説明

レーダ装置並びにその表示制御方法及びプログラム

【課題】各レーダ系統からの複数の目標表示信号を表示画面上に一定の規則に従って表示させ、操作員による複数の輝線の監視を容易にし、目標の探知を見落とす危険性を低くし、かつ高速で移動する複数の目標の位置を誤差なくリアルタイムに表示させる。
【解決手段】各表示用信号201,…に含まれる目標の距離データは、距離データ変換回路109によって、基準表示領域における距離となるように変換される。各表示用信号201,…に含まれる目標の角度データは、角度データ変換回路109によって、基準表示領域における角度となるように変換される。そのため、各表示領域における各目標は、基準表示領域に瞬時に重ねて表示される。したがって、一つの基準表示領域にすべての目標が表示されるので操作員による監視が容易になるとともに、高速で移動する複数の目標の位置をリアルタイムに表示できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の空中線を有するレーダ装置、並びにその表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置においてレーダ指示器は、探知対象物のレーダ情報(距離、方位等)を画面上に表示することにより、その情報を操作員へ伝達するものである。レーダ指示器には、その用途によりPPI(plane position indicator)方式やBスコープ方式がある。
【0003】
図7は、関連技術1のレーダ装置を示すブロック図である。以下、図7に基づき説明する。
【0004】
関連技術1のレーダ装置50は、空中線104を一つだけ持つ一般的なものである。レーダ系統123は、空中線104、送受信機105、信号処理器106、走査制御器107等を備え、表示用信号(距離データ、角度データ、同期パルス)230を指示器112へ出力する。レーダ系統123内では、送受信信号231、デジタル受信信号232、レーダ制御信号233、レーダ制御信号234等が入出力される。
【0005】
レーダ装置50は次のように動作する。レーダ制御信号233は、走査制御器107から出力され、空中線104を制御する。送受信機105から出力された送受信信号231は、空中線104から電波ビームとして空間に放出され、その反射電波が再び空中線104で受信される。受信された反射電波は、送受信信号231として送受信機105に入力され、デジタル受信信号232として出力される。出力されたデジタル受信信号232は、走査制御器107から出力されたレーダ制御信号234とともに信号処理器106に入力され、表示用信号230として出力され、指示器112に入力される。表示用信号230は、レーダのデジタル受信信号232であるビデオデータと、表示する際のプロットの色や形の情報を持つシンボルデータ(レーダ制御信号234の一部)と、により構成される。指示器112の画面には、表示用信号230をもとに映像が表示される。
【0006】
図8は、関連技術1のレーダ装置の表示画面を示す図である。以下、図7及び図8に基づき説明する。
【0007】
図8は、レーダ系統123により捕らえられた表示用信号230が指示器112に入力され、PPI方式の画面51に目標が表示された例である。レーダ受信信号の情報が指示器112に入力されると、画面51の中心Oから放射状に伸びた、等速回転する輝線52が表示される。図8において、中心Oが空中線104の位置であり、矢印53は輝線52が回転する方向を、点54,55,56は目標を、中心付近の濃い色の部分57は地面からの反射信号を、それぞれ示す。中心Oからの距離は目標までの距離に対応し、輝線52の角度は目標の方位角に相当する。目標が探知された場合は、輝線52が目標の位置を通過すると同時に、その目標の位置に相当する点が表示される。
【0008】
上記のように空中線104を一つだけ持つ一般のレーダ装置50において、一本の輝線52が通過すると、同時にレーダ表示信号が表示される。そのため、画面51に現れる目標の表示を監視するには、基本的に一本の輝線52の動きを注視すればよい。したがって、操作員の負荷が少ないため、目標の探知の見落としや、気づくのが遅れる危険性は低い。
【0009】
一方、領域を効率的に監視するために、複数の空中線を有し、同時に複数の電波ビームを空間に照射するレーダ装置が実用化されている。その種のレーダ装置を関連技術2として、図9に示す
【0010】
図9は、関連技術2のレーダ装置を示すブロック図である。以下、図9に基づき説明する。
【0011】
関連技術2のレーダ装置は、空中線104を複数個持ち、複数の空中線104が覆域を分割して走査するものである。第1のレーダ系統101は、空中線104、送受信機105、信号処理器106、走査制御器107等を備え、第1の表示用信号(距離データ、角度データ、同期パルス)201を出力する。第1のレーダ系統101内では、第1の送受信信号204、第1のデジタル受信信号205、第1のレーダ制御信号206、第1のレーダ制御信号207等が入出力される。第2のレーダ系統102、・・・、第Nのレーダ系統103は、内部構成が第1のレーダ系統101と同等であり、第2の表示用信号202、・・・、第Nの表示用信号203を出力する。これらの出力側には、第1の表示信号変換器113、第2の表示信号変換器114、・・・、第Nの表示信号変換器115、表示信号合成器116、指示器112等が設けられ、第1の指示器表示用信号216、第2の指示器表示用信号217、・・・、第Nの指示器表示用信号218、表示用合成信号219等が入出力される。
【0012】
レーダ装置60は次のように動作する。空中線104の数をN個とする。このとき、第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103から出力された第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203は、それぞれ第1、第2、・・・、第Nの表示信号変換器113,114,115によって、指示器表示用の信号に変換され、第1、第2、・・・、第Nの指示器表示用信号216,217,218として出力される。これらの第1、第2、・・・、第Nのレーダ表示信号216,217,218は、表示信号合成器116によって、1つの表示用合成信号116に合成され、指示器112に表示される。
