説明

ロックボルト打設装置

【課題】ドリルジャンボが備えるガイドシェルに装着するだけで、かつ、さく孔ロッドを装着したままで、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入及び抜き出し作業と、ロックボルトの挿入作業と、を機械化することが可能なロックボルト打設装置を提供する。
【解決手段】ドリフタ、ガイドシェル2及びさく孔ロッド4を有する坑内作業装置のガイドシェル2に装着されるロックボルト打設装置である。少なくとも充填材注入管及びロックボルトを含む棒状部材のうち、選択された何れか1本の棒状部材を保持した状態で回転することにより、保持した棒状部材を進退可能な複数のローラ30を有するローラ機構50を備える。ドリフタにより回転されるさく孔ロッド4の回転を、棒状部材を進退させる方向の回転に変換してローラ30へ伝達可能な駆動力変換機構60を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックボルト打設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル施工作業においては、発破による切羽掘進と並行して、トンネル壁面の補強を目的としたロックボルトの打設が行われる。ロックボルト打設作業は、ドリルジャンボで切羽掘削を行った後で、例えば、ロックボルト打設専用機を用いて行う。
【0003】
ロックボルト打設専用機の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1のロックボルト打設専用機は、複合シェルに、さく孔装置、モルタル注入装置及びロックボルト挿入装置を同一軸線上に進退可能に搭載してなる。
【0004】
しかしながら、特許文献1のロックボルト打設専用機は、該ロックボルト打設専用機をドリルジャンボとは別に備える必要があり設備コストが嵩んでしまう。このため、特許文献2に記載されたように、ドリルジャンボのさく孔ブームにロックボルト打設専用機と同様の複合シェルを搭載したロックボルト打設装置が提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2のロックボルト打設装置においては、通常のさく孔ブームに重量の嵩む複合シェルを搭載するために、ブーム本体の構造に強度不足が生じたりブーム駆動用のアクチュエータの能力不足が生じたりする可能性がある。このため、ブームを含む構造部材の補強やアクチュエータの動力向上が必要となるので、結局はコストが嵩む。
【0006】
そこで、特許文献2のロックボルト打設装置のような重量の増加を低減するために、特許文献3に記載されたようにさく孔装置の回転力を駆動源とする棒状部材送り出し装置を、さく孔軸線とは平行にガイドシェルに固定したロックボルト打設装置が提案されている。
【特許文献1】特開昭63−241300号公報
【特許文献2】特開平9−78979号公報
【特許文献3】特開2006−83654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3のロックボルト打設装置では、さく孔装置の回転を駆動力として棒状部材へ伝達させるためには、さく岩機に接続されたさく孔ロッドを取り外さなければならない。さく孔ロッドの取り外し作業は、ねじ切りのための無回転打撃に続いてさく孔ロッドを切り離して搬送することにより行う。しかし、無回転打撃を確実に行うのは高度な技術を要し、また、ドリルジャンボにはロッド搬送装置が備わっていないことからさく孔ロッドの搬送は人力によることになり作業の手間がかかる。
【0008】
また、特許文献3のロックボルト打設装置では、ガイドシェルに棒状部材の送り出し機構が固定的に設けられているだけであり、モルタル注入装置の注入パイプの保持手段や、ロックボルト挿入装置のロックボルトの保持手段は備わっておらずロックボルト打設装置としては不完全といえる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、従来のドリルジャンボ或いはその他の坑内作業装置が備えるガイドシェルに装着するだけで、かつ、さく孔ロッドを装着したままで、充填材の注入作業とロックボルトの挿入作業とを機械化することが可能なロックボルト打設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のロックボルト打設装置は、ドリフタ、ガイドシェル及びさく孔ロッドを有する坑内作業装置の前記ガイドシェルに装着されて、少なくとも、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入及び抜き出し作業と、ロックボルト挿入作業と、を行うロックボルト打設装置であって、少なくとも充填材注入管及びロックボルトを含む棒状部材のうち選択された何れか1本の棒状部材を保持した状態で回転することにより、前記保持した棒状部材を進退可能な複数のローラを有するローラ機構と、前記ドリフタにより回転される前記さく孔ロッドの回転を、前記ローラが前記棒状部材を進退させる方向の回転に変換して前記ローラへ伝達可能な駆動力変換機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ローラ機構のローラが棒状部材を保持した状態で回転することにより、該棒状部材を進退させることができる。また、駆動力変換機構が、ドリフタにより回転されるさく孔ロッドの回転をローラが棒状部材を進退させる方向の回転に変換してローラへ伝達するので、ドリフタの回転力を利用して棒状部材を進退させることができる。
