説明

ロボット清掃機及びその制御方法

【課題】走行経路上で障害物が感知されても、それがロボット掃除機システムを構成する付加装置領域である場合は、補助掃除ユニットが突出しないように制御するロボット掃除機及びその制御方法を提供すること。
【解決手段】ロボット掃除機は、床を走行する本体、前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部、前記本体の下部に突出及び収納可能に装着された補助掃除ユニット、及び、前記障害物が感知されると、前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御し、充電器領域を認知し、前記充電器領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御する制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除領域を走行しながら、床に積もったホコリなどを自動で掃除するロボット掃除機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロボット掃除機は、使用者の操作なく、掃除しようとする領域を自律走行しながら床からホコリなどの異物を吸い込むことによって自動で掃除する装置のことをいう。かかるロボット掃除機は、本体の下に積もったホコリなどを除去するためのメインブラシの他に、壁面との隣接部などにおける掃除性能を向上させるための補助掃除ツールも備えている。
【0003】
ロボット掃除機の補助掃除ツールは、ロボット掃除機本体の内部から外部に向かって突出することによって床上のホコリ、特に、壁面との隣接部におけるホコリなどを除去する。このように、補助掃除ツールは、壁面との隣接部などにおける掃除性能を向上させることはできるが、ロボット掃除機本体の外部に突出することから、障害物、例えば、壁面と衝突する危険性が増大することがあった。
【0004】
特に、ロボット掃除機システムを構成する充電器または仮想の障害物領域形成装置などの付加装置を障害物と区別できず、ロボット掃除機システムの付加装置に近接して補助掃除ツールを突出させることがあった。こうなると、補助掃除ツールと付加装置との衝突によって付加装置の位置が移動したり、付加装置が破損したりすることがある。そこで、障害物からロボット掃除機システムの付加装置を識別するロボット掃除機が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面は、走行経路上で障害物が感知されても、それがロボット掃除機システムを構成する付加装置領域である場合は、補助掃除ユニットが突出しないように制御するロボット掃除機及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るロボット掃除機は、床を走行する本体、前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部、前記本体の下部に突出及び収納可能に装着される補助掃除ユニット、及び前記障害物が感知されると前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御する制御部を備える。該制御部は、充電器領域を認知し、前記充電器領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御することができる。
【0007】
また、前記制御部は、前記本体の走行経路情報を含む掃除領域マップを生成して保存することができる。
【0008】
また、前記制御部は、前記掃除領域マップにおいて前記本体の走行経路の開始位置を前記充電器位置と指定し、前記掃除領域マップにおいて指定された充電器位置に基づいて前記充電器領域を認知し、前記本体が前記充電器領域を回避して走行するように制御することができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記本体の充電状態を判断することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記本体が充電中であると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知することができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記本体が充電を終了して後進走行すると、あらかじめ定められた時間の間に前記本体が前記充電器領域に位置していると認知することができる。
【0012】
前記ロボット掃除機は、前記充電器が送信する信号を感知する信号感知部をさらに備えることができる。
【0013】
また、前記制御部は、前記信号に基づいて前記充電器領域を認知し、前記本体が前記充電器領域を回避して走行するように制御することができる。
【0014】
また、前記信号は、前記充電器と前記本体とのドッキングのために前記充電器へ前記本体の走行を導く信号でよい。
【0015】
また、前記信号は、前記充電器の前方または側方に向かって一定の角度範囲内で送信される赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の少なくとも一つでよい。
【0016】
また、前記信号は、前記充電器の前方または側方に、一定の曲面を有する充電器領域を形成する信号でよい。
【0017】
また、前記信号は、前記充電器の前方または側方に一定の曲面で信号領域を形成する赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の少なくとも一つでよい。
【0018】
また、前記信号は、互いに重なり合うが、到達距離または信号の強度によって第1信号と第2信号とに区別可能である。
【0019】
また、前記制御部は、前記本体の停止状態で前記信号が感知されると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知することができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記本体の走行経路情報を含む掃除領域マップを生成して保存し、前記掃除領域マップにおいて前記識別信号が感知される位置を前記充電器位置と指定し、前記掃除領域マップにおいて指定された充電器位置に基づいて前記充電器領域を認知し、前記本体が前記充電器領域を回避して走行するように制御する。
【0021】
本発明の他の側面に係るロボット掃除機は、床を走行する本体、前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部、前記本体の下部に突出及び収納可能に装着された補助掃除ユニット、及び、前記障害物が感知されると、前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御する制御部を備える。該制御部は、突出制限領域を認知し、前記突出制限領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御することができる。
【0022】
また、前記ロボット掃除機は、突出制限信号生成ユニットが送信する信号を感知する信号感知部をさらに備えることができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記信号に基づいて前記突出制限領域を認知し、前記突出制限領域は、前記突出制限信号生成ユニットから送信する信号で形成されるとよい。
【0024】
また、前記信号は、前記突出制限信号生成ユニットの一方向に、あらかじめ定められた大きさの仮想の障害物領域を形成し、前記制御部は、前記本体が前記仮想の障害物領域を回避して走行するように制御することができる。
【0025】
また、前記信号は、あらかじめ定められた厚さ及び長さで直線の仮想の壁領域を形成する信号でよい。
