説明

ロスバスタチンカルシウム中間生成物及びその調製方法

【課題】本発明は工業化生産に適するロスバスタチンカルシウム中間生成物の調製方法を提供する。この方法は簡単で、コントロールし易く、収率が高く、純度が良く、コストが相対的に低い。
【解決手段】


式Iに示されているロスバスタチンカルシウム中間生成物の調製方法は次のとおりである。a)クロロエチレンやマンガン及びR-エポキシクロロプロパンのグリニャール反応を行わせ、b)シアン化ナトリウムを入れて求核置換反応を行わせ、c)アルコールを入れて加アルコール分解反応を行わせ、d)アルカリ性溶剤を入れてハイドロキシ基を保護し、e)混合物に対しる酸化反応を行わせ、f)トリフェニルホスファンを入れるとともにアルカリの存在する条件でWittig反応を行わせることによって、式Iの化合物が得られる。本発明の方法は穏やかで、操作が簡単で、プロセスが安定であるので、工業化の大規模生産に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新しい薬物中間生成物およびその調製方法に関するもので、特にロスバスタチンカルシウムの1つの重要な中間生成物の新しい調製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロスバスタチンカルシウム(Rosuvastatin calcium)、化学名:(+)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N-メチルーNーメチルスルホニルアミノ)ピリミジンー5−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6(E)−ヘプタン酸カルシウム(2:1)は、本態性高コレステロール血症(IIAa型、 ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症を含む)又は混合性脂血症(IIb型)患者の節食又は運動治療方法が理想的でない場合の補助治療に適している。高くなったLDL−コレステロールや、トータルコレステロール、トリグリセリド及びApoBを低下させることができ、HDL−コレステロールを増やすことができる。また、ホモ接合体家族性高コレステロール血症患者にも適しており、単独使用するか、或いは節食又はその他の脂質低下方法(例えばLDL除去法)と一緒に使用することができる。本品は高効率、低毒、副作用が小さいなどの長所があるため、人々からの脚光を浴びており、幅広い応用前途がある。その化学構造式は次のとおりである。

【0003】
本特許中に記載されている(3R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシー5−オキソー6−トリフェニルホスファンヘキサノエ-トは、ロスバスタチンカルシウムを調製する重要な中間生成物である。
【0004】
PCT特許出願WO2006091771中には、(3R)−3−tert−ブチルジメチルシリルオキシグルタル酸メチルを原料として(3R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシー5−オキソー6−トリフェニルホスファンヘキサノエ-トを調製する方法を公開しているが、その主な径路は次のとおりである(Yはカルボキシル保護基グループ、TBSはtert−ブチルメチルシリル基、Phはフェニル基)。

【0005】
但し、当該方法には必ず比較的大きなカルボキシル保護基グループYが求められるが、こうするのみ、それによって保護されるエステル基の安定性を増やし、第1ステップ反応中のモノメチルエステルの加水分解の選択性を向上させることができる。もし、カルボキシル保護基グループYがメチル基などの比較的小さいグループである場合、モノメチルエステルの加水分解が難しくなり、モノメチルエステルの加水分解産物の収率が低くなり、ひいては得られなくなる。そのため、当該方法の調製コストが高くなり、工業化大規模生産に適していない。
【0006】
文献(J. Org. Chem. Vol.59, No.25, 7849-7854, 1994)には無水酸化合物を原料として、(3R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシー5−オキソー6−トリフェニルホスファンヘキサノエ-トを調製する方法を公開しているが、その主な径路は次のとおりである(Meはメチル基、Etはエチル基)。

【0007】
但し、当該方法に使われている原料の無水酸化合物は値段が高く、第1ステップの反応産物の収率が低いので、同じく調製コストが比較的高い問題があって、工業化大規模生産に適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は工業化生産に適するロスバスタチンカルシウム中間生成物、つまり、通式Iに示されている化合物の調製方法を提供することに目的があり、当該方法は簡単で、コントロールし易く、収率が高く、純度が良く、コストが相対的に低い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ロスバスタチンカルシウム中間生成物、つまり、通式Iに示されている化合物の調製方法としては、

次のステップが含まれている。通式Vに示されている化合物とトリフェニルホスファンがアルカリ性条件の下で、Wittig反応を発生させて作られる。その中、Rはアルキル基、Yはハイドロキシ保護基、Xはハロゲン族原子である。
【0010】
好ましくて、RはC1〜C3のアルキル基、Yはtert−ブチルジメチルシリル基、ベンジル基又はベンゾイル基、Xはクローリーン、ブローム、ヨードである。
【0011】
前記アルカリ性条件は、反応液の中にアルカリ金属酸化物や、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩又はその混合物を入れてからなる。好ましくて、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム又はその混合物。
【0012】
前記通式Vに示されている化合物は次の方法によって作られる。通式IVに示されている化合物がニトロキシドラジカルや、選択的酸化剤および相間移動触媒の存在する条件の下で、溶剤Aの中でハイドロキシ基を選択的に酸化させることによって得られる。

【0013】
前記溶剤Aはジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、アセトニトリール、アセトン、ブタノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DMF、DMA、DMSO中の少なくとも1種又は少なくとも一種と水で形成された混合液である。
【0014】
前記ニトロキシドラジカルは2,2,6,6−テトラメチルピペリジンーN−オキシド化合物である。
【0015】
前記選択的酸化剤は次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムである。
【0016】
前記相間移動触媒は塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、塩化トリオクチルメチルアンモニウム又は塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0017】
前記通式IVに示されている化合物は次の方法によって作られる。通式IIIに示されている化合物とハロゲン化試薬を溶剤Bの中でハロゲン化反応を発生させることによって得られる。

