説明

ロック装置

【課題】電子制御ユニットのマイコンの消費電力を低減して、マイコンに電力を供給するバッテリが上がるのを防止できるロック装置を得る。
【解決手段】車両ボディの開口部を開閉する開閉体を前記開口部を閉じた位置で保持するものであって、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態の間で切り替わるロック機構;マイコン通常電力モードまたはマイコン省電力モードで動作する電子制御ユニット;及び前記ロック機構の状態を検出する開度状態検出手段;を有し、前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれか1つに所定時間継続して滞在していることを検出したときに、マイコン通常電力モードをマイコン省電力モードに移行して動作する、ことを特徴とするロック装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用開閉体のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロック装置として、車両ボディの開口部を開閉する開閉体と、この開閉体の開度状態に応じて、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態の間で切り替わるロック機構と、マイコン通常電力モードまたはマイコン省電力モードで動作する電子制御ユニット(ECU)とを備えたものが知られている。電子制御ユニットには、ロック機構の状態を検出するための各種スイッチが接続されており、電子制御ユニットは、この各種スイッチのオンオフ状態を監視するスイッチ監視部を含んだマイコンを備えている。
【0003】
電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでは、マイコンのスイッチ監視部により各種スイッチを所定のクロック周波数で監視し、マイコン省電力モードでは、マイコンのスイッチ監視部により各種スイッチを所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて監視する。
【0004】
従来の電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでの動作中に、ロック機構がフルラッチ状態に滞在して所定時間経過したときにのみ、マイコン通常電力モードをマイコン省電力モードに移行して動作させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−3620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この従来技術にあっては、ロック機構のフルラッチ状態のみが監視の対象であり、ロック機構がオープン状態またはハーフラッチ状態に滞在して長時間経過したときの電子制御ユニットのマイコンの消費電力については関心が払われておらず、マイコンに電力を供給するバッテリが上がってしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、電子制御ユニットのマイコンの消費電力を低減して、マイコンに電力を供給するバッテリが上がるのを防止できるロック装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロック装置は、車両ボディの開口部を開閉する開閉体を前記開口部を閉じた位置で保持するものであって、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態の間で切り替わるロック機構;マイコン通常電力モードまたはマイコン省電力モードで動作する電子制御ユニット;及び前記ロック機構の状態を検出する開度状態検出手段;を有し、前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれか1つに所定時間(例えば5秒)継続して滞在していることを検出したときに、マイコン通常電力モードをマイコン省電力モードに移行して動作する、ことを特徴としている。
【0009】
本明細書で「オープン状態」とは、ロック機構の位置がハーフラッチ位置を脱した開放側にある状態を意味しており、必ずしも開閉体の全開状態におけるロック機構の状態を意味するものではない。
【0010】
前記ロック機構は、ストライカ開放位置とフルラッチ位置との間で回動するフックを有し、前記開度状態検出手段は、前記フックの回動位置により、前記ロック機構の状態を検出することができる。
【0011】
本発明のロック装置は、モータ駆動により前記ロック機構の状態をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へ切り替えるクローザ機構をさらに有し、前記ロック機構は、ラッチ位置とアンラッチ位置との間で回動するラチェットと、前記モータの正逆回転に従って回動するセクタギヤと、前記セクタギヤの回動に連動して、オープン位置とクローズ位置との間で回動するオープンレバーと、前記ラチェットの回動位置を検出するラチェット検出スイッチと、前記ロック機構の状態が切り替わった後に、前記セクタギヤが初期位置に復帰したことを検出するセクタギヤ検出スイッチと、前記オープンレバーの回動位置を検出するオープンレバー検出スイッチと、前記クローザ機構による開動作要求を入力する開動作スイッチと、を有しており、前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでは、前記ラチェット検出スイッチ、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの全てのスイッチを所定のクロック周波数で監視しており、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がオープン状態またはハーフラッチ状態に所定時間継続して滞在していることを検出したときは、前記ラチェット検出スイッチの監視を所定のクロック周波数のまま継続する一方、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの内、少なくとも1つのスイッチを所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続することができる。
【0012】
本発明のロック装置は、モータ駆動により前記ロック機構の状態をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へ切り替えるクローザ機構をさらに有し、前記ロック機構は、ラッチ位置とアンラッチ位置との間で回動するラチェットと、前記モータの正逆回転に従って回動するセクタギヤと、前記セクタギヤの回動に連動して、オープン位置とクローズ位置との間で回動するオープンレバーと、前記ラチェットの回動位置を検出するラチェット検出スイッチと、前記ロック機構の状態が切り替わった後に、前記セクタギヤが初期位置に復帰したことを検出するセクタギヤ検出スイッチと、前記オープンレバーの回動位置を検出するオープンレバー検出スイッチと、前記クローザ機構による開動作要求を入力する開動作スイッチと、を有しており、前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでは、前記ラチェット検出スイッチ、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの全てのスイッチを所定のクロック周波数で監視しており、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がフルラッチ状態に所定時間継続して滞在していることを検出したときは、前記ラチェット検出スイッチ、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの内、少なくとも1つのスイッチを所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続することができる。
【0013】