【0012】
すなわち、さく孔ロッドをドリフタに装着したままで、このドリフタの回転力を利用することにより、棒状部材を例えばロックボルト孔内に挿入する動作とロックボルト孔から抜き出す動作とを行うことができる。
【0013】
ローラにより保持させる棒状部材として充填材注入管を選択しているときには、充填材注入管をロックボルト孔に挿入する動作及びロックボルト孔から抜き出す動作を行うことにより、充填材注入作業を補助することができる。また、ローラにより保持させる棒状部材としてロックボルトを選択しているときには、ロックボルト挿入作業を行うことができる。
【0014】
また、本発明に係るロックボルト打設装置においては、前記棒状部材を前記ローラにより進退可能に案内及び支持するガイド機構を備えても良く、これにより、棒状部材を扱う手作業を軽減することができる。
【0015】
ガイド機構は、例えば、充填材注入管及びロックボルトの双方を並べて支持することが可能な寸法のガイド孔が形成されたガイド部材と、ガイド孔内における充填材注入管及びロックボルトの位置を移動させる移動機構と、を備え、移動機構は、充填材注入管をローラにより保持可能な保持位置に移動可能な状態とするとともにロックボルトを保持位置から外れた第1待避位置に移動させる第1状態と、ロックボルトを保持位置に移動させるとともに充填材注入管を保持位置から外れた第2待避位置に移動させる第2状態と、に切り替え可能であるように構成することができる。この場合、例えば、第1状態と第2状態とにこの順に切り替えることにより、一箇所のロックボルト孔への充填材注入作業とロックボルト挿入作業とを一度の段取りで連続的に行うことが可能となる。
【0016】
また、駆動力変換機構は、例えば、さく孔ロッドの回転を該さく孔ロッドに対して平行な平行軸に伝達し、平行軸の回転を平行軸に対して直交する直交軸の軸回りの回転に変換するものであり、さく孔ロッドをその長手方向に摺動自在に支持しかつさく孔ロッドに伴ってその軸周りに回転する駆動回転部と、平行軸が連結された従動回転部と、駆動回転部と従動回転部とに掛けわたされ駆動回転部の回転を従動回転部へ伝達する第1伝達部材と、平行軸の回転を90度変換して直交軸へ伝達する第2伝達部材と、を備えるものとして構成することができ、ローラは直交軸又は該直交軸と平行な軸を回転軸として回転することにより棒状部材を進退させるものとして構成することができる。この場合、さく孔ロッドの回転を90度変換してローラに伝達するため、棒状部材をさく孔ロッドと平行に進退させることが可能となる。このため、さく孔ロッドによるさく孔後、ガイドシェルの位置及び向きをほとんど修正せずに、棒状部材をロックボルト孔内に送り出す動作とロックボルト孔から抜き出す動作とを行うことができる。また、駆動力変換機構を簡素な構成で実現することができる。駆動回転部及び従動回転部としては、例えば、それぞれスプロケットを用いることができ、第1伝達部材としては、例えばチェーンを用いることができる。第2伝達部材としては、例えば、ベベルギア(傘歯車)を用いることができる。また、前記駆動力変換機構は、従動回転部の回転を平行軸へ伝達する状態と伝達しない状態とに切り替えるクラッチを備えても良く、これにより平行軸への動力の伝達を接断可能となるので、ローラの動作が不要なときの、ドリフタのエネルギーロスを低減できる。
【0017】
また、ローラは、例えば、供給される空気圧により膨らむ加圧ローラとすることができ、これにより、棒状部材をより確実にローラにより保持及び進退させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のドリルジャンボ或いはその他の坑内作業装置のガイドシェルにロックボルト打設装置を装着するだけで、かつ、さく孔ロッドを装着したままで、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入及び抜き出し作業と、ロックボルトの挿入作業と、を機械化することが可能な、簡易で汎用性の高いロックボルト打設装置を実現できる。よって、特殊なロックボルト打設専用機を開発する必要が無く、コストダウンも併せて図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0020】
図1は実施形態に係るロックボルト打設装置100の側面図、図2はロックボルト打設装置100の平面図、図3は図1のA−A線に沿った矢視断面図、図4は図1のB−B線に沿った矢視断面図である。
【0021】
