説明

ロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法

【課題】 ロータリー式であり、かつ、容器の模様と張り出し部を一致させるブロー成形により、付加価値を向上させるとともに、生産速度を高速化し生産コストを低減する。
【解決手段】 ロータリー式ブロー成形装置1は、連続回転する回転部材2と、缶9の下部を保持する複数の真空吸着手段3と、真空吸着手段3ごとに設けられ、缶9をブロー成形するブロー成形金型6と、真空吸着手段3ごとに設けられ、缶9の周方向に対する角度位置を検出し制御する周方向位置決め手段4と、真空吸着手段3を、少なくとも缶9の投入位置,センサ検出位置,ブロー成形位置及びブロー成形された缶9の取出し位置の間で、真空吸着手段3を移動させる移動手段5とを備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法に関し、特に、ロータリー式であり、かつ、容器の模様と張り出し部を一致させるブロー成形により、付加価値を向上させるとともに、生産速度を高速化し生産コストを低減することができるロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、容器においては、胴部形状を単純な円筒形から様々な形状に張り出し成形して、意匠性を高める差別化が行なわれてきた。
特に、プラスチックボトルを成形するように、高圧エアーを用いて金属缶をブロー成形する、バルジ缶,バルジ缶の製造方法及びバルジ缶の製造装置の技術が提案されており、一部実施もされ注目されている(特許文献1参照)。
この技術によれば、材料の機械的強度を低下させずに、すなわち、焼鈍しなくても、エアーブローによる内圧を用いて、張り出し率の大きなバルジ成形を可能とし、かつ、品質,生産性及び経済性を向上させることができる。
【0003】
また、容器は、成形された張り出し部を缶胴の印刷模様と一致させることにより、さらに意匠性が高まる。このため、印刷模様と缶胴の形状を一致させることに関連する技術が開示されている(特許文献2参照)。
この技術によれば、缶胴を一方の型に装着させ、この缶胴の外周面に印刷された模様に他方の型を位置合わせし、一方の型と他方の型とで模様の少なくとも一部に凹凸加工を施して缶体を成形する際に、模様と加工された凹凸とが位置合わせされているかどうかを検査することができる。
さらに、缶を位置決めして、内外ロール金型でエンボス成形するロータリー式成形装置の技術が開示されている(特許文献3参照)。
【0004】
また、ロータリー式ブロー成形装置として、ペットボトルをブロー成形する技術が開示されている(特許文献4参照)。ただし、この特許文献4には、プリフォームの位置決めに関する技術については記載されていない。
さらに、プリフォームを位置決めしてブロー成形する技術も開示されている(特許文献5参照)。ただし、この特許文献5には、ロータリー式のものは記載されていない。
【特許文献1】PCT/JP2004/008050号公報
【特許文献2】特開2001−191137号公報
【特許文献3】WO98/03279号公報
【特許文献4】特開昭54−93062号公報
【特許文献5】特開2003−39533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように、胴部に様々な形状の張り出し部を形成する異形容器のうち、金属缶については、模様と張り出し部を一致させ、ロール金型を用いたロータリー式の製造技術が既に開示されているものの、模様と張り出し部を一致させ、ブロー成形金型を用いたロータリー式の製造技術は存在しなかった。また、プラスチックボトルについては、模様と張り出し部を一致させ、ブロー成形金型を用いたバッチ式の製造技術が既に開示されているものの、模様と張り出し部を一致させ、ブロー成形金型を用いたロータリー式の製造技術は存在しなかった。すなわち、容器に様々な形状の張り出し部を成形して、意匠性を高める差別化などが行なわれてきたことにより、容器の付加価値は向上したものの、意匠性をさらに向上させ、かつ、生産速度を高速化し生産コストを低減する観点からは、模様と張り出し部を一致させ、ブロー成形金型を用いたロータリー式の製造技術が要望されていた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するために提案されたものであり、ロータリー式であり、かつ、容器の模様と張り出し部を一致させるブロー成形により、付加価値を向上させるとともに、生産速度を高速化し生産コストを低減することができるロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、連続回転する回転部材と、前記回転部材の周縁部に設けられ、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された予備成形体の上部又は下部を保持する複数の保持手段と、前記保持手段ごとに前記回転部材の中央部側に設けられ、前記予備成形体をブロー成形するブロー成形金型と、前記保持手段ごとに前記回転部材に設けられ、前記予備成形体の周方向に対する角度位置を検出するセンサおよび前記センサの検出信号にもとづいて前記予備成形体の周方向に対する角度位置を制御する位置決め用モータを有する周方向位置決め手段と、前記回転部材に設けられ、少なくとも前記予備成形体の投入位置,センサ検出位置,ブロー成形位置及びブロー成形体の取出し位置の間で、前記保持手段を移動させる移動手段と、を備えた構成としてある。
このようにすると、模様と張り出し部の位置を一致させたブロー成形品を、ロータリー式により高速で生産することができる。また、ブロー成形金型が回転部材の中央部側に設けられることにより、回転部材のデッドスペースを有効利用することができ、装置の高速化,小型化及びコストダウンを図ることができる。
なお、連続回転するとは、一時的な回転停止を繰り返す間歇回転ではなく、停止することなく回転することをいう。
【0008】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記移動手段が、前記保持手段を水平方向かつ前記回転部材の径方向に移動させる構成としてある。
このようにすると、予備成形体やブロー成形体の移動距離を短縮することができ、装置の大型化及び複雑化を防止することができる。また、缶サイズ(たとえば、350ml缶と500ml缶における高さ寸法)が異なっても、移動距離が同じとなり、装置の対応能力を向上させることができる。
