説明

ロック装置

【課題】ロック装置において、追込みプレートの小型化を図り、さらに付勢バネの削減を図ることによってロック装置全体としての小型化およびコスト削減を達成する。
【解決手段】ロック状態時のポール30のポール支持軸24の特定の径方向への移動を案内するための径方向案内部29aと、アンロック状態時のポール30のポール支持軸24の特定の径方向への移動を規制しつつポール30の回動を案内するための回動方向案内部29bとを具備するポール案内孔29は、クッションフレーム11に固定設置されるベース部材をなすカバープレート23に対して設けられている。追込みプレート40とフックとが互いに接近するように付勢する引張バネ45は、追込みプレート40の回動を付勢するとともに、このように回動付勢される追込みプレート40からの回動力を受けてアンロック状態時のポール30も付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバック等の構成部を車両内の所定位置に固定するようにロックするロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、乗員が着座する車両用シートが設置されている。このような車両用シートにあっては、車両内に適宜設定される固定位置にて、例えばシートバック等のシート構成部をロックするロック装置が配設されるものが知られている。
このロック装置は、ストライカを嵌め受けるフックと、このフックにより嵌め受けられたストライカを収容するベース部材と、この収容されたストライカの収容状態を解除するためにフックを連動させるポールとを備える。このように構成されるロック装置は、ベース部材に対してストライカをフックに嵌め受けた状態で収容し、ストライカを係合状態とし、車両内の適宜設定される固定位置にてこのシート構成部をロックする。なお、ストライカがベース部材に収容されるにあたっては、ベース部材に設けられた凹部に収容されるようになっている。
【0003】
一方、この種のロック装置にあっては、ベース部材の凹部にストライカを収容した状態で、さらにフックを回動させる追込みプレートが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような追込みプレートが設けられたロック装置にあっては、凹部にストライカを収容した状態で、さらにストライカを収容する挟持方向にフックを回動させることができるので、この凹部の内周端に向けてストライカを押圧することができ、ストライカのガタつきを解消することができる。
他方、このような追込みプレートが設けられたロック装置にあっては、追込みプレートを適切に案内しつつ移動させるための案内機構が設けられている。上記開示される特許文献1における案内機構は、ポールに案内用の突起部が設けられ、追込みプレートに案内孔が設けられ、この案内用の突起部を案内孔に嵌め込めて案内することによって、追込みプレートの移動を適切に行うものとなっている。
なお、このロック装置にあっては、ポールを回動させるための付勢バネのほか、追込みプレートを適切に回動させるための付勢バネも設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−138785
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1にて開示されるロック装置にあっては、追込みプレートに案内孔が設けられる構成であるため、追込みプレートは、案内孔が適切に設けられる程度の大きさにしなければならず、小型化が要求される現状に反していた。
また、上記した特許文献1にて開示されるロック装置にあっては、追込みプレートを回動させるための付勢バネが設けられた構成であるため、小型化やコスト削減の観点から、付勢バネの数も削減したい。
さらに、上記開示される特許文献1の技術では、ポールをアンロック状態に移動させる際に、追込みプレートに設けられている長孔にポールに設けられている突起部が嵌められ、この突起部の移動が長孔内で案内されることで、ポールの動きに連動して追込みプレートが退避させるという効果があった。しかしながら、この長孔には、ポールをロック状態とさせる上での移動を案内する機能が設けられていない。