本実施形態に係るロックボルト打設装置100は、ドリフタ1、ガイドシェル2及びさく孔ロッド4を有する坑内作業装置(全体図示略)のガイドシェル2に装着されて、少なくとも、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入及び抜き出し作業と、ロックボルト挿入作業と、を行うロックボルト打設装置である。ロックボルト打設装置100は、少なくとも充填材注入管FP及びロックボルトRBを含む棒状部材のうち、選択された何れか1本の棒状部材(例えば、充填材注入管FP又はロックボルトRB)を保持した状態で回転することにより、この保持した棒状部材を進退可能な複数のローラ(例えば、加圧ローラ30)を有するローラ機構50を備える。更に、ロックボルト打設装置100は、ドリフタ1により回転されるさく孔ロッド4の回転を、ローラ(例えば、加圧ローラ30)が棒状部材を進退させる方向の回転に変換してローラへ伝達可能な駆動力変換機構60を備える。以下、詳細に説明する。
【0022】
先ず、構成を説明する。
【0023】
本実施形態に係るロックボルト打設装置100は、例えばドリルジャンボのような坑内作業装置(全体図示略)が備えるガイドシェル2に装着して用いられるものである。
【0024】
その坑内作業装置は、いずれも公知のドリフタ1、ガイドシェル2、キャリッジ3、さく孔ロッド4、スリーブ5、ビット6、セントラライザ7、サブセントラライザ8、ホースターミナル9といった所謂ガイドシェルユニットを備えている。このようなガイドシェルユニットは、坑内作業装置が備える作業ブーム(図示略)の先端部に設けられている。
【0025】
ガイドシェル2にはキャリッジ3を介してドリフタ1が装着されている。ドリフタ1はスリーブ5を介してさく孔ロッド4に接続され、該さく孔ロッド4に回転力を付与する。さく孔ロッド4の先端には、トンネル壁面へロックボルト孔をさく孔するためのビット6が固定されている。ガイドシェル2には、更に、セントラライザ7、サブセントラライザ8、及びホースターミナル9が設けられている。なお、ドリフタ1は、さく孔ロッド4を正回転及び逆回転させることが可能に構成されている。
【0026】
本実施形態に係るロックボルト打設装置100は、棒状部材(例えば、充填材注入管FP又はロックボルトRB)を保持した状態で回転することにより、この保持した棒状部材を進退させることが可能な複数の加圧ローラ30を有するローラ機構50と、さく孔ロッド4の回転を加圧ローラ30が棒状部材を進退させる方向の回転に変換して加圧ローラ30へ伝達することが可能な駆動力変換機構60と、棒状部材を加圧ローラ30により進退可能に案内及び支持するガイド機構70と、を備えている。
【0027】
駆動力変換機構60は、例えば、さく孔ロッド4に対して平行な平行軸20と、平行軸20に対して直交する直交軸22と、を備える。そして、駆動力変換機構60は、さく孔ロッド4の回転を平行軸20に伝達し、該平行軸20の回転を直交軸22の軸回りの回転に変換して、加圧ローラ30へ伝達する。
【0028】
この駆動力変換機構60は、より具体的には、例えば、さく孔ロッド4をその長手方向に摺動自在に支持しかつさく孔ロッド4に伴ってその軸周りに回転する駆動回転部としての駆動スプロケット10を備える。更に、駆動力変換機構60は、平行軸20が連結された従動回転部としての従動スプロケット12と、駆動スプロケット10と従動スプロケット12とに掛けわたされ駆動スプロケット10の回転を従動スプロケット12へ伝達する第1伝達部材としてのローラーチェーン(チェーン)15と、を備える。更に、駆動力変換機構60は、平行軸20の回転を90度変換して直交軸22へ伝達する第2伝達部材としてのベベルギア(図示略:後述する第1及び第2ベベルギア)を備える。
【0029】
更に、駆動力変換機構60は、例えば、従動スプロケット12の回転を平行軸20へ伝達する状態と伝達しない状態とに切り替えるクラッチ16を備える。
【0030】
駆動力変換機構60は、他に、例えば、テンションスプロケット13と、アジャスタ機構14と、ギアボックス21と、を備えている。
【0031】
駆動スプロケット10には、該駆動スプロケット10をその回転軸方向に貫通する挿通孔11が形成され、この挿通孔11にさく孔ロッド4が挿通されている。挿通孔11は、さく孔ロッド4を、その長手方向には摺動自在、かつ、軸周りには回動不能に支持するような形状及び寸法に設定されている。このため、駆動スプロケット10は、さく孔ロッド4に伴って該さく孔ロッド4の軸周りに回転する。ここで、さく孔ロッド4の断面形状は、例えば多角形状に設定されている。本実施形態では、例えば、六角形状である。このため、本実施形態の場合、挿通孔11は六角孔である。
【0032】
テンションスプロケット13は、駆動スプロケット10と従動スプロケット12との間において、該テンションスプロケット13の軸周りに回動可能に設けられ、ローラーチェーン15に係合している。すなわち、ローラーチェーン15は、駆動スプロケット10及び従動スプロケット12の他、テンションスプロケット13にも掛けわたされている。このため、さく孔ロッド4に伴って駆動スプロケット10が回転すると、その回転はローラーチェーン15を介してテンションスプロケット13及び従動スプロケット12に伝達される。更に、従動スプロケット12が回転するのに伴って平行軸20もその軸周りに回転する。
【0033】
アジャスタ機構14は、ローラーチェーン15の経路を伸ばす方向又は縮める方向にテンションスプロケット13を移動させることにより、ローラーチェーン15の張力を調節する。
【0034】
