説明

ロック検出装置及び光フェーズロックループシステム

【課題】光フェーズロックループ装置において、入力光信号とビート光信号とのロックを検出することである。
【解決手段】入力光信号及びビート光信号の第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器10と、第1の位相比較信号を整形するループフィルタ20と、整形した第1の位相比較信号に基づいてビート光信号を出力する光学電圧制御発振器(OVCO)30と、を備える光フェーズロックループ装置1と、ビート光信号の位相をシフトする位相シフト器としてのπ/2シフト器130Aと、入力光信号及び位相シフトされたビート光信号の第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器140と、を備え、π/2シフト器130Aは、ビート光信号に対して、第2の位相検出器140で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならないπ/2を位相シフトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック検出装置及び光フェーズロックループシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、参照電気信号に位相同期した電気信号を出力するフェーズロックループ(PLL:Phase-Locked Loop)装置があった。出力周波数が高周波である場合、図18に示すような、アナログPLLのフェーズロックループ装置200が用いられる。フェーズロックループ装置200は、信号源210と、位相検出器(phase detector)としての電気ミキサ220と、ループフィルタ(loop filter)230と、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)240と、プリスケーラ250と、を備えて構成される。
【0003】
位相比較器としての電気ミキサ220の動作を図19に示す。図19に示すように、電気ミキサ220は、信号源210からの基準信号としての入力電気信号と、VCO240から出力されてプリスケーラ250により分周された出力電気信号との積を出力する。よって、周波数領域では二つの信号の差周波と和周波とが出力される。差周波成分が二つの信号の位相差を反映しているので、差周波のみをループフィルタ230により取り出すことで、電気ミキサ220は位相比較器として動作することができる。ループフィルタ230は、入力電気信号とVCO240の出力信号との位相差が0度の時は正の信号を、その位相差が90度の時は0の信号を、位相差が180度のときは負の信号を出力し、位相差に応じて信号は連続的に変化する。
【0004】
このように、アナログPLLは、位相比較器の出力信号が0になるようにVCOを負帰還制御するため、VCOの出力位相は入力電気信号の位相に対して90度ずれた状態で同期する。しかし、100[GHz]以上の周波数の信号を出力するフェーズロックループ装置は次の困難点がある。
1.100[GHz]以上の信号に対する電気ミキサの製作が困難。
2.100[GHz]以上の電気信号を出力するVCOの製作が困難。
このため、100[GHz]以上の電気信号を出力するフェーズロックループ装置は製作が困難である。
【0005】
これに対して、100[GHz]以上に信号を出力することができるフェーズロックループ装置として、光フェーズロックループ(Optical Phase-Locked Loop)装置がある(例えば、特許文献1参照)。ここで、図20を参照して、光フェーズロックループ装置の一例を説明する。
【0006】
図20に示すように、光フェーズロックループ装置300は、合波器310及び位相比較器320からなる位相検出器と、ループフィルタ330と、OVCO(Optical Voltage Controlled Oscillator:光学電圧制御発振器)340との三つの要素を備えて構成される。光フェーズロックループ装置300において、光信号を入力信号とし、入力信号に同期したビート光信号をOVCO340から出力する。
【0007】
OPLL340は、LD(Laser Diode)341,342と、光カプラ343とを備える。OVCO340において、出力光波長が異なる2つのLD341,342の出力光を光カプラ343で合波する。ここで、LD341,342の光出力の偏波は同一にする。その結果、二つの光出力は、光カプラ343内で干渉し、光カプラ343が波長の差に応じた周波数で振動するビート光を出力する。波長差に対する制限は光カプラ343の帯域で決まる。通常の光カプラは、帯域が10[THz]以上あるため、100[GHz]以上周波数で振動するビート光を出力することは容易である。また、LD341,342は、駆動電流や制御温度によって出力波長を変化させることができる。よって、OVCO340は、入力光信号に応じてLD341,342の出力波長を制御し、出力するビート光信号の周波数を変化させることができる。
【0008】
位相比較器320は、二光子吸収もしくは第二高調波発生、四光波混合、カー効果等の非線形効果を用いて二つの入力信号光強度の位相差に応じた電気信号を出力する。二光子吸収を行なう素子としてAPD(Avaranche photo diode)、PMT(Photon multiplier Tube:光電子増倍管)等があり、第二次高調波発生素子として、非線形結晶、PPLN(Periodical Poled Lithum Niobate:周期分極反転LiNbO3結晶)等があり、 四光波混合素子として、高非線形ファイバ、SOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)等があり、カー効果を利用する方法として、NOLM(Nonlinear Optical Loop Mirror:非線形光ループミラー)がある。非線形現象は、数100[fs]よりも短い時間で行われ、10[THz]以上の周波数帯域を持つため、100[GHz]以上の信号であっても位相比較を行うことができる。
【0009】
例えば、Si−APDは、波長1550[nm]に光に対してほとんど感度を持たないが、800[nm]よりも短波長の光に感度を持つ。よって、1550[nm]の光を入射してもほとんど光電流が発生しないが、1550[nm]の二光子吸収現象に対しては感度を持つ。Si−APDの表面に焦点を持つように光学系を設置することでより二光子吸収の起こる確率が大きくなり、Si−APD全体に光を照射するのに比べて格段と大きな光電流が発生する。Si−APDにおいて、二光子吸収により発生する光電流は、2つの入力光の互いの位相差φの余弦cosφに比例した項を持つ。二光子吸収によって発生する光電流は、光パワーにより位相差φに関係なく決まる定常値と余弦cosφの寄与による部分の和が出力される。余弦cosφの寄与は出力される光電流と平均光電流の差で抽出することができ、位相比較信号として利用することができる。
【0010】
ループフィルタ330は、通常のフェーズロックループ装置で使用される様に、位相比較信号を整形し、OVCO340の制御信号を出力する。
【0011】
光フェーズロックループ装置300は、OVCO340がビート光信号を出力し、光カプラ310及び位相比較器320は非線形効果を利用して入力光信号とビート光信号の位相比較を行う点を除き、光フェーズロックループ装置としての動作が、図18のアナログフェーズロックループ装置と同様である。この光フェーズロックループ装置300により、入力光信号に同期した、100[GHz]以上のビート光を出力することができる信号発生が可能となる。
【0012】
また、電気フェーズロックループ装置中の電気位相比較器をSi−APDにおける二光子吸収を利用した光学位相比較器に置き換えたものも考えられている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1においては、12.5[Gbits/s]の光信号に同期した電気信号を出力している。
【特許文献1】国際公開第03/104886号パンフレット
