説明

ロフルミラストを含有する矯味された剤形

ロフルミラストの経口投与用の矯味された剤形が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品工学の分野に関し、かつ喘息又は気道閉塞のような疾病を治療するための有効成分としてロフルミラストの経口投与用の矯味された粒子及び剤形を記載している。更に本発明は、該粒子及び剤形の製造方法に関する。
【0002】
従来技術
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(特に4型)は、炎症性疾患、特に気道の炎症、例えば喘息又は気道閉塞(例えばCOPD=慢性閉塞性肺疾患)の治療のための新世代の有効成分として最近では特に関心が持たれている。幾つかのPDE4インヒビター、とりわけ化合物N−(3,5−ジクロロピリジ−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロ−メトキシベンザミド(INN:ロフルミラスト)は、最近では、上級の臨床試験が行われている。
【0003】
WO03/070279号は、溶解度が僅かなPDE4インヒビターの経口投与のための、バインダーとしてPVPを含有する剤形に関する。とりわけPDE4インヒビターのN−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアミド(INN:ロフルミラスト)は、剤形と関連して挙げられている。
【0004】
錠剤を嚥下できない小児患者又は老人患者のために、代替投与形、例えば液状懸濁液、経口顆粒製剤又は口腔内崩壊性投与形が、ロフルミラストの投与に望ましい。しかしながら、ロフルミラストは、口腔内にさらされると、不快な味覚もしくはしびれ感覚が存在することが観察されている。一定の医薬有効成分(薬剤)の不快な又は粗悪な味覚を克服することは、製剤科学者にとっての継続的な挑戦である。味覚の悪い薬剤物質及び医薬品の味覚をマスクするための通常使用される方法は、ポリマー皮膜による被覆であり、それにより医薬有効成分と舌又は口腔との接触が回避される。係る被覆は、例えば錠剤、ペレット剤、顆粒剤及び薬剤結晶で行うことができる。係る被覆を行うために通常適用される方法は、従来のパン(主に錠剤のために)における又は流動床法におけるものである。流動床中で適切な被覆を保証するために、該被覆法は、一般にいわゆるバースター管(Wurster tube)を使用することによって行われる。薬剤含有ペレット剤の場合に、多段階製造方法が必要である。薬剤含有ペレット剤は、押出法によって又は薬剤物質を、例えばセルロース又はサッカロースからなる出発ペレットコア上に成層させることによって製造することができる。後者の方法については、薬剤物質の溶液又は懸濁液を、出発ペレット上に噴霧する。第二の方法工程において、被覆層を、矯味のために適用する。これは通常はまた、バースター管を用いることによって流動床プロセスにおいても行われる。ペレット剤の被覆と同様にして、薬剤結晶、錠剤又は顆粒剤を被覆することができる。
【0005】
WO2005/013944号は、複数の製剤学的に認容性のコア、例えば微小球を有する風味付けされ矯味された医薬組成物であって、前記製剤学的に認容性のコアが、エトリコキシブを含有し、その際、該製剤学的に認容性のコアが、風味付けされ矯味する被覆溶液で一工程被覆法においてひふくされている医薬組成物に関する。しかしながら、WO2005/013944号に記載される方法は、第一工程でエトリコキシブ含有コアの準備を必要とし、それが次いで一工程被覆法において矯味する被覆溶液又は分散液で被覆される。
【0006】
WO02/45693号は、有効成分のための新規調剤を開示しており、前記有効成分は、脂肪アルコール、トリグリセリド、部分グリセリド及び脂肪酸エステルのグループから選択される1種又は数種の賦形剤を有する賦形剤マトリクス中に主に均一に分散されている。不快な味覚を有する、例えば投与後に口内で局所的な麻酔作用を示す有効成分の場合に、本発明の調剤によって、該有効成分の不快な味覚をマスクすることができ、口内での麻酔作用を回避できることが確認された。ロフルミラストは、実施例17〜24及び33において有効成分として挙げられる。
【0007】
従って、本発明の目的は、効果的な矯味性を提供し、かつ多段階製造法を避けて製造できる、ロフルミラストを含有する矯味された医薬組成物を提供することである。
【0008】
発明の開示
驚くべきことに、ロフルミラストの不快な味覚は、好適な担体と、該担体を包囲する好適な被覆ポリマーを含有する被覆層と、ロフルミラストと、場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤とを含有する被覆された粒子を基礎とする医薬品剤形でロフルミラストを提供することによって効果的にマスクできることが判明した。本発明による被覆された粒子は、有利には、一工程法で製造することができる。
【0009】
従って、本発明は、好適な担体と、該担体を包囲する好適な被覆ポリマーを含有する被覆層と、場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤と、ロフルミラスト、ロフルミラストの製剤学的に認容性の塩、それらの溶媒和物又はそれらの生理学的に機能的な誘導体及びそれらの混合物の群から選択される有効成分とを含有する被覆された粒子に関する。
【0010】
ロフルミラストは、式I
【化1】

[式中、
R1は、ジフルオロメトキシであり、
R2は、シクロプロピルメトキシであり、かつ
R3は、3,5−ジクロロピリジ−4−イルである]で示される化合物についてのINNである。
【0011】
