説明

ロック装置

【課題】相手方部材を収容要素に挿入するときあるいは挿入した後すぐに、大きな保持力が供され、高い信頼性が得られる、ロック装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ロック装置14が車体固定の相手方部材用の収容機構48を有する支持板34を備え、相手方部材34が支持板34に対して揺動可能なロックフック36を介して収容機構48にロック可能であり、かつこの収容機構48に対して摺動可能である、車両のルーフ部分を相手方部材に取り外し可能に固定するためのロック装置14に関する。ロックフック36は前側の係止位置から後側の係止位置に向けてほぼ相手方部材の摺動方向に摺動可能であり、かつこの摺動方向に対してほぼ垂直にロック位置から解放位置に揺動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置が車体固定の相手方部材用の収容機構を有する支持板を備え、この相手方部材が支持板に対して揺動可能なロックフックを介して収容機構にロック可能であり、かつこの収容機構に対して摺動可能である、車両のルーフ部分を相手方部材に取り外し可能に固定するためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の公知のロック装置(ドイツ連邦共和国実用新案登録第29703603号)は、車体フレーム部分に対してキャブリオレトップを取り外し可能に固定する働きをする。ロック装置は、車両縦方向に延びるほぼ水平な軸線回りに揺動可能な受け止めフックを備えている。この受け止めフックは、相手方部材と協働する。受け止めフックの揺動時に、受け止めフックの溝は相手方部材のU字状脚部に係合し、この相手形部材をほぼ揺動方向に漏斗状収容機構内に引込み、相手方部材を一端位置でロックする。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許公開第19634898号公報から、自動車車体の後部扉を閉鎖、引き寄せおよび開放するための装置が知られている。この装置は、後部扉に付設された積込みシルの範囲に設けられた後部扉錠と、後部扉に設けられた、相手方部材としての閉鎖要素を備えている。後部扉錠は錠薄板、予め係止されない回転ラッチ、この回転ラッチをロックするために、開放レバーによって解放可能な係止爪および電気機械的な引き寄せ駆動装置を備えた引き寄せリンクを備えている。後部扉を閉鎖する際に、閉鎖要素は回転ラッチのU字錠の溝に挿入され、回転ラッチと引き寄せリンクを揺動させながら、上方に解放した後部扉錠の挿入トング内に動かされる。この場合、回転ラッチと引き寄せリンクは、錠薄板上に同軸に支持されている。
【0004】
欧州特許出願公開第0492006号公報には、車両トップが閉鎖位置の直前にあり、車両トップの自由端が閉鎖位置の上方にある状態から、車両トップの自由端を車両のフレーム上に引き降ろし、そして引き降ろした位置で車両トップの前端を保持するために装置が記載されている。この装置は、車両トップの自由端に、フレーム上に設けられた引き降ろしフックを係合させるための相手形部材として少なくとも1個の係合要素を備えている。この引き降ろしフックは、係合要素と滑り係合するための作用カムを備え、細長い収容スリットに係合する揺動ピンを介して、駆動装置の操作棒に揺動可能に連結され、駆動装置によって持上げられた係合位置と下降したロック位置との間で移動可能である。揺動ピンの収容スリットはフレームに形成されている。引き降ろしフック自体は、細長い案内スリットを備えている。フレームに固定された案内ピンがこの案内スリットに係合する。引き降ろしフックは、ロック位置への移動時に案内スリットに沿って案内ピンを移動させながら、案内ピンの回りに揺動可能である。引き寄せフックは、まず最初に、係合要素の移動方向に揺動運動を行う。この揺動運動には、ロック位置に達する直前に、係合要素の移動方向に対してほぼ垂直な摺動運動が重ね合わされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
請求項1記載の本発明の根底をなす課題は、相手方部材を収容要素に挿入するときあるいは挿入した後すぐに、大きな保持力が供され、高い信頼性が得られる、冒頭に述べた種類のロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の上位概念に記載した特徴を有するロック装置において、ロックフックが前側の係止位置から後側の係止位置に向けてほぼ相手方部材(例えばピン)の摺動方向に摺動可能であり、かつこの摺動摺動に対してほぼ垂直にロック位置から解放位置に揺動可能であることによって解決される。
【0007】
これにより、揺動運動としてのロック運動と摺動運動との間の機能分離が行われる。収容機構と相対的な相手方部材の摺動運動の方向とほぼ垂直なロックフックの揺動運動により、ロックフックが相手方部材によって摺動方向に加えられる力によってその解放位置に揺動し、それによってセルフロッキングを生じることが防止される。
【0008】
本発明の有利な実施形は従属請求項に記載されている。
【0009】
ロックフックがロック位置の方に弾性的に付勢されていることにより、信頼性が更に高まる。
【0010】
ロックフックの揺動運動は好ましくは、切換えスライダの制御軌道と協働する制御レバーによって制御され、ロックフックは、制御レバーによってロック位置から解放位置に揺動可能である。制御レバーがロックフックに対して移動可能に形成され、制御レバーがばね力に抗してロック位置の方に、ロックフックに対する係合を解除可能であると、ロックフックは、制御軌道によって決まる制御レバーに依存しないで、解放位置に持上げられる。これは特に、相手方部材が収容機構内で予め定めた位置を占めるときにロックフックをそのロック位置に揺動させるために、ロックフックが基本位置としての前側の係止位置でそのロック位置を占め、ルーフ部分を相手方部材に固定する際に相手方部材によって、まず最初に解放位置に揺動するときに有効である。
【0011】
本発明の他の実施形では、ロックフックは、切換えスライダの制御軌道と係合する支持レバーによって、前側の係止位置と後側の係止位置の間で摺動させられる。支持レバーは、好ましくは少なくとも2本のアームを備えている。この一方のアームは、支持板に揺動可能に連結され、他方のアームは切換えスライダの制御軌道に係合し、ロックフックは支持レバーに揺動可能に連結されている。ロックフックと制御レバーは、支持レバーに同軸に支持可能である。
【0012】
ロック装置は、ロックフックが保持レバーによってその解放位置に、しかも好ましくは前側の係止位置にロック可能であるように形成されている。その際、保持レバーがロックフックに揺動可能に連結され、かつ少なくとも2本のアームを備え、第1のアームが、ロックフックの解放位置で、支持板に固定された受け止め装置または支持板に一体的に形成された受け止め装置に形状補完的に係合可能であり、保持レバーが受け止め装置の方に弾性的に付勢され、第2のアームが収容機構に係合し、かつ相手方支持部材によってばね付勢に抗して揺動可能であると、構造が簡単になる。それによって、相手方部材が収容機構内の所定の位置に達すると、保持レバーは受け止め装置に対して係合解除される。保持レバーの第1のアームが傾斜面を備え、保持レバーが受け止め装置に対して係合解除されているときに、この傾斜面が弾性的に付勢されて受け止め装置の相手方面に当たることができ、かつこの受け止め装置に対して摺動可能であり、ばね付勢により、ロックフックがロック位置の方に付勢されるように、傾斜面が相手方面と協働すると、ロック装置の構造は更に簡単になる。