【0018】
前記溶剤Bはジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、アセトニトリール、アセトン、ブタノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DMF、DMA、DMSO中の少なくとも1種又は少なくとも一種と水で形成された混合液である。
【0019】
前記ハロゲン化反応温度はー10〜50℃である。
【0020】
前記通式IIIに示されている化合物の調製には次のステップが含まれる。
【0021】
a.ハロゲン化エチレンと金属マグネシウムを反応させてハロゲン化エチレングリニャール試薬が得られるが、再びR−エピクロロヒドリンと触媒の作用の下でグリニャール反応を行わせることによって、(2R)−1−ハロゲン化ー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物が得られる。
【0022】
b.(2R)−1−ハロゲン化ー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物とシアン化ナトリウムを求核置換反応を行わせることによって、(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物が得られる。
【0023】
c.(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物とアルコールを酸の触媒作用の下で、加アルコール分解反応を行わせることによって、通式IIに示されている化合物が得られる。

【0024】
d.通式IIに示されている化合物をアルカリ性溶剤の中でハイドロキシ基保護を行わせることによって、通式IIIに示されている化合物が得られる。

【0025】
ステップaにおいて、前記触媒は塩化第一銅、沃化第一銅、シアン化第一銅で、前記触媒とR−エピクロロヒドリンとのモル比は0.10〜0.15:1である。
【0026】
ステップdにおいて、前記アルカリ性溶剤はイミダゾールと有機溶剤との混合液である。
【0027】
前記イミダゾールと通式IIに示されている化合物とのモル比は1.5〜2.5:1である。
【0028】
通式V化合物において、式V:

その中、
X―ハロゲン族原子、
Y−ハイドロキシ保護基、
R−アルキル基である。
【0029】
好ましくて、その中のXはBr、YはTBS保護グループ、Rはメチル基で、つまり式VIIに示されている化合物である。

【0030】
通式IV化合物において、式IVは、

式中、
X―ハロゲン族原子、
Y−ハイドロキシ保護基、
R−アルキル基である。
【0031】
好ましくて、その中のXはBr、YはTBS保護基グループ、Rはメチル基で、つまり式VIに示されている化合物である。

【発明の効果】
【0032】
本発明のロスバスタチンカルシウム中間生成物、つまり、通式Iに示されている化合物の調製は、既存技術と全く違った合成方法によって作られるが、その方法は条件が簡単で、高温高圧反応がなく、必要とする原料や、触媒、酸化剤は容易に入手でき、プロセスが安定で、生成物の収率が比較的高く、大量の三廃(廃ガス、廃水、固体廃棄物)を発生せず、環境汚染レベルが低いので、工業化大規模生産に適している。
【0033】
調製中には、2種の新しい化合物も得られるが、それは、通式IVと通式Vの化合物で、この2種の新しい化合物は本発明の調製方法を実現する重要な中間生成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の目的や、技術方法および長所をさらに明らかにするために、次では本発明の最良な実施例に合わせて、詳しく説明するものとする。
【実施例1】
【0035】
化合物I−1(通式I中のRはMe、YはTBS)の調製:

a.クロロエチレンと金属マグネシウムを反応させることによって、クロロエチレングリニャール試薬が得られるが、再びR−エピクロロヒドリンと塩化第1銅触媒の下でグリニャール反応を発生させることによって、(2R)−1−クロロー2−ハイドロキシー4−ペンテンが得られる。

反応フラスコの中に2700mlの無水処理済みテトラヒドロフランと216gマグネシウムパウダーを入れて、均一に撹拌してから、再び4.5gのヨード、100gの1,2−ジブロモエタンを入れて、ゆっくりと温度を60〜64℃まで上げて、3〜4時間保温撹拌してから、クロロエチレンガスを入れて反応を行わせ、60〜64℃の温度の下で、持続的にクロロエチレンガスを通せる条件の下で10〜11時間反応させてから反応を中止させ、温度を25〜35℃まで下げて、得られたクロロエチレングリニャール試薬の濃度は3.34mol/Lであった。
【0036】
引き続き反応液の温度をー35〜−25℃まで下げて、30gの塩化第1銅を入れて、ゆっくりと280gのR−エピクロロヒドリン(塩化第1銅とR−エピクロロヒドリンとのモル比は0.10〜0.15:1)を滴り入れて、滴下中はー35〜−25℃の温度を維持し、1〜2時間で滴下を完了させて、反応液を予め5〜10℃まで冷やした200mlの飽和塩化アンモニウム溶液の中に移して、濃度が3mol/Lの塩酸溶液でpH値を3〜4に調節し、150mlのメチルtert−エーテルで3回に分けて抽出し、有機相を合併して、次第に50mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と50mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び25〜30℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、360.9gの黄褐色の粘っこい液体、つまり、(2R)−1−クロロー2−ハイドロキシー4−ペンテンが得られたが、高速液体クロマトグラフィ−で測定した結果、その純度は97.4%、収率は81.9%であった。
【0037】
b.(2R)−1−クロロー2−ハイドロキシー4−ペンテンとシアン化ナトリウムを求核置換反応を行わせて、(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンを調製する。

