説明

ロバストかつ小型なタッチスクリーンにて実現する、組み合わせられた圧電センサおよび圧電アクチュエータのための、コスト効率のよい素子およびその動作方法

圧電素子を含んだデバイスが圧電性材料を含み、圧電素子には圧電アクチュエータと、圧電アクチュエータに接続している少なくとも1つの圧電センサとが含まれており、圧電アクチュエータと少なくとも1つの圧電センサとは、共通の素子を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ディスプレイ・デバイスとともに使用する、組み合わせられた圧電センサおよび圧電アクチュエータに関する。
【背景】
【0002】
タッチスクリーンはモニタであって、概して液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または陰極線管(CRT:Cathode Ray Tube)のいずれかの技術に基づいており、直接スクリーン入力を受け付けるものである。スクリーン入力を受け付ける機能は、ライト・ペンなどの外部デバイスによって、またはタッチ・オーバーレイおよびコントローラなどの内部デバイスによって促進されるが、これらのデバイスは、スクリーン対話のX、Y座標を、スクリーン・ディスプレイを制御しているコンピュータに中継する。
【0003】
抵抗膜方式のLCDタッチスクリーン・モニタおよびディスプレイは、絶縁ドットで隔てられた柔軟性のある上層と剛性の下層とから成りタッチスクリーン・コントローラに取り付けられているタッチ・オーバーレイを要する。通常、2つの層それぞれの内側の面は、電圧が印加されると各層における勾配を促進する透過性の金属酸化物コーティング(ITO)で覆われている。柔軟性のある最上部シートを圧すると、抵抗層の間に電気接触が生じ、回路内のスイッチが閉じる。オーバーレイに接続された制御電子回路は、層の間で電圧を交番させ、結果として生じるXおよびYのタッチ座標をタッチスクリーン・コントローラへ渡す。タッチスクリーン・コントローラのデータは、その後、コンピュータのオペレーティング・システムへと伝えられて処理される。
【0004】
抵抗膜方式のタッチスクリーン技術は、音波式、静電容量式、近接場イメージング式、および赤外線式といった他の代替的なタッチスクリーン技術に優る利点を多数有する。抵抗膜方式のタッチスクリーンは耐久性が非常に高いので、音波式タッチスクリーンであれば悪影響を受けかねない汚染物質に左右されにくい。加えて、抵抗膜方式のタッチスクリーンは、抵抗膜方式のタッチスクリーンを動作不能にしかねない引っかき傷に対して感受性が低い。産業上の利用に関して、抵抗膜方式のタッチスクリーンは、近接場イメージング式タッチスクリーンよりもコスト効率がよい。
【0005】
携帯用電子デバイスにディスプレイを備える場合にタッチスクリーン技術を活用することは、次第に一般的になってきている。そのような事例では、ユーザは通常、指または他の道具などでディスプレイ上を圧して、データの入力またはタッチスクリーン上に表示されたデータからの選択を行う。抵抗膜方式のタッチスクリーン技術は、スクリーン上の指位置を判断するのに使用されることが多い。静電容量式の指位置技術が次第に利用されるようになってきているが、「指がディスプレイ上に接触している」状態と「クリック」の事象とを区別するために、慎重なキャリブレーションが要求される。いずれの場合も、適切なユーザ体験のためには、アクティブな触覚性が必要とされる。「アクティブな触覚性」とは、ディスプレイが、ユーザに、データの入力または選択に関する情報を伝えるべく、触覚フィードバックを提供することを意味する。このような触覚的な応答がなければ、意図した入力または選択がデバイスに登録されたかどうかをユーザが把握することは困難となり得る。
【0006】
触覚フィードバックを提供する従来の方法には、正常な連結が行われ次第「クリック」を提供するエントリ・キーのほか、キーが正常に押された場合には戻り力または振動を提供する圧電性素子を物理的に構築することが含まれる。組み合わせる場合には、タッチスクリーン・ディスプレイと触覚フィードバック要素とが、相補的であれば、別個のシステムを形成するのが一般的である。
【0007】
タッチスクリーン・ディスプレイと別個のアクティブな触覚フィードバックとをモバイル電子デバイス内に実装しなければならないことは、従来のソリューションを採用するならば、多くの場合に厳しすぎる要求となる。例えば、触覚フィードバック層の存在によって、小型のディスプレイが過度に大きくなりかねない。従来のタッチスクリーンのもう1つ別の欠点は、タッチ・センサを形成する抵抗層が追加されるせいで、ディスプレイからの視覚的な出力が劣化することである。
【0008】
従って、モバイル・プラットフォームのディスプレイ・デバイスに適合した、タッチスクリーン入力機能と触覚フィードバックとの両方をコンパクトに提供するシステムの必要性が存在する。
【好適な実施形態の概要】
