説明

レーザ加工装置

【課題】 レーザ加工時に生じるデブリを、加工形状に対応してレーザ加工に影響を与えないように除去し、形態加工の精度を向上させることができるレーザ加工装置を提供すること。
【解決手段】 加工対象物WにレーザビームLを照射して形状形成を行うことで目標の加工形状を得るレーザ加工装置であって、加工対象物Wの上方に円周上に並べて配置された複数の電極部2と、複数の電極部2で囲まれた領域を通して加工対象物WにレーザビームLを照射するレーザ光照射機構と、複数の電極部2のうち任意の一対に電圧を印加して加工対象物の近傍に電界を発生させる制御部とを備え、該制御部が、電圧を印加する電極部2を切り替えて前記電界の方位を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームにより高精度な三次元形態加工が可能なレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザの用途の一つとして、レーザによる材料の形態加工がある。ガルバノスキャナを搭載したレーザ加工機は、誤差数μm以下の高い位置精度の加工を可能とする。その際、例えば、直径1mm以下の微小形態を精度良く加工するためには、レーザ光の出力を抑制し、1パルスあたりの加工除去量を小さくする必要がある。
【0003】
しかしながら、レーザ光の出力を小さくすると、レーザ加工部周辺に堆積するデブリ(加工除去物または加工飛散物)によりレーザ光の散乱効果が大きくなり、レーザ光のエネルギー密度が低下して目標とする加工形状から実際の加工形状が外れてしまう問題があった。特に、図9に示すように、レーザビームLの光軸に対し、角度の大きい傾斜面Kを加工対象物Wに加工形成する場合に、傾斜面KにデブリDが堆積し易くなり、その影響が顕著に表れてしまう。
【0004】
このため、従来、ノズルによるデブリの吸引、高圧ガスの吹き付けまたは電極を用いた静電吸着などにより、デブリを除去が行われている。例えば特許文献1には、レーザ加工しながら加工時に発生する一方の極性に帯電した加工片を、他方の極性に帯電している帯電部に静電吸着させて集塵する方法が提案されている。また、特許文献2には、パーティクルの飛散、再付着防止のために、パルスレーザ光を挟み込むように、レーザ光照射口に設置した一対の電極に電源により電圧を印加し電界を生じさせて、静電気力によりパーティクルを捕集する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−49125号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2008−147337号公報(段落番号0034)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、ノズルによる吸引や高圧ガスの吹き付けの場合、レーザ加工中に発生し飛散した空中のパーティクル(飛散中の粒子)を気流により吸引または吹き飛ばすが、加工対象物上に堆積し、固着してしまったデブリを取り除く効果が小さい。また、低出力のレーザ光で発生するパーティクルは飛散距離が短いために、気流による除去効果が極めて小さく、除去することが困難であった。また、一対の電極を用いた静電吸着の場合は、電界の向きが固定されているため、発生するパーティクルが電界により受ける力の方向が一定であり、加工対象物に形成される傾斜面などの向きや形状によってデブリの除去効果にばらつきが有り、全体として形態の偏りが発生してしまう不都合があった。また、電極にデブリを静電吸着させるため、電極に堆積したデブリの誘電分極により電界が減少してしまったり、電極に堆積したデブリがレーザ光の照射領域上へ落下してしまうなどの問題があった。このため、電極に堆積したデブリを定期的に除去するプロセスが必要となりメンテナンスに手間がかかる不都合があった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、レーザ加工時に生じるデブリを、加工形状に対応してレーザ加工に影響を与えないように除去し、形態加工の精度を向上させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のレーザ加工装置は、加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行うことで目標の加工形状を得るレーザ加工装置であって、前記加工対象物の上方に円周上に並べて配置された複数の電極部と、複数の前記電極部で囲まれた領域を通して前記加工対象物に前記レーザビームを照射するレーザ光照射機構と、複数の前記電極部のうち任意の一対に電圧を印加して前記加工対象物の近傍に電界を発生させる制御部とを備え、該制御部が、電圧を印加する前記電極部を切り替えて前記電界の方位を制御することを特徴とする。