【0026】
また、前記信号は、前記突出制限信号生成ユニットの一方向に向かって一定の角度範囲内で送信される赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の少なくとも一つでよい。
【0027】
また、前記信号は、前記突出制限信号生成ユニットの周りに、一定の曲面を有する仮想の障害物領域を形成し、前記制御部は、前記本体が前記仮想の障害物領域を回避して走行するように制御することができる。
【0028】
また、前記識別信号は、前記突出制限信号生成ユニットの周りに一定の曲面で信号領域を形成する赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の少なくとも一つでよい。
【0029】
前記ロボット掃除機は、磁場信号を感知する信号感知部をさらに備え、前記制御部は、前記磁場信号に基づいて前記突出制限領域を認知し、前記突出制限領域は、前記床に設置される磁石ベルトで形成することができる。
【0030】
また、前記制御部は、前記本体が前記磁場領域を回避して走行するように制御することができる。
【0031】
本発明の他の側面に係るロボット掃除機の制御方法は、床を走行する本体、前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部、前記本体の下部に突出及び収納可能に装着された補助掃除ユニットを有するロボット掃除機の制御方法において、前記床を走行しながら前記床を掃除すること、前記本体の走行経路上の障害物を感知すること、及び前記障害物が感知されると前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御し、充電器領域を認知し、前記充電器領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御すること、を含むことができる。
【0032】
また、前記充電器領域の認知では、前記本体の走行経路情報を含む掃除領域マップにおいて前記本体の走行経路の開始位置を前記充電器位置と指定し、前記掃除領域マップにおいて指定された充電器位置を前記充電器領域と認知することができる。
【0033】
また、前記充電器領域の認知では、前記本体の充電状態を感知し、前記本体が充電中であると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知することができる。
【0034】
また、前記充電器領域の認知では、前記本体の充電終了状態を感知し、前記本体が充電を終了して後進走行すると、あらかじめ定められた時間の間に前記本体が前記充電器領域に位置していると認知することができる。
【0035】
また、前記充電器領域の認知では、前記充電器が送信する信号を感知し、前記信号に基づいて前記充電器領域を認知することができる。
【0036】
また、前記信号は、前記充電器と前記本体とのドッキングのために前記充電器へ前記本体の走行を導く信号、または前記充電器の前方または側方に、一定の曲面を有する充電器領域を形成する信号でよい。
【0037】
また、前記充電器領域の認知では、前記本体の停止状態で前記信号が感知されると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知することができる。
【0038】
また、前記充電器領域の認知では、前記本体の走行経路情報を含む掃除領域マップにおいて前記信号が感知される位置を前記充電器位置と指定し、前記掃除領域マップにおいて指定された充電器位置に基づいて前記充電器領域を認知する。
【0039】
本発明の他の側面に係るロボット掃除機の制御方法は、床を走行する本体、前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部、前記本体の下部に突出及び収納可能に装着された補助掃除ユニットを有するロボット掃除機の制御方法において、前記床を走行しながら前記床を掃除すること、前記本体の走行経路上の障害物を感知すること、及び前記障害物が感知されると、前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御し、突出制限領域を認知し、前記突出制限領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御すること、を含む。
【0040】
また、前記突出制限領域の認知では、突出制限信号生成ユニットから送信する信号を感知し、前記信号に基づいて前記突出制限領域を認知することができ、ここで、前記突出制限領域は、前記突出制限信号生成ユニットから送信する信号で形成されるとよい。
【0041】
また、前記信号は、前記突出制限信号生成ユニットの一方向に、あらかじめ定められた大きさの仮想の障害物領域を形成したり、前記突出制限信号生成ユニットの周りに、一定の曲面を有する仮想の障害物領域を形成することができ、前記本体が前記仮想の障害物領域を回避して走行するように制御することができる。
【0042】
また、前記突出制限領域の認知では、磁場信号を感知し、前記磁場信号に基づいて前記突出制限領域を認知することができ、前記突出制限領域は、前記床に設置される磁石ベルトが形成する磁場領域でよい。
【発明の効果】
【0043】
上述した本発明の一側面によれば、充電器領域または突出制限領域を認知し、補助掃除ユニットが突出しないように制御しているため、補助掃除ツールと付加装置との衝突を防止することが可能になる。また、補助掃除ツールと付加装置との衝突を防止し、本体が付加装置を回避して走行するため、付加装置の位置が移動したり付加装置が破損したりすることを防止することができる。また、充電器の位置が移動しないため、ロボット掃除機本体が充電器に速やかに復帰でき、仮想の障害物領域が変動しないため、使用者の所望通りに仮想の障害物領域の向こうにあるものを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の外観を概略的に示す図である。
【図2】図1のロボット掃除機の下部の構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明の一実施例によって補助掃除ユニットを突出または収納させる構成を概略的に示す図である。
【図4】本発明の他の実施例によって補助掃除ユニットを突出または収納させる構成を概略的に示す図である。
【図5】本発明の一実施例に係る補助掃除ツールの構成を概略的に示す図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る補助掃除ツールの構成を概略的に示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の制御構成を概略的に示すブロック図である。