このため、追込みプレートとフックとに1つの付勢バネが掛けられた、追込みプレートがポールを押圧するロック装置においては、ポールがフックと係合する前に追込みプレートがポールを押圧してしまい、ポールがフックに対してロック状態とすることができなくなってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シートバック等の構成部を車両内の所定位置に固定するようにロックするロック装置において、ポールを正しく移動させることができつつ、追込みプレートの小型化を図り、さらに付勢バネの削減を図ることによってロック装置全体としての小型化およびコスト削減を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係るロック装置は、次の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るロック装置は、車両内に配設される二部材の一方に設けられ、該二部材の他方に設けられたストライカと係合して該二部材同士をロックするロック装置であって、前記二部材の一方に固定設置されるベース部材と、該ベース部材にて支持される第1軸によって回動可能に軸支されるフックと、該ベース部材にて支持される第2軸によって回動可能に軸支される追込みプレートおよびポールと、該追込みプレートと該フックとに掛けられ該追込みプレートと該フックとが互いに接近するように付勢する付勢バネとを備え、前記フックは、前記ストライカが前記ベース部材に設けられた凹部内に入り込んでくる動きに連動して回動し、該回動によって該ストライカを該凹部と挟持状態とするように構成されており、前記ポールは、前記フックが前記ストライカを前記凹部と前記挟持状態としている場合に、前記付勢バネにより回動付勢された前記追込みプレートからの回動力を受けて付勢され、前記挟持状態の前記フックに対して該挟持状態を保持するように係合してロック状態とするように構成されており、前記追込みプレートは、前記挟持状態を保持するように前記フックに係合する前記ポールによって、前記ストライカを更に挟持する方向に該挟持状態の該フックを更に回動させるために、前記付勢バネにより付勢された回動力により該ポールを押圧して前記第2軸の特定の径方向への移動させるように構成されており、前記ベース部材には、前記ポールに設けられた案内突起が嵌められて該ポールの移動を案内するポール案内孔が設けられており、前記ポール案内孔は、前記ロック状態となっている場合の前記ポールの前記第2軸の前記特定の径方向への移動を案内するための径方向案内部と、該ロック状態から外れてアンロック状態となっている場合の該ポールの該第2軸の該特定の径方向への移動を規制しつつ該ポールの回動を案内するための回動方向案内部とを具備することを特徴とする。
【0008】
このロック装置によれば、ロック状態時のポールの第2軸の特定の径方向への移動を案内するための径方向案内部と、アンロック状態時のポールの第2軸の特定の径方向への移動を規制しつつポールの回動を案内するための回動方向案内部とを具備するポール案内孔は、ベース部材に対して設けられたものとなるので、従前のように追込みプレートに対してポール案内孔を設ける必要が無くなる。また、径方向案内部にて、ロック状態時のポールの第2軸の特定の径方向への移動を案内することができるので、ロック状態時のポールの移動を確実に行うことができ、フックを挟持方向に更に回動させるようにポールを押圧作用させることができる。
これによって、追込みプレートを構成するにあたって、ポールを正しく移動させることができつつポール案内孔の配設領域を設ける必要が無くなるので、追込みプレートの小型化を図ることができ、ロック装置全体としての小型化を達成することができる。
また、このロック装置によれば、追込みプレートとフックとに掛けられ追込みプレートとフックとが互いに接近するように付勢する付勢バネは、追込みプレートの回動を付勢するとともに、このように回動付勢される追込みプレートからの回動力を受けてアンロック状態時のポールも付勢するようになっているので、ポールと追込みプレートとの両者を、付勢バネ1つで付勢することができる。
これによって、ポールを正しく移動させることができつつ、付勢バネを最小構成となる1つにすることができて、ロック装置全体としての小型化およびコスト削減を達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るロック装置によれば、ポールを正しく移動させることができつつ、追込みプレートを構成するにあたってポール案内孔の配設領域を設ける必要が無くして追込みプレートの小型化を図ることができ、付勢バネを最小構成となる1つにすることができ、ロック装置全体としての小型化およびコスト削減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用の格納式リヤシートの側面図である。
