説明

レーザ加工装置

【課題】 搬入装置と搬出装置との間の移動時間をなくして作業効率を向上でき、搬入装置と搬出装置での作業状況を同時に確認、把握できるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】 レーザ加工機と、加工前のワークを積載する搬入側ストッカと、吸着パッドが設けられた前記複数のワークと同数の吸着パッドフレームと、ワークを一時的に保持しておき前記複数のワークより1つ少ない個数の搬入側ワーク載置台と、から構成された搬入部と、加工後のワークを積載する搬出側ストッカと、吸着パッドが設けられた前記複数のワークと同数の吸着パッドフレームと、ワークを一時的に保持しておき前記複数のワークより1つ少ない個数の搬出側ワーク載置台と、から構成された搬出部と、を備え、前記搬入部と前記搬出部を上下に配置し、前記搬入側ストッカと前記搬出側ストッカを前記レーザ加工機に対して一方向に並べて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のワークを載置する為のテーブルと複数のレーザ照射部とを有するレーザ加工機と、ワークをテーブルに搬入出するための搬入出装置と、を備え、複数のワークを同時に搬入し、加工し、搬出するレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプリント基板などのワークを同時にレーザ加工する場合、従来のレーザ加工装置としては、レーザ加工機本体と、単一のワークの供給側ストッカと、単一のワークの排出ストッカと、ワークを一時的に保持するワーク載置台を有する供給側移動装置および排出側移動装置と、で構成され、複数のワークを同時に供給し、同時に加工し、同時に排出する処理を行う際に、ワーク載置台にワークを一時的に保持することで、供給ストッカおよび排出ストッカをそれぞれ単一として装置設置面積を縮小することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−297007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、ワークの搬入装置と搬出装置がレーザ加工機本体の両側に配置され、搬入装置で作業者がワークの供給作業を行った後回収作業を行うべく搬出装置へ移動しなければならないので、作業効率が低下した。一方、搬入装置と搬出装置が別々に配置されているためにワーク加工時に搬入装置と搬出装置での作業状況を同時に確認、把握することが難しかった。
【0005】
本発明の目的は、上記した課題を解決し、搬入装置と搬出装置との間の移動時間をなくして作業効率を向上でき、搬入装置と搬出装置での作業状況を同時に確認、把握できるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、水平面上の一軸方向であるX方向に並べて配置された複数のワークを前記X方向および前記水平面上で前記X方向に直交するY方向へ移動自在なXYテーブルと、前記XYテーブルが載置されたベッドと、前記複数のワークの上方で前記X方向に並べて配置された前記複数のワークと同数のレーザユニットと、を有するレーザ加工機と、加工前のワークを積載する搬入側ストッカと、吸着パッドが設けられた前記複数のワークと同数の吸着パッドフレームと、ワークを一時的に保持しておき前記複数のワークより1つ少ない個数の搬入側ワーク載置台と、から構成された搬入部と、加工後のワークを積載する搬出側ストッカと、吸着パッドが設けられた前記複数のワークと同数の吸着パッドフレームと、ワークを一時的に保持しておき前記複数のワークより1つ少ない個数の搬出側ワーク載置台と、から構成された搬出部と、を備え、前記搬入部と前記搬出部を上下に配置し、前記搬入側ストッカと前記搬出側ストッカを前記レーザ加工機に対して一方向に並べて配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、搬入部と搬出部を上下に配置し、搬入側ストッカと搬出側ストッカを前記レーザ加工機に対して一方向に並べて配置したので、搬入部と搬出部との間の作業者の移動時間をなくして作業効率を向上でき、搬入部と搬出部での作業状況を同時に確認、把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の全体構成図である。
【図2】本発明に係るレーザ加工機を説明する図である。
【図3】本発明に係るレーザ加工の全体工程を表すフローチャートである。
【図4】本発明に係るワーク搬入工程を表すフローチャートである。
【図5】本発明に係るレーザ加工工程を表すフローチャートである。
【図6】本発明に係るワーク搬出工程を表すフローチャートである。
【図7】本発明に係るワーク搬入時のワークおよび吸着パッドの位置を表す図である。(a)は正面図、(b)は平面図。
【図8】本発明に係るレーザ加工時のワークの位置を表す図である。
【図9】本発明に係るワーク搬出時のワークおよび吸着パッドの位置を表す図である。(a)は正面図、(b)は平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を実施例に沿って説明する。
【実施例】