【0013】
図10は、関連技術2のレーダ装置の表示画面を示す図である。以下、図9及び図10に基づき説明する。
【0014】
図10は、図9における指示器112の画面61の表示例を示し、図8と同じ部分には同じ符号を付す。なお、図10において、空中線104の数NはN=3とする。図10において、図9の第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103から出力された表示用信号201,202,203は、それぞれ領域A,B,Cに表示される。レーダ装置60では、複数のレーダ系統101,102,103で探知された複数の指示器表示用信号216,217,218は、複数の輝線52a,52b,52cによって、画面61上にそれぞれが同時に異なる方向(矢印53a,53b,53c)で表示される。しかし、その複数の表示を一人の操作員が監視し続けることは負荷が大きいため、操作員による目標の探知を見落とす危険性が高い。
【0015】
上述したとおり、空中線を一つだけ持つレーダ装置においては、一本の輝線によりレーダ表示信号が規則的に表示されるので、目標の探知を見落とす危険性は低い。これに対して、空中線を複数個持つレーダ装置においても、空中線を一つだけ持つレーダ装置と同様に、探知を見落とす危険性を低くする手段として、特許文献1に示された技術がある。この種の技術を関連技術3として、図11に示す。
【0016】
図11は、関連技術3のレーダ装置を示すブロック図である。以下、図11に基づき説明する。
【0017】
関連技術3のレーダ装置70は、複数のレーダ系統101,102,103で発生する各表示用信号201,202,203を保持する第1、第2、・・・、第Nの表示信号保持器118,119,120と、各表示信号保持器118,119,120から第1、第2、・・・、第Nの時分割レーダ表示信号221,222,223を任意に取り出す表示制御信号220を発生する表示信号制御器117と、取り出された第1、第2、・・・、第Nの時分割レーダ表示信号221,222,223を表示用信号224に変換する表示信号変換器121と、表示用信号224を表示する指示器112とを有する。
【0018】
レーダ装置70では、表示制御信号220を任意に制御することで、各表示信号保持器118,119,120の保持している複数の時分割レーダ表示信号221,222,223を、指示器112の表示画面上に一定の規則に従って表示させることができる。
【0019】
レーダ装置70によれば、第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103から出力される第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203を、それぞれ第1、第2、・・・、第Nの表示信号保持器118,119,120に逐次保持し、表示信号制御器117よって出力される表示制御信号220によって、所定の表示手順に従って第1、第2、・・・、第Nの時分割レーダ表示信号221,222,223を順次出力することが可能となる。順次出力された複数の時分割レーダ表示信号221,222,223を表示画面上に一定の規則に従って表示することにより、操作員による目標の探知を見落とす危険性が低くなる。
【0020】
上記手法では、操作員による目標の探知を見落とす危険性を低くする効果はあるが、各表示用信号201,202,203を保持してから表示するまでに、最大1スキャン分の遅延が生じてしまう。また、目標が高速で移動する場合、その1スキャン分の間に目標の実際の位置と表示の位置との誤差が大きくなるため、目標の正確な位置がリアルタイムに把握できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平03−233382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
第1の問題点は、空中線を複数個持つレーダ装置における受信信号の表示方法(関連技術2)において、操作員による目標の探知を見落とす危険性が高いことである。その理由は、表示画面上に表示用信号が同時に異なる方向に表示されることにより、輝線が複数存在し、一人の操作員が複数の輝線を同時に監視し続けなければならいので、負荷が大きく、目標の探知を見落とす危険性が高いためである。
【0023】
第2の問題点は、関連技術3において、目標が高速で移動する場合については目標の正確な位置を特定できないことである。その理由は、目標が高速で移動する場合は、実際の目標の位置と表示画面上の目標の位置との間に最大1スキャン分の遅延による誤差が生じるので、目標の正確な位置がリアルタイムに特定できないためである。
【0024】
そこで、本発明の目的は、複数のレーダ系統からの複数の範囲の表示信号を表示画面上に一定の規則に従って表示させ、操作員による監視を容易にし、目標の探知を見落とす危険性を低くすることに加えて、高速で移動する複数の目標の位置をリアルタイムに表示し得る、レーダ装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係るレーダ装置は、
空中線が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号を出力するレーダ系統を複数備え、
これらの複数のレーダ系統が互いに異なる表示領域に対する前記表示用信号を出力する、