【図2】ロック装置がロック状態にある状態を示す構成図である。
【図3】ロック装置の分解斜視図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【図6】図2のC−C線断面図である。
【図7】ロック装置をロック解除操作した状態を示す構成図である。
【図8】ロック装置がロック解除状態にある状態を示す構成図である。
【図9】ロック装置がロック初期状態にある状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、適宜図面を参照しながら本発明に係るロック装置の代表的な実施例について説明するが、これに限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。特に、以下にはストライカが凹部内へ下方から受け入れられる構成の実施例を挙げ、これを基準とした上下左右方向で説明するが、各構成部材の相対位置関係を保ちながら、ロック装置の設置方向(凹部の開口方向)を下記実施例と異なる方向とすることもできる。その場合、以下で説明する上下左右方向も、ロック装置の設置方向に合わせた方向で読み替えることができる。
【0012】
本発明に係るロック装置は、車両内に配設される二部材の一方に設けられるものであり、この二部材の他方に設けられたストライカと係合して、これら二部材同士をロックするものである。このため、このようなロック装置が設けられる対象としては、ストライカに対してロックしたい部材であれば特に限定されないが、代表的には、車体に対して着脱自在な車両用の格納シートを備える車両へ適用できる。格納シートは、車体側へロックされた使用姿勢と、ロック解除して車体側から脱離させた格納姿勢との間で変位操作可能なリヤシートである。格納シートは、フロア側にロックされた使用姿勢においてリクライニング装置を操作し、シートクッション側へシートバックを倒し込む。これと併行して、シートクッションの下部とフロア側とを結合しているロック装置のロックを解除することで、格納姿勢へ変位操作可能となる。格納姿勢としては、フロントシートの背面に立てかけた姿勢や、フロアに凹設された格納凹部内へ格納した姿勢などがある。以下には、本発明に係るロック装置を、このような格納シートを備える車両へ適用した場合を例に挙げて説明する。
【0013】
(実施例)
例えば、格納シートをこれのフロント側端部を支点として回動させ、フロントシートの背面に立てかける場合、図1に示すように、格納シート1のシートクッション10におけるクッションフレーム11のフロント側端部は、フロア13に固定されたヒンジブラケット14に対し、回動軸15によって連結されている。符号12は、シートバックである。ロック機構2は、クッションフレーム11のリヤ側下部とフロア13側との間において、格納シート1をロックおよびロック解除可能に構成されている。当該ロック機構2は、クッションフレーム11のリヤ側下部(シート側)に設けられたロック装置20と、二部材の他方となるフロア13(車体側)に固定設置されたストライカ3とに大別される。なお、回動軸15による連結部およびロック装置20は、格納シート1の両サイドに配置される。
【0014】
ロック装置20は、図2及び図3に示すように、ストライカ3を受け入れ可能な凹部21を有するベース部材(ベースプレート22及びカバープレート23)と、凹部21との間でストライカ3を挟持した挟持状態(ロック状態)を形成するフック(当接プレート50及び挟持プレート60)と、フックを挟持状態に保持しロック状態とするポール30と、挟持状態にあるフックをさらにロック方向(ロック状態となる方向)へ押圧するようポール30を移動させる追込みプレート40と、ポール30及び追込みプレート40を回動可能に軸支するポール支持軸(第2軸)24と、フックを回動可能に軸支するフック支持軸(第1軸)25と、追込みプレート40とフックとに掛けられ追込みプレート40とフックとが互いに接近するように付勢する引張バネ(付勢バネ)45とを備える。フックは、ストライカ3が凹部21内に入り込んでくる動きに連動して回動し、この回動によってストライカ3を凹部21と挟持状態とするものである。このため、このフックは、凹部21内へ進入してきたストライカ3と当接することで、当該フックをロック方向へ回動させる当接部50aと、ストライカ3を凹部21との間で挟持する挟持部60aとを有する。そのうえで本実施例では、フックの要部を構成する当接部50a及び挟持部60aが、それぞれ当接プレート50と挟持プレート60との二部材によって構成されている。なお、図2では、ロック装置20の内部機構をよく理解できるよう、カバープレート23を想像線(二点鎖線)で図示している。ロック機構2の各状態を示す後述の図7〜図9でも、同様である。
