説明

ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置

【課題】 連続送りのロータリーキルンをバッチ送りも可能とし、また加熱材料も所定温度にコントロールできるようにしたロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置を提供する。
【解決手段】 傾斜支持したキルン3を正逆回転自在とする。また、キルン3内の掻き上げ羽根2はキルン3の正逆両回転時に材料を掻き上げ可能な形状となし、かつキルン3の材料排出端にはキルン3の正回転時に材料の排出を阻止し、キルン3の逆回転時に材料をキルン3外へと押し出す返し羽根10を配設する。また、キルン3の外周にはキルン正回転時に材料排出側の材料を材料投入側に循環させる材料循環パイプ11を螺旋状に周設する。そして、キルン3の正回転時には材料を返し羽根10にて排出を阻止して滞留させると共に、材料循環パイプ11を介して循環させながら加熱乾燥する。そしてキルン3の逆回転にて加熱材料をキルン3外へと排出することでバッチ送りを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨材等を所定温度に加熱乾燥するロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置は、例えばアスファルトプラントのドライヤ(特許文献1参照)のように、内周部に複数の掻き上げ羽根を備えた筒状のキルンを回転自在に支持し、該キルンを駆動用モータにより所定速度で回転させながら、キルンの一端側に配設したバーナから熱風を供給する一方、キルン内に投入した材料を掻き上げ羽根により掻き上げながらキルン内を転動流下させる間に所定温度まで加熱しており、主として連続的に材料を加熱乾燥するのに使用される。
【特許文献1】実開昭61−193109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置においては、キルン内に材料を連続的に供給し、キルン内を転動流下して連続的に送り出される加熱材料の温度(または排ガス温度(並流加熱方式の場合))を計測し、これをフィードバックさせてバーナ燃焼量を調整しているためにタイムラグがあり、材料供給量やバーナの燃焼状態が安定していないと加熱材料温度を所定値に収めることが難しく、特に、運転初めや終わりにキルンから排出される加熱材料の温度管理は難しく、シビアな温度管理が要求される製品に対しては品質を確保できない場合もあり得る。また、キルンは連続的に材料を加熱して送り出すものであるので、次工程の設備がバッチ式の場合には加熱材料を一時的に貯蔵する貯蔵容器がどうしても必要となるなど、キルンが連続送りであるがゆえの欠点もある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑み、連続送りのロータリーキルンをバッチ送りも可能とし、また加熱材料も所定温度にコントロールできるようにしたロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置は、内周部に複数の掻き上げ羽根を備えた筒状のキルンを回転自在に傾斜支持し、該キルンを駆動用モータにより所定速度で回転させながら、キルンの一端側に配設したバーナから熱風を供給する一方、キルン内に供給した材料を掻き上げ羽根により掻き上げながらキルン内を転動流下させる間に所定温度まで加熱するロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置において、前記キルンを回転させる駆動モータは正逆回転自在とすると共に、前記掻き上げ羽根はキルンの正逆の両回転時に材料を掻き上げ可能な形状となし、かつキルンの材料排出端にはキルンの正回転時に材料をキルンの材料投入側に向けて押し戻して排出を阻止し、キルンの逆回転時に材料をキルン外へと押し出す返し羽根を配設する一方、前記キルンの駆動モータの正逆回転を制御するキルン回転制御器を備え、かつキルンの正回転時にはキルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させる材料循環手段を配設したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置は、前記材料循環手段として、キルンの外周に所定径の材料循環パイプをキルン長さ方向に沿って螺旋状に周設し、材料循環パイプの一端をキルンの材料排出側に連結する一方、他端を材料投入側に連結し、キルンの正回転時にキルン材料排出側の材料を前記材料循環パイプ内に落とし込み、キルンの回転に伴って材料循環パイプ内を移動させて材料投入側に循環させるように構成したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置は、前記キルンを内筒と外筒から成る二重筒形状とし、該内筒と外筒の間に仕切り板をキルン長さ方向に沿って螺旋状に配設して材料循環通路を形成すると共に、材料循環通路の両端位置にはキルン内の材料の出入り口を形成し、キルンの正回転時にキルンの材料排出側の材料を前記材料循環通路内に落とし込み、キルンの回転に伴って材料循環通路内を移動させて材料投入側に循環させるように構成したことを特徴としている。
