説明

ロボット制御システム

【課題】 簡単な構成で、ティーチング作業時の安全性の確保を長期間維持することができるロボット制御システムを提供する。
【解決手段】電力供給スイッチ16は、複数のロボット2a,2b,2cのそれぞれを動作させる複数のサーボアンプ11a,11b,11cに電力供給する共通の電源供給路4に設けられ、複数のサーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給を一括して実行又は遮断する。複数の監視ユニット13a,13b,13cは、ロボット2a,2b,2c毎に設けられ、当該ロボット2a,2b,2cの動作を監視する。監視ユニット13a,13b,13cは、選択器14で選択されなかったロボット2a,2b,2cが動作したことを検出した場合に、電力供給スイッチ16に全てのサーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給を一括して遮断させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の電源供給路から供給される電力により動作する複数のロボットの電力供給を制御するロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業ロボットとして用いられる多軸ロボット等のロボットにおいては、複数のロボットによって1つのロボットセルを構成し、ロボットセル単位で複数のロボットの制御を行うことが知られている。
【0003】
複数のロボットが設けられた1つのロボットセル内において、オペレータがロボットセル内に入ってロボットに動作を覚えさせるティーチング作業を行う場合においては、オペレータがロボットセル内に存在するため、同じロボットセル内にあるティーチング対象のロボット以外のロボットが動作すると危険である。このため、従来は、ティーチング作業時においては、同じロボットセル内にある他のロボットへの電力供給を遮断していた。このような構成においては、ロボット毎に、電力供給を遮断するマグネットコンタクタ等の電力供給スイッチが設けられており(例えば、特許文献1参照)、ティーチング作業時においては、ティーチング対象のロボット以外のロボットに対応する電力供給スイッチをOFFすることとしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−208158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、各ロボットへの電力供給を遮断するマグネットコンタクタ等の電力供給スイッチは、ティーチング作業を行うたびにオン又はオフ動作されるため、電力供給スイッチの信頼性を保持しつつ長寿命化することが難しい。さらに、電力供給スイッチは、ロボット毎に枝分かれした電源供給路のそれぞれに設けられるため、電力供給スイッチをON又はOFFした際に生じる突入電流や回生電流を防止するためには、各電力供給スイッチのそれぞれに突入電流防止回路や回生制御回路等を設ける必要が生じるため、構成が複雑となる。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、簡単な構成で、簡単な構成で、ティーチング作業時の安全性の確保を長期間維持することができるロボット制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るロボット制御システムは、複数のロボットの電力供給を制御するロボット制御システムにおいて、複数のロボットのそれぞれを動作させる複数のサーボアンプと、前記複数のサーボアンプに電力供給する共通の電源供給路に設けられ、前記複数のサーボアンプへの電力供給を一括して実行又は遮断する電力供給スイッチと、前記複数のロボットのうち動作させるロボットを選択する選択器と、前記選択器を操作するための入力器と、前記ロボット毎に設けられ、当該ロボットの動作を監視する複数の監視ユニットとを備え、前記監視ユニットは、前記選択器で選択されなかった前記ロボットが動作したことを検出した場合に、前記電力供給スイッチに全ての前記サーボアンプへの電力供給を一括して遮断させるよう構成されている。
【0008】
上記構成によれば、複数のロボットの動作が各ロボットに対応する監視ユニットで監視され、入力器により選択器を介して選択されたロボット以外のロボットが動作したことが検出された場合、監視ユニットが電力供給スイッチに各ロボットを動作させるサーボアンプへの電力供給を一括して遮断させる。このように、複数のロボットのうち入力器により選択されていないロボットの動作が停止していることを監視ユニットにより監視することにより、ティーチング作業時における電力供給スイッチのON又はOFF動作を原則的になくすことができるため、電力供給スイッチの信頼性を保持しつつ長寿命化することができる。さらに、電力供給スイッチは共通の電源供給路に設けられているため、当該共通の電源供給路を電力供給スイッチで遮断することにより、全てのロボットを動作させるサーボアンプへの電力供給を一括して遮断させることができる。