【非特許文献1】Reza Salem, T. E. Murphy “Broad-Bnad Optical Clock Recovery System Using Two-photon Absorption”, IEEE Photon. Technol. Lett., vol9, pp2141-2143, Sep. 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、従来の光フェーズロックループ装置においては、特許文献1に示すように、光フェーズロックループ装置としては動作するが、ロック検出機構を有していないため、入力光信号とビート光信号とが同期しているかどうかを検出することができなかった。
【0014】
また、従来の電気フェーズロックループ装置中の電気位相比較器をSi−APDにおける二光子吸収を利用した光学位相比較器に置き換える構成では、電気VCOを用いているため、100[GHz]以上の周波数で出力することは困難である。
【0015】
本発明の課題は、入力光信号に同期したビート光信号を出力する光フェーズロックループ装置において、入力光信号とビート光信号とのロックを検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置のロックを検出するロック検出器であって、
前記ビート光信号の位相をシフトする位相シフト器と、
前記入力光信号及び前記位相シフトされたビート光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器と、を備え、
前記位相シフト器は、前記ビート光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトすることを特徴とするロック検出装置である。
【0017】
請求項2に記載の発明は、
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置のロックを検出するロック検出器であって、
前記入力光信号の位相をシフトする位相シフト器と、
前記ビート光信号及び前記位相シフトされた入力光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器と、を備え、
前記位相シフト器は、前記ビート光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトすることを特徴とするロック検出装置である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のロック検出装置において、
前記位相シフト器は、光路長の違いにより前記ビート光信号の位相をシフトすることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のロック検出装置において、
前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つは、
前記入力光信号及び前記ビート光信号を合波する合波部と、
前記合波された光信号を用いて、非線形効果により前記入力光信号及び前記ビート光信号の位相差に対応する位相比較信号を出力する位相比較部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のロック検出装置において、
前記位相比較部は、Si−APDであることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のロック検出装置において、
前記Si−APDは、前記入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されたことを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載のロック検出装置において、
前記位相比較部の前段に光アイソレータを備えることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載のロック検出装置において、
前記位相比較部は、光電子増倍管であることを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項4に記載のロック検出装置において、
前記位相比較部は、第二高調波発生結晶と、当該第二高調波発生結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項4に記載のロック検出装置において、
前記位相比較部は、周期分極反転LiNbO3結晶と、当該周期分極反転LiNbO3結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項4に記載のロック検出装置において、
前記位相比較部は、高非線形ファイバと、当該高非線形ファイバから新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、
請求項1から11のいずれか一項に記載のロック検出装置と、
前記光フェーズロックループ装置と、
を備えることを特徴とする光フェーズロックループシステムである。
【0028】
請求項13に記載の発明は、
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置を備え、
前記光学電圧制御発振器は、お互いに異なる周波数の光信号を出力する第1及び第2の光源と、当該第1及び第2の光源から出力される光信号を波長板により調整して前記光学電圧制御発振器から出力する光ビート信号の位相をシフトする位相シフト器と、前記調整された光信号を合波し、第1及び第2のビート光信号に分離するビームスプリッタと、を備え、
前記第1の位相検出器は、前記入力光信号及び前記第1のビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力し、
前記入力光信号及び前記第2のビート光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器を備え、
前記位相シフト器は、前記第1及び第2の光源から出力される光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を調整することを特徴とする光フェーズロックループシステムである。
【0029】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相シフト器は、前記第1の光源の出力信号が透過するλ/2波長板と、前記第2の光源の出力信号が透過するλ/4波長板と、を備え、
前記ビームスプリッタは、前記λ/2波長板を透過した光信号及び前記λ/4波長板を透過した光信号を合波し、第1のビート光信号と、当該第1のビート光信号と位相が90度ずれた第2のビート光信号とに分離することを特徴とする。
【0030】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つは、
前記入力光信号及び前記ビート光信号を合波する合波部と、
前記合波された光信号を用いて、非線形効果により前記入力光信号及び前記ビート光信号の位相差に対応する位相比較信号を出力する位相比較部と、を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相比較部は、Si−APDであることを特徴とする。
【0032】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記Si−APDは、前記入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されたことを特徴とする。
【0033】
請求項18に記載の発明は、請求項15から17のいずれか一項に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相比較部の前段に光アイソレータを備えることを特徴とする。
【0034】
請求項19に記載の発明は、請求項15に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相比較部は、光電子増倍管であることを特徴とする。
【0035】
請求項20に記載の発明は、請求項15に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相比較部は、第二高調波発生結晶と、当該第二高調波発生結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする。
【0036】
請求項21に記載の発明は、請求項15に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相比較部は、周期分極反転LiNbO3結晶と、当該周期分極反転LiNbO3結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする。