【0009】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記センサを光センサとした構成としてある。
このようにすると、予備成形体に傷が付くといった不具合を回避するとともに、印刷マーク等によって周方向に対する角度位置を決めることができ、表面に凹凸などのマークを付けにくい(2ピース)缶などにも適用できる。
【0010】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記保持手段が、前記ブロー成形金型の複数ある分割金型のうち、前記予備成形体の上部又は下部に対応する分割金型を有する構成としてある。
このようにすると、ブロー成形金型の一部と保持手段の一部を共用化できるので、装置の構造を簡便化することができる。
【0011】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記予備成形体を前記保持手段に渡す投入ターレットを備え、該投入ターレットが、前記予備成形体の開口された上部又は下部と当接するパッドを介して、前記予備成形体内の空気を吸引する真空吸着手段を有する構成としてある。
このようにすると、予備成形体を高速で受け渡しすることができるとともに、様々な胴部形状の予備成形体に容易に対応することができ、すなわち、予備成形体の胴部形状の変更にともなうポケット,グリッパ,ガイド等の切替を行なわなくてもすみ、生産性を向上させることができる。また、予備成形体が上部にフランジ部を有するネックイン・フランジ成形されたものであっても、パッドがフランジ部と当接することにより、予備成形体を確実に吸着し保持手段に供給することができる。
【0012】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記保持手段から前記ブロー成形体を受け取る取出しターレットを備え、該取出しターレットが、前記ブロー成形体の開口された上部又は下部と当接するパッドを介して、前記ブロー成形体内の空気を吸引する真空吸着手段を有する構成としてある。
このようにすると、ブロー成形により缶胴が張り出している場合であっても、缶胴の凹みや傷つきを防止することができる。また、ブロー成形体を高速で受け渡しすることができる。
【0013】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記保持手段から独立した状態で、プッシュロッドが設けられ、該プッシュロッドが、前記予備成形体又はブロー成形体を受け渡す際、前記真空吸着手段を前記保持手段方向に押す構成としてある。
このように、保持手段から独立したプッシュロッドを用いることにより、真空吸着手段を、予備成形体の高さ方向における接近方向に移動させることができるとともに、保持手段周辺の構造を単純化することができ、高速化や動作の信頼性を向上させることができる。すなわち、プッシュロッドを保持手段に設けると、保持手段の全体的な構造が、大掛かり、かつ、重すぎる構造となってしまうので、これを回避することにより、高速化や動作の信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記プッシュロッドが、前記回転部材に設けられた構成としてある。
このようにすると、プッシュロッドが保持手段と同期した状態で回転し、すなわち、プッシュロッドを、予備成形体の受渡し位置の真上に位置させることができるので、真空吸着手段を予備成形体の高さ方向における接近方向に移動させる動作の信頼性が向上し、予備成形体の受渡しを確実に行うことができる。
【0015】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記予備成形体を、金属缶とした構成としてある。
このようにすると、模様と一致するブロー成形の施された金属缶を、ロータリー式によって、高速で生産することができる。
【0016】
また、本発明のロータリー式ブロー成形装置は、前記予備成形体を、プラスチックボトルのプリフォームとした構成としてある。
このようにすると、模様と一致するブロー成形の施されたペットボトルを、ロータリー式によって、高速で生産することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明のロータリー式ブロー成形方法は、連続回転する回転部材に設けられた複数の保持手段が、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された予備成形体の上部又は下部の一方を順次保持し、前記保持手段ごとに前記回転部材に設けられたセンサが、保持された前記予備成形体の周方向に対する角度位置を検出し、さらに、前記保持手段ごとに前記回転部材に設けられた位置決め用モータが、前記センサの検出信号にもとづいて前記予備成形体の周方向に対する角度位置を制御し、開いた状態のブロー成形金型が、前記予備成形体を型締めし、前記ブロー成形金型内の予備成形体に高圧気体を吹き込んでブロー成形し、続いて、前記高圧気体を排気し、閉じた状態の前記ブロー成形金型を開き、前記ブロー成形体が、上部又は下部の他方を保持されることにより、順次取り出される方法としてある。
このようにすると、ロータリー式ブロー成形であって、かつ、位置決め機構を有するので、例えば印刷絵柄に位置あわせした張り出し成形を行なうなど、意匠性の高い缶の高速バルジ成形、あるいは、周方向で肉厚分布をつけたプリフォームを用いて非円形ボトルのブロー成形を行なうことができる。これにより、軽量化ボトルの高速成形など、予備成形体の位置決めを必要とするブロー成形を高速で行なうことができ、生産性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明のロータリー式ブロー成形方法は、前記回転部材に設けられ、少なくとも前記予備成形体の受渡し位置及びブロー成形位置の間で、前記保持手段を移動させる移動手段が、前記保持手段を水平方向かつ前記回転部材の径方向に移動させる方法としてある。
このようにすると、予備成形体の受渡しやブロー成形を効率よく行なうことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法によれば、容器の模様と張り出し部を一致させ、ブロー成形金型を用いたロータリー式の製造技術により、付加価値を向上させるとともに、生産速度を高速化し生産コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[ロータリー式ブロー成形装置]