【0009】
本発明の例示的な実施形態によれば、デバイスが、圧電性材料を含んだ圧電アクチュエータと、圧電性材料で作られており圧電アクチュエータから電気的に絶縁されている少なくとも1つの圧電センサとを含み、圧電アクチュエータと圧電センサとが、略矩形の広がりを含む。
【0010】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、モバイル装置が、圧電性材料で作られた圧電アクチュエータおよび圧電性材料で作られていて圧電アクチュエータから電気的に絶縁されている少なくとも1つの圧電センサを備えた第1および第2面を有するセンサ/アクチュエータ・デバイスと、第1および第2面を有するディスプレイであってディスプレイの第1面がセンサ/アクチュエータ・デバイスの第1面の反対側に設けられているディスプレイと、圧電アクチュエータおよび少なくとも1つの圧電センサに接続されたプロセッサと、を含み、センサ/アクチュエータ・デバイスおよびディスプレイの各々が、略矩形の広がりを形成する。
【0011】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、方法が、圧電性材料で作られた圧電アクチュエータおよび圧電性材料で作られていて圧電アクチュエータから電気的に絶縁されている少なくとも1つの圧電センサを備えた第1および第2面を有するセンサ/アクチュエータ・デバイスを準備することと、第1および第2面を有するディスプレイであってディスプレイの第1面がセンサ/アクチュエータ・デバイスの第1面の反対側に設けられているディスプレイを準備することと、ディスプレイに加えられる力に応えて少なくとも1つの圧電センサが作動するのを検知することと、圧電センサの作動に応えて触覚フィードバックを提供するように圧電アクチュエータを動作させることと、を含み、センサ/アクチュエータ・デバイスおよびディスプレイの各々が、略矩形の広がりを形成する。
【0012】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、情報を担う媒体上に有形的に具現化されてデジタル・プロセッサによって実行可能な機械可読命令のプログラムが、センサ/アクチュエータ・デバイスとの相互作用に向けて動作を実行し、この動作には、圧電性材料で作られた少なくとも1つの圧電センサであって、同一平面上にある圧電性材料で作られた圧電アクチュエータから電気的に絶縁されている、少なくとも1つの圧電センサに加えられた圧力を示す入力信号を受信することと、少なくとも1つの圧電センサの作動を判断するために入力信号を処理することと、少なくとも1つの圧電センサの作動に応えて圧電アクチュエータを動作させることと、が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
これらの教示の上述およびその他の態様については、添付の図面に関連させて読めば、以下の詳細な説明の中でさらに明らかになる。
【0014】
【図1a】本発明のセンサ/アクチュエータ・デバイスの例示的な一実施形態の上面図である。
【0015】
【図1b】本発明のセンサ/アクチュエータ・デバイスおよびディスプレイ・デバイスの例示的な一実施形態の側面図である。
【0016】
【図2】本発明のセンサ/アクチュエータを構成する回路接続の例示的な一実施形態の図である。
【0017】
【図3】本発明を実施するモバイル装置の例示的な一実施形態の図である。
【詳細な説明】
【0018】
本発明の例示的な実施形態では、組み合わせられた圧電センサおよび圧電アクチュエータのデバイスが提供される。圧電センサは、ユーザの指によって与えられた力などの物理的圧力に応えて電気信号を生成するべく圧電素子を利用して、それによりユーザ入力を検知する。圧電アクチュエータは、同様の圧電素子を利用して、振動などの触覚フィードバックをデバイスのユーザへ提供する。圧電センサおよび圧電アクチュエータは、同一平面上にありながら互いに電気的に絶縁されるように、双方が単一の圧電性素子から製造されていることが好ましい。圧電センサと圧電アクチュエータとの動作上の差異は、以下でさらに詳しく説明するように、圧電センサおよび圧電アクチュエータを、それぞれ電源と差動電圧測定デバイスとに接続することを通じて実現できる。
【0019】
図1a〜1bを参照すると、本発明によるセンサ/アクチュエータ・デバイス15の例示的な実施形態が示されている。センサ/アクチュエータ・デバイス15は、ディスプレイ・デバイス、タッチ・パッド、およびキーパッドを形成するとよいが、これらに限定されない。図1aは、センサ/アクチュエータ・デバイス15の上面図である。センサ/アクチュエータ・デバイス15は、周りに少なくとも1つの圧電センサ11が配置されている圧電アクチュエータ13で作られている。センサ/アクチュエータ・デバイス15は、ディスプレイ・デバイスの下に置かれることになり、かかるディスプレイ・デバイスは通常、略矩形の構成となっているので、センサ/アクチュエータ・デバイス15も同じく略矩形の形状であることが好ましい。
