説明

レーンディバイダ

【課題】
解決しようとする課題は、簡易中分の幅に収まり、簡単に設置できる、中分突破抑止力のあるレーンディバイダを提供することである。
【解決手段】
簡易中分の幅に収まり、路面表示を塗装した水平部をもち、車線分離ブロックを収納して空隙にコンクリート充填が可能な鋼製の凸型の基部と、前後の連結を行う連結鋼管を頭部に持ち可とう性のある鋼製の上部により構成されるレーンディバイダにより可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置が簡単なレーンディバイダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速自動車道や高規格幹線道路など設計速度が高い4車線の幹線道路においても、開通当初の予測交通量が少ない場合には、将来の片側2車線を使って対面2車線で建設が行われることがある。これは将来交通量が多くなれば反対側の2車線を拡幅する計画であり、暫定2車線道路と呼ばれている。
【0003】
この暫定2車線道路の中央帯は、4車線拡幅時には移設撤去の必要があることから正規の中央分離帯が設置されておらず、路面表示だけの中央帯となっており、車両が中央帯を踏み越えて追い越しを行ったり、車線を逸脱して対向車との事故を発生させるなどの危険があった。
【0004】
この改善策として、路面表示のみの中央帯に変えて簡易中分と呼ばれる中央帯が必要に応じて採用されている。
この簡易中分の構造は、全幅500mmで両側各150mmの路面表示の中央200mmに車線分離票と車線分離ブロックが交互に設置されている。このうち車線分離票は高さ400ないし650mmの柔軟な樹脂製のポール、車線分離ブロックは底幅200mmで両側が斜面となっている高さ80mm、長さ1000mmの台形断面のブロックであるが、これらは視線誘導や車両が中央帯を踏み越えようとすると衝撃があり、運転者に警告を発するなど車両に車線を守らせるのが主な目的で設置されており、自動車が対向車線に飛び出すことを防ぐ抑止力は期待されていない。
【0005】
近年、簡易中分を持つ暫定2車線道路での正面衝突事故が大きな問題となってきており、自動車が対向車線に飛び出すことを防ぐ中央分離帯の設置が望まれている。しかしこれを行うためには最低でも1500mmの中央帯幅が必要であり、現況の暫定2車の道路幅員では幅員が不足する。また橋梁やトンネルが多い日本の幹線道路の幅員を全線にわたって拡幅することは、工事中の渋滞や多額の工事費用など大きな困難があり、拡幅が比較的簡単な区間のみに中央分離帯が追加されているのが現状である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】設計要領第4集幾何構造編 平成20年4月 (株)高速道路総合技術研究所
【非特許文献2】「道路構造令の解説と運用」平成16年2月 (社)日本道路協会
【非特許文献3】プレキャストガードフェンス協会パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、幅500mmの簡易中分の幅に収まり、簡単に設置できる、中分突破抑止力のあるレーンディバイダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡易中分の幅に収まり、車線分離ブロックを収納して空隙にコンクリート充填が可能な鋼製の基部と、連結鋼管を頭部に持ち可とう性のある鋼製の上部を連結したレーンディバイダにより可能とした。
【発明の効果】
【0009】
取り外しが容易な車線分離票のポールを撤去し、既存の簡易中分にかぶせて設置するレーンディバイダは簡単に設置でき、コンクリートで充填された鋼製の基部と可とう性のある鋼製の上部を組み合わせることにより、中分突破抑止力のある中央帯を既存の道路幅員の中で完成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はレーンディバイダの全体構造を示した説明図である。
【図2】図2はレーンディバイダの接続部を示した説明図である。
【図3】図3はレーンディバイダの接続方法を示した説明図である。
【図4】図4は接続鋼管脱着リボンを示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本願発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1にレーンディバイダの全体構造の例を示す。
レーンディバイダの基部Aは鋼板を折り曲げ加工したもので、車線分離ブロックHを内部に収納可能な内部空間J、簡易中分の路面表示幅を有し舗装Gと接する水平部E、コンクリート打設口Dを持っている。
基部Aは固定ボルトFによって舗装Gに固定され、その後コンクリート打設口Dからコンクリートがその内部空間Jに充填されて、基部と舗装、車線分離ブロックは密着固定され、舗装と連続した強固なレーンディバイダの基部となる。
【0013】
レーンディバイダの上部Bは鋼板を折り曲げ加工したもので、連結鋼管Cを頭部に包み込んだ構造となっており、接続ボルトIによって基部Aに接続されている。
