説明

レーダ装置、偽像検出方法、偽像検出プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】ターゲットに対して送信するパルス間の間隔が狭い場合において、精度良く偽像の検出を行うことを可能とする。
【解決手段】レーダ装置1は送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、パルス位置変調後のパルスをターゲットに対して送信する。レーダ装置1は、受信波を受信すると、受信波から受信パルスを復調し、受信パルスの振幅レベルを求め、受信パルスの振幅レベルが閾値を超えるかを判断し、受信パルスの振幅レベルが閾値を超える場合は、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されたときは偽像を検出したと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,レーダ技術に関し、特に、レーダ機能と情報通信機能とを備えるレーダ装置、偽像検出方法、偽像検出プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダ装置は、ターゲットに向けてパルスを送信した時刻と、ターゲットからの反射波を受信した時刻との時間差に基づいてターゲットまでの距離を算出する。
【0003】
従来のレーダ装置のうち、情報通信機能を備えるものとして、例えば、下記の特許文献1に、パルスによるレーダ信号に位相変調または周波数変調をかけることにより情報を伝送するレーダ装置が記載されている。
【特許文献1】特開平8−5732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された従来技術は、位相変復調あるいは周波数変復調を行うためのハードウェア構成を採るため、一般に複雑となり、コスト高を招くおそれがある。
【0005】
また、レーダ装置が、あるパルスをターゲットへ送信し、続けて次のパルスを送信した後にレーダ装置の外部からパルスを受信した場合、送信したパルス間の間隔が短いと、受信パルスが本当は先に送信したパルスに対する反射波なのに、レーダ装置が後に送信したパルスに対する反射波であると誤って認識し、実際には存在しない偽像までの距離をターゲットまでの距離として算出してしまうおそれがある。
【0006】
上記のような事態を回避し、受信パルスに基づいて検出されたものが偽像であると判断すること(偽像の検出)は、レーダ装置にとって、極めて重要である。レーダ装置が送信するパルス間の間隔が狭くなるほど、偽像の検出は困難となるが、情報通信機能を備える従来のレーダ装置において、レーダ装置が送信するパルス間の間隔が狭い場合において、精度良く偽像を検出できるものはなかった。本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、ターゲットに対して送信するパルス間の間隔が狭い場合において、精度良く偽像の検出を行うことが可能なレーダ装置、偽像検出方法、偽像検出プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体の提供を目的とする。
【0007】
また、本発明は、特に、上記のレーダ装置を、比較的簡単な構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、送信したいデータのビット論理に応じてパルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation )を行い、パルス位置変調後のパルスをターゲットに対して送信して、ターゲットとの間でデータ通信を行うとともに、パルス位置変調後のパルスを用いて偽像を検出する。
【0009】
図1は、本発明のレーダ装置における同期パルス挿入型のPPMを説明する図である。図1(A)に示す矢印は、レーダ装置内における基準クロックの発生タイミングを示している。
【0010】
1Wordが、例えば1ビットの同期信号(例えば「1」)と8ビットのデータとから構成されるとすると、本発明は、同期信号とデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行う。その結果、図1(B)に示すように、パルス位置変調後の9個のパルスが得られる。図1(B)に示す9個のパルスのうち、先頭のパルスは同期信号に対応する同期パルスを示し、同期パルスに続く8個のパルスは、8ビットのデータ(図1(B)の例では、「10110011」)を示している。
【0011】
同期パルスに続く8個のパルスのうち、最初のパルスと3番目のパルス、4番目のパルス、7番目のパルスおよび8番目のパルスは、ビット論理「1」に対応するパルスであり、2番目のパルス、5番目のパルスおよび6番目のパルスは、ビット論理「0」に対応するパルスである。
【0012】
すなわち、本発明のレーダ装置は、ターゲットに送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調を行い、異なるタイミングで各パルスを立ち上げる。例えば、図1(B)に示すように、ビット論理「1」に対応するパルスは、基準クロックが発生したタイミングで立ち上がり、ビット論理「0」に対応するパルスは、基準クロックが発生したタイミングからある遅延時間経過後に立ち上がる。
【0013】
本発明のレーダ装置は、パルス位置変調後のパルスをターゲットに対して送信してデータ通信を行う。例えば、図1(B)に示す各パルスを順次ターゲットに対して送信する。そして、本発明のレーダ装置は、送信されたパルス位置変調後のパルスに対するターゲットからの反射波を受信し、反射波から受信パルスを取得した時刻と、パルス位置変調後の各パルスを送信した時刻とを参照して、偽像を検出する。
【0014】
本発明のレーダ装置は、パルス位置変調処理を行って、パルス位置変調後のパルスを用いて偽像を検出する構成を採るため、位相変復調あるいは周波数変復調を行う場合の構成に比べて、比較的簡単なハードウェア構成となる。
【0015】
また、本発明のレーダ装置は、パルス位置変調後のパルスを送信信号としてターゲットに送信する構成を採るため、送信信号の周波数スペクトラムが平滑化する。従って、本発明のレーダ装置の外部のシステムに与える干渉を軽減することができる。
【0016】
また、本発明のレーダ装置は、ターゲットに対して各ビット論理に対応するパルスを送信する時の時刻情報を用いて、偽像検出処理を行う。
【0017】
具体的には、本発明のレーダ装置は、図2に示すように、直前の送信パルスとのパルス間隔が短い送信パルス(図2ではビット論理「0」に対応するパルスの送信後の、ビット論理「1」に対応するパルス)の送信時から予め決められた時間内(図中矢印で示す時間内)に受信パルスを受信した場合には、偽像を検出したと判断し、ターゲットまでの距離を算出しない。
