説明

ロータリースピーカー装置

【課題】ロータリーホーンのスロー、ファーストの他に、再生音の強弱をホーン回転数の緩急へ変換する3種類の回転が選択でき、軽く持ち運びができて、音質の良いロータリースピーカー装置を提供する。
【解決手段】本ロータリースピーカー装置は、背面から延設された錘を備えたコンプレッションドライバ25bを筒形状筐体1の上端に上向きに設置し、その上部に円筒固定軸3aを設置し、さらにその上部へ垂直の円筒回転軸27から伸びて婉曲成型したホーン5bを重ね合わせ、モーターを駆動させて、プーリー、ベルトを介してホーン5bを回転させることで、コンプレッションドライバ25bから出た音源が円筒固定軸3a内からホーン5b内を通って回転しながら放出拡散させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源の変化を図ったロータリースピーカー装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術のロータリースピーカー装置は、音を忠実に再生するためではなく、音を変更するデバイスとして設計された。
従来技術のロータリースピーカー装置について、図面を参照して以下に説明する。従来のロータリースピーカー装置は、図19に示すような外観であり、装置の内部は、図4に示すように3つの空間に分けられている。上部の空間には婉曲成型したホーン5bが格納されており、中間の空間にはコンプレッションドライバ25b,低音スピーカー25c、および、パッシブクロスオーバー16が格納されている。また、中間の空間は、低音スピーカー用のバスレフの筐体の役目をしている。そして下部の空間には、バスローター31と増幅アンプ18が格納されている。
【0003】
従来技術のロータリースピーカー装置の筐体周囲の4方向にある音の出口28は、上方の出口が高音、下方の出口が低音を、それぞれ放出するようになっている。また、筐体裏側の部分は広く開いており、音の通りが良い構造になっている。
【0004】
パッシブクロスオーバー16により800ヘルツから上の周波数に分けられたコンプレッションドライバ25bは、仕切り板41の下側から全面を上向きにして設置されている。コンプレッションドライバ25bの上側には、垂直円筒固定軸3aが配置され接続されている。この垂直円筒固定軸3aがスラストベアリングの役目を果たし、上部空間の一対のベルの形に成型された黒いベークライトの婉曲成型したホーン5bの垂直部分の円筒回転軸につながっている。婉曲成型したホーン5bの垂直部分の円筒回転軸には、プーリー8aが固定され、モーター4からプーリー8b,ベルト20を介して、プーリー8aを回転させて、婉曲成型したホーン5bを、1分間に約400回転および約40回転で回転させることができる。従来技術のロータリースピーカー装置は、婉曲成型したホーン5bの回転により、筐体周囲の4方向にある音の出口28から、方向性のある音として放射拡散している。
【0005】
また、パッシブクロスオーバー16により800ヘルツから下の周波数に分けられた低音スピーカー25cも、同じく仕切り板41に全面を下向きに設置されている。モーター4からプーリー8bおよびベルト20を介して、婉曲成型したホーン5bとは反対回りに、上記2種類の回転数、すなわち、1分間に約400回転および約40回転で、バスローター31から音を放射拡散している。
【0006】
ここで、コンプレッションドライバ25bとは、高音域が出るツイータスピーカーのことである。またモーター4には、交流のブラシレスモーターが使用されている。
【0007】
また、パッシブクロスオーバー16とは、高音域を受け持つツイータスピーカー、低音域を受け持つウーファスピーカーなど再生帯域に応じて、複数個のスピーカーの周波数帯域を分割するフィルターのことであり、パッシブクロスオーバー16を使用することにより幅広い周波数帯域を再生できるものである。
【0008】
上述したように、従来技術のロータリースピーカー装置では、図4のような構造のために、スピーカー筐体が箱型形状をしている。スピーカー筐体42内でコンプレッションドライバ25b、低音スピーカー25cが音を放射する時、磁気回路部分のスピーカーの振動板を振動させるマグネット等は、片方だけがフレームによって支えられ、宙吊り状態で振動板に接続されたコイルの反作用を受け振動する。
この振動が仕切り板41から、スピーカー筐体42に伝達して箱鳴りを生じ、その振動はスピーカー筐体42から仕切り板41、そしてコンプレッションドライバ25b、低音スピーカー25c本体に再び伝達して戻り、基の原波形音波を構成する要素波形音波と比較して時間差による位相の乱れた不要な振動が混ざり合ってスピーカーの振動板からの原波形音波の忠実な再現性を悪くする要因になっていた。
上記の時間差による位相の乱れた不要な振動が混ざり合ってスピーカー振動板からの原波形音波の忠実な再現性を悪くする問題は、大音量になるほど、顕著に現れる問題であった。
【0009】
さらに、図4に示すように、スピーカー筐体42内の低音スピーカー25c本体の振動板背面から輻射した原波形音波が、スピーカー筐体42内部の各壁面に反射してぶつかりあい、音響インピーダンスのリアクタンス分を増加させ、その結果、低音スピーカー25c正面から放射される音圧が変化し、原波形音波と比較して時間差による位相の乱れた不要な周波数が混ざって、スピーカー正面から放射する再生音質を阻害する要因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001-224089号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】鈴木楽器カタログ2002,株式会社鈴木楽器製作所
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した如く、従来技術のロータリースピーカー装置では、箱型形状のスピーカー筐体42にスピーカーのフレーム部分だけで固定しているために、スピーカーのマグネット部分の振動を抑えることができず、その振動がスピーカーのフレームを介してスピーカー筐体に伝達され、箱鳴りという板振動を誘発していた。この箱鳴りという板振動は、スピーカーのフレームを介して再度スピーカーユニットに伝達され、スピーカーユニット全体に不要な振動を与え、その結果、スピーカーの振動板の原波形音波に重畳して、さらにスピーカーの再生音質を悪く劣化させていた。
【0013】
また、従来技術のロータリースピーカー装置では、上記の箱型形状のスピーカー筐体42にある低音スピーカー25c本体の振動板背面から輻射した原波形音波が、筐体42内部の各壁面に反射してぶつかりあい、音響インピーダンスのリアクタンス分を増加させ、その結果、低音スピーカー25cの正面から放射される音圧が変化し、原波形音波と比較して時間差による位相の乱れた不要な周波数が重畳して、スピーカー正面から放射する再生音質を阻害する要因になっていた。
【0014】
また、従来技術のロータリースピーカー装置における婉曲成型したホーン5bは、スピーカー筐体内で水平方向に360度回転して音源を放射している。しかしながら、従来技術のロータリースピーカー装置のような箱型のスピーカー筐体42では、縦側面の4方向に音の出口28があることから、裏面を壁際に向けて設置する場合には、音の出口28の一方向を塞いでしまう事態となる。この場合、残り3方向の音の出口28から音が出るだけとなり、ビブラートやトレモロの振幅変調、ドップラー効果の周波数変調及び空間変調の変化とコーラス効果音の働きが、3方向だけに限定されてしまうといった問題が生ずる。
【0015】
さらに、従来技術のロータリースピーカー装置では、スピーカー筐体がスピーカーのユニットの振動を抑えるために厚い木材で製作され、また筐体内部には大型スピーカー、真空管アンプ、モーター類及び他装置が設置されていることから、総重量が70kg程度あり、筐体自体も大型で設置面積が大きく、装置の持ち運びが不便であり、演奏会場等への頻繁な搬入や移動の際に多くの労力が必要であった。
【0016】
またさらに、従来技術のロータリースピーカー装置では、高音部分筐体と低音部分筐体を切り離して商品化したものがあるが、高音部分筐体が約20kg、低音部分筐体が約40kgありこれらの筐体を合わせて使用した場合には、重量が約60kgであり一人では簡単に移動できない重さになる。
【0017】
上記状況に鑑みて、本発明は、原波形音波と比較して時間差による位相の乱れた不要な周波数が重畳するといった時間関係の乱れが少なく、音源の低周波の複雑な波形の位相を忠実に再生でき、360度の全方向にその音源を水平方向に放出できると共に、装置本体の重量を低減させ持ち運びの利便性に優れたロータリースピーカー装置を提供することを目的とする。