【0009】
このレーザ加工装置では、加工対象物の上方に円周上に並べて配置された複数の電極部と、複数の電極部のうち任意の一対に電圧を印加して加工対象物の近傍に電界を発生させる制御部とを備え、制御部が、電圧を印加する電極部を切り替えて電界の方位を制御するので、加工対象物に形成される傾斜面などの向きや形状に応じて加工対象物近傍の電界の方位を適宜変更し、発生したパーティクルの飛散方向をレーザ加工に影響しない方向にコントロールしてレーザ光の照射領域へのデブリの堆積を抑制することができる。また、電極部にパーティクルが静電吸着されても、照射領域からパーティクルを引き寄せる電極部が離れているため、照射領域の直上でパーティクルを静電吸着する場合に比べて照射領域へのパーティクルの落下を抑制することができ、良好なレーザ加工が可能になる。さらに、複数の電極部において電圧を印加する電極部を適宜切り替えるので、一つ一つの電極部におけるパーティクルの吸着が少なく、メンテナンスの手間が低減可能になる。
【0010】
また、第2の発明のレーザ加工装置は、第1の発明において、前記制御部が、目標の前記加工形状が前記レーザビームの光軸に対して傾斜面であるとき、該傾斜面の対向方向に位置する前記電極部を陰極とすると共に、該電極部に対向する位置の前記電極部を陽極として電圧を印加することを特徴とする。
すなわち、このレーザ加工装置では、制御部が、傾斜面の対向方向に位置する電極部を陰極とすると共に、該電極部に対向する位置の電極部を陽極として電圧を印加するので、傾斜面の対向方向に向けて電界が発生することで、レーザ照射によって発生しプラスに帯電したパーティクルが、電界によって陰極の電極部に向かう方向、すなわち傾斜面から遠ざかる方向に飛散方向が制御されて傾斜面へのデブリの堆積を抑制することができる。
【0011】
また、第3の発明のレーザ加工装置は、第1または第2の発明において、前記加工形状の目標形状データを記憶したデータ記憶部を備え、前記レーザ光照射機構が、前記目標形状データに基づいて前記レーザビームを走査し、前記制御部が、前記レーザビームの走査と前記目標形状データとに応じて前記電界の方位を制御することを特徴とする。
すなわち、このレーザ加工装置では、レーザ光照射機構が、予めデータ記憶部に記憶されている目標形状データに基づいてレーザビームを走査し、制御部が、レーザビームの走査と目標形状データとに応じて電界の方位を制御するので、レーザビームの走査に連動してリアルタイムで目標形状データに対応した連続的かつ自動的な電界方向の切り替えを高速で行うことができ、多様で高精度な形態加工が可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るレーザ加工装置によれば、加工対象物の上方に円周上に並べて配置された複数の電極部と、複数の電極部のうち任意の一対に電圧を印加して加工対象物の近傍に電界を発生させる制御部とを備え、制御部が、電圧を印加する電極部を切り替えて電界の方位を制御するので、レーザ加工時に生じるデブリを、加工形状に対応してレーザ加工に影響を与えないように除去することができ、高精度な形態加工が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態のレーザ加工装置を示す概略的な全体構成図である。
【図2】本実施形態において、レーザ加工時に一対の電極部間に電圧印加した状態を示す説明図である。
【図3】本実施形態において、レーザ加工時に一対の電極部間に電圧印加した状態を示す電極部の平面配置図である。
【図4】本実施形態において、加工前の加工対象物と目標の加工形状と電圧印加領域とを示す斜視図(a)(b)(c)である。
【図5】本実施形態において、上面から見たレーザビームの走査軌跡を示す説明図である。
【図6】本実施形態において、レーザ加工の電圧制御プログラムを作成する際のダイアグラムである。
