロイックミラー25と、上述したダイクロイックミラー18とが含まれる。照明器24において発生した照明光は、ダイクロイックミラー25とダイクロイックミラー18とによって順次反射されて被加工物5の表面20を照らす。照明光によって表面20が照らされることによって発生した反射光は、ダイクロイックミラー18によって反射され、ダイクロイックミラー25と、照明に適した特定の範囲の波長の光のみを透過させるという機能を有するバンドパスフィルター23とを順次通過する。この反射光は、結像レンズ22によってCCDカメラ21に到達する。これにより、CCDカメラ21を通じて被加工物5の表面20を観察しながらレーザ加工を行うことができる。
【0028】
被加工物5の表面20付近には、ノズル26が設けられている。ノズル26には、アシストガス(図示なし)を被加工物5の表面20に向かって噴射するための噴射口27が設けられている。CO レーザ光9とファイバーレーザ光10とは、いずれも噴射口27を通過して被加工物5の表面20に向かって照射される。
【0029】
レーザ加工装置1Aの動作を、図1を参照して説明する。以下の動作において、ステージ6を使用して、CO レーザ光9とファイバーレーザ光10とに対して被加工物5を移動させる。第1に、リングモードを有するCO レーザ光9は、第1の凹面反射鏡12によって反射されかつ集光される。これにより、CO レーザ光9は、集光レンズ19を通過することなく、被加工物5の表面20に焦点を結んで被加工物5を照射する。リングモードを有するCO レーザ光9によって被加工物5が照射される領域は、平面視して円環状の形状を有する。ここで、「円環」とは、トーラスを平面視した形状を意味する。
【0030】
第2に、コリメータ17によって光軸調整されるとともに平行に放射されたファイバーレーザ光10は、集光レンズ19によって屈折することによって収束(集光)される。これにより、ファイバーレーザ光10は、第1の凹面反射鏡12の開口13を通過して被加工物5の表面20に焦点を結んで、CO レーザ光9によって被加工物5が照射される領域の内側において被加工物5を照射する。これらのことによって、重畳されたCO レーザ光9とファイバーレーザ光10とを被加工物5の表面20に向かって照射することができる。
【0031】
以上説明したレーザ加工装置1Aの動作によって、まず、シリコーン樹脂8の切断に適したCO レーザ光9によって照射された円環状の領域において、被加工物5を構成する材料のうちシリコーン樹脂8が除去される。CO レーザ光9とファイバーレーザ光10とに対して被加工物5は移動しているので、その移動方向に沿った線状の領域であって円環の外径にほぼ等しい幅を有する領域においてシリコーン樹脂8が除去される。
【0032】
次に、被加工物5を引き続いて移動させることによって、シリコーン樹脂8が除去された領域にファイバーレーザ光10を照射する。これにより、セラミックス基板7の切断に適したファイバーレーザ光10によって照射された円状の領域において、被加工物5を構成する材料のうちセラミックス基板7が除去される。したがって、被加工物5が完全に切断される。
【0033】
以上説明したように、本実施例によれば、CO レーザ光9が集光レンズ19を通過することなく、重畳されたCO レーザ光9とファイバーレーザ光10とを被加工物5の表面20に向かって照射する。したがって、集光レンズに吸収されるという性質を有するCO レーザ光9と、ファイバーレーザ光10とを重畳して、被加工物5の表面20に向かって照射することができる。これにより、集光レンズに吸収されるという性質を有するCO レーザ光9を含む2つのレーザ光を重畳して被加工物5の表面20に向かって照射することができる。したがって、集光レンズに吸収されるという性質を有するレーザ光を含む2つのレーザ光を被加工物の特性に応じて選択して、それらのレーザ光を重畳させて被加工物に向かって照射することによって、被加工物5を完全に切断することができる。
【実施例2】
【0034】
本発明の実施例2に係るレーザ加工装置を、図2を参照して説明する。図2は、本実施例に係るレーザ加工装置の概略図である。なお、以下に示す各図においては、図1において示した観察手段4の図示を省略する。
【0035】
図2に示されたレーザ加工装置1Bは、本実施例に係るレーザ加工装置である。レーザ加工装置1Bは、第1の光源2と第2の光源28とを備える。第2の光源28は、集光レンズに吸収されるという性質を有する第2のレーザ光29を発生させる。第2のレーザ光29は、第2の凹面反射鏡30によって反射されかつ集光される。そして、第1のレーザ光であるCO レーザ光9と第2のレーザ光29とが重畳されて、被加工物5の表面20に向かって照射される。
