説明

ローラの製造方法

【課題】寸法精度、さらには表面精度も高い弾性層を備えたローラを生産性よく製造することのできるローラの製造方法を提供すること。
【解決手段】軸体2の外周面にゴム組成物を硬化してゴム硬化体を形成し、前記ゴム硬化体の軸線方向表面に砥石を移動させるゴム硬化体調整加工を少なくとも2回施して、弾性層3を形成することを特徴とするローラ1の製造方法。この発明に係るローラの製造方法によれば、ゴム硬化体調整加工による生産性の低下を最小限に抑えることができ、ゴム硬化体調整加工時におけるゴム硬化体の変形及び劣化等を防止し、ゴム硬化体を均一にゴム硬化体調整加工することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラの製造方法に関し、さらに詳しくは、寸法精度の高い、さらには表面精度も高い弾性層を備えた、例えば画像形成装置等に使用されるローラを生産性よく製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンター及びビデオプリンター等のプリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等には、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は、軸体とその外周面に形成された弾性層とを有する、例えば、クリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、加圧ローラ、紙送り搬送ローラ、定着ローラ等の各種ローラを備えている。このような画像形成装置で高品質な画像を形成するには、画像形成装置に装着されるローラは、均一な表面状態を有し、かつ、ローラが当接又は圧接する被当接体にローラの軸線方向に均一に接する必要がある。この必要に応えるために、ローラには、軸線方向にわたる寸法精度、さらには、表面全体に及ぶ表面精度等が高いことが要求される。
【0003】
従来、これらの各種ローラは、軸体の外周面にゴム組成物を硬化してゴム硬化体を形成し、次いで、ゴム硬化体の外周面を定法に従って研磨、研削又は切削して弾性層を形成することによって、製造されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。特許文献2には、「外径形状の精度を得るために、円筒研削盤で導電性弾性層(本願発明におけるゴム硬化体に相当する。)を研削する」と記載されている(特許文献2の段落番号0006欄参照。)。
【0004】
しかし、ローラの製造方法において、ゴム硬化体を研磨、研削又は切削する工程を行うとローラの生産性が低下するうえ、ゴム硬化体を研磨、研削又は切削しても所望の寸法精度又は表面精度を実現することが困難な場合がある。特に、所望の寸法精度又は表面精度を得るために、ゴム硬化体の全体を長時間にわたって研磨、研削又は切削すると、かえって寸法精度及び表面精度が低下することがあり、加えて、ローラの生産性も著しく低下することがある。
【0005】
ところで、近年の画像形成装置は、高画質化等が急速に進展し、また、印刷速度も格段に増大している。それ故、画像形成装置に装着されるローラに要求される寸法精度及び表面精度も格段に向上し、単に、ゴム硬化体を研磨、研削又は切削するだけでは、要求される寸法精度又は表面精度を実現することは難しくなっている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−146065号公報
【特許文献2】特開2005−305592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、寸法精度の高い弾性層を備えたローラを生産性よく製造することのできるローラの製造方法、並びに、寸法精度及び表面精度の高い弾性層を備えたローラを生産性よく製造することのできるローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、軸体の外周面にゴム組成物を硬化してゴム硬化体を形成し、前記ゴム硬化体の軸線方向表面に砥石を移動させるゴム硬化体調整加工を、少なくとも2回施して、弾性層を形成することを特徴とするローラの製造方法であり、
請求項2は、前記ゴム硬化体調整加工のうち最後に施されるゴム硬化体調整加工において、前記ゴム硬化体は、厚さ方向に0.3〜1.0mm除去されることを特徴とする請求項1に記載のローラの製造方法であり、
請求項3は、前記ゴム組成物は発泡剤を含有し、前記ゴム硬化体調整加工のうち最後に施されるゴム硬化体調整加工において、前記ゴム硬化体は厚さ方向に0.8〜2.0mm除去されることを特徴とする請求項1に記載のローラの製造方法であり、
請求項4は、前記弾性層の外周面に樹脂組成物を硬化してコート層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のローラの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るローラの製造方法は、ゴム硬化体にゴム硬化体調整加工を少なくとも2回施して弾性層を形成するから、ゴム硬化体調整加工による生産性を著しく低下させることなく、ゴム硬化体調整加工時におけるゴム硬化体の変形及び劣化等を防止し、ゴム硬化体を均一にゴム硬化体調整加工することができる。したがって、この発明によれば、寸法精度の高い弾性層を備えたローラを生産性よく製造することのできるローラの製造方法、並びに、寸法精度及び表面精度の高い弾性層を備えたローラを生産性よく製造することのできるローラの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明に係るローラの製造方法によって製造されるローラは、例えば、図1に示されるように、軸体2と軸体2の外周面に形成された弾性層3とを備え、所望により、図2に示されるように、さらに、弾性層3の外周面に形成されたコート層4を備え、例えば、図3に示される画像形成装置等に装着される。
【0011】
この発明に係るローラの製造方法は、軸体2の外周面にゴム組成物を硬化してゴム硬化体を形成し、ゴム硬化体の軸線方向表面に砥石を移動させるゴム硬化体調整加工を少なくとも2回施して弾性層3を形成することを特徴とする。
【0012】
この発明に係るローラの製造方法においては、まず、軸体2を準備する。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮若しくはこれらの合金等の金属、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の樹脂、及び前記樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂等の材料を用いて、公知の方法により所望の形状に調製される。軸体2に導電性が要求される場合には、前記金属及び前記導電性樹脂の他に、前記樹脂等で形成した絶縁性芯体の表面に定法によりメッキを施すことにより、軸体2を形成することができる。前記材料の中でも、容易に導電性を付与することができる点で、金属であるのが好ましく、アルミニウム又はステンレス鋼であるのが特に好ましい。
【0013】
軸体2は、所望により、その外周面にプライマー層が塗布されてもよい。プライマー層を形成するプライマーは、所望により溶剤等に溶解され、定法、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、軸体2の外周面に塗布され、硬化される。プライマーとしては、特に制限はないが、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。所望により、前記樹脂を硬化及び/又は架橋する架橋剤を用いることができ、このような架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、過酸化物、フェノール化合物、ハイドロジェンシロキサン化合物等が挙げられる。プライマー層は、例えば、0.1〜10μmの厚さに形成される。
【0014】
次いで、この発明に係るローラの製造方法においては、このようにして形成された軸体2の外周面に、後述するゴム組成物を硬化して、ゴム硬化体を形成する。ゴム硬化体は後述するゴム硬化体調整加工により弾性層3とされる成形体である。