前記化合物は、化学名N−(3,5−ジクロロピリジ−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロ−メトキシベンザミド(INN:ロフルミラスト)を有する。"生理学的に機能的な誘導体"という用語は、ロフルミラストと同じ生理学的機能を有するロフルミラストの化学的誘導体を意味し、例えば生体内でロフルミラストに変換可能であるか、又はロフルミラストの活性代謝産物である。本発明の関連で挙げることができるロフルミラストの生理学的に機能的な誘導体は、例えばロフルミラストのN−オキシド及びその塩及び溶媒和物である。ロフルミラストのN−オキシドは、化学名3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−N−(3,5−ジクロロピリジ−4−イル 1−オキシド)ベンザミドを有する。式Iの化合物、その塩、そのN−オキシド、その塩及びこれらの化合物のホスホジエステラーゼ(PDE)4インヒビターとしての使用は、国際特許出願WO95/01338号に記載されている。
【0012】
ロフルミラスト、ロフルミラストの製剤学的に認容性の塩、それらの溶媒和物又はそれらの生理学的に機能的な誘導体及びそれらの混合物を、以下に有効成分とも呼称する。
【0013】
式Iの化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩であるが、特に塩基との全ての塩である。薬学において慣用に使用される無機酸及び有機酸並びに無機塩基及び有機塩基の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。例えば本発明の化合物を工業的規模で製造するための方法の初期生成物でありうる薬理学的に非認容性の塩は、当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。これらの好適なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水溶性及び水不溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製のために(酸が一塩基酸又は多塩基酸のどちらであるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0014】
他方で塩基との塩も特に適当である。挙げることができる塩基性塩の例は、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、チタン塩、アンモニウム塩、メグルミン塩又はグアニジニウム塩であり、同様に、前記塩は、塩調製に等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0015】
本発明による被覆された粒子は、有利には、2mm以下、好ましくは1mm以下の平均粒度を有する。特に、400μm以下の平均粒度を有することが好ましく、それはこの粒度の被覆された粒子が、患者の口腔内で良好な舌触りを提供するためである。係る小さな粒度を提供することによって、ザラザラ感や砂のような舌触りを避けることができる。好ましい一実施態様においては、本発明による被覆された粒子は、100〜400μmの範囲の平均粒度を有する。
【0016】
本発明による被覆された粒子は、好適な担体を含有し、それは被覆層によって包囲されている。挙げることができる本発明による好適な担体は、有利には、製剤工学で通常担体としてしようされている不活性の賦形剤を基礎とする。有利に挙げられる賦形剤は、マンニトール、サッカロース、ラクトース(例えばラクトース一水和物)、グルコース、エリスリトール、キシリトール、セルロース、微結晶性セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及びそれらの混合物の群から選択される。本発明による担体は、前記の賦形剤又はそれらの混合物から構成される好適なサイズの粉末、顆粒、小ビーズ、粒子、ペレット、開始ペレット、ノンパレイユを基礎とすることができる。該被覆された粒子の規定の形状(例えば丸い形状)が望ましい場合に、規定の形状及びサイズの担体、例えば微結晶性セルロース又はサッカロースからなる出発ペレット(ノンパレイユ)を使用することが好ましい。担体は、また前記の賦形剤の(予備)造粒によって得ることができ、そうして好適なサイズの担体が提供される。
【0017】
本発明による一実施態様において、担体は、微結晶セルロース、ラクトース一水和物及びクロスカルメロースナトリウムから構成される。
【0018】
粉末、顆粒、小ビーズ、粒子又はペレットを基礎とする担体は、有利には、2mm以下、好ましくは1mm以下の平均粒度を有する。特に、400μm以下の粒度を有することが好ましい。好ましい一実施態様においては、本発明による担体は、被覆層で成層された後に、100〜400μmの範囲の平均粒度を有する被覆された粒子となる好適な粒度を有する。
【0019】
本発明による粒子中の担体を包囲する被覆層を形成するための好適なポリマーは、水溶性又は水不溶性の被覆ポリマー又はその混合物から構成されていてよい。本発明の関連で挙げることができるポリマーは、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース系ポリマー、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アクリル酸ポリマー、例えばアクリレートアンモニウムメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RL100又はRS100又はEudragit(登録商標)RL30D又はRS30D)、エチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)NE30D)又はメタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)L100−55又はEudragit(登録商標)L30D、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO)、デンプンポリマー、キトサン及びそれらの混合物の群から選択される。