【0020】
センサ/アクチュエータ・デバイス15は、単一の圧電素子23を形成している単体の圧電性材料で作られることが好ましい。好適な圧電性材料としては、直列および並列のバイモルフ型圧電性材料が挙げられるが、これに限定されない。圧電性材料を形成するには、焼結処理を用いて、バイモルフ構造の中間電極として機能する金属シート上へ圧電セラミックを堆積させることができる。製作中に、圧電センサ11を圧電アクチュエータ13から絶縁させるように、マスキング作業を実施することができる。マスクは、焼結処理の間に絶縁対象となるエリアを覆うメカニカル・フレームとすることができる。この絶縁の結果、圧電アクチュエータ13から電気的に絶縁されていながら、同時に構造的には接地電極19'を介して接続されたままである、圧電センサ11が得られる。このような絶縁は、各々の圧電センサ11と圧電アクチュエータ13との間に形成される隙間21という形で物理的絶縁によって実現することができる。加えて製造後に、ただし圧電性材料の分極処理よりは前に、電気絶縁体を隙間21の中へ堆積させて、圧電センサ11の圧電アクチュエータ13からの電気的絶縁を維持することができる。さらに、絶縁エリアは、そのエリアを覆って誘電性材料を堆積させることによって、作り出すこともできる。誘電性材料は、焼結処理に耐えて存続する。別の例示的な実施形態では、圧電センサ11および圧電アクチュエータ13を、エッチング処理または別の方法でそれらの間の圧電性材料を機械的に除去することによって、互いに絶縁させることができる。通常、分極処理を実施した後は、高温または高い機械的応力が必要な手順は素子の圧電性を劣化させかねないため、避けるべきである。
【0021】
図に示すように、センサ/アクチュエータ・デバイス15の中には4つの圧電センサ11が組み込まれている。これらの圧電センサ11は、略矩形の形状で、圧電アクチュエータ13の周囲、すなわち近接して設けられる。具体的には、圧電センサ11は、略矩形のセンサ/アクチュエータ・デバイス15の角に設けられる。圧電アクチュエータ13は、圧電センサ11の間に連続的に伸張し、センサ/アクチュエータ・デバイス15の略矩形の広がりの残された部分を覆っている。しかし、本発明はそのように限定されるものではない。それどころか、本発明は、圧電アクチュエータ13から電気的に絶縁されながら接地電極19'を介して構造的に接続され、それによって圧電センサ11と圧電アクチュエータ13とが同一の一般平面に存在するような、あらゆる数の圧電センサ11を広く包含する。例えば、1つの圧電センサ11を圧電アクチュエータ13によって完全に取り囲み、隙間によって隔てるようにすることもできる。
【0022】
上述のように、センサ/アクチュエータ・デバイス15として略矩形の形状を形成するように組み合わせられる圧電アクチュエータ13と圧電センサ11との組み合わせは、ディスプレイのおおまかな大きさおよび形状に対応するようになることが好ましい。加えて、以下で明らかにされるように、センサ/アクチュエータ・デバイス15を動作させるのに必要な電気的接続は、圧電センサ11がセンサ/アクチュエータ・デバイス15の周囲に設けられると、最も効率よく実現される。
【0023】
図1bを参照すると、本発明のセンサ/アクチュエータ・デバイス15の例示的な実施形態の側面図が示されている。明らかに分かるように、圧電アクチュエータ13および圧電センサ11の双方が単一の圧電素子23で作られている。本例では、圧電素子23は、電極19を3つ用いて形成される並列バイモルフである。電極19、19''は圧電素子23の両側の外表面に接続され、それに対して電極19'は、圧電素子23を通って伸びてこれを2つの部分に分割し、接地している。さらに、ディスプレイ17が示されている。ディスプレイ17は、視覚情報をディスプレイ17上の画像の形で提示することができ、かつ、以下にさらに詳しく述べるように、ディスプレイ17の外表面に加えられた圧力によって圧電センサ11から電気的出力を生成させることができるほどの柔軟性を備えた、いかなるディスプレイ・デバイスであってもよい。代表的なディスプレイ17としては、液晶ディスプレイ(LCDs)が挙げられるがこれに限定されない。
【0024】
上述のように、センサ/アクチュエータ・デバイス15は、自体がその下に置かれるディスプレイと、ほぼ同じ大きさおよび形状であることが望ましい。従って、ディスプレイ17は、厚みは別にした2次元で、センサ/アクチュエータ・デバイス15が伸張する広がりとほぼ等しい広がりにわたって伸張するように図示されている。センサ/アクチュエータ・デバイス15の厚みの標準的な寸法は、約0.3mmから0.7mmまでである。ディスプレイ17の面は、センサ/アクチュエータ・デバイス15の面から距離dだけ隔てられている。動作上、および図示するように、ディスプレイ17の外表面に加えられた力Fが、後述のように感知されるのに足るほどの大きさで圧電センサ11に伝わることができるように、距離dは十分に小さい値となっている。逆に言えば、ディスプレイ17が十分な柔軟性を備えて、圧電アクチュエータ13の生成する振動をディスプレイ17を通してユーザに感知させることができるようにしている。ディスプレイ17は、さらに、ディスプレイ17の一面とセンサ/アクチュエータ・デバイス15の一面とが接した状態になるように備わることもできる。このような場合、距離dは、ほぼゼロに等しい。
