説明

レーダ装置

【課題】温度・経年変化に起因する位相・振幅変化による影響をなくせるDBF方式のレーダ装置を提供する。
【解決手段】信号処理手段101は、切替手段50を分配器7側に閉じた時に得られるチャネル毎の送信信号の位相・振幅を検出する位相・振幅検出手段60と、該検出手段60が検出するデータを記憶する記憶手段70と、前記検出手段60のデータ検出期間を制御する検出期間制御手段121と、該制御手段121により設定された期間で検出された新たなデータと記憶手段70に記憶されたデータとの変化分を求める差分値検出手段80と、該検出手段80により求められた変化分を次の変化分検出期間まで記憶する記憶手段90と、記憶手段70および90に記憶されている位相・振幅データに基づいて、受信系統毎の位相、振幅誤差を補正する受信データ信号処理手段111を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標で反射した反射電波を複数の受信アンテナで受信し、目標との相対的な距離、速度、角度を計測するためのレーダ装置に係わり、例えば、自動車に搭載され、目標である周辺車両で反射した反射電波を複数の受信アンテナで受信し、目標との相対的な距離、速度、角度などを計測し、車間距離制御や衝突被害軽減などに役立てられる車両搭載用のレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にレーダ装置においては、目標の角度は、所望の幅に絞られたアンテナビーム(送信アンテナから発射される電波)を走査し、目標で反射されてくる電波の受信角度を検出することにより得ることができる。
ビームの走査方式は、機械走査方式と電子走査方式に大きく分けることができ、電子走査方式の1つとして、デジタル・ビーム・フォーミング(以下、DBFとも略す)が知られている。
DBF( Digital Beam Forming )とは、送信アンテナから送信され、目標で反射した電波を複数の受信アンテナにて同時に受信し、その受信信号間の位相差を利用して、様々なアンテナパターンをデジタル信号処理により形成するものである。
DBFによれば、機械走査方式のようにアンテナを駆動させる必要がないため、駆動機構が不要となり、そのために振動に強く、小型・軽量化を図ることができる特徴があり、車載用のレーダ装置としては最適な方式の一つと考えられている。
【0003】
この種のレーダ装置としては、図7に示すような装置が知られている。
図7では、簡単化のために送信系は1系統としているが、複数の送信系を持つ車載電波レーダ装置も知られている。
図7において、1は目標(例えば、被検出物である周辺車両)、500は従来のレーダ装置、2は電圧制御発信器(VCO:Voltage Controlled Oscillator )、3は分配器、4は送信アンプ、5は送信アンテナである。
また、10は受信アンテナ部、20はミキサ部、30は受信アンプ部、40はA/D(アナログ/デジタル)変換器部、100は信号処理部である。
受信アンテナ部10からA/D変換器部40までは複数の受信チャネル(系統)で構成されており、複数の受信チャネルに対応して、受信アンテナ部10は複数の受信アンテナを、ミキサ部20は複数のミキサを、受信アンプ部30は複数の受信アンプを、A/D変換器部40は複数のA/D変換器を備えている。
【0004】
図7に示した従来のレーダ装置の動作について説明する。
信号処理部100により電圧制御発信器(VCO)2を制御し、任意の送信周波数を決定し、送信アンプ4にて電力増幅した電波を送信アンテナ5より目標1に対して送信する。
目標で反射された電波は、受信アンテナ部10の各受信アンテナによって受信され、ミキサ部20によってダウンコンバートされ、受信アンプ部30によって増幅され、A/D変換器部40によってデジタルデータに変換され、デジタルデータに変換された信号は信号処理部100に入力される。
【0005】
そして、信号処理部100において、各受信アンテナからA/D変換器に至る受信系統毎(受信チャネル毎)の位相・振幅データを元にDBF処理することにより、目標との相対距離R、相対測度V、相対角度θを求める。
その際、温度変化、経年変化による受信系統毎の初期調整時からの位相・振幅の変化が、アンテナビームの精度に影響を与えることはよく知られている。
レーダ組立後の受信系統毎の位相・振幅変化を検知し、補正するレーダ装置については、特許文献1(特開平10−332811号公報)に記載のような提案が成されている。
【0006】
特許文献1には、「目標からの反射エコーを複数の受信系により受信し、この複数の受信結果に基づいて目標を検出するレーダ装置において、複数の受信系が、各々空間に放射された信号を受信して受信信号として出力するアンテナ部と、このアンテナ部からの受信信号を位相検波する位相検波手段と、所定の基準検波データを記憶する基準データ記憶手段と、所定のモニタ信号をアンテナ部が受信した場合に、受信信号の位相検波結果と、基準データ記憶手段に記憶される基準検波データとに基づいて、受信信号に含まれる位相変動成分と振幅変動成分のうち、少なくとも一方の変動成分を検出する変動成分検出手段と、位相検波手段の位相検波結果に対して、変動成分検出手段にて検出した変動成分の補正を行う変動成分補正手段を具備したレーダ装置」が提案されている。