【0008】
また、請求項4記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置は、前記キルンの材料排出側に加熱材料温度を計測する温度センサーを備え、該温度センサーによる検出温度をキルン回転制御器に取り込み、キルンへの材料供給開始時にはキルンを正回転させてキルン内を流下する材料をキルン排出側の返し羽根にて押し戻してキルン内に滞留させながら加熱し、前記温度センサーによる検出温度が所定温度となればキルン回転制御器によってキルンを正回転から逆回転に切替え制御して加熱材料をキルン外へと送り出すように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置によれば、前記キルンを回転させる駆動モータは正逆回転自在とすると共に、前記掻き上げ羽根はキルンの正逆の両回転時に材料を掻き上げ可能な形状となし、かつキルンの材料排出端にはキルンの正回転時に材料をキルンの材料投入側に向けて押し戻して排出を阻止し、キルンの逆回転時に材料をキルン外へと押し出す返し羽根を配設する一方、前記キルンの駆動モータの正逆回転を制御するキルン回転制御器を備え、かつキルンの正回転時にはキルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させる材料循環手段を配設したので、キルンの正逆回転の切替によって材料の滞留、排出が自在となって次工程へバッチ送りとでき、連続送りのロータリーキルンがバッチ設備にも採用可能となる。また、キルンを正回転させる材料排出阻止時には、材料循環手段にてキルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させて掻き上げ羽根にて再度掻き上げて熱風と接触させることで、キルンの加熱効率も向上でき、また材料温度も均一化できる。なお、キルンの逆回転では従来と同様の連続送りとなり、バッチ送りと連続送りの両方の機能を兼ね備える。また、キルンのバッチ送りによってキルン内での材料の滞留時間を任意に設定可能であるので、運転初めの加熱材料も所定温度にコントロールすることが可能である。
【0010】
また、請求項2記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置によれば、前記材料循環手段は、キルンの外周に所定径の材料循環パイプをキルン長さ方向に沿って螺旋状に周設し、材料循環パイプの一端をキルンの材料排出側に連結する一方、他端を材料投入側に連結し、キルンの正回転時にキルン材料排出側の材料を前記材料循環パイプ内に落とし込み、キルンの回転に伴って材料循環パイプ内を移動させて材料投入側に循環させるように構成したので、キルンを正回転させる材料排出阻止時には、材料循環パイプを介してキルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させて掻き上げ羽根にて再度掻き上げることで掻き上げ量を増し、熱風との接触機会を増加させるためにキルンの加熱効率を向上でき、また材料温度も均一化できる。
【0011】
また、請求項3記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置によれば、前記キルンを内筒と外筒から成る二重筒形状とし、該内筒と外筒の間に仕切り板をキルン長さ方向に沿って螺旋状に配設して材料循環通路を形成すると共に、材料循環通路の両端位置にはキルン内の材料の出入り口を形成し、キルンの正回転時にキルンの材料排出側の材料を前記材料循環通路内に落とし込み、キルンの回転に伴って材料循環通路内を移動させて材料投入側に循環させるように構成したので、キルンを正回転させる材料排出阻止時には、材料循環通路を介してキルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させて掻き上げ羽根による掻き上げ量を増すことでキルンの加熱効率を向上でき、また材料温度も均一化できる。また、循環させる材料を多くしたいときには前記材料循環パイプよりも好適な構造となる。
【0012】