【0025】
図2を参照すると、本発明のセンサ/アクチュエータ・デバイス15を動作させることのできる例示的な実施形態の配線図が示されている。圧電性材料の特性として、圧力が加わると発生する物理的変形によって電流が生じる。逆に言えば、圧電性材料に電荷を加えると、圧電性材料の物理的変形を引き起こすことができる。
【0026】
図に示すように、圧電アクチュエータ13は、圧電アクチュエータ13に電圧を供給する電圧ポンプ35に接続されている。具体的には、電圧ポンプ35は、圧電アクチュエータ13の外側の電極19、19''へ電圧を供給する。電圧ポンプ35によって圧電アクチュエータ13へ電圧が印加されると、それに応えて圧電アクチュエータ13がたわむ。圧電アクチュエータ13に対して複数回の電圧印加を適用することによって繰り返し応力をかけると、結果的に圧電アクチュエータ13の振動がもたらされる。同様に、圧電アクチュエータ13に対して印加電圧を1回適用および中断することによって、「クリック」の触感に近似させることができる。好適な一実施形態では、圧電アクチュエータ13は、31モードで動作する。31モードのアクチュエータ13は、圧電素子23に平行にかけられた電場に対して垂直な変位を生じさせる。携帯用電子デバイス内で動作している圧電アクチュエータ13に印加する標準的な電圧は、約25ボルトから約185ボルトまでである。
【0027】
同様に図に示すように、各々の圧電センサ11は、物理的に変形させられると圧電センサ11に形成される差動電位を測定する差動電位測定デバイス31に接続されている。力Fに起因する圧力などの圧力が圧電センサ11に加えられると、センサ信号が生成される。図示された例示的な実施形態では、このセンサ信号は、圧電センサ11の前面(ディスプレイ17に最も近い面)からの(接地を基準とする)負の信号と、圧電センサ11の反対側にある後面からの正の信号との間の差異として、差動電位測定デバイス31によって測定される。各圧電センサ11が33モードで動作させられていることが好ましい。33モードのセンサは、圧電素子23の分極化方向に平行する方向で変形させられると、対向する表面の間に電圧差を生じさせる。
【0028】
さらに、電圧ポンプ35の動作を制御し、圧電センサ11の作動を示す出力信号を差動電位測定デバイス31から受信する制御デバイス、プロセッサ33を、図に示す。図示した実施形態では、差動電位測定デバイス31およびプロセッサ33の双方にA/D変換器が接続されて、差動電位測定デバイス31の、圧電センサ11に加えられた力を示すアナログ信号を、プロセッサ33で受信することができるようなデジタル出力信号へと変換する。
【0029】
図には差動電位測定デバイス31が1つのみ示されているが、個々の圧電センサ11それぞれに別個の差動電位測定デバイス31が接続されて、各差動電位測定デバイス31の出力が、プロセッサ33と同様に接続している1つ以上のA/D変換器に接続されていることが好ましい。例示的な一実施形態では、各圧電センサ11が、ディスプレイ17上に表示されて選択の対象となっている画像または画像の一部に対応している。その結果、選択対象である表示された画像の一部分に対応していて下には圧電センサ11が存在する、ディスプレイ17の一部分に力を加えることによって、関連する圧電センサ11の作動を示す信号がプロセッサ33へ送信されることになる。プロセッサ33が、例えば画像が保存されているメモリへアクセスするなどして、ディスプレイ17上に表示されている画像データへアクセスできるような場合、プロセッサ33は、作動された個々の圧電センサ11と、ユーザによって選択されるべき対象であるボタンなどの画像要素とを、関連付けることができる。
【0030】
プロセッサ33は、入力を受信し、入力に応じて動作を実行し、それに応えて出力を送出する能力を有する任意のデバイスまたは要素である。図示した例示的な実施形態では、プロセッサ33は、圧電センサ11の作動を示す入力を受信し、それに応えて電圧ポンプ35へ出力を送出する。さらに具体的に言えば、プロセッサ33は、力Fが圧電センサ11に加えられると、A/D変換器からデジタル入力信号を受信する。プロセッサ33は、内部に保存されているかまたはプロセッサ33と接続している外部メモリに保存されている閾値と、受信した入力信号とを比較して、圧電センサ11に加えられた力Fが圧電センサ11の作動を指し示すほど十分な大きさであるかどうかを判断することができる。