平行軸20はさく孔ロッド4の軸線に対し平行となるよう、該さく孔ロッド4から離間した位置に配置され、該平行軸20の軸周りに回動可能とされている。
【0035】
この平行軸20の一端は、従動スプロケット12に連結されている。詳細には、平行軸20の一端は、クラッチ16を介して従動スプロケット12に連結されている。このクラッチ16により、従動スプロケット12の回転を平行軸20へ伝達する状態と、従動スプロケット12の回転を平行軸20へ伝達しない状態と、に切り替えることが可能とされている。
【0036】
また、平行軸20の他端には第1ベベルギア(傘歯車:図示略)が設けられている。また、直交軸22の一端には第2ベベルギア(傘歯車:図示略)が設けられている。これら第1及び第2ベベルギアは相互に噛み合っている。このため、平行軸20の回転は、第1ベベルギア及び第2ベベルギアによって90度変換されて直交軸22へ伝達されるので、直交軸22は該直交軸22の軸周りに回転する。なお、直交軸22は、例えば、図3における上下方向、すなわちガイドシェル2の上下方向を軸心方向としている。
【0037】
ギアボックス21内には、平行軸20の他端側(第1ベベルギアを含む部分)と、直交軸22の一端側(第2ベベルギアを含む部分)と、この直交軸22に対し平行に配置された従動軸23の一端側と、直交軸22の回転を従動軸23へ伝達するチェーン機構(図示略)と、が収納されている。
【0038】
従動軸23は、直交軸22と連動し、該直交軸22と平行な回転軸周りに、該直交軸22と同じ回転速度で回転する。
【0039】
なお、直交軸22及び従動軸23の他端側はギアボックス21の外部に露出し、これら露出した部分にそれぞれ加圧ローラ30が設けられている。なお、従動軸23は、例えば、3つ備えられている。
【0040】
このような駆動力変換機構60は、例えば、ガイドシェル2先端に設けられたセントラライザ7の直後方(図1中右方)に配置されている。また、平行軸20は、例えば、ガイドシェル2先端の側方に配置されている。
【0041】
ローラ機構50は、例えば、直交軸22及び従動軸23の各々の周囲に設けられ、該直交軸22及び従動軸23の各々に伴って回転する複数の加圧ローラ30を備える。加圧ローラ30は、このように直交軸22及び従動軸23に設けられているため、直交軸22、又は、直交軸22と平行な軸(従動軸23)を回転軸として回転することにより、棒状部材を進退させることとなる。
【0042】
本実施形態の場合、従動軸23が3つであるため、加圧ローラ30は、直交軸22に設けられているものと合わせて合計4つ(左右で対をなす加圧ローラ30が前後合わせて2対)である。図2に示すように、このうち2つの加圧ローラ30は前側(図2の左方)において左右に並んで配置され、残る2つの加圧ローラ30は後側(図2の右方)において左右に並んで配置されている。
【0043】
なお、加圧ローラ30により棒状部材を挟むように保持できれば、加圧ローラ30の個数は幾つでも良い。例えば、左右一対のみの加圧ローラ30、すなわち2個の加圧ローラ30を設けるだけでも良いし、3対以上の加圧ローラ30を設けても良い。或いは、例えば、左右の一方に1個の加圧ローラ30、他方に2個の加圧ローラ30を設けるなど、加圧ローラ30の個数が棒状部材の左右で互いに異なるようにしても良い。
【0044】
ここで、4つの加圧ローラ30がこのように配置されているため、ギアボックス21内のチェーン機構は、直交軸22の左(図3の右方、図2の下方)に並ぶ従動軸23が直交軸22に対し逆回転し、直交軸22の後方(図3の奥、図2の右方)に位置する従動軸23が直交軸22と同じ方向に回転し、直交軸22の斜め後ろ(図3の右奥、図2の右下方)に位置する従動軸23が直交軸22に対し逆回転するように、各従動軸23へ直交軸22の回転を伝達する。
【0045】
これにより、棒状部材は、左右に並ぶ二対の加圧ローラ30によって挟むように保持されて、これら加圧ローラ30の回転に伴って進退する。ここで、上記のようにドリフタ1はさく孔ロッド4を正回転及び逆回転させることが可能である。このため、例えば、さく孔ロッド4を正回転させる状態では、加圧ローラ30は棒状部材を前進させることができる一方で、さく孔ロッド4を逆回転させる状態では、加圧ローラ30は棒状部材を後退させることができるようになっている。
【0046】
加圧ローラ30は、例えばシリコンゴムチューブのように、柔軟な材質からなる密閉された中空体であり、図示しない気体供給装置から該加圧ローラ30内に気体(例えば空気)が供給されることにより膨らむようになっている。各加圧ローラ30が膨らむと、加圧ローラ30どうしの間隔が狭まるので、これら加圧ローラ30により好適に棒状部材を保持できることとなる。すなわち、加圧ローラ30による棒状部材の把握力は、供給空気圧により調整可能となっている。また、加圧ローラ30は、膨らんだ状態では、弾性を以て棒状部材に対して接することになり、好適に棒状部材を保持できる。加えて、このような加圧ローラ30を用いることにより、様々な寸法(径)の棒状部材をそれぞれ好適に保持できる。
【0047】
ローラ機構50は、更に、回転軸が加圧ローラ30に対し直交する補助ローラ31と、補助ローラ31をその回転軸周りに回動可能となるようその両端をそれぞれ保持する一対の保持ブラケット32と、を備えている。