【0015】
カバープレート23とともにベース部材をなすベースプレート22は、これの左右両側方部に穿設された固定孔22a・22aにおいて、二部材の一方となるクッションフレーム11のリヤ側下部に、ビス16によって固定設置されている。両固定孔22a・22aは、ビス16の軸直径より左右方向へ横長の長孔となっており、ビス16を挿通したままロック装置20の左右位置を調整可能となっている。ベースプレート22の下縁には、上方に向けて開放した凹部21が切欠形成されている。この凹部21は、その開放側(下側)からストライカ3を受け入れることが可能であり、その受け入れを容易にするために下方に向かって拡開している。また、ベースプレート22には、後述のポール支持軸24が挿通されるポール支持軸挿通孔26と、後述のフック支持軸25が挿通されるフック支持軸挿通孔27とが穿設されている。ポール支持軸挿通孔26とフック支持軸挿通孔27とは、凹部21を挟んで対向位置にあり、ポール支持軸挿通孔26は、フック支持軸挿通孔27よりも下方にある。また、フック支持軸挿通孔27の上方には、後述の当接プレート50の係合片50bを受け入れ案内するフック案内孔28が穿設されている。フック案内孔28は、上側へ湾曲する凸円弧状を呈し、当接プレート50の係合片50bの回動軌跡に合致する。
【0016】
ベース部材をなすカバープレート23は、ロック装置20の外側を覆い、図4〜6に示すように、ベースプレート22と共にフック、ポール30、及び追込みプレート40等を挟持する。図2及び図3に戻って、カバープレート23にも、ベースプレート22におけるポール支持軸挿通孔26及びフック支持軸挿通孔27との対向位置に、それぞれポール支持軸挿通孔26及びフック支持軸挿通孔27が穿設されている。当該ベースプレート22及びカバープレート23のポール支持軸挿通孔26とフック支持軸挿通孔27とに、それぞれポール支持軸24とフック支持軸25とが挿通される。
また、このカバープレート23には、ポール支持軸挿通孔26の上方に、後述のポール30の案内突起30aが嵌められてポール30の移動を案内するポール案内孔29が穿設されている。このポール案内孔29は、フック配設側に穿設される径方向案内部29aと、この径方向案内部29aからフック配設側から離れる方向に沿って穿設される回動方向案内部29bとを具備する。
径方向案内部29aは、後に説明するポール30の移動のうち、ロック状態となっている場合のポール30のポール支持軸24の特定の径方向への移動を案内するためのものである。これに対して、回動方向案内部29bは、ポール30の移動のうち、ロック状態から外れてアンロック状態となっている場合のポールの回動を案内するためのものである。
【0017】
なお、ポール30の移動としては、引張バネ45にて付勢される追込みプレート40からの回動付勢力を受けて回動方向に付勢されるアンロック状態時における移動と、引張バネ45にて付勢される追込みプレート40の回動を受けてポール支持軸24の特定の径方向に付勢されるロック状態時における移動とを有している。ここで、特定の径方向とは、ストライカ3を更に挟持する方向に挟持状態のフック(当接プレート50及び挟持プレート60)を更に回動させるために、フックに対してポール30が押圧すべき方向である。具体的には、フック(当接プレート50及び挟持プレート60)回動方向とも一致する方向であり、引張バネ45により付勢された付勢力に基づき回動する追込みプレート40の回動を受けてポール30がポール支持軸24から離間する方向である。
このため、ポール30の回動方向と、ポール30の特定の径方向の移動とは、互いに交差する方向に設定されるものである。もって、これらのポール30の移動を案内するために設定される回動方向案内部29bと径方向案内部29aとも、互いに交差する方向に設定されている。
【0018】
ポール支持軸24には、ポール30と追込みプレート40とがこれの順で挿通される。すなわち、ポール30及び追込みプレート40は、同じポール支持軸24によってベースプレート22及びカバープレート23に回動自在に軸支されている。ポール支持軸24には、径方向外方へ延在するフランジ24aが設けられている。そして、図4に示すように、ロック装置20においては、カバープレート23側から、フランジ24a、ポール30、追込みプレート40の順で並んでいる。
【0019】