この提案によれば、受信アンテナも含めて受信系統全体の位相・振幅変化の検知が出来るとなっており、位相・振幅の変化分の補正を行う上では大変望ましい提案である。
【特許文献1】特開平10−332811号公報(段落0022)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これを実現する上で、受信アンテナにモニタ用の試験信号を入力するための送信アンテナ(特許文献1の中ではモニタアンテナとなっている)が必要となっている。
そのため、特に小型化が要求される車載用のレーダ装置においては、余分なアンテナ機構(即ち、モニタアンテナ機構)を持つことは装置大きさの面から言って望ましくない。
また、モニタ用の試験信号を受信する際に、外来電波(試験信号外の電波)も同時に受信してしまう可能性があり、位相差、振幅差の補正を行う上で誤差を生じる可能性もあった。
【0008】
そこで、車載用のレーダ装置として、機構的に大きな影響を与えることなく、温度変化、経年変化による受信系統毎の位相・振幅変化を効率的に検知・補正する手段が求められていた。
また、予め受信系統毎の温度特性を測定し、補正マップを持たせることで、温度変化に対する位相・振幅変化を補正することも可能であるが、レーダ装置毎に温度特性を計測することは量産性の面から見て好ましく無いうえ、経年変化に伴う受信系統毎の温度特性ばらつきを補正できないという問題があった。
【0009】
一般的な車載用レーダ装置程度の大きさを前提にすれば、送受信アンテナ部の温度変化、経年変化による伸縮は一様であると見ることが出来る。
また、受信アンテナ部10の各受信アンテナの間隔は、送信周波数の1/2波長程度(例えば76GHzの場合、その波長λは約4mm)の寸法で配置されており、温度変化や経年変化によるアンテナ間隔(つまりは位相)の変化量は小さく、各受信系統間に与える影響も一様であると予想できる。
【0010】
これに対し、レーダ装置を構成する電子部品の温度変化や経年変化による位相・振幅の変化量は、レーダ装置の大きさには依存せず、一般的に言って個々の部品のばらつきによるので、各受信系統に対し、そのまま位相・振幅の変化量のばらつきとして見えてくる。
また、各受信系統の電子部品(ミキサ部20からA/D変換器部40までの電子部品)を考えると、受信信号の通過に要する遅延時間(通常nsecオーダ)は、受信アンテナ間隔(例えば76GHzのλ/2の場合、約7psec程度)の変化量に対し大変大きく、ここにばらつきが生じることが各受信信号の位相情報の乱れとなり、結果として演算によるビーム合成の精度に影響する。
【0011】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、複数の受信チャネルから得られた受信データ間の位相、振幅の関係から反射波の到来方向を求め、目標の方向を検知するDBF方式のレーダ装置であって、温度変化・経年変化に伴う電子部品の位相・振幅変化による影響をキャンセルし、精度のよいアンテナビームを得ることが可能なDBF方式のレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るレーダ装置は、電圧制御発信器から出力する送信信号を増幅する送信アンプと、前記送信アンプで増幅された送信信号を目標に発射する送信アンテナとからなる送信系統と、前記目標で反射した反射信号を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナにより得られた受信信号をそれぞれ周波数ダウンコンバートする複数のミキサと、前記複数のミキサの出力をそれぞれ増幅する複数の受信アンプと、前記複数の受信アンプの出力をそれぞれデジタルデータに変換する複数のA/D変換器とからなる複数チャネルの受信系統とを有し、前記複数の受信アンテナ毎に得られた受信データに基づいて目標を検出するレーダ装置において、
前記電圧制御発信器から出力する送信信号を前記送信アンプ側と前記受信系統側に分配する第1の分配器と、前記送信アンプから出力する送信信号を前記送信アンテナ5側あるいは受信系統側に切り替え可能な第1の切替手段と、前記第1の切替手段を前記受信系統側に切り替えた時に、前記送信アンプからの送信信号を前記受信系統の複数チャネルに分配する第2の分配器と、前記受信系統のチャネル毎に、前記受信アンテナからの受信信号と前記第2の分配器からの送信信号を切り替えて、前記複数のミキサにそれぞれ入力させることが可能な第2の切替手段と、前記第1の分配器により前記受信系統の側に分配された送信信号を前記複数のミキサにそれぞれ分配する第3の分配器と、前記受信系統のチャネル毎に、前記複数のA/D変換器から出力する受信信号および前記第2分配器からの送信信号に基づいて受信データを補正する信号処理手段とを備え、