前記電子制御ユニットは、マイコン省電力モードでの動作中に、前記ラチェット検出スイッチが前記ラチェットの回動位置が切り替わったことを検出したとき、または前記開動作スイッチに開動作要求が入力したときに、マイコン省電力モードをマイコン通常電力モードに移行して動作することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、ロック機構がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれか1つに所定時間継続して滞在しているときに、電子制御ユニットの動作モードをマイコン通常電力モードからマイコン省電力モードに移行して動作させるので、電子制御ユニットのマイコンの消費電力を低減して、マイコンに電力を供給するバッテリが上がるのを防止できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、ストライカ開放位置とフルラッチ位置との間で回動するフックの回動位置により、ロック機構の状態を迅速かつ確実に検出することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、クローザ機構を有するロック装置に本発明を適用できて好適である。また、マイコン通常電力モードにおいてロック機構がオープン状態またはハーフラッチ状態に所定時間滞在したときに、ラチェット検出スイッチの監視を所定のクロック周波数のまま継続し、その他のスイッチの全部または一部を所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続するマイコン省電力モードに移行するので、電子制御ユニットのマイコンの消費電力を低減しながら、電子制御ユニットによる開閉体の開閉制御を好適に行うことができる。すなわち、ラチェット検出スイッチはロック機構の状態(オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態)の切り替わりをいち早く検出できる重要なスイッチであるため、電子制御ユニットは、マイコン省電力モードにおいて、ラチェット検出スイッチの監視を所定のクロック周波数のまま継続し、その他のスイッチの全部または一部を所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続するのである。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、クローザ機構を有するロック装置に本発明を適用できて好適である。また、マイコン通常電力モードにおいてロック機構がフルラッチ状態に所定時間滞在したときに、ラチェット検出スイッチ、セクタギヤ検出スイッチ、オープンレバー検出スイッチ、及び開動作スイッチの全部または一部を所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続するマイコン省電力モードに移行するので、電子制御ユニットのマイコンの消費電力をより一層低減することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、電子制御ユニットのマイコン省電力モードからマイコン通常電力モードへの移行を適切なタイミングで実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のロック装置を適用した車両用ドアクローザ装置の側面図である。
【図2】ロック装置の分解斜視図である。
【図3】ロック装置のフックを単体で示した斜視図である。
【図4】ロック装置のラチェットを単体で示した斜視図である。
【図5】ロック装置のクローズレバーと連動レバーの斜視図である。
【図6】ロック装置のオープンレバーを単体で示した斜視図である。
【図7】ロック装置のセクタギヤと押圧部材を単体で示した斜視図である。
【図8】バックドアが全閉位置近傍に位置するときのロック装置を示した平面図である。
【図9】ハーフラッチ状態のロック装置を示した平面図である。
【図10】フルラッチ状態への動作が完了した状態のロック装置を示した平面図である。
【図11】バックドアが全開位置に位置するときの電子制御ユニット(ECU)とその周辺部材の斜視図である。
【図12】電子制御ユニット(ECU)の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図13】電子制御ユニット(ECU)のマイコン通常電力モードにおけるマイコンのスイッチ監視部による各スイッチの監視状態を示す図である。
【図14】電子制御ユニット(ECU)のマイコン省電力モードにおけるマイコンのスイッチ監視部による各スイッチの監視状態を示す図である。
【図15】ロック装置の通常作動状態を示すタイミングチャートである。
【図16】ハーフラッチ状態からフルラッチ状態になる途中で電動によるオープン(クローズキャンセル)操作が行われた場合のタイミングチャートである。
【図17】ハーフラッチ状態からフルラッチ状態になる途中で機械的なオープン(クローズキャンセル)操作が行われた場合のタイミングチャートである。
【図18】電子制御ユニット(ECU)のマイコン通常電力モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図19】電子制御ユニット(ECU)のマイコン省電力モードにおける動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1ないし図19を参照して、本発明のロック装置を車両用ドアクローザ装置に適用した実施形態を説明する。図1に示すように、ドアクローザ装置(ロック装置)は、車両ボディ1の後部開口(開口部)2を開閉するバックドア(開閉体)3を備えている。バックドア3は、後部開口2の上縁部に左右方向(水平方向)の回転軸回りに回転可能に取り付けられている。
【0021】
図1、及び図8から図10に示すように、ドアクローザ装置(ロック装置)は、バックドア3に固定されたロック機構10を備えている。また車両ボディ1の後部開口2の下縁部には、このロック機構10に係脱するストライカSが設けられている。ロック機構10は、後部開口2を閉じた状態でバックドア3を保持するものであり、バックドア3の後部開口2に対する開度状態に応じて、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態の間で切り替わる。
【0022】
図2に示すように、ロック機構10は、バックドア3に対して固定的に取り付けられる金属製のベースプレート11を有している。ベースプレート11には、ストライカSが進入可能なストライカ進入溝11aが形成され、ストライカ進入溝11aを挟んで位置する軸支持穴11b、11cに対して、軸ピン14と軸ピン15が固定されている。軸ピン14はフック12に形成した軸穴12aに挿通され、フック12は、軸ピン14を中心として回動可能に支持されている。軸ピン15はラチェット13に形成した軸穴13aに挿通され、ラチェット13は、軸ピン15を中心して回動可能に支持されている。
【0023】
図3に示すように、フック12の基部を構成するフック本体12jは金属製であり、フック本体12jには軸穴12aを中心とする略半径方向に向けて形成されたストライカ保持溝12bと、このストライカ保持溝12bを挟んで位置する第1脚部12cと第2脚部12dを有している。第2脚部12dの先端部付近には、ストライカ保持溝12bに臨む側にラチェット係合段部12eが形成されており、これと反対側の側部にラチェット押圧突部12fが形成されている。また、ラチェット係合段部12eとラチェット押圧突部12fを接続する第2脚部12dの先端部は、凸状の円弧状面12gとなっている。また、第2脚部12dには、ベースプレート11から離れる方向に突出する結合突起12hが形成されている。フック12は、図8に示すストライカ解除位置と図10に示すストライカ保持位置の間で回動可能であり、トーションばね16によって、ストライカ解除位置(図8から図10における時計方向)に向けて回動付勢されている。トーションばね16は、軸ピン14を囲むコイル部と、フック12のばね掛け穴12i及びベースプレート11のばね掛け穴11dに係合する一対のばね端部を備えている。フック本体12jの表面には樹脂製のフックカバー12kが被せてある。ただしフックカバー12kは、第1脚部12c、ラチェット係合段部12e、ラチェット押圧突部12f、円弧状面12g、結合突起12hを露出させており、かつ第2脚部12dの付け根部分を露出させるための切欠12lを備えている。
【0024】
図4に示すように、ラチェット13は、ベースプレート11に形成したラチェットガイド溝11eに対して摺動自在に係合するガイド突起(図示略)を備えている。ラチェット13においてフック12に対向する側部には、ラチェット係合段部12eに対して係合可能な回動規制段部13cを有し、該回動規制段部13cに続く側面に、フック12の円弧状面12gに対応する凹状の円弧面部13dが形成され、円弧面部13dのうち軸穴13aに近い基端部側に滑らかな段差部13eが形成されている。また、軸穴13aから離れた先端部付近にはスイッチ操作片13fが設けられ、円弧面部13dとの反対側の側部には被押圧片13gが設けられている。ラチェット13は、フック12に接近して回動規制段部13cを該フック12のラチェット係合段部12eの移動軌跡上に位置させる(ラチェット係合段部12eと係合可能な)ラッチ位置(図8、図10)と、回動規制段部13cをラチェット係合段部12eの移動軌跡上から退避させる(ラチェット係合段部12eと係合しない)アンラッチ位置(図9)の間で回動可能であり、トーションばね17によって、ラッチ位置(図8ないし図10における反時計方向)に回動付勢されている。トーションばね17は、軸ピン15を囲むコイル部と、ラチェット13のばね掛け部13h及びベースプレート11のばね掛け突起11f(図2参照)に係合する一対のばね端部を備えている。