【0015】
ゴム硬化体は、軸体2の外周面に配置された後述するゴム組成物を加熱硬化して形成される。例えば、ゴム硬化体は、公知の成形方法によって、成形と加熱硬化とを同時に又は連続して行い、軸体2の外周面に形成される。ゴム組成物の成形方法は、軸体2の外周面にゴム組成物を配置することができる方法であればよく、例えば、押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されるものではない。例えば、ゴム組成物が後述する付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物及び付加反応型発泡シリコーンゴム組成物である場合には、成形方法として押出成形等を選択することができ、ゴム組成物が後述する付加硬化型液状シリコーンゴム組成物である場合には、成形方法として金型を用いる各種型成形法等を選択することができる。
【0016】
ゴム組成物の硬化条件は、軸体2の外周面に配置されたゴム組成物の硬化に必要な熱を与え、ゴム組成物が硬化する条件であればよく、ゴム組成物の組成等に応じて適宜調整される。例えば、ゴム組成物が後述する付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物である場合には、硬化条件は、100〜400℃、特に120〜300℃の加熱温度、及び、数分以上1時間以下、特に3分以上35分以下の加熱時間であるのが好ましく、ゴム組成物が後述する付加硬化型液状シリコーンゴム組成物である場合には、硬化条件は、100〜300℃、特に110〜200℃の加熱温度、及び、1分以上1時間以下、特に3分以上30分以下の加熱時間であるのが好ましい。一方、ゴム組成物が発泡剤を含有する発泡ゴム組成物である場合には、ゴム組成物が硬化し、かつ、発泡剤が分解又は発泡するのに十分な硬化条件であればよく、ゴム組成物の組成、発泡剤の種類等に応じて適宜調整される。例えば、ゴム組成物が後述する付加反応型発泡シリコーンゴム組成物である場合には、硬化条件は、通常、100〜400℃、特に200〜400℃の加熱温度、数分以上1時間以下、特に5分以上30分以下の加熱時間であるのが好ましい。
【0017】
このようにして硬化されたゴム硬化体は、必要に応じて、二次硬化されることもできる。二次硬化条件は、特に限定されないが、例えば、ゴム組成物が後述する付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物である場合には、150〜250℃の加熱温度、及び、1〜20時間程度の加熱時間であるのがよく、ゴム組成物が後述する付加硬化型液状シリコーンゴム組成物である場合には、120〜250℃の加熱温度、及び、1〜10時間程度の加熱時間であるのがよい。また、ゴム組成物が後述する付加反応型発泡シリコーンゴム組成物である場合には、二次硬化条件は、前記硬化させた状態のままで、180〜250℃、特に190〜230℃の加熱温度、及び、1〜24時間、特に3〜10時間の加熱時間であるのがよい。
【0018】
この発明に係るローラの製造方法においては、このようにして形成されたゴム硬化体に、少なくとも2回のゴム硬化体調整加工を施して、弾性層3を形成する。このゴム硬化体調整加工は、研磨加工装置、研削加工装置及び切削加工装置等の機械加工装置又は器具等を用いて、ゴム硬化体を所望の寸法に調整し、及び/又は、ゴム硬化体の表面状態を所望の状態等に調整する加工である。ゴム硬化体調整加工は、例えば、研磨加工、研削加工及び切削加工等が挙げられる。
【0019】
ゴム硬化体調整加工は、ゴム硬化体を所望の寸法に調整し、及び/又は、ゴム硬化体の表面状態を所望の状態等に調整する加工であればよいが、特に、形成される弾性層3の表面を粒径数μmの現像剤を担持させることのできる所望の表面状態に調整することができる等の点で、研磨加工が好ましく、例えば、ゴム硬化体の軸線方向表面に砥石を移動させることによって、行われる研磨加工、換言すると、ゴム硬化体の表面に砥石を接触させ、ゴム硬化体と砥石との接触状態を維持した状態で、砥石をゴム硬化体の軸線方向に移動させることによって、行われる研磨加工が挙げられる。
【0020】
ゴム硬化体調整加工に用いられる砥石は、ゴム硬化体をゴム硬化体調整加工することができれば、後述する材質により形成された砥石であってもよく、また、後述する材質により形成された砥粒が結合剤等により、結合されて成る砥石であってもよい。前記結合剤としては、例えば、レジノイド系結合剤、ビトリファイド系結合剤等が挙げられ、この中でも、結合剤自体の弾性及び抗張力に優れ、砥石としたときに耐久性に優れる点で、レジノイド系結合剤等が好ましい。砥石の形状は、例えば、板状、円盤状、円柱状、フィルム状等が挙げられる。
【0021】
前記砥石及び前記砥粒は、弾性層3に要求される寸法精度及び表面精度等に応じて、粒度、材質、硬度及び形状等が任意に調整される。例えば、砥石又は砥粒の材質は、炭化ケイ素(カーボンランダム)、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、アルミナ、ナイロン、立方晶窒化ホウ素(CBN)等が挙げられる。砥石又は砥粒の粒度は、弾性層3の表面状態が均一になる点で、10〜80μm程度であるのが好ましく、20〜70μm程度であるのがより好ましく、30〜45μm程度であるのが特に好ましい。砥粒の形状は、例えば、球状、不定形、平形、皿形等が挙げられ、ゴム硬化体を効率よくゴム硬化体調整加工することができる点で、球状であるのが好ましい。
【0022】
このような砥石又は砥粒は、適宜調製することもでき、また、市販品を使用することもできる。例えば、JIS R 6215(1999)「ゴム切断砥石」及びJIS R 6001(1998)「研削砥石用研磨剤の粒度」に規定された砥石又は砥粒を任意に選択して使用することができる。より具体的には、例えば、「GC 精密研磨用微粉」(例えば、株式会社マブチ・エスアンドティー製)が挙げられる。
【0023】
砥石の大きさ、特にゴム硬化体に接触させる砥石の軸線方向の長さは、ゴム硬化体の軸線方向の長さと同じ又はその長さよりも長くてもよいが、ゴム硬化体の軸線方向に砥石を移動させることによって弾性層3の寸法精度及び表面精度を所望のように調整することができる点で、ゴム硬化体の軸線方向の長さよりも短いのがよい。具体的には、砥石における軸線方向の長さは、10〜100mm程度の範囲のうち、ゴム硬化体の軸線方向の長さよりも短くなるように、調整されるのがよい。
【0024】
この発明に係るローラの製造方法において、ゴム硬化体は、ゴム硬化体の一端から他端まで一方向に連続的に又は間欠的に砥石を移動させるゴム硬化体調整加工が施される。ゴム硬化体調整加工が施されるゴム硬化体は、固定されてもよく、それ自体が移動又は回転されてもよい。この発明において、ゴム硬化体は、軸体2を中心軸として回転された状態で、ゴム硬化体調整加工が施されるのが、ゴム硬化体を速やかにゴム硬化体調整加工することができるうえ、ゴム硬化体の変形及び劣化等を防止することができる点で、好ましい。このときのゴム硬化体の回転数は、特に制限されないが、ゴム硬化体を速やかにゴム硬化体調整加工することができるうえ、ゴム硬化体の変形及び劣化等を効果的に防止して、寸法精度及び表面精度に優れた弾性層3を形成することができる点で、50〜2,000rpmであるのが好ましく、50〜400rpmであるのが特に好ましい。
【0025】
ゴム硬化体調整加工時における砥石は、固定されてもよく、それ自体が移動又は回転されてもよい。この発明においては、砥石は、例えば、その軸線を中心軸として、1,000〜7,000rpmの回転数で回転されるのが好ましい。砥石が前記範囲の回転数で回転されると、ゴム硬化体を速やかにゴム硬化体調整加工することができる。砥石の回転数は、1,000〜5,000rpmであるのがより好ましく、1,000〜1,800rpmであるのがさらに好ましく、1,300〜1,700rpmであるのが特に好ましい。なお、砥石の回転方向は、ゴム硬化体の回転方向と同方向、すなわち、砥石とゴム硬化体との接触部において、砥石とゴム硬化体との回転方向が逆方向であるのが、ゴム硬化体を速やかにゴム硬化体調整加工することができる点で、好ましい。一方、ゴム硬化体が発泡ゴムである場合には、砥石の回転方向は、ゴム硬化体の回転方向と逆方向、すなわち、砥石とゴム硬化体との接触部において、砥石とゴム硬化体との回転方向が同方向であるのが、ゴム硬化体の発泡構造を破壊することなく、ゴム硬化体を速やかにゴム硬化体調整加工することができる点で、好ましい。