【0018】
従って、本発明によれば、例えば、図2に示すビット論理「0」に対応する送信パルスとビット論理「1」に対応する送信パルスとの間のパルス間隔のように、送信パルスのパルス間隔が他の送信パルス間のパルス間隔より短い場合において、精度良く偽像を検出することができる。
【0019】
すなわち、本発明は、ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置であって、前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するパルス位置変調手段と、前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するパルス送信手段と、前記レーダ装置の外部から受信波を受信する受信波受信手段と、前記受信された受信波から受信パルスを取得する受信パルス取得手段と、少なくとも前記パルス送信手段により前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルス取得手段により受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたか、または前記ターゲットが検出されたかを判断する偽像・ターゲット検出手段とを備えることを特徴とするレーダ装置である。
【0020】
また、本発明は、前記のレーダ装置において、前記偽像・ターゲット検出手段は、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置における偽像検出方法であって、前記レーダ装置が、前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するステップと、前記レーダ装置が、前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するステップと、前記レーダ装置が、前記レーダ装置の外部から受信波を受信するステップと、前記レーダ装置が、前記受信された受信波から受信パルスを取得するステップと、前記レーダ装置が、少なくとも前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたかを判断するステップとを有することを特徴とする偽像検出方法である。
【0022】
また、本発明は、前記の偽像検出方法において、前記偽像が検出されたかを判断するステップは、前記レーダ装置が、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するパルス位置変調手段と、前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するパルス送信手段と、前記レーダ装置の外部から受信波を受信する受信波受信手段と、前記受信された受信波から受信パルスを取得する受信パルス取得手段と、少なくとも前記パルス送信手段により前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルス取得手段により受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたか、または前記ターゲットが検出されたかを判断する偽像・ターゲット検出手段として機能させるための偽像検出プログラムである。
【0024】
また、本発明は、前記の偽像検出プログラムにおいて、前記偽像・ターゲット検出手段は、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断することを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータを、前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するパルス位置変調手段と、前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するパルス送信手段と、前記レーダ装置の外部から受信波を受信する受信波受信手段と、前記受信された受信波から受信パルスを取得する受信パルス取得手段と、少なくとも前記パルス送信手段により前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルス取得手段により受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたか、または前記ターゲットが検出されたかを判断する偽像・ターゲット検出手段として機能させるための偽像検出プログラムを記録した記録媒体である。
【0026】
また、本発明は、前記の偽像検出プログラムを記録した記録媒体において、前記偽像・ターゲット検出手段は、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明のレーダ装置は、送信したいデータに応じてパルス位置変調を行い、パルス位置変調後のパルスをターゲットに対して送信して、ターゲットとの間でデータ通信を行うとともに、パルス位置変調後のパルスを用いて偽像を検出する構成を採る。従って、本発明によれば、比較的簡単なハードウェア構成で、情報通信機能を備え、かつ偽像検出機能を備えたレーダ装置を実現することができる。
【0028】
また、本発明のレーダ装置は、パルス位置変調後のパルスを送信信号としてターゲットに送信する構成を採るため、送信信号の周波数スペクトラムが平滑化する。従って、本発明によれば、本発明のレーダ装置の外部のシステムに与える干渉を軽減することができる。
【0029】
また、本発明のレーダ装置は、直前の送信パルスとのパルス間隔が短い送信パルスの送信時から予め決められた時間内に受信パルスを受信した場合には、偽像を検出したと判断する。従って、本発明によれば、ターゲットに対して送信するパルスのパルス間隔が狭い場合に、精度良く偽像を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、図を用いて、本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態における前提として、レーダ装置がパルスをターゲットに対して送信している間は、ターゲットは受信動作のみを行うものとする。
【0031】
図3は、本発明のレーダ装置の構成の一例を示す図である。レーダ装置1において、データ入力部10は、ターゲットに対して送信したいデータを入力する。基準クロック発生部11は、基準クロックを発生させる。パルス生成部12は、基準クロックの発生タイミングに合わせてパルスを生成する。