【図8A】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図8B】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図8C】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図8D】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図9】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図10】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図11】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図12】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図13】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図14】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図15】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の仮想の障害物領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図16】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の仮想の障害物領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【図17】本発明の一実施例に係るロボット掃除機の制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図18】本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の一実施例に係るロボット掃除機の外観を概略的に示す図である。
【0047】
図1を参照すると、ロボット掃除機1は、外観を形成する本体10を備える。
【0048】
本体10には障害物を感知できるように各種のセンサーを装着することができ、各種のセンサーは、近接センサー61及び/またはビジョンセンサー62とすることができる。例えば、ロボット掃除機1が、定められた経路無しで任意の方向に走行する場合に、すなわち、マップのない掃除システムでは、ロボット掃除機1は近接センサー61を用いて障害物を感知しつつ掃除領域を走行することが可能である。一方、ロボット掃除機1が、定められた経路に沿って走行する場合に、すなわち、マップを必要とする掃除システムでは、ロボット掃除機1の位置情報が入力されてマップを生成するビジョンセンサー62を装着することもできる。その他にも、様々な方式のセンサーとすることができる。
【0049】
そして、本体10には、充電器または排出ステーションから信号を受信できるように信号センサー63を装着することができる。
【0050】
また、本体10には、ディスプレイ部64を設け、ロボット掃除機1の各種状態を表示することができる。例えば、バッテリーの充電状態、ホコリで集塵装置が満たされたか否か、またはロボット掃除機1の掃除モードなどを示すことができる。
【0051】
補助掃除ユニット21,22の構成については、図2乃至図6でより詳細に説明する。
【0052】
図2は、図1のロボット掃除機の下部の構成を概略的に示す図である。
【0053】
図1及び図2を参照すると、ロボット掃除機1は、メインブラシユニット30、電源部50、駆動輪41,42、キャスター43、補助掃除ユニット21,22を備える。
【0054】
メインブラシユニット30は、本体10の下部において中央領域から後方Rへ偏った部分に形成された開口に装着される。メインブラシユニット30は、本体10の置かれている床に積もったホコリを掃いてホコリ流入口33に導く。そして、メインブラシユニット30が装着される本体10の下部の開口は、ホコリ流入口33となる。
【0055】
メインブラシユニット30は、ローラ31と、ローラ31の外面に形成されたメインブラシ32と、で構成される。ローラ31の回転と共に、メインブラシ32は、床に積もったホコリを掻き回してホコリ流入口33に導く。
【0056】
図2には示していないが、ホコリ流入口33の内部には、吸入力を発生させる送風装置が取り付けられ、ホコリ流入口33に流入したホコリを集塵装置へ移動させる。
【0057】
電源部50は、本体10を駆動させるための駆動電源を供給する。電源部50は、本体10、及び本体10に装着された各種の部品を駆動させるための各駆動装置と電気的に接続して、駆動電源を供給するバッテリーを有する。バッテリーは、再充電可能な2次バッテリーとし、本体10が掃除過程を完了して充電器または排出ステーションに結合すると、充電器または排出ステーションから供給される電力で充電する。
【0058】
駆動輪41,42は、本体10の下部において中央領域の左右端に対称に配置される。駆動輪41,42は、ロボット掃除機1が掃除を行いつつ前進、後進及び回転走行などの移動動作を行うようにする。
【0059】
ロボット掃除機1の走行方向を基準に、本体10の下部において前方端部にはキャスター43が取り付けられ、本体10が安定した姿勢を維持できるようにする。そして、駆動輪41,42及びキャスター43は、一つのアセンブリーとし、本体10に着脱可能に装着することができる。
【0060】
本体10の前方Fの両側には開口が形成されており、この開口を覆うように補助掃除ユニット21,22が装着される。
【0061】
図3は、本発明の一実施例に係る補助掃除ユニットの構成を概略的に示す図である。
【0062】
図3を参照すると、補助掃除ユニット21,22は、サイドアーム102、周縁カバー103、補助掃除ツール110を備える。
【0063】
本体10の前方一側の下部にはサイドアーム102が結合され、その上側には、サイドアーム102を駆動させるアームモーター(図示せず)が収容される。アームモーターは、サイドアーム102に駆動力を伝達する所定のギアを介して回転軸(図示せず)と連結され、この回転軸が、サイドアーム102の一端に形成された結合溝101に装着される。
【0064】
そのため、アームモーターが駆動すると、回転軸が回転しつつサイドアーム102は結合溝101を基準に揺動する。この時、サイドアーム102が本体10の外側に揺動するとともに、周縁カバー103は、本体10の開口をそれ以上覆わず、本体10の周縁を形成しなくなる。
【0065】
サイドアーム102の他端には、補助掃除ツールが結合される結合溝104が形成される。その上側には、補助掃除ツールを駆動させる回転モーター(図示せず)が収容され、該回転モーターの駆動力によって補助掃除ツールが結合溝104を基準に回転することとなる。
【0066】
図4は、本発明の他の実施例に係る補助掃除ユニットの構成を概略的に示す図である。
【0067】
図4を参照すると、補助掃除ユニット21,22は、サイドアーム106、周縁カバー108、補助掃除ツール110を備える。
【0068】
本体10の前方一側の下部には、サイドアーム106が結合溝105を介して結合され、サイドアーム106の内部には、サイドアーム106の外部へスライドして伸びる延長アーム107が収容される。
【0069】
延長アーム107は、サイドアーム106の内部でサイドアーム106の長手方向に沿って前後に移動する。そのために、サイドアーム106の内部にはレールが設けられ、延長アーム107にはガイド(図示せず)が設けられ、延長アーム107はレールに固定されたままレールに沿って滑動することができる。また、延長アーム107の内部には、延長アーム107の外部へスライドして突出する他の延長アームが収容されてもよい。他の延長アームも延長アーム107と同様の方式で移動すればよく、延長アームの数は制限されない。
【0070】
そして、サイドアーム106の上側には、延長アーム107を駆動させるアームモーター(図示せず)が収容される。アームモーターは、所定のギアを介して延長アーム107に駆動力を伝達し、アームモーターが駆動すると延長アーム107がサイドアーム106の外部にスライドしつつ本体10の外側へ突出する。この時、周縁カバー108は、本体10の開口をそれ以上覆わず、本体10の周縁を形成しなくなる。
【0071】
そして、延長アーム107の先端には、補助掃除ツールが結合される結合溝109が形成される。その上側には、補助掃除ツールを駆動させる回転モーター(図示せず)が収容され、該回転モーターの駆動力によって補助掃除ツールが結合溝109を基準に回転する。
【0072】
図5は、本発明の一実施例に係る補助掃除ツールの構成を概略的に示す図である。