【0013】
少なくともロックフックの後側の係止位置において、ロック位置でのロックフックの揺動運動を阻止可能であると、ロック装置の信頼性が高まる。この場合、ロックフックの揺動運動を阻止するために、好ましくは、保持レバーのアームが制御レバーに係合可能であり、かつこの制御レバーをロックフックに対して固定するので、制御レバーと協働する制御軌道により、ロックフックの揺動位置が固定される。
【0014】
ロックフックの揺動運動と摺動運動を制御する切換えスライダが共通の切換えスライダ本体に一体化されていると、ロック装置がコンパクトな構造となる。好ましい実施形では、切換えスライダ本体が後側の端位置と前側の端位置の間で支持板と相対的に摺動可能であり、ロックフックが切換えスライダ本体の後側の端位置でその前側の係止位置にあり、かつそのロック位置と解放位置の間で揺動可能であり、そしてロックフックが切換えスライダ本体の前側の端位置でロック位置のその後側の係止位置を占めるように、制御軌道が形成されている。
【0015】
ロック装置は更に、相手方認識装置を備え、相手方部材が目標位置にないときに、切換えスライダ本体の摺動運動が後側の端位置と、前側の端位置の後方に配置された警報位置との間でのみ可能であるように、相手方認識装置が形成されている。これにより、相手方部材がそれを収容機構に確実に挿入可能な位置にあるときに、切換えスライダ本体がその端位置を占めることができる。そうでない場合には、切換えスライダ本体の運動はその前側の端位置に達する前に機械的に阻止される。相手方認識装置は好ましくは、支持板に揺動可能に連結された係止レバーを備え、相手方部材が目標位置にない場合、切換えスライダ本体が警報位置に達したときに、この係止レバーが切換えスライダ本体の停止エッジに弾性的に付勢されて接触し、相手方部材が目標位置にある場合、係止レバーが停止エッジとの係合を解除する。
【0016】
相手方部材の位置が収容機構内でのその摺動方向に見て、収容機構とロックフックとの協働作用によって固定可能であるが、少なくとも1個の整列機構を設けることができる。この整列機構は、相手方部材に対するロック装置を、相手方部材の摺動方向に対してほぼ垂直に、収容機構と相対的に整列するように形成されている。
【0017】
切換えスライダは、好ましくは動力で摺動させられる。そのために、本発明の他の実施形では、支持板にガイドレール部分が固定され、このガイドレール部分は動力で移動可能な連動スライダを摺動可能に収容し、この連動スライダは切換えスライダ本体に係合可能であり、かつ切換えスライダ本体を摺動させる。
【0018】
車両のルーフ部分が折畳みルーフまたは多板ルーフの一部であると、ロック装置を相手方部材に固定するときに、ガイドレール部分は前側のガイドレール部分に接触可能であり、このガイドレール部分は車両の側方部材内に収容され、ガイドレール部分と前側のガイドレール部分は折畳みルーフまたは多板ルーフのガイドレールを形成している。
【0019】
前側のガイドレール部分は、好ましくは側方部材に浮動支持されている。この場合、ガイドレール部分は整列機構を収容し、この整列機構は前側のガイドレール部分に係合可能である。それによって、ガイドレール部分と前側のガイドレール部分を互いに整列することができ、特にガイドレール部分の方向に延びる軸回りの傾動に反作用することができる。ルーフ部分は好ましくは、折畳みルーフまたは多板ルーフの開閉方向に延びる対称軸線に対して対称に形成され、全部で2個のロック装置を備えている。このロック装置は、対称軸線の両側においてルーフ部分の側方外側の画成部の近くに配置されている。
【0020】
特に、側方部材が車両に取り外し可能に連結されていると、相手方認識装置は、側方部材が目標位置にないときまたは側方部材が存在しないときに、しかも特に相手方部材がロック装置に対する目標位置にあるときにも、ロックフックがその後側の係止位置まで摺動できないように、側方部材と協働する。後側の端位置に達する前にロックフックの運動を阻止するために、ロック装置の切換えスライダは、その後側の端位置と警報位置の間でのみ摺動を行うことができる。そのために特に、支持板に揺動可能に連結された係止レバーが使用される。側方部材が目標位置にないとき、この係止レバーは、切換えスライダ本体の警報位置に達する前に、切換えスライダ本体の停止エッジに弾性的に付勢されて接触し、側方部材が目標位置にあるときに、停止エッジに対する係合を解除する。
【0021】
切換えスライダ本体内に摺動可能に収容されたロックボルトを備え、このロックボルトが、切換えスライダ本体の後端位置と前端位置の間で切換えスライダ本体を連動スライダに形状補完的に連結し、ロックボルトが切換えスライダ本体の前側の端位置で支持板またはガイドレール部分に係合可能であり、かつ連動スライダとの係合を解除可能であり、連動スライダが更に移送位置まで前方に摺動可能であると、切換えスライダ本体の摺動運動と折畳みルーフまたは多板ルーフの開閉運動を操作するために、押しても曲がらないケーブルを各々のロック装置またはガイドレールに設けることで充分である。その際、ガイドレール部分は、好ましくはルーフ先端スライダを摺動可能に収容するように形成され、このルーフ先端スライダは、折畳みルーフまたは多板ルーフの前端に連結され、かつこの折畳みルーフまたは多板ルーフの開閉運動を生じ、ルーフ先端スライダはロックボルトを摺動可能に収容し、このロックボルトは支持板またはガイドレール部分に係合し、連動スライダがその移送位置の後方にあるときに、ロックボルトはルーフ先端スライダを保持位置に保持し、連動スライダの移送位置においてロックボルトはこの連動スライダに形状補完的に連結可能であり、かつ支持板またはガイドレール部分に対して係合解除可能である。これにより、折畳みルーフまたは多板ルーフの摺動可能なすべての部品がルーフケースに収容可能であり、このルーフケースによって、車体固定の相手方部材から外すことができる。
【0022】
動力で移動可能な連動スライダは、好ましくは電気的な制御装置によって制御され、この制御装置には特に、信号“保持位置にあるルーフ先端スライダ”およびまたは“ロック位置にあるロックフック”が入力値として入力される。この信号は電気的なスイッチを介して供給される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ルーフケースとして形成されたルーフ部分を備えた車両の斜視図である。このルーフ部分は折畳みルーフの一部であり、ロック装置によって、車両のBピラーに固定された相手方部材に固定されており、折畳みルーフはその閉鎖位置にある。
【図2】図1と類似の斜視図である。この場合、ルーフケースは開放位置にある折畳みルーフを含めて格納位置に降ろされている。