【0048】
ローラ機構50は、例えば、4つの補助ローラ31を備えている。各補助ローラ31は、例えば、図3の左右方向に延在するように配置されている。このうち2つの補助ローラ31は、例えば、図3に示すように、前側の加圧ローラ30よりも更に前側において上下に並んで配置され、残る2つの補助ローラ31は、例えば、図1に示すように、後側の加圧ローラ30よりも更に後側において上下に並んで配置されている。
【0049】
ガイド機構70は、ガイド部材としてのガイド板(前)40、ガイド板(中)41、ガイド板(後)42と、移動機構としてのシフター44(図4)と、を備えて構成されている。各ガイド板40〜42は、それぞれ板面方向がガイドシェル2の長手方向に対して直交するように、ガイドシェル2の側方に設けられている。
【0050】
図1及び図2に示すように、各ガイド板40、41、42は、ガイドシェル2の前後方向において相互に離間して、この順に直線上に並んで配置されている。各ガイド板40〜42には、充填材注入管FP及びロックボルトRBの双方を並べて支持することが可能な寸法の長穴状のガイド孔43(図4)が、同軸上に並ぶように形成されている。各ガイド板40〜42は、このガイド孔43によって、棒状部材を加圧ローラ30により進退可能となるよう案内及び支持する。
【0051】
ガイド孔43の長手方向は、ガイドシェル2の左右方向(図4の左右方向、図2では上下方向)に設定されている。このため、図4に示すように、ガイド孔43内には、充填材注入管FPとロックボルトRBとを左右に並ばせて、一度に配置することができる。
【0052】
シフター44は、ガイド板(後)42の後面に設けられ、揺動軸45を中心に揺動可能とされている。ガイド板(42)42には、位置決めピン48を差し込み可能な2つの位置決め孔46,47が形成され、シフター44には、位置決めピン48を差し込み可能な位置決め孔49が形成されている。位置決めピン48を位置決め孔49を介して位置決め孔46又は47の何れか一方に選択的に差し込むことにより、シフター44の位置を2つの位置にそれぞれ位置決め可能である。すなわち、図4に実線と点線とで描かれた位置と、2点鎖線で描かれた位置と、の2つの位置に位置決め可能である。
【0053】
ロックボルトRBの打設作業は、通常は水平より上方向に行う。このため、シフター44の前面にロックボルトRBの下端を載せることにより、該ロックボルトRBの下端をシフター44によって支持することができる。また、この状態でシフター44を揺動させるのに伴わせて、ロックボルトRBの下端の位置も移動させることができる。
【0054】
充填材の充填中は、シフター44を揺動させて、該シフター44の位置決め孔49を介して図4の右方の位置決め孔46に位置決めピン48を差し込む。これにより、シフター44がロックボルトRBをガイド孔43内における第1待避位置(図4の左方)へ移動させるとともに、充填材注入管FPが加圧ローラ30により保持可能な打設軸線X(保持位置)へ移動することを許容する(その移動を妨げない)状態にする(第1状態)。
【0055】
また、ロックボルトRBを打設する際には、シフター44を揺動させて、該シフター44の位置決め孔49を介して図4の左方の位置決め孔47に位置決めピン48を差し込む。これにより、シフター44がロックボルトRBを第1待避位置から打設軸線Xへと移動させるとともに、充填材注入管FPはシフター44によりガイド孔43の内周壁(図4の右方の内周壁)に押付けられる位置(第2待避位置)へと移動される。これにより、ガイド板42、ひいてはガイド機構70からの充填材注入管FPの落下が防止される。
【0056】
次に、ロックボルト打設装置100を用いてロックボルトRBを打設する動作の一例を説明する。
【0057】
先ず、ドリフタ1の打撃及び回転機構とガイドシェル2の送り機構により、さく孔ロッド4でトンネル等の壁面にロックボルト孔をさく孔する。このとき、クラッチ16を切断、すなわち従動スプロケット12の回転を平行軸20へ伝達しない状態にしておく。これにより、ドリフタ1の回転力は、駆動力変換機構60の平行軸20以降の部分へは伝達されないので、エネルギーロスを極力抑えることができる。
【0058】
次に、充填材注入管FPを、例えば作業員がガイド板40〜42のガイド孔43内に差し込むことにより、該ガイド機構70に装着する。なお、充填材注入管FPは、さく孔作業中もガイド機構70に装着しておいても良い。
【0059】
次に、ロックボルトRBを、例えば作業員がガイド板40〜42のガイド孔43内に差し込むことにより、該ガイド機構70に装着する。なお、図4に示すように、ロックボルトRBは充填材注入管FPの右方(図4の左方)に位置させる。また、ロックボルトRBの下端がシフター44に載るようにする。
【0060】
次に、シフター44を、例えば作業員が第1状態に切り替える。すなわち、シフター44を揺動させて、位置決めピン48を位置決め孔49を介して位置決め孔46に差し込む。これにより、ロックボルトRBをガイド孔43内における第1待避位置(図4の左方)へ移動させるとともに、充填材注入管FPを加圧ローラ30により保持可能な打設軸線Xへ移動可能な状態にする(打設軸線Xへの移動を許容する状態にする)。
