ロック方法
【課題】ねじを回しても一方の部材と他方の部材の係止が維持され、かつ、それらの係止を外すことができる、ロック方法。
【解決手段】長穴とツメ部とを有する第1の板金3を、ねじ穴と開口とを有する第2の板金4によって保持し、ツメ部を開口から下方へ突出させ、貫通穴を有する一方の部材2の外面2’’から、ねじ5を、貫通穴と長穴とねじ穴を貫通させ、2つの板金3、4をねじ5に吊り下げ、ツメ部を、他方の部材1の突起部7の上面上を摺動させつつ一方の部材2と他方の部材1を互いに接近させ、重力によってツメ部を突起部上のツメ穴に進入させ、2つの板金3、4を、突起部7に対して移動不能にした状態で、ねじ5を回転させ、他方の部材1と2つの板金3、4を、一方の部材2に向けて移動させ、一方の部材2の係止部9aに第1の板金3を係止し、他方の部材1と2つの板金3、4を、一方の部材2に対して、ねじ5の長手方向に関して移動不能に固定する。
【解決手段】長穴とツメ部とを有する第1の板金3を、ねじ穴と開口とを有する第2の板金4によって保持し、ツメ部を開口から下方へ突出させ、貫通穴を有する一方の部材2の外面2’’から、ねじ5を、貫通穴と長穴とねじ穴を貫通させ、2つの板金3、4をねじ5に吊り下げ、ツメ部を、他方の部材1の突起部7の上面上を摺動させつつ一方の部材2と他方の部材1を互いに接近させ、重力によってツメ部を突起部上のツメ穴に進入させ、2つの板金3、4を、突起部7に対して移動不能にした状態で、ねじ5を回転させ、他方の部材1と2つの板金3、4を、一方の部材2に向けて移動させ、一方の部材2の係止部9aに第1の板金3を係止し、他方の部材1と2つの板金3、4を、一方の部材2に対して、ねじ5の長手方向に関して移動不能に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機器等に使用される筐体のロック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犯罪の増加に伴い、防犯に対する意識が高まっている。そのため、店舗、オフィス、そしてマンションなどに防犯カメラなどの防犯機器の設置が増えている。
【0003】
防犯機器として、例えば防犯カメラは、ベースとカバーで構成される筐体の内部に配置され、保護されている。防犯カメラに限らず、防犯機器の多くの筐体は、ベースとカバーとで構成されている。ベースとカバーとの係止を市販されているような一般的なねじで行なうと、当然のことながら容易に開けられ、筐体内のカメラが破壊されたりするおそれがある。そこで、ベースとカバーとの係止を外れないようにするために、特殊な工具を使用しないと動かすことができないねじやボルトが広く使われている。また、ベースの外部からボルトを挿入し、ベースとカバーとを係止する場合、ボルトの頭部と、カバーのボルト穴にラチェット歯を設け、一方の端部はボルトのラチェット歯と当接し、他方の端部は、カバーのボルト穴に設けられたラチェット歯と当接するようになっているリング状ツメ部材を配置することで、ボルトを一方向、つまり、締める方向にしか回らないようにして、ボルトを一度締めたら緩めることのできなくする方法などもある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−283889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近はネットワークを通じた通信販売などで特殊な工具を入手できる場合が増えている。そのため、ベースとカバーとの係止に特殊なねじを使用し、特殊な工具を使用しないとねじを回せないようにしたとしても、ベースとカバーの係止を容易に外されてしまう危険性がある。
【0006】
また、一度締めたら緩められないボルトを使用した場合、カバーを外すことができないので、防犯機器内部のメンテナンスなどができず、ベースとカバーとの係止を外すためには、係止部を破壊するしかなく、利便性に乏しい。
【0007】
本発明の目的は、特殊なねじや特殊な工具を使ってもベースとカバーの係止を外される危険があり、また、2度と外れないようにベースとカバーを係止すると利便性に乏しくなってしまう、といった課題を解決する、ロック方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1対の部材を互いに接合された状態に保つロック方法である。長穴と長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金を、内ねじを有する貫通孔であるねじ穴とツメ部が貫通可能な開口とを有する第2の板金によって保持して、長穴の一部とねじ穴が対向するとともにツメ部が開口を介して下方へ突出する状態を保つ。次に、一方の部材の外面から、ねじを、一方の部材に設けられている貫通穴を貫通させ、かつ第1の板金の長穴を貫通させるとともに第2の板金のねじ穴に螺合しつつ、該ねじ穴を貫通させて、他方の部材に向けて突出させることにより、第1の板金および第2の板金をねじに吊り下げた状態にする。
【0009】
そして、第1の板金のツメ部を、他方の部材に設けられて一方の部材に向かって突出している突起部の上面上を相対的に摺動させながら1対の部材を互いに接近させて、ツメ部が、突起部の上面に設けられたツメ穴に対向する位置に到達した時点で、ねじを長穴内で相対的にスライドさせながら第1の板金を重力によって降下させてツメ部をツメ穴に進入させ、第1の板金およびそれを保持する第2の板金を、ねじの長手方向に関して、突起部に対して相対的に移動不能にする。
【0010】
第1の板金および第2の板金が突起部に対して相対的に移動不能になった状態で、ねじを回転させることにより、突起部を有する他方の部材と第1の板金および第2の板金とを、一方の部材に向けてさらに接近するように一体的に移動させ、第1の板金および第2の板金が一方の部材の所定の位置に到達した時点で、一方の部材の所定の位置に設けられた係止部によって第1の板金を係止して、他方の部材と第1の板金および第2の板金とを、一方の部材に対して、ねじの長手方向に関して移動不能に固定する。
【発明の効果】
【0011】
ねじを回しても一方の部材と他方の部材の係止が維持されつつ、簡便に一方の部材と他方の部材の係止を外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るロック機構を有する筐体の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】ベースの内側の斜視図である。
【図3】カバーの概略構成図であり、(a)は図1のカバーのA部の拡大概略図、(b)はカバーの外面の斜視図である。
【図4】図1のスライド板金の概略構成図である。
【図5】ガイド板金の概略構成図であり、(a)はガイド板金の材料である平板を折り曲げる前の状態の概略図、(b)はガイド板金の斜視図である。
【図6】ベースとカバーとを係止するための手順を説明する図であって、(a)はカバーに組込み体とねじを装着する様子を示す概略図、(b)は組込み体にねじを挿入したときの様子を示す拡大概略図である。
【図7】ガイド同士の間に突起部を挿入し始めたときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図8】図7に示す状態よりもさらに突起部を挿入したときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図9】スライド板金のツメ部の先端が突起部のツメ穴に嵌ったときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図10】ベースとカバーとが係止したときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図11】カバーの外部からキーを差し込む様子を示す筐体の斜視図である。
【図12】キーをカバー内の奥に挿入したときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図13】ベースとカバーとの係止が外れたときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0014】