【0031】
入力信号が十分な大きさである(閾値よりも大きいか、またはこれに等しい)とみなしたら、次にプロセッサは、圧電センサ11の作動を示す触覚フィードバックを提供するように、圧電アクチュエータ13に指示する。上述のように、プロセッサ33が電圧ポンプ35に指示して、圧電アクチュエータ13で1つの「クリック」または振動を生じさせるのに十分な形態および大きさの出力電圧を、圧電アクチュエータ13に対して提供させてもよい。このようにして、プロセッサ33は、1つ以上の圧電センサ11上への加圧に応えて各々の圧電センサ11の作動を検出し、それに対する触覚フィードバックを提供するように機能する。
【0032】
図3を参照すると、モバイル装置またはモバイル局300における本発明の実装の例示的な実施形態の図が示されている。好適な一実施形態では、モバイル装置300は、モバイル電話である。モバイル装置300は、プロセッサ33から形成されている。プロセッサ33は、ディスプレイ17、圧電センサ11、圧電アクチュエータ13、およびメモリ39と接続しており、メモリ上には、閾値など、プロセッサ33の必要とするデータが保存されている。
【0033】
一般に、モバイル装置300の多様な実施形態には、セルラ電話、携帯用電子デバイス、無線通信能力を有するパーソナル・デジタル・アシスタント(PDAs:personal digital assistants)、無線通信能力を有する携帯用コンピュータ、無線通信能力を有するデジタル・カメラなどの画像取り込み用デバイス、無線通信能力を有するゲーム・デバイス、無線通信能力を有する音楽保存および再生用機器、無線インターネット接続およびブラウジングを可能にするインターネット機器のほか、上述のような機能の組み合わせを内蔵した携帯用ユニットまたは端末を含めることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
圧電センサ11の作動の判断と、それに続く、圧電アクチュエータ13の動作を介した触覚的応答の提供とを含む本発明の実施形態は、プロセッサ33など、モバイル装置300のデータ・プロセッサによって実行可能なコンピュータ・ソフトウェアによって実現されてもよいし、またはハードウェアによって、あるいはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0035】
メモリ39は、ローカルの技術環境に適切ないかなるタイプのものであってもよく、半導体ベースのメモリ・デバイス、磁気メモリ・デバイスおよびシステム、光メモリ・デバイスおよびシステム、固定メモリおよび取り外し可能メモリなど、あらゆる適切なデータ記憶装置技術を用いて実現することができる。データ・プロセッサ33は、ローカルの技術環境に適切ないかなるタイプのものであってもよく、1つ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DPSs:digital signal processors)およびマルチコア・プロセッサ・アーキテクチャに基づいたプロセッサなどが、限定されない例として挙げられる。
【0036】
一般に、ディスプレイ17、圧電センサ11、および圧電アクチュエータ13を制御することなどの多様な実施形態を、ハードウェア、または専用回路、ソフトウェア、論理あるいはこれらの任意の組み合わせにおいて、実現するとよい。例えば、一部の態様はハードウェア内で実現されるとよく、一方、別の態様は、コントローラ、マイクロプロセッサもしくは他のコンピュータ・デバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェア内に実現されるとよいが、本発明はそれらに限定されるものではない。本発明の多様な態様について、ブロック図または他の何らかの図形的表現を使用して図示および説明することができるが、当然のことながら、本明細書に記載されているこれらのブロック、装置、システム、技術または方法は、限定されない用例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路もしくは論理、汎用ハードウェアもしくはコントローラまたは他のコンピュータ・デバイス、あるいはこれらの何らかの組み合わせの中で実現されるとよい。
【0037】
本発明の或る特定の実施形態を、集積回路モジュールなど多様なコンポーネントの中で実施してもよい。集積回路の設計は、概して高度に自動化されている工程である。論理レベルの設計を、半導体基板上にそのままエッチングおよび形成できるような半導体回路設計へと変換するための、複雑かつ強力なソフトウェア・ツールが利用可能となっている。
【0038】