【0073】
図5を参照すると、補助掃除ツール110は、中央の共通端部から半径方向外側に延在すると共に、周方向に互いに離れて配置されるブラシアーム113を備える。ブラシアーム113には補助ブラシ112が結合され、ブラシアーム113の中央の共通端部から突出した回転軸114が、結合溝を通ってサイドアーム102、または延長アーム107と結合される。補助掃除ツール110が回転すると、補助ブラシ112が壁面との隣接部などに積もったホコリを、本体10の中央領域に掃き集める。
【0074】
図6は、本発明の他の実施例に係る補助掃除ツールの構成を概略的に示す図である。
【0075】
図6を参照すると、補助掃除ツール110’は、円形の雑巾ホルダー116を有し、該雑巾ホルダー116には、雑巾ホルダー116の周方向に補助雑巾115が取り付けられる。雑巾ホルダー116の中心には、回転モーターの駆動力が伝達されて補助掃除ツール110’を回転させる回転軸114が突設され、この回転軸114が結合溝104または109を通ってサイドアーム102または延長アーム107と結合される。補助掃除ツール110’が回転すると、補助雑巾115が壁面との隣接部などを拭くこととなる。
【0076】
一方、補助ブラシ112は、弾性の様々な材質とすることができ、補助雑巾115は、繊維材質の他にも、様々な材質とすることができる。
【0077】
本発明の実施例に係るロボット掃除機1は、本体10の外側に突出する補助掃除ユニット21,22により、掃除領域が広くなり、壁面との隣接部や床の隅部まで掃除可能になる。
【0078】
以下に説明する補助掃除ユニット21,22の動作において、補助掃除ユニット21,22の突出は、個別に説明する以外は、一実施例によってサイドアーム102が本体10の外側に揺動する場合、及び他の実施例によって延長アーム107が本体10の外側に延びて突出する場合の両方を含むとする。また、ロボット掃除機1の掃除動作中に補助掃除ツール110が回転しつつ壁面との隣接部や床の隅部分を掃除するとする。
【0079】
図7は、本発明の一実施例に係るロボット掃除機の制御構成を概略的に示すブロック図である。
【0080】
図7を参照すると、ロボット掃除機1は、入力部210、障害物感知部220、信号感知部230、制御部240、本体駆動部250、メインブラシユニット駆動部260、補助掃除ユニット駆動部270を備える。
【0081】
入力部210には、本体10に設けられた操作パネル、またはリモコンから使用者の操作命令が入力される。使用者の操作命令には、ロボット掃除機1の走行、掃除または充電動作に関する命令が含まれる。特に、使用者は、リモコンを直接操作して、補助掃除ユニット21,22を突出させるか否かなどの命令を入力することもできる。
【0082】
障害物感知部220は、本体10の走行中に近接する障害物を感知する。より詳細に、障害物感知部220は、近接センサー61またはビジョンセンサー62から障害物に関する情報を受信し、本体10の周辺に位置している障害物を感知する。
【0083】
例えば、近接センサー61は超音波方式のものとし、超音波を発し、障害物から反射される超音波を受信して障害物を感知することができる。そのために、本体10の周縁部に少なくとも一つの超音波送信部と超音波受信部とが結合した形態で近接センサー61を装着することができる。超音波方式の近接センサー61は、障害物との距離が短いほど、反射される超音波の強度が大きくなり、高い出力の信号を生成する。そして、近接センサー61の出力信号に基づいて本体10と障害物との距離を計算することができる。
【0084】
一方、ビジョンセンサー62は、本体10の走行経路上の映像を取得し、映像処理を用いて障害物を感知でき、実際の3次元座標に基づいてビジョンセンサー62が処理した映像上の本体10と障害物との距離を計算することができる。
【0085】
信号感知部230は、信号センサー63を介して、充電器から送信されたり充電器の周辺に形成された識別信号を感知する。
【0086】
本体駆動部250は、駆動輪41,42を駆動してロボット掃除機1を移動させ、走行制御部242の制御命令に応じてロボット掃除機1の走行方向及び走行速度を調節する。
【0087】
メインブラシユニット駆動部260は、掃除制御部241の制御命令に応じてローラ31を駆動し、ローラ31の回転と共にメインブラシ32が回転しつつ、床に積もったホコリを掃くようにする。
【0088】
補助掃除ユニット駆動部270は、掃除制御部241の制御命令に応じてアームモーターを駆動し、補助掃除ユニット21,22を突出または収納させる。また、補助掃除ユニット駆動部270は、アームモーターの回転数を用いて、障害物との距離に基づいて補助掃除ユニット21,22が突出または収納される度合を調節する。そして、補助掃除ユニット駆動部270は、補助掃除ツール110が回転するか否か、及び回転速度を調節することで、補助ブラシ112または補助雑巾115が壁面との隣接部などを掃除するようにする。
【0089】
制御部240は、制御プログラムによってロボット掃除機1の動作全般を制御し、大きく、ロボット掃除機1の掃除動作を制御する掃除制御部241、ロボット掃除機1の走行を制御する走行制御部242、ロボット掃除機1の充電を制御する充電制御部243を有する。
【0090】
掃除制御部241は、メインブラシユニット30の動作の他、補助掃除ユニット21,22の突出または収納、及び補助掃除ユニット21,22の突出または収納の度合も制御する。また、掃除制御部241は、本体10の掃除モードを、自動掃除モード、復帰モード、充電モード、充電完了モード、充電中止モードなどに区別し、掃除モードに応じて補助掃除ユニット21,22の突出または収納を制御する。
【0091】
走行制御部242は、本体10の前進、後進または回転走行を制御する。より詳細に、走行制御部242は、本体10の走行のための駆動輪41,42の回転方向及び速度を制御する。そして、走行制御部242は、本体10の走行経路から障害物が感知される場合には、本体10が障害物を回避するように本体10の旋回方向または後進を制御する。
【0092】
充電制御部243は、ロボット掃除機1が掃除を完了すると、充電器または排出ステーションに復帰して充電をするように制御し、本体10と充電器とがドッキングして充電を行う場合に充電状態を判断する。すなわち、充電制御部243は、充電が完了した場合、または充電中に充電器の電源が遮断された場合などを判断することができる。
【0093】
以下では、上述したロボット掃除機の実施例によって補助掃除ユニットの突出または収納を制御する方法について詳細に説明する。
【0094】
図8A乃至図8Dは、本発明の一実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0095】
図8Aを参照すると、本体10は、充電器80に接触して充電中である。充電制御部243は、本体10が充電器80に接触していると充電中の状態であると感知する。
【0096】
本体10の充電が完了する場合に、または使用者の自動掃除指示に応じて、本体10は、充電器80との接触を解除し、掃除領域の走行を始める。本体10は、あらかじめ定められた走行経路に沿って掃除領域を走行しながら床のホコリを除去する。そのために、走行制御部242は、本体の走行経路情報を含む掃除領域マップを生成して保存する。
【0097】
一方、本体10が充電器80と接触して充電しているときに使用者が本体10を持ち上げて任意に移さない限り、本体10が掃除を始める位置は、充電器80の位置となる。すなわち、本体10の走行経路の開始位置が充電器80の位置に該当する。
【0098】
図8Bを参照すると、走行制御部242は、掃除領域マップを生成し、本体10の走行経路に対してそれぞれの走行領域Dを保存する。本体10は、走行経路に沿って走行領域Dを走行しながら床のホコリを除去する。そして、走行制御部242は、それぞれの走行領域Dの掃除完了状態を保存する。これにより、それぞれの走行領域Dの掃除完了状態を判断し、掃除を完了していない走行領域Dを走行経路に沿って順次に走行しながらホコリを除去する。