【0037】
請求項22に記載の発明は、請求項15に記載の光フェーズロックループシステムにおいて、
前記位相比較部は、高非線形ファイバと、当該高非線形ファイバから新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
請求項1に記載の発明によれば、位相シフト器において、第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量だけビート光信号を位相シフトし、第2の位相検出器において、入力光信号と位相シフトされたビート光信号との第2の位相比較信号を出力するので、第2の位相比較信号に基づいて、光フェーズロックループ装置のロックを検出できる。
【0039】
請求項2に記載の発明によれば、位相シフト器において、第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量だけ入力光信号を位相シフトし、第2の位相検出器において、ビート光信号と位相シフトされた入力光信号との第2の位相比較信号を出力するので、第2の位相比較信号に基づいて、光フェーズロックループ装置のロックを検出できる。
【0040】
請求項3に記載の発明によれば、位相シフト器において、光路長の違いによりビート光信号又は入力光信号の位相をシフトすることができる。
【0041】
請求項13に記載の発明によれば、光学電圧制御発振器において、波長板により、第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量だけ光信号を調整し、その調整された2つの光信号に基づいて第1及び第2のビート光信号を生成し、第2の位相検出器において、入力光信号及び第2のビート光信号の第2の位相比較信号を出力するので、入力光信号の周波数の変化によらず、第2の位相比較信号に基づいて、光フェーズロックループ装置のロックを検出できる。
【0042】
請求項14に記載の発明によれば、λ/2波長板を透過した光信号及びλ/4波長板を透過した光信号を合波し、第1のビート光信号と、位相が90度ずれた第2のビート光信号とに分離するので、第1のビート光信号と、位相が90度ずれた第2のビート光信号とを容易に生成できる。
【0043】
請求項4又は15に記載の発明によれば、前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つにおいて、合波部及び位相比較部により、位相比較信号を出力できる。
【0044】
請求項5又は16に記載の発明によれば、位相比較部がSi−APDであるので、偏波依存性を低減できるとともに、装置構成を簡便にできる。また、第1の位相検出器位相比較部がSi−APDである場合に、光フェーズロックループ装置のループ長を低減できる。
【0045】
請求項6又は17に記載の発明によれば、Si−APDに、入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されているので、入力光信号の波長に対応する光信号がSi−APD内に入射する効率を高めることができる。
【0046】
請求項7又は18に記載の発明によれば、位相比較部の前段に光アイソレータを備えるので、位相比較部に入射する光信号の戻り光を低減でき、非線形効果が起こる効率の波長依存性を低減できる。
【0047】
請求項8又は19に記載の発明によれば、位相比較部が光電子増倍管であるので、位相比較部に入射する光信号の感度を高めることができる。
【0048】
請求項9又は20に記載の発明によれば、位相比較部が第二高調波発生結晶及びその受光部を備えるので、オフセット電流のない位相比較信号を出力できる。
【0049】
請求項10又は21に記載の発明によれば、位相比較部が周期分極反転LiNbO3結晶及びその受光部を備えるので、装置構成を簡便にできるとともに、オフセット電流のない位相比較信号を出力できる。
【0050】
請求項11又は22に記載の発明によれば、位相比較器が高非線形ファイバと、新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えるので、オフセット電流のない位相比較信号を出力できる。
【0051】
請求項12に記載の発明によれば、光フェーズロックループ装置と、そのロックを検出する請求項1から11のいずれか一項に記載のロック検出装置と、を備える光フェーズロックループシステムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明に係る第1及び第2の実施の形態並びに第1及び第2の変形例を順に説明する。
【0053】
(第1の実施の形態)
図1〜図7を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。先ず、図1〜図5を参照して、本実施の形態の光フェーズロックループシステム1αの装置構成を説明する。図1に、本実施の形態の光フェーズロックループシステム1αの構成を示す。図1に示すように、光フェーズロックループシステム1αは、光フェーズロックループ装置1と、入力光信号と光フェーズロックループ装置1のビート光信号との位相を比較してロックを検出するロック検出装置100Aとを有する。
【0054】
フェーズロックループ装置1は、位相検出器10と、ループフィルタ20と、OVCO30と、を備えて構成される。OVCO30は、LD31,32と、光カプラ33とを備える。ロック検出装置100Aは、分波器110と、分波器120と、π/2シフト器130Aと、位相検出器140とを備える。
【0055】
分波器110は、入力光信号を同位相の2つの光信号に分波し、例えば、光カプラにより構成される。位相検出器10は、入力される2つの光信号の位相を比較し、その比較結果としての位相比較信号を出力する。ループフィルタ20は、位相検出器10の位相比較信号を整形して出力する。OVCO30は、ループフィルタ20から出力された位相比較信号に基づいて、ビート光信号を出力する。
【0056】
OVCO30において、LD31,32により、お互いに異なる周波数の2つの光信号が出力され、その2つの光信号が光カプラ33で合波され、その周波数差に応じたビート光信号が2つのビート光信号に分波されて出力される。LD31,32は、各出力光の偏波面は同一であるものとする。光カプラ33から出力される2つのビート光信号のうちの一方のビート光信号は、アウトプットとして出力され、もう一方のビート光信号は、分波器120により2つのビート光信号に分波される。分波された2つのビート光信号のうちの一方のビート光信号は、再び位相検出器10に入力される。つまり、位相検出器10において、分波器110により分波された入力光信号と、分波器120により分波されたビート光信号との位相が比較されて、ループが形成される。入力光信号と、ビート光信号との位相差は、90度になるように制御される。
【0057】
π/2シフト器130Aは、分波器120により分波されたもう一方のビート光信号の位相をπ/2シフトして出力する。位相検出器140は、π/2シフト器130Aによりπ/2シフトされた光信号と、分波器110により分波された入力光信号との位相を比較し、比較結果としての位相差比較信号をロック検出信号として出力する。位相検出器140に入力される、π/2シフトされた光信号と、入力光信号との互いの偏波面は一致するように設定しておく。
【0058】
図2に、位相検出器10,140の構成を示す。位相検出器10,140は、2つの光信号を合波する合波部と、非線形効果を利用して光信号を位相比較する位相比較部との二つの要素で構成される。位相検出器10,140は、合波部としての光カプラ11と、位相比較部としてのSi−APD12とを備えて構成される。光カプラ11は、分波器110により分波された入力光信号と、分波器120により分波されたビート光信号とを合波して出力する。また、光カプラ11は、合波後の二つの光の偏波が同一になるようにあらかじめ偏波制御器で同一偏波になるように設定するか、偏波保持ファイバと偏波保持カプラとにより構成される。Si−APD12は、非線形効果としての二光子吸収による受光部であり、光カプラ11により合波された光信号に対して、合波前の2つの光信号の位相差に対応する出力光電流としての位相比較信号を出力する。
【0059】