ポール30は、フックがストライカ3を凹部21と挟持状態としている場合に、引張バネ45により回動付勢された追込みプレート40からの回動力を受けて付勢される部材である。つまり、アンロック状態時のポール30は、追込みプレート40からの回動付勢力を受けて回動方向に付勢されるようになっている。この際、フックがストライカ3を凹部21と挟持状態としている場合には、ポール30は、このフックに対して挟持状態を保持するように当接してロック状態とする。これに対して、ロック状態時のポール30は、追込みプレート40の回動を受けてポール支持軸24の特定の径方向に付勢されるようになっている。
具体的には、ポール30は、これの下端部に軸孔31が穿設されており、当該軸孔31にポール支持軸24が挿通される。軸孔31は、ポール支持軸24の軸直径より大きい長孔であり、ポール支持軸24を支点として僅かに摺動可能となっている。ポール30の長手方向中間部には、ベースプレート22側(追込みプレート40側)へ突出する係合突起30bが一体形成されている。また、ポール30の上端部(回動先端部)には、ベースプレート22側(追込みプレート40側)へ突出する追込み突起30cが一体形成されている。また、追込み突起30cの側方には、カバープレート23側へ突出する案内突起30aが一体形成されている。なお、案内突起30a、係合突起30b、追込み突起30cは、図5,6に示すように、いずれもポール30をプレスすることで一体的に突出している。図2,3に戻って、ポール30の上面とフック側側面とのコーナー部は、後述の挟持プレート60の係合面60dと同形状の係合面30dとして形成されている。
【0020】
追込みプレート40は、挟持状態を保持するようにフックに係合するポール30によって、ストライカ3を更に挟持する方向に挟持状態のフックを更に回動させるためのものである。この際、追込みプレート40は、引張バネ45により付勢された回動力によりポール30を押圧してポール支持軸24の特定の径方向への移動させる。
具体的には、追込みプレート40は、これの下端部に軸孔41が穿設されており、当該軸孔41にポール支持軸24が挿通される。追込みプレート40の上部には、ベースプレート22側へ折り曲げられたバネ掛け部40aを一体的に有する。また、追込みプレート40の中央部には、ポール30の係合突起30bを受け入れる係合孔42が穿設されている。追込みプレート40の上面は、上側へ湾曲する凸円弧形の追込み面40bとして形成されている。当該追込み面40bは、ポール30の追込み突起30cと摺接することでポール30を上方へ押圧する面であり、追込みプレート40の回動中心(ポール支持軸24の軸心)から追込み面40bまでの距離が、回動先端側から回動後端側に向けて徐々に大きくなる曲面形状となっている。
【0021】
フック支持軸25には、ロック装置20のフックを構成する挟持プレート60と当接プレート50とがこれの順で挿通される。すなわち、当接プレート50及び挟持プレート60は、同じフック支持軸25によってベースプレート22及びカバープレート23に回動自在に軸支されている。フック支持軸25には、径方向外方へ延在するフランジ25aが設けられている。そして、図4に示すように、ロック装置20においては、カバープレート23側から、当接プレート50、挟持プレート60、フランジ25aの順で並んでいる。
【0022】
図2,3に戻って当接プレート50は、これの上部に軸孔51が穿設されており、当該軸孔51にフック支持軸25が挿通される。当接プレート50の下部には、ポール30側へ延出する当接部50aを有する。また、当接プレート50の上縁には、ベースプレート22側へ折り曲げられた係合片50bを一体的に有する。
【0023】
挟持プレート60は、当接プレート50よりも長寸の部材である。挟持プレート60の上部には軸孔61が穿設されており、当該軸孔61にフック支持軸25が挿通される。挟持プレート60の下部には、ポール30側へ延出する挟持部60aを有する。挟持部60aは当接部50aより下方に位置し、当該当接部50aと挟持部60aとの間にストライカ3を受け入れ可能となっている。挟持プレート60の上縁左右中間部には、上方に向けて開口する係合凹部60bが切欠形成されている。当該係合凹部60bよりポール30側は、ポール30と係合する係合部60cとなっており、当該係合部60cのポール30側側面は、ポール30の係合面30dと同形状の係合面60dとして形成されている。
【0024】