カリフォルニア州マウンテン・ビュー(Mountain View)のシノプシス社(Synopsys,Inc.)、およびカリフォルニア州サン・ノゼ(San Jose)のケイデンス・デザイン社(Cadence Design)から提供されているようなプログラムでは、確立した設計ルールのほか、事前に保存した設計モジュールのライブラリを使用して、半導体チップ上の半導体ルーティングおよびコンポーネント設置を自動的に行う。半導体回路の設計が完成したら、標準化された電子形式(例えば、Opus、GDSIIまたは同様のもの)で得られた設計は、半導体製造施設すなわち「fab」へ、製造のために送られれることができる。
【0039】
特定の実施形態に照らして説明されてはいるが、当業者には当然のことながら、上記の教示には多数の修正および多様な変更の生じる可能性がある。故に、1つ以上の例示的な実施形態に関連して本発明を詳細に示し説明してきたが、その一方で、当業者には明らかなように、上記のような本発明の範囲および精神から、あるいは請求項の範囲から逸脱することなく、本発明における何らかの修正または変更が行われることがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電性材料からなる圧電素子を含むデバイスであって、
前記圧電素子は、
圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータに接続された少なくとも1つの圧電センサと、
を含み、前記圧電アクチュエータと前記少なくとも1つの圧電センサとが共通の素子を含む、デバイス。
【請求項2】
前記共通の素子が電極を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記圧電素子が略矩形の広がりを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの圧電センサが前記圧電アクチュエータの周囲に近接して設けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記圧電センサのうちの少なくとも1つが前記圧電アクチュエータの複数の角のうちの1つに設けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの圧電センサと前記圧電アクチュエータとが同一平面上にある、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記圧電性材料がバイモルフ型圧電性材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記バイモルフ型圧電性材料が並列圧電性材料を含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記圧電性材料が約0.3mmから0.7mmまでの厚みを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
センサ/アクチュエータ・デバイスと、ディスプレイと、プロセッサとを備えるモバイル装置であって、
前記センサ/アクチュエータ・デバイスは、第1面および第2面を有すると共に、圧電性材料からなる圧電素子を有し、該圧電素子は、圧電アクチュエータと、該圧電アクチュエータに接続された少なくとも1つの圧電センサとを備え、前記圧電アクチュエータと前記少なくとも1つの圧電センサとが共通の素子を含み、
前記ディスプレイは第1面および第2面を有し、該第1面は、前記センサ/アクチュエータ・デバイスの前記第1面の反対側に配され、
前記プロセッサは、前記圧電アクチュエータおよび前記少なくとも1つの圧電センサに組み合わされる、
モバイル装置。
【請求項11】
前記共通の素子が電極を含む、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項12】
前記センサ/アクチュエータ・デバイスおよび前記ディスプレイの各々が、略矩形の広がりを含む、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの圧電センサと前記プロセッサとに接続された差動電位測定デバイスを含む、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項14】
前記圧電アクチュエータと前記プロセッサとに接続された電圧ポンプを含む、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項15】
前記プロセッサに接続されて閾値を保存しているメモリを含む、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの圧電センサが、前記圧電アクチュエータの周囲に設けられている、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの圧電センサの各々が、前記センサ/アクチュエータ・デバイスの複数の角のうちの1つに設けられている、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの圧電センサと前記圧電アクチュエータとが、同一平面上にある、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項19】