レーダ装置において、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号を出力する距離データ変換手段と、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記角度データを、前記基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号を出力する角度データ変換手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る表示制御方法は、
空中線が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号を出力するレーダ系統を複数備え、
これらの複数のレーダ系統が互いに異なる表示領域に対する前記表示用信号を出力する、
レーダ装置に用いられる表示制御方法において、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号を出力し、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記角度データを、前記基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号を出力する、
ことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る表示制御プログラムは、
空中線が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号を出力するレーダ系統を複数備え、
これらの複数のレーダ系統が互いに異なる表示領域に対する前記表示用信号を出力する、
レーダ装置に用いられる表示制御プログラムにおいて、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号を出力する距離データ変換手段、及び、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記角度データを、前記基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号を出力する角度データ変換手段、
としてコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数の空中線を持つレーダ装置において、各レーダ系統からの複数の目標表示信号を表示画面上に一定の規則に従って表示させ、操作員による監視を容易にし、目標の探知を見落とす危険性を低くできることに加えて、高速で移動する複数の目標の位置をリアルタイムに表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1のレーダ装置を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の表示制御プログラムによる動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】実施形態1のレーダ装置の表示画面(その1)を示す図である。
【図4】実施形態1のレーダ装置の表示画面(その2)を示す図である。
【図5】実施形態2のレーダ装置を示すブロック図である。
【図6】実施形態2のレーダ装置の表示画面を示す図である。
【図7】関連技術1のレーダ装置を示すブロック図である。
【図8】関連技術1のレーダ装置の表示画面を示す図である。
【図9】関連技術2のレーダ装置を示すブロック図である。
【図10】関連技術2のレーダ装置の表示画面を示す図である。
【図11】関連技術3のレーダ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る実施形態1のレーダ装置を示すブロック図である。以下、図1に基づき説明する。
【0031】
本実施形態1のレーダ装置10は、空中線104が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号201,…を出力するレーダ系統101,…を、複数備えている。複数のレーダ系統101,…は、互いに異なる表示領域に対する表示用信号201,…を出力する。
【0032】
そして、レーダ装置10は、距離データ変換手段としての距離データ変換回路109、及び、角度データ変換手段としての角度データ変換回路110を備えたことを特徴とする。距離データ変換回路109は、複数のレーダ系統101,…から出力された複数の表示用信号201,…に含まれる距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号209,…を出力する。角度データ変換回路110は、複数のレーダ系統101,…から出力された複数の表示用信号201,…に含まれる角度データを、基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号212,…を出力する。
【0033】
複数のレーダ系統101,…は、各空中線104が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号201,…を、互いに異なる表示領域ごとに出力する。各表示用信号201,…に含まれる目標の距離データは、距離データ変換回路109によって、基準表示領域における距離となるように変換される。各表示用信号201,…に含まれる目標の角度データは、角度データ変換回路109によって、基準表示領域における角度となるように変換される。そのため、各表示領域における各目標は、基準表示領域に瞬時に重ねて表示される。したがって、一つの基準表示領域にすべての目標が表示されるので操作員による監視が容易になるとともに、高速で移動する複数の目標の位置をリアルタイムに表示できる。
【0034】
次に、距離データ変換回路109及び角度データ変換回路110の動作の一例について説明する。まず、複数の表示領域のうち、一つを基準表示領域とし、残りを重畳表示領域とする。基準表示領域に対する表示用信号に含まれる角度データの最小値及び最大値を、それぞれθ1min、θ1maxとする。重畳表示領域に対する表示用信号に含まれる距離データ、角度データ並びに角度データの最小値及び最大値を、それぞれθ、R、θmin、θmaxとする。