上記特許文献1の構成では、複数のロボットのうち何れか1つにおいて動作不良等の故障が生じた際に、当該故障したロボットへの電力供給を遮断するとともに、他のロボットへも故障の発生を伝達し、それぞれのロボットへの電力供給を遮断することにより、動作不良時における各ロボットへの電力供給遮断を可能としているが、1のロボットが誤動作した場合、誤動作したロボットを含む全てのロボットを停止させるためには、誤動作したロボットから他の各ロボットへ誤動作したことを伝達した上で各ロボットが当該ロボットへの電力供給をそれぞれ遮断させる必要がある。従って、全てのロボットが停止するまでに時間がかかる問題がある。特に、複数のロボットが設けられた1つのロボットセル内において、オペレータがロボットセル内に入ってロボットに動作を覚えさせるティーチング作業を行う場合においては、オペレータがロボットセル内に存在するため、同じロボットセル内にあるティーチング対象のロボット以外のロボットが動作すると危険なため、ロボットセル内の全てのロボットを迅速に停止させる必要がある。また、ロボット相互間で信号伝達を高い信頼性を保持しつつ行う必要があるため構成が複雑且つ高コストとなる。これに対し、本発明に係る上記構成によれば、1つの電力供給スイッチにより全てのロボットを動作させるサーボアンプへの電力供給を一括して遮断させることができるため、構成を簡単にしつつ、複数のロボット間で電力供給を遮断する時間差が生じることを防止することができる。
【0009】
従って、簡単な構成で、ティーチング作業時の安全性の確保を長期間維持することができる。
【0010】
前記ロボット制御システムは、前記電力供給スイッチと前記複数のサーボアンプとの間の前記共通の電源供給路上に、前記複数のサーボアンプへの突入電流を保護する共通の突入電流防止回路と前記複数のサーボアンプからの回生電力を消費又は電源に戻す共通の回生制御回路とのうちの少なくともいずれか一方を備えてもよい。この構成によれば、電力供給スイッチ及び突入電流防止回路及び/又は回生制御回路が共通の電源供給路上に設けられるため、各サーボアンプへの突入電流や各サーボアンプからの逆流電流を防止しつつ、これらの回路の数を少なくすることができる。
【0011】
前記監視ユニットは、対応する前記ロボットに設けられたサーボモータの回転を検出するエンコーダからの出力を検出することにより前記ロボットの動作を検出してもよい。この構成によれば、監視ユニットが対応するロボットからのエンコーダ出力を監視することにより、当該ロボットが動作したかどうかを確実に監視することができる。
【0012】
前記ロボット制御システムは、前記各サーボアンプへその対応する前記ロボットの制御指令を送るロボット制御器をさらに備え、前記選択器により選択されたロボットを示すロボット選択情報が前記ロボット制御器へ送られることとしてもよい。この構成によれば、選択器で選択されたロボットかどうかについての情報が、ロボットの制御指令を対応するサーボアンプへ送るロボット制御器にも伝えられる。これにより、ロボット制御器においても選択器で選択されたロボットが把握できるため、選択されていないロボットへの動作させる旨の制御指令が防止され、システムの信頼性をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上に説明したように構成され、簡単な構成で、ティーチング作業時の安全性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るロボット制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すロボット制御システムにおける制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るロボット制御システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のロボット制御システム1は、1つのロボットセルを構成する複数のロボット2a,2b,2cに適用される。なお、本実施形態においては、図1に示すように3つのロボット2a,2b,2cで1つのロボットセルを構成する例について説明するが、ロボットセルを構成するロボットの数はこれに限られず、より少なくても多くてもよい。
【0017】
複数のロボット2a,2b,2cは、それぞれ、複数軸回りに回動可能なマニピュレータ21a,21b,21cと、当該マニピュレータ21a,21b,21cをそれぞれ駆動する駆動部23a,23b,23cとを有している。駆動部23a,23b,23cのそれぞれには、マニピュレータ21a,21b,21cの各軸に対応する複数のサーボモータ22a,22b,22cが設けられている。また、複数のサーボモータ22a,22b,22cの各モータ軸には、それぞれの回転動作(回転角)を検出可能なエンコーダ24a,24b,24cが設けられている。
【0018】