【0099】
また、走行制御部242は、掃除領域マップにおいて本体10の走行経路の開始位置を充電器80の位置と指定することができる。そのため、走行制御部242は、掃除領域マップにおいて指定された充電器80の位置から充電器領域Cを認知することができる。
【0100】
一方、図8Bに示すように、本体10が壁に沿って走行する場合に、壁側の補助掃除ユニット21を突出させ、壁との隣接部におけるホコリを除去する。図8Bには、右側の補助掃除ユニット21が突出した状態で走行する様子を示しているが、これに限定されず、本体10の左側壁に沿って走行する場合にも同一の方式で左側の補助掃除ユニット22が突出した状態で走行することができる。
【0101】
図8Cを参照すると、本体10の走行経路上に障害物Oが位置することがある。掃除制御部241は、本体10が走行経路に沿って走行領域Dを走行するときに障害物Oが感知されると、補助掃除ユニット21が突出するように制御する。
【0102】
特に、本体10の走行経路上で本体10の側面にのみ障害物が感知される場合に、補助掃除ユニット21が一時的に本体10の外部に突出してから本体10の内部に納まるように制御することができる。ここで、補助掃除ユニット21の制御は実時間で行われるため、補助掃除ユニット21を一時的に駆動する場合であっても、障害物Oが連続して感知される場合には、補助掃除ユニット21を連続して駆動することができる。
【0103】
図8Dを参照すると、本体10が充電器領域Cに接近して走行する場合に、障害物感知部220は、本体10の走行経路上の充電器80を障害物と感知することがある。掃除制御部241が充電器80を障害物と判断して補助掃除ユニット21,22を突出させると、本体10と充電器80との衝突の危険性が増大し、さらに本体10と充電器80とが衝突して充電器80の位置が変更すると、掃除完了後に本体10が充電器80に復帰することが困難になる。
【0104】
そこで、掃除制御部241は、充電器領域Cを認知し、充電器領域Cでは補助掃除ユニットが突出しないように制御する。また、走行制御部242は、充電器領域Cに対しては本体10の進入を制限し、本体10が充電器領域Cを回避して走行するように制御する。すなわち、図8Dに示すように、本体10は、充電器領域Cを走行しないで回避しつつ、充電器領域Cに隣接した走行領域Dを通過する。
【0105】
図9は、本発明の第2実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0106】
図9を参照すると、本体10には充電端子51が設けられ、充電器80の充電端子81と接触することができる。充電制御部243は、本体10の充電端子51が充電器80の充電端子81に接触していると、充電中の状態と感知する。一方、図9は、本体10が充電器80と接触して充電する方式を示しているが、これに限定されず、本体10は、充電器80と接触しない状態でも電磁気的方式などによって充電可能であり、同様に、充電制御部243は本体10のバッテリーに接続して本体10の充電状態を感知することができる。
【0107】
掃除制御部241は、充電制御部243から本体10の充電状態に関する情報を受信し、本体10が充電中であると、本体10が充電器領域に位置していると認知する。したがって、本体10の充電中に、障害物感知部220が充電器80を障害物と感知することから補助掃除ユニット21,22が突出することを防止することができる。すなわち、補助掃除ユニット21,22の異常突出により、本体10と充電器80との接触が解除されたり、充電器80と補助掃除ユニット21,22との衝突により充電器80が摩耗したりすることを防止することができる。
【0108】
図10は、本発明の第3実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0109】
図10を参照すると、本体10が充電を終了し、後進走行して充電器80との接触を解除した状態が示されている。充電制御部243は、本体10のバッテリー残量を確認し、あらかじめ定められたバッテリー残量に達すると、本体10が充電器80に復帰して充電できるように本体10の走行を制御することができる。本体10が充電を完了すると、充電制御部243は自動で本体10と充電器80との接触を解除し、本体10が直前の掃除領域に復帰して床を掃除し続けるように制御することができる。この時、本体10が充電を終了し、速い速度で後進走行する場合に、充電器80を障害物と感知して補助掃除ユニット21,22が突出することがある。
【0110】
そのため、掃除制御部241は、本体10が充電を終了して後進走行する場合に、あらかじめ定められた時間の間に本体10が充電器領域に位置していると認知し、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。一方、充電制御部243は、本体10の充電終了状態を感知し、充電を終了した場合は、本体10の充電状態情報を掃除制御部241に送信する。掃除制御部241は、本体10の走行速度を考慮して本体10が充電器から一定の距離へと離れる一定時間では補助掃除ユニット21,22の突出を制限する。
【0111】
図11及び図12は、本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0112】
図11を参照すると、充電器80は、充電器80を認知できるようにする識別信号を送信する。本体10には識別信号を感知する信号感知部230が設けられ、充電器80から送信する識別信号を感知する。具体的に、本体10の正面または側面に複数の信号センサー63が装着されて、充電器80から送信される信号を受信し、信号感知部230は、信号センサー63に受信される信号に基づいて、充電器80からの識別信号を感知する。
【0113】
ここで、識別信号は、充電器80と本体10とのドッキングのために充電器80への本体10の走行を導く信号でよい。すなわち、掃除を完了した場合に、本体10は、充電器80に復帰するための走行アルゴリズムに基づいて充電器80に向かって走行するようになる。この時、充電器80の位置を推定し、充電器80と本体10とのドッキング、具体的に、充電器80の接触端子と本体10の接触端子との接触のために充電器80から送信する信号である。
【0114】
例えば、充電器80には、赤外線信号を送信する信号送信部82が設けられ、充電器80の前方または側方に識別信号領域Lを形成する。ここで、各赤外線信号の強度または到達距離を異ならせることで、第1赤外線信号送信部は、低出力の赤外線信号を送信して第1赤外線信号領域を形成し、第2赤外線信号送信部は、高出力の赤外線信号を送信して、第1赤外線信号領域よりも小さい第2赤外線信号領域を形成することもできる。第1赤外線信号及び第2赤外線信号は重なり合うが、到達距離または信号の強度によって区別することができる。
【0115】
すなわち、充電器80に設けられる信号送信部82は、充電器80の前方または側方に向けて一定の角度範囲内で赤外線信号を送信して識別信号領域を形成することができる。ここで、識別信号は、赤外線信号に限定されず、超音波信号、レーザー信号なども同様の方式で適用可能である。
【0116】
本体10に装着される信号センサー63は、赤外線信号などを受信し、掃除制御部241は、信号感知部230を介して識別信号が感知される場合に、本体10が充電器領域に位置すると判断し、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。すなわち、掃除制御部241は、識別信号から充電器領域を認知すると、補助掃除ユニット21,22が突出することなく本体10が充電器領域を回避しつつ走行するように制御する。走行制御部242は、本体10の充電が不要であるか、または、掃除を終了していない状態では、掃除のために走行経路に沿って走行しているときに本体10の走行を誘導する信号が感知されても、本体10と充電器80とがドッキングするように本体10の走行を制御しない。これは、本体10と充電器80とのドッキングを必要とする場合でないからである。