【0035】
このとき、距離データ変換回路109は、重畳表示領域に対する表示用信号に含まれる距離データRを、基準表示領域における距離となるように次式(i)により距離データ変換信号R2に変換する。
R2=R ・・・(i)
【0036】
角度データ変換回路110は、重畳表示領域に対する表示用信号に含まれる角度データθを、基準表示領域における角度となるように次式(ii)により角度データ変換信号θ2に変換する。
θ2=(θ−θmin+θ1min)×(θ1max−θ1min)/(θmax−θmin) ・・・(ii)
【0037】
また、レーダ装置10は、目標を示すシンボルを表示領域ごとに異ならせる表示データ付加手段としての表示データ付加回路122、を更に備えてもよい。この場合は、目標を示すシンボルが表示領域ごとに異なることにより、どのシンボルがどの表示領域に属するかを瞬時に判断できるので、操作員による監視がより容易になる。
【0038】
次に、実施形態1の表示制御方法について説明する。実施形態1の表示制御方法は、レーダ装置10の各手段の動作として実現されている。すなわち、実施形態1の表示制御方法は、次の二つのステップを含むことを特徴とする。距離データ変換回路109は、複数のレーダ系統101,…から出力された複数の表示用信号201,…に含まれる距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号209,…を出力する距離データ変換ステップ。角度データ変換回路110は、複数のレーダ系統101,…から出力された複数の表示用信号201,…に含まれる角度データを、基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号212,…を出力する角度データ変換ステップ。これらのステップに、目標を示すシンボルを表示領域ごとに異ならせるステップ(表示データ付加ステップ)を付け加えてもよい。実施形態1の表示制御方法によれば、レーダ装置10と同様の作用及び効果を奏する。
【0039】
次に、実施形態1の表示制御プログラムについて説明する。実施形態1の表示制御プログラムは、レーダ装置10の各手段をコンピュータに機能させるものである。すなわち、実施形態1の表示制御プログラムは、複数のレーダ系統101,…から出力された複数の表示用信号201,…に含まれる距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号209,…を出力する距離データ変換手段、及び、複数のレーダ系統101,…から出力された複数の表示用信号201,…に含まれる角度データを、基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号212,…を出力する角度データ変換手段、としてコンピュータを機能させるものである。これらの手段に、目標を示すシンボルを表示領域ごとに異ならせる表示データ付加手段を付け加えてもよい。実施形態1の表示制御プログラムによれば、レーダ装置10と同様の作用及び効果を奏する。
【0040】
この場合のコンピュータは、CPU、メモリ等からなる一般的なものでよい。CPUは、実施形態1の表示制御プログラムを、メモリ等から読み込み、解釈し、実行する。その動作の一例は、図2に示すように、距離データを変換して距離データ変換信号を出力し(ステップS11)、角度データを変換して角度データ変換信号を出力し(ステップS12)、目標を示すシンボルを表示領域ごとに異ならせる(ステップS13)、というものである。なお、レーダ装置10のその他の機能のうち、ソフトウェアで実現可能なものは、実施形態1の表示制御プログラムとともにプログラム化してもよい。
【0041】
本実施形態1によれば、複数の空中線104を持つレーダ装置10において、各レーダ系統101,…からの複数の目標表示信号を表示画面上に一定の規則に従って表示させることにより、操作員による監視を容易にし、目標の探知を見落とす危険性を低くできることに加えて、高速で移動する複数の目標の位置をリアルタイムに表示できる、という効果がある。その理由を以下に詳細に説明する。
【0042】
図3は、実施形態1のレーダ装置の表示画面(その1)を示す図である。図10は、前述したように、関連技術2のレーダ装置の表示画面を示す図である。以下、図1、図3及び図10に基づき説明する。
【0043】
図10は、複数の空中線104を持つレーダ装置60(図9)によるPPI表示例である。図3は、複数の空中線104を持つレーダ装置10によるPPI表示例である。このとき、空中線104の個数Nは、N=3とする。
【0044】
図10において、複数ある空中線のうち、第1、第2、・・・、第Nの空中線からの表示用合成信号はそれぞれ、図10の領域A,B,Cにそれぞれ表示される。各領域A,B,Cにおける、ある時刻における表示用信号の輝線上の1点の座標を、距離データR(R≧0(RmaxはRの最大値))及び角度データθ(0°≦θ<360°)を用いてそれぞれA(RA,θA)、B(RB,θB)、C(RC,θC)とする。このとき、θA,θB,θCの最小値をθAmin,θBmin,θCmin、最大値をθAmax,θBmax,θCmaxとする。θAmin=0°<θB<θCである。
【0045】
本実施形態1において、図10における領域A,B,Cは、それぞれ図3の領域Dに重畳して表示される。図3の領域Dにおける座標をD1(RD1,θD1)、D2(RD2,θD2)、D3(RD3,θD3)とする。このとき、θD1,θD2,θD3の最小値をθD1min,θD2min,θD3minとし、同じく最大値をθD1max,θD2max,θD3maxとする。
【0046】
本実施形態1において、図10の領域A,B,Cの座標を図3の領域Dの座標に変換する数式を以下に示す。
【0047】