また、請求項4記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置によれば、キルンの材料排出側に加熱材料温度を計測する温度センサーを備え、該温度センサーによる検出温度をキルン回転制御器に取り込み、キルンへの材料供給開始時にはキルンを正回転させてキルン内を流下する材料をキルン排出側の返し羽根にて押し戻してキルン内に滞留させながら加熱し、前記温度センサーによる検出温度が所定温度となればキルン回転制御器によってキルンを正回転から逆回転に切替え制御して加熱材料をキルン外へと送り出すように構成したので、加熱材料が所定温度となるまでキルン内に滞留させることで加熱材料を所定温度にコントロールできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置にあっては、傾斜支持したキルンを回転させる駆動モータを正逆回転自在とすると共に、キルン内周部に配設した掻き上げ羽根はキルンの正逆の両回転時にも材料を掻き上げ可能な形状とし、キルンを正回転または逆回転させても投入した材料を掻き上げてベール状に落下させながらキルンの傾斜に沿って材料排出側へと送る構成としている。
【0014】
前記キルンの材料排出端にはキルンの正回転時に材料をキルン材料投入側に向けて押し戻して排出を阻止し、キルンの逆回転時に材料をキルン外へと押し出す返し羽根を配設すると共に、キルンの駆動モータの正逆回転を制御するキルン回転制御器を備え、キルン回転制御器の指令にてキルンの正回転時には返し羽根によって材料を排出せずにキルン内に滞留させる一方、キルンの逆回転時には返し羽根によって材料をキルン外に送り出すようにしている。
【0015】
キルンを正回転させて材料を排出せずにキルン内に滞留させるときには、材料がキルンの材料排出側に偏って滞留するため、材料への伝熱は滞留部のみの掻き上げが主体となり、上流側の掻き上げによる伝熱が行われないので加熱効率が低下する。このため、キルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させる材料循環手段を配設し、加熱効率を高めるようにしている。
【0016】
また、キルンの材料排出側に加熱材料温度を計測する温度センサーを備え、該温度センサーによって検出した加熱材料温度をキルン回転制御器に取り込み、該加熱材料温度が所定の設定温度となればキルンの回転切替を指令するようにしている。
【0017】
したがって、前記ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置は、キルンを正回転させると、キルンの材料排出端の返し羽根によって材料の排出を阻止すると共に、キルンの材料排出側に到達した材料を材料循環手段によって材料投入側へと循環させながら加熱乾燥する一方、キルンを逆回転させると材料をキルン外へ送り出すようになっており、キルンの正逆回転切替によって次工程へのバッチ送り可能となる一方、キルンを逆回転させると連続送りともなり、バッチ送りと連続送りの両方の送り機能を有している。
【0018】
そして、ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置をバッチ送りにして次工程のバッチ設備に材料を供給する場合には、キルンへの材料投入開始時にはキルンを正回転させてキルン内を転動流下する材料をキルン排出端の返し羽根にて押し戻して排出を阻止しておく。そして、所定量の材料をキルン内に投入し、掻き上げ羽根によって掻き上げながらキルンの傾斜に沿って材料を材料排出側へと流下させ、キルンの材料排出側に到達した材料を材料循環手段によって材料投入側へと循環させながら所定温度まで加熱乾燥する。そして、次工程への材料供給要請があればキルン回転制御器の指令によってキルンを逆回転させる。このとき、温度センサーによって検出した加熱材料温度をキルン回転制御器に取り込み続け、加熱材料温度が所定の設定温度となっているのを確認後にキルンを逆回転すると良い。
【0019】
このキルンの回転切替によって、返し羽根が材料の押し戻し作用から材料をキルン外へと押し出す作用を発揮するようになり、キルン内で加熱した材料をキルン外へと送り出す。そして、次工程に所定量の加熱材料を送り出すと、キルン回転制御器の回転切替指令によってキルンを正回転させて送り出しを停止すると共に、次バッチの材料をキルン内に供給し、キルン内に滞留させながら加熱乾燥し、次工程への供給に備えるのである。
【0020】
また、ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置を連続送りにして次工程に供給する場合には、キルンへの材料投入開始時には前記と同様にキルンを正回転させてキルン内を転動流下する材料をキルン排出端の返し羽根にて押し戻してキルン内に滞留させる一方、材料循環手段によって材料投入側へと循環させながら加熱し、温度センサーによって検出した加熱材料温度をキルン回転制御器に取り込み、加熱材料温度が所定の設定温度となればキルン回転制御器によってキルンを正回転から逆回転に切替え制御して加熱材料をキルン外へと送り出すようにする。これによって、材料供給やバーナの燃焼状態が安定していない運転初めにおいても加熱材料を所定温度にコントロールでき、シビアな温度管理が要求される製品の製造に対しても品質を確保できる。
【0021】