【0036】
本実施例によれば、それぞれ集光レンズに吸収されるという性質を有する2種類のレーザ光であるCO レーザ光9と第2のレーザ光29とを重畳させる。したがって、それぞれ集光レンズに吸収されるという性質を有する2種類のレーザ光を被加工物の特性に応じて適宜選択して、それらのレーザ光を重畳させて被加工物に向かって照射することができる。また、図1に示された光ファイバー16とコリメータ17とを使用しないので、レーザ加工装置1Bの高さを低くすることができる。
【0037】
なお、第1の光源2と第2の光源28とに加えて、更にレーザ光の種類を増やすこともできる。この場合には、レーザ光に応じて第1の凹面反射鏡12、第2の凹面反射鏡30、第3の凹面反射鏡、・・・というように凹面反射鏡の数を増やす。これにより、それぞれ集光レンズに吸収されるという性質を有する3種類以上のレーザ光を被加工物の特性に応じて選択して、それらのレーザ光を重畳させて被加工物に向かって照射することができる。
【実施例3】
【0038】
本発明の実施例3に係るレーザ加工装置を、図3を参照して説明する。図3は、本実施例に係るレーザ加工装置の概略図である。
【0039】
図3に示されたレーザ加工装置1Cは、本実施例に係るレーザ加工装置である。レーザ加工装置1Cは、第1の光源2と第2の光源31とを備える。第2の光源31は、集光レンズに吸収されないという性質を有する第2のレーザ光32を発生させる。第2のレーザ光32は平面反射鏡33によって反射され、かつ、集光レンズ19によって集光される。そして、第1のレーザ光であるCO レーザ光9と第2のレーザ光32とが重畳されて被加工物5の表面20に向かって照射される。
【0040】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、図1に示された光ファイバー16とコリメータ17とを使用しないので、レーザ加工装置1Cの高さを低くすることができる。
【実施例4】
【0041】
本発明の実施例4に係るレーザ加工装置を、図4を参照して説明する。図4は、本実施例に係るレーザ加工装置の概略図である。
【0042】
図4に示されたレーザ加工装置1Dは、本実施例に係るレーザ加工装置である。レーザ加工装置1Dは、第1の光源2と第2の光源28と第3の光源34とを備える。第3の光源34は、集光レンズに吸収されないという性質を有する第3のレーザ光35を発生させる。第3のレーザ光35は平面反射鏡36によって反射され、かつ、集光レンズ19によって集光される。そして、第1のレーザ光であるCO レーザ光9と第2のレーザ光29と第3のレーザ光35とが重畳されて被加工物5の表面20に向かって照射される。
【0043】
本実施例によれば、それぞれ集光レンズに吸収されるという性質を有する2種類のレーザ光であるCO レーザ光9と第2のレーザ光29と、集光レンズに吸収されないという性質を有する第3のレーザ光35とを重畳させる。これにより、それぞれ集光レンズに吸収されるという性質を有するか否かという点で異なる特性を有する3種類のレーザ光を被加工物の特性に応じて選択して、それらのレーザ光を重畳させて被加工物に向かって照射することができる。したがって、被加工物の特性に応じて複数の種類のレーザ光を選択する場合に、選択肢を増やすことができる。
【0044】
なお、ここまで説明した各実施例においては、集光レンズに吸収されるという性質を有する第1のレーザ光としてCO レーザ光9を使用した。これに限らず、CO レーザ光9に代えて、集光レンズに吸収されるという性質を有する他の種類のレーザ光を使用することもできる。また、第1のレーザ光として、集光レンズに吸収されないという性質を有する他の種類のレーザ光を使用することもできる。また、第2のレーザ光として、ファイバーレーザ光10の基本波及び高調波を使用することができる。また、ファイバーレーザ光10として、パルス発振レーザ(超短パルスレーザを含む)によるレーザ光を使用してもよい。また、ファイバーレーザ光10に代えて、集光レンズに吸収されないという性質を有する他の種類のレーザ光、例えば、YAGレーザの基本波及び高調波等を使用することもできる。
【0045】
また、2つ及び3つのレーザ光を重畳させて被加工物5の表面20に向かって照射する実施例について説明した。これに限らず、4つ以上のレーザ光を重畳させて被加工物5の表面20に向かって照射することもできる。