【0025】
軸ピン14はまた、クローズレバー20の軸穴20aにも挿通されており、クローズレバー20は、軸ピン14を中心として、フック12に対して独立して回動可能に支持されている。図5に示すように、クローズレバー20は、軸穴20aを中心とする半径方向に第1アーム20bと第2アーム20cを延設させた略L字状をなし、同軸で回動するフック12のストライカ解除位置方向に位置する引込解除位置(図8、図9)と、該フック12のストライカ保持位置方向に位置する引込位置(図10)の間で回動可能である。
【0026】
クローズレバー20の第1アーム20bの先端部付近には、フック12の結合突起12hが当接可能な凹部20dと、軸ピン22が挿通支持される軸支持穴20eが形成されている。またクローズレバー20のフック12との対向面には、切欠12lを通して第2脚部12dに摺接する摺動突起20hが突設してある。軸ピン22は連動レバー21の軸穴21aに挿通され、連動レバー21は、軸ピン22を中心として回動可能にクローズレバー20上に枢着されている。図5に示すように、連動レバー21は、フック12の結合突起12hに対応する形状の結合凹部21bを側部に有し、該フック12の結合突起12hの移動軌跡上に結合凹部21bを位置させる(結合突起12hと係合可能な)結合位置(図9、図10)と、該フック12の結合突起12hの移動軌跡上から結合凹部21bを退避させた(結合突起12hと係合しない)結合解除位置(図8)との間で回動が可能である。連動レバー21はさらに、結合凹部21bの近傍に、ベースプレート11から離れる方向に突出する制御突起21cを有し、軸穴21aを有する基端部とは反対側の先端部に、ラチェット押圧突起21dが設けられている。
【0027】
ベースプレート11の軸支持穴11gには軸ピン24が固定され、軸ピン24に対して、オープンレバー23に形成した軸穴23aが回動可能に嵌まっている。図6に示すように、オープンレバー23は、軸穴23aを中心として異なる方向へ延出された第1アーム23bと第2アーム23cを有し、第1アーム23bの先端部付近には、図示しない緊急解除ハンドルの端部が連係するハンドル連係穴23dが形成され、軸穴23aとハンドル連係穴の中間部にはスイッチ操作片23eが設けられている。また第1アーム23bには図示しないキー装置に対して一端が連係するワイヤの他端が連係している。第2アーム23cは、図8ないし図10のように平面視したときにラチェット13と概ね重なる位置にあり、連動レバー21の制御突起21cが挿入される連動レバー制御穴23fと、フック12の結合突起12hに当接可能な回動規制壁23gと、後述するセクタギヤ26に対向するギヤ当接部23hが形成されている。連動レバー制御穴23fは、軸穴23aに近い側(クローズレバー20の引込位置方向)から第2アーム23cの先端部(クローズレバー20の引込解除位置方向)に向かうにつれて徐々に幅を広くする円弧状の長穴であり、それぞれ中心軸が異なる内側円弧面部23f1と外側円弧面部23f2を有している。オープンレバー23は、連動レバー制御穴23fを有する第2アーム23cを、ラチェット13のラッチ位置方向へ変位させるクローズ位置(図9、図10)と、ラチェット13のアンラッチ位置方向へ変位させるオープン位置(図8)との間で回動可能である。
【0028】
クローズレバー20の第2アーム20cに形成したばね掛け部20fと、オープンレバー23の第2アーム23cに形成したばね掛け部23iの間には、引張ばね25が張設されている。引張ばね25によって、クローズレバー20は、上記の引込解除位置(図8ないし図10の時計方向)へ回動付勢され、オープンレバー23は、上記のクローズ位置(図8ないし図10の時計方向)へ回動付勢されている。
【0029】
ベースプレート11の中央近傍に突出状態で形成した突出支持部11jには軸支持穴11hが形成してあり、ベースプレート11における突出支持部11jの周辺部は突出支持部11jを中心に周方向に延びる環状段差部11kとなっている。軸支持穴11hには軸ピン28が固定され、金属製のセクタギヤ26の軸穴26aが、軸ピン28に対して回動可能に嵌まっている。図7に示すように、セクタギヤ26は、軸穴26aを中心とする扇状部の周縁に形成されたギヤ部26bと、オープンレバー23のギヤ当接部23hに当接可能なオープンレバー操作片26cと、オープンレバー操作片26cに連なり、かつクローズレバー20の第2アーム20cに対して係合可能なクローズレバー操作部26dと、を備えている。図7に示すように、オープンレバー操作片26c及びクローズレバー操作部26dは、セクタギヤ26のその他の部分に対して略直交しており、クローズレバー操作部26dはオープンレバー操作片26cに比べて幅広に形成してある。さらにセクタギヤ26にはビス29によって合成樹脂製の押圧部材34が固定してあり、押圧部材34は環状段差部11kとの間に微小隙間を形成している。ベースプレート11上に固定されるモータユニット27には、モータ27aによって正逆に回転駆動されるピニオン27bが設けられ、ピニオン27bがギヤ部26bに噛合している。このモータユニット27とセクタギヤ26が、モータ駆動によりバックドア3の開度状態をハーフラッチ状態とフルラッチ状態の間で切り替えるクローザ機構を構成している。
【0030】
ベースプレート11上には、ラチェット検出スイッチ(開度状態検出手段)30と、オープンレバー検出スイッチ(開度状態検出手段)31が設けられている。ラチェット検出スイッチ30は、ラチェット13に設けたスイッチ操作片13fによって押圧可能なスイッチであり、オープンレバー検出スイッチ31は、オープンレバー23に設けたスイッチ操作片23eによって押圧可能なスイッチである。具体的には、ラチェット検出スイッチ30は、ラチェット13が図8と図10に示すラッチ位置にあるときには、スイッチ操作片13fがスイッチ接片30aから離間したスイッチオフ状態にあり、ラチェット13が図9に示すアンラッチ位置に回動されると、スイッチ操作片13fがスイッチ接片30aを押圧してスイッチオン状態になる。また、オープンレバー検出スイッチ31は、オープンレバー23が図9と図10に示すクローズ位置にあるときには、スイッチ操作片23eがスイッチ接片31aから離間したスイッチオフ状態にあり、オープンレバー23が図8に示すオープン位置に回動されると、スイッチ操作片23eがスイッチ接片31aを押圧してスイッチオン状態になる。ラチェット検出スイッチ30とオープンレバー検出スイッチ31のオンオフ状態は電子制御ユニット(ECU)32に入力され、電子制御ユニット32によって、モータユニット27が後述するように制御される。
【0031】
ロック機構10はまた、スイッチ接片33aを備えセクタギヤ26の初期位置を検出するセクタギヤ位置検知スイッチ33(図2、図8等)と、モータ駆動による開動作を行うための開動作要求が入力される開動作スイッチ(オープンスイッチ)33A(図12)とを備えている。図示するようにセクタギヤ検出スイッチ33はベースプレート11の環状段差部11kにビスにより固定してあり、スイッチ接片33aと押圧部材34は共にセクタギヤ26の回転方向と平行な一平面上に位置している。
【0032】
図2に示すようにラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31、及びセクタギヤ検出スイッチ33には、導電性材料からなるハーネスの周囲を絶縁性材料からなる被覆チューブで覆った全体として可撓性を有するワイヤーハーネス35、36、37の一端が接続しており、ワイヤーハーネス35、36、37の他端はコネクタ38に接続している。またコネクタ38にはワイヤーハーネス35、36、37と同一構造であるワイヤーハーネス39の一端が接続しており、ワイヤーハーネス39の他端にはモータユニット27のソケット27cに接続するコネクタ39aが設けてある。図2及び図11に示すように、ワイヤーハーネス35、36、37、39のコネクタ38側の端部近傍にはそれぞれ屈曲部35a、36a、37a、39aが形成してある。そのためバックドア3が全閉位置又は全閉位置近傍に位置するとき、ワイヤーハーネス35、36、37、39はコネクタ38から屈曲部35a、36a、37a、39aに向かって斜め下方に向かって延び、屈曲部35a、36a、37a、39aより先の部分は屈曲部35a、36a、37a、39aから斜め上方に向かって延びる。
【0033】
電子制御ユニット32はベースプレート11のストライカ進入溝11aと反対側の端部に複数のビスを利用して固定してある。図示するようにベースプレート11に対して固定された電子制御ユニット32の軸線は上下方向に傾斜している。
【0034】