ロボット制御システム1は、複数のロボット2a,2b,2cのそれぞれを動作させる(駆動する)複数のサーボアンプ11a,11b,11cを備えている。各ロボット2a,2b,2cでは、対応するサーボアンプ11a,11b,11cから供給される、ロボット制御器12からの制御指令に従って制御された電力に応じて、各サーボモータ22a,22b,22cが回転することにより対応するマニピュレータ21a,21b,21cが駆動される。また、各サーボアンプ11a,11b,11cには、エンコーダ24a,24b,24cの出力が入力され、複数のロボット2a,2b,2cの動作がフィードバック制御される。ロボット制御器12は、複数のロボット2a,2b,2cに共通に設けられ、ロボットセル全体の制御指令を生成し、各サーボアンプ11a,11b,11cに送る。また、ロボット制御器12は、後述する選択信号により選択されたロボットに対応するサーボアンプ11a,11b,11cには当該ロボットを動作させる旨の制御指令を生成し、選択されなかったロボットに対応するサーボアンプ11a,11b,11cには当該ロボットを停止させる旨の制御指令を生成する。また、ロボット制御器12には、各サーボアンプ11a,11b,11cを介してエンコーダ24a,24b,24cの出力が入力され、ティーチング等に利用される。
【0019】
さらに、各サーボアンプ11a,11b,11cは、共通の電源3からの電力を対応するロボット2a,2b,2cに供給するよう構成されている。各サーボアンプ11a,11b,11cと電源3との間の電源供給路は、電源3に接続された共通の電源供給路4を有し、途中で分岐して各サーボアンプ11a,11b,11cに接続されている。
【0020】
このように各サーボアンプ11a,11b,11cは、ロボット制御器12からの制御指令に基づいて、対応するロボット2a,2b,2cの各サーボモータ22a,22b,22cの動作制御及び電力供給制御を行う。
【0021】
本実施形態のロボット制御システム1は、ロボット2a,2b,2c毎に設けられ、当該ロボット2a,2b,2cの動作を監視する複数の監視ユニット13a,13b,13cを備えている。さらに、ロボット制御システム1は、複数のロボット2a,2b,2cのうち動作させるロボット2a,2b,2cを選択する選択器14と、当該選択器14を操作するための入力器15とを備えている。
【0022】
入力器15は、例えば複数のロボット2a,2b,2cのうちの何れか1つを選択するための切替スイッチ等で構成される。このような物理的なスイッチの代わりに、ロボット制御用等のコンピュータの表示画面に表示され、マウス等によって入力可能なソフトウェア上のスイッチ(入力用の表示領域)を入力器15として構成してもよい。
【0023】
また、選択器14は、例えばマイコンやリレースイッチ等で構成され、入力器15の入力に応じて各監視ユニット13a,13b,13cへ選択信号を送信する。また、複数のサーボアンプ11a,11b,11cに電力供給する共通の電源供給路4には、各サーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給を一括して実行又は遮断する電力供給スイッチ16が設けられている。電力供給スイッチ16は、例えば、マグネットコンタクタ等が適用可能である。
【0024】
そして、監視ユニット13a,13b,13cは、複数のロボット2a,2b,2cのうち選択器14で選択されなかったロボットが動作したことを検出した場合に、電力供給スイッチ16をOFFして全てのサーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給を一括して遮断させるよう構成されている。
【0025】
上記構成によれば、複数のロボット2a,2b,2cの動作が各ロボットに対応する監視ユニット13a,13b,13cで監視され、入力器15により選択器14を介して選択されたロボット以外のロボットが動作したことが検出された場合、監視ユニット13a,13b,13cが電力供給スイッチ16をOFFすることにより、各ロボット2a,2b,2cを動作させるサーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給が一括して遮断される。すなわち、各ロボット2a,2b,2cへの電力供給も遮断されることになり、ロボット2a,2b,2cの各動作が停止する。
【0026】
このように、複数のロボット2a,2b,2cのうち入力器15により選択されていないロボットの動作が停止していることを監視ユニット13a,13b,13cにより監視することにより、ティーチング作業時における電力供給スイッチ16のON又はOFF動作(物理的な接点の接触又は遮断動作)を原則的になくすことができるため、電力供給スイッチ16の信頼性を保持しつつ長寿命化することができる。
【0027】