図3に、Si−APD12の構成を示す。図3に示すように、Si−APD12は、Si−APD本体12Aを備え、Si−APD本体12Aの受光面としての窓材や表面にARコート(Anti Reflection Coating:反射防止膜)12Bが施されて構成される。レンズ14は、入射光の焦点がSi−APD12Aの受光面にあわせられるように設定される。
【0060】
市販のSi−APDは、800[nm]に最大の感度を持ち、1100[nm]よりも長波長の光にはほとんど感度をもたない。そのため、入力光信号の波長が1550[nm]の時、1550[nm]の光のエネルギーが、Si−APDがもつバンドギャップよりも小さいために、通常の線形過程では、Si−APDに光電流がほとんど生じない。しかしながら、Si−APDにおいて、二光子吸収が起こると、二光子のエネルギーの和がSi−APDがもつバンドギャップを超えるために、光電流が生じる。
【0061】
通常、二光子吸収をより効率良く起すためには入射光をレンズで絞り、Si−APDの受光面上で最もスポットサイズが小さくなるようにする。このため、本実施の形態についても、そのスポットサイズを小さくするために、できるだけ大きなNA(Numerical Aperture)のレンズ13で入射光を絞るのが良い。
【0062】
市販されているSi−APDは、受光感度が最大である800[nm]の光に対して最も反射を小さくするためのARコートを施している。そのため、ARコートにおける最適波長とは異なる1550[nm]の光に対しては入射光の10%以上の反射がおこる。本実施の形態では、光フェーズロックループ装置1で利用されているように、1550[nm]の光を入射光として二光子吸収現象によって出力された光電流を検出する。このため、1550[nm]に最適なARコート12BをSi−APD本体12Aの窓材や表面に施していることが望ましい。つまり、Si−APD12として、入力光信号の波長からずれた部分に感度が最大のSi−APD本体12Aに、入力光信号の波長に最適なARコート12Bが施されるものが好ましい。
【0063】
また、Si−APDは、他の方式による位相比較部に比べて、偏波依存性を少なくでき、さらに構成が簡便であり、好ましい。また、構成が簡便であるので、Si−APDを位相検出器10に用い、ループ帯域を上げる場合にもループ長を短くすることが容易であり、好ましい。
【0064】
図4に、光路長の違いを利用するπ/2シフト器130Aの例を示す。図4(a)に、可変光学遅延部130aの構成を示す。図4(b)に、可変光学遅延部130bの構成を示す。本実施の形態において、入力光信号の周波数は、固定されているものとする。π/2シフト器130Aは、光路長の違いを利用する可変光学遅延部130a又は130bにより構成される。図4(a)に示すように、可変光学遅延部130aは、ミラー131,132とを備えて構成される。可変光学遅延部130aでは、ミラー131の位置を調整して設置することで、空間的に光路長を調整する。
【0065】
図5に、光フェーズロックループシステム1αにおける各光路長を示す。図5に示すように、分波器110の出力部と位相検出器10の入力部との間の光路長をパスP1とし、分波器110の出力部と位相検出器140の入力部との間の光路長をパスP2とし、OVCO30の出力部と位相検出器10の入力部との間の光路長をパスP3とし、OVCO30の出力部と位相検出器140の入力部との間の光路長をパスP4とする。この場合に、次式(1)を満たすように、可変光学遅延部130aが調整される。
P1+P3=P2+P4+(or−)c/(4×f×n) …(1)
ここで、cは光速であり、fがOVCO30のビート光信号の周波数であり、nが光路の屈折率である。
【0066】
式(1)の条件を満たすことにより、位相検出器10と位相検出器140との位相検出の位相が90度ずれる。また、光路差は、周波数fで決まるため、OVCOのビート光信号の周波数が固定の場合に、光路差の違いを利用する可変光学遅延部を用いることができる。
【0067】
また、ループフィルタ20の出力波形や、ビート光信号のRFスペクトルを測定するなどの手段によって光フェーズロックループシステム1αが正常に動作していることを確認している時に、パスP2もしくはパスP4の光路長を調整し、位相検出器140の平均出力が最大もしくは最小になるように設置する。
【0068】
光路長の違いを利用する可変光学遅延部としては、図4(b)に示す可変光学遅延部130bを利用することとしてもよい。可変光学遅延部130bは、圧電体としてのピエゾ素子133と、ピエゾ素子133に巻きつけられた光ファイバ134とを備える。通電によりピエゾ素子133の直径を増減させることで、光ファイバ134が増減し光路長を調整する。また、他にも、PLC(Planar Lightwave Circuit:平面光波回路)等を用いて、光路長の違いを利用する可変光学遅延部を実現することもできる。
【0069】
次に、図6及び図7を用いて、光フェーズロックループシステム1αの動作を説明する。図6に、光フェーズロックループシステム1αにおける各信号を示す。図6に示すように、光フェーズロックループ装置1が正常に動作していて位相が同期しているとき、位相検出器10から出力される位相比較信号が0になるように負帰還している、すなわちOVCO30(光カプラ33)から出力されるビート光信号と、分波器110から出力される入力光信号光との位相差は90度となっている。また、OVCO30は、位相比較器としてSi−APDを用いているので、ビート光信号自身と入力光信号自身の二光子吸収により生じる出力光電流がオフセット電流として発生する。位相比較信号はオフセット電流からの差電流となる。
【0070】
光フェーズロックループ装置1がロックしている時は、位相比較信号が常に0である。またロックしていない時、位相比較信号がランダムな値を取るため、ループフィルタから出力される位相比較信号の平均値は0である。よって、光フェーズロックループ装置1中の位相比較信号の平均値からロックしているかどうかはわからない。
【0071】
図7に、位相検出器140におけるビート光信号及び入力光信号の2つの信号の位相差に対する規格化出力を示す。図7に示すように、ロック検出装置100Aを用いて、ビート光信号もしくは入力光信号の位相を例えば90度ずらし別途設置した位相検出器140に入力すると、光フェーズロックループ装置1がロックしている時の位相比較信号の平均値は、位相差が0度の場合は正、位相差が180度の場合は負の値を持つ。ロックしていない時に位相比較信号がランダムな値をとるため、その平均値は0となる。よって、ロック動作しているかどうかにより位相比較信号の平均値に差が生じるため、ロックしているかどうかを示すことが可能となる。
【0072】
また、入力光信号とビート光信号とが同期していない時、位相検出器10も位相検出器140も平均出力はゼロとなる。一方、入力光信号とビート光信号とが同期している時は、位相検出器10の出力がゼロになるようにOVCO30が制御されている。この時、入力光信号及びビート光信号の位相はπ/2の位相差を持つ。この時、入力光信号もしくはビート光信号の位相をπ/2ずらすと位相差は0もしくはπとなり、位相検出器140の出力はゼロで無くなる。
【0073】
位相検出器140の出力は、同期しているときはゼロでない値を持ち、同期していないときには出力位相がランダムであるため平均すると出力がゼロとなる。よって、同期検出を行うことが可能となる。これらの状況を次の表1に示す。
【表1】

【0074】
以上、本実施の形態によれば、π/2シフト器130Aにおいて、位相検出器140で比較される2つの信号がロックした場合に、その位相比較信号が0にならない量として90度だけビート光信号を位相シフトし、位相検出器140において、入力光信号と位相シフトされたビート光信号との位相比較信号(ロック検出信号)を出力するので、位相検出器140から出力される位相比較信号に基づいて、光フェーズロックループ装置1のロックを検出できる。
【0075】
また、π/2シフト器130Aにおいて、光路長の違いにより前記ビート光信号の位相をシフトすることができる。
【0076】
また、位相検出器10,140において、合波部と位相比較部とにより、位相比較信号を出力できる。また、位相比較部がSi−APD12であるので、偏波依存性を低減できるとともに、装置構成を簡便にできる。また、Si−APDを位相検出器10に用い、光フェーズロックループ装置1のループ長を低減できる。
【0077】
また、Si−APD12において、Si−APD本体12Aに、入力光信号の波長に最適なARコート12Bが施されているので、入力光信号の波長に対応する光信号がSi−APD内に入射する効率を高めることができる。
【0078】