電子制御ユニット32には、車両ボディ1に設けた(モータ27a、ラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31、電子制御ユニット32、セクタギヤ検出スイッチ33、開動作スイッチ33A等に電力を供給するための)バッテリ(図示略)と電気的に接続するワイヤーハーネス43(ワイヤーハーネス35、36、37と同じ構造)の端部に設けたコネクタ(雄型コネクタ)43a(図8、図10、図11参照)が接続されている。図8、図10及び図11に示すように、ワイヤーハーネス43のコネクタ43a側の端部近傍には屈曲部43bが形成してある。そのためバックドア3が全閉位置又は全閉位置近傍に位置するとき、ワイヤーハーネス43はコネクタ43aから屈曲部43bに向かって斜め下方に向かって延び、屈曲部43bより先の部分は屈曲部43bから斜め上方に向かって延びる。
【0035】
また電子制御ユニット32には、ラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31、セクタギヤ検出スイッチ33、モータユニット27と電気的に接続するワイヤーハーネス35、36、37、39の端部に設けたコネクタ38が接続されている。
【0036】
図12は、電子制御ユニット(ECU)32の内部構成を示す機能ブロック図である。電子制御ユニット32は、モータ駆動制御指示部100と、ラチェット検出スイッチ監視部200と、オープンレバー検出スイッチ監視部300と、セクタギヤ検出スイッチ監視部400と、開動作スイッチ監視部500とを含んだマイコンを備えている。
【0037】
モータ駆動制御指示部100は、ワイヤーハーネス39を介してモータユニット27のモータ27aに接続されている。モータ駆動制御指示部100は、モータ27aに対して、バックドア3を閉じさせる(ドアロック方向)への正転指示信号またはバックドア3を開けさせる方向(ドアロック解除方向)への逆転指示信号を送る。
【0038】
ラチェット検出スイッチ監視部200は、ワイヤーハーネス35を介してラチェット検出スイッチ30に接続されている。ラチェット検出スイッチ監視部200は、ラチェット検出スイッチ30のオンオフ状態を監視する。
【0039】
オープンレバー検出スイッチ監視部300は、ワイヤーハーネス36を介してオープンレバー検出スイッチ31に接続されている。オープンレバー検出スイッチ監視部300は、オープンレバー検出スイッチ31のオンオフ状態を監視する。
【0040】
セクタギヤ検出スイッチ監視部400は、ワイヤーハーネス37を介してセクタギヤ検出スイッチ33に接続されている。セクタギヤ検出スイッチ監視部400は、セクタギヤ検出スイッチ33のオンオフ状態を監視する。
【0041】
開動作スイッチ監視部500は、図示しないワイヤーハーネスを介して開動作スイッチ33Aに接続されている。開動作スイッチ監視部500は、開動作スイッチ33Aの入力信号を監視する。
【0042】
電子制御ユニット32は、マイコン通常電力モードまたはマイコン省電力モードで動作し、ロック機構10によるバックドア3の開閉動作を制御する。
【0043】
図13に示すように、電子制御ユニット32のマイコン通常電力モードでは、ラチェット検出スイッチ監視部200、オープンレバー検出スイッチ監視部300、セクタギヤ検出スイッチ監視部400、及び開動作スイッチ監視部500がそれぞれ、ラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31、セクタギヤ検出スイッチ33、及び開動作スイッチ33Aの全てのスイッチを所定のクロック周波数X(Hz)で監視する。
【0044】
図14に示すように、電子制御ユニット32のマイコン省電力モードでは、ラチェット検出スイッチ監視部200及び開動作スイッチ監視部500が、ラチェット検出スイッチ30及び開動作スイッチ33Aをマイコン通常電力モードと同じ所定のクロック周波数X(Hz)で監視する。一方、残りのオープンレバー検出スイッチ監視部300及びセクタギヤ検出スイッチ監視部400は、オープンレバー検出スイッチ31及びセクタギヤ検出スイッチ33をマイコン通常電力モードの所定のクロック周波数X(Hz)で監視するのを停止するか、あるいはマイコン通常電力モードの所定のクロック周波数X(Hz)よりも低いクロック周波数x(Hz)で監視する。
【0045】
電子制御ユニット32がその動作モードをマイコン通常電力モードとマイコン省電力モードの間でどのように移行させるかについては、後に詳細に説明する。
【0046】
以上の構造のロック機構10の動作を、主に図8から図10、図15から図17を参照して説明する。図8から図10はロック機構10の機構的な作動の態様を示し、図15から図17は電気的な制御を示すタイミングチャートである。機構図中のF1、F2、F3及びF4はそれぞれ、フック12、ラチェット13、クローズレバー20及びオープンレバー23に作用するばねの付勢力の方向を表している。以下に述べる各部材の回動方向は、図8から図10における回動方向である。また、モータ27aの駆動方向に関し、ドアを閉じさせる(ロックさせる)方向を正転、ドアロックを解除させる方向を逆転と呼ぶ。
【0047】
まず、図15に示す通常作動を説明する。図8は、図15のタイミングチャートにT1で示すバックドア3開放状態(全閉位置の近傍に位置する状態)でのロック機構10を示している。
【0048】
このときフック12は、第2脚部12dをストライカ進入溝11a上に位置させ、第1脚部12cをストライカ進入溝11a上から退避させたストライカ解放位置にあり、ラチェット13は、フック12に接近する方向に回動されたラッチ位置にある。前述のように、ラチェット13は、ラッチ位置にあるときには、スイッチ操作片13fがラチェット検出スイッチ30のスイッチ接片30aを押圧しておらず、ラチェット検出スイッチ30はスイッチオフ状態にある。フック12とラチェット13のそれぞれの位置は、トーションばね16の付勢力F1とトーションばね17の付勢力F2によって維持される。具体的には、フック12はその側面がベースプレート11の立壁部11iに当て付くことによって、F1方向へのそれ以上の回動が制限され、ラチェット13は、上記ガイド突起(図示略)をラチェットガイド溝11eの一端部に当接させることで、F2方向へのそれ以上の回動が規制されている。
【0049】
図8のバックドア3開放状態では、クローズレバー20はその側面が立壁部11iに接触することにより引込解除位置に保持されるので、該クローズレバー20に軸ピン22を介して枢着された連動レバー21の制御突起21cはオープンレバー23の連動レバー制御溝23fの下端側の端面から上方に離間しており、引張ばね25が付勢するF3方向へのそれ以上の回動が規制されている。このとき、引張ばね25がクローズレバー20に及ぼす付勢力F3は、連動レバー21の制御突起21cを連動レバー制御溝23fの内側円弧面部23f1に押し付ける方向に作用しており、連動レバー21は制御突起21cが内側円弧面部23f1に当て付くことによって、フック12の結合突起12hに対して結合できない結合解除位置に保持されている。また、セクタギヤ26のオープンレバー操作片26cがオープンレバー23のギヤ当接部23hに当接する一方で、クローズレバー操作部26dは引込解除位置にあるクローズレバー20の第2アーム20cからは離間している。この位置が、セクタギヤ26に固定した押圧部材34がスイッチ接片33aを押圧することによりセクタギヤ検出スイッチ33が検出するセクタギヤ26の初期位置である。オープンレバー23は、回動規制壁23gがフック12の結合突起12hに当て付いて、引張ばね25に付勢されたF4方向への回動が規制され、オープン位置に保持されている。前述のように、オープンレバー23は、オープン位置にあるときには、スイッチ操作片23eがオープンレバー検出スイッチ31のスイッチ接片31aを押圧して、オープンレバー検出スイッチ31がスイッチオン状態にある。そして、オープンレバー検出スイッチ31がオン、ラチェット検出スイッチ30がオフという信号入力の組み合わせによって、電子制御ユニット32が、バックドア3のオープン状態を検出する。
【0050】
バックドア3の閉成動作によって、ストライカSがストライカ進入溝11aに進入して第2脚部12dを押圧すると、フック12は、ストライカSをストライカ保持溝12b内に保持しつつ、トーションばね16の付勢力F1に抗して図8のストライカ解放位置から図10の引込開始位置へ反時計方向に回動される。すると、フック12のラチェット押圧突部12fがラチェット13の段差部13eを押し込んで、トーションばね17の付勢力F2に抗して、ラチェット13は図8のラッチ位置から図10に示すアンラッチ位置へ時計方向に回動される。ラチェット13がアンラッチ位置に回動すると、スイッチ操作片13fがスイッチ接片30aを押圧し、ラチェット検出スイッチ30がオフからオンに切り替わる(T2)。
【0051】