【図3】ロック装置の斜視図である。この場合、ロック装置のロックフックはその後側係止位置でロック位置にある。
【図4】図3のロック装置の分解図である。
【図5】図3のロック装置の支持板の方向に見た側面図である。
【図6】図3のロック装置のガイドレールの方向に見た側面図である。
【図7】図3のVII−VII線に沿った概略部分断面図である。この部分断面図は、ロック装置のロックフックの運動を制御する切換えスライダ本体に対する、および折畳みルーフのルーフ先端スライダに対する、動力で摺動可能な連動スライダのロックボルト連結を原理的に示している。
【図8】ロック装置の変形された実施の形態の斜視図である。この場合、ロック装置のロックフックはその後側の係止位置でロック位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図に基づいて本発明の有利な実施の形態を詳しく説明する。
【0025】
図1、2には、車両ルーフ30を備えた車両10が示してある。この車両ルーフ30は、開放方向または閉鎖方向32に摺動可能にガイドレールに支持されている。このガイドレールの前側のガイドレール部分26は、車両に取り外し可能に連結された側方部材28に浮動支持されている。折畳みルーフ30は、そのルーフ先端149がルーフケース12の前側エッジとほぼ面一になり、折畳みルーフ30の摺動可能なすべての部品がロック装置のガイドレール部分22内に収容されるように、後側へ開放方向32に摺動可能である。全体を14で示したこのロック装置の第1の実施の形態が図3〜7に示してある。ルーフケース12は、このロック装置14によって車両10の車体に固定された相手方部材に固定可能なルーフ部分である。このルーフ部分は図示していない4リンクを介して車体に枢着連結され、ロック装置14の開放時に4リンクを介して、折畳み可能な側方部分16および合成樹脂製後部ガラス18を含む折畳み可能な後部部分と共に下降可能である。ルーフケース12の下降位置で、ロック装置14はルーフケース12をこの位置に保持するために、4リンクに取付けられた他の相手方部材に固定可能である。ルーフケース12には、鏡像対称的に形成された2個のロック装置14、14が取付けられている。この場合、走行方向に見て左側のロック装置14だけが図示してある。左側のロック装置14に関するすべての説明は、鏡像対称的な右側のロック装置にも当てはまる。更に、図3〜7においてXで示した軸線は、折畳みルーフ30の開放方向に、すなわち車両後部の方に向いた図1の矢印32と同じ方向に向いている。
【0026】
両ロック装置14は、Bピラー20に取付けられた車体固定の相手方部材に固定できるように、車両縦方向に延びる対称軸線に関して対称にかつルーフケース12の内部においてルーフケース12の側方の外面近くに取付けられている。この場合同時に、ロック装置14のガイドレール部分22は側方部材28の前側のガイドレール部分26と一直線になるように整列される。これは、ガイドレール部分22に固定された整列機構としての整列条片24を前側のガイドレール部分26に係合させることによって行われる。
【0027】
ロック装置14は、収容溝48として形成された収容機構を有する支持板34を備えている。この収容機構には、Bピラー20に取付けられた相手方部材のピン46が摺動方向50(図5参照)に挿入され、ロックフック36のロック溝42によってロック可能である。その際、ロック溝42は、ロックフック36の前側のアーム38に設けられている。このロックフック36は、支持ピン56を介して折れ曲がった支持レバー58に揺動可能に収容されている。ロックフック36の支持ピン56は、ロック溝42を有する前側のアーム38と後側のアーム40の間のほぼ中央に配置されている。この場合、ロックフック36は図3、5、6に示したロック位置と解放位置との間で、支持ピン56の軸線回りに揺動方向44(図3参照)に揺動可能である。ロック位置において、ロックフック36は更に、図5に破線で示した前側の係止位置52と後側の係止位置54の間で、摺動方向50に摺動可能である。
【0028】
支持レバー58は2つの部分から形成され、Y方向においてブッシュ62の厚さだけ離隔された同一の2つの半部を備えている。この半部の間隔は、ロックフック36と後述する制御レバー84をこの両半部内に収容できるように採寸されている。ブッシュ62は軸60に嵌め込まれている。この軸60は、支持レバー58のアーム64をY軸方向に貫通している。その際、軸60は、支持レバー58の半部から両側に突出し、一方では支持板34に保持され、他方ではアーム64を取り囲む湾曲支持部材59に保持されている。この湾曲支持部材59自体は、支持板34に固定されている。支持レバー58は、その第2のアーム66に固定された制御ピン68によって軸60回りに揺動可能である。この場合、制御ピン68は、支持レバーからY方向に突出し、切換えスライダ74の制御軌道72に係合する。制御ピン68は、スライダ70を介して切換えスライダ74に沿って案内されている。
【0029】
切換えスライダ74は、切換えスライダ本体80に一体化されている。この切換えスライダ本体80は、第2の切換えスライダ78を備えている。制御レバー84に固定された制御ピン82が、第2の切換えスライダ78の制御軌道76に摺動可能に収容され、支持ピン56の軸線回りに制御レバー84を揺動させる。この支持ピン56によって、制御レバー84は、ロックフック36と共に支持レバー58に支持されている。この場合、制御レバー84は、ロックフック36の前側アーム38の方に延びている。制御レバー84の折り曲げ部92は、Z方向に開放したロックフック36の凹部85に係合し、制御レバー84がその制御ピン82を介して制御軌道78によって時計回りに揺動するときに(本明細書で使用される時計回りと反時計回りの用語はそれぞれ、Y方向に見たときの方向である)、ロックフック36を連動する働きをする。
【0030】
保持レバー89は、ほぼ中央で装着ピン91によってロックフック36の凹部85とロック溝42の間の範囲に揺動可能に支持されている。この場合、保持レバー89の第1のアーム93に設けた突起88と制御レバー84の折り曲げ部86との間に、引張りばね90が設けられている。引張りばね90によって、制御レバー84の折り曲げ部92がロックフック36の凹部85に遊びなしに接触するように、時計回りの付勢力が制御レバー84に加えられる。この場合同時に、保持レバー89が時計回りに揺動し、そしてロックフック36がその解放位置の外側にあるときには、保持レバーは、その第1のアーム93に設けた傾斜面95によって付勢されて保持ピン87に接触する。この保持ピン78はY方向に延び、支持板34に固定されている。ほぼX方向に開放した係止範囲98の上方において保持レバー89の第1のアーム93に設けられた傾斜面95は、保持ピン87に対する傾斜面95の付勢接触によってロックフック36に力が加えられるように形成されている。この力はロックフック36を支持ピン56の軸線回りに反時計回りに回転させ、ロックフック36は車両10の縦方向に見てロック溝42の後側にある(すなわち、ロック溝42から出発して+X方向にずらして配置された)、摺動方向50に延びる滑り面190を介して、支持板34の折り曲げ部188に載る。保持ピン87は更に、受け止め装置としての働きをする。ロックフック36がその解放位置にあるときに、保持レバー89の係止範囲98はこの受け止め装置に係合する。