図1は、本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の全体的な構成を説明するための概略平面図を示している。
同図において、ロータリー式ブロー成形装置1は、ロータリー式ブロー成形装置本体であるブローホイール10,予備成形体である缶9をブローホイール10に供給する投入ターレット11,及び,ブロー成形された缶9をブローホイール10から取り出す取出しターレット12を備えている。
【0021】
<ブローホイール>
図2は、本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置のブローホイールを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は缶を受け渡すときの平面図を、(b)は缶をブロー成形するときの平面図を示している。
また、図3は、図2のA−A概略断面図を、図4は、図2のB−B概略断面図を示している。
図2,3,4において、ブローホイール10は、回転部材2,保持手段としての真空吸着手段3,周方向位置決め手段4,移動手段5及びブロー成形金型6を備えている。
なお、図2において、理解しやすいように、圧縮空気供給手段64を省略してある。
【0022】
回転部材2は、図2,3に示すように、回転円板21とスライドブロック22とからなっている。
回転円板21は、投入ターレット11と同期した回転速度で、時計回り方向に連続回転する。また、回転円板21は、周縁部に、20個のスライドブロック22が等間隔で取り付けられている。このスライドブロック22は、回転円板21に固定される取付け部221と、真空吸着手段3がスライド自在に収まる収容部222と、スライドシャフト511を取り付けるシャフト押え223を備えている。
【0023】
上記取付け部221は、回転円板21側に軽量化のための凹部が形成されたほぼ直方体状としてあり、回転円板21の側面にボルト固定するためのボルト孔(図示せず)が穿設してある。また、この取付け部221の上面には、図示してないが、圧縮空気供給手段64の保持部材645が螺着される。
収容部222は、取付け部221の外周側端面から水平方向に突設された、上方から見るとほぼU字状としてあり、中央の開口部に、対向する一対のスライドシャフト511が設けられ、真空吸着手段3が回転円板21の半径方向にスライドする。この収容部222の付け根部には、金型ホルダー62,63が回動自在に軸支されている。
また、シャフト押え223は、スライドシャフト511の外周側端部が装入される装入穴(図示せず)が形成された板部材であり、ボルト等によって収容部222の外周側端面に固定される。
【0024】
回転部材2の周縁部に設けられた複数の保持手段として、本実施形態では、真空吸着手段3を設けてある。この真空吸着手段3は、図3に示すように、ボトムパッド31,吸気軸32,ボールベアリング33,ベアリングブロック34,受け台35,ベース36及び歯車37を備えている。
なお、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された予備成形体として、上部がネックイン・フランジ成形された缶9を使用しているが、本発明の予備成形体は缶9に限定されるものではない。また、開口されたフランジ部を上方とした姿勢で、缶9をブロー成形しているが、この姿勢に限定されるものではない。
【0025】
ボトムパッド31は、金属などの剛体からなるほぼ円板状としてあり、上面中央部から下方に向かって真空引きする吸気孔311が貫通してある。また、本実施形態のボトムパッド31は、上面に、缶9の底部に対応した形状が形成してあり、ブロー成形金型6の底金型として機能する。すなわち、周縁部に円環状の溝312が形成され、その内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部313が形成されている。この溝312に缶9の底部が嵌合することにより、缶9をブロー形成する際、缶9のチャイム部92aや中央ドーム部92cが膨らむといった不具合を回避することができる。また、ボトムパッド31に対する缶9の位置が精度よく決められる。さらに、ボトムパッド31は、下面中央に、円筒状の嵌入部314が突設され、吸気軸32の上部に嵌入される。また、ボトムパッド31が、ブロー成形金型6の底金型としてあるので、装置の構造を簡便化することができる。
【0026】
吸気軸32は、金属製のほぼ管状としてあり、内部がボトムパッド31の吸気孔311と連通する。また、上端部にボトムパッド31を支持するフランジ部321と、嵌入部が収まる円筒部322が形成してある。吸気軸32は、上部及び下部がボールベアリング33によって回転自在に軸支される。また、下部には、歯車37が取り付けられており、ステッピングモータ43によって、缶9の周方向の角度位置が制御される。さらに、最下端部は、ジョイントを介して、フレキシブル吸気管と連結してある。
【0027】
ベアリングブロック34は、上部に円板341を有するほぼ円筒状としてあり、受け台35に螺着される。また、内側の上部及び下部に、吸気軸32を軸支するボールベアリング33が取り付けられている。このベアリングブロック34は、上記円板341が、分割金型61の凹部613に嵌合され、分割金型61に対して、ボトムパッド31を精度よく位置決めする。
また、受け台35は、ほぼ直方体状としてあり、ベアリングブロック34が嵌入される孔が穿設してあり、ベース36に取り付けられている。
ベース36は、中央部に、ベアリングブロック34が嵌入される孔が穿設された、ほぼ直方体状としてあり、リニアベアリング51のスライドユニット512に螺着される。
【0028】
移動手段5は、リニアベアリング51とスライドカム52とからなっている。
リニアベアリング51は、スライドシャフト511とスライドユニット512とからなっており、一対のスライドシャフト511が、スライドブロック22に対向した状態で回転円板21の半径方向に沿って、取り付けられている。また、スライドユニット512には、真空吸着手段3が固定されており、真空吸着手段3が、回転円板21の半径方向に往復移動する。
【0029】