【0026】
砥石は、100〜1500mm/minの速度で、特に150〜1000mm/minの速度で、ゴム硬化体の表面をゴム硬化体の軸線方向に連続的に又は間欠的に移動されるのが好ましい。砥石が前記範囲の速度でゴム硬化体の軸線方向に移動されると、ゴム硬化体を速やかにゴム硬化体調整加工することができ、ゴム硬化体調整加工時におけるゴム硬化体の変形及び劣化等を防止することができる。砥石は、前記速度で連続的に移動されるのが、均一にゴム硬化体調整加工することができる点で、特に好ましい。
【0027】
この発明に係るローラの製造方法においては、ゴム硬化体調製加工時には、潤滑油、研磨油、切削油等を用いてもよい。
【0028】
この発明に係るローラの製造方法においては、ゴム硬化体調整加工はゴム硬化体に少なくとも2回施される。これにより、ゴム硬化体調整加工による生産性を著しく低下させることなく、ゴム硬化体調整加工時におけるゴム硬化体の変形及び劣化等を防止し、ゴム硬化体を均一にゴム硬化体調整加工することができる。生産性を考慮すると、ゴム硬化体調整加工は2〜5回行うのが好ましく、2〜3回行うのが特に好ましい。
【0029】
この発明に係るローラの製造方法において、ゴム硬化体調整加工により除去されるゴム硬化体の除去量は、形成されたゴム硬化体の外径と製造されるローラの外径とを考慮して決定され、特に制限されない。この発明に係るローラの製造方法においては、複数回施されるゴム硬化体調整加工におけるゴム硬化体の除去量は、順次、少なくなるように、設定されるのが、生産性を低下させることがない点で、好ましい。例えば、ゴム硬化体調整加工を2回施す場合には、1回目のゴム硬化体調整加工におけるゴム硬化体の除去量は、2回目のゴム硬化体調整加工におけるゴム硬化体の除去量よりも多いのが好ましい。また、この発明に係るローラの製造方法においては、複数回施されるゴム硬化体調整加工のうち最後に施されるゴム硬化体調整加工により除去されるゴム硬化体の除去量は、ゴム硬化体を所望のようにゴム硬化体調整加工を施すことができ、得られる弾性層3における外径及び振れ等の寸法精度、並びに、表面状態を均一に調整することができる点で、ゴム硬化体の厚さ方向に、0.3〜1.0mmであるのが好ましく、0.4〜0.9mmであるのがより好ましく、0.5〜0.7mmであるのが特に好ましく、一方、ゴム硬化体が発泡ゴムである場合には、最後に施されるゴム硬化体調整加工により除去されるゴム硬化体の除去量は、ゴム硬化体の厚さ方向に、0.8〜2.0mmであるのが好ましく、1.0〜1.7mmであるのがより好ましく、1.2〜1.5mmであるのが特に好ましい。
【0030】
この発明に係るローラの製造方法において、ゴム硬化体調整加工における加工条件は、ゴム硬化体を所望のようにゴム硬化体調整加工することができれば、特に限定されず、適宜調整することができる。ゴム硬化体調整加工における加工条件は、前記のように、複数回施されるゴム硬化体調整加工におけるゴム硬化体の除去量が順次少なくなるように、調整のされるのが好ましい。例えば、ゴム硬化体調整加工を2回施す場合には、1回目のゴム硬化体調整加工における加工条件が、2回目のゴム硬化体調整加工における加工条件よりもゴム硬化体を多く除去することのできる条件に設定されるのが好ましい。例えば、1回目のゴム硬化体調整加工における砥石又は砥粒の粒度、砥石の回転数、ゴム硬化体の回転数等は、2回目のゴム硬化体調整加工のそれらよりもゴム硬化体を多く除去することのできる条件に設定される。
【0031】
例えば、ゴム硬化体調整加工を2回施す場合には、1回目のゴム硬化体調整加工における加工条件は、具体的には、例えば、砥石の回転数が1,000〜1,800rpmであり、ゴム硬化体(軸体2)の回転数が50〜300rpmであるのが好ましく、2回目のゴム硬化体調整加工における加工条件は、具体的には、例えば、砥石の回転数が1,000〜1,800rpmの範囲のうち、1回目のゴム硬化体調整加工における砥石の回転数以上であるのが好ましく、及び/又は、ゴム硬化体(軸体2)の回転数が70〜250rpmの範囲のうち、1回目のゴム硬化体調整加工におけるゴム硬化体(軸体2)の回転数以上であるのが好ましく、及び/又は、砥石の速度が1回目のゴム硬化体調整加工における砥石の速度以上であるのが好ましい。このようにして1回目のゴム硬化体調整加工によって除去されるゴム硬化体の除去量は、ゴム硬化体の厚さ方向に、0.3〜1.3mmであるのが好ましく、0.5〜1.2mmであるのがより好ましく、0.5〜0.8mmであるのが特に好ましく、2回目のゴム硬化体調整加工によって除去されるゴム硬化体の除去量は、前記したとおりである。
【0032】
一方、ゴム硬化体が発泡ゴムである場合には、ゴム硬化体調整加工を2回施す場合には、1回目のゴム硬化体調整加工における加工条件は、具体的には、例えば、砥石の回転数が1,000〜1,800rpmであり、ゴム硬化体(軸体2)の回転数が100〜400rpm、特に100〜300rpmであるのが好ましく、2回目のゴム硬化体調整加工における加工条件は、具体的には、例えば、砥石の回転数が1,300〜1,800rpmの範囲のうち、1回目のゴム硬化体調整加工における砥石の回転数以上であるのが好ましく、及び/又は、ゴム硬化体(軸体2)の回転数が100〜400rpmの範囲のうち、1回目のゴム硬化体調整加工におけるゴム硬化体(軸体2)の回転数以上であるのが好ましく、及び/又は、砥石の速度が1回目のゴム硬化体調整加工における砥石の速度以上であるのが好ましい。このようにして1回目のゴム硬化体調整加工によって除去されるゴム硬化体の除去量は、ゴム硬化体の厚さ方向に、0.3〜1.9mmであるのが好ましく、0.5〜1.7mmであるのがより好ましく、1〜1.3mmであるのが特に好ましく、2回目のゴム硬化体調整加工によって除去されるゴム硬化体の除去量は、前記したとおりである。
【0033】
この発明に係るローラの製造方法においては、複数回行うゴム硬化体調整加工の間に、ゴム硬化体調整加工されたゴム硬化体を冷却してもよい。冷却工程としては、例えば、ゴム硬化体調整加工されたゴム硬化体の表面に潤滑油、研磨油、切削油等供給する方法、ゴム硬化体調整加工されたゴム硬化体の表面に送風する方法、ゴム硬化体調整加工されたゴム硬化体を高速で回転させる方法等が挙げられる。
【0034】
このようにして、弾性層3が形成される。この弾性層3は、ゴム硬化体にゴム硬化体調整加工を少なくとも2回施して、通常、5〜10mmの厚さに形成され、高い寸法精度及び高い表面精度を有している。
【0035】
具体的には、弾性層3は、好ましくは±0.25%の範囲内にある外径精度を有している。ここで、外径精度は、弾性層3の軸線方向に均一な外径を有していることをいう。弾性層3は、より好ましくは±0.14%の範囲内、特に好ましくは±0.10%の範囲内にある外径精度を有している。弾性層3がこの範囲の外径精度を有していると、後述するように、例えば、図3に示される画像形成装置に配設された場合に、高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる。弾性層3の外径精度は、少なくとも、弾性層3における中央部と両端部から5mmの位置との3点における外径を測定して、測定された外径から求めた弾性層3の平均外径(rav)に対する、各測定点における外径(r)と平均外径(rav)との外径差(r−rav)を百分率で示した値であり、具体的には、各測定点において、式[(r−rav)/rav]×100(%)で算出される。ここで、弾性層3の外径精度は、定法に従って、弾性層3の測定点における外径をレーザー測長器(商品名「LS−1610M」、株式会社ミツトヨ製)で測定し、測定された各外径から、前記式により算出することができる。
【0036】