【0031】
装着ピン91の下方に(すなわち、この装着ピンに対して−Z方向にずらして)設けられた保持レバー89の第2のアーム94は、ほぼX方向に突出する突起97を備えている。この突起97は、制御レバー84をロックフック36に対して固定するために、ロックフック36がその後側の係止位置54に近接するや否や、制御レバー84の折り曲げ部92の下面に当たることができる。
【0032】
全体を100で示した、ほぼX方向に延びる整列板100は、複数のねじ99を介して支持板34に連結されている。このねじは同時に、ガイドレール部分22の下側範囲を貫通している。このガイドレール部分22は更に、図示していないブラインドリベットを介してその上側範囲が支持板34に固定されている。この場合、支持板34とガイドレール部分22と整列板100の相互固定保持が達成される。ガイドレール部分22は、下側と上側の滑り軌道101または102を備えている。この滑り軌道101は、X−Z平面内に延設された隔壁104によって互いに分離されている。下側の滑り軌道101は、側方が隔壁104と支持板34の背壁によって画成され、上方と下方が、隔壁104から出発して−Y方向に延びる脚部によって画成され、そして+/−X方向に開放している。滑り軌道101は、切換えスライダ本体80を+/−X方向に摺動可能に収容する働きをする。この切換えスライダ本体80自体はY方向に突出する停止エッジ108を備えている。この停止エッジ108は、隔壁104の貫通穴106を通って滑り軌道102の範囲内に達している。その際、切換えスライダ本体80は、後側の端位置と前側の端位置の間で+/−X方向に摺動可能である。
【0033】
滑り軌道102は上側と下側を、Y方向に延びる脚部112または110によって画成され、脚部110、112上に垂直に配置されたウェブ109によって少なくとも2つの開放した小室111、113に分割されている。この内側の小室111は、連動スライダ114を収容する働きをし、外側の小室113はルーフ先端スライダ116を収容する働きをする。両スライダ114、116は+/−X方向に摺動可能である。この場合、連動スライダ114には、押しても曲がらないケーブル174が取付けられている。このケーブル174は、ルーフケース12に固定された図示していない電動機を介して動かすことができ、ケーブル通路118内を案内されている。このケーブル通路は滑り軌道102の側方において隔壁104内に収容されている。
【0034】
整列板100の上面119と脚部110の下面の間には、相手方支持部材認識装置の一部としての、+/−X方向に摺動可能な触感スライダ120が収容されている。この触感スライダ120は、それと整列板100の間に配置された引張りばね122の作用によって−X方向に付勢され、それによってその触感先端部124は、ガイドレール部分22の前側エッジ125から突出している。X方向に見て触感先端部124と反対側の触感スライダ120の端部には、連動解除部材126が配置されている。この連動解除部材126は、折れ曲がった係止レバー130の連動解除アーム128と相互作用する。この連動解除アーム128自体は、軸131の回りに揺動可能に支持板34と整列板100の間に支持されている。連動解除アーム128に対してほぼ垂直に延びる係止レバー130のアーム132には、係止突起133が設けられている。この係止突起133は、切換えスライダ本体80がその前端位置の後方にある警報位置にとどまるときに、切換えスライダ本体80の下面に相補的に形成された図示していない停止エッジに係合するように形成されている。その際、切換えスライダ本体80の警報位置は支持板34に対して、切換えスライダ本体80の前端位置と後端位置の間にある個所に設けられている。この場合、前端位置は後端位置よりも小さなX座標に一致する。
【0035】
係止レバー130は、組み合わせばね138の2つのばねアーム134、136の一方のばねアーム134によって反時計回りに付勢されるので、切換えスライダ本体80が警報位置にあるときに係止突起133は付勢されて切換えスライダ本体の停止エッジに接触し、もし相手方部材がロック装置14に対してその目標位置にないときには切換えスライダ本体80がその前端位置に達するのを防止する。この場合、切換えスライダ本体80は、その後端位置とその警報位置との間でのみ摺動可能である。これに対して、ロック装置14を相手方部材11に連結する際に相手方部材11が、ロック装置14に対する目標位置に達していると、触感スライダ120の触感先端部124が相手方部材11に接触し、触感スライダ120が引張りばね122の力に抗してX方向に摺動し、それによって連動解除部材126が係止レバー130の連動解除アーム128を操作し、ばねアーム134の作用に抗して軸131を中心として時計回りに係止レバー130を揺動させ、係止レバー130の係止突起133は、切換えスライダ本体80の下面の停止エッジとの係合を解除する。切換えスライダ本体80は、その前端位置の方に向けて前方に(すなわち、−X方向に)摺動可能である。組み合わせばね138の第2のばねアーム136はZ方向上方に付勢され、ロックフック36がその解放位置にあるときに、第2のばねアーム40の付勢力に抗してロックフック36の後側アーム40によって下方に押されて動くことができる。その際、電気的なマイクロスイッチ140がばねアーム136によって上方に付勢された基本位置に操作される。このマイクロスイッチは組み合わせばね138と共に支持板34に固定されている。この場合、マイクロスイッチ140は信号“ロック位置にあるロックフック”を供給する。この信号は、ロック装置14の電動操作を制御する電子制御装置に出力値として供給される。この電子制御装置は同様に、折畳みルーフ30の開閉運動の電動操作の制御も行う。
【0036】
更に、ばねアーム136を上方に弾性的に付勢する代わりに、ばねアームをロックフック36の後側アーム40に形状補完的に連結することができる。それによって、後側アームは、ばねアーム136を両方向に、すなわち上方と下方に操作する。
【0037】
触感スライダ120の触感先端部124を相手方部材と相互作用させる代わりに、触感先端部124を側方部材28と相互作用させることができる。側方部材28が目標位置にあり、かつ特に車両10にロックされている場合、ロック装置14を相手方部材に連結するときに触感スライダ120が側方部材28によって操作され、X方向に摺動し、それによって係止レバー130の係止突起133が切換えスライダ本体80をその警報位置にもやはロックしない。これに対して、側方部材28が車両10から取り外されるかまたは他の理由から連結位置にあるロック装置14に対する目標位置にないと、連結の際に触感先端部124は、X方向に操作されないかまたは充分に操作されず、相手方部材が目標位置にあるときでも、切換えスライダ本体80は、その警報位置に達する際にロックされる。それによって、相手方部材認識装置は、側方部材を認識するために使用される。これは、ロック装置14を4リンクに取付けられた他の相手方部材に連結する際に、切換えスライダ本体80が警報位置以外の位置まで摺動できないという利点がある。なぜなら、4リンクに設けられた相手方部材が目標位置にあるがしかし、側方部材が存在しないからである。それによって、ロック装置14が4リンクの相手方部材に連結されるときに、ロック装置14に対するルーフ先端スライダ116の後述のロックが解除されることが防止される。