前記信号処理手段は、前記第2の切替手段を前記第2の分配器側に切り替えた時に得られるチャネル毎の送信信号の位相・振幅を検出する位相・振幅検出手段と、前記位相・振幅検出手段が検出する位相・振幅データを記憶する第1の記憶手段と、前記位相・振幅検出手段が位相・振幅データを検出する期間を制御する検出期間制御手段と、検出期間制御手段により設定された期間で検出された新たな位相・振幅データと前記第1の記憶手段に記憶された位相・振幅データとの変化分を求める差分値検出出手段と、前記差分値検出出手段により求められた変化分を次の変化分検出期間まで記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段および前記第2の記憶手段に記憶されている位相・振幅データに基づいて、受信系統毎の位相、振幅誤差を補正する補正手段である受信データ信号処理手段とを有しているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受信系統毎に記憶されている第1の検出期間(例えば、組立調整時期間等)における位相・振幅データと、第2の検出期間において新たに求めた位相・振幅データの変化分を検出することによって、当該レーダ装置自体に起因する各受信系統毎の位相、振幅誤差を補正し、精度の高いアンテナビーム形成を実現することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施の形態例について説明する。
なお、各図間において、同一符号は、同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
図1において、2はVCO、3は第1の分配器、4は送信アンプ、5は送信アンテナ、6は送信側切替器(第1の切替手段)、7は第2の分配器、8はアンプ、9は第3の分配器、10は受信アンテナ部である。
また、20はミキサ部、30は受信アンプ部、40はA/D変換器部、50は受信側切替器部(第2の切替手段)、60は位相・振幅検出部(位相・振幅検出手段)、70は第1の記憶部(第1の記憶手段)、80は差分値検出部(差分値検出手段)、90は第2の記憶部(第2の記憶手段)である。
また、101は信号処理部(信号処理手段)、111はDBF信号処理機能も有した受信データ信号処理部(受信データ信号処理手段)、121は検出期間制御手段、501は実施の形態1によるレーダ装置である。
なお、図1において、“Tx”は送信(Transmit exchange)、“Rx”は受信を表している。
【0015】
先ず、レーダ通常動作での送信手順について説明する。
信号処理部101から電圧制御発信器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)2を制御することにより所望の送信周波数を決定し、第1の分配器3、送信アンプ4を通して電圧制御発信器(VCO)2からの送信信号が送信側切替器(第1の切替手段)6に入力される。
送信側切替器6を送信アンテナ5側に閉じる(即ち、図1に示した状態に送信側切替器6の接点を受信側に切り替える)ことで、送信アンテナ5から電波が目標1(図示なし)送信される。
【0016】
次にレーダ通常動作での受信手順について説明する。
なお、図1では、説明を簡単にするため、受信チャネルがRx1〜Rx4の4チャネルである場合を示しているが、受信チャネルは4チャネルに限定されるものではない。
被検出物である目標1(図示なし)から反射された電波は、受信アンテナ部10の各受信アンテナ11〜14に受信電波として入力される。
受信側切替器部(第2の切替手段)50は、各受信チャネルに対応した切替器51〜54で構成されており、受信側切替器部50の各切替器51〜54を受信アンテナ10側に閉じる(即ち、図1に示した状態に受信側切替手段50の各切替器の接点を切り替える)ことで、受信アンテナ部10の各受信アンテナ11〜14で受信した受信信号は、ミキサ部20の各ミキサ21〜24でダウンコンバートされ、受信アンプ部30の各受信アンプ31〜34を通してA/D変換器部40の各A/D変換器41〜44にてデジタルデータに変換される。
【0017】
なお、送信側切替器(第1の切替手段)6および受信側切替器部(第2の切替手段)50は、検出期間制御手段121の指示により、切替動作が行われる。
まず、検出期間制御手段121を用いて、初期調整時(第1の検出期間)の各系統の位相・振幅データを記憶しておき、レーダ装置が稼働後の第2の検出期間での各系統の位相・振幅データを記憶する。
なお、検出期間制御手段121で設定される検出期間の切替は、手操作によって切り替えてもよいし、レーダ装置内部の制御部により自動的切り替えてもよい。
A/D変換器部40で変換されたデジタルデータを基に、信号処理部101では、受信アンテナ部10の各チャネル(Rx1〜Rx4の4チャネルとした)毎の位相・振幅を算出し、この情報を基に受信データ信号処理部111にてDBF信号処理を行い、アンテナビームの形成を行う。
【0018】
前述したように、本実施の形態によるレーダ装置501は、複数の受信チャネルから得られた受信データ間の位相、振幅の関係からDBF信号処理により反射波の到来方向を求め、被検出物の方向を検知するレーダ方式となっている。
レーダ装置501の組立初期状態では、チャネル間に位相差が生じないように、受信アンテナ部10の各受信アンテナ11〜14に均等に受信電波を入力したとしても、受信チャネル毎の構成部品のばらつきによる受信チャネル毎の位相差、振幅差が存在する。
【0019】
従って、通常、組立調整時には、受信系統毎の位相、振幅データを位相・振幅検出部60の各位相・振幅検出器61〜64にて計測し、第1の記憶部70の各記憶手段71〜74に記憶させる。