スライドカム52は、上面に従動部521の装入される溝522が形成され、ブローホイール10の基台(図示せず)にボルト固定されたレール523と、一端がベース36に固定され、他端に従動部521が取り付けられた半径方向に長いアーム524とを備えている。これにより、回転円板21が回転すると、真空吸着手段3は、缶9の受渡し位置(投入位置)→センサ検出位置→ブロー成形位置→ブロー成形された缶9の受渡し位置(取出し位置)を1サイクルとする往復移動を繰り返す。なお、本実施形態では、図1に示すように、缶9の投入位置,センサ検出位置及びブロー成形された缶9の取出し位置は、同じ半径(R)としてあり、ブロー成形位置は半径Rより短い半径rとしてある。
【0030】
周方向位置決め手段4は、二つの光センサ41,42と、コンピュータなどの情報処理装置を有する制御部(図示せず)と、制御部からの制御信号を入力して駆動するステッピングモータ43を備えている。
光センサ41,42は、センサ検知位置における缶9の側面の印、たとえば、模様、色彩、文字、凹凸などの一部を検出するセンサである。また、光センサ41,42は、缶9の外周に沿って湾曲した(目盛り付き)固定部を有する支持部材44を介して、各スライドブロック22に固定される。また、ステッピングモータ43は、ベース36の下部に設けられ、制御部(図示せず)からの制御信号により駆動される。また、ステッピングモータ43は、軸端にギア431が設けてあり、駆動されると、ギア431と噛み合う歯車37を介してボトムパッド31を回転させる。このようにすると、缶9の周方向に対する角度位置を制御することができる。
【0031】
ブロー成形金型6は、図4に示すように、分割金型61,金型ホルダー62,63,及び,圧縮空気供給手段64を備えている。このブロー成形金型6は、真空吸着手段33ごとに回転部材2の中央部側に設けられている。
分割金型61は、缶9の側面に張り出し部を成形するための、缶9の中心軸に沿って二分割された、左右一対の直方体状の金型である。この分割金型61は、上部に圧縮空気供給手段64との位置を決める円環状の凸部611が形成され、中段部に缶9が収容される空間612が形成され、下部にボトムパッド31との位置を決める円環状の凹部613が形成されている。また、分割金型61は、それぞれ金型ホルダー62,63に螺着されている。
なお、本実施形態の分割金型61は、凸部611,空間612及び凹部613を一つの金型材に直接的に成形してあるが、この構造に限定されるものではなく、たとえば、缶9のフランジ部や胴部の形状に加工した、部分金型(図示せず)を分割金型61に組み込む構造としてもよい。
【0032】
金型ホルダー62,63は、収容部222の回転円板21側に、回動自在に軸支してある。また、金型ホルダー62,63は、図示してないが、回動するための駆動手段(たとえば、ロータリーシリンダやカム機構など)を備えている。さらに、一方の金型ホルダー62は、先端部に係止ピン621が埋設してあり、他方の金型ホルダー63は、先端部に係止ピン621に係止する鉤状の係止部631が設けられている。係止部631は、金型ホルダー62,63が閉じた後、時計回り方向に約90度回動し、係止ピン621に係止され、金型ホルダー62,63が閉じた状態を確実に維持する。
【0033】
圧縮空気供給手段64は、昇降するエアシリンダ部641,エアシリンダ部641と連結され、缶9に(ブロー成形用の)圧縮空気を供給・排気する給気孔646が形成されたロッド642,ロッド642の下端に取り付けられ、缶9の開口部をシールするシール材643が設けられたフランジ部644,及び,エアシリンダ部641を所定位置に保持する保持部材645とからなっている。圧縮空気供給手段64は、エアシリンダ部641が、ロッド642を降下させ、ブロー成形位置に移動してきた缶9のフランジ部と圧縮空気供給手段64のフランジ部644を当接させシールする。これにより、缶9内に高圧の圧縮空気を供給し、ブロー成形することが可能となる。
【0034】
<投入ターレット>
図5は、本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の投入ターレットを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を、(b)は平面図を示している。
同図において、投入ターレット11は、回転円板111と、軸受ブロック112と、ローラーガイド113と、真空吸着手段114と、直動カム115と、揺動カム116と、プッシュロッド117(図7参照)とを備えている。
【0035】
回転円板111は、ブローホイール10と同期した回転速度で、反時計回り方向に回転する。また、回転円板111は、周縁部に、12個の軸受ブロック112が等間隔で取り付けられている。
【0036】
軸受ブロック112は、一対のボールベアリングによって回転自在に軸支される揺動軸112aを備えている。揺動軸112aは、上端部に、ローラーガイド113のレール部がボルト(図示せず)等により固定されており、下端部が揺動カム116と連結されている。この揺動カム116は、揺動軸112a,ローラーガイド113を介して、真空吸着手段114を揺動させる。また、ローラーガイド113は、レール部に沿って直線的に往復移動する取付け部が直動カム115と連結されており、直動カム115が真空吸着手段114をレール部方向に直動させる。
【0037】
投入ターレット11は、上記揺動カム116及び直動カム115によって、図6に示すように、缶9を受け渡す際、ブローホイール10のボトムパッド31の(上方から見た)軌跡に沿って、かつ、ボトムパッド31と同期した状態で、真空吸着手段114を移動させる。このようにすると、同期区間内で缶9を受け渡しすることができ、缶9の移行時間を確保できる。したがって、投入ターレット11及びブローホイール10が(間歇回転ではなく)連続回転した状態で、缶9を受け渡すことができ、生産速度を高速化することができる。
【0038】
真空吸着手段114は、フランジパッド114a,スライドピン114b,圧縮ばね114c,押下板114d,バキュームジョイント114e,リリーフバルブ114f及び連結部材114gを備えている。
連結部材114gは、一端がローラーガイド113の取付け部に固定され、他端にフランジパッド114a等が取り付けられる(ほぼ鉤状に形成された)板部材である。