図1は本発明に係るロック機構を有する筐体の一実施形態の分解斜視図であり、図2は、ベースの内側の斜視図である。図3は、カバーの概略構成図であり、(a)は図1のカバーのA部の拡大概略図、(b)はカバーの外面の斜視図である。図4は、図1のスライド板金の概略構成図である。図5は、ガイド板金の概略構成図であり、(a)はガイド板金の材料である平板を折り曲げる前の状態の概略図、(b)はガイド板金の斜視図である。
【0015】
なお、ここで説明する筐体は、特定の用途に限定されるのではなく、筐体のカバー(一方の部材)とベース(他方の部材)とが開閉する構成であるならば何でもよい。
【0016】
内部空間を有する中空の筐体が、互いに固定される1対の部材、すなわちベース1とカバー2とで構成されている。このベース1とカバー2との係止を外れないようにするためのロック機構に用いる部材として、第1の板金であるスライド板金3と、第2の板金であるガイド板金4と、ねじ5と、が用いられる。
【0017】
ベース1について詳細に説明する。ベース1は外面1’’と外面1’’を囲む外壁1’が設けられ、一面が開口している箱形状をしている。図2に示すように、ベース1には、ベース1の外壁1’の内側から外壁1’よりも突出した突起部7が設けられている。この突起部7の先端部7aは、突起部7が外壁1’に接している面に向かって、先細りになるテーパー形状をしている。そして、先端部7aには、ツメ穴7bが設けられている。
【0018】
次に、カバー2について詳細に説明する。カバー2は外面2’’と外面2’’を囲む外壁2’が設けられ、一面が開口している箱形状をしている。図3(a)に示すように、カバー2の外壁2’の、ベース1の突起部7と対応する位置には、外壁2’の内側から垂直に突出し、かつ外面2’’から外壁2’の先端に向かう方向に延びる2つのガイド9が間隔をおいて平行に設けられている。このガイド9同士の間隔は、ベース1の突起部7の幅とほぼ同じになっており、ベース1の突起部7はガイド9に沿ってガイド9同士の間に挿入可能となっている。さらに、ガイド9にはそれぞれ溝9aが設けられている。この溝9aがスライド板金3を係止する係止部となる。また、2つのガイド9の、互いに対向していない側には、ガイド9と平行に、かつガイド9よりも突出した側壁10がそれぞれ設けられている。また、図3(b)に示すように、カバー2の外面2’’には、窪み11が設けられ、この窪み11の中心には、カバー2を貫通する貫通穴であるねじ穴11aが設けられている。さらに、一方のガイド9と一方の側壁10との間の位置のカバー2の外面2’’に、カバー2を貫通する挿入口12が設けられている。
【0019】
なお、ベース1の外壁1’の先端から突起部7のツメ穴7bまでの距離は、カバー2の外壁2’の先端から溝9aまでの距離とほぼ等しくなっている。
【0020】
次に、スライド板金3について詳細に説明する。図4に示すように、スライド板金3はそれぞれ長辺の長さが異なる3つの長方形の平板を、長辺が一番長い平板の長辺に沿って、2番目に長辺が長い平板を並べ、さらに一番長辺が短い平板を並べた形状をしている。つまり、スライド板金3には2段の段部3aが形成される。一番長辺が短い平板部分がツメ部3cとなり、2番目に長辺が長い平板部分が嵌り部3bとなり、一番長辺が長い平板部分が掛かり部3dとなる。ツメ部3cの幅は、ベース1の突起部7に設けられたツメ穴7bと同じであり、ツメ部3cはツメ穴7bに挿入可能となっている。ツメ部3cの高さは、カバー2のガイド9の高さよりも低くなっている。また、嵌り部3bの幅は、カバー2のガイド9同士の間隔よりも大きくなければならない。さらに、スライド板金3の中央部には、ツメ部3cが突出する方向と同じ方向に延びる長穴状の開口部3eが設けられている。なお、スライド板金3の幅、つまり掛かり部3dの幅は、カバー2の側壁10同士の間の幅よりも小さくなっている。また、スライド板金3の厚さは、カバー2のガイド9の溝9aの幅よりも小さくなっている。
【0021】
次に、ガイド板金4について詳細に説明する。
【0022】
図5(b)に示すように、ガイド板金4は、長方形の平板状の材料を2つに折り曲げた構成である。このガイド板金4の平板状の材料は、一方の長辺に切欠き4aが設けられ、中央には短辺と平行な方向に延びる開口であり、スライド板金3の嵌り部3bおよびツメ部3cが挿入されるスライド板金用穴4bが設けられ、さらに、ねじ溝が掘られている貫通孔である穴4cが2つ設けられている。つまり、このガイド板金4の平板状の材料は、長辺の中心で線対称な形状になっている。そして、この平板を、スライド板金用穴4bの2つの長辺(ガイド板金4の短辺と平行な辺)に沿って、または2つの長辺から間隔を置いた位置で長辺に沿って、穴4c同士が近づく方向に折り曲げられることによりガイド板金4が形成されている。この折り曲げられてできる隙間13に、スライド板金3が配置され、スライド板金3がガイド板金4に保持される。また、ガイド板金4の幅(図4(a)では短辺の長さ)は、カバー2の側壁10同士の幅よりも小さくなっている。また、切欠き部4aが設けられている位置でのガイド板金4の幅は、スライド板金3の幅よりも小さくなっている。実際の使用形態におけるガイド板金4の厚さは、平板の厚さ×2+隙間13の厚さとなり、この値は、カバー2のガイド9の溝9aの幅よりも大きくなっている。
【0023】
本実施形態で使用するねじ5は、特殊なねじである必要はなく、通常の市販されているもので構わない。
【0024】
つぎに、実際にベース1とカバー2とを係止する手順を説明する。
【0025】
まず、ガイド板金4の切欠き4aから、スライド板金3の掛かり部3dの一部が露出するようにガイド板金4の隙間13にスライド板金3を挿入し、ガイド4のスライド板金用穴4bからスライド板金3の嵌り部3bおよびツメ部3cが突出した状態で、カバー2のガイド9上に配置する(図6参照)。このとき、ガイド板金4の切欠き4aが、前述したカバー2の挿入口12の設けられている方向に位置するように配置する。以降、ガイド板金4の隙間13にスライド板金3が挿入された状態のものを「組込み体20」とする。そして、ガイド9の、溝9aよりもカバー2の先端2’側の上面に、ガイド9が延びている方向に対して垂直となるように、組込み体20を配置し、ガイド9同士の間にツメ部3cを配置する。このとき、スライド板金3の嵌り部3bは、ガイド9の上面と当接した状態である。
【0026】
この状態で、カバー2の外面2’’から、窪み11のねじ穴11aを介してねじ5を挿入し、ねじ5の先端をガイド板金4の穴4cとスライド板金3の開口部3eとを通過させる。つまり、ねじ5の先端は組込み体20を貫通し、ベース1に向かって突出することになる。また、ガイド板金4の穴4cにはねじ溝が掘られているので、ねじ5を締める方向に回すと、組込み体20は溝9aの方向に移動し、ねじ5を緩む方向に回すと、組込み体20は溝9aとは反対の方向に移動する。なお、カバー2の側壁10同士の間に組込み体20が配置されているので、ねじ5を回転させたときにガイド板金4が側壁10とぶつかるため、ガイド板金4がねじ5の回転に伴ってねじ5と一緒に回転しないようになっている。
【0027】
次に、ねじ5を回転させずに、図7に示すように、ベース1の突起部7の先端部7aをカバー2の外壁2’の内側に沿って、ガイド9同士の間に挿入していく。そして、このまま突起部7を挿入すると、スライド板金3は、ツメ部3cが突出する方向と同じ方向に延びる長穴状の開口部3eを有しているため、ベース1の先端部7aのテーパー形状をした表面に沿って、スライド板金3のツメ部3cが持ち上げられる(図8参照)。さらに突起部7を挿入していくと、自重によりスライド板金3のツメ部3cの先端が、ベース1の突起部7のツメ穴7bに嵌った状態になる(図9参照)。この状態でねじ5を締める方向に回転させると、スライド板金3のツメ部3cが突起部7のツメ穴7bに嵌っているので、組込み体20とベース1が一緒に溝9aの方向に移動する。
【0028】