また、弾性層3は、好ましくは0.50%以下の振れを有している。ここで、弾性層3の振れは、弾性層の円周方向における厚さの均一性、すなわち、厚さの振れ(以下、単に、振れと称することがある。)を示す精度である。弾性層3は、より好ましくは0.4%以下、特に好ましくは0.3%以下の振れを有している。弾性層3が前記範囲の振れを有していると、後述するように、例えば、図3に示される画像形成装置に配設された場合に、高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる。一方、弾性層3が発泡ゴム組成物を硬化してなる発泡弾性層である場合には、好ましくは0.80%以下の振れを有し、より好ましくは0.7%以下、特に好ましくは0.6%以下の振れを有している。弾性層3が発泡弾性層である場合には、発泡弾性組成物が変形等することにより、その振れをある程度相殺することができるから、発泡剤を含有しないゴム組成物を硬化してなる弾性層3に比較してわずかに大きな振れを有していても、同様の効果を奏することができる。したがって、発泡弾性層が前記範囲の振れを有していると、後述するように、例えば、図3に示される画像形成装置に配設された場合に、高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる。なお、弾性層3の振れは、理想的には0であるが、現実には、軸体2の軸線方向における各位置でわずかに異なる。弾性層3における振れの下限値は、この発明の目的を達成するには0.002%程度であればよく、この発明の目的を十分に達成するには0.001%程度であればよい。
【0037】
弾性層3の振れは、弾性層3の中心点3Cと軸体2の中心点2Cとの距離に影響される。例えば、図4(a)に示されるように、ローラ1Cは、その弾性層3Bが、軸線方向において、軸体2の軸線2Cとその軸線とがずれて軸体2の外周面に形成され、ローラ1CのA−A線における断面が図4(b)に示されている。図4を参照すると、弾性層3Bの振れは、弾性層3Bの最大厚さ(tmax)と最小厚さ(tmin)との差(tmax−tmin)、換言すると、軸体2の中心点2Cから弾性層3Bの外周面までの最長距離Lと最短距離Lとの差(L−L)を、弾性層3の平均外径(rav)に対する百分率で示された値として、算出される。
【0038】
すなわち、弾性層3の振れは、弾性層3の平均外径(rav)に対する、少なくとも、弾性層3における中央部と両端部近傍との3点における、弾性層3の最大厚さ(tmax)と最小厚さ(tmin)との差(tmax−tmin)を、百分率で示した値であり、より具体的には、各測定点において、式[(tmax−tmin)/rav]×100(%)で算出される。又は、弾性層3の平均外径(rav)に対する、少なくとも、弾性層3における中央部と両端部近傍との3点における、軸体2の中心点2Cから弾性層3の外周面までの最長距離Lと最短距離Lとの差(L−L)を、百分率で示した値であり、より具体的には、各測定点において、式[(L−L)/rav]×100(%)で算出される。ここで、弾性層3の振れは、ローラ1Aを軸体2の中心軸を中心として回転させながら、レーザー測長機により、各測定点における、弾性層3の厚さ、又は、軸体2の中心点から弾性層3の外周面までの距離を測定し、測定された最大厚さと最小厚さとから、又は、測定された最長距離と最短距離とから、前記式により算出することができる。
【0039】
ゴム硬化体にゴム硬化体調整加工を少なくとも2回施して形成される弾性層3は、好ましくは1〜9μmの表面粗さRzを有している。ここで、表面粗さRzは、JIS B 0601−1984(十点平均粗さ)に規定された表面粗さRzである。弾性層3は、より好ましくは1〜7μm、特に好ましくは1〜5μmの表面粗さRzを有している。弾性層3の表面粗さRzは、JIS B 0601−1984(十点平均粗さ)に準じ、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名:590A、株式会社東京精密製)に、弾性層3を備えたローラをセットし、測定長2.4mm、測定速度0.15mm/sec、倍率1,000倍、触針圧0.68mNの条件で、弾性層3における中央部と両端部から50mmの位置との3点における円周を等間隔に四等分する4箇所の合計12箇所における表面粗さ測定し、これらの平均値を表面粗さRzとする。なお、弾性層3が発泡弾性層である場合には、表面粗さRzを特定の範囲に調整しなくてもよい。
【0040】
また、弾性層3は、70%以下の表面粗さ精度を有しているのが好ましく、50%以下の表面粗さ精度を有しているのが好ましい。ここで、弾性層3の表面粗さ精度は、弾性層3の軸線方向及び周方向における表面粗さの均一性を表す。弾性層3が前記範囲の表面粗さ精度を有していると、後述するように、例えば、図3に示される画像形成装置に弾性層3が配設された場合に、高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる。弾性層3の表面粗さ精度は、前記弾性層3における表面粗さRzの測定方法において、測定点12箇所における表面粗さRzのうち、最大の表面粗さ(Rzmax)と最小の表面粗さ(Rzmin)との差(Rzmax−Rzmin)を表面粗さRzで除した値を百分率で示した値である。なお、弾性層3の表面粗さ精度は、理想的には0%であるが、現実には、弾性層3の表面粗さは各測定点でわずかに異なる。弾性層3における表面粗さ精度の下限値は、この発明の目的を達成するには5%程度であればよい。
【0041】
この発明において、複数回施されるゴム硬化体調整加工のうち最後にゴム硬化体調整加工が施されるゴム硬化体は、最後のゴム硬化体調整加工が実施される前において、好ましくは10〜500μmの表面粗さRzを有している。表面粗さRzが前記範囲にあると、最後に施されるゴム硬化体調整加工によって、弾性層3の表面粗さRzを前記範囲1〜9μmに調整することができる。前記表面粗さRzは、10〜200μmであるのがより好ましく、10〜150μmであるのが特に好ましい。表面粗さRzは、表面粗さRzと同様にして測定される。
【0042】
このように、弾性層3は、高い寸法精度と小さな振れとを有している。したがって、弾性層3は、高い寸法精度、すなわち、弾性層3の長手方向に均一な所望の外径を有すると共に、小さな振れを有していることにより、弾性層3の円周方向における均一な所望の厚さを有しているから、例えば、図3に示される画像形成装置に配設された場合には、所定の圧力でかつ弾性層3の軸線方向にわたって均一に、像担持体等の被当接体に当接し、その結果、ローラは、被当接体に対して、その軸線方向にわたって均一に作用することができる。それ故、高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる。
【0043】
この発明に係るローラの製造方法においては、所望により、このようにして形成された弾性層3の外周面に樹脂組成物を硬化して、コート層4を形成することもできる。コート層4は、弾性層3の表面に定法に従って樹脂組成物を塗工し、加熱硬化させることにより、形成される。樹脂組成物に含まれる樹脂は、永久変形しにくい材料であるのが好ましく、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドイミド系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、樹脂組成物は、通常用いられる各種添加剤、例えば、導電性付与剤、充填材等を含有してもよい。コート層4は、例えば、1〜100μmの厚さに形成される。
【0044】
ゴム硬化体を形成するゴム組成物は、ゴムと各種添加剤を有していればよく、ゴムとして、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロールヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。各種添加剤としては、例えば、導電性付与剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、硬化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。前記導電性付与剤としては、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等が挙げられる。導電性付与剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて、弾性層3としたときに所望の電気抵抗値を示すように、適宜の含有量で添加される。例えば、ゴム組成物における導電性付与剤の含有量は、前記ゴム100質量部に対して2〜80質量部とすることができる。