【0038】
整列板100の前端に設けられた整列二叉部152は、Y方向とZ方向においてロック装置14を前側のガイドレール部分26に整列する働きをする。そのために、整列二叉部152は、相補的に形成された整列支持部材に係合する。この整列支持部材は、側方部材28内に浮動支持された前側のガイドレール部分26と共にユニットを形成している。ロック装置14のガイドレール部分22に固定され、Z方向において整列二叉部152の上方にあり、そして前側のガイドレール部分26に係合可能である整列条片24は、ガイドレール部分22に対する前側のガイドレール部分26のX軸回りの傾動を防止する。整列面150は、X−Z平面内において整列二叉部152の側面に設けられ、Bピラー20に取付けられた相手方部材のピン46の端面に接触可能であるので、鏡像対称的な左側のロック装置および左側のピンと協働して、ルーフケース12全体を車体固定の両ピン46に対してY方向に見て対称に整列させる。
【0039】
Y方向に延びる整列板100の折り曲げ部には、端位置ばね146が固定されている。この端位置ばねは、2つのばねアーム142、144を備えている。一方のばねアーム142は下方から小室113に係合している。この小室113は、折畳みルーフ30のルーフ先端149に連結されかつ折畳みルーフの開閉運動を生じるルーフ先端スライダ116を収容している。第2のばねアーム144は、ルーフ先端スライダ116が保持位置にあるときに電気的なマイクロスイッチ148を機械的に操作するように形成されている。この場合、マイクロスイッチ148は信号“保持位置にあるルーフ先端スライダ”を電子制御装置に供給する。この位置で、ルーフ先端スライダ116は、ロック装置14のガイドレール部分22に完全に収容され、ガイドレール部分22に対してロック可能である。折畳みルーフ30の摺動可能なすべての部品は、ルーフ先端スライダ116によって保持され、ルーフケース12と共に車体固定の相手方部材から外すことができる。
【0040】
折畳みルーフ30の閉鎖時に、ルーフ先端スライダ116と連動スライダ114は前側のガイドレール部分26内にあり、ロックボルト164によって互いに形状補完的に連結されている。このロックボルト164は、Z方向に摺動可能にルーフ先端スライダ116に収容されている。ルーフケース12はロック装置14を介して車両10のBピラー20に固定されている。この場合、ロックフック36はその後端の係止位置54でロック位置にある。切換えスライダ本体80は、その前側の端位置にあり、この位置で、ロックボルト156によって支持板34の切欠き162内に保持されている。このロックボルト156は、Y方向に摺動可能に支持され、かつ圧縮ばね160を介して付勢されたボール158によってその端位置に係止可能である。支持レバー58の揺動運動、ひいてはロックフック36の摺動運動を制御する制御ピン68は、スライダ70と共に切換えスライダ74の制御軌道72の保持範囲204の後端にあるが、制御レバー84の制御ピン82は、ロックフック36の揺動運動のための切換えスライダ78の制御軌道76の保持範囲206にある。保持レバー89は、その傾斜面95が保持ピン87に接触することにより、反時計回りに揺動し、保持レバーの突起97が制御レバー84の折り曲げ部92に作用し、この制御レバー84をロックフック36に対して固定する。制御レバー84が支持レバー58内に(支持ピン56によって)収容されかつ切換えスライダ78の保持範囲206内に(制御ピン82によって)収容されていることによって、制御レバー84自体の位置が固定されているので、ロックフック36はそのロック位置にロックされている。切換えスライダ本体80がその端位置にあるようにするためには、勿論上述のように、相手方部材11または側方部材28は目標位置にあり、触感スライダ120が操作され、そして係止レバー130の係止突起133が切換え体80の下面に配置された停止エッジと係合解除されていなければならない。
【0041】
ルーフケース12をBピラー20から連結解除するために、まず最初に、ルーフ先端スライダ116を後方へ開放方向32に摺動させることにより、折畳みルーフ30を開放しなければならない。摺動運動は、連動スライダ114によってルーフ先端スライダ116に加えられる。この連動スライダ114自体は、それ自体公知のケーブル174を介してルーフケース12に収容された電動機によって動かされる。ルーフ先端スライダ116と連動スライダ114は、最後には前側のガイドレール部分26からロック装置14のガイドレール部分22に達する。この場合、ルーフ先端スライダ116は、その保持位置に達するや否や、ガイドレール部分22に設けられたストッパー168に突き当たり、後方(X方向)へのルーフ先端スライダ116のそれ以上の摺動を阻止する(図7参照)。この場合、上述のように、電気的なマイクロスイッチ148が、ばねアーム144によって操作される。連動スライダ114は、図7に示すその移動位置に達する。連動スライダ114が、押しても曲がらないケーブル174を介して電動機によってX方向に付勢されると、ロックボルト164を収容する連動スライダ114の凹部166の傾斜面170が、ロックボルト164に対してZ方向に力を加える。この力により、ロックボルト164はZ方向に摺動し、連動スライダ114の凹部166との係合を解除し、連動スライダ114と反対側のロックボルトの端部がガイドレール部分22の凹部172に押し込まれる。それによって、ルーフ先端スライダ116は、ガイドレール部分に形状補完的に保持され、連動スライダ114はX方向に更に摺動可能である。この場合、ルーフ先端スライダ116寄りの連動スライダ114の側は、−Z方向へのルーフ先端スライダ116内のロックボルト164の摺動による、ルーフ先端スライダ116とガイドレール部分22の間の形状補完的な連結の解除が不可能になるように形成されている。連動スライダ114は所定の距離を進んだ後で、その連結面176が、図11の前端位置にある切換えスライダ本体80の停止エッジ108に当接する。この場合同時に、ロックボルト156に対して相補的に形成された凹部180が、切換えスライダ本体80寄りの連動スライダ114の側に設けられ、力を更に連動スライダ114にX方向に加えると、連動スライダが停止エッジ108に接触する連結面176を介して切換えスライダ本体80を連動し、ロックボルト156を収容する支持板34の凹部162の傾斜面178がロックボルト156に対してY方向に力を加える。この力は、切換えスライダ本体80内でロックボルト156をその第2の端位置に摺動させる。この第2の端位置では、ロックボルト156は凹部162と係合解除され、凹部180に係合する。ロックボルト156は切換えスライダ本体80と支持板34との形状補完的な連結を解除し、同時に切換えスライダ本体80と連動スライダ114とを形状補完的に連結する。この連動スライダ114は、切換えスライダ本体80をその後端位置の方に連動する。その際、凹部180からの−Y方向へのロックスライダ156の摺動は、ロックボルト156をその端位置に保持するばねで付勢されたボール158に基づいて不可能であるだけなく、連動スライダ114寄りの支持板34の側が傾斜面178の背後で切換えスライダ本体80近くまで案内されることによっても不可能である。