【0032】
同期信号付加部13は、入力されたデータの先頭に同期信号(例えば、「1」)を付加する。変調部14は、送信するデータのビット論理に応じて、パルス位置変調処理を行う。パルス位置変調後には、例えば、上述した図1(B)に示すような、同期信号に対応する同期パルスに続く複数個のパルスが得られる。そして、変調部14は、パルス位置変調後のパルスを送信アンテナ15に送出する。
【0033】
また、変調部14は、各パルスを送信アンテナ15に送出した時の時刻情報を、後述する信号処理部20に対して送信する。送信アンテナ15は、パルス位置変調後のパルスをターゲットに対して送信する。
【0034】
変調部14において、遅延手段141は、パルス生成部12が生成したパルスに基づいて、基準クロックのタイミングより所定の遅延時間だけ遅れて立ち上がる遅延パルスを生成する。スイッチ手段142は、入力されたデータのビット論理に応じて、オンまたはオフし、パルス生成部12が生成したパルスを出力したり、出力しなかったりする。スイッチ手段143は、入力されたデータのビット論理に応じて、オンまたはオフし、遅延手段141により生成された遅延パルスを出力したり、出力しなかったりする。反転手段144は、入力されたデータのビット論理を反転させて、スイッチ手段143に送信する。
【0035】
例えば、スイッチ手段142およびスイッチ手段143が、入力されたデータのビット論理が「1」の場合はオンし、「0」の場合はオフする構成を採る場合、データ入力部10がビット論理「1」のデータを入力すると、スイッチ手段142にはビット論理「1」のデータが入力されてスイッチ手段142はオンするため、パルス生成部12が生成したパルスを出力する。スイッチ手段143には、ビット論理「1」のデータが反転手段144により反転したビット論理「0」のデータが入力されるため、スイッチ手段143はオフし、遅延パルスは出力されない。
【0036】
また、例えば、データ入力部10がビット論理「0」のデータを入力すると、スイッチ手段142にはビット論理「0」のデータが入力されてスイッチ手段142はオフするため、パルス生成部12が生成したパルスは出力されないが、スイッチ手段143には、ビット論理「0」のデータが反転したビット論理「1」のデータが入力されるため、スイッチ手段143はオンし、遅延パルスが出力される。
【0037】
なお、例えば、同期信号付加部13により付加される同期信号が「1」であるときは、スイッチ手段142を通じて、パルス生成部12が発生させたパルスが出力される。
【0038】
加算手段145は、スイッチ手段142から出力されるパルスとスイッチ手段143から出力されるパルスとを加算して、送信アンテナ15に送出する。パルス送信時刻情報送信手段146は、送信アンテナ15を通じてターゲットに対して各パルスが送信された時の時刻情報を信号処理部20に対して送信する。
【0039】
受信アンテナ16は、レーダ装置1の外部から受信波を受信する。増幅部17は、受信波を増幅する。復調部18は、受信波から受信パルスを復調して取得するとともに、受信パルスの振幅レベルを求める。
【0040】
データ復調部19は、復調部18から送信された受信パルスの振幅レベルに基づいて、受信波の送信元から送信された受信データを復調し、復調後の受信データを出力する。データ復調部19は、基準クロック発生部11が発生させた基準クロックに基づいて、受信データの送信元の基準クロックを取得する。そして、復調部18から送信された受信パルスの振幅レベルを、受信データの送信元のクロックのタイミングで同期加算して同期パルスを検出した上で、受信データを復調し、出力する。
【0041】
信号処理部20は、偽像の検出またはターゲットの検出を行う。信号処理部20は、ターゲットが検出されたと判断した場合は、ターゲットまでの距離を算出し、出力する。信号処理部20は、偽像が検出されたと判断した場合は、距離の算出処理を行わない。
【0042】
信号処理部20の比較手段200は、復調部18から送信された受信パルスの振幅レベルと、予め決められた閾値とを比較する。そして、偽像・ターゲット検出手段201は、受信パルスの振幅レベルと閾値との比較結果と、受信パルスが復調部18による復調処理により取得された時刻と、変調部14から受信した、各パルスが送信アンテナ15を通じてターゲットに対して送信された時の時刻情報とに基づいて、偽像が検出されたか、またはターゲットが検出されたかを判断する。
【0043】
具体的には、偽像・ターゲット検出手段201は、受信パルスの振幅レベルが閾値を超える場合は、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されたかを判断し、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されたときは、偽像を検出したと判断する。直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されなかったときは、ターゲットを検出したと判断する。
【0044】
また、信号処理部20のターゲット距離算出手段202は、ターゲットが検出されたと判断された場合は、受信パルスが取得された時の直前に送信されたパルスの送信時刻と受信パルスの取得時刻との時間差に基づいて、ターゲットまでの距離を算出し、出力する。
【0045】
図4は、本発明のレーダ装置の動作処理の一例を示す図である。レーダ装置1は、送信するデータのビット論理に応じて、パルス位置変調処理を行い(ステップS1)。パルス位置変調後のパルスをターゲットに対して送信する(ステップS2)。レーダ装置1は、受信波を受信すると(ステップS3)、受信波から受信パルスを復調して取得し、受信パルスの振幅レベルを求める(ステップS4)。
【0046】
次に、レーダ装置1は、受信パルスの振幅レベルが閾値を超えるかを判断し(ステップS5)、受信パルスの振幅レベルが閾値以下の場合は、処理を終了する。
【0047】
また、レーダ装置1は、受信パルスの振幅レベルが閾値を超える場合は、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されたかを判断し(ステップS6)、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されたときは、偽像を検出したと判断する(ステップS7)。直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスがターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得されなかったときは、ターゲットを検出したと判断して(ステップS8)、ターゲットまでの距離を算出し、出力する(ステップS9)。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のレーダ装置における同期パルス挿入型のPPMを説明する図である。