オープンレバー23の回動規制壁23gは第2アーム23cの長手方向に所定の長さを有しており、フック12が図8のストライカ解放位置から図9の引込開始位置に達する直前までは、回動規制壁23gがフック12の結合突起12hに当て付いて、オープンレバー23はクローズ位置(時計方向)への回動が規制されてオープン位置に保持され続けている。そして、フック12が図9の引込開始位置まで達すると、フック12の結合突起12hが回動規制壁23gとの対向位置から外れて回動規制が解除され、引張ばね25の付勢力F4によって、オープンレバー23が同図に示すクローズ位置へ回動される(T3)。オープンレバー23がクローズ位置に回動すると、オープンレバー23の外側円弧面部23f2が連動レバー21の制御突起21cをクローズ位置側に押圧するので、連動レバー21が、引張ばね25の付勢力F3によって軸ピン22を中心として時計方向に回動され、図8に示す結合解除位置から図9の結合位置に移動する。その結果、連動レバー21の結合凹部21bの底面にフック12hの結合突起12hが当接するので、連動レバー21によってフック12は引込開始位置に保持される。この状態が図9に示すハーフラッチ状態である。ロック機構10が図8のドア開放状態から図9のハーフラッチ状態に移行する間(フック12がストライカ解放位置と引込開始位置に位置するときを含む)、クローズレバー20の側面が立壁部11iに接触し続けるので、ハーフラッチ状態においてもクローズレバー20は引込解除位置に保持される。オープンレバー23がクローズ位置に回動すると、スイッチ操作片23eがスイッチ接片31aへの押圧を解除して、オープンレバー検出スイッチ31がオンからオフに切り替わる(T3)。そして、オープンレバー検出スイッチ31がオフ、ラチェット検出スイッチ30がオンという信号入力の組み合わせによって、電子制御ユニット32が、バックドア3のハーフラッチ状態を検出する。
【0052】
なお、図8のバックドア3の開放状態(全閉位置の近傍に位置する状態)から図9のハーフラッチ状態になるとき、連動レバー21とオープンレバー23はいずれも時計方向に回動されるが、その際、連動レバー21の制御突起21cは、連動レバー制御溝23f内における幅方向への位置を相対的に変化させ外側円弧面部23f2へ当接する状態(図9)になる。そして、この状態では、制御突起21cと外側円弧面部23f2の当接関係によって、結合解除位置への連動レバー21の回動が規制される。
【0053】
ハーフラッチ状態が検知されると、電子制御ユニット32がモータユニット27のモータ27aを正転駆動させる(T4)。すると、ピニオン27bとギヤ部26bの噛合関係によってセクタギヤ26が図9中の時計方向に回動され(T5)、クローズレバー操作部26dがクローズレバー20の第2アーム20cを押圧し、クローズレバー20が図9の引込解除位置から図10の引込位置へ反時計方向に回動される。これにより、連動レバー21を介してクローズレバー20と一体化された(結合凹部21bによってストライカ解放位置側への回転が規制された)フック12も、図9の引込開始位置から図10のストライカ保持位置へ反時計方向に回動され、フック12のストライカ保持溝12bによってストライカSをストライカ進入溝11aの奥側へ引き込んでゆく。このとき、連動レバー21は、制御突起21cを連動レバー制御溝23fの(このとき自身の中心が軸ピン14と一致する)外側円弧面部23f2に摺接させながら、結合凹部21bと結合突起12hの係合を維持した状態で、軸ピン14を中心として、クローズレバー20と一体的に移動される。そして、オープンレバー23がクローズ位置に保持されている間は、外側円弧面部23f2と制御突起21cの当接によって、結合凹部21bと結合突起12hの係合を解除する方向(結合解除位置)への連動レバー21の回動(軸ピン22を中心とした自転)が規制されている。換言すれば、外側円弧面部23f2は、ハーフラッチ状態からのクローズ作動時における連動レバー21の回動軌跡を決めるガイド面として機能する。
【0054】
フック12とクローズレバー20の結合体が図9のハーフラッチ状態からストライカSの引込方向に回動されている間は、フック12の第2脚部12dの先端部に形成した円弧状面12gが、ラチェット13の円弧面部13dに対して摺接し、ラチェット13は、トーションばね17の付勢力F2に抗して、図9のハーフラッチ状態と同様にアンラッチ位置に保持される。この間、オープンレバー23も、ハーフラッチ状態と同じくクローズ位置に保持される。すなわち、ラチェット検出スイッチ30がオン、オープンレバー検出スイッチ31がオフという状態が続く。そして、フック12が図10のストライカ保持位置まで回動されると、円弧状面12gが円弧面部13dとの対向位置から上方に逃げてラチェット13に対する回動規制が解除され、ラチェット13がトーションばね17の付勢力F2によってアンラッチ位置からラッチ位置(反時計方向)へ回動され、図10に示すように回動規制段部13cがラチェット係合段部12eに係合する。この回動規制段部13cとラチェット係合段部12eの係合により、ストライカ解放位置方向へのフック12の回動が規制され、ストライカSがストライカ進入溝11aの奥部に完全に保持されるフルラッチ状態(ドア全閉状態)となる。回動規制段部13cをラチェット係合段部12eに係合させるときのラチェット13の反時計方向回動により、スイッチ操作片13fがスイッチ接片30aに対する押圧を解除して、ラチェット検出スイッチ30がオンからオフに切り替わる(T6)。つまり、ラチェット検出スイッチ30とオープンレバー検出スイッチ31がいずれもオフになり、これによってフルラッチ状態が検知される。
【0055】
フルラッチ状態が検知されると、電子制御ユニット32が、ラッチを確実にさせるために所定のオーバーストローク分のモータ正転駆動を継続させた後、モータ27aをオープン方向に逆転駆動させる(T7)。このモータ逆転駆動は、クローズ作動によって図10の位置まで回動されたセクタギヤ26を、図8に示す初期位置に戻すためのものであり、押圧部材34がスイッチ接片33aを押圧することによりセクタギヤ検出スイッチ33がセクタギヤ26の初期位置への復帰を検知すると(T8)、モータ27aが停止される(T9)。このモータ停止状態で、クローズレバー操作部26dが第2アーム20cから離れて、セクタギヤ26からクローズレバー20への押圧力は解除されている。しかし、前述のように、ラチェット13との係合関係によって図10の時計方向(ストライカ解放方向)へのフック12の回動が規制されており、連動レバー21を介してフック12と一体化されているクローズレバー20も、引張ばね25の付勢力4に抗して時計方向(引込解除位置方向)への回動が規制される。つまり、フルラッチ状態が維持される。
【0056】
フルラッチ状態において電子制御ユニット32と電気的に接続する開動作スイッチ33A(図12)がオンされると(T10)、モータ27aが逆転駆動され(T11)、セクタギヤ26が図8に示す初期位置から反時計方向に回動される(T12)。すると、オープンレバー操作片26cがギヤ当接部23hを押圧し、オープンレバー23が、引張ばね25の付勢力F4に抗して図10のクローズ位置からオープン位置へ向けて反時計方向に回動され、オープンレバー検出スイッチ31がオフからオンに切り替わる(T13)。このオープンレバー23の反時計方向回動によって、連動レバー制御溝23fの内側円弧面部23f1が制御突起21cを押圧し、連動レバー21が軸ピン22を中心として反時計方向(結合解除位置)に回動(自転)される。そして、この連動レバー21の回動によって、結合凹部21bと結合突起12hの係合が解除され、フック12とクローズレバー20の(連動レバー21を介した)結合が解除される。また、反時計方向に回動する連動レバー21のラチェット押圧突起21dがラチェット13の被押圧片13gを押圧して、トーションばね17の付勢力F2に抗して、ラチェット13がラッチ位置からアンラッチ位置へと時計方向に回動される(T14)。
【0057】
ラチェット13がアンラッチ位置へ回動することにより、回動規制段部13cとラチェット係合段部12eの係合、すなわちフック12に対する回動規制が解除されて、トーションばね16の付勢力F1によって、フック12が図10のストライカ保持位置から図8のストライカ解放位置へ向けて回動される。フック12との結合が解除されたクローズレバー20も、引張ばね25の付勢力F4によって図10の引込位置から図8及び図9の引込解除位置へ向けて時計方向に回動され、これに伴い、連動レバー21の制御突起21cは、内側円弧面部23f1に対して摺接しながら、連動レバー制御溝23f内を下端部方向へ移動する。そして、オープンレバー23がオープン位置に保持されている間は、内側円弧面部23f1と制御突起21cの当接によって、結合凹部21bと結合突起12hを再係合させる方向(結合位置)への連動レバー21の回動(軸ピン22を中心とした自転)が規制されている。換言すれば、内側円弧面部23f1は、フルラッチ状態からのオープン作動時における連動レバー21の回動軌跡を決めるガイド面として機能する。
【0058】