さらにねじ5を締める方向に回転させると、カバー1の外壁1’とベース2の外壁2’とが当接するとともに、カバー2のガイド9の溝9aの隙間に、ガイド板金4のスライド板金用穴4bからスライド板金3が自重により落下し、嵌り部3bが嵌まる。このとき、スライド板金3のツメ部3cは、ベース1のツメ穴7bに先端だけではなく、完全に嵌った状態になる(図10(a)、(b)参照)。そして、さらにねじ5を締める方向に回転させることで、ベース1とカバー2とが強く当接し、さらに、ガイド9の溝9aに嵌っているスライド板金3の嵌り部3bが、溝9aを形成しているガイド9の面であって、外壁2’の先端の方向を向いている面と強く当接する。これにより、ねじ5が緩まないようにしている。なお、ガイド板金4の幅は、溝9の幅より大きいので、溝9に嵌ってしまうことはない。
【0029】
以上のようにしてベース1とカバー2の係止(ロック)が完了する。この状態で、仮にねじ5を締める方向、緩める方向、いずれの方向に回したとしても、スライド板金3がガイド9の溝9aに嵌っており、かつ、ベース1の突起部7のツメ穴7bにスライド板金3のツメ部3cが嵌っているので、ベース1とカバー2の係止を外すことができない。
【0030】
次に、ベース1とカバー2の係止を外す手順について説明する。
【0031】
ベース1とカバー2の係止を外す(ロック解除する)ためには、キー30を用いる。キー30は、2つの隣り合う角が直角をした台形をした平板であって、両端が直角になっていない辺が、キー30のテーパー部30aを形成している(図12参照)。
【0032】
まず、ねじ5を少し緩めておく。上述したように、カバー2の外面2’’には挿入口12が設けられており、この挿入口12から、キー30を挿入する(図11参照)。
【0033】
挿入口12からキー30を挿入していくと、キー30の先端のテーパー部30aと、ガイド板金4の切欠き4aから露出するスライド板金3の掛かり部3dとが当接する。さらにキー30を挿入すると、キー30のテーパー部30aに沿ってスライド板金3が持ち上げられていく。そして、ベース1の突起部7のツメ穴7bからスライド板金3のツメ部3cが外れる。この状態でベース1をカバー2とは反対方向に移動させることで、ベース1とカバー2との係止を外すことができる。
【0034】
以上のようにすることで、市販のねじや工具を用いてベース1とカバー2を係止することができ、一旦、ベース1とカバー2とを係止すると、ねじを回してもベース1とカバー2の係止を外すことができなくなる。そのため、防犯機器の防犯性を向上させることができる。また、キー30でベース1とカバー2との係止を外すことができるので、メンテナンス等を容易に行なうことができる。なお、例えば防犯機器の場合、防犯機器のユーザーや管理者以外の者でもキー30があればベース1とカバー2との係止を外してしまう可能性がある。そのため、キー30はユーザーや管理者が厳重に管理しなければならない。
【0035】
本発明は、スライド板金3の自重を利用してベース1とカバー2とを係止するロック機構であるため、このロック機構は主に壁にかけて利用する筐体に利用することができる。しかしながら、スライド板金の自重を利用する変わりに、バネなどでスライド板金3とガイド板金4とをカバー2のガイド9に押し付けるようにすることで、本発明のロック機構は、あらゆる筐体に利用することができる。
【0036】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0037】
(付記1)1対の部材を互いに接合された状態に保つロック方法であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金を、内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有する第2の板金によって保持して、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態を保ち、
一方の部材の外面から、ねじを、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通させ、かつ前記第1の板金の前記長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ、該ねじ穴を貫通させて、他方の部材に向けて突出させることにより、前記第1の板金および前記第2の板金を前記ねじに吊り下げた状態にし、
前記第1の板金の前記ツメ部を、前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部の上面上を相対的に摺動させながら前記1対の部材を互いに接近させて、前記ツメ部が、前記突起部の前記上面に設けられたツメ穴に対向する位置に到達した時点で、前記ねじを前記長穴内で相対的にスライドさせながら前記第1の板金を重力によって降下させて前記ツメ部を前記ツメ穴に進入させ、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動不能にし、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記突起部に対して相対的に移動不能になった状態で、前記ねじを回転させることにより、前記突起部を有する前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に向けてさらに接近するように一体的に移動させ、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記一方の部材の所定の位置に到達した時点で、前記一方の部材の前記所定の位置に設けられた係止部によって前記第1の板金を係止して、前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に対して、前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定することを特徴とする、ロック方法。
【0038】
(付記2)キー部材によって前記第1の部材のみを持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させることにより、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動可能にすることでロック解除が可能である、付記1に記載のロック方法。
【0039】
(付記3)ロック解除時に、前記一方の部材に設けられた挿入口から前記キー部材を挿入する、付記2に記載のロック方法。
【0040】
(付記4)前記第2の板金の側部から前記第1の板金の側部を少なくとも部分的に露出させて、前記ロック解除時には前記キー部材を前記第1の板金の側部の前記第2の板金の側部から露出している部分に当接させる、付記3に記載のロック方法。
【0041】
(付記5)前記一方の部材に間隔を置いて2つ設けられたガイドの間に前記第2の板金の前記開口から突出した前記ツメ部と、前記他方の部材の前記突起部とを位置させる、付記1から付記4のいずれか1項に記載のロック方法。
【0042】
(付記6)前記係止部として前記一方の部材の前記ガイドに溝を設け、前記第1の板金が嵌るようにする、付記5に記載のロック方法。
【0043】
(付記7)前記一方の部材の前記ガイドの側部にそれぞれ設けた2つの側壁の間に前記第2の板金を配置し、前記側壁によって前記ねじの回転に伴う前記第2の板金の回転を阻止する、付記5または6に記載のロック方法。
【0044】
(付記8)1対の部材を互いに接合された状態に保つロック機構であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金と、
内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有し、前記第1の板金を保持可能な第2の板金と、
一方の部材の外面から、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通し、かつ前記第1の板金の長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ該ねじ穴を貫通し、他方の部材に向けて突出することにより、前記第1の板金および第2の板金を、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態に保ちつつ吊り下げることができるねじと、