【0046】
また、被加工物5である樹脂封止体を完全に切断する加工(フルカット)を行う場合について説明した。これに限らず、被加工物5において厚さ方向の途中(厚さの半分程度)まで溝を形成する加工(ハーフカット)を行う場合においても本発明を適用することができる。また、被加工物5に浅い溝を形成する加工、貫通穴を形成する加工、止り穴を形成する加工、長穴を形成する加工等にも、本発明を適用することができる。また、加工としては、被加工物5の表面20に対して表面処理を行う加工も含まれる。
【0047】
また、被加工物5の種類と加工の種類とによっては、レーザ光と被加工物5とを相対的に移動させないという構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1A、1B、1C、1D レーザ加工装置
2 第1の光源
3、28、31 第2の光源
4 観察手段
5 被加工物
6 ステージ
7 セラミックス基板
8 シリコーン樹脂
9 CO レーザ光(第1のレーザ光)
10 ファイバーレーザ光(第2のレーザ光)
11 第1の光路
12 第1の凹面反射鏡
13 開口
14 駆動装置
15 第2の光路
16 光ファイバー
17 コリメータ
18、25 ダイクロイックミラー
19 集光レンズ
20 表面
21 CCDカメラ
22 結像レンズ
23 バンドパスフィルター
24 照明器
26 ノズル
27 噴射口
29、32 第2のレーザ光
30 第2の凹面反射鏡
33、36 平面反射鏡
34 第3の光源
35 第3のレーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのレーザ光を使用して被加工物に対して加工を行うレーザ加工装置であって、
第1のレーザ光を発生させる第1の光源と、
第2のレーザ光を発生させる第2の光源と、
前記第1のレーザ光を前記第1の光源から前記被加工物に導く第1の光路と、
前記第2のレーザ光を前記第2の光源から前記被加工物に導く第2の光路と、
前記第1の光路に設けられた第1の凹面反射鏡とを少なくとも備えるとともに、
前記第1の光路には集光レンズが設けられておらず、
前記第1の凹面反射鏡には前記第2のレーザ光が通過する開口が設けられ、
前記被加工物に対して前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とが重畳して照射されることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたレーザ加工装置において、
前記第2の光路には第2の凹面反射鏡が設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたレーザ加工装置において、
前記第2の光路には平面反射鏡が設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたレーザ加工装置において、
前記第2の光路には集光レンズが設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたレーザ加工装置において、
前記第1のレーザ光は前記集光レンズに吸収されるという性質を有することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたレーザ加工装置において、
前記第1の光源はCO レーザ発振器であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載されたレーザ加工装置において、
前記第2の光源はファイバーレーザ発振器であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載されたレーザ加工装置において、
前記第1の光源はリングモードを有するレーザ光を発生させることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載されたレーザ加工装置において、
前記加工は切断、穴開け、又は、表面処理のうち少なくともいずれか1つを目的とすることを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−148299(P2012−148299A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8056(P2011−8056)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】