【0042】
連動スライダ114は、接触面108に接触する連結面176を介して切換えスライダ本体80をその後端位置までX方向に連動する。前端位置の方への(X方向への)切換えスライダ本体80の連動は、連動スライダ114と切換えスライダ本体80との間の、ロックボルト156によって生じる形状補完的な連結によって行われる。
【0043】
両端位置におけるロックボルト156の上記係止の代わりに、ロックピン156は更に、図7に示したその端位置においてのみばねで付勢れたボール158によって係止可能である。
【0044】
後端位置の方へのX方向の切換えスライダ本体80の摺動時に、支持レバー58の制御ピン68に支持されたスライダ70は、まず最初に、制御軌道72の保持範囲204から、傾斜面状に下方に延びる摺動範囲208に達する。この場合、支持レバー58は、その軸60回りに時計回りに揺動運動を強制される。この揺動運動は、支持ピン56を介してロックフック36の摺動運動に変換される。この場合、ロックフック36は、その後側の係止位置54からその前側の係止位置52の方へ−X方向に前方に摺動し、その滑り面190を介して支持板34の折り曲げ部188上を滑る。スライダ70が制御軌道の傾斜面状の摺動範囲208の最も深い個所に位置し、前側の保持範囲212に移行するときに、前側の係止位置52に達する。この前側の保持範囲では、スライダ70は、ほぼ水平に案内されるので、支持レバー58はもはや揺動運動を行わない。
【0045】
例えば前側の係止位置52に達する際に、切換えスライダ本体80をX方向に更に摺動させることにより、制御レバー84の制御ピン82が制御軌道76の保持範囲206を逸脱し、揺動カム210の上方に向いた範囲に当たると、ロック位置から解放位置へのロックフック36の揺動運動が開始される。この揺動カムは、制御軌道76の前側範囲をYを横にした形に分割する。制御ピン82は、横にしたY字の上側の脚部に追従し、折り曲げ部92を介して支持ピン56の軸線回りの揺動運動をロックフック36に加える。この支持ピンは更に、制御レバー84を支持レバー58に揺動可能に連結している。ロックフック36が解放位置に持上げられるや否や、保持レバー89の係止範囲98は、保持ピン87に係止され、ロックフック36をその解放位置に保持する。その際、ばねアーム136を介してマイクロスイッチ140の操作が解除され、相手方支持部材のピン46がロックフック36のロック溝42から解放されるので、ルーフケース12はBピラー20から連結解除され、そして図1、2に関連して説明したように、降ろすことが可能である。
【0046】
ロック装置14による車体固定の相手方支持部材に対するルーフケース12の連結は、逆の順序で行われる。この場合、切換えスライダ本体80がその後端位置にあると、制御ピン82は揺動カム210の前側エッジの手前に位置する。ロック装置14が手動で相手方部材に押し付けられると、まず最初に、ピン46が前方から、収容溝48内に突出する保持レバー89の第2のアーム94に突き当たる。それによって、保持レバー89は、時計回りに揺動運動する。ピン46がロック溝42の背壁に当接する際に、ピン46は、ロックフック36に力を加える。この力の作用線が支持ピン56の下方に位置するので、ロックフック36には、引張りばね90によって加えられる力に付加して、回転モーメントが反時計回りに加えられる。これにより、保持レバー89の係止範囲98が保持ピン87から解放され、ロックフック36は、そのロック位置に揺動することができる。その際、制御ピン82はこの揺動運動を妨害しない。なぜなら、制御ピン82が制御軌道76の外にあるからである。保持レバー89の傾斜面95が保持ピンに接触するや否や、ロックフック36は上述のように、引張りばね90によってロック位置の方に付勢される。切換えスライダ本体80が更に前方へ−X方向に移動すると、制御レバー84の制御ピン82は、揺動カム210によって下方に向けられ、横にしたY字の下側のアームに挿入される。この運動はロックフック36に伝達されない。なぜなら、保持レバー89の突起97がまだ制御レバー84の折り曲げ部92に作用しておらず、この折曲げ部がロックフック36の凹部85から下方に移動し得るからである。ロックフック36がその後側の係止位置54の方に更に摺動するや否や、保持レバー89が反時計回りに揺動し、制御レバー84は、保持レバー89の突起97が折り曲げ部92の下側エッジに作用することによってロックフック36に対して固定される。相手方部材およびまたは側方部材28が目標位置の外にあると、触感スライダ120の触感先端部124がX方向に操作されないかまたは充分に操作されず、切換えスライダ本体80は、その下側にある停止エッジが係止レバー130の係止突起133に当接することにより、前側の端位置に達する前に警報位置に停止される。その際、押しても曲がらないケーブル174を操作する電動機は動かなくなり、その結果スイッチが切られる。これに対して、相手方部材が目標位置にあると、切換えスライダ本体80は、その前側端位置まで摺動可能である。この前側の端位置で、連動スライダ114に対して−X方向の力を更に加えられると、ロックボルト156は、連動スライダ114の凹部180の傾斜面182から支持板34の凹部162内に−Y方向に摺動させられ、同時に連動スライダ114は、切換えスライダ本体80から解放される。ロックボルト156は、圧縮ばね160によって付勢されたボール158によってこの位置に保持され、連動スライダ114は、更に前方に移送位置まで摺動させられる。この移送位置では、連動スライダ114は、連結面184によってルーフ先端スライダ116に接触する。その際、押しても曲がらないケーブル174を介して力がルーフ先端スライダ116に対して前向きに加えられる。この力は、ガイドレール部分22の凹部172の前側の傾斜面186を介して、ルーフ先端スライダ116のロックボルト164を、凹部172から連動スライダ114の凹部166に−Z方向に押し込むために充分な大きさである。その際、ルーフ先端スライダ116とガイドレール部分22の間の連結が解除され、ルーフ先端スライダ116と連動スライダ114が連結される。
【0047】