フランジパッド114aは、プラスチックや金属などからなる円板であり、中央部に、バキュームジョイント114e及びリリーフバルブ114fと連通する吸気孔が形成してある。また、フランジパッド114aは、上面に、スライドピン114b及び押下板114dの円筒部が連結してあり、圧縮ばね114cにより上方に付勢された状態で、上下動自在に連結部材114gに取り付けられる。このフランジパッド114aは、ネックイン部及びフランジ部が形成された缶9のフランジ部と当接し、缶9内部に真空領域を形成することにより、缶9を吸着保持する。
【0039】
また、本実施形態では、フランジパッド114aの吸気孔と連通するリリーフバルブ114fが設けられている。このリリーフバルブ114fは、搬送バキューム圧が設定された圧力に到達すると、外気を缶9内に導入し、搬送バキューム圧の圧力制御手段として機能する。また、リリーフバルブ114fは、リリーフ流量を制御する(固定式の)流量制御手段として、オリフィス(図示せず)を備えている。このようにすると、搬送バキューム圧の立ち上がり時間が短縮化され、高速搬送を行なうことができる。
【0040】
上述したように、投入ターレット11は、缶9の開口された上部(フランジ部)と当接するパッドを介して、缶9内の空気を吸引する真空吸着手段114を有している。このようにすると、缶9を高速で受け渡しすることができるとともに、様々な胴部形状の缶9に容易に対応することができ、すなわち、缶9の胴部形状の変更にともなうポケット,グリッパ,ガイド等の切替を行なわなくてもすみ、生産性を向上させることができる。また、缶9が上部にフランジ部を有するネックイン・フランジ成形されたものであっても、パッドがフランジ部と当接することにより、缶9を確実に吸着し、ブローホイール10の真空吸着手段3に供給することができる。
【0041】
<プッシュロッド>
ブローホイール10は、フランジパッド114aを上下移動させる機構として、各真空吸着手段3の受渡し位置の上方に、プッシュロッド117を備えている。
図7は、本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置のブローホイールに設けられた、プッシュロッドを説明するための概略図であり、(a)は側面図を、(b)は要部の拡大図を示している。
同図において、プッシュロッド117は、支持部材117a,ローラーガイド117b,押下棒117c及び当接部117dを備えている。
また、図示してないが、プッシュロッド117は、ブローホイール10の外周に設けられたカム機構を利用して、投入ターレット11と同期した状態で押下棒117cを上下方向に移動させ、フランジパッド114aを上下移動させる。なお、上記カム機構の代わりに、押下棒117cと連結された電磁ソレノイド,リニアモータ,エアシリンダ等の駆動源を用いて、押下棒117cを上下方向に移動させてもよい。
【0042】
支持部材117aは、ブローホイール10の回転部材2の一部(図示せず)と連結されており、ローラーガイド117bを介して、押下棒117cが上下動自在に取り付けられる。押下棒117cは、下端に、当接部117dが設けられている。この当接部117dは、ボールベアリング,圧縮ばね及びスライドピンにより、回転自在、かつ、下方に付勢した状態で上下動自在に、押下棒117cに設けられている。
【0043】
このように、プッシュロッド117を設けることにより、真空吸着手段114を、高さ方向の接近方向(下方)に移動させることができ、構造を単純化することができる。また、ブローホイール10がブロー成形を行なうために、真空吸着手段3が水平方向にスライドする構成としてあり、ブロー成形金型6等が設けられている。このような場合、真空吸着手段3にカム機構を設けて、真空吸着手段3を昇降させるとすると、構造が大掛かりになるといった不具合があるが、プッシュロッド117を設けることにより、この不具合を回避することができる。
【0044】
<取出しターレット>
取出しターレット12は、投入ターレット11とほぼ同様な構造としてあり、投入ターレット11と比べると、投入ターレット11が、ブロー成形前の缶9を、ブローホイール10に渡しているのに対して、取出しターレット12は、ブロー成形された缶9をブローホイール10から受け取る点が相違する。したがって、詳細な説明は省略する。
【0045】
次に、上記構成のロータリー式ブロー成形装置1の動作について、図面を参照して説明する。
【0046】
<投入ターレットからブローホイールへの搬送>
図8は、本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の、投入ターレットからブローホイールへの移送動作を説明するための概略図であり、(a)はプッシュロッドが真空吸着手段と接触したときの側面図を、(b)は缶がボトムパッドと接触したときの側面図を、(c)はブローホイールの真空吸着手段が吸引中の側面図を、(d)はフランジパッドが缶から離れる直前の側面図を、(e)はプッシュロッドが真空吸着手段から離れる直前の側面図を示している。
【0047】
投入ターレット11は、同図(a)に示すように、フランジパッド114aが、缶9の(上部の)フランジ部を真空吸着により保持した状態で、反時計回り方向に搬送する。また、プッシュロッド117の当接部117dが降下し、当接部117dが押下板114dと接触している。
なお、フランジパッド114aは、フランジパッド基準高さを移動しており、ブローホイール10のボトムパッド31は、ボトムパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド114aは、上述した揺動カム116による揺動機構と直動カム115による直動機構によって、ボトムパッド31の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。
【0048】
次に、投入ターレット11は、同図(b)に示すように、当接部117dが押下板114dを押下し、フランジパッド114aが降下し、缶9の底部がボトムパッド31と接触する。このとき、フランジパッド114aは、缶9のフランジ部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド31が、缶9の底部の真空吸着を開始する。
【0049】