更に、本発明は、音の表現力向上を図れるロータリースピーカー装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成すべく、本発明は、従来技術のロータリースピーカー装置が有する上述した問題を、タイムドメイン理論で解決しようとするもので、音源の低周波の複雑な波形の位相を忠実に再生した音を、ロータリースピーカー装置から360度の全方向にその音源を水平方向に放出させるものである。
また、婉曲成型したホーン5bの回転数を再生音量の強弱に同期して緩急変換制御することで音の表現力向上を図るものである。
【0019】
ここで、タイムドメイン理論とは、音圧波形を忠実に再生することで音の形を正しく再生するという時間領域で考えるものであって、音の歪みの原因となるスピーカー本体の不要な振動や内部での反射を抑制し、本来の波形をそのまま再現することで、音の発生から消滅まで時間的な過程を再現して限りなく原音に忠実な再現を追求して、録音された通りの音を再生する理論である。
【0020】
すなわち、本発明の第1の観点のロータリースピーカー装置は、マグネット,フレーム,振動板,および前記マグネットの背面から延設した錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、振動板を振動させ、振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカーユニットと、
直立の筒形状筐体であって、筒形状筐体の上面開口部に振動板の前面を上向きにしてスピーカーユニットが固着され、筒形状の底面開口部を備えたスピーカー筐体と、
から構成されるスピーカー装置において、
1)スピーカーユニットのフレームの上下を防振材により挟持させて、筒形状筐体の内壁面と当接する部分と固着させ、
2)スピーカーユニットの真上に、軸方向が垂直の円筒固定軸が設けられ、
3)円筒固定軸に軸着される円筒回転軸を有する婉曲成型されたホーンと、
4)円筒回転軸を回動させる駆動手段と、
を備えた構成とされる。
【0021】
かかる構成によれば、タイムドメイン理論を用いて、音源の低周波の複雑な波形の位相を忠実に再生した音を、ロータリースピーカー装置の上部と下部の2ヶ所から360度の全方向にその音源を水平方向に放出させることができる。
また、装置本体の重量を低減させることが可能で、持ち運びなどの利便性が向上する。
【0022】
また、本発明の第2の観点のロータリースピーカー装置は、上記第1の観点のロータリースピーカー装置において、第2マグネット,第2フレーム,第2振動板,および前記第2マグネットの背面から延設した第2錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、第2振動板を振動させ、第2振動板の前面から音波を発生して放射する第2スピーカーユニットを更に備え、
第2スピーカーユニットは、上述のスピーカー筐体の底面開口部に、第2振動板の前面を下向きにして、第2フレームの上下を、防振材に挟持させて筒形状筐体の内壁面と当接する部分と固着させ、
筒形状筐体上部乃至中央部の側面全周に音の出口孔を設けた、構成とされることが好ましい態様である。
【0023】
かかる構成によれば、音源の低周波の複雑な波形の位相を忠実に再生した音を、ロータリースピーカー装置の上部,中部,下部の3ヶ所から360度の全方向にその音源を水平方向に放出させることができる。
【0024】
また、本発明の第3の観点のロータリースピーカー装置は、上記第1の観点又は第2の観点のロータリースピーカー装置において、音楽調光制御ユニットを更に設け、低周波信号の信号電流を音楽調光制御ユニットに入力し、低周波信号の強弱に応じて連続的に同期して音楽調光制御が行われ、音楽調光制御ユニットの出力電圧信号を前記駆動手段に印加して、当該楽音の信号電流の強弱に同期してホーンの回転数を無段階に緩急変換制御できる構成とすることがより望ましい。
【0025】
かかる構成によれば、楽音の信号電流の強弱に同期してホーンの回転数を無段階に緩急変換制御でき、音の表現力向上を図ることができる。
【0026】
ここで、本発明の第2の観点または第3の観点のロータリースピーカー装置は、筒形状筐体上部乃至中央部の側面全周に音の出口孔を設けた部分の外周に設けられた第2筒形状筐体と、第2筒形状筐体を支持するガイドレールと、第2筒形状筐体を回転させる第2駆動装置を更に備え、第2筒形状筐体は、側面の一部分に音の第2出口孔が設けられ、ガイドレールに沿って第2筒形状筐体を第2駆動装置で回転させることにより、音が筒形状筐体の側面に設けられた音の出口孔から第2筒形状筐体の側面の第2出口孔を通り回転しながら外へ放射拡散する構成であることがより好ましい態様である。
【0027】
かかる構成によれば、ロータリースピーカー装置の中部から360度の全方向に音源を水平方向にうねらせて放出させることができる。
【0028】
また、本発明の第2の観点または第3の観点のロータリースピーカー装置は、第2スピーカーユニットの下側に垂直方向に軸着され、回転軸となる垂直のシャフトに固定され、上方の内側面から対向する下方の内側面にかけて垂直から次第に水平になる婉曲した滑り台形状をした回転ドラムと、回転ドラムを回転させる第3駆動装置と、を更に備え、回転ドラムを回転させることにより、第2スピーカーユニットから下方向に放射された音波が回転ドラムの滑り台形状を通って回転しながら外へ放射拡散する構成であることがより好ましい態様である。
【0029】
かかる構成によれば、ロータリースピーカー装置の下部から360度の全方向に音源を水平方向にうねらせて放出させることができる。
【0030】
また、本発明の第2の観点または第3の観点のロータリースピーカー装置は、筒形状筐体の開口部下面に配設した第2スピーカーユニットから出る音波を、電子的にビブラート効果、トレモロ効果、若しくは、コーラス効果を与えるシミュレート手段を、更に備えたことがより好ましい態様である。
【0031】
かかる構成によれば、ロータリースピーカー装置の下部から360度の全方向に水平方向に放出される音波に対して、音の表現力向上を図ることができる。
【0032】
さらに、上述の本発明のロータリースピーカー装置において、筒形状筐体の内部に螺旋形状の音道を設けることがより好ましい態様である。
かかる構成によれば、実質的に筒形状筐体を長くしたことと同等になるため、低域音を膨らませることなく、伸ばすことが可能となる。これにより、第2スピーカーユニットでも低域再生音が豊かにすることができる。
【0033】
また、本発明の第4の観点のロータリースピーカー装置は、マグネット,フレーム,振動板,および前記マグネットの背面から延設した錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、振動板を振動させ、振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカーユニットと、
直立の箱型筐体であって、箱型筐体の上部に前記振動板の前面を上向きにしてスピーカーユニットが固着されたスピーカー筐体と、
から構成されるスピーカー装置において、
1)スピーカーユニットのフレームの上下を防振材により挟持させて、箱型筐体の筐体フレームと当接する部分と固着させ、
2)スピーカーユニットの真上に、軸方向が垂直の円筒固定軸が設けられ、
3)円筒固定軸に軸着される円筒回転軸を有する婉曲成型されたホーンと、
4)円筒回転軸を回動させる駆動手段と、
を備えた構成とされる。
【0034】
かかる構成によれば、従来技術のロータリースピーカー装置に存在する箱鳴りという板振動の発生を防ぎ、スピーカーの振動板の原波形音波に重畳して、さらにスピーカーの再生音質を悪く劣化させるといった問題を回避できる。
【0035】
また、本発明の第5の観点のロータリースピーカー装置は、上記第1の観点のロータリースピーカー装置において、第2マグネット,第2フレーム,第2振動板,および前記第2マグネットの背面から延設した第2錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、第2振動板を振動させ、第2振動板の前面から音波を発生して放射する第2スピーカーユニットを更に備え、
第2スピーカーユニットは、上述のスピーカー筐体の下部に、第2振動板の前面を下向きにして、第2フレームの上下を、防振材に挟持させて箱型筐体の筐体フレームと当接する部分と固着させ、