このような構成のベースプレート22、カバープレート23、ポール30、追込みプレート40、当接プレート50、及び挟持プレート60等によってロック装置20を組み立てると、図5に示すように、ポール30の案内突起30aがカバープレート23のポール案内孔29内へスライド可能に受け入れられる。一方、ポール30の係合突起30bは、図6に示すように、追込みプレート40の係合孔42内へ受け入れられる。追込みプレート40のバネ掛け部40aは、ベースプレート22の反対側まで突出している。一方、当接プレート50の係合片50bは、図2に示すように、挟持プレート60の係合凹部60bに嵌合した状態で、ベースプレート22のフック案内孔28を介してベースプレート22の反対側まで突き抜けている。そして、追込みプレート40のバネ掛け部40aと当接プレート50の係合片50bの間に、追込みプレート40とフックとを互いに近接する方向に常時付勢する引張バネ45が掛け留められている。詳しくは、追込みプレート40は、引張バネ45によって、ポール支持軸24を中心としてフック(当接プレート50及び挟持プレート60)に近接する方向(図面基準で反時計回り)へ常時付勢されている。一方、当接プレート50が、引張バネ45によってフック支持軸25を中心としてポール30及び追込みプレート40に近接する方向に常時付勢されていることで、挟持プレート60、すなわちフックがポール30及び追込みプレート40に近接する方向(図面基準で時計回り)に常時付勢されている。また、追込みプレート40には、ロック機構2をロック解除操作する操作レバー(図示せず)に連結されたケーブル(図示せず)が連結されている。
【0025】
なお、図4に示すように、ポール支持軸24のフランジ24aと当接プレート50とは同じ厚みであり、ポール30と挟持プレート60とは同じ厚みであり、フック支持軸25のフランジ25aと追込みプレート40とは同じ厚みである。これにより、ポール30と挟持プレート60とが同一平面において回動するが、ポール30当接プレート50とは同一平面に無く、互いの回動平面は厚み方向にズレている。また、追込みプレート40と挟持プレート60とも同一平面に無く、互いの回動平面は厚み方向にズレている。そして、図7〜9等に示されるように、ポール支持軸24がフック支持軸25より下方、すなわちポール支持軸24が凹部21の開口方向(上下方向)においてフック支持軸25より凹部21側に配設されている。これにより、ポール30はフックの対向位置において左右方向に進退回動することになる。この場合でも、当接部50aとポール30とが異なる平面において回動し、図2に示すようにロック状態において当接部50aとポール30とが厚み方向に重なる構成となっているので、当接部50aとポール30との干渉が確実に避けられる。また、フックの回動中心(フック支持軸25の軸心)からフックの係合点までの長さXが、フックの回動中心からストライカ3とフックとの係合点までの長さYよりも小さくなっている。
【0026】
次に、ロック機構2の作用、すなわちロック装置20によるストライカ3のロック・解除機能について説明する。ストライカ3が凹部21内で挟持された図2に示すロック状態からロック解除する場合、先ず、格納シート1の所定箇所に設けられた操作レバーを操作して、図1に示すように、使用姿勢にある格納シート1のシートバック12を、シートクッション10側へ倒し込む。これに伴い、追込みプレート40がケーブルによって牽引され、図7に示すように、追込みプレート40が引張バネ45の付勢力に抗して時計回り(ロック解除方向)へ、ポール支持軸24を中心として回動する。すると、追込みプレート40の係合孔42がポール30の係合突起30bと係合することで、ポール30が追込みプレート40と共に同方向へ回動する。なお、ロック装置20がロック状態にあるとき、図2に示すようにポール30はポール支持軸24を支点として上方にあるが、ポール30の軸孔31が長孔形状となっていることで、解除操作の際には、図7のようにポール30はポール支持軸24を支点として下方へ移動しながら回動する。また、ポール30の回動の際、ポール30の案内突起30aがカバープレート23のポール案内孔29内をスライド移動する。案内突起30aがポール案内孔29に係合することで、ポール30及び追込みプレート40の回動限界が規制される。
【0027】