【0020】
好ましい一実施態様においては、該被覆ポリマーは、水溶性ポリマーの群から選択され、有利にはデンプンポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロール(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン、キトサン、メタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)L100又はEudragit(登録商標)L100−55又はEudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO)及びそれらの混合物の群から選択される。pH依存性の水溶性を示すポリマーが特に好ましい。ジメチルアミノエチルメタクリレートと中性のメタクリル酸エステルを基礎とするEudragit(登録商標)EPO(塩基性のブチル化されたメタクリレートコポリマー、Ph.Eur.)(またポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)1:2:1とも呼称される)が特に好ましい(Product specification Rohm,Pharma polymers and Handbook of Pharmaceutical Excipients, fourth edition,American Pharmaceutical Associationを参照のこと)。このポリマーは、膨潤性であり、かつpH5より上では浸透性であり、かつpH5未満では可溶性である。これらの特性のため、前記ポリマーは、口内で矯味作用をもたらし、胃の中の酸性条件下でロフルミラストの放出をもたらす。
【0021】
使用されるポリマーに依存して、該有効成分は、被覆層中で包囲された形で存在するか、又は溶解される、有利には均質に懸濁又は均質に溶解される。有効成分が懸濁された形で存在する場合に、有効成分は、0.1〜100μmの範囲の平均粒度を有する粒子の形で存在する。1〜10μmの範囲の平均粒度を有する有効成分の粒子は、例えばより大きい粒度の有効成分の微細化(空気ジェットによる粉砕)又は好適な結晶化法によって得ることができる。
【0022】
本発明によれば、有効成分は、有利には担体を包囲する被覆層のポリマー内に埋封される。被覆層内での有効成分の埋封がなされ、それが矯味作用をもたらす。従って、担体を完全に又は連続的に包囲する被覆層を有する必要はない。好適な担体と該担体を包囲する被覆層とを有する本発明による被覆された粒子は、必然的に、矯味作用を得るために連続的な又は完全な被覆層を必要としない。場合により、更なる製剤学的に認容性の賦形剤は、本発明による被覆粒子の被覆層中に存在してよい。この関連で挙げることができる賦形剤は、浸透剤、可塑剤、湿潤剤及び界面活性剤、粘着防止剤、風味付け剤、着色剤及びそれらの混合物の群から選択される。
【0023】
挙げることができる浸透剤は、マンニトール、ラクトース、水溶性ポリマー、例えばPVP、HPMC、HPC及びポリエチレングリコールである。
【0024】
挙げることができる可塑剤は、トリエチルシトレート、トリアセチン、ステアリン酸、ジブチルセバケート、ジブチルフタレート、グリセロールモノステアレート及びポリエチレングリコールである。
【0025】
挙げることができる湿潤剤及び界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベートである。
【0026】
挙げることができる粘着防止剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、グリセロールモノステアレート、カオリン及びSyloid(商標)である。
【0027】
挙げることができる着色剤は、酸化鉄である。
【0028】
本発明による好ましい被覆された粒子は、Eudragit(登録商標)EPO、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ロフルミラスト、ロフルミラストの製剤学的に認容性の塩、それらの溶媒和物又はそれらの生理学的に機能的な誘導体及びそれらの混合物を含有する被覆層を有する。
【0029】
被覆された粒子の質量に対して、担体の質量に対する量は、50〜95%、有利には70〜95%の範囲にある。
【0030】
被覆された粒子の質量に対して、ポリマー被覆の質量に対する量(ポリマーと全ての他の賦形剤を含み、有効成分を除いて)は、3〜20%の範囲にある。
【0031】
被覆された粒子の質量に対して、有効成分の質量に対する量は、0.1〜2%、有利には0.2〜0.8%の範囲にある。
【0032】
矯味作用効果は、有効成分とポリマー被覆との質量に対する比率(ポリマーと他の賦形剤を含む)を変更することによって調整することができる。通常は、その比率は、1:5〜1:40、有利には1:10〜1:25の範囲にある。
【0033】
本発明による被覆された粒子は、付加的に、更なる被覆層、有利には水溶性ポリマーと、粒子の水中での湿潤性及び分散性を改善するための付加的な賦形剤とを基礎とする第二の外側被覆層(オーバーコーティング)を有してよい。係るオーバーコーティングのために使用することができる好適な水溶性ポリマーは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及びそれらの混合物である。
【0034】
オーバーコーティングされた粒子の質量に対して、オーバーコーティングの質量に対する量は、0.2〜2%の範囲にある。
【0035】