そして、通常のレーダ動作において、受信データ信号処理部111において、各記憶手段(メモリ)71〜74に記憶されている受信系統毎の位相、振幅データを参照しながらレーダ装置自体に起因する各受信系統間の位相差、振幅差を補正することで、正確なアンテナビーム形成を実現する。
【0020】
以下、レーダ装置501が車両に取りつけられて以降、温度変化、経年変化に伴う、位相・振幅の変化を補正する方法について説明する。
先ず、位相・振幅の変化を検出するための検出期間(検出時点)を設け、この検出期間を検出期間制御手段121により制御する。
信号処理部101によって、この期間(即ち、位相・振幅の変化を検出する期間)に限って、送信アンプ4からの送信信号が第2の分配器7へ入力するように、送信側切替器(第1の切替手段)6を操作する。
次に、信号処理部101によって、分配器7で分配されたら信号がミキサ器部20の各ミキサ21〜24へ入力するように、受信側切替器部50の各切替器51〜54の接点を切替る操作をする。
この操作順序は、それぞれの回路構成の都合に合わせて、逆でも同時でも良い。
【0021】
次に、信号処理部101からVCO2を操作することによって、所望の送信周波数を決定し、前述の操作で実現した折返しのループ(VCO2〜分配器3〜送信アンプ4〜送信側切替器6〜第2の分配器7〜受信側切替器部50〜ミキサ器部20〜受信アンプ部30〜A/D変換器部40)を介して、受信系統毎の位相、振幅を位相・振幅検出部(位相・振幅検出手段)60にて算出する。
なお、送信側切替器6を設けず、分配器を使って送信アンプ4から送信アンテナ5とミキサ部20側の双方に給電(信号を入力)しても同様な観測(即ち、受信系統毎の位相、振幅の算出)は可能である。
【0022】
しかし、この場合は、電力分配により送信アンテナ5に供給される通常レーダ動作時の電力が減衰してしまう問題があり、送信アンプ4のゲインを上げるか、もしくは新たなアンプの追加が必要となるため、送信側切替器6を設けた送信アンテナ5かミキサ器部20側かの一方に給電することが望ましい。
また、受信系統毎に入力される折返し信号(即ち、VCO2〜分配器3〜送信アンプ4〜送信側切替器6〜分配器7を介して受信系統に入力される信号)を送信アンプ4の出力ではなく、別に設けた基準信号源としても受信系統毎の変化を観測することは可能である。
しかし、実際のレーダ動作においては、送信アンプ4を介した送信系も温度ならびに経年変化の影響を受ける。
従って、位相・振幅の変化分の観測を行う上では、これ(即ち、送信アンプ4を介した送信系)も含めた実際のレーダ動作に則した系を用いることが望ましい。
これは、送信系統が複数ある場合も同様である。
【0023】
次に、位相・振幅検出部60の各位相・振幅検出器61〜64で算出された受信系統毎の位相・振幅のデータと第1の記憶部70の各メモリ71〜74に記憶されている受信系統毎の初期調整時の位相・振幅のデータとを元にして、差分検出部80の各差分検出器81〜84により、各受信系統毎の変化量(即ち、位相・振幅の変化量)を求める。
ここで求まった受信系統毎の変化量を第2の記憶手段90の各メモリ91〜94に記憶する。
受信データ信号処理部111は、通常レーダ動作におけるDBF処理において、受信系統毎に記憶されている組立調整時の位相、振幅差(第1の記憶部70の各メモリ71〜74に記憶されているデータ)と、新たに求めた変化分(即ち、第2の記憶部90の各メモリ91〜94に記憶されている変化量)を参照することによって、当該レーダ装置自体に起因する各受信系統毎の位相、振幅誤差を補正し、精度の高いアンテナビーム形成を実現することが出来る。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態によるレーダ装置は、電圧制御発信器2から出力する送信信号を増幅する送信アンプ4と、送信アンプ4で増幅された送信信号を目標1に発射する送信アンテナ5とからなる送信系統と、目標1で反射した反射信号を受信する複数の受信アンテナ11〜14と、複数の受信アンテナにより得られた受信信号をそれぞれ周波数ダウンコンバートする複数のミキサ21〜24と、複数のミキサ21〜24の出力をそれぞれ増幅する複数の受信アンプ31〜34と、複数の受信アンプ31〜34の出力をそれぞれデジタルデータに変換する複数のA/D変換器41〜44とからなる複数チャネルの受信系統とを有し、複数の受信アンテナ毎に得られた受信データに基づいて目標1を検出するレーダ装置において、
電圧制御発信器2から出力する送信信号を送信アンプ4側と受信系統側に分配する第1の分配器3と、送信アンプ4から出力する送信信号を送信アンテナ5側あるいは受信系統側に切り替え可能な第1の切替手段6と、第1の切替手段6を前記受信系統側に切り替えた時に、送信アンプ4からの送信信号を前記受信系統の複数チャネルに分配する第2の分配器7と、受信系統のチャネル毎に、受信アンテナ11〜14からの受信信号と第2の分配器7からの送信信号を切り替えて、複数のミキサ21〜24にそれぞれ入力させることが可能な第2の切替手段50と、第1の分配器3により受信系統の側に分配された送信信号を複数のミキサ21〜24にそれぞれ分配する第3の分配器9と、受信系統のチャネル毎に、複数のA/D変換器41〜44から出力する受信信号および第2分配器7からの送信信号に基づいて受信データを補正する信号処理手段101とを備え、