まず、距離データRの変換式について以下に示す。
D1=RA ・・・(1)
D2=RB ・・・(2)
D3=RC ・・・(3)
領域Dは、図10において領域Aが表示されていた範囲に表示され、領域Aと合同となる形を保持する。すなわち、領域Aが前述の「基準表示領域」に相当し、領域B,Cが前述の「重畳表示領域」に相当する。
【0048】
数式(1)〜(3)によって、図10における領域A,B,Cの距離データを、図3表示用の同一の範囲(領域D)の距離データへと変換することができる。
【0049】
次に、角度データθの変換式について以下に示す。
θD1=θA ・・・(4)
θB’=θB−(θAmax−θAmin) ・・・(5)
θD2=θB’×(θAmax−θAmin)/(θBmax−θBmin) ・・・(6)
θC’=θC−(θBmax−θAmin) ・・・(7)
θD3=θC’×(θAmax−θAmin)/(θCmax−θCmin) ・・・(8)
数式(5)(7)により、θBmin’=θCmin’=θD1min=θD2min=θD3min=0°となる。
【0050】
最後に、数式(6)(8)によってθB’をθD2、θC’をθD3へと置換することにより、図10における領域A,B,Cの角度データを、図3表示用の領域Dの範囲に圧縮された角度データへと変換できる。
【0051】
次に、表示データの変換を行い、領域毎にデータのシンボルの色や形を変えて、更に着目する領域について表示されるデータのシンボルの色などを強調したプロットとして表示するために、表示データ付加処理を行う。
D1(θD1)=a×D1(θD1) ・・・(9)
D2(θD2)=b×D2(θD2) ・・・(10)
D3(θD3)=c×D3(θD3) ・・・(11)
数式(9)〜(11)において、a,b,cはそれぞれ異なるプロットを表示する付加用データである。
【0052】
以上の数式により、変換前は電波ビームの本数だけ存在する輝線が一本に結合され、異なる色や形等に強調したプロットとして表示されるので、図10における領域A,B,Cの座標を、図3における領域Dの座標へと変換することができ、前記の効果を得ることができる。
【0053】
図3において、図1の第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103から出力された表示用信号201,202,203は、それぞれ領域Dに重畳して表示される。複数のレーダ系統101,102,103で探知された複数の指示器表示用信号226,227,228は、一つ輝線12によって、画面11上にそれぞれが同時に同じ方向(矢印13)で表示される。なお、中心Oが空中線104の位置であり、中心付近の濃い色の部分17は地面からの反射信号を示す。
【0054】
上記のように、一本の輝線12が通過すると、同時にレーダ表示信号が表示される。そのため、画面11に現れる目標の表示を監視するには、基本的に一本の輝線12の動きを注視すればよい。したがって、操作員の負荷が少ないため、目標の探知の見落としや、気づくのが遅れる危険性は低い。
【0055】
また、以上の変換式(1)〜(11)による、PPI方式の指示器ではなく、Bスコープ方式の指示器での表示も可能である。Bスコープ方式による表示例を図4に示す。
【0056】
図4は、実施形態1のレーダ装置の表示画面(その2)を示す図である。以下、図4に基づき説明する。図4において図3に対応する部分については同じ符号を付す。
【0057】
図4においても、空中線の個数NはN=3とする。Bスコープは、横軸は空中線からの目標の角度方向を、縦軸は空中線からの目標の距離を、それぞれ表す長方形の表示画面を持つ。空中線を複数持つレーダ装置によって受信された受信信号は、PPI方式指示器と同様に、縦軸と平行な左右に走査される一本の輝線により規則的に表示され、一本の輝線にのみ注視すればよいので、操作員の監視の負担が少なく、目標の探知を見落とす危険性は低い。すなわち、図4のBスコープ方式による表示例に示されるように、複数のレーダ系統からの表示用信号を、Bスコープ方式指示器によって、一本の輝線により規則的に表示することで、PPI方式による表示と同様の効果を得ることができる。
【0058】
次に、本実施形態1のレーダ装置10について、更に詳しく説明する。
【0059】
[構成の説明]
図1に示すように、レーダ装置10は、第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103を備えている。各レーダ系統101は、電波ビームを照射し空間からの反射電波を受信する空中線104と、送信信号204を発生し空中線104が受信した反射電波を検波しA/D変換してデジタル受信信号205として出力する送受信機105と、レーダ制御信号206により電波ビームを走査する走査制御器107と、デジタル受信信号205とレーダ制御信号207から表示用信号201を出力する信号処理器106と、を備えている。
【0060】
そして、レーダ装置10は、第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103から出力された第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203から距離データを変換し、第1、第2、・・・、第Nの距離データ変換信号209,210,211を出力する距離データ変換回路109と、第1、第2、・・・、第Nの距離データ変換信号209,210,211から角度データを変換し、第1、第2、・・・、第Nの角度データ変換信号212,213,214を出力する角度データ変換回路110と、第1、第2、・・・、第Nの角度データ変換信号212,213,214から表示データを変換し、第1、第2、・・・、第Nの表示データ変換信号226,227,228を出力する表示データ付加回路122と、第1、第2、・・・、第Nの表示データ変換信号226,227,228を表示用合成信号215に合成する表示信号合成器111と、距離データ変換回路109及び角度データ変換回路110、表示データ付加回路122を表示制御信号208により制御する表示信号制御器108と、合成された表示用合成信号215を表示する指示器112と、を備えている。なお、第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203は、その一部が各回路で変換され、最終的に表示用合成信号215となる。つまり、上記「・・データ変換信号」には、変換前又は変換後の他のデータも付加されている。