反応フラスコの中に440mlの精製水と50gのシアン化ナトリウムを入れて、撹拌溶解させてから、30〜35℃の温度の下で、82gの(2R)−1−クロロー2−ハイドロキシー4−ペンテンを滴り入れてから、温度を40〜45℃まで上げて反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が5:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液の温度を30〜35℃まで下げて、600mlのクロロフォルムで3回に分けて抽出し、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯し、30gの無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、再び30〜40℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、66.6gの褐色の液体、つまり、(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンが得られたが、ガスクロマトグラフィ−で測定した結果、その純度は99.7%、収率は90.2%であった。
【0038】
c.(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンとメタノールを乾燥塩化水素ガスの作用の下で加アルコール分解反応を行わせることによって、化合物II−1を調製する。

反応フラスコの中に300mlの無水メタノールと62gの(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン(GC:99.7%)を入れて、均一に撹拌し、乾燥塩化水素ガスを通し入れ、室温の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が1:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を35℃、250〜350Paの真空度の下で、一部のメタノールを蒸発させ、400mlの水を入れて均一に混合させてから、600gのクロロフォルムで3回に分けて抽出し、有機相を合併し、200gの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗濯し、100gの無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、再び45℃の下で溶剤を蒸発させることによって、70.9gの褐色液体、つまり、化合物II−1が得られたが、HPLCは91.0%、収率は80.5%であった。
【0039】
d.化合物III−1の調製:

反応フラスコの中に33.4gのイミダゾールと50mlのジクロロメタン、及び37gの化合物II−1(HPLC:91.0%、イミダゾールと化合物II−1とのモル比は1.5〜2.5:1)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び46.4gのTBSClと70mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−1反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を100mlの水の中に移して、150gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に100mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、63.1gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−1が得られたが、ガスクロマトグラフィー測定の結果、その純度は88.1%、収率は92.1%であった。
【0040】
e.化合物IV−1の調製:

1Lの反応フラスコの中に17.6g(GC:88.1%)の化合物III−1と250mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて10.9gのN−クロロスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを40〜50℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−1の粗品21.3gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は86.6%、収率は98.9%であった。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ4.31〜4.35(m, 1H), δ3.90〜4.10(m, 1H), δ3.66(s, 3H), δ3.36〜3.46(m, 2H), δ2.54〜2.59(m, 2H), δ1.75〜1.81(m, 2H), δ0.86(s, 9H), δ0.09(s, 3H), δ0.07(s, 3H)
【0041】
f.化合物V−1の調製:

500mlの反応フラスコの中に21.3g(GC:86.6%)の化合物IV−1、0.2gの臭化テトラブチルアンモニウム、0.4gの臭化カリウムと0.2gのTEMPOを入れてから、150mlのn−ヘキサンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、35mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと120gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、20.5gの浅黄色の液体化合物V−1が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は70.0%で、収率は78.3%であった。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ4.52〜4.60(m, 1H), δ4.12(s, 2H), δ3.65(s, 3H), δ2.72〜2.89(m, 2H), δ2.44〜2.58(m, 2H), δ0.82(s, 9H), δ0.06(s, 3H), δ0.04(s, 3H)
【0042】
g.化合物I−1の調製:

500mlの反応フラスコの中に20.5g(GC:70.0%)の化合物V−1や、26.0gのトリフェニルホスフィン、18.2gの炭酸カリウムと61.5mlのDMFを入れて、システムを20〜30℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−1の反応が完全に終わってから)、システムに100mlの水を入れて固体を溶かしてから、100ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−1が得られるが、50gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、7.9gの化合物I−1が得られる。そのHPLC純度:96.5%、ee値:99.7%、収率:30.6%。
1H NMR(300MHz,CDCl3): δ7.46〜7.70(m, 15H), δ4.54〜4.59(m, 1H), δ3.67(s, 3H), δ2.73〜2.77 (m,1H), δ2.59〜 2.63 (m, 1H), δ2.45〜2.55(m, 2H), δ0.83(s, 9H), δ0.03〜0.06(m, 6H)。

【実施例2】
【0043】
化合物I−2(通式I中、Rはイソプロピル基、YはBn)の調製:

ステップa、bは実施例1中のa、bと同様である。
【0044】
c.(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンとイソプロパノールを乾燥塩化水素ガスの作用の下で、加アルコール分解反応を行わせて、化合物II−2を調製する。

反応フラスコの中に300mlの無水イソプロパノールと62gの(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン(GC:99.4%)を入れて、均一に撹拌し、乾燥塩化水素ガスを通し入れて、室温の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が1:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を35℃、250〜350Paの真空度の下で、約2/3のイソプロパノールを蒸発させ、400mlの水を入れて均一に混合させてから、600gのクロロフォルムで3回に分けて抽出し、有機相を合併し、200mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗濯し、100gの無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、再び30〜40℃、250〜350Paの真空度の下で溶剤を蒸発させることによって、84.7gの褐色液体、つまり、化合物II−2が得られたが、HPLCは91.6%、収率は81.3%であった。
【0045】
d.化合物III−2の調製:

反応フラスコの中に26.3gのイミダゾールと40mlのジクロロメタン、及び35gの化合物II−2(HPLC:91.6%)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び31gのベンゾイルクロリドと70mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−2反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を100mlの水の中に移して、150gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に100mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、52.3gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−2が得られたが、GCは86.5%、収率は92.6%であった。
【0046】
e.化合物IV−2の調製:

1Lの反応フラスコの中に15g(GC:86.5%)の化合物III−2と200mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて10gのN−クロロスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを25〜35℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−2の粗品17.6gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は87.1%、収率は98.2%であった。
【0047】
f.化合物V−2の調製