このように、キルンを正逆回転可能とし、キルンの材料排出端にはキルン正回転時に材料の排出を阻止し、キルン逆回転時に材料をキルン外へと押し出す返し羽根を配設することで、材料の滞留・排出が自在となってバッチ送りとできる。また、キルン正回転時にキルンの材料排出側に到達した材料を材料循環手段によって材料投入側へと循環させることで、キルンの加熱効率も向上でき、また材料温度も均一化できる。また、キルンの逆回転では従来と同様の連続送りとなり、バッチ送りと連続送りの両方の機能を兼ね備える。また、バッチ送りとするとキルン内での材料の滞留時間が自在であるので、加熱材料を所定温度にコントロールすることができる。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置の概略構成図であり、材料加熱乾燥装置1は、内周部に多数の掻き上げ羽根2を周設した円筒状のキルン3を機台4上に回転自在に傾斜支持し、正逆回転自在の駆動モータ5により所定の回転速度で、正回転または逆回転できるようにしている。
【0024】
キルン3の一端部にはバーナ6を配設し、該バーナ6を燃焼させてキルン3内に熱風を送り込むと共に、キルン他端部の排気ダクト7下流の排風機(図示せず)によって燃焼ガスを吸引排気する一方、材料ホッパ(図示せず)から払い出した材料をベルトコンベヤ8を介してキルン3内に投入し、材料がキルン3内を転動流下する間に所望の温度まで加熱し、排出口9より排出している。また、排気ダクト7の下流には集塵機(図示せず)を配設し、排ガス中のダストを捕捉して清浄となった排ガスを煙突(図示せず)から大気中に放出している。
【0025】
前記キルン3の材料排出端の内周部には、キルン3の正回転時に供給した材料をキルン3の材料投入側に向けて押し戻して排出を阻止し、キルン3の逆回転時に材料を排出口9へと押し出す返し羽根10を配設している。この返し羽根10は、所定長さの板体をキルン3の内周壁にキルン軸線に対して若干傾斜させて複数立設しており、これによってキルン3の正・逆回転時には前記板体で材料を押しながらキルン3の軸線方向に対して正・逆方向に移動可能としている。また、キルン3は正逆回転するため、掻き上げ羽根2を、図2のように、例えば断面略T型とし、キルン3が正逆の両回転時にも材料を掻き上げられるようにしている。
【0026】
したがって、キルン3を正回転させると、投入した材料は、掻き上げ羽根2によって掻き上げられてキルン3内をベール状に落下する間に、キルン3内を通過する熱風と接触して加熱乾燥されながら、キルン3の傾斜に沿って転動流下するが、キルン3の材料排出端の返し羽根10によって押し戻されて排出が阻止され、キルン3内に滞留することとなる。また、キルン3を逆回転すると、前記返し羽根10が材料をキルン3の材料排出側へと押し出す作用をすることとなるので、キルン3内の材料は、掻き上げ羽根2によって掻き上げられて落下しながらキルン3の傾斜に沿って転動流下し、排出口9から排出されることとなる。
【0027】
また、キルン3を正回転させて材料を排出せずにキルン3内に滞留させるとき、キルン3の材料排出側の材料を材料投入側へと循環させる材料循環手段である材料循環パイプ11を配設している。該材料循環パイプ11は、キルン3の外周に所定径のパイプをキルン長さ方向に沿って螺旋状に複数条周設しており、材料循環パイプ11の一端をキルン3の材料排出側に貫通させて連結し、入口部11aを形成する一方、他端を材料投入側に貫通させて連結し、出口部11bを形成している。
【0028】
前記材料循環パイプ11の入口部11aは、図2のように、キルン3を実線の矢印で示す正方向に回転させると、材料をすくい上げて材料循環パイプ11内に落とし込むようにし、またキルン3を点線の矢印で示す逆方向に回転させると、材料を材料循環パイプ11内に落とし込まないような構造としている。また、材料循環パイプ11の出口部11bは、図3のように、実線の矢印で示す正方向、及び点線の矢印で示す逆方向に回転しても開口したパイプ端から材料が入らないようにパイプ端をキルン3内壁面から高い位置とする共に、掻き上げ羽根2から落下する材料が入らないように投入防止用カバー12を取り付けている。
【0029】
前記キルン3の回転制御は、キルン回転制御器13によって自動または手動操作によって行われる。また、キルン3の返し羽根10の上流直近の加熱材料温度を計測する温度センサー14を備え、該温度センサー14による検出温度をキルン回転制御器13に取り込んでいる。そして、キルン回転制御器13の自動制御は、例えば、キルン3をバッチ送りとするときには、材料投入開始時にはキルン3を正回転させて材料をキルン3内に滞留させ、次工程のバッチ設備からの材料供給要求があり、かつ温度センサー14による検出温度が所定の設定温度となればキルン3を逆回転に切替え制御して加熱材料をキルン3外へ送り出し、次工程への送り出し量が所定量に達した信号によりキルン3を正回転に切り替えて送り出しを停止すると共に、次バッチの材料を所定量投入するようにプラグラミングされている。
【0030】