(第2の実施の形態)
図8を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図8に、本実施の形態の光フェーズロックループシステム1βの構成を示す。図8に示すように、光フェーズロックループシステム1βは、第1の実施の形態と同様の光フェーズロックループ装置1と、ロック検出装置100Bとを備えて構成される。
【0079】
ロック検出装置100Bは、第1の実施の形態と同様に分波器110と、分波器120と、位相検出器140とを備え、さらにπ/2シフト器130Bを備えて構成される。π/2シフト器130Bは、第1の実施の形態のπ/2シフト器130Aと同様であるが、分波器110に分波された入力光信号の位相をπ/2シフトする。位相検出器140は、π/2シフト器130Aによりπ/2シフトされた入力光信号と、分波器120により分波されたビート光信号との位相を比較し、その比較結果としての位相比較信号をロック検出信号として出力する。このため、ロック検出装置100Bは、第1の実施の形態のロック検出装置100Aと同様のロック検出信号を出力する。
【0080】
以上、本実施の形態によれば、π/2シフト器において、位相検出器140で比較される2つの光信号の位相が合った場合に、その位相比較信号が0にならない量としてπ/2だけ入力光信号を位相シフトし、位相検出器140において、ビート光信号と位相シフトされた入力光信号との位相比較信号(ロック検出信号)を出力するので、位相検出器140から出力される位相比較信号に基づいて、光フェーズロックループ装置1のロックを検出できる。
【0081】
(第1の変形例)
図9〜図17を参照して、上記第1及び第2の実施の形態において、位相検出器10,140の構成の変形例としての第1の変形例を説明する。
【0082】
先ず、図9を参照して、位相検出器10,140内の合波部の別の例を示す。図9(a)に、ビームスプリッタ11Aの構成を示し、図9(b)に、光カプラ11及び光増幅器14を設置した例を示す。図9(a)に示すように、位相検出器10,140内の合波部として、ビームスプリッタ11Aを用いる構成としてもよい。ビームスプリッタ11Aは、光学系を空間系で構築する場合に用いる。ビームスプリッタ11Aは、合波後の光の偏波が同一になるようにあらかじめ偏波を設定する。
【0083】
また、位相検出器10,140内の合波部としては、ビームスプリッタ11Aに代えてハーフミラー等としても良い。
【0084】
また、図9(b)に示すように、位相検出器10,140内の合波部(図では光カプラ11)の後段に、光増幅器14を設ける構成としてもよい。位相検出器10,140内の合波部による合波後の光信号は、位相比較部としてのSi−APD12に入力されるが、より非線形効果を強く起こすために、光増幅器14を用いてあらかじめ増幅される。
【0085】
次いで、図10〜図17を参照して、位相検出器10,140内の位相比較部の別の例を説明する。図10(a)に、光学素子を傾けた場合の入射光及び反射光の構成を示す。図10(b)に、Si−APDを傾けた場合の入射光及び反射光の軌跡を示す。図10において、入射光を実線で示し、反射光(戻り光)を点線で示す。
【0086】
第1の実施の形態のSi−APD12のように、入射波長に最適なARコート12BをSi−APD本体12Aに施しても反射光は生じる。そのため、反射光が前段に戻らないようにする必要がある。図10(a)に示す光学系は、光アイソレータや光学フィルタ等の光モジュールで用いられるものである。図10(a)に示すように、出射端13Dから出射された光束は、レンズ13Bによりコリメートされて光学素子13Cを通過し、レンズ13Aにより集光されて、入力端13Eに入力される。コリメートされた光(の光軸)に対して斜めに光学素子13Cを設置するので、その反射光の焦点は、入射点と空間的にずれる。そのために光モジュール13C前段に反射光が戻る量は、通常、入射光パワーの−50dB以下となる。
【0087】
二光子吸収現象は入射光のパワー密度が高いほど効率良く起こる。そこで、図10(b)に示すように、輝度を高くするためにSi−APD12上にレンズ13Aの焦点が重なり且つSi−APD12を斜めに傾けるように設置する構成を考える。Si−APD12を斜めに傾けても、レンズ13AのNA値が大きく、反射光は入射端と空間的に一致するために、反射光が前段に戻る量を小さくするのが、図10(a)の光学配置の構成に比べると困難である。反射光は、Si−APD12前段の光学部品等により反射され、再びSi−APD12に入射する場合、Si−APD12に直接入射する光と干渉し二光子吸収が起こる効率に波長依存性が生じる。
【0088】
図11に、位相検出器内に光アイソレータ15を備える構成を示す。前述の二光子吸収が起こる効率の波長依存性は、図11に示すように、位相検出器10,140内で光カプラ11及びSi−APD12間に光アイソレータ15を挿入する構成により緩和される。光アイソレータ15に代えて、光サーキュレータ等を挿入する構成としてもよい。また、以下に述べるような他の構成の位相比較部の前段に光アイソレータ等を挿入する構成としてもよく、レンズを利用して集光する位相比較部、例えば、PMT、SHG結晶等に対して有効である。
【0089】
図12に、位相検出器内にPMT16を備える構成を示す。二光子吸収を利用して入射光の位相差に応じたする電気信号を出力する素子としては、Si−APDの他に、PMTがある。図12に示すように、位相検出器10,140内で、レンズ13Fと、位相比較部としてのPMT16とを順に設置する。PMT(光電子倍増管)とは、二光子吸収を利用するとともに、極めて微弱なシンチレーションパルスの光信号をこれに対応する電気信号に変換する装置である。レンズ13FによりPMT16の光電面に光を集光することで、PMT16の二光子吸収を効率良く起こるようにする。PMT16には、赤外にほとんど感度をもたず、800[nm]に大きな感度をもつものを用いる。
【0090】
PMTを位相比較部に用いる構成は、Si−APD12を用いる構成よりも受光感度を1桁程度高めることができる。また、二光子吸収を利用して入射光の位相を比較する他の位相比較部を用いる構成としてもよい。
【0091】
図13に、位相検出器内にSHG(Second Harmonic Generation:第二高調波発生)結晶17を備える構成を示す。位相比較部としては、二光子吸収をする素子のみならず、入射光が表面に入射した場合に2倍の振動数の出射光を出射する第二高調波発生を利用するものを用いてもよい。図13に示すように、位相検出器10,140内で、Si−APD12の前段にレンズ13Gと、SHG結晶17と、レンズ13Hとを順に設置する。SHG結晶17は、第二高調波が発生する結晶であり、例えば、LiNbO3である。SHG結晶17において、SHGがより効率良く発生するようにSHG結晶17にはできるだけ小さなビーム径で入射するようにレンズ13Gを用いる。Si−APD12として、入射光にはほとんど感度が無く、発生したSH光に大きな感度をもつものを受光部として用いても良い。また、Si−APD12の前段に、入射光を減衰させ、発生したSH光のみを透過させる光学フィルタやカラーフィルタを設置しても良い。この構成では、Si−APD12に代えて、PD等の受光部を用いてもよい。
【0092】
SHG結晶を位相比較部に用いる構成は、入射光の縦偏波と横偏波とが相関を持つ場合に電流を出力する構成にでき、位相比較信号にオフセット電流のない構成を実現できる。
【0093】
図14に、位相検出器内にPPLN18を備える構成を示す。図14に示すように、位相検出器10,140内で、Si−APD12の前段に、第二高調波発生を利用する位相比較部としてPPLN18を設置する。PPLN18は、LiNbO3に周期的な分極反転構造を形成して擬似位相整合(QPM:Quasi Phase Matching)を達成した効率波長変換素子(周期分極反転LiNbO3結晶)である。PPLN18は、SHG結晶17と同様に動作する。この構成では、Si−APD12に代えて、PD等の受光部を用いてもよい。また、第二高調波発生を利用して入射光の位相を比較する他の位相比較部を用いる構成としてもよい。
【0094】
PPLNを位相比較部として用いる構成は、PPLNを導波路型とする場合に、光導波路として光ファイバを用いることができ、SHG結晶を用いる構成よりも構成を簡便にできる。また、他の、第二次高調波発生を利用して入射光の位相を比較する位相比較部を用いる構成としてもよい。
【0095】