【0117】
図12を参照すると、識別信号は、充電器80の領域を形成する信号でよい。すなわち、充電器80の前方または側方に一定の曲面を有する形態で充電器領域を形成し、本体10が充電器80へ進入することを防止する信号である。充電器80と本体10とのドッキングのための信号とは違い、充電器80を障害物と感知し、本体10が充電器80を回避して走行するようにする信号である。
【0118】
充電器80には識別信号を送信する信号送信部83が設けられ、該信号送信部83により、充電器80の前方または側方に識別信号領域Aが形成される。ここで、識別信号は互いに重なり合うが、到達距離または信号の強度によって第1信号と第2信号とに区別することができる。例えば、走行制御部242は、第2信号領域が認知されると、本体10の走行経路に充電器80が位置していると判断し、本体10の走行に注意を払うことができる。例えば、障害物感知部220の感知度を上げることで、本体10と充電器80との衝突を事前に防止することができる。また、第2信号と共に第1信号が感知されると、走行制御部242は、本体10と充電器80との衝突の危険があると判断し、本体10が回転して充電器80を回避しつつ走行するように制御することができる。
【0119】
識別信号領域Aを形成する充電器80からの識別信号は、赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の少なくとも一つでよい。
【0120】
本体10に装着される信号センサー63は赤外線信号などを受信し、掃除制御部241は、信号感知部230を介して識別信号を感知する。掃除制御部241は、識別信号が感知されると、充電器80を障害物と判断し、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。一般的な障害物については、補助掃除ユニット21,22が突出して障害物との隣接部におけるホコリを除去するように制御するが、充電器80については、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御することで充電器80と本体10との衝突を防止し、充電器80の位置に変動が生じることを防止する。
【0121】
図13は、本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0122】
図13を参照すると、本体10は、充電のために充電器80とドッキングすることができる。本体10と充電器80とがドッキングする場合に、本体10の充電端子51と充電器80の充電端子81とが接触する。この時、信号センサー63は、充電器80の信号送信部82から送信される信号Lを受信する。これにより、信号感知部230は、充電器領域を示す識別信号を感知し、充電制御部243は、本体10の充電端子51と充電器80の充電端子81との接触を感知する。充電制御部243が、本体10が充電状態にあるということを感知できなくても、掃除制御部241は、本体10が停止している状態で充電器80の識別信号が感知されると、本体10が充電器領域に位置していると認知できる。すなわち、掃除制御部241は、本体10が充電のために充電器領域に位置する場合に、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御することができる。
【0123】
一方、図13では、識別信号の一例として、本体10と充電器80とのドッキングのために本体10を充電器80へ導く信号を示しているが、これに限定されず、充電器80を障害物と感知し、本体10が充電器80を回避して走行するようにする信号にも同様の適用が可能である。例えば、本体10が充電器80に進入することを防止する信号の場合にも、本体10は充電器80に進入する場合がある。すなわち、本体10の充電復帰モードに従って本体10が充電のために充電器80に接近する場合には、充電器80の識別信号が感知されるにもかかわらず充電器80と接触することができる。本体10が充電器80と接触して充電復帰モードが終了し、充電モードに進入する場合にも、充電器80は引き続き識別信号を送信することができる。充電器80の識別信号が感知されることから、掃除制御部241は充電器80を障害物と感知することができるが、本体10の停止状態から本体10が充電器領域に位置していると判断し、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御することができる。したがって、本体10の充電中に充電器80が障害物と感知されて補助掃除ユニット21,22が突出することを防止する。
【0124】
図14は、本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の充電器領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0125】
図14を参照すると、本体10は、あらかじめ定められた走行経路に沿って掃除領域を走行しながら床のホコリを除去する。そのために、走行制御部242は、本体の走行経路情報を含む掃除領域マップを生成し、本体10の走行経路に対してそれぞれの走行領域Dを保存する。本体10は、走行経路に沿って走行領域Dを走行しながら床のホコリを除去する。
【0126】
本体10の走行経路上で充電器80の識別信号Lが感知される場合に、走行制御部242は、識別信号が感知される位置を充電器80の位置と指定することができる。走行制御部242は、掃除領域マップにおいて指定された充電器80の位置に基づいて充電器領域Cを認知し、充電器領域Cを障害物として感知しない。すなわち、走行制御部242は、充電器領域Cを回避して走行するように制御するが、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。補助掃除ユニット21,22が突出する場合は、本体10と充電器80との衝突の危険性が増大し、衝突によって充電器80の位置が変更することがあるからである。そのため、掃除制御部241は、充電器領域Cを認知し、充電器領域Cでは補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。
【0127】
図14は、識別信号の一例として、本体10と充電器80とのドッキングのために本体10を充電器80側へ導く信号を示しているが、これに限定されず、充電器80を障害物と感知し、本体10が充電器80を回避して走行するようにする信号にも同様の適用が可能である。
【0128】
図15は、本発明の一実施例に係るロボット掃除機の仮想の障害物領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0129】
図15を参照すると、突出制限信号生成ユニット90は、識別信号を送信して突出制限領域を形成している。突出制限領域は、突出制限信号生成ユニット90から送信する識別信号で形成される仮想の障害物領域で、本体10が仮想の障害物領域を回避して走行するように形成される。
【0130】
本体10に設けられる信号感知部230は、突出制限信号生成ユニット90から送信する識別信号を感知し、掃除制御部241は、識別信号から突出制限領域を認知する。上述した通り、本体10の正面または側面に信号センサー63が装着されて、突出制限信号生成ユニット90から送信される信号を受信し、信号感知部230は、信号センサー63により受信される信号に基づいて、突出制限信号生成ユニット90の識別信号を感知する。