図8にはロック装置の代替的な構造が示してある。このロック装置は、次の点だけが図3〜7に示したものと異なっている。すなわち、第1の実施の形態の保持レバーに対応する保持レバーが省略され、ロックフック192が、ロックフック36の後側アーム40に対応するアームを備えていない点だけが異なっている。ロック位置の方へのロックフック192の弾性的な付勢力は、引張りばね196によって加えられる。この引張りばね196は、ロックフック192の折り曲げ部194と支持板34の保持突起198の間に配置されている。変形された制御レバー200は、制御レバー84の制御ピン82の代わりに、制御レバー200に一体的に形成された制御舌片202を備えている。この制御舌片202は、ロックフック192の揺動運動を制御するために、制御軌道76と相互作用する。制御レバー200の折り曲げ部92は、ロック装置の第1の実施の形態の制御レバー84の場合と同様に、時計回りに付勢されて下側からロックフック192に接触する。勿論、図8の第2の実施の形態の場合には、付勢力が引張りばね90によって供給される。この引張りばね90は、第1の実施の形態と異なり、制御レバー200の折り曲げ部86とロックフック192の折り曲げ部194の間に配置されている。
【0048】
切換えスライダ本体80が、その後端位置に近接するときに、制御舌片202は、第1の実施の形態の制御ピン82と同様に、揺動カム210の前側エッジの手前に達する。しかし、ロックフック192が、その解放位置で保持レバーによって保持されないので、ロックフック192は、ロック位置に自由に揺動する。したがって、図8のロック装置を車体固定の相手方部材に連結する際に、ロック位置でその前側係止位置にあるロックフック192は、まず最初に、ピン46によって解放位置に持上げなければならない。そのために、ロックフック192は、その前側に傾斜面214を備えている。ロック位置でロックフック192を動かなくすることは、ロック装置の第1の実施の形態と異なり、ロックフック192の揺動位置を検出するためのマイクロスイッチ140と同様にあまり行われない。
【符号の説明】
【0049】
10…車両、12…ルーフケース、14…ロック装置、15…後側の側方部材支持部、16…側方部分、18…後部ガラス、20…Bピラー、22…ガイドレール部分、24…整列条片、26…前側のガイドレール部分、28…側方部材、30…折畳みルーフ、32…開放方向または閉鎖方向、34…支持板、36…ロックフック、38…ロックフックの前側アーム、40…ロックフックの後側アーム、42…ロック溝、44…揺動方向、46…ピン、48…収容溝、50…摺動方向、52…前側の係止位置、54…後側の係止位置、56…支持ピン、58…支持レバー、59…湾曲支持部材、60…支持レバーの軸、62…支持レバーのブッシュ、64、66…支持レバーのアーム、68…制御ピン、70…スライダ、72…制御軌道、74…切換えスライダ、76…制御軌道、78…切換えスライダ、80…切換えスライダ本体、82…制御ピン、84…制御レバー、85…ロックフックの凹部、86…制御レバーの折り曲げ部、87…保持ピン、88…保持レバーの突起、89…保持レバー、90…引張りばね、91…装着ピン、92…制御レバーの折り曲げ部、93…保持レバーの第1のアーム、94…保持レバーの第2のアーム、95…傾斜面、97…突起、98…係止範囲、99…ねじ、100…整列板、101、102…滑り軌道、104…隔壁、106…貫通穴、108…停止エッジ、109…ウェブ、110、112…脚部、111、113…小室、114…連動スライダ、116…ルーフ先端スライダ、118…ケーブル通路、119…上面、120…触感スライダ、122…引張りばね、124…触感先端部、125…前側エッジ、126…連動解除部材、128…連動解除アーム、130…係止レバー、131…軸、132…係止レバーのアーム、133…係止突起、134、136…ばねアーム、138…組み合わせばね、140…マイクロスイッチ、142、144…ばねアーム、146…端位置ばね、148…マイクロスイッチ、149…ルーフ先端、150…整列面、152…整列二叉部、156…ロックボルト、158…ボール、160…圧縮ばね、162…凹部、164…ロックボルト、166…凹部、168…ストッパー、170…傾斜面、172…凹部、174…ケーブル、176…連結面、178…傾斜面、180…凹部、182…傾斜面、184…連結面、186…傾斜面、188…折り曲げ部、190…滑り面、192…ロックフック、194…折り曲げ部、196…引張りばね、198…保持突起、200…制御レバー、202…制御舌片、204、206…保持範囲、208…摺動範囲、210…揺動カム、212…保持範囲、214…傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック装置が車体固定の相手方部材用の収容機構(48)を有する支持板(34)を備え、この相手方部材が支持板(34)に対して揺動可能なロックフック(36、192)を介して収容機構(48)にロック可能であり、かつこの収容機構に対して摺動可能である、車両(10)のルーフ部分(12)を相手方部材に取り外し可能に固定するためのロック装置において、ロックフック(36、192)が前側の係止位置(52)から後側の係止位置(54)に向けてほぼ相手方部材(46)の摺動方向に摺動可能であり、かつこの摺動方向に対してほぼ垂直にロック位置から解放位置に揺動可能であることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
ロックフック(36、192)がロック位置の方に弾性的に付勢されていることを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項3】
ロックフック(36、192)が切換えスライダ(78)の制御軌道(76)によって操作可能な制御レバー(84、200)によってロック位置から解放位置に揺動可能であることを特徴とする請求項1または2記載のロック装置。
【請求項4】
制御レバー(84、200)がロックフック(36、192)に対して移動可能に形成され、制御レバー(84、200)がばね力に抗してロック位置の方に、ロックフック(36、192)に対する係合を解除可能であることを特徴とする請求項3記載のロック装置。
【請求項5】
ロックフック(36、192)が切換えスライダ(74)の制御軌道(72)と係合する支持レバー(58)によって、前側の係止位置(52)と後側の係止位置(54)の間で摺動可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項6】
支持レバー(58)が少なくとも2本のアーム(64、66)を備え、この一方のアーム(64)が支持板(34)に揺動可能に連結され、他方のアーム(66)が切換えスライダ(74)の制御軌道に係合し、ロックフック(36、192)が支持レバー(58)に揺動可能に連結されていることを特徴とする請求項5記載のロック装置。
【請求項7】
ロックフック(36)が保持レバー(89)によってその解放位置にロック可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項8】
保持レバー(89)がロックフック(36)に揺動可能に連結され、かつ少なくとも2本のアーム(93、94)を備え、第1のアーム(93)が、ロックフック(36)の解放位置で、支持板(34)に固定された受け止め装置(87)または支持板に一体的に形成された受け止め装置に形状補完的に係合可能であり、保持レバー(89)が受け止め装置(87)の方に弾性的に付勢され、第2のアーム(94)が収容機構(48)に係合し、かつ相手方支持部材によってばね付勢に抗して揺動可能であることを特徴とする請求項7記載のロック装置。