500mlの反応フラスコの中に18g(GC:87.1%)の化合物IV−2、0.2gの塩化テトラブチルアンモニウムと0.4gの臭化カリウム及び0.2gのTEMPOを入れてから、150mlのn−ヘキサンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、35mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと100gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、16.8gの浅黄色の液体化合物V−2が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は72.2%で、収率は78.0%であった。
【0048】
g.化合物I−2の調製:

500mlの反応フラスコの中に18g(GC:72.2%)の化合物V−2や、26.0gのトリフェニルホスフィン、18.2gの炭酸カリウムと61.5mlのメタノールを入れて、システムを−10〜10℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−2の反応が完全に終わってから)、システムに100mlの水を入れて固体を溶かしてから、100ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−2が得られるが、40gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、7.44gの化合物I−2が得られる。そのHPLC純度:97.1%、ee値:99.8%、収率:32.3%。

【実施例3】
【0049】
化合物I−3(通式I中、Rはイソプロピル基、YはBz)の調製:

ステップa,bは実施例1中のa、bと同様で、ステップcは実施例2中のcと同様である。
【0050】
d.化合物III−3の調製:

反応フラスコの中に34gのイミダゾールと50mlのジクロロメタン、及び37gの化合物II−2(HPLC:93.1%)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び39.0gのベンゾイルクロリドと70mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−3反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を100mlの水の中に移して、150gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に100mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、56.7gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−3が得られたが、ガスクロマトグラフィーの測定結果、その純度は89.5%、収率は91.7%であった。
【0051】
e.化合物IV−3の調製:

1Lの反応フラスコの中に17.2g(GC:89.5%)の化合物III−3と200mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて10gのN−ブロモスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを30〜40℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−3の粗品23.2gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は87.6%、収率は97.6%であった。
【0052】
f.化合物V−3の調製:

500mlの反応フラスコの中に21.3g(GC:87.6%)の化合物IV−3、0.4gの塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、0.3gのTEMPO及び0.4gの臭化カリウムを入れてから、150mlのn−ヘキサンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、35mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと130gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、19.7gの浅黄色の液体化合物V−3が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は72.8%で、収率は77.2%であった。
【0053】
g.化合物I−3の調製:

500mlの反応フラスコの中に21.5g(GC:72.8%)の化合物V−3や、26.0gのトリフェニルホスフィン、18.2gの炭酸カリウムと61.5mlのDMFを入れて、システムを−10〜20℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−3の反応が完全に終わってから)、システムに100mlの水を入れて固体を溶かしてから、100ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−3が得られるが、60gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、7.5gの化合物I−3が得られる。そのHPLC純度:97.6%、ee値:99.8%、収率:31.4%。

【実施例4】
【0054】
化合物I−4(通式I中、Rはエチル基、YはBz)の調製:

ステップa、bは実施例1中のa、bと同様である。
【0055】
c.(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンとアルコールを乾燥塩化水素ガスの作用の下で、加アルコール分解反応を行わせて、化合物II−3を調製する。

反応フラスコの中に350mlの無水アルコールと62gの(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン(GC:99.6%)を入れて、均一に撹拌し、乾燥塩化水素ガスを通し入れて、室温の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が1:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を35℃、250〜350Paの真空度の下で、一部のアルコールを蒸発させ、400mlの水を入れて均一に混合させてから、600gのクロロフォルムで3回に分けて抽出し、有機相を合併し、200mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗濯し、100gの無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、再び45℃、250〜350Paの真空度の下で溶剤を蒸発させることによって、68.7gの褐色液体、つまり、化合物II−3が得られたが、HPLCは93.5%、収率は73.1%であった。
【0056】
d.化合物III−4の調製:

反応フラスコの中に12.7gのイミダゾールと50mlのジクロロメタン、及び35gの化合物II−3(HPLC:93.5%)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び39.0gのベンゾイルクロリドと70mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−3反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を100mlの水の中に移して、150gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に100mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、55.3gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−4が得られたが、GCは89.9%、収率は91.6%であった。
【0057】
e.化合物IV−4の調製:

1Lの反応フラスコの中に16g(GC:89.9%)の化合物III−4と200mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜10℃まで下げて、数回に分けて9gのN−クロロスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを20〜30℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−4の粗品22.0gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は88.1%、収率は98.2%であった。
【0058】
f.化合物V−4の調製:

500mlの反応フラスコの中に20g(GC:88.1%)の化合物IV−4、0.3gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、0.4gの臭化カリウムを入れてから、150mlのn−ヘキサンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、35mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと115gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、18.6gの浅黄色の液体化合物V−4が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は72.4%で、収率は77.0%であった。
【0059】
g.化合物I−4の調製:

500mlの反応フラスコの中に21g(GC:72.4%)の化合物V−4や、26.0gのトリフェニルホスフィン、18.2gの炭酸カリウムと61.5mlのジクロロメタンを入れて、システムを15〜30℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−4の反応が完全に終わってから)、システムに100mlの水を入れて固体を溶かしてから、100ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−4が得られるが、60gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、7.2gの化合物I−4が得られる。そのHPLC純度:97.5%、ee値:99.8%、収率:30.7%。

【実施例5】
【0060】
化合物I−1の調製:

ステップa、b、c、dは実施例1中のa、b、c、dと同様である。
【0061】
e.化合物IV−5の調製:

反応フラスコの中に22.1g(GC:90.5%)の化合物III−1と280mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて9gのN−ブロモスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを−10〜0℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−5の粗品30.1gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は86.8%、収率は95.4%であった。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ4.31〜4.35(m, 1H), δ3.95〜4.05(m, 1H), δ3.66(s, 3H), 3.36〜3.46(m, 2H), δ3.22 and 2.95(2×d, 1H), δ2.54〜2.59(m, 2H), δ1.75〜1.81(m, 2H), δ0.86, (s, 9H), δ0.09(m, 6H)
【0062】
f.化合物V−5の調製:

500mlの反応フラスコの中に34.6g(GC:86.8%)の化合物IV−5、0.3gの塩化トリオクチルメチルアンモニウム、0.4gのTEMPO、0.5gの臭化カリウムを入れてから、250mlのジクロロメタンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、57mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと100gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、28.5gの浅黄色の液体化合物V−5が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は75.0%で、収率は72.1%であった。
1H NMR(600MHz, CDCl3): δ4.50〜4.53(m, 1H), δ3.87(s, 2H), δ3.62(s, 3H), δ2.80〜2.89(m, 2H), δ2.43〜2.51(m, 2H), δ0.79(s, 9H), δ0.017(d, J=5.5, 6H)[α]D20 = -4.6(c=1.0, C2H5OH);
【0063】
g.化合物I−1の調製:

500mlの反応フラスコの中に30g(GC:75.0%)の化合物V−5や、26.9gのトリフェニルホスフィン、18.6gの炭酸カリウムと75mlのジクロロメタンを入れて、システムを−10〜10℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−5の反応が完全に終わってから)、システムに150mlの水を入れて固体を溶かしてから、150ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−1が得られるが、50gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、9.0gの化合物I−1が得られる。そのHPLC純度:98.2%、ee値:97.0%、収率:25.4%。
1H NMR(300MHz,CDCl3): δ7.46〜7.70(m, 15H), δ4.54〜4.59(m, 1H), δ3.67(s, 3H), δ2.73〜2.77 (m,1H), δ2.59〜 2.63 (m, 1H), δ2.45〜2.55(m, 2H), δ0.83(s, 9H), δ0.03〜0.06(m, 6H)。

【実施例6】
【0064】
化合物I−1(通式I中、Rはメチル基、YはTBS)の調製:

ステップa、b、c、dは実施例1中のa、b、c、dと同様である。
【0065】
e.化合物IV−6の調製:

反応フラスコの中に15.6g(GC:89.6%)の化合物III−1と220mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて14.0gの N-ヨードスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを−5〜5℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−6の粗品22.6gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は87.2%、収率は90.9%であった。
【0066】
f.化合物V−6の調製:

500mlの反応フラスコの中に22.9g(GC:87.2%)の化合物IV−6、0.2gの臭化テトラブチルアンモニウム、0.35gのTEMPO、0.3gの臭化カリウムを入れてから、160mlのジクロロメタンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、38mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと110gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー20〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、20.7gの浅黄色の液体化合物V−6が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は72.7%で、収率は75.6%であった。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ4.50〜4.58(m, 1H), δ3.82(s, 2H), δ3.65(s, 3H), δ2.92〜2.95(m, 2H), δ2.43〜2.57(m, 2H), δ0.82(s, 9H), δ0.038〜0.075(m, 6H)。
【0067】
g.化合物I−1の調製:

500mlの反応フラスコの中に20.6g(GC:72.7%)の化合物V−6や、15.7gのトリフェニルホスフィン、10.4gの炭酸カリウムと50mlのジクロロメタンを入れて、システムを10〜27℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−6の反応が完全に終わってから)、システムに100mlの水を入れて固体を溶かしてから、100ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−1が得られるが、60gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、5.0gの化合物I−1が得られる。そのHPLC純度:97.4%、ee値:96.8%、収率:23.7%。
1H NMR(300MHz,CDCl3): δ7.46〜7.70(m, 15H), δ4.54〜4.59(m, 1H), δ3.67(s, 3H), δ2.73〜2.77 (m,1H), δ2.59〜 2.63 (m, 1H), δ2.45〜2.55(m, 2H), δ0.83(s, 9H), δ0.03〜0.06(m, 6H)。

【実施例7】
【0068】
化合物I−1(通式I中、Rはメチル基、YはTBS)の調製:

ステップa、b、c、dは実施例1中のa、b、c、dと同様である。
e.化合物IV−6の調製:

反応フラスコの中に18.3g(GC:87.4%)の化合物III−1と250mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて16.0gの N-ヨードスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを15〜25℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−6の粗品26.1gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は88.4%、収率は92.6%であった。
【0069】
f.化合物V−6の調製:

500mlの反応フラスコの中に19.2g(GC:88.4%)の化合物IV−6、0.14gの塩化テトラブチルアンモニウム、0.4gのTEMPO、0.25gの臭化カリウムを入れてから、160mlのジクロロメタンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、38mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと120gの次亜塩素酸ナトリウムを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、17.5gの浅黄色の液体化合物V−6が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は73.2%で、収率は76.4%であった。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ4.50〜4.58(m, 1H), δ3.82(s, 2H), δ3.65(s, 3H), δ2.92〜2.95(m, 2H), δ2.43〜2.57(m, 2H), δ0.82(s, 9H), δ0.038〜0.075(m, 6H)。
【0070】
g.化合物I−1の調製:

500mlの反応フラスコの中に16.6g(GC:73.2%)の化合物V−6や、12.8gのトリフェニルホスフィン、8.4gの炭酸カリウムと57.5mlのジクロロメタンを入れて、システムをー10〜10℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−6の反応が完全に終わってから)、システムに95mlの水を入れて固体を溶かしてから、95ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−1が得られるが、50gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、4.9gの化合物I−1が得られる。そのHPLC純度:97.6%、ee値:98.5%、収率:28.7%。
1H NMR(300MHz,CDCl3): δ7.46〜7.70(m, 15H), δ4.54〜4.59(m, 1H), δ3.67(s, 3H), δ2.73〜2.77 (m,1H), δ2.59〜 2.63 (m, 1H), δ2.45〜2.55(m, 2H), δ0.83(s, 9H), δ0.03〜0.06(m, 6H)。

