説明

ロック装置

【課題】指紋を識別することにより解錠可能なロック装置を提供する
【解決手段】センサー18は、指紋を感知するため、スリット14が形成された固定座12に装着される。モーター20は、固定座12の内部に形成されたチャンバー13内に収容され、制御回路22によってセンサー18に電気的に接続される。駆動ユニット24はモーター20のシャフト21に装着される。主連動ユニット26は、左右に移動可能であり、駆動部29により駆動ユニット24に連結される。副連動ユニット34は、左右に移動可能であり、回転盤48を介して主連動ユニット26に連結される。センサー18は指紋を電子信号に変換し、変換した電子信号を制御回路22に伝送し、制御回路22によって識別を行う。識別結果が正確であると判断されると、モーター20が起動され、シャフト21によって駆動ユニット24が回転し、解錠および施錠が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置に関し、特に指紋の識別により解錠可能なロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5943886号に開示された従来のロック装置は、鍵でプラグを回し、二つの連動ユニットを外部に前進させ、二つの連動ユニットとボックスの両側に位置する係止ユニットとを結合させることによって、ボックスを施錠することができる。逆に、鍵でプラグを反対方向に回し、二つの連動ユニットを内部に後退させ、二つの係止ユニットのロック状態を解除すれば、二つの係止ユニットを逸脱させ、ボックスを開くことができる。
【0003】
上述のように、従来のロック装置では、鍵を使用する必要がある。解錠する際、まず鍵の保管場所を確定し、類似した鍵の中から正確な鍵を見付け、続いてプラグに照準を合わせながら鍵穴に鍵を一定の角度で差し込み、一定の方向に回すため、使用に非常に不便である。鍵を無くすと、解錠ができなくなるだけでなく、解錠するために手間を掛けて鍵屋に新しい鍵を作ってもらうかロックを壊す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5943886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、ユーザーの指紋を識別することにより解錠可能なロック装置を提供することにある。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、指紋識別により解錠可能であるとともに従来の鍵によっても解錠可能であるロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明によるロック装置は、固定座、センサー、モーター、駆動ユニット、主連動ユニット、副連動ユニットおよび回転盤を備える。
固定座は、内部に形成されたチャンバーと、チャンバーおよび外部を連絡するスリットとを有する。センサーはスリットが形成された固定座に装着される。モーターはチャンバー内に収容され、制御回路によってセンサーに電気的に接続される。駆動ユニットはモーターのシャフトに装着される。
【0008】
主連動ユニットは、移動可能なように固定座のチャンバー内に収容され、第1本体と、第1本体の一側に位置するように駆動ユニットに連結される駆動部と、第1本体の一端に形成された第1柱体とを有する。副連動ユニットは、移動可能なように固定座のチャンバー内に収容され、第2本体と、第2本体の一端に形成された第2柱体とを有する。回転盤は、回転可能なように固定座のチャンバー内に収容され、二つの向かい合う欠け口を有する。欠け口は主連動ユニットの第1柱体および副連動ユニットの第2柱体に別々に係合される。
上述のように、本発明は、ロック装置に関し、詳しくは従来の鍵による解錠方法およびユーザーの指紋を識別する解錠方法を兼ね備えるロック装置に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるボックス用指紋錠を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態によるボックス用指紋錠を示す分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態によるボックス用指紋錠を示す断面図。
【図4】本発明の一実施形態によるボックス用指紋錠を示す底面図。
【図5】図4に示した本発明の一実施形態によるボックス用指紋錠の作動状態を示す模式図。