本発明による被覆された粒子は、通常の技術によって製造することができる。このために、有効成分を、他の好適な賦形剤を含有してよい被覆ポリマーの溶液又は分散液中に懸濁又は溶解させる。ポリマーの溶液又は分散液は、水系又は有機系であってよい。水性のポリマーの溶液又は分散液が好ましい。該ポリマーの溶液又は分散液は、製剤技術の分野の当業者に公知のように製造することができる。該有効成分は、ポリマーの溶液又は分散液内に分散又は溶解される。必要であれば、これは、撹拌によって又はターボ乳化機を使用することによって行ってよい。次いで、前記の溶液/分散液を、担体上に、例えば流動床プロセスの適用によって、バースター管を用いる慣用のボトムスプレイ技術又はトップスプレイ技術によって噴霧してよい。このプロセスは、粉末形又は顆粒形の賦形剤を基礎とする担体を使用する場合に特に好ましい。粒子の丸い形状が望ましい場合に(例えば良好な舌触り又は良好な流動性を得るために)、セルロース又はサッカロースからなる出発ペレットを、粉末ブレンド又は造粒物の代わりに担体として使用することができる。ポリマー内にロフルミラストが埋封されるため、不快な味覚の遮蔽は、連続的なポリマー被膜を必要とすることなく効果的に達成される。
【0036】
場合により、第二の外側ポリマー被覆を、被覆された粒子上に、前記と同様の方法によって適用してよい。次いで、ポリマーの溶液/分散液を、被覆された粒子上に、例えば流動床プロセスの適用によって、バースター管を用いる慣用のボトムスプレイ技術又はトップスプレイ技術によって噴霧してよい。
【0037】
本願に記載される方法の利点は、矯味作用を達成するために多段階法を必要とせず、矯味された被覆された粒子を、単一方法工程によって製造できることである。
【0038】
従って、本発明の更なる対象は、本発明による被覆された粒子の製造方法において、以下の工程:
(a)有効成分を被覆ポリマーの溶液又は分散液中に入れた、場合により他の好適な賦形剤を含有する懸濁液又は溶液を提供する工程
(b)工程(a)の溶液又は分散液を担体上に噴霧して、被覆された粒子を得る工程;及び
(c)場合により、ポリマーの溶液又は分散液を、該被覆された粒子上にオーバーコーティングとして噴霧する工程
を含む方法である。
【0039】
次いで、本発明の被覆された粒子を、本発明の剤形を製造するための基礎として使用することができる。本発明による被覆された粒子を圧縮して錠剤、例えば口内で迅速に崩壊するか、又は一杯の水中に迅速に分散する錠剤(口腔内崩壊性剤形)とすることができる。選択的に、該被覆された粒子を、好適な賦形剤と混合してよく、それにより経口投与用の粉末又は経口投与用の懸濁液の製造用の粉末が得られる。これらの製剤は、単一用量パッケージに適用することができる。これらは、適用のために口内に直接注ぐか、又は適用前に水中に分散させることができる。治療期間前に粉末から懸濁液を調製することも可能である。この場合に、該懸濁液は、例えば2週間の治療期間にわたって貯蔵することができる。
【0040】
本発明の関連の口腔内分散性剤形は口腔内に入ったときに嚥下前に迅速に分散する剤形として解されるべきである。口腔内での崩壊後に、錠剤成分が嚥下され、そして薬剤物質は胃腸管で吸収される。一実施態様においては、従って、本発明による剤形は、本発明による被覆された粒子の形の有効成分の有効量と一緒に、剤形の経口摂取に際して剤形の口腔内での迅速な崩壊をもたらす賦形剤と、適宜、更なる賦形剤とを含有する口腔分散性の錠剤の形の即時崩壊剤形である。前記剤形は、有利に水(37℃で)中で、3分、2分又は1分の最大崩壊時間を有する。前記錠剤のこの崩壊時間は、有利に欧州薬局方第4版による薬局方中に開示された標準方法に従って決定することができる。挙げることができる更なる賦形剤の例は、充填剤、担体、崩壊剤、結合剤、発泡系、滑沢剤、着色剤、甘味料、芳香剤、風味付け剤、pH調整剤及び界面活性物質である。本発明による口腔内崩壊性の錠剤に関連して適した充填剤又は担体は、特に、充填剤、例えばケイ酸カルシウム(Rxipients(登録商標))、糖アルコール、例えばマンニトール(例えばPearlitol(登録商標)又はParteck(登録商標)、メルク社(ドイツ))、ソルビトール(例えばKarion(登録商標))、キシリトール、エリスリトール(例えばエリスリトールDC、セレスター社(ベルギー))又はマンニトール、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン及びコムギデンプン、微結晶性セルロース、サッカライド、例えばグルコース、ラクトース、スクロース及びデキストロース、補助加工された充填剤、例えばPharmabursi(登録商標)、SPI Pharma社(米国)、Starlac(商標)、Meggle社(ドイツ))である。
【0041】
本発明による錠剤中の充填剤の含有量(仕上がった剤形に対する質量パーセント)は、有利に1〜99質量%である。充填剤の含有量は、有利に30〜95質量%、及びこの含有量は特に有利に40〜80質量%である。
【0042】
適宜、崩壊剤を添加してよい。本発明による適当な崩壊剤は、特に不溶性ポリビニルピロリドン(不溶性PVP、クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、崩壊機能を満たすことができるデンプン(例えばStarch 1500)である。
【0043】
本発明による口腔内崩壊性の即時崩壊性の錠剤中の崩壊剤の含量(本発明による錠剤に対する質量パーセント)は、通常では0.5〜30質量%であってよい。この崩壊剤の含有量は、有利に1〜15質量%である。この崩壊剤の含有量は、特に有利に1〜5質量%である。
【0044】
挙げることができる適当な滑剤は、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク及びコロイドシリカ(エアロシル)である。
【0045】