図15に、位相検出器内にHNLF(Highly nonlinear fiber:高非線形ファイバ)19を備える構成を示す。位相比較部としては、他にも、2つの波長の異なる光子の入射により、入射光と異なる波長の2つの光子を出射する四光波混合を利用するものを用いてもよい。図15に示すように、位相検出器10,140内で、Si−APD12の前段に、四光波混合を利用するHNLF19と、BPF(Band Pass Filter)1Aとを順に設置する。入射光がHNLF19に入射され、その入射光のうち、四光波混合により、入射光の波長と異なる新たな波長の出射光がBPF1Aを透過され、Si−APD12で電気信号に変換される。この構成では、Si−APD12に代えて、PD等の受光部を用いてもよい。
【0096】
HNLFを位相比較部に用いる構成は、四光波混合を利用するので、位相比較信号にオフセット電流が発生しない構成を実現できる。また、四光波混合を利用して入射光の位相を比較する他の位相比較部として、SOA等を用いる構成としてもよい。また、カー効果を利用するNOLM等を位相比較部に用いる構成としてもよい。
【0097】
本変形例によれば、位相検出器10,140の位相比較部としてのSi−APD12の前段に光アイソレータ15を備える場合に、Si−APD12に入射する光信号の戻り光を低減でき、二光子吸収が起こる効率の波長依存性を低減できる。また、位相比較部をPMT16とする場合に、位相比較部に入射する光信号の感度を高めることができる。
【0098】
また、位相比較部がSHG結晶17及びその受光部としてのSi−APD12を備える場合に、オフセット電流のない位相比較信号を出力できる。また、位相比較部がPPLN18及びその受光部としてのSi−APD12を備える場合に、装置構成を簡便にできるとともに、オフセット電流のない位相比較信号を出力できる。また、位相比較部がHNLF19と、新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部としてのBPF1A及びSi−APD12と、を備える場合に、オフセット電流のない位相比較信号を出力できる。
【0099】
(第2の変形例)
図16及び図17を参照して、上記第1の実施の形態及び第1の変形例に対する第2の変形例を説明する。上記各実施の形態(及び第1の変形例)では、π/2シフト器130A,130Bとして、光路長を変化させて光信号の位相をπ/2シフトする構成としたが、本変形例では、波長板を用いて光信号の位相をπ/2シフトする構成を説明する。図5において、P1+P3=P2+P4の関係を満たすとき、波長板及びPBS(Polarization beam splitter)を用いて、光信号に実効的な光路差を生じさせることができる。また、波長板及びPBSを用いる構成では、入力光信号の周波数を可変にしても調整無しで動作する。
【0100】
図16に、光フェーズロックループシステム1γの構成を示す。光フェーズロックループシステム1γは、第1の実施の形態の光フェーズロックループシステム1αの変形例であり、分波器120、π/2シフト器130A及びOVCO30に代えて、OVCO30Aを備える。
【0101】
OVCO30Aは、LD31,32と、λ/4波長板34と、λ/2波長板35と、PBS36と、を備える。ループフィルタ20から出力される整形された位相比較信号に対応して、LD31,32からお互いに異なる周波数の光信号が出力され、LD31から出力された光がλ/4波長板34を透過してPBS36に入力され、またLD32から出力された光がλ/2波長板35を透過してPBS36に入力される。また、図16に示すように、PBS36の出力部と位相検出器10の入力部との間の光路長をパスP5とし、PBS36の出力部と位相検出器140の入力部との間の光路長をパスP6とする。
【0102】
図17に、OVCO30A内の光信号の状態変化を示す。図17に示すように、LD31,32から出力される各光信号がお互いに周波数の異なる直線偏波(縦偏波)であるとする。LD31から出力された光信号はλ/4波長板34により直線偏波のまま偏波面を45度回転されるように、入力編波の向きとλ/4波長板34の向きとが調整される。また、LD32から出力された光信号がλ/2波長板35により円偏光に変換されるように、入力編波の向きとλ/2波長板35の向きとが調整される。円偏光は、縦偏光成分と、90度位相が遅れた横偏光成分との和である。また、PBS36からパスP5又はP6に出力されるビート光信号がアウトプットとして出力される。
【0103】
そして、偏波面を45度回転された光信号と、円偏光の光信号とがPBS36に入力され、合波されてビート光信号に変換され、さらにそのビート光信号が縦偏波成分と、ビート光信号の90度位相が遅れた横偏光成分とに分離される。ビート光信号の縦偏波成分と、ビート光信号の90度位相が遅れた横偏光成分とは、順にパスP5、パスP6に振り分けられても、順にパスP6、パスP5に振り分けられても、位相差が90度になるため、π/2シフト器が実現されている。
【0104】
本変形例によれば、OVCO30Aにおいて、λ/2波長板35を透過した光信号及びλ/4波長板34を透過した光信号をPBS36で合波し、ビート光信号と、位相が90度ずれたビート光信号とに分離し、位相検出器10が、入力光信号と、一方のビート光信号との位相比較信号を出力し、位相検出器140が、入力光信号と、位相検出器10に入力したビート光信号から位相が90度ずれたビート光信号との位相比較信号を出力することができるので、入力光信号の周波数の変化によらず、位相検出器140の位相比較信号に基づいて、光フェーズロックループ装置1のロックを検出できるとともに、一方のビート光信号と、位相が90度ずれたもう一方のビート光信号とを容易に出力できる。
【0105】
なお、上記各実施の形態及び各変形例において、位相検出器10及び140の構成を説明したが、その構成が位相検出器10及び140のうちの少なくとも一方であることとしてもよい。また、上記各実施の形態及び第1の変形例において、位相シフタ130A,130Bとしては、ビート光信号又は入射光信号に対して、位相検出器140で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトする構成としてもよい。また、上記第2の変形例において、位相シフタとしての波長板は、LD31,32から出力された光信号に対して、位相検出器140で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を調整する構成としてもよい。
【0106】
また、上記各実施の形態及び各変形例における光フェーズロックループシステムの各構成要素の細部構成、及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の光フェーズロックループシステム1αの構成を示す図である。
【図2】位相検出器10,140の構成を示す図である。
【図3】Si−APD12の構成を示す図である。
【図4】(a)は、可変光学遅延部130aの構成を示す図である。(b)は、可変光学遅延部130bの構成を示す図である。
【図5】光フェーズロックループシステム1αにおける各光路長を示す図である。
【図6】光フェーズロックループシステム1αにおける各信号を示す図である。
【図7】位相検出器140におけるビート光信号及び入力光信号の2つの信号の位相差に対する規格化出力を示す図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態の光フェーズロックループシステム1βの構成を示す図である。
【図9】(a)は、ビームスプリッタ11Aの構成を示す図である。(b)は、光カプラ11及び光増幅器14を設置した例を示す図である。
【図10】(a)は、光学素子を傾けた場合の入射光及び反射光の構成を示す図である。(b)は、Si−APDを傾けた場合の入射光及び反射光の軌跡を示す図である。
【図11】位相検出器内に光アイソレータ15を備える構成を示す図である。
【図12】位相検出器内にPMT16を備える構成を示す図である。
【図13】位相検出器内にSHG結晶17を備える構成を示す図である。
【図14】位相検出器内にPPLN18を備える構成を示す図である。
【図15】位相検出器内にHNLF19を備える構成を示す図である。
【図16】光フェーズロックループシステム1γの構成を示す図である。
【図17】OVCO30A内の光信号の状態変化を示す図である。
【図18】フェーズロックループ装置200の構成を示す図である。