【0061】
[動作の説明]
第1、第2、・・・、第Nのレーダ系統101,102,103から出力された第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203が、距離データ変換回路109に入力され、第1、第2、・・・、第Nの距離データ変換信号209,210,211に変換され出力される。その際の変換式は、数式(1)、(2)、(3)の通りである。出力された各信号は、角度データ変換回路110に入力され、第1、第2、・・・、第Nの角度データ変換信号212,213,214に変換され出力される。その際の変換式は、数式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)の通りである。出力された第1、第2、・・・、第Nの角度データ変換信号212,213,214は、表示データ付加回路122に入力されて、第1、第2、・・・、第Nの表示データ変換信号226,227,228に変換され出力される。その際の変換式は数式(9)、(10)、(11)の通りである。変換された第1、第2、・・・、第Nの表示データ変換信号226,227,228は、表示信号合成器111に入力され、表示用の合成された表示用合成信号215として出力される。合成された表示用合成信号215は、指示器112に入力され表示される。
【0062】
上記構成により、図3に示す表示例のように、各レーダ系統からの複数の目標表示信号を表示画面上に一定の規則に従って表示させ、操作員による複数のレーダ系統からの目標の監視を容易にして目標の探知を見落とす危険性を低くし、高速で移動する複数の目標の位置を誤差なくリアルタイムに表示させる効果がある。
【0063】
次に、本発明の実施形態2について、図5を参照して説明する。図5は、本発明に係る実施形態2のレーダ装置を示すブロック図である。以下、図5に基づき説明する。なお、図5において図1と同じ部分は同じ符号を付す。
【0064】
本実施形態2のレーダ装置20は、実施形態1のレーダ装置おいて、基準表示領域を複数の表示領域のうちのいずれか一つに切り替える表示データ切替手段としての表示データ切替回路124を、更に備えたものである。
【0065】
実施形態1において、PPI方式のレーダ指示器の場合、領域Aに関してのみ言えば、領域Dでの2点間の距離及び角度が実際の位置関係と一致する。しかし、領域B,Cは、領域Aに一致せずに歪むため、目標が探知されても、実際の位置を直感的に理解しにくいという欠点がある。この欠点を補うために、実施形態2では、領域A,B,Cの範囲に表示される表示用信号を切り替えて領域Dに入力する表示データ切替回路124を追加した構成としている。他の構成の動作は、実施形態1で述べた図1のレーダ装置と同じである。
【0066】
本実施形態2において、距離データ変換回路119の前に表示データ切替回路124を追加することにより、領域A,B,Cにそれぞれ表示されていた第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203は第1、第2、・・・、第Nの表示データ切替信号235,236,237に入れ替えられ出力される。以後の回路において、第1、第2、・・・、第Nの表示データ切替信号235,236,237は、実施形態1と同様に処理され、領域Dに任意にそれぞれ表示することが可能となる。つまり、第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203のいずれに目標が現れても、操作員が瞬時に表示領域を切替えて、直感的に角度及び距離を判断することが可能となる効果が得られる。
【0067】
図6は、実施形態2のレーダ装置の表示画面を示す図である。以下、図5及び図6に基づき説明する。図6において図3に対応する部分については同じ符号を付す。
【0068】
本実施形態2において、図10における領域A、B、Cの座標を、図6の領域Dに重畳して表示する例として以下に説明する。一例として、領域Bが領域Dの表示と一致するものとして以下に示す。このことは、基準表示領域を領域Aから領域Bに切り替えたことに相当する。
【0069】
図6は、本実施形態2のレーダ装置20による、PPIスコープ表示画面例である。図6において、空中線の個数Nは、N=3とする。図10の領域A,B,Cにそれぞれ表示されていた第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203は、表示データ切替回路124に入力され、第1、第2、・・・、第Nの表示データ切替信号235,236,237に入れ替えられ出力される。本実施形態2により、図10の領域A,B,Cの座標がそれぞれ図6の領域Dの座標に変換される数式を以下に示す。
【0070】
まず、距離データRの変換式について以下に示す。
A’=RB ・・・(12)
B’=RC ・・・(13)
C’=RA ・・・(14)
A=RA’ ・・・(15)
B=RB’ ・・・(16)
C=RC’ ・・・(17)
以上の数式(12)〜(17)により、距離データRについて、RBがRAに、RCがRBに、RAがRCに、それぞれ切替られたデータとなる。以後は、実施形態1の数式(1)〜(3)の変換式と同等である。
【0071】
次に、角度データθの変換式について以下に示す。
θA’=θB ・・・(18)
θB’=θC ・・・(19)
θC’=θA ・・・(20)
θA=θA’ ・・・(21)