箱型筐体の下部側面に音の出口孔を設けた、構成とされることが好ましい態様である。
【0036】
かかる構成によれば、従来技術のロータリースピーカー装置に存在する箱鳴りという板振動の発生を防ぎ、スピーカーの振動板の原波形音波に重畳して、さらにスピーカーの再生音質を悪く劣化させるといった問題を回避できる。
【0037】
また、本発明の第6の観点のロータリースピーカー装置は、上記第4の観点又は第5の観点のロータリースピーカー装置において、音楽調光制御ユニットを更に設け、低周波信号の信号電流を音楽調光制御ユニットに入力し、低周波信号の強弱に応じて連続的に同期して音楽調光制御が行われ、音楽調光制御ユニットの出力電圧信号を駆動手段に印加して、当該楽音の信号電流の強弱に同期してホーンの回転数を無段階に緩急変換制御できる構成とすることがより望ましい。
【0038】
かかる構成によれば、楽音の信号電流の強弱に同期してホーンの回転数を無段階に緩急変換制御でき、音の表現力向上を図ることができる。
【0039】
さらにまた、本発明の第3の観点又は第6の観点のロータリースピーカー装置において、少なくとも一色の発光ダイオードが設けられ、音楽調光制御ユニットの出力電圧信号に応じて発光ダイオードを発光させることがより好ましい態様である。
かかる構成によれば、音の表現力をより向上できる。
【発明の効果】
【0040】
本発明のロータリースピーカー装置によれば、原波形音波と比較して時間差による位相の乱れた不要な周波数が重畳するといった時間関係の乱れが少なく、音源の低周波の複雑な波形の位相を忠実に再生でき、360度の全方向にその音源を水平方向に放出できると共に、装置本体の重量を低減させ持ち運びの利便性に優れるといった効果がある。
また、本発明のロータリースピーカー装置によれば、音の表現力が向上できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す一部破断斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態を示す縦断面図
【図3】本発明の第1の実施形態を示す上部分縦断面図
【図4】従来のロータリースピーカー装置の縦断面略図
【図5】第1の実施形態の第4変形例を示す上部分断面図
【図6】第1の実施形態を示す円筒固定軸の一部破断斜視図
【図7】第1の実施形態を示す円筒固定軸の一部破断斜視図
【図8】第1の実施形態を示す婉曲成型したホーン縦断面図
【図9】第1の実施形態の第1変形例を示す筒形状筐体の下部分縦断面図
【図10】第1の実施形態の第5変形例を示す円筒形体の一部破断縦断面図
【図11】第1の実施形態の第5変形例を示す円筒形体の斜視図
【図12】第1の実施形態を示すバスローター斜視図
【図13】第1の実施形態を示すバスローター縦断面図
【図14】第1の実施形態を示すバスローター斜視図
【図15】第1の実施形態の第2変形例を示す直径の異なる継ぎ手の一部破断斜視図
【図16】第1の実施形態の第3変形例を示す二股継ぎ手の縦断面図
【図17】音楽調光制御のブロック図(1)
【図18】音楽調光回路の照明演出内容の説明図
【図19】従来のロータリースピーカー装置の外観図
【図20】音楽調光制御のブロック図(2)
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
なお、以下の説明では、スピーカーの取り付け側をスピーカー前面と記し、後ろのマグネット側をスピーカー背面と記すことにする。また、図面において、同様のものについては同一の符号を付している。
【0043】
本発明のロータリースピーカー装置について、まず図1〜3を用いて説明する。図1〜図3は、それぞれ、第1の実施形態を示す一部破断斜視図、縦断面図、上部分縦断面図を示している。
【0044】
本発明のロータリースピーカー装置は、マグネットとフレームと振動板を備え、低周波信号に応答して、低周波信号を電気機械変換することにより、振動板を振動させてこの前面から音波を発生して放射するコンプレッションドライバ25bと、コンプレッションドライバ25bのマグネット背面から延設した錘26から構成されるスピーカーユニット(図2、図3を参照)を、直立させた筒形状筐体1の開口部上端面のスピーカー止め具19(図3を参照)の内側に、コンプレッションドライバ25bのフレームに防振材13aとしてのゲル化素材を上下に挟んで、スピーカー支持台15にコンプレッションドライバ25bの前面を上向きにして固定したものである。
【0045】
そして、本発明のロータリースピーカー装置では、上記のスピーカーユニットの真上に、軸方向が垂直の円筒固定軸3aが設けられ、その円筒固定軸に軸着される円筒回転軸27から伸びて婉曲成型したホーン5bが設けられている。
【0046】
本発明のロータリースピーカー装置では、スピーカーユニットの真上に設けた円筒固定軸3aの垂直部分の上側へ、婉曲成型したホーン5bの円筒回転軸27をスラストベアリングの役目として接続させ、これをモーター4のプーリー8bからベルト20を介してロータリーホーンの円筒回転軸27に設置したプーリー8aを回転させることにより、コンプレッションドライバ25bから発した音源を、円筒固定軸3a内から円筒回転軸27内より婉曲したホーン5b内部を通らせて、方向性のある音46として回転しながら放射拡散させるのである。
【0047】
ここで、婉曲したホーン5bは、図8に示すように、片方の婉曲したホーン5bだけが音が通るようになっており(図8中の矢印46を参照)、他方のホーン形状のもの61は、回転バランスをとるためのダミーであって錘として作用している。これにより、高回転時には左右対称で同じ空気抵抗を生み出すことができる。
【0048】
また、本発明のロータリースピーカー装置において、筒形状筐体1の他方の底面は、図2および図9に示すように、筒形状筐体1の開口部下端面のスピーカー固定蓋43の内側に、防振材13aをスピーカーフレーム62に合わせて配設し、上にスピーカーユニットのマグネット背面から延設した錘26を備えた小径低音スピーカー9の前面を下向きに乗せ、その上から再び防振材13aをスピーカーフレーム62に合わせて配設し、更に上へスピーカー支持台15を乗せスピーカー固定蓋43の内側に固定し、これを筒形状筐体1の下端面に差し込み固定している。
【0049】
図1および図2に示すように、筒形状筐体1の上部側面には、音の出口28を配設されており、筒形状筐体1の下部に取り付けられた小型低音スピーカー9の背面から輻射する音波を、音の出口28の部分の筒形状筐体内部に配設した拡散円錐コーン6によって、360度全方向・水平方向に拡散放出するのである。
【0050】
また、本発明のロータリースピーカー装置は、筒形状筐体1の開口部下端面において前面を下向きに配設した小径低音スピーカー9から出る音波を、電子的にビブラート、トレモロ、及び、コーラス効果に加工するロータリーシミュレーター(図示せず)を設けて、筒形状筐体1とは別に外に配線でつなぐようにしている。ロータリーシミュレーターは、例えば、パソコンなどのコンピュータ端末が用いられる。
ロータリーシミュレーターを筒形状筐体1と離して配線で繋ぎ配設することにより、筒形状筐体1自体の重量を軽くできる。
【0051】
また、本発明のロータリースピーカー装置は、筒形状筐体1の開口部下端面に前面を下向きに配設したスピーカーユニット9の下側に、図12〜14に示すような回転ドラム36を設ける。回転ドラム36は、バスローター枠44内に上面一部を残し除いて中心に垂直のシャフト39に固定している。回転ドラム36のシャフトの上端には、プーリー38が設けられている。回転ドラム36は、垂直方向に接続板45を用いて、スピーカー固定蓋43(図9を参照)に隙間を設けて接続される。
【0052】
回転ドラム36は、上方の内側面から対向する下方の内側面にかけて垂直から次第に水平になる婉曲した滑り台形状を呈している。回転ドラム36のシャフトの上端のプーリー38を、モーター取り付けステー55に配設したモーター54により回転するプーリー56からベルト57を介して回転させることにより、筒形状筐体1の開口部下面において配設した小径低音スピーカー9の下方向から発した音源を、回転ドラム36内の婉曲した滑り台形状を通って回転しながら外へ放射拡散(図2の矢印49を参照)するものである。
筒形状筐体1の開口部下面の小径低音スピーカー9の下方向から発した音源が回転ドラム36内の婉曲した滑り台形状を通って回転しながら外へ放射拡散することにより、中低音の再生音にビブラート、トレモロ、及びコーラス等のうねりを与えることができる。
なお、回転スピードは婉曲成型したホーン5bと同じであるが、回転方向は逆周りになる。