信号処理手段101は、第2の切替手段50を第2の分配器7側に切り替えた時に得られるチャネル毎の送信信号の位相・振幅を検出する位相・振幅検出手段と、位相・振幅検出手段60が検出する位相・振幅データを記憶する第1の記憶手段70と、位相・振幅検出手段60が位相・振幅データを検出する期間を制御する検出期間制御手段121と、検出期間制御手段121により設定された期間で検出された新たな位相・振幅データと第1の記憶手段70に記憶された位相・振幅データとの変化分を求める差分値検出出手段80と、差分値検出出手段80により求められた変化分を次の変化分検出期間まで記憶する第2の記憶手段90と、第1の記憶手段70および第2の記憶手段90に記憶されている位相・振幅データに基づいて、受信系統毎の位相、振幅誤差を補正する補正手段である受信データ信号処理手段111とを有している。
【0025】
従って、受信系統毎に記憶されている第1の検出期間(例えば、組立調整時期間等)における位相・振幅データと、第2の検出期間において新たに求めた位相・振幅データの変化分を検出することによって、当該レーダ装置自体に起因する各受信系統毎の位相、振幅誤差を補正し、精度の高いアンテナビーム形成を実現することが出来る。
【0026】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2によるレーダ装置の特徴的な構成を説明するための概略図である。
図2に示すように、本実施の形態によるレーダ装置は、実施の形態1の構成を示す図1において、第1の切替手段6と第2の分配器7の間に減衰器301を設けたことを特徴とする。
なお、502は、本実施の形態によるレーダ装置である。
電波の強さは、距離の二乗に反比例して減衰(距離が2倍になれば電波の強さは1/4)することが知られている。
【0027】
従って、車載用のレーダ装置で考えた場合、送信アンプ5から送信される電力は、被検出物(即ち、目標)から反射されて受信アンテナ部10で受信される電波の電力に対して、非常に大きいのが一般的である。
逆に言えば、受信系としては、このことを想定した回路構成となっていることが分かる。
従って、送信系回路から受信系回路への折返し経路を構成した場合、第2の分配器7で送信電力が四等分されるとしても、ミキサ部20ら受信アンプ部30、A/D変換器部40からなる受信系回路のダイナミックレンジを超えて回路的な飽和を引き起こし、位相、振幅データが取得できない可能性がある。
そこで、本実施の形態では、第1の切替手段6と第2の分配器7との間に適当な減衰量(所定の減衰量)を有した減衰器301を設けることにより、受信系回路のダイナミックレンジを超えないための補正手段を実現できる構成としている。
【0028】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3による車載電波レーダ装置の信号処理部103の構成を示す図である。
前述の実施の形態1において、差分値検出手段80によって求められる受信系統毎の位相、振幅データの変化量が大きすぎる場合は、当該レーダ装置の送受信系統のいずれかが故障していると考えることが出来る。
CPU131は、前述した受信データ信号処理手段の一部であり、CPU131からは所定の閾値が比較器部(比較手段)310の各比較器に入力される。
本実施の形態では、CPU131によって設定された所定の閾値(設計許容値)と、差分値検出手段80の算出値とを比較器部310の各比較G器で比較した結果をCPU131にてモニタし、変化量が閾値を超えたと判断された場合に、CPU131は通信手段132を通じて車両システム600に対し、当該レーダ装置が回路故障状態であることを通知する。
また、比較器部310が比較する対象は差分値検出手段80の代わりに、算出データが記憶されている図1に示した第2の記憶手段90の値でもよい。
【0029】
ここで、温度計測手段133を設けている理由について説明しておく。
位相・振幅検出手段60が検出する位相・振幅情報(位相・振幅データ)は、温度変化により変化する。
例えば、高温時に故障検出を行う際に、常温時のデータ(初期調整時の記憶データ)との差分を元に判定しようとすれば、温度による位相・振幅の変化量を加味した閾値(判定値)を用意することになり、判定精度が悪くなる。
また、温度による位相・振幅の変化量を加味しなければ、温度による変化分のみで故障と判定してしまう可能性も出てくる。
そこで、CPU131に、その回路構成における代表的(平均的)な「温度による位相・振幅の変化量」を記憶しておくことで、温度計測手段133から得られた温度値をもとに温度変化量代表値を差し引くことで、精度を上げる、もしくは誤判定を防ぐことができる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によるレーダ装置の信号処理部103は、差分値検出出手段80により検出された差分値と予め設定した閾値を比較する比較手段310を有し、閾値以上の変化分があった場合に故障と判定し、当該レーダ装置が搭載された車両システム600に当該レーダ装置が故障であることを通知する通信手段132を備えている。
【0031】
実施の形態4.