その内部空間Kは、強度とともに可とう性をもたせるため、発泡モルタルなどを充填しておく。
【0014】
図2にレーンディバイダの接続部の例を示す。
レーンディバイダの上部Bの連結鋼管Cは接続鋼管Lを介して連結されており、車両の衝突によって上部Bが大きく湾曲して反対車線に撓もうとしても、連結された鋼管内部に発生する引っ張り力によってその変形が抑制される。
【0015】
図3にレーンディバイダの接続方法を示す。
接続鋼管Lは、連結鋼管Cに挿入して連結ボルトMによって固定され、連結鋼管Cの連結が完成する。レーンディバイダを新設する場合や事故により破損し取り換える場合には、一旦接続鋼管Lを連結鋼管Cに完全に挿入して隣り合うレーンディバイダの上部を設置したのち、接続鋼管Lを正規の位置に移動させる必要があるが、従来行われてきた連結鋼管側面に接続鋼管移動用の窓を設けることなく、これを可能ならしめるため接続鋼管脱着リボンNにより接続鋼管の移動を行うこととした。
【0016】
図4に接続鋼管脱着リボンの例を示す。
Oは合成繊維など耐久性と柔軟性を兼ね備えた材質のリボンであり、その厚さは連結鋼管と挿入された接続鋼管の隙間に入るもので、その両端Pは図3のア、ウの様に接続鋼管を移動させるときの取手となったり、イ、エの様に取手を引っ張ることにより接続鋼管を押し出す役割を持つ、たとえば円筒状に加工されたものである。
【0017】
図3の様に、接続リボンの端部イ、エを両側の連結鋼管に入れて接続鋼管を挿入し、ア、ウのどちらかを引くことにより自由に接続鋼管を移動させることができる。
【0018】
車両がレーンディバイダに衝突した場合の、反対車線への突破抑止効果を説明する。
【0019】
本願特許のレーンディバイダは、コンクリートで充填された強固な基部と、それに接続され可とう製のある上部によって構成されている。
レーンディバイダに車両が接触した場合、タイヤが基部の斜面部に乗り上げ、コンクリートで充填され強固な基部はタイヤを元の車線に跳ね返す効果を発揮する。
さらに車両の勢いが強くなれば車両が上部に衝突することとなる。この場合タイヤは上部の連結鋼管部分に当たり上部を変形させながら連結鋼管を反対側車線に押し出そうとする。
上部の内部空間Kは発泡モルタルなど低強度の材質のものを充填しておき、ある程度の力が働けば衝突車両のエネルギーを吸収しながら変形する構造となっている。
【0020】
衝突箇所の上部の反対車線への変形により、衝突箇所前後と連結された連結鋼管は引き延ばされることになり、連結鋼管には大きな引っ張り応力が発生する。この引っ張り応力が衝突車両の衝突力を打ち消す方向に働き、上部の変形は抑制され反対車線への倒れこみの危険性を低減する。
【0021】
車両の衝突によりレーンディバイダが破損する場合でも、基部と上部の充填材料を変えそれぞれの剛性に強弱をつけているためその損傷は上部に限定され、接続ボルトの脱着により容易に破損した上部の取り換えを行うことができる。
【0022】
簡易中分での路面表示部分に当たる水平部Eに、路面表示の塗装を工場で行うことにより現場での作業を少なくすることができる。また固定ボルトFの頭部は車両がレーンディバイダに接近して水平部に乗り上げた場合に振動と騒音による警告を運転者に与え、車両のレーンディバイダへの衝突を未然に防ぐ効果を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
対面2車道路の道路幅員を広げることなく、車両の中分突破抑止力のあるレーンディバイダが容易に設置できることから、経済的に道路交通の安全の向上が図れる。
【符号の説明】
【0024】
A 基部
B 上部
C 連結鋼管
D コンクリート打設口
E 水平部
F 固定ボルト
G 舗装
H 車線分離ブロック
I 接続ボルト
J 基部の内部空間
K 上部の内部空間
L 接続鋼管
M 鋼管接続ボルト
N 接続鋼管脱着リボン
O リボン
P 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸型の本体の内部空間に車線分離ブロックなどを収納して空隙にコンクリートを充填できる鋼製の基部と、連結鋼管で前後と連結された可とう性のある鋼製の上部により構成されることを特徴とするレーンディバイダ。
【請求項2】
舗装と接する基部の水平部には路面表示の塗装を行うことを特徴とする、請求項1に記載のレーンディバイダ。
【請求項3】
連結鋼管を接続する接続鋼管の脱着に、接続鋼管脱着リボンを用いることを特徴とする
請求項1,2に記載のレーンディバイダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−17151(P2011−17151A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161307(P2009−161307)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(506341928)株式会社フェアデザイン (11)
【Fターム(参考)】