【図2】偽像検出処理を説明する図である。
【図3】本発明のレーダ装置の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明のレーダ装置の動作処理の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 レーダ装置
10 データ入力部
11 基準クロック発生部
12 パルス生成部
13 同期信号付加部
14 変調部
15 送信アンテナ
16 受信アンテナ
17 増幅部
18 復調部
19 データ復調部
20 信号処理部
141 遅延手段
142、143 スイッチ手段
144 反転手段
145 加算手段
146 パルス送信時刻情報送信手段
200 比較手段
201 偽像・ターゲット検出手段
202 ターゲット距離算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置であって、
前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するパルス位置変調手段と、
前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するパルス送信手段と、
前記レーダ装置の外部から受信波を受信する受信波受信手段と、
前記受信された受信波から受信パルスを取得する受信パルス取得手段と、
少なくとも前記パルス送信手段により前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルス取得手段により受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたか、または前記ターゲットが検出されたかを判断する偽像・ターゲット検出手段とを備える
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置において、
前記偽像・ターゲット検出手段は、
直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断する
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置における偽像検出方法であって、
前記レーダ装置が、前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するステップと、
前記レーダ装置が、前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するステップと、
前記レーダ装置が、前記レーダ装置の外部から受信波を受信するステップと、
前記レーダ装置が、前記受信された受信波から受信パルスを取得するステップと、
前記レーダ装置が、少なくとも前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたかを判断するステップとを有する
ことを特徴とする偽像検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の偽像検出方法において、
前記偽像が検出されたかを判断するステップは、
前記レーダ装置が、直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断する
ことを特徴とする偽像検出方法。
【請求項5】
ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するパルス位置変調手段と、
前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するパルス送信手段と、
前記レーダ装置の外部から受信波を受信する受信波受信手段と、
前記受信された受信波から受信パルスを取得する受信パルス取得手段と、
少なくとも前記パルス送信手段により前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルス取得手段により受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたか、または前記ターゲットが検出されたかを判断する偽像・ターゲット検出手段として機能させるための偽像検出プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の偽像検出プログラムにおいて、
前記偽像・ターゲット検出手段は、
直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断する
ことを特徴とする偽像検出プログラム。
【請求項7】
ターゲットとのデータ通信機能を備えたレーダ装置のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータを、
前記ターゲットに対して送信するデータのビット論理に応じてパルス位置変調処理を行い、前記ビット論理に対応するパルスから構成される複数のパルスを取得するパルス位置変調手段と、
前記パルス位置変調処理により取得された複数のパルスを構成する各パルスを前記ターゲットに対して順次送信するパルス送信手段と、
前記レーダ装置の外部から受信波を受信する受信波受信手段と、
前記受信された受信波から受信パルスを取得する受信パルス取得手段と、
少なくとも前記パルス送信手段により前記ターゲットに対して前記各パルスが送信された時刻と、前記受信パルス取得手段により受信パルスが取得された時刻とに基づいて、偽像が検出されたか、または前記ターゲットが検出されたかを判断する偽像・ターゲット検出手段として機能させるための偽像検出プログラムを記録した記録媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の偽像検出プログラムを記録した記録媒体において、
前記偽像・ターゲット検出手段は、
直前のパルスとのパルス間隔が短いパルスが前記ターゲットに対して送信された時から予め決められた時間内に受信パルスが取得された場合に、偽像が検出されたと判断する
ことを特徴とする偽像検出プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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