【実施例8】
【0071】
化合物I−4(通式I中、Rはエチル基、YはBz)

ステップa、bは実施例1中のa、bと同様である。
【0072】
c.2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンとアルコールを濃硫酸の作用の下で、加アルコール分解反応を行わせることによって、化合物II−3を調節する。

反応フラスコの中に250mlの無水アルコールと45.0gの(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン(GC:98.7%)を入れて、均一に撹拌し、60.0gの濃硫酸を入れて、室温の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が1:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を35℃、250〜350Paの真空度の下で、一部のアルコールを蒸発させ、285mlの水を入れて均一に混合させてから、430gのクロロフォルムで3回に分けて抽出し、有機相を合併し、145mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗濯し、70gの無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、再び45℃の下で溶剤を蒸発させることによって、54.2gの褐色液体、つまり、化合物II−3が得られたが、HPLCは93.2%、収率は79.5%であった。
【0073】
d.化合物III−4の調製:

反応フラスコの中に33.0gのイミダゾールと50mlの酢酸エチル、及び35.8gの化合物II−3(HPLC:93.2%)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び37.9gのベンゾイルクロリドと70mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−3反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を100mlの水の中に移して、150gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に100mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、56.4gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−4が得られたが、GCは90.6%、収率は93.2%であった。
【0074】
e.化合物IV−4の調製:

反応フラスコの中に16.0g(GC:90.6%)の化合物III−4と200mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて11.3gの N-ブロモスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを0〜10℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−4の粗品21.4gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は86.9%、収率は93.5%であった。
【0075】
f.化合物V−4の調製:

500mlの反応フラスコの中に20.5g(GC:86.9%)の化合物IV−4、0.16gの臭化テトラブチルアンモニウム、0.5gのTEMPO、0.29gの臭化カリウムを入れてから、150mlのジクロロメタンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、33.4mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと110gのNaClO2を滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、19.0gの浅黄色の液体化合物V−4が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は72.6%で、収率は78.0%であった。
【0076】
g.化合物I−4の調製:

500mlの反応フラスコの中に17.9g(GC:72.6%)の化合物V−4や、15.3gのトリフェニルホスフィン、10.1gの炭酸カリウムと50mlのDMFを入れて、システムを35〜50℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−4の反応が完全に終わってから)、システムに85mlの水を入れて固体を溶かしてから、85ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−4が得られるが、55gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、6.2gの化合物I−4が得られる。そのHPLC純度:97.8%、ee値:98.2%、収率:30.4%。

【実施例9】
【0077】
化合物I−5(通式I中、RはMe、YはRz)の調製:

ステップa、b、cは実施例1中のa、b、cと同様である。
【0078】
d.化合物III−1の調製:

反応フラスコの中に55.3gのイミダゾールと80mlのアセトン、及び58.0gの化合物II−1(HPLC:91.8%)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び60.2gのベンゾイルクロリドと110mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−1反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を155mlの水の中に移して、240gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に155mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と155mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、97.0gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−1が得られたが、GCは90.7%、収率は92.2%であった。
【0079】
e.化合物IV−7の調製:

反応フラスコの中に19.5g(GC:90.7%)の化合物III−1と230mlのn−ヘキサンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて18.4gの N-ヨードスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを10〜20℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−7の粗品30.2gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は89.3%、収率は96.4%であった。
【0080】
f.化合物V−7の調製:

500mlの反応フラスコの中に22.0g(GC:89.4%)の化合物IV−7、0.16gの臭化テトラブチルアンモニウム、0.4gのTEMPO、0.30gの臭化カリウムを入れてから、160mlのn−ヘキサンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、37mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと100gのNaClO2を滴り入れ、滴下の際温度を10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、19.1gの浅黄色の液体化合物V−7が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は77.4%で、収率は75.9%であった。
【0081】
g.化合物I−5の調製:

500mlの反応フラスコの中に18.6g(GC:77.4%)の化合物V−7や、15.5gのトリフェニルホスフィン、10.2gの炭酸カリウムと56.6mlのn−ヘキサンを入れて、システムを30〜45℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−7の反応が完全に終わってから)、システムに95mlの水を入れて固体を溶かしてから、95ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−5が得られるが、50gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、5.9gの化合物I−5が得られる。そのHPLC純度:98.3%、ee値:98.8%、収率:29.5%。

【実施例10】
【0082】
化合物I−6(通式I中、Rはエチル基、YはTBS)の調製:

ステップa、bは実施例1中のa、bと同様で、ステップcは実施例4中のcと同様である。
【0083】
d.化合物III−4の調製:

反応フラスコの中に42.3gのイミダゾールと65mlの酢酸エチル、及び45.5gの化合物II−3(HPLC:94.1%、イミダゾールと化合物II−3とのモル比は2.3:1)を入れて、澄明になるまで撹拌し、再び59.0gのtert−ブチルジメチルシリルクロリドと90mlのジクロロメタンの混合液を滴り入れ、滴下が終わると、25〜30℃の下で撹拌反応させ、薄層クロマトグラフィー(展開剤は体積比が3:1の石油エーテルと酢酸エチルとの混合液)で化合物II−3反応が完全に行われるまで反応過程をモニタリングし、反応液を130mlの水の中に移して、190gのジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併して、次第に130mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液と130mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗濯してから、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、75.5gの淡黄色の液体、つまり、化合物III−5が得られたが、GCは89.6%、収率は91.7%であった。
【0084】
e.化合物IV−8の調製:

反応フラスコの中に13.4g(GC:89.6%)の化合物III−5と195mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて9.0gの N-ブロモスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを25〜35℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−8の粗品17.7gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は88.4%、収率は96.2%であった。
【0085】
f.化合物V−8の調製:

500mlの反応フラスコの中に17.6g(GC:88.4%)の化合物IV−8、0.14gの臭化テトラブチルアンモニウム、0.4gのTEMPO、0.25gの臭化カリウムを入れてから、130mlのDMFを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、30mlの重炭酸ナトリウム溶液を入れて、撹拌しながらゆっくりと110gのNaClO2を滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、17.1gの浅黄色の液体化合物V−8が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は71.8%で、収率は79.5%であった。
【0086】
g.化合物I−6の調製:

500mlの反応フラスコの中に16.7g(GC:71.8%)の化合物V−8や、13.7gのトリフェニルホスフィン、9.0gの炭酸カリウムと45mlのクロロフォルムを入れて、システムをー10〜10℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−8の反応が完全に終わってから)、システムに85mlの水を入れて固体を溶かしてから、85ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−6が得られるが、55gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、5.0gの化合物I−6が得られる。そのHPLC純度:98.3%、ee値:96.7%、収率:26.4%。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ7.45〜7.69(m, 15H), δ4.52〜4.59(m, 1H), δ4.11〜4.14(m, 2H), δ2.70〜2.76 (m, 1H), δ2.60〜 2.63(m, 1H), δ2.45〜2.55(m, 2H), δ1.20(t, 3H), δ0.84(s, 9H), δ0.03〜0.07(m, 6H)。

【実施例11】
【0087】
化合物I−4(通式I中、Rはエチル基、YはBz)の調製:

ステップa、bは実施例1中のa、bと同様で、ステップc、dは実施例4中のc、dと同様である。
【0088】
e.化合物IV−9の調製:

反応フラスコの中に18.9g(GC:90.1%)の化合物III−4と280mlのアセトンを入れて、完全に溶かしてから、システム温度を0〜15℃まで下げて、数回に分けて16.8gの N-ヨードスクシンイミドを入れるが、それが終わると、システムを15〜25℃の下で保温反応させ、反応が終わるまでサンプリング滴板でトラッキングする(TLCで原料の消失をモニタリング)。それから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で、溶剤を蒸発させることによって、淡黄色の液体、つまり、化合物IV−9の粗品28.9gが得られるが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は87.3%、収率は95.8%であった。
【0089】
f.化合物V−9の調製:

500mlの反応フラスコの中に21.8g(GC:87.3%)の化合物IV−9、0.15gの臭化テトラブチルアンモニウム、0.4gのTEMPO、0.28gの臭化カリウムと0.07gのNaClO2を入れてから、155mlのジクロロメタンを入れて、システムをー10℃〜10℃に冷やしてから、36.5mlの重炭酸ナトリウム溶液(3%)を入れて、撹拌しながらゆっくりと10gのオキシフルを滴り入れ、滴下の際温度をー10〜20℃を維持し、滴下が終わると、システムをー10〜10℃にて保温反応させる。反応が終わると、飽和チオ硫酸ナトリウムを入れて反応をクエンチングさせ、加水洗濯後水を分離し、有機相を適当量の水や、飽和食塩水で次第に洗濯してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過し、再び30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、19.6gの浅黄色の液体化合物V−9が得られたが、ガスクロマトグラフィー純度(GC)は73.9%で、収率は76.4%であった。
【0090】
g.化合物I−4の調製:

500mlの反応フラスコの中に18.5g(GC:73.9%)の化合物V−9や、14.2gのトリフェニルホスフィン、9.3gの炭酸カリウムと60mlのアセトニトリールを入れて、システムを30〜45℃の下で反応させる。GC中のコントロールを行い、反応が終わってから(化合物V−9の反応が完全に終わってから)、システムに95mlの水を入れて固体を溶かしてから、95ml×3のメチルtert−ブチルエーテルで3回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過してから、30〜35℃、250〜350Paの真空度の下で濃縮させることによって、油状化合物I−4が得られるが、50gの酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を入れて結晶体を析出させ、ろ過、乾燥させることによって、4.5gの化合物I−4が得られる。そのHPLC純度:97.4%、ee値:95.8%、収率:23.2%。

【0091】
最後に説明して置きたいことは、上記実施例はただの本発明の技術方法を説明するためのもので、本発明を制限するものではない。本発明の最良な実施例を通じて、すでに本発明について説明をしたが、本分野の一般技術者なら、本発明に対して形式上や内容上の様々な変動をすることができるが、本発明の特許請求の範囲に限定された本発明の旨と範囲を外れないということを理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップ:通式Vに示されている化合物とトリフェニルホスファンがアルカリ性条件の下でWittig反応を発生させて、ロスバスタチンカルシウム中間生成物、つまり、通式Iに示されている化合物を調製する方法。その中、Rはアルキル基、Yはハイドロキシ保護基、Xはハロゲン族原子。