クローズレバー20の引込解除位置への回動に伴って連動レバー21が所定量下方に移動したところで、該連動レバー21のラチェット押圧突起21dによる、ラチェット13の被押圧片13gに対するアンラッチ位置方向への押圧が解除される。しかし、フック12は回動規制段部13cとラチェット係合段部12eの係合が解除されてから図8のストライカ解放位置に達するまでの間は、フック12の第2脚部12dの円弧状面12gが、ラチェット13の円弧面部13dを押圧しており、トーションばね17の付勢力F2に抗してアンラッチ位置に保持され続ける。具体的には、クローズレバー20の引込位置(図10)から引込解除位置(図9)への回動量は、フック12のストライカ保持位置(図10)から引込開始位置(図9)までの回動量にほぼ等しく、オープン作動時には、クローズレバー20が図9の引込解除位置に達するよりも前の段階で、連動レバー21によるラチェット13のアンラッチ位置方向への押圧が解除される。一方、フック12の第2脚部12dによるラチェット13のアンラッチ位置方向への押圧は、連動レバー21よりも長く続き、フック12がストライカ解放位置(図8)に達し、ラチェット押圧突部12fがラチェット13の段差部13eを乗り越えて、互いの円弧面部12g、13dの当接が解除されると初めて、ラチェット13のラッチ位置への回動が許容される。そして、この回動許容が生じて初めて、トーションばね17の付勢力F2によって、ラチェット13がアンラッチ位置からラッチ位置へと復帰回動する(T15)。つまり、フック12がストライカ解放位置に達するまでは、ラチェット検出スイッチ30がオフ、オープンレバー検出スイッチ31がオンという、前述したバックドア3の開放状態の信号が入力されない。
【0059】
バックドア3の開放状態が検知されると、電子制御ユニット32が、ラッチ解除を確実にさせるために所定のオーバーストローク分のモータ逆転駆動を継続させた後、モータ27aをクローズ方向に正転駆動させる(T16)。このモータ正転駆動は、オープン作動に際して図8に示す初期位置から反時計方向に回動されたセクタギヤ26を、初期位置に戻すためのものであり、セクタギヤ検出スイッチ33によって初期位置への復帰が検知されると(T17)、モータ27aが停止されて(T18)、ロック機構10は図8に示すバックドア3開放状態に戻る。
【0060】
図16は、図9のハーフラッチ状態から図10のフルラッチ状態になるまでの間に、開動作スイッチ33A(図12)によるオープン(クローズキャンセル)操作があった場合の処理を示している。ハーフラッチ信号(ラチェット検出スイッチ30がオン、オープンレバー検出スイッチ31がオフ)の入力によってモータ27aが正転駆動され、セクタギヤ26が図9中の時計方向に回動されてクローズレバー20を引込位置へ向けて押圧回動しているところ(T5)までは、先に説明した通常作動と同じである。ここで、フルラッチ状態になる前に開動作スイッチ33Aがオンされると(T19)、電子制御ユニット32はモータ27aを正転から逆転駆動に切り替える(T20)。すると、セクタギヤ26は、クローズレバー操作部26dによってクローズレバー20を押圧していた状態を解除する。これにより、トーションばね16と引張ばね25の付勢力F1、F3により、フック12とクローズレバー20の結合体は、図9のハーフラッチ状態の位置に戻る。セクタギヤ26は一旦初期位置に戻る(T21)が、モータ27aを停止させずに逆転駆動が継続される。すると、セクタギヤ26のオープンレバー操作片26cがギヤ当接部23hを押圧し、オープンレバー23が、引張ばね25の付勢力F4に抗してクローズ位置からオープン位置へ向けて反時計方向に回動され、この動作がオープンレバー検出スイッチ31によって検知される(T22)。
【0061】
図9のハーフラッチ状態においてオープンレバー23がオープン位置へ回動すると、所定の空走期間(制御突起21cの当接位置が外側円弧面部23f2から内側円弧面部23f1に切り替わる区間)の後、連動レバー制御溝23fの内側円弧面部23f1が制御突起21cを押圧して、連動レバー21がフック12の結合突起12hとの結合位置から結合解除位置に回動される。これによりフック12とクローズレバー20の結合が解除され、フック12がトーションばね16の付勢力F1によって単独で図9の引込開始位置から図8のストライカ解放位置に向けて回動される。フック12がストライカ解放位置に達したところで、第2脚部12dの円弧状面12gによる円弧面部13dの押圧が解除され、ラチェット13がラッチ位置からアンラッチ位置へ回動され、これがラチェット検出スイッチ30によって検知される(T23)。これによって、ラチェット検出スイッチ30がオフ、オープンレバー検出スイッチ31がオンという、バックドア3の開放状態を示す信号となる。この信号が入力されたら、あとは通常作動時と同様に、オーバーストローク分の逆転駆動継続後にモータ27aを正転駆動に切り替えて(T24)、セクタギヤ26を初期位置に復帰させ(T25)、モータ27aを停止させる(T26)ことによって、バックドア3は図8に示す開放状態に復帰される。
【0062】
図17は、図9のハーフラッチ状態から図10のフルラッチ状態になるまでの間に、開動作スイッチ33Aに代えて、緊急解除ハンドル又はキー装置を介した機械的なオープン(クローズキャンセル)操作があった場合の処理を示している。ハーフラッチ信号(ラチェット検出スイッチ30がオン、オープンレバー検出スイッチ31がオフ)の検出によってモータ27aが正転駆動され、セクタギヤ26が図9中の時計方向に回動されてクローズレバー20を押圧回動しているところ(T5)までは、先に説明した通常作動と同じである。ここでキー装置や緊急解除ハンドル又はキー装置の操作によって(T27)、第1アーム23bを引き上げようとする力が入力され、オープンレバー23がクローズ位置からオープン位置へ回動され、オープンレバー検出スイッチ31がオフ(クローズ位置)からオン(オープン位置)に切り替わる(T28)。このオープンレバー23の回動によって、連動レバー制御溝23fの内側円弧面部23f1が連動レバー21の制御突起21cを押圧し、連動レバー21が軸ピン22を中心として反時計方向に回動(自転)されて、フック12の結合突起12hとの結合を解除する。これによりクローズレバー20の結合が解除されたフック12が、トーションばね16の付勢力F1によって、図8のストライカ解放位置に向けて回動される。そしてフック12がストライカ解放位置に達したところで、第2脚部12dの円弧状面12gによる円弧面部13dの押圧が解除され、ラチェット13がラッチ位置からアンラッチ位置へ回動され、ラチェット検出スイッチ30がオンからオフに切り替わる(T29)。これとオープンレバー検出スイッチ31のオンとの組み合わせで、バックドア3の開放状態が検知される。バックドア3の開放状態が検知されると、電子制御ユニット32がモータ27aを、クローズ用の正転駆動から逆転駆動に切り替え(T30)、セクタギヤ26が、クローズレバー20を押圧する位置から初期位置へ向けて回動される。セクタギヤ26が初期位置に戻ったことがセクタギヤ検出スイッチ33で検知されると(T31)、モータ27aが停止され(T32)、図8に示すバックドア3の開放状態に復帰する。
【0063】
以下、電子制御ユニット(ECU)32がその動作モードをマイコン通常電力モード(図13)とマイコン省電力モード(図14)の間でどのように移行させるかについて詳細に説明する。
【0064】
図15ないし図17のタイミングチャートから明らかなように、ロック機構10が、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれに滞在しているかは、ラチェット検出スイッチ30とオープンレバー検出スイッチ31のオンオフ状態の組み合わせで知ることができる。例えば、ラチェット検出スイッチ30がオフでオープンレバー検出スイッチ31がオンのときはロック機構10がオープン状態であり、ラチェット検出スイッチ30がオンでオープンレバー検出スイッチ31がオフのときはロック機構10がハーフラッチ状態であり、ラチェット検出スイッチ30とオープンレバー検出スイッチ31がともにオフのときはロック機構10がフルラッチ状態である。
【0065】
ラチェット検出スイッチ30は、ロック機構10の状態(オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態)が切り替わると、これに連動して必ず自身のオンオフ状態が切り替わる(図15のT2とT6とT14とT15、図16のT2とT23、図17のT2とT29)。すなわちラチェット検出スイッチ30は、ロック機構10の状態(オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態)の切り替わりに連動してストライカ開放位置とフルラッチ位置との間で回動するフック12の回動位置を、ラチェット13を介して間接的に検出する。従って、ラチェット検出スイッチ30は、ロック機構10の状態をいち早く検出できる極めて重要なスイッチだと言える。
【0066】