【0045】
具体的には、ゴム組成物として、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物、発泡ウレタンゴム組成物が挙げられ、これらの中でも、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物及び付加反応型発泡シリコーンゴム組成物が特に好ましい。
【0046】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び、(C)上記(B)成分に属するもの以外の導電性材料を含有する。
【0047】
SiO(4−n)/2 (1)
ここで、Rは、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の一価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。
【0048】
前記Rは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、並びに、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基及びシアノエチル基等が挙げられる。
【0049】
前記(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されていることが好ましい。このオルガノポリシロキサンは分子中に少なくとも2個の前記アルケニル基を有することが好ましく、具体的には、Rのうち0.001〜5モル%、特に0.01〜0.5モル%のアルケニル基を有することが好ましく、特にビニル基を有することが好ましい。特に、後述する硬化剤として白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせて使用する場合には、このようなアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが通常使用される。
【0050】
また、このオルガノポリシロキサンは、通常選択されたオルガノハロシランの1種若しくは2種以上を共加水分解縮合することによって、又は、シロキサンの3量体若しくは4量体等の環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。このオルガノポリシロキサンは基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、一部分岐していてもよい。また、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。このオルガノポリシロキサンは、通常、25℃におけるその粘度が100cSt以上であり、好ましくは100,000〜10,000,000cStである。また、このオルガノポリシロキサンは、通常、その重合度は100以上であり、好ましくは3,000以上であり、その上限は、好ましくは100,000であり、さらに10,000が好ましい。
【0051】
前記(B)充填材は、特に限定されないが、シリカ系充填材を用いることができる。シリカ系充填材としては、例えば、煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。なお、シランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が入手可能である。シリカ系充填材の配合量は、前記(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、11〜39質量部であるのが好ましく、15〜35質量部であるのが特に好ましい。また、シリカ系充填材の平均粒子径としては、1〜80μmであるのが好ましく、2〜40μmであるのが特に好ましい。シリカ系充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として測定することができる。
【0052】
前記(C)導電性材料は、前記充填材(B)に属さない導電性材料であり、物理的化学的に同一材料からなるものであっても、充填材(B)として規定されシリカ系充填材と形態及び状態等が異なる導電性材料は、(C)導電性材料に属する。このような導電性材料は、導電性付与成分であり、例えば、前記導電性付与剤が挙げられる。これらの中でも、前記導電性カーボン及びゴム用カーボン類等のカーボンブラックが好ましい。付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物における導電性付与剤の含有量は、例えば、前記(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して2〜80質量部とすることができる。
【0053】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、また、必要に応じて種々の化合物を含有させることができる。例えば、種々の化合物又は添加剤として、硬化剤及びシリカ微粉末等が挙げられる。
【0054】
前記硬化剤としては、公知の白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせた硬化剤、及び、有機過酸化物が挙げられる。前記白金系触媒としては、公知の触媒を使用することができ、具体的には、白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックス等が挙げられる。白金系触媒の含有量は、有効量、いわゆる触媒量であればよく、例えば、(A)オルガノポリシロキサンに対して、白金族金属換算で1〜2,000ppmとするのが好ましい。
【0055】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、その重合度は300以下が好ましく、ジメチルハイドロジエンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、末端がトリメチルシロキシ基でジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジエンシロキサン単位からなる共重合体、ジメチルハイドロジエンシロキサン単位(H(CHSiO1/2とSiO単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジエン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。オルガノハイドロジエンポリシロキサンの含有量は、(A)オルガノポリシロキサンのアルケニル基に対して、ケイ素原子に直結した水素原子が50〜500モル%となる割合で用いられるのが好ましい。
【0056】
前記有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のアルキル過酸化物、ジクミルパーオキサイド等のアラルキル過酸化物等の有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物の含有量は有効量であればよく、例えば、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましい。
【0057】