【請求項2】
前記RはC1〜C3のアルキル基、Yはtert−ブチルジメチルシリル基、ベンジル基又はベンゾイル基、Xはクローリーン、ブローム、ヨードからなる請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記アルカリ性条件は、反応液の中にアルカリ金属酸化物や、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩又はその混合物を入れてからなる請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記アルカリは、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム又はその混合物からなる請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
前記通式Vに示されている化合物は次の方法によって作られる。つまり、通式IVに示されている化合物がニトロキシドラジカルや、選択的酸化剤および相間移動触媒の存在する条件の下で、溶剤Aの中でハイドロキシ基を選択的に酸化させることによって得られる、請求項1又は2に記載の調製方法。

【請求項6】
前記溶剤Aはジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、アセトニトリール、アセトン、ブタノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DMF、DMA、DMSO中の少なくとも1種又は少なくとも一種と水で形成された混合液からなる請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記ニトロキシドラジカルは2,2,6,6−テトラメチルピペリジンーN−オキシド化合物からなる請求項5に記載の調製方法。
【請求項8】
前記選択的酸化剤は次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムからなる請求項5に記載の調製方法。
【請求項9】
前記相間移動触媒は塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、塩化トリオクチルメチルアンモニウム又は塩化セチルトリメチルアンモニウムからなる請求項5に記載の調製方法。
【請求項10】
前記通式IVに示されている化合物は次の方法によって作られる。通式IIIに示されている化合物とハロゲン化試薬を溶剤Bの中でハロゲン化反応を発生させることによって得られる、請求項5に記載の調製方法。

【請求項11】
前記溶剤Bはジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、アセトニトリール、アセトン、ブタノン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DMF、DMA、DMSO中の少なくとも1種又は少なくとも一種と水で形成された混合液からなる請求項10に記載の調製方法。
【請求項12】
前記ハロゲン化反応の温度はー10〜50℃である、請求項10に記載の調製方法。
【請求項13】
前記通式IIIに示されている化合物の調製には次のステップが含まれる、請求項10に記載の調製方法。
a.ハロゲン化エチレンと金属マグネシウムを反応させてハロゲン化エチレングリニャール試薬が得られるが、再びR−エピクロロヒドリンと触媒の作用の下でグリニャール反応を行わせることによって、(2R)−1−ハロゲン化ー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物が得られる。
b.(2R)−1−ハロゲン化ー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物とシアン化ナトリウムを求核置換反応を行わせることによって、(2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテン化合物が得られる。
c.2R)−1−シアノー2−ハイドロキシー4−ペンテンとアルコールを酸の触媒作用の下で、加アルコール分解反応を行わせることによって、通式IIに示されている化合物が得られる。

d.通式IIに示されている化合物をアルカリ性溶剤の中でハイドロキシ基保護を行わせることによって、通式IIIに示されている化合物が得られる。

【請求項14】
ステップaにおいて、前記触媒は塩化第一銅、沃化第一銅、シアン化第一銅で、前記触媒とR−エピクロロヒドリンとのモル比は0.10〜0.15:1であることを特徴とする請求項13に記載の調製方法。
【請求項15】
ステップdにおいて、前記アルカリ性溶剤はイミダゾールと有機溶剤との混合液からなることを特徴とする請求項13に記載の調製方法。
【請求項16】
前記イミダゾールと通式IIに示されている化合物とのモル比は1.5〜2.5:1であることを特徴とする請求項13に記載の調製方法。
【請求項17】
通式V化合物、式V:

その中、
Xはハロゲン族原子、
Yはハイドロキシ基保護基、
Rはアルキル基。
【請求項18】
その中のXはBr、YはTBS保護基グループ、Rはメチル基、つまり、式VIIに示されている化合物からなる、請求項17に記載の通式V化合物。

【請求項19】
通式IVの化合物がニトロキシドラジカルや、選択的酸化剤および相間移動触媒の存在する条件の下で、溶剤Aの中でハイドロキシ基を選択的に酸化させることによって得られる、請求項17又は18に記載の通式V化合物の調製方法。

【請求項20】
前記溶剤はジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、アセトニトリール、アセトン、ブタノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DMF、DMA、DMSO、水及びその任意の混合液からなる請求項19に記載の通式V化合物の調製方法。
【請求項21】
前記ニトロキシドラジカルは2,2,6,6−テトラメチルピペリジンーN−オキシド化合物からなる請求項19に記載の通式V化合物の調製方法。
【請求項22】
前記選択的酸化剤は次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムからなる請求項19に記載の通式V化合物の調製方法。
【請求項23】
前記相間移動触媒は塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、塩化トリオクチルメチルアンモニウム又は塩化セチルトリメチルアンモニウムからなる請求項19に記載の通式V化合物の調製方法。
【請求項24】
通式IV化合物、式IV:

式中、
Xはハロゲン族原子、
Yはハイドロキシ保護基
Rはアルキル基。
【請求項25】
その中のXはBr、YはTBS保護基グループ、Rはメチル基、つまり、式VIに示されている化合物からなる請求項24に記載の通式IV化合物。

【請求項26】
通式III化合物とハロゲン試薬との溶剤Bの中でのハロゲン化反応によって得られる請求項24又は25に記載の通式IV化合物の調製方法。

【請求項27】
前記溶剤Bはジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、アセトニトリール、アセトン、ブタノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、DMF、DMA、DMSO、水及びその任意の混合液からなる請求項26に記載の調製方法。
【請求項28】
前記ハロゲン化反応の温度はー10〜50℃である請求項26に記載の調製方法。

【公表番号】特表2013−521225(P2013−521225A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554193(P2012−554193)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/CN2010/075519
【国際公開番号】WO2011/124050
【国際公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(512223892)重▲慶▼博▲騰製薬▼科技股▲フン▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】