前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部であって、前記第2の板金の前記開口を介して下方に突出する前記第1の板金の前記ツメ部と対向する位置にある上面と、前記上面に設けられており、前記ツメ部が進入することにより前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を前記ねじの長手方向に関して前記突起部に対して相対的に移動不能にするツメ穴と、を有する突起部と、
前記一方の部材の所定の位置に設けられており、前記第1の板金を係止して、前記第1の板金とそれを保持する前記第2の板金とを前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定する係止部と、
を有するロック機構。
【0045】
(付記9)前記ツメ部が前記ツメ穴に進入した状態の前記第1の板金に当接して、前記第1の板金を持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させる、ロック解除用のキー部材をさらに有する、付記8に記載のロック機構。
【0046】
(付記10)前記一方の部材に、前記キー部材が挿入可能な挿入口が設けられている、付記9に記載のロック機構。
【0047】
(付記11)前記第1の板金を保持した状態で前記第2の板金から前記第1の板金の側部の一部が露出するように、前記第2の板金には切欠きが設けられている、付記8から付記10のいずれか1項に記載のロック機構。
【0048】
(付記12)前記他方の部材の前記突起部が挿入可能な間隔を置いて、前記一方の部材にガイドが2つ設けられている、付記8から付記11のいずれか1項に記載のロック機構。
【0049】
(付記13)前記係止部として、前記ガイドに前記第1の板金が嵌る溝が設けられている、付記12に記載のロック機構。
【0050】
(付記14)前記一方の部材の前記ガイドの側部に、前記第2の板金が配置可能な間隔を有した側壁がそれぞれ設けられている、付記12または付記13に記載のロック機構。
【0051】
(付記15)前記キー部材の先端はテーパー形状になっている、付記9に記載のロック機構。
【符号の説明】
【0052】
1 ベース
1’ベースの外壁
1’’ベースの外面
2 カバー
2’カバーの外壁
2’’カバーの外面
3 スライド板金
3a切欠き部
3b嵌り部
3cツメ部
3d掛かり部
3e開口部
4 ガイド板金
4a切欠き
4bスライド板金用穴
4c穴
7 突起部
7a先端部
7bツメ穴
9 ガイド
9a溝
10側壁
11窪み
11aねじ穴
12挿入口
13隙間
20組込み体
30キー
31テーパー部
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機器等に使用される筐体のロック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犯罪の増加に伴い、防犯に対する意識が高まっている。そのため、店舗、オフィス、そしてマンションなどに防犯カメラなどの防犯機器の設置が増えている。
【0003】
防犯機器として、例えば防犯カメラは、ベースとカバーで構成される筐体の内部に配置され、保護されている。防犯カメラに限らず、防犯機器の多くの筐体は、ベースとカバーとで構成されている。ベースとカバーとの係止を市販されているような一般的なねじで行なうと、当然のことながら容易に開けられ、筐体内のカメラが破壊されたりするおそれがある。そこで、ベースとカバーとの係止を外れないようにするために、特殊な工具を使用しないと動かすことができないねじやボルトが広く使われている。また、ベースの外部からボルトを挿入し、ベースとカバーとを係止する場合、ボルトの頭部と、カバーのボルト穴にラチェット歯を設け、一方の端部はボルトのラチェット歯と当接し、他方の端部は、カバーのボルト穴に設けられたラチェット歯と当接するようになっているリング状ツメ部材を配置することで、ボルトを一方向、つまり、締める方向にしか回らないようにして、ボルトを一度締めたら緩めることのできなくする方法などもある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−283889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近はネットワークを通じた通信販売などで特殊な工具を入手できる場合が増えている。そのため、ベースとカバーとの係止に特殊なねじを使用し、特殊な工具を使用しないとねじを回せないようにしたとしても、ベースとカバーの係止を容易に外されてしまう危険性がある。
【0006】
また、一度締めたら緩められないボルトを使用した場合、カバーを外すことができないので、防犯機器内部のメンテナンスなどができず、ベースとカバーとの係止を外すためには、係止部を破壊するしかなく、利便性に乏しい。
【0007】
本発明の目的は、特殊なねじや特殊な工具を使ってもベースとカバーの係止を外される危険があり、また、2度と外れないようにベースとカバーを係止すると利便性に乏しくなってしまう、といった課題を解決する、ロック方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1対の部材を互いに接合された状態に保つロック方法である。長穴と長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金を、内ねじを有する貫通孔であるねじ穴とツメ部が貫通可能な開口とを有する第2の板金によって保持して、長穴の一部とねじ穴が対向するとともにツメ部が開口を介して下方へ突出する状態を保つ。次に、一方の部材の外面から、ねじを、一方の部材に設けられている貫通穴を貫通させ、かつ第1の板金の長穴を貫通させるとともに第2の板金のねじ穴に螺合しつつ、該ねじ穴を貫通させて、他方の部材に向けて突出させることにより、第1の板金および第2の板金をねじに吊り下げた状態にする。
【0009】
そして、第1の板金のツメ部を、他方の部材に設けられて一方の部材に向かって突出している突起部の上面上を相対的に摺動させながら1対の部材を互いに接近させて、ツメ部が、突起部の上面に設けられたツメ穴に対向する位置に到達した時点で、ねじを長穴内で相対的にスライドさせながら第1の板金を重力によって降下させてツメ部をツメ穴に進入させ、第1の板金およびそれを保持する第2の板金を、ねじの長手方向に関して、突起部に対して相対的に移動不能にする。
【0010】
第1の板金および第2の板金が突起部に対して相対的に移動不能になった状態で、ねじを回転させることにより、突起部を有する他方の部材と第1の板金および第2の板金とを、一方の部材に向けてさらに接近するように一体的に移動させ、第1の板金および第2の板金が一方の部材の所定の位置に到達した時点で、一方の部材の所定の位置に設けられた係止部によって第1の板金を係止して、他方の部材と第1の板金および第2の板金とを、一方の部材に対して、ねじの長手方向に関して移動不能に固定する。
【発明の効果】
【0011】
ねじを回しても一方の部材と他方の部材の係止が維持されつつ、簡便に一方の部材と他方の部材の係止を外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るロック機構を有する筐体の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】ベースの内側の斜視図である。
【図3】カバーの概略構成図であり、(a)は図1のカバーのA部の拡大概略図、(b)はカバーの外面の斜視図である。
【図4】図1のスライド板金の概略構成図である。
【図5】ガイド板金の概略構成図であり、(a)はガイド板金の材料である平板を折り曲げる前の状態の概略図、(b)はガイド板金の斜視図である。
【図6】ベースとカバーとを係止するための手順を説明する図であって、(a)はカバーに組込み体とねじを装着する様子を示す概略図、(b)は組込み体にねじを挿入したときの様子を示す拡大概略図である。