前記圧電性材料が、バイモルフ型圧電性材料を含む、請求項10に記載のモバイル装置。
【請求項20】
前記バイモルフ型圧電性材料が、並列圧電性材料を含む、請求項19に記載のモバイル装置。
【請求項21】
第1面および第2面を有するセンサ/アクチュエータ・デバイスを準備することであって、前記センサ/アクチュエータ・デバイスは、
圧電性材料を含んだ圧電素子を含み、前記圧電素子は、
圧電アクチュエータと
前記圧電アクチュエータに接続された少なくとも1つの圧電センサと、
を含み、前記圧電アクチュエータと前記少なくとも1つの圧電センサとが共通の素子を含む、前記準備することと、
第1面および第2面を有するディスプレイを準備することであって、前記ディスプレイの前記第1面は、前記センサ/アクチュエータ・デバイスの前記第1面の反対側に設けられている、前記準備することと、
前記ディスプレイに加えられた力に応えて、前記少なくとも1つの圧電センサの作動を検知することと、
前記圧電センサの前記作動に応えて、触覚フィードバックを提供するように前記圧電アクチュエータを動作させることと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記センサ/アクチュエータ・デバイスおよび前記ディスプレイの各々が、略矩形の広がりを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記検知することが、前記少なくとも1つの圧電センサの差動電位を測定することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記測定することが、差動電位測定デバイスを利用することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記検知することが、前記差動電位と閾値とを比較することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記動作させることが、前記アクチュエータに電圧を印加することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記動作させることが、前記アクチュエータに複数の電圧を印加することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
第1面および第2面を有するセンサ/アクチュエータ・デバイスと、第1面および第2面を有するディスプレイとを備える装置であって、
前記センサ/アクチュエータ・デバイスは、圧電性材料からなる圧電素子を備え、前記圧電素子は、圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータに接続された少なくとも1つの圧電センサとを有し、前記圧電アクチュエータと前記少なくとも1つの圧電センサとが共通の素子を含み、
前記ディスプレイの前記第1面は、前記センサ/アクチュエータ・デバイスの前記第1面の反対側に配され、
さらに前記装置は、
前記ディスプレイに加えられた力に応えて、前記少なくとも1つの圧電センサの作動を検知する手段と、
前記圧電センサの前記作動に応えて、触覚フィードバックを提供するように前記圧電アクチュエータを動作させる手段と、
を備える、装置。
【請求項29】
前記センサ/アクチュエータ・デバイスおよび前記ディスプレイの各々が、略矩形の広がりを含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記共通の素子が、電極を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記検知する手段が、メモリに接続されたプロセッサおよび差動電位測定デバイスを含み、前記差動電位測定デバイスは前記少なくとも1つの圧電センサに接続されている、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記動作させる手段が、前記圧電アクチュエータとプロセッサとに接続された電圧ポンプを含む、請求項28に記載の装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−515351(P2009−515351A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539525(P2008−539525)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003139
【国際公開番号】WO2007/054781
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】