【請求項9】
保持レバー(89)の第1のアーム(93)が傾斜面(95)を備え、保持レバー(89)が受け止め装置に対して係合解除されているときに、この傾斜面が弾性的に付勢されて受け止め装置(87)の相手方面に当たることができ、かつこの受け止め装置に対して摺動可能であり、ばね付勢により、ロックフック(36)がロック位置の方に付勢されるように、傾斜面(95)が相手方面と協働することを特徴とする請求項8記載のロック装置。
【請求項10】
少なくともロックフック(36)の後側の係止位置(54)において、ロック位置でのロックフックの揺動運動を阻止可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項11】
ロックフック(36)の揺動運動を阻止するために、保持レバー(89)のアーム(94)が制御レバー(84)に係合可能であり、かつこの制御レバーをロックフック(36)に対して固定することを特徴とする請求項8または9記載のロック装置。
【請求項12】
ロックフック(36)がその解放位置またはロック位置に依存して電気的なスイッチ(140)を操作することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項13】
ロックフック(36、192)の揺動運動と摺動運動を制御する切換えスライダ(74、78)が共通の切換えスライダ本体(80)に一体化されていることを特徴とする請求項5〜12のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項14】
切換えスライダ本体(80)が後側の端位置と前側の端位置の間で支持板(34)と相対的に摺動可能であり、ロックフック(36、192)が切換えスライダ本体(80)の後側の端位置でその前側の係止位置(52)にあり、かつそのロック位置と解放位置の間で揺動可能であり、そしてロックフック(36、192)が切換えスライダ本体(80)の前側の端位置でロック位置の後側の係止位置(54)を占めるように、制御軌道(72、76)が形成されていることを特徴とする請求項13記載のロック装置。
【請求項15】
相手方認識装置を備え、相手方部材が目標位置にないときに、切換えスライダ本体(80)の摺動運動が後側の端位置と、前側の端位置の後方に配置された警報位置との間でのみ可能であるように、相手方認識装置が形成されていることを特徴とする請求項13または14記載のロック装置。
【請求項16】
相手方認識装置が支持板(34)に揺動可能に連結された係止レバー(130)を備え、相手方部材が目標位置にない場合、切換えスライダ本体(80)が警報位置に達したときに、この係止レバーが切換えスライダ本体の停止エッジに弾性的に付勢されて接触し、相手方部材が目標位置にある場合、係止レバーが停止エッジとの係合を解除することを特徴とする請求項15記載のロック装置。
【請求項17】
少なくとも1個の整列機構(150、152)を備え、相手方部材に対するロック装置を、相手方部材の摺動方向に対してほぼ垂直に、収容機構(48)と相対的に整列するように、この整列機構が形成されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項18】
支持板(34)にガイドレール部分(22)が固定され、このガイドレール部分が動力で移動可能な連動スライダ(114)を摺動可能に収容し、この連動スライダが切換えスライダ本体(80)に係合可能であり、かつ切換えスライダ本体を摺動させることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一つに記載のロック装置。
【請求項19】
ロック装置(14)が相手方部材に固定されるときに、ガイドレール部分(22)が前側のガイドレール部分(26)に接触可能であり、このガイドレール部分が車両(10)の側方部材(28)内に収容され、ガイドレール部分(22)と前側のガイドレール部分(26)が折畳みルーフ(30)または多板ルーフのガイドレールを形成していることを特徴とする請求項18記載のロック装置。
【請求項20】
ガイドレール部分(22)が整列機構(24)を備え、この整列機構が前側のガイドレール部分(26)に係合可能であることを特徴とする請求項19記載のロック装置。
【請求項21】
切換えスライダ本体(80)内に摺動可能に収容されたロックボルト(156)を備え、このロックボルトが切換えスライダ本体(80)の後端位置と前端位置の間で切換えスライダ本体を連動スライダ(114)に形状補完的に連結し、ロックボルト(156)が切換えスライダ本体(80)の前側の端位置で支持板(34)またはガイドレール部分(22)に係合可能であり、かつ連動スライダ(114)との係合を解除可能であり、連動スライダが更に移送位置まで前方に摺動可能であることを特徴とする請求項19または20記載のロック装置。
【請求項22】
ガイドレール部分(22)がルーフ先端スライダ(116)を摺動可能に収容するように形成され、このルーフ先端スライダが折畳みルーフ(30)または多板ルーフの前端に連結され、かつこの折畳みルーフまたは多板ルーフの開閉運動を生じ、ルーフ先端スライダ(116)がロックボルト(164)を摺動可能に収容し、このロックボルトが支持板(34)またはガイドレール部分(22)に係合し、連動スライダ(114)がその移送位置の後方にあるときに、ロックボルトがルーフ先端スライダ(116)を保持位置に保持し、連動スライダ(114)の移送位置においてロックボルトがこの連動スライダに形状補完的に連結可能であり、かつ支持板(34)またはガイドレール部分(22)に対して係合解除可能であることを特徴とする請求項21記載のロック装置。
【請求項23】
ルーフ先端スライダ(116)がその保持位置で電気的なスイッチ(148)を操作することを特徴とする請求項22記載のロック装置。
【請求項24】
車両(10)に取り外し可能に連結された側方部材(28)を備えていることを特徴とする請求項22記載のロック装置。
【請求項25】
相手方認識装置を備え、側方部材(28)が目標位置にないときまたは側方部材が存在しないときに、ロックフック(36)が後側の係止位置に達する前に運動を阻止され、ロックフック(36)がその前側の係止位置とその運動阻止位置との間にのみ摺動可能であるように、相手方認識装置が側方部材(28)と相互作用することを特徴とする請求項19〜24のいずれか一つに記載のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−7469(P2012−7469A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184941(P2011−184941)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2000−179574(P2000−179574)の分割
【原出願日】平成12年6月15日(2000.6.15)
【出願人】(591018763)ベバスト・アクチィエンゲゼルシャフト (102)
【Fターム(参考)】