【0053】
また、本発明のロータリースピーカー装置は、図9に示すように、筒形状筐体内1に螺旋形状の音道32を配設することにおり、実質的に筒形状筐体1を長くしたことと同等になるため、低域音を膨らませることなく、伸ばすことが可能となる。これにより、小型低音スピーカー9でも低域再生音が豊かにすることができる。
また、実質的に筒形状筐体1を長くしたことにより、空気が低音域では振動板と一体となってピストン運動することから、振動系重量に空気質量が付加されたことになり、f0の最低音はスピーカーユニットの固有値より低くなる。
さらに、筒形状筐体1の内部を流れる空気の流れに制動がかかることと相まって、より優れた低音域表現力を持つようになるのである。
【0054】
また、本発明のロータリースピーカー装置は、従来からの存在するスロー、ファースト以外の回転数を第3の回転数として設け、スピーカーユニットの入力信号端子から導いた音楽信号電流の強弱に同期して連続的に音楽調光制御を行い、その調光制御を行った電圧信号をモーターに印加することにより、婉曲したホーン5bの回転数を音量に同期して連続的に無段階で緩急制御する。
【0055】
ここで、音楽調光制御とは、音楽調光器へ再生音を入力すると音量の強弱に同期して電力を調光制御するものであり、舞台照明等において演劇の最中に流している効果音の強弱に同期して、舞台照明の点滅や明暗を調節する調光器と同様な機能を実現する制御方法である。
本発明では、この音楽調光制御の一方法として、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式を採用し、連続制御している電圧をモーターに印加してホーン5bの回転駆動を行っている。そして、スピーカーへの雑音が入らないようにブラシレス直流モーターを使用している。なお、第3の回転数は切り替えスイッチで選択できる。また、他のFAST、SLOW回数もあらかじめPWM制御で回転数を決定している。
【0056】
上記の音楽調光制御の第3の回転数は、フットボリューム操作で樂音の強弱に追従して、婉曲成型したホーン5bの回転数を無段階に緩急変換するものである。但し、FAST、SLOWの回転時ではフットボリューム操作で音の強弱を変えても椀曲したホーンの回転数は増減しないで設定された回転になる。
【0057】
また、PWM制御とは、周期は一定で、DCレベル入力信号の大きさに応じて、パルス幅のHとLの比を変えモーターを制御するものである。PWM制御の場合、従来の制御に対して、飽和領域での制御となる。他の制御方法としては、位相制御があり、負荷に供給する電力の通電角を変えることによって制御するものである。
【0058】
一方、位相制御の場合は、出力を広い範囲で連続的に可変でき、制御回路での電力の損失が少なく、また制御回路が小型で安価なもので済むといった特徴を有する。位相制御は、照明やヒーターなどの制御によく用いられている。他の制御方法としては、インバーター制御があり、これは、可変電圧、可変周波数の交流電源により、交流モーターの速度制御を行うものである。
【0059】
すなわち、図17に示すように、スピーカーユニット端子から導いた音楽信号電流の音量の強弱に同期して連続的にPWM制御方式で音楽調光制御を行い、その電力でブラシレス直流モーターを駆動させ、ホーン5bの回転数を音楽音量の強弱に同調させて、図18に示すように無段階で緩急制御することで、例えば電子オルガンが大きな音を出せば回転が早くなり、弱く音を出せば回転が緩やかになり、無音であれば回転が止まるなど音量に応じて無段階に、ホーン5bの回転数がボリュームペダルを踏む強弱音に追従するようにできる。
【0060】
以上、説明したような構成を備えることで、本発明のロータリースピーカー装置は、図2に示すように、婉曲成型したホーン5bから放出される向き(矢印46)、音の出口28から放出される向き(矢印47)、及び、小型低音スピーカー9から放出される向き(矢印48)の計3ヶ所から水平方向へ指向性のある再生音を360度に放出拡散することができる。
【0061】
本発明のロータリースピーカー装置によれば、筒形状のスピーカー筐体にし、スピーカーマグネット背面に固着された錘により、スピーカーユニット背面の音響インピーダンスのリアクタンスが少なくなり、実質的に純抵抗負荷にすることができるので、楽音を構成する要素波形に時間のずれた不要の波形が混ざることがないため、図2で示すように、婉曲成型したホーンの出口46及び筒形状筐体1の中部47、下部48の計3ヶ所から時間関係の波形の乱れが少ない高品質の指向性がある再生音を水平方向に周り360度に放出拡散することができる。
すなわち、本発明のロータリースピーカー装置は、再生音をより広いエリアで視聴することができるのである。
【0062】
また、本発明のロータリースピーカー装置において、スピーカーユニットのフレーム径及び筒形状のスピーカー筐体の筒径を実質的に等しくなるように形成する。
従って、スピーカーボックスを筒管のスピーカー筐体として用いることで、スピーカーユニット背面から輻射される音波及び振動を実質的に吸収しかつ制限し、スピーカー筐体の縦軸方向に伝達する平面音波だけになり、この音波は従来の箱型スピーカーボックスで発生するような複雑な定在波が発生しないため楽音などの複雑な低周波の波形を忠実に再生することができる。
【0063】
また、本発明のロータリースピーカー装置において、スピーカーユニットと筒形状のスピーカー筐体との間に挿設され、スピーカーユニットから筒形状のスピーカー筐体に伝達される振動を減衰抑圧する防振材を備えることで、スピーカーユニットを柔軟に支持し、スピーカーユニットの不要な振動が筒形状のスピーカー筐体に伝達するのを防止する。
【0064】
また、それを固定するスピーカー支持台の材質に振動を抑制する制振部材を備えることにより、スピーカーフレームから伝達する振動をゲル化素材と制振部材で筒形状のスピーカー筐体に伝達する振動を抑制及び減少し、なおかつ、スピーカー筐体に伝達して再度戻ってくる振動をも抑制するため、これにより楽音などの複雑な低周波の波形を忠実に再生することができる。
【0065】
また、本発明のロータリースピーカー装置において、筒形状筐体1は円筒形状又は楕円円筒形状である。一般的な箱型形状のスピーカー筐体から放射される音波に比較して、円筒形状のスピーカー筐体の表面での主に縦振動波の反射による振動モードの単純化を実現することができる。
そして、振動モードの単純化によりスピーカー筐体の表面から放射される雑音的音波は、一般的な箱型形状のスピーカー筐体から放射される音波に比較して放射量を大幅に減少することができ、放射音波の高次成分も抑制され、再生音の品質低下を抑制することができる。これにより楽音などの低周波の複雑な波形を忠実に再生することができる。
【0066】
本発明のロータリースピーカー装置の筒形状筐体1の固有の響きがなくなり焦点の合った音が再生でき、図2に示すように、筒形状筐体1の上部46、中部47、下部48の3ヶ所から360度にわたって音量を小さく絞っても今まで聞こえなかった微少な音が聞こえ、音の明瞭性がよく、音の立ち上がり、立ち下がりのスピード感と、録音された各楽器の位置がわかる空間再現力に優れているので、音場空間を再現するサービスエリアが広く多人数で同時に聴くホールやロビーなどで満足な効果をあげることができる。
また、婉曲成型したホーン図5の5a、図2の5bの回転を止めて、電気で音を増幅しないアコースティック楽器や人の声などをマイクから、本発明のロータリースピーカーへ入力することで、生の楽器音を鮮明な音のまま増幅拡大して聴衆に伝えることができる。
【0067】
また、本発明のロータリースピーカー装置において、婉曲成型したホーンを回転させて楽器などの音源を変更するデバイスとしての使用法以外に、上述したように音の低周波の複雑な波形の位相を忠実に再生するため音像の明瞭性が優れている。これにより、ロータリースピーカー1台における上下のスピーカー2個でステレオ装置として使用し、またモノラルのロータリースピーカー2台で左右のステレオとしてのオーディオ再生装置として使用できる。
【0068】
本発明のロータリースピーカー装置の筒形状筐体1は、中空のため重量が軽く、アンプ及び音楽調光制御器やロータリーシミュレーターを含めた装置を、筒形状筐体1とは別個に切り離し配線コードでつなぐことで、本体の重量も約12Kgに留まり、従来のロータリースピーカー装置の重量(約60〜70kg)の重さと比較して1/5ほど軽量にできる。これにより、従来のロータリースピーカー装置では、設置が困難な場所でも、容易に持って移動設置ができるようになった。
【0069】