ここで、電力供給スイッチ16は共通の電源供給路4に設けられているため、当該共通の電源供給路4を電力供給スイッチ16で遮断することにより、全てのロボット2a,2b,2cを動作させるサーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給を一括して遮断させることができる。これにより、構成を簡単にしつつ、複数のロボット2a,2b,2c間で電力供給を遮断する時間差が生じることを防止することができる。従って、簡単な構成で、複数のロボット2a,2b,2cのうち1つでも誤動作した場合に、迅速且つ確実に全てのロボット2a,2b,2cの動作を停止させることができる。また、監視ユニット13a,13b,13cが対応するロボット2a,2b,2cからのエンコーダ出力を監視することにより、当該ロボット2a,2b,2cが動作したかどうかを確実に監視することができる。
【0028】
以上のように、本実施形態のロボット制御システムによれば、簡単な構成で、ティーチング作業時の安全性の確保を長期間維持することができる。
【0029】
以下により詳しい制御の流れについて説明する。図2は図1に示すロボット制御システムにおける制御の流れを示すフローチャートである。まず、各サーボアンプ11a,11b,11cへ電源3から電力供給されることにより、各ロボット2a,2b,2cが動作可能状態となるように、電力供給スイッチ16がON状態となる(ステップS1)。この状態で、選択器14は、入力器15から入力操作の有無を監視する(ステップS2)。
【0030】
入力器15への入力操作により複数のロボット2a,2b,2cの何れか(仮に以下ではロボット2b)が選択された場合(ステップS2でYes)、選択器15は、対応する監視ユニット13bに対応するロボット2bが選択されたことを示す選択信号を送信する(ステップS3)。このとき、選択器14は、入力器15で選択入力されなかったロボット2a,2cに対応する監視ユニット13a,13cに選択されなかったことを示す非選択信号(例えば停止信号等)を送信してもよい。
【0031】
この後、監視ユニット13a,13b,13cは、対応するロボット2a,2b,2cからのエンコーダ出力を監視する(ステップS4)。そして、監視ユニット13a,13b,13cは、選択されたロボット2b以外のロボット2a,2cからのエンコーダ出力の変化が検出されるか否かを判定する(ステップS5)。より具体的には、選択されていないロボット2a,2cに対応する監視ユニット13a,13cは、対応するロボット2a,2cからエンコーダ出力の変化が検出された(動作エラーが発生した)かどうかを判定する。なお、ステップS3において監視ユニット13a,13cに非選択信号が送信されない場合(ステップS1等において予め全ての監視ユニット13a,13b,13cに停止信号が送信されている場合等)には、ステップS1において電力供給スイッチ16がON状態となった後、選択器14から選択信号が送られない限り、監視ユニット13a,13b,13cは対応するロボット2a,2b,2cが選択されていないものとして各ロボット2a,2b,2cからのエンコーダ出力を監視すればよい。すなわち、監視ユニット13a,13b,13cは、選択器14からの選択信号が入力されない限り対応するロボット2a,2b,2cからのエンコーダ出力の変化が検出されると動作エラーが発生したと判定することとしてもよい。
【0032】
選択していないロボット2a,2cに対応する監視ユニット13a,13cが対応するロボット2a,2cのエンコーダ出力の変化を検出した場合(ステップS5でYes)、当該監視ユニット2a,2cは、共通の電力供給路4上に設けられた電力供給スイッチ16をOFFにして、電源3から全てのロボット2a,2b,2cへの電力供給を遮断する(ステップS6)。すなわち、監視ユニット2a,2b,2cの何れか1つが動作エラーの発生を判定すると、電力供給スイッチ16がOFFされるため、電源3から全てのサーボアンプ11a,11b,11cへの電力供給が強制的に遮断される。
【0033】
本実施形態のロボット制御システム1においては、ステップS2において選択器14への入力操作により複数のロボット2bが選択された場合、選択器14で選択されたロボット選択情報がロボット制御器12へも送られる。この構成によれば、選択器14で選択されたロボットがロボット2bであることを示すロボット選択情報(ステップS3における選択信号)がロボット2a,2b,2cの制御指令を対応するサーボアンプ11a,11b,11cへ送るロボット制御器12にも伝えられる。
【0034】
これにより、ロボット制御器12においても選択器14で選択されたロボット2bが把握できるため、ロボット制御器12が自己チェックを行うことにより、選択されていないロボット2a,2cへ動作させる旨の制御指令が送信されることが未然に防止される。さらに、対応する監視ユニット13a,13b,13cによる電力供給遮断制御はフェイルセーフとして機能する。従って、システムの信頼性をより高くすることができる。
【0035】