【0131】
ここで、識別信号は、突出制限信号生成ユニット90の一方向にあらかじめ定められた大きさの仮想の障害物領域を形成することができる。例えば、識別信号は、あらかじめ定められた厚さ及び長さで直線の仮想の壁領域Wを形成することができる。走行制御部242は、仮想の壁領域Wが感知されると、仮想の壁領域Wに進入せず、旋回して走行するように制御することができる。また、仮想の壁領域Wは、壁と床との隣接部にホコリがないため、掃除制御部241は、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。このように、仮想の壁領域Wを形成する識別信号は、突出制限信号生成ユニット90の一方向に向かって一定の角度範囲内で送信される赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の少なくとも一つとすることができる。
【0132】
一方、識別信号は、突出制限信号生成ユニット90の周りに一定の曲面を有する仮想の障害物領域Rを形成することができる。突出制限信号生成ユニット90は、仮想の障害物領域Rを形成し、本体10の進入を防止する。すなわち、識別信号は、突出制限信号生成ユニット90の周りにおける仮想の障害物領域Rを障害物と感知し、本体10が突出制限信号生成ユニット90を回避して走行するようにする信号である。掃除制御部241は、仮想の障害物領域Rを障害物と感知するが、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。補助掃除ユニット21,22と突出制限信号生成ユニット90とが衝突する場合に、突出制限信号生成ユニット90の位置が変動し、突出制限信号生成ユニット90が形成する仮想の壁領域Wに変化が生じることがあるからである。一般に、仮想の壁領域Wの向こうには、衝突による破損の心配がある物体などが位置しており、使用者は、突出制限信号生成ユニット90で仮想の壁領域Wを形成することで、本体10の進入を制限する。
【0133】
突出制限信号生成ユニット90の周りに一定の曲面を有する仮想の障害物領域Rを形成する識別信号には、赤外線信号を用いることができる。すなわち、突出制限信号生成ユニット90の側面に複数個の信号送信部が設けられており、突出制限信号生成ユニット90の位置している床に向かって一定の角度で赤外線信号を送信すると、突出制限信号生成ユニット90の周りに一定の曲面形態で信号領域を形成することができる。一方、このように信号領域を形成する識別信号は、赤外線信号に制限されず、超音波信号またはレーザー信号も同様の方式で用いることができる。
【0134】
図16は、本発明の本の実施例に係るロボット掃除機の仮想の障害物領域を認知する動作を概略的に示す図である。
【0135】
図16を参照すると、信号感知部230は、赤外線信号、超音波信号、レーザー信号の他、磁場信号も感知することができる。掃除制御部241は、磁場信号から突出制限領域を認知し、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。
【0136】
一方、突出制限領域は、磁場を発生する突出制限信号生成ユニットにより形成することができ、例えば、図16に示すように、床に設置される磁石ベルトMにより形成される磁場領域でよい。本体10の走行経路に磁石ベルトMが位置すると、走行制御部242は磁石ベルトMを障害物と感知し、本体10が磁石ベルトMを回避して走行するように制御する。また、掃除制御部241は、磁場信号の感知される磁場領域を突出制限領域と認知するので、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する。ここで、磁石ベルトMは、磁場領域を形成する一例であり、これに限定されず、磁場を形成するいかなる装置や物体も、同様の方式で突出制限領域を形成することができる。
【0137】
図17は、本発明の一実施例に係るロボット掃除機の制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【0138】
図17を参照すると、まず、走行アルゴリズムに基づいて、本体10が床を走行しながらメインブラシで床を掃いて掃除する(S310)。赤外線信号または超音波信号などを送受信できる障害物感知部220を本体10に設け、障害物感知部220を介して本体10の走行経路上の障害物を感知する(S320)。
【0139】
そして、感知された障害物領域が充電器領域であるか否か判断する(S330)。ここで、充電器領域を様々な方式で認知することができる。ロボット掃除機10は、本体10の走行経路情報を含む掃除領域マップに基づいて、掃除領域を走行し、掃除領域の掃除を完了したか否かを判断できるが、本体10の走行経路の開始位置を充電器80の位置と指定することによって充電器領域を認知することができる。この場合、掃除領域マップにおいて指定された充電器80の位置を充電器領域と認知することができる。
【0140】
また、本体10の充電状態を感知する方法により充電器領域を認知することもできる。すなわち、本体10が充電中であると、本体10が充電器領域に位置していると認知できる。類似の方式で、本体10の充電終了状態を感知し、本体10が充電を終了して後進走行すると、あらかじめ定められた時間の間に本体10が充電器領域に位置していると認知することができる。本体10は、充電を終了すると、後進走行し、充電のために掃除を中止した位置に復帰する走行をする。この場合、あらかじめ定められた時間の間に本体10が充電器領域に位置していると認知することによって、本体10が後進走行する間に補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御することができる。これにより、本体10の充電中または充電終了時に本体10と充電器80との衝突を防止することが可能である。
【0141】
また、充電器80から識別信号を送信し、充電器80から送信する識別信号を感知する方法によって充電器領域を認知することもできる。本体10に信号感知部230を設け、信号感知部230に感知される識別信号から充電器領域を認知することができる。ここで、識別信号は、上述した通り、充電器80と本体10とのドッキングのために本体10の走行を導く信号でもよく、充電器80の前方または側方に一定の曲面を有する充電器領域を形成する信号でもよい。識別信号が感知されると、障害物領域を充電器領域と認知することができる。一方、本体10が充電のために充電器80と接触する場合に、本体10は停止状態であり、この場合にも識別信号を感知することができる。すなわち、本体10の停止状態において識別信号が感知されると、本体10が充電器領域に位置していると認知できる。また、上述した通り、掃除領域マップを用いて、識別信号の感知される位置を充電器位置と指定することもできる。
【0142】
充電器領域であると、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御する(S340)。これは、補助掃除ユニット21,22の突出によって充電器80と衝突することを防止するためである。また、本体10が充電器80を回避して走行するように制御し、本体10と充電器80との衝突を事前に防止することができる。
【0143】
充電器領域でないと、補助掃除ユニット21,22が突出するように制御し、障害物との隣接部に積もったホコリを掃除できるように制御する(S350)。
【0144】
図18は、本発明の他の実施例に係るロボット掃除機の制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【0145】
図18を参照すると、まず、走行アルゴリズムに基づいて本体10が床を走行しながらメインブラシで床を掃いて掃除し(S410)、本体10の走行経路上の障害物を感知する(S420)。
【0146】