【0061】
次に、充填材注入管FPを、例えば作業員が打設軸線Xに位置決めする。次に、充填材注入管FPの先端を、例えば作業員が加圧ローラ30間に差し込む。これにより、加圧ローラ30により充填材注入管FPの先端を保持させる。なお、加圧ローラ30により充填材注入管FPを保持させた後で、加圧ローラ30内に気体を供給して該加圧ローラ30を膨らませても良い。次に、クラッチ16を接続、すなわち従動スプロケット12の回転を平行軸20へ伝達する状態にする。
【0062】
次に、ドリフタ1によりさく孔ロッド4を正回転させる。これに伴い、さく孔ロッド4の回転は、駆動力変換機構60によって各加圧ローラ30の回転方向に変換されて各加圧ローラ30へ伝達されるため、各加圧ローラ30に保持された充填材注入管FPが前進する。ここでの前進動作は、充填材注入管FPの先端がガイドシェル2の先端付近に達するまで行う。
【0063】
次に、充填材注入管FPの先端がロックボルト孔に臨む位置に位置決めされるよう、ガイドシェル2の姿勢を微調整する。次に、ドリフタ1によりさく孔ロッド4を正回転させる。これに伴い、再び充填材注入管FPが前進するので、該充填材注入管FPはロックボルト孔内に挿入される。ここでの挿入動作は、充填材注入管FPの先端がロックボルト孔の最奥部に達するまで行う。
【0064】
次に、充填材注入ポンプ(例えば、モルタル注入ポンプ:図示略)を作動させて、充填材(例えばモルタル)を、ホースH及び充填材注入管FPをこの順に介してロックボルト孔内に供給しながら、ドリフタ1によりさく孔ロッド4を逆回転させる。これにより、充填材注入管FPは、ロックボルト孔内で後退しながら(ロックボルト孔から抜き出されながら)、該ロックボルト孔の奥から手前側に向けて連続的に充填材を充填する。
【0065】
ロックボルト孔へ充填材を充填し終えたら、充填材注入管FPを、例えば作業員が加圧ローラ30から取り外す。この取り外しに際しては、加圧ローラ30内より気体を排出し、該加圧ローラ30を縮ませても良い。
【0066】
次に、シフター44を、例えば作業員が第2状態に切り替える。すなわち、シフター44を揺動させて、位置決めピン48を位置決め孔49を介して位置決め孔47に差し込む。これにより、ロックボルトRBが第1待避位置から打設軸線Xへと移動するとともに、充填材注入管FPがガイド孔43の内周壁に押付けられ、該充填材注入管FPの落下が防止される。
【0067】
次に、ロックボルトRBの先端を、例えば作業員が加圧ローラ30間に差し込む。これにより、加圧ローラ30によりロックボルトRBの先端を保持させる。なお、加圧ローラ30によりロックボルトRBを保持させた後で、加圧ローラ30内に気体を供給して該加圧ローラ30を膨らませても良い。
【0068】
次に、ドリフタ1によりさく孔ロッド4を正回転させる。これに伴い、ロックボルトRBは、前進するので、充填材を充填済みのロックボルト孔内に挿入される。この動作は、ロックボルトRBが、前側に位置する一対の加圧ローラ30から離れるまで行う。これにより、ロックボルト孔へのロックボルトRBの挿入が完了する。なお、ロックボルトRBはロックボルト孔内に残留させるため、後退させる必要はない。
【0069】
以上により、1つのロックボルト孔への充填材の注入作業及びロックボルトRBの挿入作業が完了する。
【0070】
このように、さく孔作業を終えた後にさく孔ロッド4を取り外すことなく、充填材の充填とロックボルト打設作業とを行うことができるので、作業性が向上する。また、駆動力変換機構60は簡易な機構ながら、確実にロックボルト打設の各作業を行うことが可能である。また、ガイド機構70は重労働であるロックボルトRBのハンドリングを簡易な構成で補助可能であるため作業環境が改善される。
【0071】
以上のような実施形態によれば、ドリフタ1、ガイドシェル2及びさく孔ロッド4を有する坑内作業装置のガイドシェル2に装着されて、少なくとも、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入作業及び抜き出し作業と、ロックボルト挿入作業と、を行うロックボルト打設装置100であって、少なくとも充填材注入管FP及びロックボルトRBを含む棒状部材のうち、選択された何れか1本の棒状部材を保持した状態で回転することにより、保持した棒状部材を進退可能な複数の加圧ローラ30を有するローラ機構50と、ドリフタ1により回転されるさく孔ロッド4の回転を、加圧ローラ30が棒状部材を進退させる方向の回転に変換して加圧ローラ30へ伝達可能な駆動力変換機構60と、を備えるので、ローラ機構50の加圧ローラ30が棒状部材を保持した状態で回転することにより、該棒状部材を進退させることができる。また、駆動力変換機構60が、ドリフタ1により回転されるさく孔ロッド4の回転を加圧ローラ30が棒状部材を進退させる方向の回転に変換して加圧ローラ30へ伝達するので、ドリフタ1の回転力を利用して棒状部材を進退させることができる。すなわち、さく孔ロッド4をドリフタ1に装着したままで、このドリフタ1の回転力を利用することにより、棒状部材を例えばロックボルト孔内に送り出す動作とロックボルト孔から抜き出す動作とを行うことができる。加圧ローラ30により保持させる棒状部材として充填材注入管FPを選択しているときには、充填材注入管FPをロックボルト孔に挿入する動作及びロックボルト孔から抜き出す動作を行うことにより、充填材注入作業を補助することができる。また、加圧ローラ30により保持させる棒状部材としてロックボルトRBを選択しているときには、ロックボルト挿入作業を行うことができる。