本実施形態におけるロボット制御システム1は、電力供給スイッチ16と複数のサーボアンプ11a,11b,11cとの間で且つ共通の電源供給路4上に複数のサーボアンプ11a,11b,11cへの突入電流を防止し、各サーボアンプ11a,11b,11cからの回生電力を消費(例えば逆流電流を抵抗に流すことにより電力消費させる)又は電源3に戻す共通の突入電流防止回路及び/又は回生制御回路17を備えている。突入電流防止回路及び/又は回生制御回路17は、突入電流防止回路及び回生制御回路のいずれか一方のみで構成されてもよいし、両方の回路を含むように構成されてもよい。
【0036】
電力供給スイッチ16をOFFからONへ切り替えた場合(共通の電力供給路4を閉成した場合)には、電源3から各サーボアンプ11a,11b,11cへ向けて突入電流が発生する。また、電力供給スイッチ16をOFFからONへ切り替えた場合(共通の電力供給路4を遮断した場合)には、各サーボアンプ11a,11b,11cから逆流電流が流れる。従来の構成においては、電力供給を遮断するスイッチがサーボアンプごとに設けられていたため、上記突入電流を防止したり回生電力を消費又は回収するための保護回路を設ける場合には、各スイッチにそれぞれ設ける必要があった。
【0037】
これに対し、本実施形態の構成によれば、電力供給スイッチ16及び保護回路17が共通の電源供給路4上に設けられるため、全てのサーボアンプ11a,11b,11cへの突入電流を1つの電力供給スイッチ16に対して設けられた1つの回路17で防止することができる。また、全てのサーボアンプ11a,11b,11cからの回生電力を1つの電力供給スイッチ16に対して設けられた1つの回路17で消費又は電源3へ戻すことができる。従って、電力供給スイッチ16をONした際の各サーボアンプ11a,11b,11cへの突入電流を防止したり、各サーボアンプ11a,11b,11cからの回生電力を消費又は電源3へ戻しつつ、突入電流防止回路及び/又は回生制御回路17の数を少なくすることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のロボット制御システムは、複数のロボットにより構成されたロボットセルを制御するロボット制御システムにおいてロボットセルの領域内でオペレータがティーチング等の作業を行う際に、簡単な構成で、ティーチング作業時の安全性の確保を長期間維持するために有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 ロボット制御システム
2a,2b,2c ロボット
3 電源
4 共通の電力供給路
11a,11b,11c サーボアンプ
12 ロボット制御器
13a,13b,13c 監視ユニット
14 選択器
15 入力器
16 電力供給スイッチ
17 突入電流防止回路及び/又は回生制御回路
21a,21b,21c マニピュレータ
22a,22b,22c サーボモータ
23a,23b,23c 駆動部
24a,24b,24c エンコーダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロボットの電力供給を制御するロボット制御システムにおいて、
複数のロボットのそれぞれを動作させる複数のサーボアンプと、
前記複数のサーボアンプに電力供給する共通の電源供給路に設けられ、前記複数のサーボアンプへの電力供給を一括して実行又は遮断する電力供給スイッチと、
前記複数のロボットのうち動作させるロボットを選択する選択器と、
前記選択器を操作するための入力器と、
前記ロボット毎に設けられ、当該ロボットの動作を監視する複数の監視ユニットとを備え、
前記監視ユニットは、前記選択器で選択されなかった前記ロボットが動作したことを検出した場合に、前記電力供給スイッチに全ての前記サーボアンプへの電力供給を一括して遮断させるよう構成されている、ロボット制御システム。
【請求項2】
前記電力供給スイッチと前記複数のサーボアンプとの間の前記共通の電源供給路上に、前記複数のサーボアンプへの突入電流を保護する共通の突入電流防止回路と前記複数のサーボアンプからの回生電力を消費又は電源に戻す共通の回生制御回路とのうちの少なくともいずれか一方を備えた、請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項3】
前記監視ユニットは、対応する前記ロボットに設けられたサーボモータの回転を検出するエンコーダからの出力を検出することにより前記ロボットの動作を検出する、請求項1又は2に記載のロボット制御システム。
【請求項4】
前記各サーボアンプへその対応する前記ロボットの制御指令を送るロボット制御器を備え、前記選択器により選択されたロボットを示すロボット選択情報が前記ロボット制御器へ送られる、請求項1から3の何れかに記載のロボット制御システム。


【図1】
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【図2】
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