【図7】レーザ加工時の傾斜面におけるパーティクルの飛散およびデブリの堆積を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るレーザ加工装置の一実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
【0015】
本実施形態のレーザ加工装置1は、図1から図3に示すように、加工対象物Wにレーザビーム(レーザ光)Lを照射して形状形成を行うことで目標の加工形状を得るレーザ加工装置であって、加工形状の目標形状データを記憶したデータ記憶部Mと、加工対象物Wの上方に円周上に並べて配置された複数の電極部2と、複数の電極部2で囲まれた領域を通して加工対象物WにレーザビームLをパルス発振して一定の繰り返し周波数で照射すると共に走査するレーザ光照射機構3と、加工対象物Wが載置されて移動可能な移動機構4と、複数の電極部2のうち任意の一対に電圧を印加して加工対象物Wの近傍に電界を発生させる制御部Cとを備えている。
【0016】
上記移動機構4は、水平面に平行なX方向に移動可能なX軸ステージ部4xと、該X軸ステージ部4x上に設けられX方向に対して垂直なかつ水平面に平行なY方向に移動方向なY軸ステージ部4yと、該Y軸ステージ部4y上に設けられ加工対象物Wを載置可能であると共に水平面に対して垂直方向に移動可能なZ軸ステージ部4zとで構成されている。
【0017】
上記レーザ光照射機構3は、Qスイッチのトリガー信号によりレーザビームLとなるレーザ光を発振すると共にスポット状に集光させる光学系も有するレーザ光源5と、照射するレーザビームLを走査させるガルバノスキャナ6と、保持された加工対象物Wの加工位置を確認するために撮像するCCDカメラ7と、を備えている。
【0018】
上記レーザ光源5は、190〜550nmのいずれかの波長のレーザ光を照射できるものが使用可能であり、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザ光を発振して出射できるものを用いている。
上記ガルバノスキャナ6は、移動機構4の直上に配置されている。また、上記CCDカメラ7は、ガルバノスキャナ6に隣接して設置されている。
【0019】
複数の電極部2は、図2および図3に示すように、加工対象物W上に円周上に配置した8つの電極板である。これら電極部2は、上下動機構(図示略)により上下可能とされ、加工対象物Wとの距離が調整可能である。例えば、電極部2と加工対象物Wの表面との距離は0.5〜30mmの距離範囲に設定され、例えば1mmの距離で近接状態に配される。また、対向する一対の電極部2間の距離は、1〜30mmの範囲に設定され、例えば5mmに設定される。
【0020】
上記制御部Cは、移動機構4とレーザ光照射機構3とを制御して加工対象物WとレーザビームLとの相対的な位置関係を調整する機能を有している。
また、制御部Cは、電圧を印加する電極部2を切り替えて電界の方位を制御する機能を有している。特に、制御部Cは、目標の加工形状がレーザビームLの光軸に対して傾斜面Kであるとき、該傾斜面Kの対向方向に位置する電極部2を陰極とすると共に、該電極部2に対向する位置の電極部2を陽極として電圧を印加するように設定されている。
【0021】
制御部Cにより印加する上記電圧は、例えば100V以上に設定され、電圧を印加する電極部2の組み合わせの切り替え速度はレーザビームLの走査速度に対応して設定される。例えば、上記切り替え速度は、100ms以下に設定される。
なお、飛散するパーティクルPの典型的な移動速度が10m/s程度であることから、対向する一対の電極部2間の距離を5mmとし、5kVの電圧を印加した際に生じる電界から受ける力は、パーティクルPの加工対象物W上の落下位置をレーザ光の照射位置から平均3mm程度変えることができる。
【0022】
また、上記レーザ光照射機構3は、目標形状データに基づいてレーザビームLを走査し、制御部Cは、レーザビームLの走査と目標形状データとに応じて電界の方位を制御するように設定されている。
【0023】
次に、本実施形態のレーザ加工装置を用いたレーザ加工方法について、図2および図3を参照して説明する。
【0024】
加工対象物Wとしては、種々の材料で形成されたものが加工可能であるが、誘電体の場合と導電体の場合とで加工方法が異なる。例えば、誘電体の加工対象物Wの場合は、図2および図3に示すように、複数の電極部2のうち任意の一対に電圧を印加する。