【0072】
このように、従来のドリルジャンボ或いはその他の坑内作業装置のガイドシェル2にロックボルト打設装置100を装着するだけで、かつ、さく孔ロッド4を装着したままで、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入及び抜き出し作業と、ロックボルトの挿入作業と、を機械化することが可能な、簡易で汎用性の高いロックボルト打設装置100を実現できる。よって、特殊なロックボルト打設専用機を開発する必要が無く、コストダウンも併せて図ることができる。
【0073】
また、棒状部材を加圧ローラ30により進退可能に案内及び支持するガイド機構70を備えるので、棒状部材を扱う手作業を軽減することができる。
【0074】
また、ガイド機構は、例えば、充填材注入管FP及びロックボルトRBの双方を並べて支持することが可能な寸法のガイド孔43が形成されたガイド板40〜42と、ガイド孔43内における充填材注入管FP及びロックボルトRBの位置を移動させるシフター44と、を備え、シフター44は、充填材注入管FPを加圧ローラ30により保持可能な打設軸線Xに移動可能な状態にするとともにロックボルトRBを打設軸線Xから外れた第1待避位置に移動させる第1状態と、ロックボルトRBを打設軸線Xに移動させるとともに充填材注入管FPを打設軸線Xから外れた第2待避位置に移動させる第2状態と、に切り替え可能であるので、第1状態と第2状態とにこの順に切り替えることにより、一箇所のロックボルト孔への充填材注入作業とロックボルト挿入作業とを一度の段取りで連続的に行うことが可能となる。
【0075】
また、駆動力変換機構60は、例えば、さく孔ロッド4の回転を該さく孔ロッド4に対して平行な平行軸20に伝達し、平行軸20の回転を該平行軸20に対して直交する直交軸22の軸回りの回転に変換し、加圧ローラ30は直交軸22又は該直交軸22と平行な従動軸23を回転軸として回転することにより棒状部材を進退させるので、すなわち、さく孔ロッド4の回転を90度変換して加圧ローラに伝達するので、棒状部材をさく孔ロッド4と平行に進退させることが可能となる。このため、さく孔ロッド4によるさく孔後、ガイドシェル2の位置及び向きをほとんど修正せずに、棒状部材をロックボルト孔内に送り出す動作とロックボルト孔から抜き出す動作とを行うことができる。また、駆動力変換機構60は、さく孔ロッド4をその長手方向に摺動自在に支持しかつさく孔ロッド4に伴ってその軸周りに回転する駆動スプロケット10と、平行軸20が連結された従動スプロケット12と、駆動スプロケット10と従動スプロケット12とに掛けわたされ駆動スプロケット10の回転を従動スプロケット12へ伝達するローラーチェーン15と、平行軸20の回転を90度変換して直交軸22へ伝達する第1及び第2ベベルギアと、を備えるものとして、簡素に構成されている。
【0076】
また、従動スプロケット12の回転を平行軸20へ伝達する状態と伝達しない状態とに切り替えるクラッチ16を備えるので、平行軸20への動力の伝達を接断可能となるので、加圧ローラ30の動作が不要なときの、ドリフタ1のエネルギーロスを低減できる。
【0077】
また、加圧ローラ30は、供給される空気圧により膨らむため、棒状部材をより確実にローラにより保持及び進退させることができる。
【0078】
以上、図面に基づき本発明のロックボルト打設装置を説明したが、本発明が実施形態に限定されることはなく、発明の本質に逸脱しない範囲で変更を許容することは言うまでもない。
【0079】
例えば、駆動力変換機構による回転方向の変換量は90度に限らず、必要に応じてその他の角度に変換しても良い。また、ローラ機構50により保持及び進退される棒状部材としては、充填材注入管FP及びロックボルトRB以外のものを適用することも可能である。また、ガイド機構70は、必ずしも備える必要はない。
【0080】
また、ローラーチェーン15はベルト(平ベルト、丸ベルト、Vベルト、タイミングベルトなど)に変更可能であるし、これに伴い、各スプロケット10、12、13はプーリ(円筒状のプーリ、断面半円状の溝を外周に持つプーリ、断面V字形の溝を外周に持つプーリ、タイミングプーリなど)に変更可能である。更に、回転方向を変換するためにベベルギアを用いた例を説明したが、その他の変換機構により回転方向を変換しても良い。また、クラッチ16は、必ずしも備える必要がない。
【0081】
また、ローラは、加圧式に限らず、例えば、複数のローラ間の距離が(シリンダ駆動などにより)変化する機構のものであっても良い。なお、この場合も、ローラの少なくとも表層部が柔軟であるか又は弾性を有することが好ましい。
【0082】
また、シフター44は揺動式ではなくスライド式でもよい。また、シフター44の位置決めはピン方式ではなく油圧などを用いたデテント式でもかまわない。また、シフター44においてロックボルトRBの下端が載せられる部位には、該下端が入り込む凹部を形成しても良い。