θB=θB’ ・・・(22)
θC=θC’ ・・・(23)
以上の数式(18)〜(23)により、角度データRについて、それぞれθBがθAに、θCがθBに、θAがθCに、それぞれ切替られたデータとなる。以後は、実施形態1の数式(4)〜(8)の変換式と同等である。
【0072】
以上の変換式により、領域A,B,Cの座標は、領域Dと合同の表示とするデータに任意に切替えて表示することが可能となり、第1、第2、・・・、第Nの表示用信号201,202,203に目標が現れても、操作員が瞬時に表示領域を切替えて、直感的に角度及び距離を判断することが可能となる効果が得られる。なお、本実施形態2においても、実施形態1と同様に、本発明を表示制御方法又はプログラムとしても実施することができる。
【0073】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、複数の空中線を有するレーダ装置による監視作業の効率化及び監視精度の向上を図ることに利用できる。
【符号の説明】
【0075】
10 レーダ装置
20 レーダ装置
101 第1のレーダ系統
102 第2のレーダ系統
103 第Nのレーダ系統
104 空中線
105 送受信機
106 信号処理器
107 走査制御器
108 表示信号制御器
109 距離データ変換回路(距離データ変換手段)
110 角度データ変換回路(角度データ変換手段)
111 表示信号合成器
112 指示器
113 第1の表示信号変換器
114 第2の表示信号変換器
115 第Nの表示信号変換器
116 表示信号合成器
117 表示信号制御器
118 第1の表示信号保持器
119 第2の表示信号保持器
120 第Nの表示信号保持器
121 表示信号変換器
122 表示データ付加回路(表示データ付加手段)
123 レーダ系統
124 表示データ切替回路(表示データ切替手段)
201 第1の表示用信号(距離データ・角度データ・同期パルス)
202 第2の表示用信号(距離データ・角度データ・同期パルス)
203 第Nの表示用信号(距離データ・角度データ・同期パルス)
204 第1の送受信信号
205 第1のデジタル受信信号
206 第1のレーダ制御信号
207 第1のレーダ制御信号
208 表示制御信号
209 第1の距離データ変換信号
210 第2の距離データ変換信号
211 第Nの距離データ変換信号
212 第1の角度データ変換信号
213 第2の角度データ変換信号
214 第Nの角度データ変換信号
215 表示用合成信号
216 第1の指示器表示用信号
217 第2の指示器表示用信号
218 第Nの指示器表示用信号
219 表示用合成信号
220 表示制御信号
221 第1の時分割レーダ表示信号
222 第2の時分割レーダ表示信号
223 第Nの時分割レーダ表示信号
224 表示用合成信号
225 表示制御信号
226 第1の表示データ変換信号
227 第2の表示データ変換信号
228 第Nの表示データ変換信号
229 表示用合成信号
230 第1の表示用信号(距離データ・角度データ・同期パルス)
231 第1の送受信信号
232 第1のデジタル受信信号
233 第1のレーダ制御信号
234 第1のレーダ制御信号
235 第1の表示データ切替信号
236 第2の表示データ切替信号
237 第Nの表示データ切替信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中線が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号を出力するレーダ系統を複数備え、
これらの複数のレーダ系統が互いに異なる表示領域に対する前記表示用信号を出力する、
レーダ装置において、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号を出力する距離データ変換手段と、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記角度データを、前記基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号を出力する角度データ変換手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーダ装置において、
複数の前記表示領域のうち、一つを前記基準表示領域とし、残りを重畳表示領域とし、
前記基準表示領域に対する前記表示用信号に含まれる角度データの最小値及び最大値をそれぞれθ1min、θ1maxとし、
前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる距離データ、角度データ並びに角度データの最小値及び最大値をそれぞれθ、R、θmin、θmaxとしたとき、
前記距離データ変換手段は、前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる前記距離データRを、前記基準表示領域における距離となるように次式(i)により距離データ変換信号R2に変換し、
R2=R ・・・(i)
前記角度データ変換手段は、前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる前記角度データθを、前記基準表示領域における角度となるように次式(ii)により角度データ変換信号θ2に変換する、
θ2=(θ−θmin+θ1min)×(θ1max−θ1min)/(θmax−θmin) ・・・(ii)
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーダ装置において、
前記目標を示すシンボルを前記表示領域ごとに異ならせる表示データ付加手段を、
更に備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
請求項3記載のレーダ装置において、