前記シリカ微粉末は、機械的強度の優れた弾性層3を得るために好適であり、この目的のためにはBET比表面積が10m/g以上、好ましくは50〜400m/gのシリカ微粉末を用いるのが好ましい。このようなシリカ微粉末としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈降性シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、煙霧質シリカが好ましい。付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物にシリカ微粉末を添加する場合には、シリカ微粉末の含有量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、5〜100質量部であるのが好ましく、5〜90質量部であるのがより好ましく、10〜50質量部であるのが特に好ましい。含有量が5質量部未満では所望の補強効果が得られないことがあり、100質量部を超えると加工性が悪くなることがある。また、シリカ微粉末の平均粒子径としては、1〜80nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのが特に好ましい。シリカ微粉末の平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として測定することができる。
【0058】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、また、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤として、例えば、着色剤、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、アルコキシシラン、重合度がオルガノポリシロキサン(A)よりも低いジメチルシロキサンオイル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール、α,ω−ジメチルシロキサンジオール等の両末端シラノール基封鎖低分子シロキサンやシラン等の分散剤、接着性や成形加工性を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、架橋反応等を阻害しない硬化又は未硬化の各種オレフィン系エラストマー等が挙げられる。
【0059】
付加反応型発泡シリコーンゴム組成物は、(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム、(E)シリカ系充填材、(F)発泡剤、(G)付加反応架橋剤、(H)付加反応触媒、及び、(I)反応制御剤を含有し、所望により、さらに、(J)有機過酸化物架橋剤、(K)耐熱性向上剤、及び、(L)各種添加剤を含有してもよい。
【0060】
前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴムは、例えば、ミラブル型シリコーンゴム、熱架橋シリコーンゴム(HTV:High Temperature Vulcanizing)等が挙げられる。これらのビニル基含有シリコーン生ゴムは、後工程で、(F)発泡剤及び(G)付加反応架橋剤等をロールミル等で容易に混練りすることができるという特性を有し、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0061】
前記(E)シリカ系充填材は、補強性を有する煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。シリカ系充填材の配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、5〜100質量部であるのがよい。シリカ系充填材は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0062】
前記(F)発泡剤としては、従来、発泡ゴムに用いられる発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。通常、ゴムに連続セルを形成する場合には無機系発泡剤が用いられ、独立セルを形成する場合には有機系発泡剤が用いられる。発泡剤(F)は、独立セル状態のセルを形成することができる点で、有機系発泡剤であるのがよく、具体的には、例えば、アゾジカルボン酸アミド、アゾビス−イソブチロニトリル等のアゾ化合物が好適に使用される。特に、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)が好適に使用できる。発泡剤の配合量は、発泡剤(F)の種類によって相違するが、弾性層3のアスカーC硬度が27〜45となるように調整するのがよい。具体的には、例えば、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に0.5〜10質量部であるのがよい。発泡剤(F)の配合量が、0.1質量部未満であると、形成される弾性層3に十分なセルを形成することができないことがあり、一方、10質量部を超えると、発泡シリコーンゴムとしての形態を維持することができなくなり、弾性層3の機械的強度が低下することがある。発泡剤(F)として、ジメチル−1,1’−アゾ−ビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)を選択する場合には、その配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.5〜5質量部であるのが特によい。発泡剤(F)は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0063】
前記(G)付加反応架橋剤は、例えば、一分子中に2個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、環又は分枝状のいずれであってもよい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.01〜20質量部であるのがよい。付加反応架橋剤(G)は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0064】
前記(H)付加反応触媒は、例えば、周期律表第9属又は第10属の金属単体及びその化合物が挙げられ、より具体的には、シリカ、アルミナ又はシリカゲル等の担体上に吸着された微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸六水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸六水塩のアルコール溶液等の白金系触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。これら(H)付加反応触媒の配合量は、触媒量で十分であり、通常、周期律表第9属又は第10属の金属量に換算して、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物全体に対して、1〜1,000ppmであるのがよく、10〜500ppmであるのが特によい。付加反応触媒(H)の配合量が、周期律表第9属又は第10属の金属量に換算して、1ppmより少ないと、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴムの架橋反応が十分に進行せず、ビニル基含有シリコーン生ゴム(D)の硬化が不十分となることがあり、一方、1,000ppmを超えると、ビニル基含有シリコーン生ゴム(D)の架橋反応を促進する能力が向上せず、かえって、経済性が低下することがある。付加反応触媒(H)は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0065】
前記(I)反応制御剤は、公知の反応制御剤を制限されることなく使用することができ、例えば、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。反応制御剤(I)の配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.1〜2質量部であるのがよい。反応制御剤(I)は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0066】