【図7】ガイド同士の間に突起部を挿入し始めたときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図8】図7に示す状態よりもさらに突起部を挿入したときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図9】スライド板金のツメ部の先端が突起部のツメ穴に嵌ったときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図10】ベースとカバーとが係止したときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図11】カバーの外部からキーを差し込む様子を示す筐体の斜視図である。
【図12】キーをカバー内の奥に挿入したときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【図13】ベースとカバーとの係止が外れたときの様子を示す筐体の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0014】
図1は本発明に係るロック機構を有する筐体の一実施形態の分解斜視図であり、図2は、ベースの内側の斜視図である。図3は、カバーの概略構成図であり、(a)は図1のカバーのA部の拡大概略図、(b)はカバーの外面の斜視図である。図4は、図1のスライド板金の概略構成図である。図5は、ガイド板金の概略構成図であり、(a)はガイド板金の材料である平板を折り曲げる前の状態の概略図、(b)はガイド板金の斜視図である。
【0015】
なお、ここで説明する筐体は、特定の用途に限定されるのではなく、筐体のカバー(一方の部材)とベース(他方の部材)とが開閉する構成であるならば何でもよい。
【0016】
内部空間を有する中空の筐体が、互いに固定される1対の部材、すなわちベース1とカバー2とで構成されている。このベース1とカバー2との係止を外れないようにするためのロック機構に用いる部材として、第1の板金であるスライド板金3と、第2の板金であるガイド板金4と、ねじ5と、が用いられる。
【0017】
ベース1について詳細に説明する。ベース1は外面1’’と外面1’’を囲む外壁1’が設けられ、一面が開口している箱形状をしている。図2に示すように、ベース1には、ベース1の外壁1’の内側から外壁1’よりも突出した突起部7が設けられている。この突起部7の先端部7aは、突起部7が外壁1’に接している面に向かって、先細りになるテーパー形状をしている。そして、先端部7aには、ツメ穴7bが設けられている。
【0018】
次に、カバー2について詳細に説明する。カバー2は外面2’’と外面2’’を囲む外壁2’が設けられ、一面が開口している箱形状をしている。図3(a)に示すように、カバー2の外壁2’の、ベース1の突起部7と対応する位置には、外壁2’の内側から垂直に突出し、かつ外面2’’から外壁2’の先端に向かう方向に延びる2つのガイド9が間隔をおいて平行に設けられている。このガイド9同士の間隔は、ベース1の突起部7の幅とほぼ同じになっており、ベース1の突起部7はガイド9に沿ってガイド9同士の間に挿入可能となっている。さらに、ガイド9にはそれぞれ溝9aが設けられている。この溝9aがスライド板金3を係止する係止部となる。また、2つのガイド9の、互いに対向していない側には、ガイド9と平行に、かつガイド9よりも突出した側壁10がそれぞれ設けられている。また、図3(b)に示すように、カバー2の外面2’’には、窪み11が設けられ、この窪み11の中心には、カバー2を貫通する貫通穴であるねじ穴11aが設けられている。さらに、一方のガイド9と一方の側壁10との間の位置のカバー2の外面2’’に、カバー2を貫通する挿入口12が設けられている。
【0019】
なお、ベース1の外壁1’の先端から突起部7のツメ穴7bまでの距離は、カバー2の外壁2’の先端から溝9aまでの距離とほぼ等しくなっている。
【0020】
次に、スライド板金3について詳細に説明する。図4に示すように、スライド板金3はそれぞれ長辺の長さが異なる3つの長方形の平板を、長辺が一番長い平板の長辺に沿って、2番目に長辺が長い平板を並べ、さらに一番長辺が短い平板を並べた形状をしている。つまり、スライド板金3には2段の段部3aが形成される。一番長辺が短い平板部分がツメ部3cとなり、2番目に長辺が長い平板部分が嵌り部3bとなり、一番長辺が長い平板部分が掛かり部3dとなる。ツメ部3cの幅は、ベース1の突起部7に設けられたツメ穴7bと同じであり、ツメ部3cはツメ穴7bに挿入可能となっている。ツメ部3cの高さは、カバー2のガイド9の高さよりも低くなっている。また、嵌り部3bの幅は、カバー2のガイド9同士の間隔よりも大きくなければならない。さらに、スライド板金3の中央部には、ツメ部3cが突出する方向と同じ方向に延びる長穴状の開口部3eが設けられている。なお、スライド板金3の幅、つまり掛かり部3dの幅は、カバー2の側壁10同士の間の幅よりも小さくなっている。また、スライド板金3の厚さは、カバー2のガイド9の溝9aの幅よりも小さくなっている。
【0021】
次に、ガイド板金4について詳細に説明する。
【0022】
図5(b)に示すように、ガイド板金4は、長方形の平板状の材料を2つに折り曲げた構成である。このガイド板金4の平板状の材料は、一方の長辺に切欠き4aが設けられ、中央には短辺と平行な方向に延びる開口であり、スライド板金3の嵌り部3bおよびツメ部3cが挿入されるスライド板金用穴4bが設けられ、さらに、ねじ溝が掘られている貫通孔である穴4cが2つ設けられている。つまり、このガイド板金4の平板状の材料は、長辺の中心で線対称な形状になっている。そして、この平板を、スライド板金用穴4bの2つの長辺(ガイド板金4の短辺と平行な辺)に沿って、または2つの長辺から間隔を置いた位置で長辺に沿って、穴4c同士が近づく方向に折り曲げられることによりガイド板金4が形成されている。この折り曲げられてできる隙間13に、スライド板金3が配置され、スライド板金3がガイド板金4に保持される。また、ガイド板金4の幅(図4(a)では短辺の長さ)は、カバー2の側壁10同士の幅よりも小さくなっている。また、切欠き部4aが設けられている位置でのガイド板金4の幅は、スライド板金3の幅よりも小さくなっている。実際の使用形態におけるガイド板金4の厚さは、平板の厚さ×2+隙間13の厚さとなり、この値は、カバー2のガイド9の溝9aの幅よりも大きくなっている。
【0023】
本実施形態で使用するねじ5は、特殊なねじである必要はなく、通常の市販されているもので構わない。
【0024】
つぎに、実際にベース1とカバー2とを係止する手順を説明する。
【0025】
まず、ガイド板金4の切欠き4aから、スライド板金3の掛かり部3dの一部が露出するようにガイド板金4の隙間13にスライド板金3を挿入し、ガイド4のスライド板金用穴4bからスライド板金3の嵌り部3bおよびツメ部3cが突出した状態で、カバー2のガイド9上に配置する(図6参照)。このとき、ガイド板金4の切欠き4aが、前述したカバー2の挿入口12の設けられている方向に位置するように配置する。以降、ガイド板金4の隙間13にスライド板金3が挿入された状態のものを「組込み体20」とする。そして、ガイド9の、溝9aよりもカバー2の先端2’側の上面に、ガイド9が延びている方向に対して垂直となるように、組込み体20を配置し、ガイド9同士の間にツメ部3cを配置する。このとき、スライド板金3の嵌り部3bは、ガイド9の上面と当接した状態である。
【0026】
この状態で、カバー2の外面2’’から、窪み11のねじ穴11aを介してねじ5を挿入し、ねじ5の先端をガイド板金4の穴4cとスライド板金3の開口部3eとを通過させる。つまり、ねじ5の先端は組込み体20を貫通し、ベース1に向かって突出することになる。また、ガイド板金4の穴4cにはねじ溝が掘られているので、ねじ5を締める方向に回すと、組込み体20は溝9aの方向に移動し、ねじ5を緩む方向に回すと、組込み体20は溝9aとは反対の方向に移動する。なお、カバー2の側壁10同士の間に組込み体20が配置されているので、ねじ5を回転させたときにガイド板金4が側壁10とぶつかるため、ガイド板金4がねじ5の回転に伴ってねじ5と一緒に回転しないようになっている。