【図19】電気ミキサ220の動作を示す波形図である。
【図20】光フェーズロックループ装置300の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1α,1β,1γ 光フェーズロックループシステム
1,300 光フェーズロックループ装置
10,140 位相検出器
11,310 光カプラ
11A ビームスプリッタ
12 Si−APD
12A Si−APD本体
12B ARコート
13,13A,13B,13F,13G,13H レンズ
13C 光学素子
13D 出力端
13E 入力端
14 光増幅器
15 光アイソレータ
16 PMT
17 SHG結晶
18 PPLN
19 HNLF
1A BPF
320 位相比較器
20,330 ループフィルタ
30,340 OVCO
31,32,341,342 LD
33,343 光カプラ
100A,100B 光位相検出装置
110,120 分波器
130A,130B π/2シフト器
130a,130b 可変光学遅延回路
131,132 ミラー
133 ピエゾ素子
134 光ファイバ
30A OVCO
34 λ/4波長板
35 λ/2波長板
36 PBS
200 フェーズロックループ装置
210 信号源
220 電気ミキサ
230 ループフィルタ
240 VCO
250 プリスケーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置のロックを検出するロック検出器であって、
前記ビート光信号の位相をシフトする位相シフト器と、
前記入力光信号及び前記位相シフトされたビート光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器と、を備え、
前記位相シフト器は、前記ビート光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトすることを特徴とするロック検出装置。
【請求項2】
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置のロックを検出するロック検出器であって、
前記入力光信号の位相をシフトする位相シフト器と、
前記ビート光信号及び前記位相シフトされた入力光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器と、を備え、
前記位相シフト器は、前記ビート光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトすることを特徴とするロック検出装置。
【請求項3】
前記位相シフト器は、光路長の違いにより前記ビート光信号の位相をシフトすることを特徴とする請求項1又は2に記載のロック検出装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つは、
前記入力光信号及び前記ビート光信号を合波する合波部と、
前記合波された光信号を用いて、非線形効果により前記入力光信号及び前記ビート光信号の位相差に対応する位相比較信号を出力する位相比較部と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のロック検出装置。
【請求項5】
前記位相比較部は、Si−APDであることを特徴とする請求項4に記載のロック検出装置。
【請求項6】
前記Si−APDは、前記入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されたことを特徴とする請求項5に記載のロック検出装置。
【請求項7】
前記位相比較部の前段に光アイソレータを備えることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のロック検出装置。
【請求項8】
前記位相比較部は、光電子増倍管であることを特徴とする請求項4に記載のロック検出装置。
【請求項9】
前記位相比較部は、第二高調波発生結晶と、当該第二高調波発生結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項4に記載のロック検出装置。
【請求項10】
前記位相比較部は、周期分極反転LiNbO3結晶と、当該周期分極反転LiNbO3結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項4に記載のロック検出装置。
【請求項11】
前記位相比較部は、高非線形ファイバと、当該高非線形ファイバから新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項4に記載のロック検出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のロック検出装置と、
前記光フェーズロックループ装置と、
を備えることを特徴とする光フェーズロックループシステム。
【請求項13】
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置を備え、
前記光学電圧制御発振器は、お互いに異なる周波数の光信号を出力する第1及び第2の光源と、当該第1及び第2の光源から出力される光信号を波長板により調整して前記光学電圧制御発振器から出力する光ビート信号の位相をシフトする位相シフト器と、前記調整された光信号を合波し、第1及び第2のビート光信号に分離するビームスプリッタと、を備え、
前記第1の位相検出器は、前記入力光信号及び前記第1のビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力し、
前記入力光信号及び前記第2のビート光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器を備え、
前記位相シフト器は、前記第1及び第2の光源から出力される光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を調整することを特徴とする光フェーズロックループシステム。
【請求項14】
前記位相シフト器は、前記第1の光源の出力信号が透過するλ/2波長板と、前記第2の光源の出力信号が透過するλ/4波長板と、を備え、
前記ビームスプリッタは、前記λ/2波長板を透過した光信号及び前記λ/4波長板を透過した光信号を合波し、第1のビート光信号と、当該第1のビート光信号と位相が90度ずれた第2のビート光信号とに分離することを特徴とする請求項13に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項15】
前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つは、
前記入力光信号及び前記ビート光信号を合波する合波部と、
前記合波された光信号を用いて、非線形効果により前記入力光信号及び前記ビート光信号の位相差に対応する位相比較信号を出力する位相比較部と、を備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項16】
前記位相比較部は、Si−APDであることを特徴とする請求項15に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項17】
前記Si−APDは、前記入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されたことを特徴とする請求項16に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項18】
前記位相比較部の前段に光アイソレータを備えることを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項19】
前記位相比較部は、光電子増倍管であることを特徴とする請求項15に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項20】
前記位相比較部は、第二高調波発生結晶と、当該第二高調波発生結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項15に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項21】
前記位相比較部は、周期分極反転LiNbO3結晶と、当該周期分極反転LiNbO3結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項15に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項22】