本発明による即時崩壊性の口腔内崩壊性の錠剤中の滑沢剤の含有量(仕上がった剤形に対する質量パーセント)は、通常では0.1〜5質量%である。この滑剤の含有量は、有利に0.2〜3質量%である。この崩壊剤の含有量は、特に有利に0.5〜2質量%である。
【0046】
本発明による有利な結合剤は、ポリビニルピロリドン(PVP、Polyvidon(登録商標)K25、Polyvidon(登録商標)K90)又はPVPとポリ酢酸ビニル(例えば、Kollidon(登録商標)64)、ゼラチン、コーンスターチペースト、予備膨潤させたデンプン(Starch(登録商標)1500、Uni−Pure(登録商標)WG220)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)又はヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)である。
【0047】
結合剤の含有量(本発明による錠剤に対する質量パーセント)は、10質量%までであることができ、かつ有利に5質量%までであることができる。
【0048】
挙げることができる適当な表面活性物質は、ラウリル硫酸ナトリウム、又はTween(登録商標)20、Tween(登録商標)60又はTween(登録商標)である。
【0049】
所望の場合に、1種又は数種の矯味剤及び甘味料が本発明による剤形中に存在することもできる。これは、この場合、例えば味覚の改善を達成することができる。このような物質は通常の量で添加される。
【0050】
本発明の好ましい一実施態様においては、本発明の口腔内崩壊性の剤形は、有効成分の被覆された粒子と、少なくとも1種の充填剤、有利にはマンニトールを基礎とする充填剤と、場合により崩壊剤、滑沢剤、甘味料及び風味付け剤とを含有する。
【0051】
該口腔内崩壊性の錠剤は、当業者に公知の方法によって製造できる。即時崩壊性の錠剤は、有利には
i)充填剤及び/又は崩壊剤を乾式混合すること、
ii)充填剤及び結合剤の顆粒を製造し、該顆粒と崩壊剤とを混合すること、又は
iii)1種以上の賦形剤成分を乾式造粒(ブリケティング又は圧縮)すること
によって製造される。
【0052】
被覆された粒子を、引き続きi)、ii)又はiii)で得られた混合物に混合し、そして次いで所望であれば、フレーバー/風味付け物質と、最後にまた1種以上の滑沢剤を混合する。こうして得られた混合物を、慣用の条件下で錠剤プレス中で圧縮することができる。
【0053】
経口投与用の又は経口投与のための懸濁液の製造用の粉末を基礎とする剤形の場合に、好適な賦形剤は、特に懸濁液を製造するために通常使用される賦形剤である。本発明により特に適しているのは、濃化された基剤を生成できる賦形剤、例えば増粘剤である。本発明の関連での増粘剤の例は、キサンタン、置換セルロース、ポリビニルピロリドン(ポリビドン型)、層状ケイ酸塩、アルギン酸塩、アルギン酸又はそれらの混合物である。増粘剤の割合は、使用準備ができた懸濁液に意図される所望の粘度又は粘稠性に依存する。使用準備ができた懸濁液に対するキサンタンの割合は、通常は、0.1〜1質量%である。置換セルロースの割合は、セルロースの粘度水準に依存し、かつ通常は、使用準備ができた懸濁液に対して0.1〜10質量%である。本発明の挙げることができる置換セルロースの例は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースである。ポリビニルピロリドン(ポビドン型)の割合は、通常は、使用準備ができた懸濁液に対して0.1〜10質量%である。層状ケイ酸塩、例えばveegum又はベントナイト類は、単独で又は水溶性増粘剤と組み合わせて使用することができる。その際、増粘剤の全割合は、有利には、使用準備ができた懸濁液に対して0.1〜7質量%である。アルギン酸塩及びアルギン酸は、通常は、使用準備ができた懸濁液に対して0.1〜10質量%の割合で添加される。有利に使用される更なる医薬品賦形剤は、不溶性の、架橋されたポリビニルピロリドン(クロスポビドン)及び微結晶性セルロースである。この場合に、緩い堆積物が形成し、そして個々の有効成分単位の凝塊が回避されることが観察されている。微結晶性セルロース及びクロスポビドンは、通常は、使用準備ができた懸濁液に対して0.5〜5質量%の割合で使用される。
【0054】
本発明の経口投与用の粉末又は懸濁液の製造用の粉末中に存在してよい他の好適な賦形剤は、例えば風味付け物質(例えばフレーバー及び甘味料)、pH調整剤、保存剤あるいは乳化剤である。フレーバーは、通常の量で添加される。例としての他の矯味矯臭物質は、クエン酸のような酸、サッカリン、アスパルテーム、シクラメートナトリウム又はマンニトールのような甘味料であり、これらは所望の結果に応じて添加される。乳化剤の例は、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、Tweens(登録商標)又はSpanであり、それらは通常は、0.01〜1質量%の割合で添加される。保存剤、例えば安息香酸、安息香酸の塩、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸又はそれらの塩を、必要であれば添加してもよい。その割合は、使用される保存剤に依存し、かつ通常は、使用準備ができた懸濁液に対して0.1〜4質量%である。
【0055】
粒子の被覆のために使用されるポリマーに依存して(すなわちpH依存性の溶解度を有するポリマーの場合に)、投与前に懸濁液中に有効成分が放出されるのと避けるためにpH調整剤を添加する必要性がある場合がある。塩基性ポリマー、例えばEudragit EPO又はキトサンを使用する場合に、懸濁液のpHは、有利にはpH5より高い必要がある。酸性ポリマー、例えばEudragit L、酢酸フタル酸セルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが使用される場合に、懸濁液のpHは、有利には5未満である。好適なpH調整剤は、例えばクエン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、リン酸及びその塩並びに他の全ての薬理学的に認容性のpH調整剤である。