以上詳述したように、本発明のロータリースピーカー装置の再生音は、従来技術のロータリースピーカー装置の再生音と比較して、時間関係の乱れが少なく、楽音などの低周波の複雑な波形を忠実に再生することができ、遠く離れて聞いても音像は崩れず明瞭に届く。このため、リスニングポイントから本発明のロータリースピーカー装置まで、ある距離を隔てた場合において、次の三つの効果が起きる。
【0070】
第一に、方向性のある音源(図2,図5,図8に示され矢印46を参照)が、円筒固定軸3を中心に可変の速度で回転してリスナーに向かったときに音の強さが最大となる。音の強さは、婉曲成型したホーンの中心に向かって増加し、中心から遠ざかるにしたがって減少する。この結果として生じる効果は振幅変調である。これはビブラートやトレモロであり、二乗に反比例して振幅変調効果は増加する。
【0071】
第二に、婉曲成型したホーンの場合、周波数変調を起こすことである。音源がリスナーの方へ回転するとともに、その相対速度は再生している音のピッチを増加させる。リスナーから遠方に遠ざかるとピッチは低下する。これは救急車のサイレンが近づくときに音は高くなり、遠ざかるときに音は低くなるドップラー効果と同じである。
【0072】
第三の効果として、婉曲成型したホーンの再生音が回転して適当な反響を持つ部屋の中で聞いている場合には、音が周り一面に放射され、多数の反射面にぶつかることによって発生する完全な空間変調であり、音がいろんな方向から聞こえてくるように感じられる効果が得られる。
【0073】
また従来のロータリースピーカー装置では、婉曲成型したホーンの回転は、オルガン演奏中に手動でSLOW、STOP、FASTのスイッチで切り替え操作していた。これに対して、本発明のロータリースピーカー装置では、これに加えて第3の回転数として、楽曲演奏時にボリュームペダル操作での再生音の強弱が、ホーンの回転数の緩急へ変換するもので、音量の増減に同期して無段階にSTOPの状態からSLOW、FASTへ切り替わり、ビブラート、トレモロ、コーラスの効果音を変化させることが可能になる。このため、本発明のロータリーホーン装置では、楽器再生音の強弱とホーンの回転数が連動した第3の回転数と、楽器再生音の強弱とホーンの回転数が連動しないSLOW、FASTを楽曲の演奏中に使い分けることができる。
なお、従来のロータリースピーカー装置では、上記のSLOW回転をCHORALE、FAST回転をTREMOLOと呼んでいる。
【0074】
この第3の回転数を使用して1/Fゆらぎ要素を含む楽曲を演奏した場合、本来楽曲が持っている1/Fゆらぎによるリラックス効果と、音の強弱に同期してホーンが追従しながら緩急回転することでの音の変化が重畳して音楽の表現力がより向上する。
これにより聞いている人達へ、より深い感動を与えるヒーリングミュージックを提供できる。
【0075】
ここで、1/Fゆらぎとは、音では規則正しい音と規則性がない音との中間で調和している状態のことで、楽曲ではアベマリア、モーツァルトの魔笛や、歌手などの歌声などで、それらの曲を聞くと心地よくリラックスできるようになる。自然界では人の心拍間隔、星の瞬き、ろうそくの炎の揺れ方、小川のせせらぎ、アルファー波、目の動き方、木漏れ日などあらゆる物理現象、生物現象、経済現象に現れる。
【0076】
また一つの再生方法として、音楽調光制御装置でPWM制御して第3の回転数を選択後、電力をモーターに印加する前に、手動でその電力の電圧範囲を可変調整できるボリュームを配設することにより、この可変調整した電圧を直流モーターに印加できるとすると以下に述べるような効果が生まれる。
ひとつの楽器などをフィーチャーした楽曲やCDなどの音源を再生した場合、アンプで再生音量を決定した後、ロータリーホーンの回転によって得られる再生音のビブラートを希望する周期に合わせるようモーターに印加する電圧を下げて回転を微調整することで、楽曲の強弱音の流れに合わせて上記の楽器から発せられたビブラート音は緩やかな空間変調を再生し始め、より音の広がりが得られる。
【0077】
これはロータリーホーンを止めて同じ音源を再生した場合と比較して、例えば平面のビブラート音が臨場感のある立体のビブラート音になったような印象を受け、タイムドメイン方式の音源を忠実に再生するスピーカーから周囲360度へ第3の回転数でロータリーホーンの緩やかな緩急回転がもたらす空気の揺らぎを基に、フィーチャーした楽器のビブラート音がゆったりと心地良く変化して音場空間に広がり、従来のロータリースピーカーでは実現できなかったリラックスした新しい音楽鑑賞スタイルをリスナーに提供できる効果をもたらす。
【0078】
上記の再生方法を実施するとき、図8に示すような拡散円錐コーン6を取り払った婉曲成型したホーン5bに交換することで、ホーンの指向性がかなり狭まり、強い振幅変調のビブラートやトレモロ効果を得ることができるため、フィーチャーした楽器のビブラート音がより際立って立体的に音場空間へ再生される効果がある。
【0079】
電力の電圧範囲を手動で可変調整するボリュームは、PWM制御した後の直流電力を、手動で12Vから26Vに可変してモーターに印加するもので、26Vに設定しておくと、フットボリュームの操作時に、0回転から上限最高回転までの幅でロータリーホーンの回転数が広がり、26Vから下げて行くに従ってロータリーホーンの0回転から上の回転数の幅が狭くなる。
従ってこのボリュームは、電圧範囲を変更してホーンを任意の回転範囲内で緩急させるときに使用する。
【0080】
ここで本発明のロータリースピーカー装置のホーンの回転数の種類を整理する。ホーンの回転数の種類は、楽音再生中にボリューム変化させても回転が変わらないSLOWとFASTと、楽音再生中にボリューム変化させると回転が音量に追従する第3の回転数と、第3の回転数にプラス電圧範囲の変更でビブラート再生の極低速回転数の計4種類になる。
【実施例1】
【0081】
以下、本発明に係わる実施の形態を、添付した図面に従って説明する。
実施例1では、コンプレッションドライバ25bを使用する。図1と図2は、実施例1のロータリースピーカーの構成を示す斜視図と縦断面図で、図3は筐体上側のコンプレッションドライバ25b付近の縦断面図で、図7は円筒固定軸3aの斜視図である。
【0082】
図1、2、3において、筒形状筐体1上部のスピーカー止め具19内部にスピーカー支持台15を配設し、その上に防振材13aのゲル化素材を配設し、その上にスピーカー後部に錘26を配設したコンプレッションドライバ25bのフレーム取り付け面を乗せ、その上に防振材13aゲル化素材を配設しスピーカーユニットを柔軟に支持している。
【0083】
さらに、この上に図7に示す円筒固定軸3aを重ね、上からロータリーホーンカバー10を重ねてロータリーホーンカバー止め具14で固定している。
図7に示す円筒固定軸3aの垂直部分には、クッションとしてフェルト材2と、その部分の摩擦低下をさせる目的で、テフロン(登録商標)製のワッシャー30を配設して、図2に示すように、婉曲成型したホーン5bの垂直部分の円筒回転軸27を、スラストベアリングの役目として重ね合わせる。これにより、婉曲成型したホーン5bが軽く回転できるようになり、モーター4のプーリー8bからベルト20を介して円筒回転軸27に配設してあるプーリー8aを回転させることができることになる。
【0084】
コンプレッションドライバ25bの匡体裏側はカバーしてあり、振動板の背面からの振動波は出ない。このため、筒状筐体1の下端面に配設する小型低音スピーカー9の背面から輻射した振動板からの振動波とは、筒形状筐体1内で出会って干渉しないことになる。そのため、拡散円錐コーン6は下向きに1個だけ配設することとした。
【0085】
なお、上述したように、使用する動力伝達方法として、プーリーとベルトを使用したが、他の方法として平歯車、磁気式歯車、ウオームギア、ベベルギア、チェーンとスプロケット、摩擦車を使用してもかまわない。
【0086】
また、図9に示されるように、筒状筐体1の下端面のスピーカー固定蓋43の内側下に防振材13aを、スピーカーのフレームに合わせて配設し、上にスピーカーユニットのマグネット背面から延設した錘26を備えた小径低音スピーカー9の前面を下向きに乗せ、その上から再び防振材13aをスピーカーのフレームに合わせて配設し、更に上へスピーカー支持台15を乗せ固定する。
この状態で小径低音スピーカー9は固定されるが、防振材13aがスピーカーユニットを柔軟に支持し、クッション作用があるため強く揺らすと振れる。これを筒形状筐体1の下端に差し込み固定する。
【0087】