前記位相比較部は、高非線形ファイバと、当該高非線形ファイバから新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項15に記載の光フェーズロックループシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置のロックを検出するロック検出器であって、
前記ビート光信号の位相をシフトする位相シフト器と、
前記入力光信号及び前記位相シフトされたビート光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器と、を備え、
前記位相シフト器は、前記ビート光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトすることを特徴とするロック検出装置。
【請求項2】
前記位相シフト器は、光路長の違いにより前記ビート光信号の位相をシフトすることを特徴とする請求項1に記載のロック検出装置。
【請求項3】
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置のロックを検出するロック検出器であって、
前記入力光信号の位相をシフトする位相シフト器と、
前記ビート光信号及び前記位相シフトされた入力光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器と、を備え、
前記位相シフト器は、前記入力光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を位相シフトすることを特徴とするロック検出装置。
【請求項4】
前記位相シフト器は、光路長の違いにより前記入力光信号の位相をシフトすることを特徴とする請求項3に記載のロック検出装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つは、
前記入力光信号及び前記ビート光信号を合波する合波部と、
前記合波された光信号を用いて、非線形効果により前記入力光信号及び前記ビート光信号の位相差に対応する位相比較信号を出力する位相比較部と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のロック検出装置。
【請求項6】
前記位相比較部は、Si−APDであることを特徴とする請求項5に記載のロック検出装置。
【請求項7】
前記Si−APDは、前記入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されたことを特徴とする請求項6に記載のロック検出装置。
【請求項8】
前記位相比較部の前段に光アイソレータを備えることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のロック検出装置。
【請求項9】
前記位相比較部は、光電子増倍管であることを特徴とする請求項5に記載のロック検出装置。
【請求項10】
前記位相比較部は、第二高調波発生結晶と、当該第二高調波発生結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載のロック検出装置。
【請求項11】
前記位相比較部は、周期分極反転LiNbO3結晶と、当該周期分極反転LiNbO3結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載のロック検出装置。
【請求項12】
前記位相比較部は、高非線形ファイバと、当該高非線形ファイバから新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載のロック検出装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のロック検出装置と、
前記光フェーズロックループ装置と、
を備えることを特徴とする光フェーズロックループシステム。
【請求項14】
入力光信号及びビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力する第1の位相検出器と、当該第1の位相比較信号を整形するループフィルタと、当該整形された第1の位相比較信号に基づいて前記ビート光信号を出力する光学電圧制御発振器と、を備える光フェーズロックループ装置を備え、
前記光学電圧制御発振器は、お互いに異なる周波数の光信号を出力する第1及び第2の光源と、当該第1及び第2の光源から出力される光信号を波長板により調整して前記光学電圧制御発振器から出力する光ビート信号の位相をシフトする位相シフト器と、前記調整された光信号を合波し、第1及び第2のビート光信号に分離するビームスプリッタと、を備え、
前記第1の位相検出器は、前記入力光信号及び前記第1のビート光信号の位相を比較し第1の位相比較信号を出力し、
前記入力光信号及び前記第2のビート光信号の位相を比較し第2の位相比較信号を出力する第2の位相検出器を備え、
前記位相シフト器は、前記第1及び第2の光源から出力される光信号に対して、前記第2の位相検出器で比較される2つの光信号の位相が同期した場合に、その位相比較信号が0にならない量を調整することを特徴とする光フェーズロックループシステム。
【請求項15】
前記位相シフト器は、前記第1の光源の出力信号が透過するλ/2波長板と、前記第2の光源の出力信号が透過するλ/4波長板と、を備え、
前記ビームスプリッタは、前記λ/2波長板を透過した光信号及び前記λ/4波長板を透過した光信号を合波し、第1のビート光信号と、当該第1のビート光信号と位相が90度ずれた第2のビート光信号とに分離することを特徴とする請求項14に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項16】
前記第1及び第2の位相検出器のうちの少なくとも一つは、
前記入力光信号及び前記ビート光信号を合波する合波部と、
前記合波された光信号を用いて、非線形効果により前記入力光信号及び前記ビート光信号の位相差に対応する位相比較信号を出力する位相比較部と、を備えることを特徴とする請求項14又は15に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項17】
前記位相比較部は、Si−APDであることを特徴とする請求項16に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項18】
前記Si−APDは、前記入力光信号の波長に対応する反射防止膜が施されたことを特徴とする請求項17に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項19】
前記位相比較部の前段に光アイソレータを備えることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項20】
前記位相比較部は、光電子増倍管であることを特徴とする請求項16に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項21】
前記位相比較部は、第二高調波発生結晶と、当該第二高調波発生結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項16に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項22】
前記位相比較部は、周期分極反転LiNbO3結晶と、当該周期分極反転LiNbO3結晶から出力した光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項16に記載の光フェーズロックループシステム。
【請求項23】
前記位相比較部は、高非線形ファイバと、当該高非線形ファイバから新たに発生した波長の光を受光して位相比較信号を出力する受光部と、を備えることを特徴とする請求項16に記載の光フェーズロックループシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−114996(P2006−114996A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297910(P2004−297910)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】