【0027】
次に、ねじ5を回転させずに、図7に示すように、ベース1の突起部7の先端部7aをカバー2の外壁2’の内側に沿って、ガイド9同士の間に挿入していく。そして、このまま突起部7を挿入すると、スライド板金3は、ツメ部3cが突出する方向と同じ方向に延びる長穴状の開口部3eを有しているため、ベース1の先端部7aのテーパー形状をした表面に沿って、スライド板金3のツメ部3cが持ち上げられる(図8参照)。さらに突起部7を挿入していくと、自重によりスライド板金3のツメ部3cの先端が、ベース1の突起部7のツメ穴7bに嵌った状態になる(図9参照)。この状態でねじ5を締める方向に回転させると、スライド板金3のツメ部3cが突起部7のツメ穴7bに嵌っているので、組込み体20とベース1が一緒に溝9aの方向に移動する。
【0028】
さらにねじ5を締める方向に回転させると、カバー1の外壁1’とベース2の外壁2’とが当接するとともに、カバー2のガイド9の溝9aの隙間に、ガイド板金4のスライド板金用穴4bからスライド板金3が自重により落下し、嵌り部3bが嵌まる。このとき、スライド板金3のツメ部3cは、ベース1のツメ穴7bに先端だけではなく、完全に嵌った状態になる(図10(a)、(b)参照)。そして、さらにねじ5を締める方向に回転させることで、ベース1とカバー2とが強く当接し、さらに、ガイド9の溝9aに嵌っているスライド板金3の嵌り部3bが、溝9aを形成しているガイド9の面であって、外壁2’の先端の方向を向いている面と強く当接する。これにより、ねじ5が緩まないようにしている。なお、ガイド板金4の幅は、溝9の幅より大きいので、溝9に嵌ってしまうことはない。
【0029】
以上のようにしてベース1とカバー2の係止(ロック)が完了する。この状態で、仮にねじ5を締める方向、緩める方向、いずれの方向に回したとしても、スライド板金3がガイド9の溝9aに嵌っており、かつ、ベース1の突起部7のツメ穴7bにスライド板金3のツメ部3cが嵌っているので、ベース1とカバー2の係止を外すことができない。
【0030】
次に、ベース1とカバー2の係止を外す手順について説明する。
【0031】
ベース1とカバー2の係止を外す(ロック解除する)ためには、キー30を用いる。キー30は、2つの隣り合う角が直角をした台形をした平板であって、両端が直角になっていない辺が、キー30のテーパー部30aを形成している(図12参照)。
【0032】
まず、ねじ5を少し緩めておく。上述したように、カバー2の外面2’’には挿入口12が設けられており、この挿入口12から、キー30を挿入する(図11参照)。
【0033】
挿入口12からキー30を挿入していくと、キー30の先端のテーパー部30aと、ガイド板金4の切欠き4aから露出するスライド板金3の掛かり部3dとが当接する。さらにキー30を挿入すると、キー30のテーパー部30aに沿ってスライド板金3が持ち上げられていく。そして、ベース1の突起部7のツメ穴7bからスライド板金3のツメ部3cが外れる。この状態でベース1をカバー2とは反対方向に移動させることで、ベース1とカバー2との係止を外すことができる。
【0034】
以上のようにすることで、市販のねじや工具を用いてベース1とカバー2を係止することができ、一旦、ベース1とカバー2とを係止すると、ねじを回してもベース1とカバー2の係止を外すことができなくなる。そのため、防犯機器の防犯性を向上させることができる。また、キー30でベース1とカバー2との係止を外すことができるので、メンテナンス等を容易に行なうことができる。なお、例えば防犯機器の場合、防犯機器のユーザーや管理者以外の者でもキー30があればベース1とカバー2との係止を外してしまう可能性がある。そのため、キー30はユーザーや管理者が厳重に管理しなければならない。
【0035】
本発明は、スライド板金3の自重を利用してベース1とカバー2とを係止するロック機構であるため、このロック機構は主に壁にかけて利用する筐体に利用することができる。しかしながら、スライド板金の自重を利用する変わりに、バネなどでスライド板金3とガイド板金4とをカバー2のガイド9に押し付けるようにすることで、本発明のロック機構は、あらゆる筐体に利用することができる。
【0036】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0037】
(付記1)1対の部材を互いに接合された状態に保つロック方法であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金を、内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有する第2の板金によって保持して、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態を保ち、
一方の部材の外面から、ねじを、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通させ、かつ前記第1の板金の前記長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ、該ねじ穴を貫通させて、他方の部材に向けて突出させることにより、前記第1の板金および前記第2の板金を前記ねじに吊り下げた状態にし、
前記第1の板金の前記ツメ部を、前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部の上面上を相対的に摺動させながら前記1対の部材を互いに接近させて、前記ツメ部が、前記突起部の前記上面に設けられたツメ穴に対向する位置に到達した時点で、前記ねじを前記長穴内で相対的にスライドさせながら前記第1の板金を重力によって降下させて前記ツメ部を前記ツメ穴に進入させ、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動不能にし、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記突起部に対して相対的に移動不能になった状態で、前記ねじを回転させることにより、前記突起部を有する前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に向けてさらに接近するように一体的に移動させ、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記一方の部材の所定の位置に到達した時点で、前記一方の部材の前記所定の位置に設けられた係止部によって前記第1の板金を係止して、前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に対して、前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定することを特徴とする、ロック方法。
【0038】
(付記2)キー部材によって前記第1の部材のみを持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させることにより、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動可能にすることでロック解除が可能である、付記1に記載のロック方法。
【0039】
(付記3)ロック解除時に、前記一方の部材に設けられた挿入口から前記キー部材を挿入する、付記2に記載のロック方法。
【0040】
(付記4)前記第2の板金の側部から前記第1の板金の側部を少なくとも部分的に露出させて、前記ロック解除時には前記キー部材を前記第1の板金の側部の前記第2の板金の側部から露出している部分に当接させる、付記3に記載のロック方法。
【0041】
(付記5)前記一方の部材に間隔を置いて2つ設けられたガイドの間に前記第2の板金の前記開口から突出した前記ツメ部と、前記他方の部材の前記突起部とを位置させる、付記1から付記4のいずれか1項に記載のロック方法。
【0042】
(付記6)前記係止部として前記一方の部材の前記ガイドに溝を設け、前記第1の板金が嵌るようにする、付記5に記載のロック方法。
【0043】