次に、投入ターレット11は、同図(c)に示すように、押下棒117cがさらに降下し、缶9の底部がボトムパッド31に押し付けられる。このとき、ボトムパッド31は、缶9の底部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド114aが、缶9のフランジ部の真空破壊を開始する。
【0050】
次に、投入ターレット11は、同図(d)に示すように、押下棒117cが上昇し、フランジパッド114aから缶9のフランジ部が離れる直前の状態となる。このとき、ボトムパッド31は、缶9の底部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド114aは、缶9のフランジ部の真空破壊を完了している。
【0051】
次に、ブローホイール10は、同図(e)に示すように、ボトムパッド31が、投入ターレット11から供給された缶9を、缶9の底部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。
【0052】
<ブローホイールにおけるブロー成形>
ブローホイール10は、図1に示すように、投入ゾーンで供給された缶9を、時計回り方向に搬送し、約60°の角度を有する周方向位置決めゾーンを搬送する。
続いて、ブローホイール10は、周方向位置決めゾーンの搬送中に、周方向位置決め手段4が、ステッピングモータ43を時計回り方向に回転させ、光センサ41,42が、センサ検知位置における缶9の側面の印、たとえば、模様、色彩、文字、凹凸などを検出する。これにより、缶9の周方向に対する角度位置を検知し、続いて、ステッピングモータ43を回転させ、缶9を所定の周方向に対する角度位置に合わせる。なお、本願では、ブロー成形位置とは異なるブロー成形金型6から離れた位置に、缶9が位置するとき、缶9を周方向に対して位置決めするので、光センサ42と缶9がブロー成形金型6によって遮られるようなことがなく、位置決めを確実に行なえる。
【0053】
次に、移動手段5が、真空吸着手段3を、スライドシャフト511に沿って、回転部材2の径方向内側に向かって、ブロー成形位置まで搬送し、続いて、金型ホルダー62,63が閉じ、係止部631が回動し係止ピン621に係止される。これにより、缶9は、分割金型61に収容されるとともに、凹部613が分割金型61の凹部に嵌合され、また、分割金型61の凸部611が圧縮空気供給手段64の凹部に嵌合される。すなわち、分割金型61に対して、ボトムパッド31,缶9及びフランジ部644が精度よく位置決めされる。
【0054】
次に、図4に示すように、圧縮空気供給手段64は、フランジ部644を降下させ、シール材643によって、缶9のフランジ部がフランジ部644とシールされた状態で当接する。続いて、圧縮気体がフランジ部644から缶9内部に供給され、缶9がブロー成形される。なお、本実施形態では、フランジ部644が静止した状態でブロー成形しているが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、フランジ部644が圧縮気体を供給するとともに、缶9を下方に押下する構成としてもよい。
【0055】
次に、圧縮空気供給手段64は、圧縮気体を缶9から排出し、缶9の内部圧力をほぼ大気圧にもどしてから、フランジ部644を上昇させる。
続いて、金型ホルダー62,63を開き、移動手段5が、真空吸着手段3を、スライドシャフト511に沿って、回転部材2の径方向外側に向かって、取出し位置まで搬送する。
【0056】
<ブローホイールから取出しターレットへの搬送>
次に、ブローホイール10から取出しターレット12への搬送について、図8を参照して説明する。
ブローホイール10は、同図(e)に示すように、ボトムパッド31が、ブロー成形された缶9を、缶9の底部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。また、ブローホイール10に設けられたプッシュロッド117の当接部117dが降下し、当接部117dが(取出しターレット12の)押下板114dと接触している。
なお、フランジパッド114aは、フランジパッド基準高さを移動しており、ブローホイール10のボトムパッド31は、ボトムパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド114aは、上述した揺動カム116による揺動機構と直動カム115による直動機構によって、ボトムパッド31の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。
【0057】
次に、取出しターレット12は、同図(d)に示すように、当接部117dが押下板114dを押下し、フランジパッド114aが降下し、缶9の底部がフランジパッド114aと接触する。このとき、フランジパッド114aは、缶9の(上部の)フランジ部の真空吸着を開始しており、かつ、ボトムパッド31が、缶9の底部の真空吸着している。
【0058】
次に、取出しターレット12は、同図(c)に示すように、押下棒117cがさらに降下し、缶9の底部がボトムパッド31に押し付けられる。このときフランジパッド114aが、缶9のフランジ部を真空吸着しており、ボトムパッド31は、缶9の底部の真空破壊が開始する。
【0059】
次に、取出しターレット12は、同図(b)に示すように、フランジ部材117cが上昇し、ボトムパッド31から缶9の底部が離れる直前の状態となる。このとき、フランジパッド114aは、缶9のフランジ部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド31は、缶9の底部の真空破壊を完了している。
【0060】
次に、取出しターレット12は、同図(a)に示すように、フランジパッド114aが、ブローホイール10から供給された缶9を、缶9のフランジ部を真空吸着により保持した状態で、反時計回り方向に搬送する。
なお、ボトムパッド31は、ボトムパッド基準高さを移動しており、フランジパッド114aは、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド114aは、上述した揺動カム116による揺動機構と直動カム115による直動機構によって、ボトムパッド31の(上方から見た)軌跡に沿って、移動してきたが、ここから先は、独自の軌跡に沿って移動する。
【0061】