【0056】
直接的な経口投与のための粉末又は本発明の懸濁液の製造用の粉末は、当業者に公知の技術によって製造される。有利には、該被覆された粒子は、他の賦形剤とブレンドされる。単一用量パッケージが、選択された剤形である場合に、まず被覆された粒子をサッシェ中に充填し、引き続き他の賦形剤のブレンドを充填することも可能である。有利には、使用前に又は治療期間前に懸濁液を製造するための分散剤として水が使用される。
【0057】
本発明による被覆された粒子及び剤形を、以下に例として記載する:以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。
【0058】
実施例
1. 被覆された顆粒
1.1 造粒懸濁液の製造
1.51gのドデシル硫酸ナトリウムを、125.87gの水中に撹拌しつつ溶解させた。5分間の撹拌後に、15.08gのEudragit(登録商標)EPOを懸濁させた。更に10分後に、2.26gのステアリン酸を添加し、そして該懸濁液を少なくとも5分間撹拌した。5.28gのステアリン酸マグネシウムを添加し、そして撹拌しつつ懸濁させた。最後に、2.23gの微細化されたロフルミラストを懸濁させた。
【0059】
1.2 被覆された顆粒の製造
94.5gの微結晶性セルロース、94.5gのラクトース一水和物及び10.5gのクロスカルメロースナトリウムを、流動床造粒機中で混合した。59.62gの1.1で製造された懸濁液を、粉末ブレンドに噴霧した。典型的な方法では、流動化された粉末の温度は、25〜35℃の範囲である。該製剤は、ロフルミラスト製剤に口腔がさらされても通常観察されるしびれ感覚を回避する。
【0060】
1.3 造粒懸濁液の製造及び造粒
3.02gのドデシル硫酸ナトリウムを、251.74gの水中に撹拌しつつ溶解させた。5分間の撹拌後に、30.17gのEudragit EPOを懸濁させた。更に10分後に、4.52gのステアリン酸を添加し、そして該懸濁液を少なくとも5分間撹拌した。10.56gのステアリン酸マグネシウムを添加し、そして撹拌しつつ懸濁させた。最後に、2.23gの微細化されたロフルミラストを懸濁させた。119.24gの該懸濁液を、94.5gの微結晶性セルロースと、94.5gのラクトース一水和物と、10.5gのクロスカルメロースナトリウムとから構成される粉末ブレンド上に流動床装置中で噴霧した。
【0061】
1.4 造粒懸濁液の製造及び造粒
10gのタルクを、36.65gの水中に撹拌しつつ分散させた。33.33gのEudragit NE30D分散液を添加し、かつ混合した。最後に、2.20gの微細化されたロフルミラストを添加した。94.5gの微結晶性セルロース、94.5gのラクトース一水和物及び10.5gのクロスカルメロースナトリウムを、流動床造粒機中で混合した。59.62gの該懸濁液を、粉末ブレンドに噴霧した。
【0062】
2. 被覆されたペレット
2.1 ペレットの製造
118gの1.1で製造された懸濁液を、セルロース(Cellets(商標))からなる市販のペレット190g上に、流動床プロセスで噴霧した。ペレットのサイズは、100〜200μmの範囲にあり、噴霧プロセスの間に大きな変化はなかった。該製剤は、ロフルミラスト製剤に口腔がさらされても通常観察されるしびれ感覚を回避する。
【0063】
2.2. 付加的なオーバーコーティングを有するペレットの製造
1.2gのHPMC 15cpを、46.35gの水中に溶解させた。19.8gの溶液を、2.1により製造された被覆されたペレット39.1g上に噴霧した。オーバーコーティングを有する該ペレットは、浮遊せずに水中に容易に分散させることができる。
【0064】
3. 溶解試験
溶解試験を、2.1で製造されたペレットで実施した。溶解条件は、以下のとおりである:
装置: USPパドル
媒体: リン酸緩衝液(pH6.8)+SDS、1000ml、37℃
回転速度: 50rpm
以下のロフルミラストの量が溶解された:
5分 2.3%
15分 8.7%
60分 35.0%
同じ溶解試験を、酸性条件(0.1NのHCl+0.1%のSDS)下で実施した場合に、完全な溶解は、30分後に得られた。
【0065】
これらのデータは、提案された製造方法によって、口腔内で矯味性が得られることを裏付けている。それというのも溶解が中性条件下では低いからである。
【0066】
4. 剤形の製造
4.1 口腔内崩壊性の錠剤の製造
1.3による造粒物60gを、234gのPharmaburst(商標)と、0.45gのアスパルテームと、0.45gのアセスルファムカリウムと、0.6gのフレーバーとブレンドする。最後に、4.5gのステアリン酸マグネシウムを添加した。そのブレンドを圧縮して錠剤とする。崩壊時間は、2分未満であった。
【0067】
4.2. 経口懸濁液の製造用の粉末の製造
3gのキサンタンと、12gのクロスポビドンと、55gのサッカロースと、29.2gのマンニトールと、0.3gのラウリル硫酸ナトリウムと、0.5gのフレーバーとをブレンドした。2.2で製造されたオーバーコーティングされたペレット剤6.2gを添加した。1.00gの最終ブレンドを、20mlの水中に投与前に懸濁した。
【0068】
産業上利用可能性