また本実施形態では、電子制御ユニット32が、マイコン省電力モード(図14)での動作中に、ラチェット検出スイッチ監視部200によってラチェット検出スイッチ30のオンオフ状態が切り替わったことを検出したとき、あるいは開動作スイッチ監視部500によって開動作スイッチ33Aから開動作要求が入力したことを検出したときに、自身の動作モードを、マイコン省電力モード(図14)からマイコン通常電力モード(図13)に移行(復帰)させる。従って、ラチェット検出スイッチ30及び開動作スイッチ33Aは、電子制御ユニット32をマイコン省電力モードからマイコン通常電力モードに移行(復帰)させるための極めて重要なスイッチだと言える。
【0067】
そこで本実施形態では、電子制御ユニット32は、マイコン通常電力モード(図13)での動作中では、常に、ラチェット検出スイッチ監視部200、オープンレバー検出スイッチ監視部300、セクタギヤ検出スイッチ監視部400、及び開動作スイッチ監視部500によって、ラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31、セクタギヤ検出スイッチ33、及び開動作スイッチ33Aの全てのスイッチを所定のクロック周波数X(Hz)で監視している。
【0068】
そして電子制御ユニット32は、マイコン通常電力モード(図13)での動作中に、ロック機構10が、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれか1つに所定時間(例えば5秒)継続して滞在していると判定したときは、自身の動作モードを、マイコン通常電力モード(図13)からマイコン省電力モード(図14)に移行させる。すなわち電子制御ユニット32は、ラチェット検出スイッチ監視部200及び開動作スイッチ監視部500によって、ラチェット検出スイッチ30及び開動作スイッチ33Aをマイコン通常電力モードと同じ所定のクロック周波数X(Hz)で監視する。一方、電子制御ユニット32は、残りのオープンレバー検出スイッチ監視部300及びセクタギヤ検出スイッチ監視部400によって、オープンレバー検出スイッチ31及びセクタギヤ検出スイッチ33をマイコン通常電力モードの所定のクロック周波数X(Hz)で監視するのを停止するか、あるいはマイコン通常電力モードの所定のクロック周波数X(Hz)よりも低いクロック周波数x(Hz)で監視する。
【0069】
このように電子制御ユニット32は、マイコン省電力モード(図14)であっても、
ラチェット検出スイッチ監視部200及び開動作スイッチ監視部500によって、ラチェット検出スイッチ30及び開動作スイッチ33Aをマイコン通常電力モードと同じ所定のクロック周波数X(Hz)で監視することで、電子制御ユニット32の消費電力を低減しつつバックドア3の開閉制御を好適に行っている。
【0070】
続いて、電子制御ユニット32のマイコン通常電力モードにおける動作について、図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0071】
まず電子制御ユニット32は、開動作スイッチ33Aから開動作要求が入力したか否か、あるいはバックドア3が人為的に開閉されているか否かによって、バックドア3の作動要求の有無を判定する(S1)。電子制御ユニット32は、バックドア3の作動要求が有ると判定したときは(S1:YES)、その動作モードをマイコン通常電力モードに維持したままで処理を終了する(END)。
【0072】
電子制御ユニット32は、バックドア3の作動要求が無いと判定したときは(S1:NO)、ラチェット検出スイッチ30とオープンレバー検出スイッチ31のオンオフ状態を監視することで、ロック機構10がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれかに滞在しているか否かを判定する(S2)。例えば電子制御ユニット32は、ラチェット検出スイッチ30がオフでオープンレバー検出スイッチ31がオンのときはロック機構10がオープン状態であると判定し(S2:YES、S3)、ラチェット検出スイッチ30がオンでオープンレバー検出スイッチ31がオフのときはロック機構10がハーフラッチ状態であると判定し(S2:YES、S4)、ラチェット検出スイッチ30とオープンレバー検出スイッチ31がともにオフのときはロック機構10がフルラッチ状態であると判定する(S2:YES、S5)。一方、電子制御ユニット32は、ロック機構10がオープン状態(S3)、ハーフラッチ状態(S4)、フルラッチ状態(S5)のいずれでもないと判定したときは(S2:NO)、その動作モードをマイコン通常電力モードに維持したままで処理を終了する(END)。
【0073】
電子制御ユニット32は、ロック機構10がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれかに滞在していると判定したときは(S2:YES、S3、S4、S5)、開動作スイッチ33Aに開動作要求が入力したか否か(S6)、メモリ書き込み中又は通信中であるか否か(S7)、バックドア3の開度状態が変化したか否か(S8)を順次判定する。このステップS6からステップS8までの判定処理はその順序を問わない。
【0074】
電子制御ユニット32は、開動作スイッチ33Aに開動作要求が入力しておらず(S6:NO)、メモリ書き込み中又は通信中ではなく(S7:NO)、ロック機構10の状態が変化していないときは(S8:NO)、省電力カウントを1カウントだけインクリメントする(S9)。
【0075】
電子制御ユニット32は、省電力カウントが所定の値Tsec未満である限りはステップS6からステップS9までのループの処理を繰り返し(S10:NO)、やがて省電力カウントが所定の値Tsec以上になったときに(S10:YES)、自身の動作モードを、マイコン通常電力モードからマイコン省電力モードに移行させて処理を終了する(S11、END)。
【0076】
一方、電子制御ユニット32は、省電力カウントが所定の値Tsecに達する前に(S10:NO)、開動作スイッチ33Aに開動作要求が入力したり(S6:YES)、メモリ書き込み中又は通信中となったり(S7:YES)、ロック機構10の状態が変化したときは(S8:YES)、省電力カウントをゼロにクリアし(S12)、動作モードをマイコン通常電力モードに維持したままで処理を終了する(END)。
【0077】
最後に、電子制御ユニット32のマイコン省電力モードにおける動作について、図19のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0078】
まず電子制御ユニット32は、開動作スイッチ33Aに開動作要求が入力したか否か(S21)、ラチェット検出スイッチ30の検出結果が変化したか否か(S22)を順次判定する。このステップS21とステップS22の判定処理はその順序を問わない。
【0079】
電子制御ユニット32は、開動作スイッチ33Aに開動作要求が入力しておらず(S21:NO)、ラチェット検出スイッチ30の検出結果が変化していないときは(S22:NO)、その動作モードをマイコン省電力モードに維持したままで処理を終了する(END)。
【0080】
電子制御ユニット32は、開動作スイッチ33Aに開動作要求が入力したり(S21:YES)、ラチェット検出スイッチ30の検出結果が変化したときは(S22:YES)、自身の動作モードを、マイコン省電力モードからマイコン通常電力モードに移行(復帰)させて処理を終了する(S23、END)。
【0081】
以上のように、本実施形態のロック装置によれば、電子制御ユニット32が、マイコン通常電力モードでの動作中に、開度状態検出手段(ラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31)が、ロック機構10がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれか1つに所定時間継続して滞在していることを検出したときに、マイコン通常電力モードをマイコン省電力モードに移行して動作する。これにより、電子制御ユニット32のスイッチ監視部(ラチェット検出スイッチ監視部200、オープンレバー検出スイッチ監視部300、セクタギヤ検出スイッチ監視部400、開動作スイッチ監視部500)を含むマイコンの消費電力を飛躍的に低減して、このマイコンに電力を供給するバッテリが上がるのを確実に防止することができる。
【0082】
以上の実施形態では、電子制御ユニット32が、マイコン省電力モードにおいて、ラチェット検出スイッチ30及び開動作スイッチ33Aをマイコン通常電力モードと同じ所定のクロック周波数X(Hz)で監視する一方、オープンレバー検出スイッチ31及びセクタギヤ検出スイッチ33を所定のクロック周波数X(Hz)で監視するのを停止または所定のクロック周波数X(Hz)よりも低いクロック周波数x(Hz)で監視している。しかし、電子制御ユニット32は、マイコン省電力モードにおいて、ラチェット検出スイッチ30、オープンレバー検出スイッチ31、セクタギヤ検出スイッチ33、及び開動作スイッチ33Aの少なくとも一部のスイッチを所定のクロック周波数X(Hz)で監視するのを停止または所定のクロック周波数X(Hz)よりも低いクロック周波数x(Hz)で監視してもよい。