前記(J)有機過酸化物架橋剤は、単独でビニル基含有シリコーン生ゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤(G)の補助架橋剤として併用すれば、シリコーンゴムの強度、歪み等の物性がより向上する。有機過酸化物架橋剤(J)としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。有機過酸化物架橋剤(J)の配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.3〜10質量部であるのがよい。有機過酸化物架橋剤(J)は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0067】
前記(K)耐熱性向上剤は、弾性層3の耐熱性を向上させる化合物であればよく、例えば、カーボンブラック、酸化鉄(ベンガラとも称する。)、酸化セリウム及び水酸化セリウム等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0068】
前記カーボンブラックは、通常、その製造方法によって、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等に類別され得るが、硫黄、アミン等の含有量が多いと、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物の付加反応を阻害することがあるので、硫黄、アミン等の含有量が少ないカーボンブラック、例えば、アセチレンブラックが好適に使用される。前記酸化鉄は、黒色ベンガラ(Fe)及び赤色ベンガラ(Fe)が好ましく挙げられる。前記酸化セリウム及び前記水酸化セリウムは、単独で使用されてもよいが、前記カーボンブラック及び/又は前記酸化鉄と共に使用されるのが、弾性層3の硬度変化を抑えることができる点で、好ましい。
【0069】
前記(K)耐熱性向上剤の総配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜35質量部であるのがよく、1〜10質量部であるのが特によい。耐熱性向上剤(K)の総配合量が前記範囲であれば、カーボンブラック、酸化鉄、酸化セリウム及び水酸化セリウムの配合量は、特に限定されない。例えば、カーボンブラックの配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0〜15質量部であるのがよく、0.2〜15質量部であるのがさらによく、2〜10質量部であるのが特によい。ベンガラの配合量は、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0〜30質量部であるのがよく、0.2〜30質量部であるのがさらによく、2〜20質量部であるのが特によい。酸化セリウム及び水酸化セリウムの配合量はそれぞれ、前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部であるのがよく、0.2〜2質量部であるのが特によい。
【0070】
前記(L)各種添加剤は、例えば、炭酸カルシウム等の充填材、着色剤、難燃性向上剤、熱伝導性向上剤等の添加剤、離型剤、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール基封鎖低分子シロキサン等の分散剤、及び、得られるゴムの硬度を調整することのできる粉砕石英、珪藻土等の非補強性シリカ等が挙げられる。これらの各種添加剤(L)は、所望の配合量で配合される。
【0071】
前記(D)ビニル基含有シリコーン生ゴム、前記(E)シリカ系充填材及び前記(L)各種添加剤を含有するシリコーンゴム組成物として、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KEシリーズ」及び「KEGシリーズ」等を容易に入手することができる。
【0072】
ゴム組成物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって、常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0073】
この発明に係るローラの製造方法によって製造されるローラは、例えば、図3に示される画像形成装置に装着される各種ローラとして、好適に用いられる。具体的には、この発明に係るローラの製造方法によって製造された、発泡剤を含有しないゴム組成物を硬化してなる弾性層3を備えたローラがそれぞれ現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとしての現像ローラとして装着され、また、この発明に係るローラの製造方法によって製造された、発泡剤を含有するゴム組成物を硬化してなる発泡弾性層を備えたローラが定着ローラ31として装着されている。
【0074】
図3に示されるように、画像形成装置10は、四種の現像ユニットに装備された像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト6としての無端ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト6上に直列に配置されている。
【0075】
図3に示されるように、現像ユニットBは、静電潜像が形成される回転可能な像担持体11Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bを帯電させる帯電手段12Bと、像担持体11Bの上方に設けられ、像担持体11Bに静電潜像を形成する露光手段13Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに一定の層厚で現像剤22Bを供給し、静電潜像を現像する現像手段20Bと、像担持体11Bの下方に転写搬送ベルト6を介して当接又は圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体11Bから転写搬送ベルト6で搬送される記録体16上に転写する転写手段14Bと、記録体16に転写されず像担持体11Bに残留した現像剤22B等を除去するクリーニング手段15Bとを備えている。図3に示されるように、現像ユニットBにおける像担持体11Bと転写手段14Bとは、二本の支持ローラ42に張架された転写搬送ベルト6を介して当接又は圧接している。そして、記録体16は、転写搬送ベルト6により、像担持体11Bと転写手段14Bとの当接部を通過するように、搬送される。この転写搬送ベルト6は記録体16を搬送すると共に、転写手段14Bと協働して像担持体11Bに現像された静電潜像を転写する。像担持体11B、帯電手段12B、露光手段13B、転写手段14B及びクリーニング手段15Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
【0076】
図3に示されるように、前記現像手段20Bは、像担持体11Bに対向する位置に開口部を有し、現像剤22Bを収納する筐体21Bと、筐体21Bの開口部に、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに現像剤22Bを一定の層厚で供給する回転可能な現像剤担持体23Bと、現像剤担持体23Bの上方に設けられ、現像剤担持体23Bに当接又は圧接して現像剤22Bの層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤22Bを帯電させる現像剤規制部材24Bとを備えている。現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。前記現像剤22Bは、摩擦により帯電可能で、記録体16に定着可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。現像ユニットBは、筐体21B内に黒色現像剤を収納している。
【0077】
図3に示されるように、現像ユニットC、M及びYは、現像ユニットBと同様に構成されている。現像ユニットC、M及びYはそれぞれ、筐体21C、21M及び21Y内に、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yを収納している。
【0078】