図1の実施例では、材料加熱乾燥装置1は、材料の流れと熱風の流れが同一方向の並流加熱方式を採用しており、この並流加熱方式では、排ガス温度に基づいてバーナ6の燃焼量を調整制御するようにすると加熱材料温度も制御しやすいことから、排気ダクト7には排ガス温度を計測する排ガス温度センサー15を備え、該排ガス温度センサー15にて検出する排ガス温度と加熱材料温度との関係から目標とする排ガス設定温度を逐次求め、この排ガス温度設定値と排ガス検出温度との差値量に基づいてバーナ6の燃焼量を調整制御している。なお、加熱材料温度からバーナ6の燃焼量を制御することも可能である。
【0031】
次に、上記ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置1においてバッチ送りにて材料を加熱乾燥する場合について説明する。先ず、キルン3を正回転させながらバーナ6よりキルン3内に熱風を供給する一方、ベルトコンベヤ8から所定量の材料を投入する。投入された材料は掻き上げ羽根2によって掻き上げながらキルン3内を転動流下する間に加熱乾燥され、キルン3の材料排出端の返し羽根10に達するが、この返し羽根10はキルン3の正回転時には材料を材料投入側に押し戻して排出を阻止し、キルン3内に材料を滞留させる。
【0032】
キルン3の材料排出側に到達した材料は、材料循環パイプ11の入口部11aにてすくい上げられて材料循環パイプ11内に落とし込まれ、キルン3の回転に伴って材料の重力にて循環パイプ11内を移動し、循環パイプ11の出口部11bからキルン3内に循環され、掻き上げ羽根2によって再度掻き上げられてベール状に落下する間に熱風と接触して加熱乾燥される。
【0033】
また、キルン3内に滞留する材料は、温度センサー14によって温度を検出されてキルン回転制御器13に取り込まれ、加熱材料温度が所定の設定温度となり、かつ次工程の材料供給要請があればキルン回転制御器13によってキルン3を逆回転に切替える。キルン3が逆転すると、返し羽根10はキルン3内の加熱材料をキルン3外へと送り出す作用を発揮するため、加熱材料はキルン逆回転時にも掻き上げ機能を有する掻き上げ羽根2によって掻き上げながらキルン3内を転動流下して排出口9から排出され、次工程へと送られる。
【0034】
加熱材料の所定量が次工程へと送られると、その供給停止信号がキルン回転制御器13に送り込まれ、キルン回転制御器13はキルン3を正回転に切替え、これによって、キルン3の材料排出側の返し羽根10が材料を材料投入側に押し戻して排出を阻止すると共に、次バッチの材料がキルン3内に投入される。この繰り返しによってキルン3は加熱材料をバッチ送りにて次工程へと供給していく。
【0035】
また、上記ロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置において連続送りにて材料を加熱乾燥する場合は、材料供給やバーナの燃焼状態が安定していない運転初めにおいても加熱材料を所定温度にコントロールするために、先ず、運転開始時には前記バッチ送りと同様に、キルン3を正回転しながら材料を掻き上げ羽根2によって掻き上げて加熱し、キルン3の材料排出側の返し羽根10に達すると、該返し羽根10によって材料を材料投入側に押し戻して排出を阻止し、キルン3内に材料を滞留させると共に、その材料の一部を材料循環パイプ11を介して循環させる。そして、温度センサー14によって検出した加熱材料温度をキルン回転制御器13に取り込み、加熱材料温度が所定の設定温度となれば、キルン回転制御器13によってキルン3を逆回転に切替える。これによって返し羽根10はキルン3内の加熱材料をキルン3外へと送り出すこととなり、次工程へと連続的に材料を供給していくのである。
【0036】
このように、キルン3の正逆回転の切替によって材料の滞留、排出が自在となってバッチ送りとでき、連続送りのロータリーキルンがバッチ設備にも採用可能となる。また、材料循環パイプ11を介してキルン3の材料排出側の材料を材料投入側へと循環させることで、掻き上げ羽根2による掻き上げ量を増し、熱風との接触機会を増加させてキルン3の加熱効率を向上できる。また、加熱材料が所定温度となるまでキルン3内に滞留させることで加熱材料を所定温度にコントロールでき、材料供給量やバーナ6の燃焼状態が安定していない運転初めにおいても加熱材料を所定温度にコントロールでき、シビアな温度管理が要求される製品の製造に対しても品質を確保できる。
【実施例2】
【0037】
図5は材料循環手段の他の実施例であり、図5において図4と同一符号は同一構成要素を示し、その説明は省略する。キルン3は内筒16と外筒17から成る二重筒形状とし、内筒16と外筒17の間に仕切り板18をキルン長さ方向に沿って螺旋状に配設して材料循環通路19を形成すると共に、材料循環通路19の両端位置には実施例1と同様に、キルン3内の材料の出入り口である入口部19aと出口部19bを形成している。そして、キルン3を矢印の方向で示す正方向の回転時に、キルン3の材料排出側の材料を入口部19aから材料循環通路19内に落とし込み、キルン3の回転に伴って材料循環通路19内を重力によって矢印方向に移動させ、キルン3の出口部19bから排出して材料投入側に循環させるようにしている。この材料循環手段であれば、実施例1の材料循環パイプ11よりも多量の材料を循環させることが可能となる。