【0025】
すなわち、誘電体の加工対象物Wの場合は、図2および図3に示すように、加工対象物Wの加工形状に図中のx方向に向いた傾斜面Kがあるとき、制御部Cが、該傾斜面Kの対向方向に位置する電極部2を陰極とすると共に、該電極部2に対向する電極部2を陽極としてこれらに一定の電圧を印加してx方向に電界を発生させる。レーザビームLが照射されて生成されたパーティクルPは、正の電荷を持ったイオンであることが多く、プラスに帯電しているため、加工領域近傍の電界によって陰極の電極部2側に引き寄せられて飛散することで、傾斜面Kにデブリとして堆積することが抑制される。
【0026】
なお、本実施形態のレーザ加工における加工雰囲気は、減圧または真空中であることが望ましい。この理由は、減圧下では大気圧下よりもパーティクルPの飛散距離(滞空距離)が増すためである。
【0027】
次に、レーザビームの走査軌跡と電圧の切り替えとの関係について、図4から図6を参照して説明する。
例えば、図4の(a)に示すように、平板状またはブロック状の加工対象物Wを、図4の(b)に示すような台形状の突起を目標の加工形状にしてレーザ加工する場合について説明する。なお、図4の(c)に示すハッチング領域は、レーザビームLを走査する際に、電極部2に電圧を印加する範囲を表している。さらに、図5は、加工対象物Wの上方から見たときのレーザビームLの走査軌跡を表している。
【0028】
この加工例では、一方向の直線状にレーザビームLを走査する場合を示すが、図4の(c)のように、制御部Cは、レーザビームLの照射位置がハッチングされた領域を通過する間のみ、一対の電極部2に電圧を印加する。電圧を印加する一対の電極部2は、図5において各領域毎に白抜きの矢印で表された方向へ電界が発生する組み合わせで選択される。また、この加工例では、図5に示すように、電圧印加が必要な加工領域をA〜Dの4つの領域に分け、その傾斜面の向きに応じて電極部2の切り替えを行う。また、ハッチングされていない領域では電圧の印加を行わない。
【0029】
例えば、走査軌跡L1でレーザビームLを走査する際について説明する。まず、レーザビームLが図5の右側のハッチングされていない領域を走査している間は、電極部2に電圧を印加しない。次に、ハッチングされたBの領域をレーザビームLが走査する間、Bの領域の目標加工形状となる傾斜面が+x方向に向いているため、+x方向の電極部2を陰極とすると共に−x方向の電極部2を陽極として電圧を印加する。さらに、ハッチングされたAの領域をレーザビームLが走査する間、Aの領域の目標加工形状となる傾斜面が+y方向に向いているため、+y方向の電極部2を陰極とすると共に−y方向の電極部2を陽極として電圧を印加する。次に、ハッチングされたDの領域をレーザビームLが走査する間、Dの領域の目標加工形状となる傾斜面が−x方向に向いているため、−x方向の電極部2を陰極とすると共に+x方向の電極部2を陽極として電圧を印加する。そして、レーザビームLが図5の左側のハッチングされていない領域を走査している間は、電極部2に電圧を印加しない。
【0030】
次に、この加工例における電圧制御プログラムを作成する際のダイアグラム例を、図6に示す。本例では、通常のレーザ加工プログラムを作成した後で、加工プログラムのタイムラインに沿った電極部2の切り替えプログラムを作成する場合を示す。
この電圧制御プログラムでは、レーザビームLを走査する軌跡に従って仮想的にガルバノスキャナ6(ダイアグラム中GSと称す)を動かし、電圧を印加しない領域、及び印加する領域(ハッチングされた領域)の通過に要する時間を記録することで、電極部2を切り替えるタイムラインを構築する。
【0031】
まず、レーザビームLの次の走査線開始位置までのガルバノスキャナ6の移動時間を記録し(ステップS1)、ガルバノスキャナ6の現在位置が電圧印加領域にレーザビームLを走査する位置であるか否かを判断する(ステップS2)。電圧印加領域である場合、電圧の印加方向を記録し(ステップS3)、電圧印加領域でない場合は、このステップS3を除いて、次に、ガルバノスキャナ6の現在位置から、走査線終了位置までに異なる電圧印加領域が存在するか否かを判断する(ステップS4)。異なる電圧印加領域が存在する場合、ガルバノスキャナ6の現在位置から次の電圧印加領域までの走査時間を記録し(ステップS5)し、再びステップS2に戻る。また、異なる電圧印加領域が存在しない場合、このステップS5を除いて、次に、ガルバノスキャナ6の現在位置から走査線終了位置までの走査時間を記録し(ステップS6)、次の走査線が存在するか否かを判断する(ステップS7)。次の走査線が存在する場合、再びステップS1に戻り、存在しない場合は、電圧制御プログラムの出力を終了する。