図4は、実施の形態4によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
前述の実施の形態1においては、例えば、初期調整時に計測した位相、振幅データを第1の記憶手段70に記憶させ、位相・振幅データの変化分計測時に計測した変化量データを第2の記憶手段90に記憶させる構成としていた。
しかし、通常レーダ動作時のDBF処理に必要なデータは各受信系統間の相対的な誤差(ずれ量)のみである。
従って、実施の形態1に示すような初期調整時のデータを必要する場合を除けば、あえて図1に示した第2の記憶手段90およびに差分検出手段80を具備する必要は無い。
【0032】
そこで、本実施の形態では、新たな変化分計測時(新たな変化分検出期間)に求めた受信系統毎の位相、振幅データを第1の記憶手段70に再記憶(上書き)し、受信データ信号処理部141では通常レーダ動作におけるDBF処理において、この第1の記憶手段70に記憶される最新の位相、振幅データを参照することにより、当該レーダ装置自体に起因する、受信系統毎の位相、振幅誤差を補正し、精度の高いアンテナビーム形成を実現する。
【0033】
図4に示すように、本実施の形態によるレーダ装置は、電圧制御発信器2から出力する送信信号を増幅する送信アンプ4と、送信アンプ4で増幅された送信信号を目標1に発射する送信アンテナ5とからなる送信系統と、目標1で反射した反射信号を受信する複数の受信アンテナ11〜14と、複数の受信アンテナにより得られた受信信号をそれぞれ周波数ダウンコンバートする複数のミキサ21〜24と、複数のミキサ21〜24の出力をそれぞれ増幅する複数の受信アンプ31〜34と、複数の受信アンプ31〜34の出力をそれぞれデジタルデータに変換する複数のA/D変換器41〜44とからなる複数チャネルの受信系統とを有し、複数の受信アンテナ毎に得られた受信データに基づいて目標1を検出するレーダ装置において、
電圧制御発信器2から出力する送信信号を、送信アンプ4の側と受信系統の側に分配する第1の分配器3と、送信アンプ4から出力する送信信号を送信アンテナ5側あるいは受信系統側に切り替え可能な第1の切替手段6と、第1の切替手段6を受信系統側に切り替えた時に、送信アンプ4からの送信信号を受信系統の複数チャネルに分配する第2の分配器7と、受信系統のチャネル毎に、受信アンテナ11〜14からの受信信号と第2の分配器7からの送信信号を切り替えて、複数のミキサ21〜24にそれぞれ入力させることが可能な第2の切替手段50と、第1の分配器3により受信系統の側に分配された送信信号を前記複数のミキサ21〜24にそれぞれ分配する第3の分配器9と、受信系統のチャネル毎に、複数のA/D変換器41〜44から出力する受信信号および第2分配器7からの送信信号に基づいて受信データを補正する信号処理手段104とを備え、
信号処理手段104は、第2の切替手段50を第2の分配器7側に切り替えた時に得られるチャネル毎の送信信号の位相・振幅を検出する位相・振幅検出手段60と、位相・振幅検出手段60が検出するチャネル毎の位相・振幅データを記憶する第1の記憶手段70と、第1の記憶手段70が位相・振幅データを検出する期間を制御する検出期間制御手段121と、第1の記憶手段70が記憶する位相・振幅データの変化分に基づいて、受信系統毎の位相・振幅誤差を補正する受信データ信号処理手段141とを有している。
【0034】
実施の形態5.