(付記7)前記一方の部材の前記ガイドの側部にそれぞれ設けた2つの側壁の間に前記第2の板金を配置し、前記側壁によって前記ねじの回転に伴う前記第2の板金の回転を阻止する、付記5または6に記載のロック方法。
【0044】
(付記8)1対の部材を互いに接合された状態に保つロック機構であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金と、
内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有し、前記第1の板金を保持可能な第2の板金と、
一方の部材の外面から、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通し、かつ前記第1の板金の長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ該ねじ穴を貫通し、他方の部材に向けて突出することにより、前記第1の板金および第2の板金を、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態に保ちつつ吊り下げることができるねじと、
前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部であって、前記第2の板金の前記開口を介して下方に突出する前記第1の板金の前記ツメ部と対向する位置にある上面と、前記上面に設けられており、前記ツメ部が進入することにより前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を前記ねじの長手方向に関して前記突起部に対して相対的に移動不能にするツメ穴と、を有する突起部と、
前記一方の部材の所定の位置に設けられており、前記第1の板金を係止して、前記第1の板金とそれを保持する前記第2の板金とを前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定する係止部と、
を有するロック機構。
【0045】
(付記9)前記ツメ部が前記ツメ穴に進入した状態の前記第1の板金に当接して、前記第1の板金を持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させる、ロック解除用のキー部材をさらに有する、付記8に記載のロック機構。
【0046】
(付記10)前記一方の部材に、前記キー部材が挿入可能な挿入口が設けられている、付記9に記載のロック機構。
【0047】
(付記11)前記第1の板金を保持した状態で前記第2の板金から前記第1の板金の側部の一部が露出するように、前記第2の板金には切欠きが設けられている、付記8から付記10のいずれか1項に記載のロック機構。
【0048】
(付記12)前記他方の部材の前記突起部が挿入可能な間隔を置いて、前記一方の部材にガイドが2つ設けられている、付記8から付記11のいずれか1項に記載のロック機構。
【0049】
(付記13)前記係止部として、前記ガイドに前記第1の板金が嵌る溝が設けられている、付記12に記載のロック機構。
【0050】
(付記14)前記一方の部材の前記ガイドの側部に、前記第2の板金が配置可能な間隔を有した側壁がそれぞれ設けられている、付記12または付記13に記載のロック機構。
【0051】
(付記15)前記キー部材の先端はテーパー形状になっている、付記9に記載のロック機構。
【符号の説明】
【0052】
1 ベース
1’ベースの外壁
1’’ベースの外面
2 カバー
2’カバーの外壁
2’’カバーの外面
3 スライド板金
3a切欠き部
3b嵌り部
3cツメ部
3d掛かり部
3e開口部
4 ガイド板金
4a切欠き
4bスライド板金用穴
4c穴
7 突起部
7a先端部
7bツメ穴
9 ガイド
9a溝
10側壁
11窪み
11aねじ穴
12挿入口
13隙間
20組込み体
30キー
31テーパー部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の部材を互いに接合された状態に保つロック方法であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金を、内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有する第2の板金によって保持して、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態を保ち、
一方の部材の外面から、ねじを、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通させ、かつ前記第1の板金の前記長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ、該ねじ穴を貫通させて、他方の部材に向けて突出させることにより、前記第1の板金および前記第2の板金を前記ねじに吊り下げた状態にし、
前記第1の板金の前記ツメ部を、前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部の上面上を相対的に摺動させながら前記1対の部材を互いに接近させて、前記ツメ部が、前記突起部の前記上面に設けられたツメ穴に対向する位置に到達した時点で、前記ねじを前記長穴内で相対的にスライドさせながら前記第1の板金を重力によって降下させて前記ツメ部を前記ツメ穴に進入させ、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動不能にし、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記突起部に対して相対的に移動不能になった状態で、前記ねじを回転させることにより、前記突起部を有する前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に向けてさらに接近するように一体的に移動させ、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記一方の部材の所定の位置に到達した時点で、前記一方の部材の前記所定の位置に設けられた係止部によって前記第1の板金を係止して、前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に対して、前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定することを特徴とする、ロック方法。
【請求項2】
キー部材によって前記第1の部材のみを持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させることにより、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動可能にすることでロック解除が可能である、請求項1に記載のロック方法。
【請求項3】
1対の部材を互いに接合された状態に保つロック機構であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金と、
内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有し、前記第1の板金を保持可能な第2の板金と、
一方の部材の外面から、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通し、かつ前記第1の板金の長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ該ねじ穴を貫通し、他方の部材に向けて突出することにより、前記第1の板金および第2の板金を、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態に保ちつつ吊り下げることができるねじと、
前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部であって、前記第2の板金の前記開口を介して下方に突出する前記第1の板金の前記ツメ部と対向する位置にある上面と、前記上面に設けられており、前記ツメ部が進入することにより前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を前記ねじの長手方向に関して前記突起部に対して相対的に移動不能にするツメ穴と、を有する突起部と、