前記基準表示領域を前記複数の表示領域のうちのいずれか一つに切り替える表示データ切替手段を、
更に備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
空中線が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号を出力するレーダ系統を複数備え、
これらの複数のレーダ系統が互いに異なる表示領域に対する前記表示用信号を出力する、
レーダ装置に用いられる表示制御方法において、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号を出力し、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記角度データを、前記基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号を出力する、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項6】
請求項5記載の表示制御方法において、
複数の前記表示領域のうち、一つを前記基準表示領域とし、残りを重畳表示領域とし、
前記基準表示領域に対する前記表示用信号に含まれる角度データの最小値及び最大値をそれぞれθ1min、θ1maxとし、
前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる距離データ、角度データ並びに角度データの最小値及び最大値をそれぞれθ、R、θmin、θmaxとしたとき、
前記複数の距離データ変換信号を出力する際に、前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる前記距離データRを、前記基準表示領域における距離となるように次式(i)により距離データ変換信号R2に変換し、
R2=R ・・・(i)
前記複数の角度データ変換信号を出力する際に、前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる前記角度データθを、前記基準表示領域における角度となるように次式(ii)により角度データ変換信号θ2に変換する、
θ2=(θ−θmin+θ1min)×(θ1max−θ1min)/(θmax−θmin) ・・・(ii)
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の表示制御方法において、
前記目標を示すシンボルを前記表示領域ごとに異ならせる、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の表示制御方法において、
前記基準表示領域を前記複数の表示領域のうちのいずれか一つに切り替える、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
空中線が受信した反射電波に基づき目標を検出し、当該目標の距離データ及び角度データを含む表示用信号を出力するレーダ系統を複数備え、
これらの複数のレーダ系統が互いに異なる表示領域に対する前記表示用信号を出力する、
レーダ装置に用いられる表示制御プログラムにおいて、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記距離データを、一つの同じ表示領域である基準表示領域における距離となるように変換した複数の距離データ変換信号を出力する距離データ変換手段、及び、
前記複数のレーダ系統から出力された複数の前記表示用信号に含まれる前記角度データを、前記基準表示領域における角度となるように変換した複数の角度データ変換信号を出力する角度データ変換手段、
としてコンピュータを機能させるための表示制御プログラム。
【請求項10】
請求項9記載の表示制御プログラムにおいて、
複数の前記表示領域のうち、一つを前記基準表示領域とし、残りを重畳表示領域とし、
前記基準表示領域に対する前記表示用信号に含まれる角度データの最小値及び最大値をそれぞれθ1min、θ1maxとし、
前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる距離データ、角度データ並びに角度データの最小値及び最大値をそれぞれθ、R、θmin、θmaxとしたとき、
前記距離データ変換手段は、前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる前記距離データRを、前記基準表示領域における距離となるように次式(i)により距離データ変換信号R2に変換し、
R2=R ・・・(i)
前記角度データ変換手段は、前記重畳表示領域に対する前記表示用信号に含まれる前記角度データθを、前記基準表示領域における角度となるように次式(ii)により角度データ変換信号θ2に変換する、
θ2=(θ−θmin+θ1min)×(θ1max−θ1min)/(θmax−θmin) ・・・(ii)
ことを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項11】
請求項10記載の表示制御プログラムにおいて、
更に、前記目標を示すシンボルを前記表示領域ごとに異ならせる表示データ付加手段として、
前記コンピュータを機能させるための表示制御プログラム。
【請求項12】
請求項11記載のレーダ装置の表示制御プログラムにおいて、
更に、前記基準表示領域を前記複数の表示領域のうちのいずれか一つに切り替える表示データ切替手段として、
前記コンピュータを機能させるための表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−286398(P2010−286398A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141278(P2009−141278)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】