【図6】図4に示した本発明の一実施形態によるボックス用指紋錠の作動状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるロック装置を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態によるロック装置としての指紋錠は、旅行かばん、収納箱などのボックスに適用される。図1から図3に示すように、指紋錠10は、固定座12、センサー18、モーター20、レバー23、駆動ユニット24、主連動ユニット26、副連動ユニット34、ロック40および回転盤48を備える。
【0011】
固定座12はボックス(図示せず)に装着される。固定座12は、内部にチャンバー13が形成されている。固定座12には、スリット14、開口部15、および穿孔16が形成されている。スリット14、プラグ開口部としての開口部15、および穿孔16は、チャンバー13と外部とを連通する。スリット14は略方形であり、開口部15は略円形である。
【0012】
センサー18は、ユーザーの指紋を感知するため、スリット14が形成された固定座12に装着される。モーター20は、固定座12のチャンバー13に装着され、制御回路22によってセンサー18に電気的に接続される。レバー23は、移動可能なように固定座12の穿孔16に装着され、かつセンサー18を制御するため制御回路22に電気的に接続される。駆動ユニット24は、モーター20のシャフト21に装着される。本実施形態において、駆動ユニット24は歯車である。センサー18は指紋を電子信号に変換し、そののち電子信号を制御回路22に伝送し、制御回路22によって識別を行う。識別結果が正確だと判断されると、モーター20を起動し、シャフト21によって駆動ユニット24を回転させる。
【0013】
主連動ユニット26は、左右に移動可能であり、固定座12のチャンバー13内に装着される第1本体としての本体28と、本体28の一側に位置するように駆動ユニット24に連結される駆動部29と、本体28の左端に形成された第1柱体としての柱体30とを有する。本実施形態において、駆動部29は駆動ユニット(即ち歯車)24と噛み合う一列の歯である。駆動ユニット24にはローラーなどの別の構成を採用でき、これに対し、駆動部29は辺縁が直線状の構成を採用することができる。副連動ユニット34は、左右に移動可能であり、固定座12のチャンバー13内に装着される第2本体としての本体36と、本体36の右端に形成された第2柱体としての柱体38とを有する。
【0014】
ロック40は、ハウジング42およびプラグ44を有する。ハウジング42は固定座12のチャンバー13内に装着され、内部にプラグチャンバーとしてのチャンバー41を有する。プラグ44は、ハウジング42のチャンバー41内に回転可能に装着される。ハウジング42は、合わさる上殻体42aおよび下殻体42bから構成される。主連動ユニット26および副連動ユニット34をチャンバー41内に差し込んで装着するために、上殻体42aは二つの開口部43を有する。プラグ44は底部に二つの柱体45を有する。
【0015】
柱体45は主連動ユニット26の一端および副連動ユニット34の一端に別々に突き当たる(図4参照)。回転盤48は、ロック40の下殻体42b内に回転可能に装着され、かつチャンバー41内に据えられる。回転盤48は二つの向かい合う欠け口49を有する。欠け口49は主連動ユニット26の柱体30および副連動ユニット34の柱体38に別々に係合される。固定座12の開口部15はプラグ44の位置に対応し、プラグ44を露出させるため、ユーザーは鍵(図示せず)をプラグ44に差し込むことができる。
【0016】
上述の構成により、指紋錠10を解錠するには、ユーザーの指紋を識別する解錠方法を使用可能なだけでなく、従来の鍵による解錠方法を使用することが可能である。
【0017】
指紋錠10がロック状態である場合、図5に示すように、主連動ユニット26および副連動ユニット34は、固定座12から外部の一定の距離まで前進し、かつ固定座12の両側に位置する係止ユニット(図示せず)に突き当たるため、二つの係止ユニットを逸脱させることができない。指紋識別によって解錠する場合、指がセンサー18をスライドすることによって感知を進め、続いて制御回路22を介してモーター20を起動することによって駆動ユニット24を回転させれば、駆動部29を介して主連動ユニット26を左に移動させることが可能である。
【0018】
図4に示すように、主連動ユニット26を左に移動させる場合、回転盤48を時計回りに回転させ、副連動ユニット34を右に移動させれば、主連動ユニット26および副連動ユニット34は両側の係止ユニットから逸脱し、固定座12の内部の一定の距離まで後退することが可能である。このとき二つの係止ユニットを押すとボックスを開けることができる。再び施錠を行う場合、指がセンサー18をスライドすれば、図5に示すように制御回路22を介して駆動ユニット24を反時計回りに回転させ、主連動ユニット26および副連動ユニット34を外部に前進させることによってボックスを施錠することが可能である。