【0083】
また、上記の実施形態では前後左右上下の方向を規定した説明を行ったが、これは本発明の構成要素の相対位置関係の一例を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施形態に係るロックボルト打設装置の側面図である。
【図2】図1のロックボルト打設装置の平面図である。
【図3】図1のA−A線に沿った矢視断面図である。
【図4】図1のB−B線に沿った矢視断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 ドリフタ
2 ガイドシェル
4 さく孔ロッド
10 駆動スプロケット(駆動回転部)
12 従動スプロケット(従動回転部)
15 ローラーチェーン(第1伝達部材)
16 クラッチ
20 平行軸
22 直交軸
23 従動軸(直交軸と平行な軸)
30 加圧ローラ(ローラ)
40 ガイド板(ガイド部材)
41 ガイド板(ガイド部材)
42 ガイド板(ガイド部材)
43 ガイド孔
44 シフター(移動機構)
50 ローラ機構
60 駆動力変換機構
70 ガイド機構
100 ロックボルト打設装置
RB ロックボルト
FP 充填材注入管
X 打設軸線(保持位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフタ、ガイドシェル及びさく孔ロッドを有する坑内作業装置の前記ガイドシェルに装着されて、少なくとも、ロックボルト孔への充填材注入管の挿入及び抜き出し作業と、ロックボルト挿入作業と、を行うロックボルト打設装置であって、
少なくとも充填材注入管及びロックボルトを含む棒状部材のうち選択された何れか1本の棒状部材を保持した状態で回転することにより、前記保持した棒状部材を進退可能な複数のローラを有するローラ機構と、
前記ドリフタにより回転される前記さく孔ロッドの回転を、前記ローラが前記棒状部材を進退させる方向の回転に変換して前記ローラへ伝達可能な駆動力変換機構と、
を備えることを特徴とするロックボルト打設装置。
【請求項2】
前記棒状部材を前記ローラにより進退可能に案内及び支持するガイド機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のロックボルト打設装置。
【請求項3】
前記ガイド機構は、
前記充填材注入管及び前記ロックボルトの双方を並べて支持することが可能な寸法のガイド孔が形成されたガイド部材と、
前記ガイド孔内における前記充填材注入管及び前記ロックボルトの位置を移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、前記充填材注入管を前記ローラにより保持可能な保持位置に移動可能な状態とするとともに前記ロックボルトを前記保持位置から外れた第1待避位置に移動させる第1状態と、前記ロックボルトを前記保持位置に移動させるとともに前記充填材注入管を前記保持位置から外れた第2待避位置に移動させる第2状態と、に切り替え可能であることを特徴とする請求項2に記載のロックボルト打設装置。
【請求項4】
前記駆動力変換機構は、
前記さく孔ロッドの回転を該さく孔ロッドに対して平行な平行軸に伝達し、前記平行軸の回転を前記平行軸に対して直交する直交軸の軸回りの回転に変換するものであり、
前記さく孔ロッドをその長手方向に摺動自在に支持しかつ前記さく孔ロッドに伴ってその軸周りに回転する駆動回転部と、
前記平行軸が連結された従動回転部と、
前記駆動回転部と前記従動回転部とに掛けわたされ前記駆動回転部の回転を前記従動回転部へ伝達する第1伝達部材と、
前記平行軸の回転を90度変換して前記直交軸へ伝達する第2伝達部材と、
を備えて構成され、
前記ローラは前記直交軸又は該直交軸と平行な軸を回転軸として回転することにより、前記棒状部材を進退させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロックボルト打設装置。
【請求項5】
前記駆動回転部及び前記従動回転部はそれぞれスプロケットであり、前記第1伝達部材はチェーンであることを特徴とする請求項4に記載のロックボルト打設装置。
【請求項6】
前記駆動力変換機構は、前記従動回転部の回転を前記平行軸へ伝達する状態と伝達しない状態とに切り替えるクラッチを備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のロックボルト打設装置。
【請求項7】
前記ローラは、供給される空気圧により膨らむ加圧ローラであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のロックボルト打設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−144349(P2010−144349A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320146(P2008−320146)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(594149398)古河ロックドリル株式会社 (50)
【Fターム(参考)】