ポール30がロック解除方向へ回動することで、ポール30とフックを構成する挟持プレート60との係合が解除され、ロック解除状態となる。この状態においてストライカ3を凹部21から退出させると、図8に示すように、当接プレート50と挟持プレート60とがフック支持軸25を中心として一体的に時計回り(ロック解除方向)へ回動する。詳しくは、当接プレート50が引張バネ45の付勢力によってポール30側へ回動する。このとき、当接プレート50の係合片50bが挟持プレート60の係合部60cを押圧することで、挟持プレート60も当接プレート50と一体的に回動することになる。このとき、当接プレート50の係合片50bは、ベースプレート22のフック案内孔28内をスライド移動する。係合片50bがフック案内孔28に係合することで、当接プレート50及び挟持プレート60の回動限界が規制される。ストライカ3を凹部21から退出させ、操作レバーの操作力が除去されると、ポール30がロック方向へ回動する。具体的には、追込みプレート40が引張バネ45の付勢力によって再度フックに近接する方向へ回動する。これに伴い、ポール30が追込み突起30cにおいて追込みプレート40に押圧されながら挟持プレート60側へ回動することになる。これにより、挟持プレート60の係合部60cとポール30の側面とが係合し、ロック解除状態が保持される。
【0028】
再度ストライカ3をロック装置20と係合し、図1に示すように格納シート1をフロア13へロックする場合は、ストライカ3が凹部21に受け入れられることで、図9に示すように、フック(当接プレート50及び挟持プレート60)は、ストライカ3が凹部21内に入り込んでくる動きに連動して回動する。この回動によって、フック(当接プレート50及び挟持プレート60)は、ストライカ3を凹部21と挟持状態とするロック初期状態になる。詳しくは、ストライカ3が凹部21に受け入れられると、当接部50aがストライカ3によって押し上げられ、当接プレート50が引張バネ45の付勢力に抗してロック方向(反時計回り)へ回動する。これに伴い、挟持プレート60が係合凹部60bにおいて当接プレート50の係合片50bによって押圧され、当該挟持プレート60も当接プレート50と共に回動する。これに伴い、挟持プレート60の係合部60cの上面とポール30の側面との係合が解除され、ポール30の回動規制が解除される。すると、引張バネ45の付勢力によってポール30の係合突起30bが追込みプレート40に押圧されながら、ポール30がポール支持軸24を中心としてロック保持方向へ反時計回りに回動する。これにより、ポール30の係合面30dが挟持プレート60の係合面60dと係合することで、ロック状態が保持される。このとき、ポール30と当接部50aとが異なる平面において回動することで、ポール30と当接部50aとが干渉することなく、且つロック状態においてポール30と当接部50aとが厚み方向に重なることで、ロック装置20の大型化が避けられている。
【0029】
この図9に示すロック初期状態から、追込みプレート40が引張バネ45の付勢力によってさらにロック方向へ回動し、図2に示すように、挟持部60aがさらにロック方向へ押圧される。詳しくは、追込みプレート40がさらにロック方向へ回動すると、ポール30の追込み突起30cが追込みプレート40の追込み面40b上を摺動しながら、当該追込みプレート40の追込み面40bによってポール30の追込み突起30cが斜め上方へ押圧される。これに伴い、ポール30がポール支持軸24を支点として斜め上方へ押し上げられ、当該ポール30と係合している挟持プレート60の係合部60cが、ロック方向へ押圧される。これにより、挟持部60aもさらにロック方向へ押圧され、ストライカ3と挟持部60a及び凹部21とのガタ詰めが行われる。
【0030】
以上説明したロック装置20によれば、ロック状態時のポール30のポール支持軸24の特定の径方向への移動を案内するための径方向案内部29aと、アンロック状態時のポール30のポール支持軸24の特定の径方向への移動を規制しつつポール30の回動を案内するための回動方向案内部29bとを具備するポール案内孔29は、クッションフレーム11に固定設置されるベース部材をなすカバープレート23に対して設けられたものとなるので、従前のように追込みプレート40に対してポール案内孔29を設ける必要が無くなる。また、径方向案内部29aにて、ロック状態時のポール30のポール支持軸24の特定の径方向への移動を案内することができるので、ロック状態時のポール30の移動を確実に行うことができ、フックを挟持方向に更に回動させるようにポール30を押圧作用させることができる。
これによって、ポール30を正しく移動させることができつつ、追込みプレート40を構成するにあたって、ポール案内孔29の配設領域を設ける必要が無くなるので、追込みプレート40の小型化を図ることができ、ロック装置20全体としての小型化を達成することができる。