小径低音スピーカー9が音を出すときの振動は、マグネット背面から延設した錘26と防振材13aのクッション作用で筐体に伝わらなく、スピーカー背面の振動板から先に音を出した振動波形が、小径低音スピーカー9の振動板に時間が遅れて再び混ざり音を濁らすことが無い。
そして、スピーカーユニットのマグネット背面から延設した錘26が再生音によるスピーカー自身の振動を抑え込む作用があるため、遠くから聞いたり音量を小さく絞って聞いたとしても音像が崩れることは無く、マイクで録音した音源情報そのままを再生して聞けるようになる。
【0088】
また、図1および図2に示すように、筒形状筐体1の上部の側面全周に音の出口28を配設し、この部分から当該小型低音スピーカー9背面の振動板から輻射して上がってくる音波を筒状筐体1内部に配設した拡散円錐コーン6によって音の出口28から排出する。
アンプで増幅した音源を800ヘルツのパッシブクロスオーバーを通して、コンプレッションドライバ25bと小型低音スピーカー9の端子に繋ぐことで、双方の再生音の繋がりが良くなる。ここで、小型低音スピーカー9は、フルレンジスピーカーでも良い。尚アンプの左右のバランス調整を回すことで、該双方スピーカーから音の出る比率を変えることができる。
【0089】
筒形状筐体1の縦軸方向の長さは、スピーカーユニット9の最低共振周波数の1/2から1/4波長の間の長さを有することが望ましい。実際には音を聴いて最適長を決める。
【0090】
筒形状筐体1の材料は、従来技術で使用される木材ではなく、アルミニュームなどの金属あるいは合成樹脂にてなる。また、筒形状筐体1の内外面は、縦平面波を主とする振動が表面形状の急変部分で反射するのを防止するため、凸凹がない平滑な面にすることが望ましい。
【0091】
尚、防振材12aのゲル化素材はゴム、スポンジ、ポリウレタン、コルク、発泡ポリエチレン、ウレタンフォームなどの圧力分散能力を有する弾性体でもよい。そしてスピーカー後部のマグネットと錘26の接合については強固に接合できる方法であれば良く、接着、圧入、ネジでの固定、溶接など特に限定しなく、材質は鉄を使用したが、質量の重い金属で真鍮、鉛、制振合金ならなお好ましい。また低音スピーカーをフルレンジスピーカーで使用してもよい。
【0092】
回転する婉曲成型したホーン5bの先には、コーン支持棒7で固定した拡散円錐コーン6を配設する(図5、図8を参照)。この拡散円錐コーン6の頂点の角度は好ましくは90度以上にするがこれを取ってしまうと、ホーンの指向性がかなり狭まるため、周波数変調の音程が上下するドップラー効果はほとんどなくなる変わりに、特に高い周波数域において強い振幅変調のビブラートやトレモロ効果を得ることができる。
【0093】
筒形状筐体1の下面において配設した当該小型低音スピーカー9から出る音の波形を、電子的にビブラート、トレモロ、及びコーラス効果に加工変化させるロータリーシミュレーターを筒状筐体1と離して配線で接続することで筒形状筐体1自体の重量を軽くする。
【0094】
ロータリーシミュレーターには、あらかじめビブラート、トレモロ、及びコーラス効果などを婉曲成型したホーン5bの回転数に合わせて設定しておく。そして、床に置いて曲の途中、足先でスイッチを操作して先の効果を引き出す。
ロータリーシミュレーターを使用することで、機械的部品等の使用がないためメンテナンスの必要が無くなるうえに、重量を軽くすることに貢献する。
【0095】
なお、コンプレッションドライバ25bと小型低音スピーカー9を作動させる信号電流の配線を分けて通すようにしてあるため、ロータリーシミュレーターの効果がコンプレッションドライバ25bに及ぶことはない。将来的にロータリーシミュレーターのビブラート、トレモロ、及びコーラス効果を、婉曲成型したホーン5bのFAST、SLOW及び第3の回転数に合わせて自動的にデジタルロータリーシミュレーターで機能させることは可能である。
【0096】
また、図1や図2に示すように、三脚12を筒形状筐体1の下部に配設して、希望する位置の高さで三脚固定ネジ11を回して固定する。筒形状筐体1が倒れないように三脚固定ネジ11部分を上下することで、婉曲成型したホーン5bから高音が出る方向46、音の出口28から中低音が出る方向47、及び筒形状筐体1の下面にある小型低音スピーカー9の前面から中低音が出る方向48の計3箇所から360度水平方向に音の出る高さを変えることができる。
本体が軽いことから、台の上に乗せてリスニングサービスエリアを極めて広くすることができる上に、音場空間の再現性効果を上げることも可能である。
【0097】
FASTの約400回転/分、SLOWの約40回転/分の他に、第3の回転数として再生音が最小のSLOW状態から最大音のFASTの約400回転まで無段階で婉曲成型したホーン5bを回転させる。
この第3の回転数とは、図20に示すように、音源がステレオアンプ(増幅器)で増幅され、スピーカーで再生される信号電流が、音楽調光制御装置を通ってPWM制御方式により、再生音量の強弱に同期して家庭用の電力を連続的に0%から100%の間で無段階に制御されるものである。
制御した電力を雑音が発生しない直流ブラシレスモーター4に印加し、スピーカーで再生される音量に同期して、ホーン5bの回転数を連続的に無段階で緩急制御する。この回転数は切り替えスイッチで選択する。
【0098】
また、他のFAST、SLOWの回転数も第3の回転数と同じく切り替えスイッチで希望する回転数を選択する。しかし、第3の回転数と異なり、音楽調光制御は行われず、あらかじめPWM制御方式だけで制御して回転数を決定したものになる(図20を参照)。
なお、切り替えスイッチは、STOP、SLOW、FAST、第3の回転数の4つで構成されるが、将来的に、従来のHAMMOND(登録商標)オルガンに使用されている専用端子ピンに加えて、ライン入力やオルガンに配設してある回転スピード選択スイッチに、FAST、SLOW回転の配線を接続し、第3の回転数は別にタッチスイッチ等でON、OFFを目視で確認できるようにLED等の小さなライトを配設するなどの電気的に対応が可能である。
【0099】
また、従来からHAMMOND(登録商標)オルガンに使用されているFAST、STOP、SLOWの手動回転スピード切り替えスイッチに第3の回転数のスイッチを加えて計4種類のスイッチング構成にして、本発明の計4種類の切り替えスイッチに繋がる配線を上記の手動切り替えスイッチに置き換え、演奏中のスイッチ操作の利便性に寄与するなどの電気的に対応も可能である。
【0100】
音楽調光制御する音の入力周波数は、図18に示すように、高音域18000ヘルツ以上、中音域400から20000ヘルツ、低音域0から450ヘルツの3つに分ける。実質的に全音域の高音域20000ヘルツから低音域0ヘルツまでの入力周波数をまとめて使用する。
また、再生する楽音の内容によって、各音域での制御を個別に選択して婉曲成型したホーン5bの回転数を第3の回転にすることも技術的に可能である。
なお、図18に示した3つの音域入力周波数の範囲は調節できるよう電気的に対応が可能である。
【0101】
また、回転数を選択する場合、オルガンなどのマスターボリュームによる再生音量の大小によってアンプ側で入力ゲイン調整ができる構成にし、楽音を演奏する前にこれを調整して希望する再生音量の範囲内で当該婉曲したロータリーホーン5bの回転を緩急制御できるようにしている。
【0102】
図2に示すモーター4及び上下2個のスピーカー(コンプレッションドライバ25b、小径低音スピーカー9)への配線は、モーター電源端子23とスピーカー入力端子24でプラグの抜き差しで行う。ここで、上下2個スピーカー(コンプレッションドライバ25b、小径低音スピーカー9)とアンプへの配線方法は以下に説明するように4種類ある。
【0103】
一つ目の配線方法は、出力インピーダンス8オームのステレオアンプの左右スピーカー信号電流のプラスとマイナスそれぞれを8オームのコンプレッションドライバ25bと、8オームの小型低音スピーカー9のプラスとマイナスに振り分けて、筒形状筐体1における上下スピーカー(コンプレッションドライバ25b、小径低音スピーカー9)のステレオ再生にする方法である。
なお、この場合、アンプの左右スピーカー出力のプラスとマイナス端子計4ヶ所は全て使用することになる。これにより、キーボードなどのステレオ出力の音源を再生する場合、この1台の上下スピーカーによる音場の広がりによる音の表現力向上効果が生まれることになる。
【0104】
二つ目の配線方法は、上下2個のスピーカー(コンプレッションドライバ25b、小径低音スピーカー9)を並列に接続する方法で、一つ目の配線方法と異なりモノラルになる。アンプのスピーカー出力インピーダンスが8オームから4オームまでの再生対応型であれば、上下2個の同じ16オームのスピーカーと、同2個の8オームのスピーカーのどちらかを並列接続で使用できる。