本発明の剤形は、PDE4インヒビターの使用を通じて治療可能又は予防可能であると見なされる全ての疾病の治療及び予防のために使用することができる。選択的環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(特にタイプ4)は、一方で気管支治療薬(拡張作用を原因とするが、その呼吸数又は呼吸力の増大作用をも原因とする気道閉塞の治療のため)として、そしてその血管拡張作用のため勃起不全の解除のために適しているが、他方では、特に疾患、特に例えば気道(喘息予防)、皮膚、中枢神経系、腸管、眼及び関節の炎症状態の治療のために適しており、これらはメディエーター、例えばヒスタミン、PAF(血小板活性因子)、アラキドン酸代謝物、例えばロイコトリエン類及びプロスタグランジン類、サイトカイン類、インターロイキン類、ケモカイン類、α−インターフェロン、β−インターフェロン及びγ−インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)又は酸素フリーラジカル及びプロテアーゼ類によって促進される。従って、本発明の医薬調剤は、ヒト医学及び獣医学において、例えば以下の疾病:種々の病因の急性及び慢性の(特に炎症性及びアレルギー誘発性の)気道疾患(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、COPD);皮膚病(特に増殖性、炎症性及びアレルギー性)、例えば乾癬(尋常性)、中毒性湿疹及びアレルギー接触性湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、肛門性器領域の痒み症、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、ろ胞性及び広範囲の膿皮症、内因性及び外因性座瘡、酒土性座瘡及び他の増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚疾患;TNF及びロイコトリエン類の過剰放出に基づく疾患、例えば関節炎型の疾患(リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎及び他の関節炎状態)、免疫系の疾患(AIDS、多発性硬化症)、ショック症状[敗血症性ショック、エンドトキシンショック、グラム陰性菌性敗血症、トキシックショック症候群及びARDS(成人呼吸窮迫症候群)]、及び胃腸領域における全身性炎症(クローン病及び潰瘍性大腸炎);上部気道(咽頭、鼻)領域及び隣接領域(副鼻腔、目)でのアレルギー性及び/又は慢性の異常免疫反応に基づく疾患、例えばアレルギー性鼻炎/アレルギー性副鼻腔炎、慢性鼻炎/慢性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、及び鼻ポリープ;さらにはPDEインヒビターによって治療することができる心臓疾患、例えば心不全、又はPDEインヒビターの組織弛緩作用により治療することができる疾患、例えば、勃起機能不全又は腎臓結石に関連する腎臓および尿管の疝痛;あるいはCNSの疾患、例えば鬱病又は動脈硬化性痴呆の治療及び予防のために使用することができる。
【0069】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。該方法は、治療学的に有効かつ薬理学的に適した量のロフルミラストを哺乳動物患者に投与することを特徴とし、その際、ロフルミラストは、本発明の剤形で存在する。疾病は、有利には喘息又は気道閉塞、特にCOPD(=慢性閉塞性肺疾患)である。
【0070】
本発明の剤形は、該有効成分を、前記特定の疾病の治療に慣用の用量で含有する。有効成分の用量は、PDEインヒビターに慣用のオーダーであり、その際、日用量を1つ以上の服用単位で投与することが可能である。全身治療(経口)での通常の用量は、1kgと1日とにつき0.001mg〜3mgである。本発明による好ましい剤形は、投与単位当たり、0.01mg〜5mgのロフルミラスト、有利には0.05mg〜2.5mgのロフルミラスト、特に有利には0.1mg〜0.5mgのロフルミラストを含有する。本発明の剤形の例は、投与単位当たりに、0.1mg、0.125mg、0.25mg、そして0.5mgのロフルミラストを含有する。通常は、1つ又はそれより多い本発明の服用単位を一日一回で投与する。所望であれば、1つ又はそれより多い本発明の服用単位を一日一回より多く投与することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好適な担体と、該担体を包囲する好適な被覆ポリマーを含有する被覆層と、場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤と、ロフルミラスト、ロフルミラストの製剤学的に認容性の塩、それらの溶媒和物又はそれらの生理学的に機能的な誘導体及びそれらの混合物の群から選択される有効成分とを含有する被覆された粒子。
【請求項2】
請求項1記載の被覆された粒子であって、有効成分がロフルミラストである被覆された粒子。
【請求項3】
請求項1記載の被覆された粒子であって、2mm以下の平均粒度又は1mm以下の平均粒度を有する被覆された粒子。
【請求項4】
請求項3記載の被覆された粒子であって、100〜400μmの範囲の平均粒度を有する被覆された粒子。
【請求項5】
請求項1記載の被覆された粒子であって、担体が、マンニトール、サッカロース、ラクトース(例えばラクトース一水和物)、グルコース、エリスリトール、キシリトール、セルロース、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及びそれらの混合物の群から選択される賦形剤を基礎とする被覆された粒子。
【請求項6】
請求項5記載の被覆された粒子であって、担体が、粉末、顆粒、小ビーズ、粒子、ペレット、出発ペレット又はノンパレイユの形態である被覆された粒子。
【請求項7】