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るレーザ加工装置の全体構成図である。同図において、レーザ加工装置は、ワーク105に孔や溝をレーザ加工するレーザ加工機101と、未加工のワーク105をレーザ加工機101へ供給し加工されたワーク105を排出する搬入出装置102と、から構成される。レーザ加工機101は、載置された複数(図では2個)のワーク105をX方向(紙面に対して左右方向)及びY方向(紙面に対して垂直方向)に移動自在なXYテーブル106と、XYテーブル106上に固定されワークを吸着又は解放する真空吸着テーブル(図示を省略)と、ワーク105に対してレーザ光を照射する複数(図では2個)のレーザユニット104a、レーザユニット104bと、レーザユニット104aおよびレーザユニット104bを設けた門型のコラム103と、XYテーブル106が設置されたベッド107と、前記レーザ加工機101及び後述する搬入出装置102を制御する制御装置119を備えてなる。
【0011】
一方、搬入出装置102は、搬入部と搬出部とで構成される。搬入部は、ワーク105を吸着又は解放する吸着パッド112が複数設けられた吸着パッドフレーム111a及び吸着パッドフレーム111bと、吸着パッドフレーム111aを上昇下降させるためのリフタ110aと、吸着パッドフレーム111bを上昇下降させるためのリフタ110bと、リフタ110a及びリフタ110bが底面に固定されたスライダ109と、スライダ109を指示する搬入側のガイドレール108と、ワーク105を一時的に保持しておく搬入側載置台113aと、複数のワーク105が積載された上下テーブル114aを上下方向に移動自在な搬入側ストッカ115と、を備えてなる。リフタ110aと110bはそれぞれ独立に上昇下降させることができる。搬出部は、ワーク105を吸着又は解放する吸着パッド112が複数設けられた吸着パッドフレーム111c及び吸着パッドフレーム111dと、吸着パッドフレーム111cを上昇下降させるためのリフタ110cと、吸着パッドフレーム111dを上昇下降させるためのリフタ110dと、リフタ110c及びリフタ110dが側面に固定されたスライダ117と、スライダ117を指示する搬入側のガイドレール116と、ワーク105を一時的に保持しておく搬入側載置台113bと、複数のワーク105が積載された上下テーブル114bを上下方向に移動自在な搬出側ストッカ118と、を備えてなる。ガイドレール108は、最大20kgの重量物を搬送可能なので、吸着パッドフレーム及びリフタ(例えば、合計重量6kg程度)を2組取付けたスライダ109を片持ちで保持できX方向に移動自在である。したがって、ガイドレール108をガイドレール116のような両持ちでスライダ117を保持する場合よりも短くできるので、加工が終わったワーク105を搬入部の横を上昇させてから搬出側ワーク載置台113bおよび搬出側ストッカ118へ移動させることができる。
【0012】
搬入出装置102は、搬入部と搬出部を上下に配置し、搬入側ストッカ115と搬出側ストッカ118をレーザ加工機101に対して一方向に並べて配置している。そのため、搬入部と搬出部との間の作業者の移動時間をなくして作業効率を向上でき、搬入部と搬出部での作業状況を同時に確認、把握できる。
【0013】
なお、搬入側ストッカ115と搬出側ストッカ118を共通としてストッカを単一とした場合、ワーク105をレーザ加工機101で一度に加工される枚数のみ単一のストッカに載置しなければ未加工のワーク105の上に加工後のワーク105が積載されてしまうために加工後のワーク105を未加工のワーク105と分別して単一のストッカから取出さなければならなかった。一方、通常、レーザ加工機101で一度に加工される枚数以上のワーク105を1ロットとして加工するため、単一のストッカへのワーク105の載置及び取出しを複数回行わなければならなかった。したがって、作業者の作業効率が低下した。本発明では、搬入側ストッカ115と搬出側ストッカ118を別々に設けたので、1ロットのワーク105の搬入側ストッカ115への載置及び搬出側ストッカ118からの取出しをそれぞれ1回とすることができる。また、搬入側ストッカ115と搬出側ストッカ118を別々に設けたので、未加工ワーク105のXYテーブル106への搬入工程中に加工後のワーク105を搬出側ストッカ118から取出し、加工後のワーク105のXYテーブル106からの搬出工程中にワーク105を搬入側ストッカ118へ載置することができる。しかるに、作業効率を向上させることが可能である。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係るレーザ加工機を説明する図である。レーザユニット104aは、ミラー204aと1対のガルバノスキャナ205a及びfθレンズ206aとから構成され、レーザユニット104bは、ミラー204bと1対のガルバノスキャナ205b及びfθレンズ206bとから構成されている。レーザ発振器201から出力されたレーザ光は、音響光学素子202により光路を交互に変更されてミラー203a、204aを介してガルバノスキャナ205aに、ミラー203b、204bを介してガルバノスキャナ205bにそれぞれ入射される。そして、ガルバノスキャナ205a、205bによりXY方向に位置決めされ、fθレンズ206aまたはfθレンズ206bを通過して、それぞれワーク105を加工する。
【0015】
図3〜図6は本発明に係る動作を表すフローチャートであり、制御装置119にプログラムされている。
【0016】
図3において、まず、搬入工程に移行し加工するためのワーク105をXYテーブル106へ載置する(ステップS301)。次に、加工工程に移行しワーク105をレーザ加工した後(ステップS302)、加工されたワーク105を回収側基板ストッカ123へ搬出する(ステップS303)。その後、次に加工するワーク105があれば再び搬入動作を繰り返し、加工するワーク105が無くなった時点で本発明に係る一連の動作を終了する(ステップS304)。
【0017】