また、このロック装置20によれば、追込みプレート40とフック(係合片50b)とに掛けられ追込みプレート40とフックとが互いに接近するように付勢する引張バネ45は、追込みプレート40の回動を付勢するとともに、このように回動付勢される追込みプレート40からの回動力を受けてアンロック状態時のポール30も付勢するようになっているので、ポール30と追込みプレート40との両者を、付勢バネ1つで付勢することができる。これによって、ポール30を正しく移動させることができつつ、付勢バネを最小構成となる1つにすることができて、ロック装置20全体としての小型化およびコスト削減を達成することができる。
【0031】
(変形例)
上記実施例では、フックを構成する当接部50aと挟持部60aとを別部材によって構成したが、当接部と挟持部と有するフックを一部材として一体形成することも可能である。例えば、フック基部をポールよりも肉厚に形成し、ポールの厚みよりはみ出したフックの厚み部分において、ポールと干渉しないように薄肉の当接部を延在させることができる。
【0032】
また、上記実施例では、凹部21の開口方向を上下方向として、ストライカ3を下方から凹部21内へ受け入れているが、ロック機構2を上下反転して、ストライカ3を上方から凹部21内に受け入れるように設置することもできる。また、凹部21の開口方向を左右方向として、ストライカ3を左方又は右方から凹部21内へ受け入れるように設置することもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 格納シート
2 ロック機構
3 ストライカ
10 シートクッション
11 クッションフレーム
12 シートバック
13 フロア
14 ヒンジブラケット
15 回動軸
16 ビス
20 ロック装置
21 凹部
22 ベースプレート(ベース部材)
22a 固定孔
23 カバープレート(ベース部材)
24 ポール支持軸(第2軸)
24a フランジ
25 フック支持軸(第1軸)
25a フランジ
26 ポール支持軸挿通孔
27 フック支持軸挿通孔
28 フック案内孔
29 ポール案内孔
29a 径方向案内部
29b 回動方向案内部
30 ポール
30a 案内突起
30b 係合突起
30c 追込み突起
30d 係合面
31 軸孔
40 追込みプレート
40a バネ掛け部
40b 追込み面
41 軸孔
42 係合孔
45 引張バネ(付勢バネ)
50 当接プレート
50a 当接部
50b 係合片
51 軸孔
60 挟持プレート
60a 挟持部
60b 係合凹部
60c 係合部
60d 係合面
61 軸孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に配設される二部材の一方に設けられ、該二部材の他方に設けられたストライカと係合して該二部材同士をロックするロック装置であって、
前記二部材の一方に固定設置されるベース部材と、該ベース部材にて支持される第1軸によって回動可能に軸支されるフックと、該ベース部材にて支持される第2軸によって回動可能に軸支される追込みプレートおよびポールと、該追込みプレートと該フックとに掛けられ該追込みプレートと該フックとが互いに接近するように付勢する付勢バネとを備え、
前記フックは、前記ストライカが前記ベース部材に設けられた凹部内に入り込んでくる動きに連動して回動し、該回動によって該ストライカを該凹部と挟持状態とするように構成されており、
前記ポールは、前記フックが前記ストライカを前記凹部と前記挟持状態としている場合に、前記付勢バネにより回動付勢された前記追込みプレートからの回動力を受けて付勢され、前記挟持状態の前記フックに対して該挟持状態を保持するように係合してロック状態とするように構成されており、
前記追込みプレートは、前記挟持状態を保持するように前記フックに係合する前記ポールによって、前記ストライカを更に挟持する方向に該挟持状態の該フックを更に回動させるために、前記付勢バネにより付勢された回動力により該ポールを押圧して前記第2軸の特定の径方向への移動させるように構成されており、
前記ベース部材には、前記ポールに設けられた案内突起が嵌められて該ポールの移動を案内するポール案内孔が設けられており、
前記ポール案内孔は、前記ロック状態となっている場合の前記ポールの前記第2軸の前記特定の径方向への移動を案内するための径方向案内部と、該ロック状態から外れてアンロック状態となっている場合の該ポールの該第2軸の該特定の径方向への移動を規制しつつ該ポールの回動を案内するための回動方向案内部とを具備することを特徴とするロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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