前記一方の部材の所定の位置に設けられており、前記第1の板金を係止して、前記第1の板金とそれを保持する前記第2の板金とを前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定する係止部と、
を有するロック機構。
【請求項4】
前記ツメ部が前記ツメ穴に進入した状態の前記第1の板金に当接して、前記第1の板金を持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させる、ロック解除用のキー部材をさらに有する、請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記一方の部材に、前記キー部材が挿入可能な挿入口が設けられている、請求項4に記載のロック機構。
【請求項6】
前記第1の板金を保持した状態で前記第2の板金から前記第1の板金の側部の一部が露出するように、前記第2の板金には切欠きが設けられている、請求項3から5のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項7】
前記他方の部材の前記突起部が挿入可能な間隔を置いて、前記一方の部材にガイドが2つ設けられている、請求項3から6のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項8】
前記係止部として、前記ガイドに前記第1の板金が嵌る溝が設けられている、請求項7に記載のロック機構。
【請求項9】
前記一方の部材の前記ガイドの側部に、前記第2の板金が配置可能な間隔を有した側壁がそれぞれ設けられている、請求項7または8に記載のロック機構。
【請求項10】
前記キー部材の先端はテーパー形状になっている、請求項4に記載のロック機構。
【請求項1】
1対の部材を互いに接合された状態に保つロック方法であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金を、内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有する第2の板金によって保持して、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態を保ち、
一方の部材の外面から、ねじを、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通させ、かつ前記第1の板金の前記長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ、該ねじ穴を貫通させて、他方の部材に向けて突出させることにより、前記第1の板金および前記第2の板金を前記ねじに吊り下げた状態にし、
前記第1の板金の前記ツメ部を、前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部の上面上を相対的に摺動させながら前記1対の部材を互いに接近させて、前記ツメ部が、前記突起部の前記上面に設けられたツメ穴に対向する位置に到達した時点で、前記ねじを前記長穴内で相対的にスライドさせながら前記第1の板金を重力によって降下させて前記ツメ部を前記ツメ穴に進入させ、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動不能にし、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記突起部に対して相対的に移動不能になった状態で、前記ねじを回転させることにより、前記突起部を有する前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に向けてさらに接近するように一体的に移動させ、
前記第1の板金および前記第2の板金が前記一方の部材の所定の位置に到達した時点で、前記一方の部材の前記所定の位置に設けられた係止部によって前記第1の板金を係止して、前記他方の部材と前記第1の板金および前記第2の板金とを、前記一方の部材に対して、前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定することを特徴とする、ロック方法。
【請求項2】
キー部材によって前記第1の部材のみを持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させることにより、前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を、前記ねじの長手方向に関して、前記突起部に対して相対的に移動可能にすることでロック解除が可能である、請求項1に記載のロック方法。
【請求項3】
1対の部材を互いに接合された状態に保つロック機構であって、
長穴と前記長穴の長手方向と同じ方向に突出するツメ部とを有する第1の板金と、
内ねじを有する貫通孔であるねじ穴と前記ツメ部が貫通可能な開口とを有し、前記第1の板金を保持可能な第2の板金と、
一方の部材の外面から、前記一方の部材に設けられている貫通穴を貫通し、かつ前記第1の板金の長穴を貫通させるとともに前記第2の板金の前記ねじ穴に螺合しつつ該ねじ穴を貫通し、他方の部材に向けて突出することにより、前記第1の板金および第2の板金を、前記長穴の一部と前記ねじ穴が対向するとともに前記ツメ部が前記開口を介して下方へ突出する状態に保ちつつ吊り下げることができるねじと、
前記他方の部材に設けられて前記一方の部材に向かって突出している突起部であって、前記第2の板金の前記開口を介して下方に突出する前記第1の板金の前記ツメ部と対向する位置にある上面と、前記上面に設けられており、前記ツメ部が進入することにより前記第1の板金およびそれを保持する前記第2の板金を前記ねじの長手方向に関して前記突起部に対して相対的に移動不能にするツメ穴と、を有する突起部と、
前記一方の部材の所定の位置に設けられており、前記第1の板金を係止して、前記第1の板金とそれを保持する前記第2の板金とを前記ねじの長手方向に関して移動不能に固定する係止部と、
を有するロック機構。
【請求項4】
前記ツメ部が前記ツメ穴に進入した状態の前記第1の板金に当接して、前記第1の板金を持ち上げて前記ツメ部を前記ツメ穴から脱出させる、ロック解除用のキー部材をさらに有する、請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記一方の部材に、前記キー部材が挿入可能な挿入口が設けられている、請求項4に記載のロック機構。
【請求項6】
前記第1の板金を保持した状態で前記第2の板金から前記第1の板金の側部の一部が露出するように、前記第2の板金には切欠きが設けられている、請求項3から5のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項7】
前記他方の部材の前記突起部が挿入可能な間隔を置いて、前記一方の部材にガイドが2つ設けられている、請求項3から6のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項8】
前記係止部として、前記ガイドに前記第1の板金が嵌る溝が設けられている、請求項7に記載のロック機構。
【請求項9】
前記一方の部材の前記ガイドの側部に、前記第2の板金が配置可能な間隔を有した側壁がそれぞれ設けられている、請求項7または8に記載のロック機構。
【請求項10】
前記キー部材の先端はテーパー形状になっている、請求項4に記載のロック機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−41985(P2012−41985A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183960(P2010−183960)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
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