この場合、16オームのスピーカーを並列接続すると、インピーダンスが8オームになり、8オームのスピーカーを並列接続するとインピーダンスが4オームになる。この接続方法は、アンプ側のスピーカー端子の片方プラス側をコンプレッションドライバ25bのプラス側と小型低音スピーカー9のプラス側に接続し、アンプ側スピーカー端子のマイナス側をコンプレッションドライバ25bのマイナス側と、小型低音スピーカー9のマイナス側に接続して、筒形状筐体1台で上下2個スピーカーのモノラル再生になる。
なお、この場合、アンプの片側スピーカー出力のプラスとマイナス端子計2ヶ所だけ使用する。この配線方法だと2個のスピーカーが繋がるため、小型低音スピーカー9だけにロータリーシミュレーターの配線を繋ぐことはできなくなる。
【0105】
三つ目の配線方法は、パッシブクロスオーバーを通して、コンプレッションドライバ25bと小型低音スピーカー9の端子に繋ぐことで、双方の再生音周波数の繋がりを良くする方法である。この方法の場合、アンプの片側スピーカー出力のプラスとマイナス端子計2ヶ所使用する。この方法の場合は、ロータリーシミュレーターの配線を繋ぐことはできなくなる。
【0106】
上記の二つ目、三つ目のどちらかの配線方法のモノラル筒状筐体2台を、アンプ出力端子に繋ぎステレオにする場合、アンプの左右スピーカー出力のプラスとマイナス端子計4ヶ所は全て使用する。キーボードなどのステレオ出力の音源を再生する場合にこの2台を使用することで、左右音場の広がりによる音の表現力の向上効果が生まれる。
【0107】
ロータリースピーカー装置を移動させる時、筒形状筐体1を掴みやすいように、図1に示すように、取手40を筒状筐体1音の出口28の下方側面に配設する。
【0108】
以上、本実施形態によれば、筒形状筐体1を円筒形状にし、コンプレッションドライバ25bおよび小径低音スピーカー9のマグネット背面から延設した錘26を配設したことで、コンプレッションドライバ25bおよび小径低音スピーカー9の背面の音響インピーダンスのリアクタンス分が少なくなり、実質的に純抵抗負荷にすることができるため、樂音を構成する要素波形相互の時間関係の乱れの少ない高品質の再生音を得ることができ、コンプレッションドライバ25bおよび小径低音スピーカー9が発生する機械振動の筒形状筐体1への伝達が減衰抑制されるとともに、コンプレッションドライバ25bおよび小径低音スピーカー9の背面音圧によって振動する筒形状筐体1から再びコンプレッションドライバ25bおよび小径低音スピーカー9に伝達される機械振動も減衰抑制される。
【0109】
(他の実施例)
(1)図9は、実施例1の第1変形例である。第1変形例では、筒形状筐体1内の下端に配設してある小径低音スピーカー9の上側から拡散円錐コーン6の下あたりまで、図9に示すような螺旋形状の音道32を配設することにより、実質的に筒形状筐体を長くしたことと同等になり、更に豊かな低音の響きが得られる。この螺旋形状の音道32の長さは実際には音を聴いて最適長を決定する。
【0110】
(2)図15は、実施例1の第2変形例である。第2変形例では、筒形状筐体1の下部開口面に、図15に示すように直径の異なる継ぎ手59を配設したことを特徴とし、太いほうの開口部にスピーカー後部に錘26を配設した直径の一回り大きい小径低音スピーカーフレームの前面を下向きに防振材13aで挟み、スピーカー支持台15で固定する。これにより豊かな再生音を望めることが可能である。この場合、スピーカー振動板の背面から昇る反射音圧が多くなるため、筒形状筐体1内に円筒状に伸びるフェルト又はグラスウールなどの吸音材29を配設し、筒形状筐体1内における反射音圧波形による振動を減衰抑制する。
なお、上記(2)で、あまりスピーカーが大きくなりすぎるとスピーカーの振動板が重くなりスピードのある機敏な振動がしずらくなったり、分割振動を起こしたりして繊細な再生音が発揮できなくなるため、一回り大きいスピーカーにとどめるのが望ましい。
【0111】
(3)図16は、実施例1の第3変形例である。第3変形例では、筒形状筐体1の下部開口面に配設した逆Yの字型の二股継ぎ手60に、スピーカー後部へ錘26を配設した2つのスピーカーの前面を下向きに防振材13aで挟み、スピーカー支持台15で固定したものである。
2個のスピーカー端子を並列に配線して再生音の出口が2ヶ所になるため、実質的にスピーカー振動板の前面及び背面から昇る反射音圧が2倍になる。筒形状筐体1内にフェルト又はグラスウールなどの吸音材29を2倍配設することで、筒形状筐体1内における反射音圧波形による振動を減衰抑制する。
また、スピーカー支持台15の材質に制振材料を用いて、スピーカーからの振動を防振材13aと重畳して減衰抑制し、筒形状筐体1に伝達する振動を抑制する。
【0112】
(4)図5は、実施例1の第4変形例である。第4変形例では、婉曲成型したホーン4aは一つだけのホーンであり、重量バランスをとるためバランス棒21及びバランス錘22をホーンの反対側に配設してスムーズに回転するようにするものである。
【0113】
円筒固定軸3を上下反対にして内部に防振材13aのゲル化素材を配設し、その上にスピーカー後部に錘26を配設したフルレンジスピーカー25aのフレーム取り付け面を乗せ、更にその上に防振材13aゲル化素材を配設してスピーカー支持台15を配設し固定する。この時スピーカーは固定されるが、強く揺らすと防振材13aのゲル化素材の防振作用で振れる。この円筒固定軸3を再度上下反対にして筒状筐体1の開口部上端面にはめ込みロータリーホーンカバー10を重ね、止め具14で固定する。この円筒固定軸3の垂直部分と、婉曲成型したホーン5aの垂直部分の円筒回転軸27をスラストベアリングの役目として重ね合わせるが、その接合部分の摩擦低下をさせる目的でテフロン(登録商標)製のスリーブ17及びテフロン(登録商標)製のワッシャー30を配設すると婉曲成型したホーン5aが軽く回転できるようになり、モーター4のプーリー8bからベルト20を介して婉曲成型したホーン5aに配設してあるプーリー8aを回転する。円筒固定軸3の上部直径はフルレンジスピーカー25aの振動板の直径に近いものとすることで、再生音が歪まなく素直な音のまま婉曲成型したホーン5a内を通過する。
【0114】
(5)図10は、実施例1の第5変形例である。第5変形例では、筒状筐体1の上部の音の出口28部分の外周に、筒形状筐体の上面及び底面を除いて側面の一部分に隙間58を配設した円筒形体35(図11を参照)とガイドレール33と駆動装置54を設け、モーター取り付けステー55に円筒形体用モーターを配設し、プーリー56からベルト57を介してプーリー34回転させる。これにより、筒状筐体の開口部下面の小径低音スピーカー9の振動板背面から輻射した音源は、円筒筐体1の内部を昇って、円筒筐体1の上部の音の出口28から回転している隙間58を通り抜けて、筒状筐体の外部へ放射拡散47するものである。
円筒形体35の側面の隙間58を通って回転しながら外へ放射拡散47させることにより、中低音の再生音にビブラート、トレモロ、及びコーラスのうねり作用を与えることができる。
【0115】
(6)また、ガイドレール33、円筒形体35の材質は軽く回転の滑りを良くするため、合成樹脂製、テフロン(登録商標)製或いは摩擦係数の少ない素材にする。また好ましくは、円筒形体35と筒形状筐体1との間に潤滑性がよくなるスラストベアリングを挟むと更に軽く回転できる。
なお、回転スピードは婉曲成型したホーン5bと同じであるが、回転方向は逆回りになる。
【0116】
(7)上記において、本発明に係わるロータリースピーカー装置を複数の実施形態で示しているが、本発明はこれに限らず、ロータリースピーカー装置の各部分構成要素を任意で組み合わせてもよい。
図4や図19に示すような、従来から存在する箱型筐体のロータリースピーカー装置に、本発明のロータリースピーカー装置の各部分構成要素のいずれかを組み込むことも可能である。
例えば、従来から存在する箱型筐体のロータリースピーカー装置に、音楽調光制御ユニットを更に設けて、スロー、ファースト以外の回転数を第3の回転数として設け、スピーカーユニットの入力信号端子から導いた音楽信号電流の強弱に同期して音楽調光制御を行い、その調光制御を行った電圧信号をモーターに印加することにより、婉曲したホーンの回転数を第3の回転数で回すことも可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 筒形状筐体
2 フェルト材
3,3a 円筒固定軸
4 モーター
5a,5b 婉曲成型したホーン