図5は、実施の形態5によるレーダ装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5(a)は電源(イグニッションSW)投入のタイミングを、図5(b)は車両スタート(システムスタート)のタイミングを、図5(c)は補正データ取得期間を示している。
本実施の形態では、前述した実施の形態1で説明した受信系統毎の位相、振幅データの変化量の定期的な検出期間を、当該レーダ装置に電源が投入された直後とすることで、当該レーダ装置を使った車間距離制御等の車両制御が開始される前に必ず補正処理が実施されることとなり、精度の高い確実なアンテナビームパターンの形成を可能とする。
また、電源投入時直後であれば車両側システムが稼動するまでに時間的余裕があるので、より精度の高い補正処理(位相、振幅検出に用いる検出パターンの自由度を確保できる)の実現が可能となる。
以上のように、本実施の形態では、位相・振幅の変化分を検出する期間を、電源投入直後の所定期間とすることを特徴とする。
【0035】
実施の形態6.
本実施の形態では、前述した実施の形態1で説明した受信系統毎の位相・振幅データの変化量の定期的な検出期間を、当該レーダ装置が搭載される車両が停車中であると判断された場合とすることで、実施の形態5で示した以上に頻繁な補正を可能となる。
当該レーダ装置は、図3に示したような車両システム600との通信手段132を通じ、車速および車輪速情報を得ることで、搭載車両が停車中であることを判断できる。
しかし、全速度域での追従走行システムにおいては渋滞での停車中も先行車の動きを監視する必要があるので、速度情報だけで検出期間(補正期間)を設けることは望ましくない。
一般に、当該レーダ装置に電源が投入されている状態で車両が停車中であり、なおかつサイドブレーキがかかっている場合を考えると、追従走行システムが有効な状態とは考えにくい。
従って、位相・振幅データの定期的な検出期間を、当該レーダ装置を搭載する車両が停車中、かつサイドブレーキがセットされた状態と判断された場合とする。
即ち、本実施の形態によるレーダ装置は、位相・振幅の変化分を検出する期間を、当該レーダ装置が搭載される車両が停車中、かつ、サイドブレーキがセット状態と判断された時とすることを特徴とする。
【0036】
実施の形態7.
図6は、実施の形態7によるレーダ装置の動作を説明するためのタイミングチャートある。
図6(a)はレーダ観測周期(更新周期)を、図6(b)は受信データ取得期間を、図6(c)は変化分観測期間を示している。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した受信系統毎の位相・振幅データの変化量の定期的な検出期間を、図6に示すように、レーダ観測周期(更新周期)の内、受信データを観測していない期間とすることで、毎周期リアルタイムでの補正を可能とする。
【0037】
実施の形態8.
本実施の形態では、当該レーダ装置の置かれた状況を受信データ信号処理部内のCPUで分析し、
受信系統毎の位相・振幅データの変化量の定期的な検出期間を、実施の形態例5から実施の形態例7で示した方検出期間の内の都合の良い任意のものを組み合わせることで、より実用的な補正を可能とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、温度変化・経年変化に伴う電子部品の位相・振幅変化による影響をキャンセルし、精度のよいアンテナビームを目標に発射することが可能なレーダ装置の実現に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態2によるレーダ装置の特徴的な構成を説明するための図である。
【図3】実施の形態3による車載電波レーダ装置の信号処理部の構成を示す図である。
【図4】実施の形態4によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態5によるレーダ装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】実施の形態7によるレーダ装置の動作を説明するためのタイミングチャートある。
【図7】従来のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 目標 2 電圧制御発信器(VCO)
3 第1の分配器 4 送信アンプ
5 送信アンテナ 6 第1の切替手段
7 第2の分配器 9 第3の分配器
10 受信アンテナ部 11〜14 受信アンテナ
20 ミキサ部 21〜24 ミキサ
30 受信アンプ部 31〜34 受信アンプ
40 A/D変換器部 41〜44 A/D変換器
50 第2の切替手段 60 位相・振幅検出手段
70 第1の記憶手段 80 差分値検出出手段80
90 第2の記憶手段 101、103、104 信号処理手段
111、141 受信データ信号処理手段
121 検出期間制御手段 131 CPU
132 通信手段 301 減衰器
310 比較手段 501 レーダ装置
600 車両システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御発信器から出力する送信信号を増幅する送信アンプと、前記送信アンプで増幅された送信信号を目標に発射する送信アンテナとからなる送信系統と、前記目標で反射した反射信号を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナにより得られた受信信号をそれぞれ周波数ダウンコンバートする複数のミキサと、前記複数のミキサの出力をそれぞれ増幅する複数の受信アンプと、前記複数の受信アンプの出力をそれぞれデジタルデータに変換する複数のA/D変換器とからなる複数チャネルの受信系統とを有し、前記複数の受信アンテナ毎に得られた受信データに基づいて目標を検出するレーダ装置において、