【0038】
なお、上記実施例では、キルン3内を流下する材料に対して熱風を同一方向に供給して加熱する並流加熱方式を採用しているが、材料と熱風が互いに反対方向に流れる向流加熱方式を採用しても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るロータリキルン式の材料加熱乾燥装置の一実施例を示す一部切り欠きした概略説明図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1の一部省略した斜視図である。
【図5】他の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1…材料加熱乾燥装置 2…掻き上げ羽根
3…キルン 5…駆動モータ
6…バーナ 8…ベルトコンベヤ
9…排出口 10…返し羽根
11…循環パイプ(材料循環手段) 11a…入口部
11b…出口部 12…投入防止用カバー
13…キルン回転制御器 14…温度センサー
15…排ガス温度センサー 16…内筒
17…外筒 18…仕切り板
19…材料循環通路(材料循環手段) 19a…入口部
19b…出口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周部に複数の掻き上げ羽根を備えた筒状のキルンを回転自在に傾斜支持し、該キルンを駆動用モータにより所定速度で回転させながら、キルンの一端側に配設したバーナから熱風を供給する一方、キルン内に供給した材料を掻き上げ羽根により掻き上げながらキルン内を転動流下させる間に所定温度まで加熱するロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置において、前記キルンを回転させる駆動モータは正逆回転自在とすると共に、前記掻き上げ羽根はキルンの正逆の両回転時に材料を掻き上げ可能な形状となし、かつキルンの材料排出端にはキルンの正回転時に材料をキルンの材料投入側に向けて押し戻して排出を阻止し、キルンの逆回転時に材料をキルン外へと押し出す返し羽根を配設する一方、前記キルンの駆動モータの正逆回転を制御するキルン回転制御器を備え、かつキルンの正回転時にはキルンの材料排出側の材料を材料投入側へと循環させる材料循環手段を配設したことを特徴とするロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置。
【請求項2】
前記材料循環手段は、キルンの外周に所定径の材料循環パイプをキルン長さ方向に沿って螺旋状に周設し、材料循環パイプの一端をキルンの材料排出側に連結する一方、他端を材料投入側に連結し、キルンの正回転時にキルン材料排出側の材料を前記材料循環パイプ内に落とし込み、キルンの回転に伴って材料循環パイプ内を移動させて材料投入側に循環させるように構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置。
【請求項3】
前記キルンを内筒と外筒から成る二重筒形状とし、該内筒と外筒の間に仕切り板をキルン長さ方向に沿って螺旋状に配設して材料循環通路を形成すると共に、材料循環通路の両端位置にはキルン内の材料の出入り口を形成し、キルンの正回転時にキルンの材料排出側の材料を前記材料循環通路内に落とし込み、キルンの回転に伴って材料循環通路内を移動させて材料投入側に循環させるように構成したことを特徴とする請求項1記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置。
【請求項4】
前記キルンの材料排出側に加熱材料温度を計測する温度センサーを備え、該温度センサーによる検出温度をキルン回転制御器に取り込み、キルンへの材料供給開始時にはキルンを正回転させてキルン内を流下する材料をキルン排出側の返し羽根にて押し戻してキルン内に滞留させながら加熱し、前記温度センサーによる検出温度が所定温度となればキルン回転制御器によってキルンを正回転から逆回転に切替え制御して加熱材料をキルン外へと送り出すように構成したことを特徴とする請求項1乃至3記載のロータリーキルン式の材料加熱乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−117075(P2010−117075A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290470(P2008−290470)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】