【0083】
以上の実施形態では、モータ駆動によりロック機構10の状態をハーフラッチ状態とフルラッチ状態の間で切り替えるクローザ機構を有している。しかし、本発明のロック装置は、クローザ機構を有しない所謂マニュアルロックタイプにも適用可能である。マニュアルロック装置であっても、例えば半ドア検出用の電気接点などが存在するため、電子制御ユニットの動作モードをマイコン省電力モードに移行させることで一定の省電力効果が得られる。
【0084】
以上の実施形態では、本発明のロック装置を車両用ドアクローザ装置に適用した実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明のロック装置は、車両ボディの開口部を開閉する開閉体の開度状態に応じて、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態の間で切り替わるロック機構と、マイコン通常電力モードまたはマイコン省電力モードで動作する電子制御ユニットとを有するあらゆる機構系に適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 車両ボディ
2 後部開口(開口部)
3 バックドア(開閉体)
10 ロック機構
11 ベースプレート
11a ストライカ進入溝
11j 突出支持部
11k 環状段差部
12 フック
12b ストライカ保持溝
12e ラチェット係合段部
12f ラチェット押圧突部
12g 円弧状面
12h 結合突起
13 ラチェット
13c 回動規制段部
13d 円弧面部
13e 段差部
13f スイッチ操作片
13g 被押圧片
16 トーションばね
17 トーションばね
18 ストッパ部材
20 クローズレバー
20b 第1アーム
20c 第2アーム
20d 凹部
20g ストッパ面
21 連動レバー
21b 結合凹部
21c 制御突起
21d ラチェット押圧突起
23 オープンレバー
23b 第1アーム
23c 第2アーム
23d ハンドル連係穴
23e スイッチ操作片
23f 連動レバー制御穴
23f1 内側円弧面部
23f2 外側円弧面部
25 引張ばね
26 セクタギヤ
26c オープンレバー操作片
26d クローズレバー操作部
27 モータユニット
27a モータ
27b ピニオン
27c ソケット
30 ラチェット検出スイッチ(開度状態検出手段)
31 オープンレバー検出スイッチ(開度状態検出手段)
32 電子制御ユニット(ECU)
33 セクタギヤ検出スイッチ
33A 開動作スイッチ(オープンスイッチ)
34 押圧部材
35 36 37 ワイヤーハーネス
35a 36a 37a 屈曲部
38 コネクタ
39 ワイヤーハーネス
39a 屈曲部
43 ワイヤーハーネス
43a コネクタ
43b 屈曲部
100 モータ駆動制御指示部
200 ラチェット検出スイッチ監視部
300 オープンレバー検出スイッチ監視部
400 セクタギヤ検出スイッチ監視部
500 開動作スイッチ監視部
S ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボディの開口部を開閉する開閉体を前記開口部を閉じた位置で保持するものであって、オープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態の間で切り替わるロック機構;
マイコン通常電力モードまたはマイコン省電力モードで動作する電子制御ユニット;及び
前記ロック機構の状態を検出する開度状態検出手段;を有し、
前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がオープン状態、ハーフラッチ状態、フルラッチ状態のいずれか1つに所定時間継続して滞在していることを検出したときに、マイコン通常電力モードをマイコン省電力モードに移行して動作する、
ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
請求項1記載のロック装置において、
前記ロック機構は、ストライカ開放位置とフルラッチ位置との間で回動するフックを有し、
前記開度状態検出手段は、前記フックの回動位置により、前記ロック機構の状態を検出するロック装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のロック装置において、
モータ駆動により前記ロック機構の状態をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へ切り替えるクローザ機構をさらに有し、
前記ロック機構は、ラッチ位置とアンラッチ位置との間で回動するラチェットと、前記モータの正逆回転に従って回動するセクタギヤと、前記セクタギヤの回動に連動して、オープン位置とクローズ位置との間で回動するオープンレバーと、前記ラチェットの回動位置を検出するラチェット検出スイッチと、前記ロック機構の状態が切り替わった後に、前記セクタギヤが初期位置に復帰したことを検出するセクタギヤ検出スイッチと、前記オープンレバーの回動位置を検出するオープンレバー検出スイッチと、前記クローザ機構による開動作要求を入力する開動作スイッチと、を有しており、
前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでは、前記ラチェット検出スイッチ、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの全てのスイッチを所定のクロック周波数で監視しており、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がオープン状態またはハーフラッチ状態に所定時間継続して滞在していることを検出したときは、前記ラチェット検出スイッチの監視を所定のクロック周波数のまま継続する一方、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの内、少なくとも1つのスイッチを所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続するロック装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のロック装置において、
モータ駆動により前記ロック機構の状態をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へ切り替えるクローザ機構をさらに有し、
前記ロック機構は、ラッチ位置とアンラッチ位置との間で回動するラチェットと、前記モータの正逆回転に従って回動するセクタギヤと、前記セクタギヤの回動に連動して、オープン位置とクローズ位置との間で回動するオープンレバーと、前記ラチェットの回動位置を検出するラチェット検出スイッチと、前記ロック機構の状態が切り替わった後に、前記セクタギヤが初期位置に復帰したことを検出するセクタギヤ検出スイッチと、前記オープンレバーの回動位置を検出するオープンレバー検出スイッチと、前記クローザ機構による開動作要求を入力する開動作スイッチと、を有しており、
前記電子制御ユニットは、マイコン通常電力モードでは、前記ラチェット検出スイッチ、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの全てのスイッチを所定のクロック周波数で監視しており、マイコン通常電力モードでの動作中に、前記開度状態検出手段が、前記ロック機構がフルラッチ状態に所定時間継続して滞在していることを検出したときは、前記ラチェット検出スイッチ、前記セクタギヤ検出スイッチ、前記オープンレバー検出スイッチ、及び前記開動作スイッチの内、少なくとも1つのスイッチを所定のクロック周波数で監視するのを停止または所定のクロック周波数よりも下げて継続するロック装置。
【請求項5】
請求項3または4記載のロック装置において、
前記電子制御ユニットは、マイコン省電力モードでの動作中に、前記ラチェット検出スイッチが前記ラチェットの回動位置が切り替わったことを検出したとき、または前記開動作スイッチに開動作要求が入力したときに、マイコン省電力モードをマイコン通常電力モードに移行して動作するロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−72194(P2013−72194A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210761(P2011−210761)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(595098169)株式会社立花エレテック (53)
【Fターム(参考)】