【0019】
従来の鍵で施錠を行う場合、図6に示すようにロック40のプラグ44に鍵を差し込んで回し、二つの柱体45を反時計回りに回転させて主連動ユニット26および副連動ユニット34を外部に押し出すことによってボックスを施錠することが可能である。
【0020】
本形態による指紋錠10は、鍵を探し、鍵穴に照準を合わせて一定の方向に沿ってプラグを回す作業を省くことが可能なだけでなく、鍵を無くした時に面倒なことが起こることなく、使用に非常に便利である。制御回路に複数のユーザーの指紋を予め設定することが可能であるため、設定された家族または特定対象は指紋錠を解錠することが可能となる。従って、本発明は使用上の柔軟性および市場の潜在力を有する。
【0021】
(他の実施形態)
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。また効果が同等な部品の取り換えまたは変更は本発明の請求範囲に属すべきである。
例えば、回転盤48さえ固定座12のチャンバー13内に据えられて回転できればよいため、回転盤48の配置位置はロック40の下殻体42bに限らない。
また、必要に応じてロック40を設置しなくてもよい。これにより、従来の鍵により指紋錠10を解錠することはできなくなり、防犯の点で有利となる。
【符号の説明】
【0022】
10 ・・・ 指紋錠(ロック装置)
12 ・・・ 固定座
13 ・・・ チャンバー
14 ・・・ 矩形スリット(スリット)
18 ・・・ センサー
20 ・・・ モーター
21 ・・・ シャフト
22 ・・・ 制御回路
24 ・・・ 駆動ユニット
26 ・・・ 主連動ユニット
28 ・・・ 本体(第1本体)
29 ・・・ 駆動部
30 ・・・ 柱体(第1柱体)
34 ・・・ 副連動ユニット
36 ・・・ 本体(第2本体)
38 ・・・ 柱体(第2柱体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成されたチャンバー、および当該チャンバーと外部とを接続するスリットを有する固定座と、
前記スリットが形成された前記固定座に装着され、指紋を感知するセンサーと、
前記チャンバー内に収容され、制御回路によって前記センサーに電気的に接続されるモーターと、
前記モーターのシャフトに装着される駆動ユニットと、
前記チャンバー内に移動可能に収容され、第1本体、前記第1本体の一側に位置し前記駆動ユニットに連結される駆動部、および前記第1本体の一端に形成された第1柱体を有する主連動ユニットと、
前記チャンバー内に移動可能に収容され、第2本体、および前記第2本体の一端に形成された第2柱体を有する副連動ユニットと、
前記チャンバー内に回転可能に収容され、前記主連動ユニットの前記第1柱体および前記副連動ユニットの前記第2柱体に別々に係合するとともに互いに向かい合って配置された二つの欠け口を有する回転盤と、
を備えることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記駆動ユニットは歯車であり、前記主連動ユニットの前記駆動部は一列の歯であることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記チャンバー内に収容され、ハウジングおよびプラグを有するロックをさらに備え、
前記ハウジングは、内部に形成されたプラグチャンバーと前記主連動ユニットおよび前記副連動ユニットに別々に装着される二つの開口部とを有し、
前記プラグは、前記プラグチャンバー内に回転可能に収容され、前記主連動ユニットおよび前記副連動ユニットに別々に突き当たる二つの柱体を有し、
前記回転盤は、前記ロックの前記ハウジングに装着されるとともに前記プラグチャンバー内に据えられ、
前記固定座は前記プラグの位置に対応するプラグ開口部を有することを特徴とする請求項1に記載のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−31603(P2012−31603A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170613(P2010−170613)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509208549)
【Fターム(参考)】