このように、ロータリー式ブロー成形装置1は、模様と張り出し部の位置が一致するブロー成形された缶9を、ロータリー式により高速で生産することができる。また、ブロー成形金型6が回転部材2の中央部側に設けられることにより、回転部材2のデッドスペースを有効利用することができ、装置の高速化,小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0062】
[ロータリー式ブロー成形方法]
本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形方法は、連続回転する回転部材2の周縁部に設けられた複数の真空吸着手段3が、上部が開口され下部が閉止された缶9の、閉止された下部を順次保持する。
次に、真空吸着手段3ごとに回転部材2に設けられた光センサ41,42が、保持された缶9の周方向位置を検出し、真空吸着手段3ごとに回転部材2に設けられたステッピングモータ43が、光センサ41,42の検出信号にもとづいて真空吸着手段3を自転させて、缶9の周方向位置を位置決めする。
【0063】
次に、移動手段5が、位置決めされた缶9をブロー成形位置に移動させ、開いた状態のブロー成形金型6が、移動してきた缶9を型締めし、ブロー成形金型6内の缶9に高圧気体を吹き込んでブロー成形する。続いて、高圧気体を排気し、閉じた状態のブロー成形金型6を開き、移動手段5が、缶9の受渡し位置に、真空吸着手段3を移動させる。
次に、取出しターレット12が、開口された上部を保持されることにより、ブロー成形された缶9を順次取り出す。
【0064】
また、好ましくは、回転部材2に設けられ、少なくとも缶9の受渡し位置及びブロー成形位置の間で、真空吸着手段3を移動させる移動手段5が、真空吸着手段3を水平方向かつ回転部材2の径方向に移動させるとよい。これにより、真空吸着手段3の動作が単純化され、缶9の受渡しやブロー成形を効率よく行なうことができる。
【0065】
上述したロータリー式ブロー成形方法によれば、ロータリー式ブロー成形であって、かつ、位置決め機構を有するので、例えば印刷絵柄に位置あわせした張り出し成形を行なうなど、意匠性の高い缶の高速バルジ成形、あるいは、周方向で肉厚分布をつけたプリフォームを用いて非円形ボトルのブロー成形を行なうことができる。また、軽量化ボトルの高速成形など、予備成形体の位置決めを必要とするブロー成形を高速で行なうことができ、生産性を向上させることができる。すなわち、本発明は、ロータリー式ブロー成形方法としても有効であり、容器の模様と張り出し部を一致させ、ブロー成形金型を用いたロータリー式の製造技術により、生産速度を高速化し生産コストを低減することができる。
【0066】
なお、本明細書では、ロータリー式ブロー成形装置について詳細に説明したが、ロータリー式ブロー成形装置1における様々な実施形態、たとえば、移動手段5が、水平方向かつ回転部材2の径方向に移動すること(請求項2),周方向位置決め手段4が光センサ41,42を備えたこと(請求項3),ボトムパッド31がブロー成形金型6の下金型として機能すること(請求項4),投入ターレット11を備えたこと(請求項5),取出しターレット12を備えたこと(請求項6),プッシュロッド117を備えたこと(請求項7),プッシュロッド117を回転部材2に設けたこと(請求項8),予備成形体を金属缶としたこと(請求項9)は、ロータリー式ブロー成形方法にも適用でき、同様の効果を発揮することができる。
【0067】
以上、本発明のロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、予備成形体を缶9としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、ペットボトルのプリフォームとしてもよく、このようにすると、模様と一致するブロー成形の施されたペットボトルを、ロータリー式によって、高速で生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように、本発明のロータリー式ブロー成形装置及びロータリー式ブロー成形方法は、胴部に様々な形状が成形された異形容器(金属缶,プラスチックボトル,カップなどの様々な容器)に対して、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の全体的な構成を説明するための概略平面図を示している。
【図2】本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置のブローホイールを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は缶を受け渡すときの平面図を、(b)は缶をブロー成形するときの平面図を示している。
【図3】図2のA−A概略断面図を示している。
【図4】図2のB−B概略断面図を示している。
【図5】本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の投入ターレットを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を、(b)は平面図を示している。
【図6】本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の投入ターレットの、受渡し動作を説明するための要部の概略平面図を示している。
【図7】本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置のブローホイールに設けられた、プッシュロッドを説明するための概略図であり、(a)は側面図を、(b)は要部の拡大図を示している。
【図8】本発明の一実施形態に係るロータリー式ブロー成形装置の、投入ターレットからブローホイールへの移送動作を説明するための概略図であり、(a)はプッシュロッドが真空吸着手段と接触したときの側面図を、(b)は缶がボトムパッドと接触したときの側面図を、(c)はブローホイールの真空吸着手段が吸引中の側面図を、(d)はフランジパッドが缶から離れる直前の側面図を、(e)はプッシュロッドが真空吸着手段から離れる直前の側面図を示している。
【符号の説明】
【0070】
1 ロータリー式ブロー成形装置
2 回転部材
3 真空吸着手段
4 周方向位置決め手段
5 移動手段
6 ブロー成形金型
9 缶
10 ブローホイール
11 投入ターレット
12 取出しターレット
21 回転円板
22 スライドブロック
31 ボトムパッド
32 吸気軸
33 ボールベアリング
34 ベアリングブロック