前記電圧制御発信器から出力する送信信号を前記送信アンプ側と前記受信系統側に分配する第1の分配器と、前記送信アンプから出力する送信信号を前記送信アンテナ5側あるいは受信系統側に切り替え可能な第1の切替手段と、前記第1の切替手段を前記受信系統側に切り替えた時に、前記送信アンプからの送信信号を前記受信系統の複数チャネルに分配する第2の分配器と、前記受信系統のチャネル毎に、前記受信アンテナからの受信信号と前記第2の分配器からの送信信号を切り替えて、前記複数のミキサにそれぞれ入力させることが可能な第2の切替手段と、前記第1の分配器により前記受信系統の側に分配された送信信号を前記複数のミキサにそれぞれ分配する第3の分配器と、前記受信系統のチャネル毎に、前記複数のA/D変換器から出力する受信信号および前記第2分配器からの送信信号に基づいて受信データを補正する信号処理手段とを備え、前記信号処理手段は、
前記第2の切替手段を前記第2の分配器側に切り替えた時に得られるチャネル毎の送信信号の位相・振幅を検出する位相・振幅検出手段と、前記位相・振幅検出手段が検出する位相・振幅データを記憶する第1の記憶手段と、前記位相・振幅検出手段が位相・振幅データを検出する期間を制御する検出期間制御手段と、検出期間制御手段により設定された期間で検出された新たな位相・振幅データと前記第1の記憶手段に記憶された位相・振幅データとの変化分を求める差分値検出出手段と、前記差分値検出出手段により求められた変化分を次の変化分検出期間まで記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段および前記第2の記憶手段に記憶されている位相・振幅データに基づいて、受信系統毎の位相、振幅誤差を補正する補正手段である受信データ信号処理手段とを有していることを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記第1の切替手段と前記第2の分配器との間に所定の減衰量を有する減衰器を設けたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記差分値検出出手段により検出された差分値と予め設定した閾値を比較する比較手段を有し、前記閾値以上の変化分があった場合に故障と判定し、当該レーダ装置が搭載された車両に当該レーダ装置が故障であることを通知する手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
電圧制御発信器から出力する送信信号を増幅する送信アンプと、前記送信アンプで増幅された送信信号を目標に発射する送信アンテナとからなる送信系統と、前記目標で反射した反射信号を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナにより得られた受信信号をそれぞれ周波数ダウンコンバートする複数のミキサと、前記複数のミキサの出力をそれぞれ増幅する複数の受信アンプと、前記複数の受信アンプの出力をそれぞれデジタルデータに変換する複数のA/D変換器とからなる複数チャネルの受信系統とを有し、前記複数の受信アンテナ毎に得られた受信データに基づいて目標を検出するレーダ装置において、
前記電圧制御発信器から出力する送信信号を、前記送信アンプの側と前記受信系統の側に分配する第1の分配器と、前記送信アンプから出力する送信信号を送信アンテナ側あるいは前記受信系統側に切り替え可能な第1の切替手段と、前記第1の切替手段を前記受信系統側に切り替えた時に、前記送信アンプからの送信信号を前記受信系統の複数チャネルに分配する第2の分配器と、前記受信系統のチャネル毎に、前記受信アンテナからの受信信号と前記第2の分配器からの送信信号を切り替えて、前記複数のミキサにそれぞれ入力させることが可能な第2の切替手段と、前記第1の分配器により前記受信系統の側に分配された送信信号を前記複数のミキサにそれぞれ分配する第3の分配器と、前記受信系統のチャネル毎に、前記複数のA/D変換器から出力する受信信号および前記第2分配器からの送信信号に基づいて受信データを補正する信号処理手段とを備え、前記信号処理手段は、
前記第2の切替手段を前記第2の分配器側に切り替えた時に得られるチャネル毎の送信信号の位相・振幅を検出する位相・振幅検出手段と、前記位相・振幅検出手段が検出するチャネル毎の位相・振幅データを記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段が位相・振幅データを検出する期間を制御する検出期間制御手段と、前記第1の記憶手段が記憶する位相・振幅データの変化分に基づいて、受信系統毎の位相・振幅誤差を補正する受信データ信号処理手段とを有していることを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
前記位相・振幅データの変化分を検出する期間を、電源投入直後の所定期間とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載電波レーダ装置。
【請求項6】
前記位相・振幅データの変化分を検出する期間を、当該レーダ装置が搭載される車両が停車中、かつサイドブレーキがセット状態と判断された時とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記位相・振幅データの変化分を検出する期間を、レーダ観測周期内の受信データ取得期間外とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記位相・振幅データの変化分を検出する期間は、前記請求項6〜8の任意の組み合わせを取ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−294071(P2009−294071A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147711(P2008−147711)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】