障害物が感知されると、感知された障害物領域が突出制限領域であるか否か判断する(S430)。ここで、突出制限領域は、突出制限信号生成ユニット90が送信する識別信号から認知し、よって、識別信号を感知する信号感知部230を本体10に設けることができる。
【0147】
突出制限領域は、様々な方式で形成することができ、例えば、突出制限領域としては、突出制限信号生成ユニット90の一方向に、あらかじめ定められた大きさの仮想の障害物領域を形成したり、突出制限信号生成ユニット90の周りに、一定の曲面を有する仮想の障害物領域を形成したりできる。仮想の障害物領域には、実際には障害物が存在しないが、障害物が存在しているかのように感知され、本体10が仮想の障害物領域を回避して走行するように制御するための領域である。すなわち、仮想の障害物領域は、下記のように、補助掃除ユニット21,22が突出しない点で障害物領域と異なる。上述したように、識別信号は、赤外線信号、超音波信号、レーザー信号などを含むことができる。
【0148】
一方、突出制限領域は、磁場領域の形態にしてもよい。例えば、磁石ベルトのように、磁場を形成する装置または物体を床に設置し、感知される磁場信号から突出制限領域を認知することができる。磁場領域が感知されると、本体10が磁場領域を回避して走行するように制御すると同時に、補助掃除ユニットが突出しないように制御することができる。ここで、本体10に装着される信号センサーを磁石センサーとすることで、磁石ベルトなどで形成する磁場信号を感知することができる。
【0149】
突出制限領域の形成方法はこれに限定されず、本体10の進入を防ぐ進入防止線の形態にしてもよい。この場合、ロボット掃除機1は、進入防止線を電磁気的信号または光信号などを用いて感知したり、ビジョン認識を通じて感知したりできる。
【0150】
最終的に、障害物領域が突出制限領域と認知されると、補助掃除ユニット21,22が突出しないように制御し(S440)、突出制限領域でないと認知されると、補助掃除ユニット21,22が突出するように制御することで、障害物との隣接部に積もったホコリを掃除できるようにする(S450)。
【0151】
上述したロボット掃除機1の動作は、充電器80の他、ロボット掃除機1中のホコリを排出するための排出ステーションにも同様に適用することができる。
【0152】
一方、本発明の実施例では、ロボット掃除機1の補助掃除ユニット21,22が本体10の左側及び右側に装着されるとして説明したが、本発明が適用される補助掃除ユニットの個数及び装着位置に制限はない。
【符号の説明】
【0153】
210 入力部
220 障害物感知部
230 信号感知部
240 制御部
250 本体駆動部
260 メインブラシユニット駆動部
270 補助掃除ユニット駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床を走行する本体と、
前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部と、
前記本体の下部に突出及び収納可能に装着される補助掃除ユニットと、
前記障害物が感知されると、前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御し、充電器領域を認知し、前記充電器領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御する制御部と、
を備える、ロボット掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、前記本体の走行経路情報を含む掃除領域マップを生成して保存する、請求項1に記載のロボット掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、前記掃除領域マップにおいて前記本体の走行経路の開始位置を前記充電器位置と指定し、前記掃除領域マップにおいて指定された充電器位置に基づいて前記充電器領域を認知し、前記本体が前記充電器領域を回避して走行するように制御する、請求項2に記載のロボット掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、前記本体の充電状態を判断する、請求項1に記載のロボット掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、前記本体が充電中であるか、または、前記本体が充電を終了して後進走行すると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知する、請求項4に記載のロボット掃除機。
【請求項6】
前記充電器から送信する信号を感知する信号感知部をさらに備え、
前記制御部は、前記信号に基づいて前記充電器領域を認知し、前記本体が前記充電器領域を回避して走行するように制御する、請求項1に記載のロボット掃除機。
【請求項7】
前記信号は、前記充電器と前記本体とのドッキングのために、前記充電器へ前記本体の走行を導く信号、または前記充電器の前方または側方に一定の曲面を有する充電器領域を形成する信号である、請求項6に記載のロボット掃除機。
【請求項8】
前記制御部は、前記本体の停止状態で前記信号が感知されると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知する、請求項6に記載のロボット掃除機。
【請求項9】
床を走行する本体、前記本体に近接する障害物を感知する障害物感知部、及び前記本体の下部に突出及び収納可能に装着された補助掃除ユニットを有するロボット掃除機の制御方法であって、
前記床を走行しながら前記床を掃除し、
前記本体の走行経路上の障害物を感知し、
前記障害物が感知されると前記補助掃除ユニットが突出または収納されるように制御し、充電器領域を認知し、前記充電器領域では前記補助掃除ユニットが突出しないように制御する、ロボット掃除機の制御方法。
【請求項10】
前記充電器領域の認知は、前記本体の走行経路情報を含む掃除領域マップにおいて前記本体の走行経路の開始位置を前記充電器位置と指定し、前記掃除領域マップにおいて指定された充電器位置を前記充電器領域と認知する、請求項9に記載のロボット掃除機の制御方法。
【請求項11】
前記充電器領域の認知は、前記本体の充電状態を感知し、前記本体が充電中であると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知する、請求項9に記載のロボット掃除機の制御方法。
【請求項12】
前記充電器領域の認知は、前記本体の充電終了状態を感知し、前記本体が充電を終了して後進走行すると、あらかじめ定められた時間の間に前記本体が前記充電器領域に位置していると認知する、請求項9に記載のロボット掃除機の制御方法。
【請求項13】
前記充電器領域の認知は、前記充電器から送信する信号を感知し、前記信号に基づいて前記充電器領域を認知する、請求項9に記載のロボット掃除機の制御方法。
【請求項14】
前記信号は、前記充電器と前記本体とのドッキングのために前記充電器へ前記本体の走行を導く信号、または前記充電器の前方または側方に、一定の曲面を有する充電器領域を形成する信号である、請求項13に記載のロボット掃除機の制御方法。
【請求項15】
前記充電器領域の認知は、前記本体の停止状態で前記信号が感知されると、前記本体が前記充電器領域に位置していると認知する、請求項13に記載のロボット掃除機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−85964(P2013−85964A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231778(P2012−231778)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】