次に、搬入工程の詳細を図4および図7を用いて説明する。搬入工程を示すフローチャートを図4に、ワーク105を搬入してXYテーブル106上へ載置させたときの正面図を図7(a)に、平面図を図7(b)にそれぞれ示す。ステップS401で上下テーブル114aを上昇させる(ステップS401)。その後、吸着パッドフレーム111bを、下降させてワーク105を吸着させ(ステップS402)、上昇させて搬入側ワーク載置台113a上方に移動させ(ステップS403)、下降させて搬入側ワーク載置台113a上にワーク105を載置させ(ステップS404)、上昇させて搬入側ストッカ115上方に移動させる(ステップS405)。吸着パッドフレーム111a及び吸着パッドフレーム111bを下降させ、搬入側ワーク載置台113aに載置されたワーク105を吸着パッドフレーム111aに、搬入側ストッカ115に積載されているワーク105を吸着パッドフレーム111bに、それぞれ吸着させる(ステップS406)。吸着パッドフレーム111a及び吸着パッドフレーム111bを、上昇させた後XYテーブル106上方に移動させ(ステップS407)、下降させてXYテーブル106上にワーク105を載置させた後、再び上昇させて搬入開始位置に移動させて(ステップS408)、搬入動作を終了する。
【0018】
図5は加工工程を示すフローチャートを、図8はワーク105を加工位置へ移動させたときの平面図をそれぞれ示す。XYテーブルを駆動し加工位置へワーク105を移動させる(ステップS501)。次に、ワーク105のレーザ加工を開始し(ステップS502)、加工終了(ステップS503)した後、XYテーブル106を駆動し搬出位置へワーク105を移動させ(ステップS508)、加工動作を終了する。
【0019】
搬出動作を図6および図9を用いて説明する。搬出工程を示すフローチャートを図6に、ワーク105を吸着パッド111cおよび111dに吸着させたときの正面図を図9(a)に、平面図を図9(b)にそれぞれ示す。吸着パッドフレーム111c及び吸着パッドフレーム111dを、ワーク105上方へ移動させ(ステップS601)、降下させてワーク105を吸着させた後上昇させ(ステップS602)、吸着パッドフレーム111cを搬出側ワーク載置台113b上方へ、吸着パッドフレーム111dを搬出側ストッカ118上方へそれぞれ移動させた後、下降させてワークを搬出側ワーク載置台113bおよび搬出側ストッカ118へ載置させる(ステップS603)。その後、吸着パッドフレーム111cおよび吸着パッドフレーム111dを上昇させ、吸着パッドフレーム111dを搬出側ワーク載置台113b上方に移動させた後降下させてワーク105を吸着させ(ステップS604)、吸着パッドフレーム111dを、上昇させ搬出側ストッカ118上方に移動させた後降下させてワーク105を搬出側ストッカ118上へ載置させ(ステップS605)、上昇させた後搬出開始位置へ移動させ(ステップS609)、搬出動作を終了する。
【0020】
上記実施例では、X方向でレーザ加工機101に近い側に搬入部が、遠い側に搬出部がそれぞれ配置されているが、レーザ加工機101に近い側を搬出部、遠い側を搬出部として上記搬入工程と搬出工程の制御対象を切り換えても良い。
【0021】
また、ワーク105を2個同時に加工することを説明してきたが、吸着パッドフレームおよびレーザユニットをワーク105と同数、ワーク載置台をワーク105より1つ少ない個数とすることにより、3個以上のワーク105を加工することが可能である。
【0022】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能で有り、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0023】
101 レーザ加工機
102 搬入出装置
103 門型コラム
104a、104b レーザユニット
105 ワーク
106 XYテーブル
107 ベッド
108、116 ガイドレール
109、117 スライダ
110a、110b、110c、110d リフタ
111a、111b、111c、111d 吸着パッドフレーム
112 吸着パッド
113a 搬入側ワーク載置台
113b 搬出側ワーク載置台
114a、114b 上下テーブル
115 搬入側ストッカ
118 搬出側ストッカ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面上の一軸方向であるX方向に並べて配置された複数のワークを前記X方向および前記水平面上で前記X方向に直交するY方向へ移動自在なXYテーブルと、前記XYテーブルが載置されたベッドと、前記複数のワークの上方で前記X方向に並べて配置された前記複数のワークと同数のレーザユニットと、を有するレーザ加工機と、
加工前のワークを積載する搬入側ストッカと、吸着パッドが設けられた前記複数のワークと同数の吸着パッドフレームと、ワークを一時的に保持しておき前記複数のワークより1つ少ない個数の搬入側ワーク載置台と、から構成された搬入部と、
加工後のワークを積載する搬出側ストッカと、吸着パッドが設けられた前記複数のワークと同数の吸着パッドフレームと、ワークを一時的に保持しておき前記複数のワークより1つ少ない個数の搬出側ワーク載置台と、から構成された搬出部と、を備え、
前記搬入部と前記搬出部を上下に配置し、
前記搬入側ストッカと前記搬出側ストッカを前記レーザ加工機に対して一方向に並べて配置したことを特徴とするレーザ加工装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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