6 拡散円錐コーン
7 コーン支持棒
8a,8b プーリー
9 小径低音スピーカー
10 ロータリーホーンカバー
11 三脚固定ネジ
12 三脚
13a 防振材
14 ロータリーホーンカバー止め具
15 スピーカー支持台
16 パッシブクロスオーバー
17 スリーブ
18 増幅アンプ
19 スピーカー止め具
20 ベルト
21 バランス棒
22 バランス錘
23 モーター電源端子
24 スピーカー入力端子
25a フルレンジスピーカー
25b コンプレッションドライバ
25c 低音スピーカー
26 スピーカーマグネット背面から延設した錘
27 円筒回転軸
28 音の出口
29 吸音材
30 ワッシャー
31 バスローター
32 螺旋形状の音道
33 ガイドレール
34 プーリー
35 円筒形体
36 回転ドラム
37 ベアリング
38 プーリー
39 シャフト
40 取手
41 仕切り板
42 筺体
43 スピーカー固定蓋
44 バスローター枠
45 接続板
46 回転して高音の出る方向
47 スピーカー背面より中低音の出る方向
48 スピーカー前面より中低音の出る方向
49 回転して中低音の出る方向
50 回転ドラム用モーター
51 モーター取り付けステー
52 プーリー
53 ベルト
54 円筒形体用モーター
55 モーター取り付けステー
56 プーリー
57 ベルト
58 隙間
59 直径の異なる継ぎ手
60 二股継ぎ手
61 ホーン形状のもの
62 スピーカーフレーム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネット,フレーム,振動板,および前記マグネットの背面から延設した錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、前記振動板を振動させ、前記振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカーユニットと、
直立の筒形状筐体であって、前記筒形状筐体の上面開口部に前記振動板の前面を上向きにして前記スピーカーユニットが固着され、筒形状の底面開口部を備えたスピーカー筐体と、
から構成されるスピーカー装置において、
1)前記スピーカーユニットのフレームの上下を防振材により挟持させて、前記筒形状筐体の内壁面と当接する部分と固着させ、
2)前記スピーカーユニットの真上に、軸方向が垂直の円筒固定軸が設けられ、
3)前記円筒固定軸に軸着される円筒回転軸を有する婉曲成型されたホーンと、
4)前記円筒回転軸を回動させる駆動手段と、
を備えたことを特徴とするロータリースピーカー装置。
【請求項2】
第2マグネット,第2フレーム,第2振動板,および前記第2マグネットの背面から延設した第2錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、前記第2振動板を振動させ、前記第2振動板の前面から音波を発生して放射する第2スピーカーユニットを更に備え、
前記第2スピーカーユニットは、前記スピーカー筐体の底面開口部に、前記第2振動板の前面を下向きにして、前記第2フレームの上下を、防振材に挟持させて前記筒形状筐体の内壁面と当接する部分と固着させ、
前記筒形状筐体上部乃至中央部の側面全周に音の出口孔を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項3】
音楽調光制御ユニットを更に設け、
前記低周波信号の信号電流を前記音楽調光制御ユニットに入力し、前記低周波信号の強弱に応じて連続的に同期して音楽調光制御が行われ、前記音楽調光制御ユニットの出力電圧信号を前記駆動手段に印加して、当該楽音の信号電流の強弱に同期して前記ホーンの回転数を無段階に緩急変換制御できることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項4】
前記筒形状筐体上部乃至中央部の側面全周に音の出口孔を設けた部分の外周に設けられた第2筒形状筐体と、前記第2筒形状筐体を支持するガイドレールと、前記第2筒形状筐体を回転させる第2駆動装置を更に備え、
前記第2筒形状筐体は、側面の一部分に音の第2出口孔が設けられ、
前記ガイドレールに沿って前記第2筒形状筐体を前記第2駆動装置で回転させることにより、音が前記筒形状筐体の側面に設けられた音の出口孔から前記第2筒形状筐体の側面の前記第2出口孔を通り回転しながら外へ放射拡散することを特徴とする請求項2又は3に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項5】
前記第2スピーカーユニットの下側に垂直方向に軸着され、回転軸となる垂直のシャフトに固定され、上方の内側面から対向する下方の内側面にかけて垂直から次第に水平になる婉曲した滑り台形状をした回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させる第3駆動装置と、
を更に備え、前記回転ドラムを回転させることにより、前記第2スピーカーユニットから下方向に放射された音波が前記回転ドラムの前記滑り台形状を通って回転しながら外へ放射拡散することを特徴とする請求項2又は3に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項6】
前記筒形状筐体の開口部下面に配設した前記第2スピーカーユニットから出る音波を、電子的にビブラート効果、トレモロ効果、若しくは、コーラス効果を与えるシミュレート手段を、更に備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項7】
前記筒形状筐体の内部に螺旋形状の音道を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のロータリースピーカー装置。
【請求項8】
マグネット,フレーム,振動板,および前記マグネットの背面から延設した錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、前記振動板を振動させ、前記振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカーユニットと、
直立の箱型筐体であって、前記箱型筐体の上部に前記振動板の前面を上向きにして前記スピーカーユニットが固着されたスピーカー筐体と、
から構成されるスピーカー装置において、
1)前記スピーカーユニットのフレームの上下を防振材により挟持させて、前記箱型筐体の筐体フレームと当接する部分と固着させ、
2)前記スピーカーユニットの真上に、軸方向が垂直の円筒固定軸が設けられ、
3)前記円筒固定軸に軸着される円筒回転軸を有する婉曲成型されたホーンと、
4)前記円筒回転軸を回動させる駆動手段と、
を備えたことを特徴とするロータリースピーカー装置。
【請求項9】
第2マグネット,第2フレーム,第2振動板,および前記第2マグネットの背面から延設した第2錘を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより、前記第2振動板を振動させ、前記第2振動板の前面から音波を発生して放射する第2スピーカーユニットを更に備え、
前記第2スピーカーユニットは、前記スピーカー筐体の下部に、前記第2振動板の前面を下向きにして、前記第2フレームの上下を、防振材に挟持させて前記箱型筐体の筐体フレームと当接する部分と固着させ、
前記箱型筐体の下部側面に音の出口孔を設けた、
ことを特徴とする請求項8に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項10】
音楽調光制御ユニットを更に設け、
前記低周波信号の信号電流を前記音楽調光制御ユニットに入力し、前記低周波信号の強弱に応じて連続的に同期して音楽調光制御が行われ、前記音楽調光制御ユニットの出力電圧信号を前記駆動手段に印加して、当該楽音の信号電流の強弱に同期して前記ホーンの回転数を無段階に緩急変換制御できることを特徴とする請求項8又は9に記載のロータリースピーカー装置。
【請求項11】
少なくとも一色の発光ダイオードが設けられ、前記音楽調光制御ユニットの出力電圧信号に応じて前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする請求項3又は10に記載のロータリースピーカー装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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