請求項1記載の被覆された粒子であって、被覆ポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース系ポリマー、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アクリル酸ポリマー、例えばアクリレートアンモニウムメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RL100又はRS100又はEudragit(登録商標)RL30D又はRS30D)、エチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)NE30D)又はメタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)L100−55又はEudragit(登録商標)L30D、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO)、デンプンポリマー、キトサン及びそれらの混合物の群から選択される被覆された粒子。
【請求項8】
請求項1記載の被覆された粒子であって、被覆ポリマーが、水溶性ポリマーである被覆された粒子。
【請求項9】
請求項8記載の被覆された粒子であって、被覆ポリマーが、デンプンポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロール(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン、キトサン、メタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)L100又はEudragit(登録商標)L100−55又はEudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO)及びそれらの混合物の群から選択される被覆された粒子。
【請求項10】
請求項8記載の被覆された粒子であって、被覆ポリマーが、pH依存性の水溶性を示す被覆された粒子。
【請求項11】
請求項10記載の被覆された粒子であって、該ポリマーが、膨潤性であり、かつpH5より高くで浸透性であり、かつpH5未満で可溶性である被覆された粒子。
【請求項12】
請求項10記載の被覆された粒子であって、被覆ポリマーが、塩基性のブチルかされたメタクリレートコポリマーであり、該コポリマーが、ジメチルアミノエチルメタクリレートと中性のメタクリル酸エステルとを基礎とするコポリマーである被覆された粒子。
【請求項13】
請求項2記載の被覆された粒子であって、ロフルミラストが、被覆層中に懸濁されている被覆された粒子。
【請求項14】
請求項13記載の被覆された粒子であって、被覆層中に懸濁されたロフルミラストの平均粒度が、0.1〜100μm、有利には1〜10μmの範囲にある被覆された粒子。
【請求項15】
請求項14記載の被覆された粒子であって、被覆層が、浸透剤、可塑剤、湿潤剤及び界面活性剤、粘着防止剤、風味付け剤、着色剤及びそれらの混合物の群から選択される更なる製剤学的に認容性の賦形剤を含有する被覆された粒子。
【請求項16】
請求項1記載の被覆された粒子であって、被覆層が、Eudragit(登録商標)EPO、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びロフルミラストを含有する被覆された粒子。
【請求項17】
請求項1記載の被覆された粒子であって、ロフルミラスト、ロフルミラストの製剤学的に認容性の塩、それらの溶媒和物又はそれらの生理学的に機能的な誘導体及びそれらの混合物の群から選択される有効成分とポリマー被覆(ポリマー及び被覆層の全ての他の賦形剤を含む)との質量に対する比率が、1:5〜1:40、有利には1:10〜1:25の範囲にある被覆された粒子。
【請求項18】
請求項1記載の被覆された粒子であって、更に外側のオーバーコーティングを有する被覆された粒子。
【請求項19】
請求項1記載の被覆された粒子を製造する方法において、以下の工程:
(a)有効成分を被覆ポリマーの溶液又は懸濁液中に入れた、場合により他の好適な製剤学的に認容性の賦形剤を含有する懸濁液又は溶液を提供する工程;及び
(b)工程(a)の溶液又は分散液を担体上に噴霧する工程;及び
(c)場合により、ポリマーの溶液又は分散液を、工程(b)の被覆された粒子上に噴霧する工程
を含む方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、工程(a)において水性懸濁液又は水溶液を提供する方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、噴霧を、バースター管を用いて流動床法を適用するか、又はトップスプレイ技術を適用することで実施する方法。
【請求項22】
ロフルミラスト、ロフルミラストの製剤学的に認容性の塩、それらの溶媒和物又はそれらの生理学的に機能的な誘導体及びそれらの混合物の群から選択される有効成分の治療学的に有効な量を、請求項1記載の被覆された粒子の形で、1種以上の製剤学的に認容性の賦形剤と一緒に含有する剤形。
【請求項23】
請求項22記載の剤形であって、それが錠剤、経口投与用の粉末剤又は経口投与用の懸濁液剤である剤形。
【請求項24】
請求項22記載の剤形であって、それが口腔内崩壊性の剤形である剤形。
【請求項25】
PDE4インヒビターによって治療又は防止できると見なされる疾病の治療又は予防のための方法において、請求項22記載の剤形を投与する方法。

【公表番号】特表2008−533089(P2008−533089A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501285(P2008−501285)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060679
【国際公開番号】WO2006/097456
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】