35 受け台
36 ベース
37 歯車
41,42 光センサ
43 ステッピングモータ
44 支持部材
51 リニアベアリング
52 スライドカム
61 分割金型
62,63 金型ホルダー
64 圧縮空気供給手段
92a チャイム部
92c 中央ドーム部
111 回転円板
112 軸受ブロック
112a 揺動軸
113 ローラーガイド
114 真空吸着手段
114a フランジパッド
114b スライドピン
114c 圧縮ばね
114d 押下板
114e バキュームジョイント
114f リリーフバルブ
114g 連結部材
115 直動カム
116 揺動カム
117 プッシュロッド
117a 支持部材
117b ローラーガイド
117c 押下棒
117d 当接部
221 取付け部
222 収容部
223 シャフト押え
311 吸気孔
312 溝
313 凸部
314 嵌入部
321 フランジ部
322 円筒部
341 円板
431 ギア
511 スライドシャフト
512 スライドユニット
521 従動部
522 溝
523 レール
524 アーム
611 凸部
612 空間
613 凹部
621 係止ピン
631 係止部
641 エアシリンダ部
642 ロッド
643 シール材
644 フランジ部
645 保持部材
646 給気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続回転する回転部材と、
前記回転部材の周縁部に設けられ、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された予備成形体の上部又は下部を保持する複数の保持手段と、
前記保持手段ごとに前記回転部材の中央部側に設けられ、前記予備成形体をブロー成形するブロー成形金型と、
前記保持手段ごとに前記回転部材に設けられ、前記予備成形体の周方向に対する角度位置を検出するセンサおよび前記センサの検出信号にもとづいて前記予備成形体の周方向に対する角度位置を制御する位置決め用モータを有する周方向位置決め手段と、
前記回転部材に設けられ、少なくとも前記予備成形体の受渡し位置及びブロー成形位置の間で、前記保持手段を移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とするロータリー式ブロー成形装置。
【請求項2】
前記移動手段が、前記保持手段を水平方向かつ前記回転部材の径方向に移動させることを特徴とする請求項1記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項3】
前記センサを光センサとしたことを特徴とする請求項1又は2記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項4】
前記保持手段が、前記ブロー成形金型の複数ある分割金型のうち、前記予備成形体の上部又は下部に対応する分割金型を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項5】
前記予備成形体を前記保持手段に渡す投入ターレットを備え、該投入ターレットが、前記予備成形体の開口された上部又は下部と当接するパッドを介して、前記予備成形体内の空気を吸引する真空吸着手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項6】
前記保持手段から前記ブロー成形体を受け取る取出しターレットを備え、該取出しターレットが、前記ブロー成形体の開口された上部又は下部と当接するパッドを介して、前記ブロー成形体内の空気を吸引する真空吸着手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項7】
前記保持手段から独立した状態で、プッシュロッドが設けられ、該プッシュロッドが、前記予備成形体又はブロー成形体を受け渡す際、前記真空吸着手段を前記保持手段方向に押すことを特徴とする請求項5又は6記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項8】
前記プッシュロッドが、前記回転部材に設けられたことを特徴とする請求項7記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項9】
前記予備成形体を、金属缶としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項10】
前記予備成形体を、プラスチックボトルのプリフォームとしたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のロータリー式ブロー成形装置。
【請求項11】
連続回転する回転部材に設けられた複数の保持手段が、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された予備成形体の上部又は下部の一方を順次保持し、
前記保持手段ごとに前記回転部材に設けられたセンサが、保持された前記予備成形体の周方向に対する角度位置を検出し、さらに、前記保持手段ごとに前記回転部材に設けられた位置決め用モータが、前記センサの検出信号にもとづいて前記予備成形体の周方向に対する角度位置を制御し、
開いた状態のブロー成形金型が、前記予備成形体を型締めし、前記ブロー成形金型内の予備成形体に高圧気体を吹き込んでブロー成形し、続いて、前記高圧気体を排気し、閉じた状態の前記ブロー成形金型を開き、
前記ブロー成形体が、上部又は下部の他方を保持されることにより、順次取り出される
ことを特徴とするロータリー式ブロー成形方法。
【請求項12】
前記回転部材に設けられ、少なくとも前記予備成形体の受渡し位置及びブロー成形位置の間で、前記保持手段を移動させる移動手段が、前記保持手段を水平方向かつ前記回転部材の径方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のロータリー式ブロー成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−69241(P2007−69241A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258894(P2005−258894)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】