【0032】
このように本実施形態のレーザ加工装置1では、加工対象物Wの上方に円周上に並べて配置された複数の電極部2と、複数の電極部2のうち任意の一対に電圧を印加して加工対象物Wの近傍に電界を発生させる制御部Cとを備え、制御部Cが、電圧を印加する電極部2を切り替えて電界の方位を制御するので、加工対象物Wに形成される傾斜面Kなどの向きや形状に応じて加工対象物W近傍の電界の方位を適宜変更し、発生したパーティクルPの飛散方向をレーザ加工に影響しない方向にコントロールしてレーザ光の照射領域へのデブリの堆積を抑制することができる。
【0033】
また、電極部2にパーティクルが静電吸着されても、照射領域からパーティクルを引き寄せる電極部2が離れているため、照射領域の直上でパーティクルPを静電吸着する場合に比べて照射領域へのパーティクルPの落下を抑制することができ、良好なレーザ加工が可能になる。さらに、複数の電極部2において電圧を印加する電極部2を適宜切り替えるので、一つ一つの電極部2におけるパーティクルPの吸着が少なく、メンテナンスの手間が低減可能になる。
【0034】
さらに、制御部Cが、傾斜面Kの対向方向に位置する電極部2を陰極とすると共に、該電極部2に対向する位置の電極部2を陽極として電圧を印加するので、傾斜面Kの対向方向に向けて電界が発生することで、レーザ照射によって発生しプラスに帯電したパーティクルPが、電界によって陰極の電極部2に向かう方向、すなわち傾斜面Kから遠ざかる方向に飛散方向が制御されて傾斜面Kへのデブリの堆積を抑制することができる。
【0035】
また、レーザ光照射機構3が、予めデータ記憶部Mに記憶されている目標形状データに基づいてレーザビームLを走査し、制御部Cが、レーザビームLの走査と目標形状データとに応じて電界の方位を制御するので、レーザビームLの走査に連動してリアルタイムで目標形状データに対応した連続的かつ自動的な電界方向の切り替えを高速で行うことができ、多様で高精度な形態加工が可能になる。
【0036】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…レーザ加工装置、2…電極部、3…レーザ光照射機構、4…移動機構、C…制御部、K…傾斜面、L…レーザビーム、P…パーティクル、W…加工対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物にレーザビームを照射して形状形成を行うことで目標の加工形状を得るレーザ加工装置であって、
前記加工対象物の上方に円周上に並べて配置された複数の電極部と、
複数の前記電極部で囲まれた領域を通して前記加工対象物に前記レーザビームを照射するレーザ光照射機構と、
複数の前記電極部のうち任意の一対に電圧を印加して前記加工対象物の近傍に電界を発生させる制御部とを備え、
該制御部が、電圧を印加する前記電極部を切り替えて前記電界の方位を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記制御部が、目標の前記加工形状が前記レーザビームの光軸に対して傾斜面であるとき、該傾斜面の対向方向に位置する前記電極部を陰極とすると共に、該電極部に対向する位置の前記電極部を陽極として電圧を印加することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、
前記加工形状の目標形状データを記憶したデータ記憶部を備え、
前記レーザ光照射機構が、前記目標形状データに基づいて前記レーザビームを走査し、
前記制御部が、前記レーザビームの走査と前記目標形状データとに応じて前記電界の方位を制御することを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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