図3に示されるように、画像形成装置10の底部には、記録体16として複数枚の記録体を積層収容するカセット41が設置され、カセット41内の記録体は給紙ローラ等によって1枚ずつ送り出されて、転写搬送ベルト6上に搬送される。
【0079】
図3に示されるように、画像形成装置10における記録体16の搬送方向下流には、記録体16に転写された各種現像剤(静電潜像)を定着させる定着手段30が配置されている。定着手段30は、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。図3に示されるように、画像形成装置10は、定着ベルト7としての無端ベルトを備えた定着装置30が配置されている。定着装置30は、図3にその断面が示されるように、記録体16を通過させる開口35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた定着ベルト7と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、定着ベルト7を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ33は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。定着ローラ31、無端ベルト支持ローラ33及び加圧ローラ32はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ32はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、定着ベルト7を介して定着ローラ31に圧接している。定着ベルト7と加圧ローラ32との圧接された間を記録体16が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体16に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0080】
画像形成装置10は、次にように作用する。まず、現像ユニットBの像担持体11Bが、帯電手段12Bにより一様に帯電され、露光手段13Bにより画像が露光されて、像担持体11Bの表面に静電潜像が形成される。一方、現像手段20Bにおいて、現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bにより、黒色現像剤22Bが所望の層厚に規制され、所望のように帯電される。そして、この黒色現像剤22Bが現像剤担持体23Bから像担持体11Bに供給され、像担持体11Bに形成された静電潜像が現像されて、現像剤像として可視化される。次いで、この現像剤像が、像担持体11Bと転写手段14Bとの間に転写搬送ベルト6により搬送される記録体16上に、転写される。このようにして、現像剤像が記録体16上に黒像に顕像化される。
【0081】
次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、現像剤像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。
【0082】
次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、搬送手段により定着手段30に搬送され、定着ローラ31と加圧ローラ32との定着ベルト7を介した当接部又は圧接部を通過するときに加熱及び/又は加圧されて、転写されたカラー像が永久画像として定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0083】
画像形成装置10によれば、この発明に係るローラの製造方法によって製造された、寸法精度及び表面精度の高い弾性層3を備えたローラがそれぞれ現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとしての現像ローラとして装着されているから、現像ローラ23B、23C、23M及び23Yがそれぞれ所定の圧力でかつ弾性層3の軸線方向にわたって均一に像担持体11B、11C、11M及び11Yに当接して、現像ローラ23B、23C、23M及び23Yに担持された現像剤22B、22C、22M及び22Yをその軸線方向にわたって均一に像担持体11B、11C、11M及び11Yに供給することができ、その結果、高品質の画像を形成することができる。また、画像形成装置10によれば、この発明に係るローラの製造方法によって製造された、寸法精度及び表面精度の高い発泡弾性層を備えたローラが定着ローラ31として装着されているから、定着ローラ31が所定の圧力でかつ弾性層3の軸線方向にわたって均一に記録体16に当接して、記録体16に顕像化されたカラー像を記録体16に均一に定着させることができ、その結果、高品質の画像を形成することができる。
【0084】
なお、この発明に係るローラの製造方法によって製造されたローラを、帯電手段12B、12C、12M及び12Yとしての帯電ローラ、転写手段14B、14C、14M及び14Yとしての転写ローラ、及び/又は、加圧ローラ32として、画像形成装置10に組み込んでも、前記現像ローラ及び前記定着ローラの場合と同様に、画像形成装置10によって、高品質の画像を長期間にわたって形成することができる。
【0085】
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置10は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置10は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト6上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置とされているが、画像形成装置は、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置であっても、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す四サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。画像形成装置10は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をトルエンで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の表面にプライマー層を形成した。
【0087】
一方、メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部と、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部と、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部と、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL 20」、日本アエロジル株式会社製)15質量部と、白金触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部と、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2.0質量部とを混合し、加圧ニーダーで混練して、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0088】
次いで、プライマー層が形成された軸体2と付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物を押出機でクロスヘッドを使用して一体化して分出し、ギヤオーブン中で300℃、15分間加熱した。次いで、この状態のまま、ギヤオーブン中で200℃、4時間にわたって加熱して、二次硬化し、軸体2の外周面に外径23mmのゴム硬化体を形成した。
【0089】
次いで、得られたゴム硬化体を軸体ごと円筒研削盤にセットして、回転数115rpmで回転させた。回転するゴム硬化体に、外径405mm、軸線方向の長さ50mmの円柱状を成す砥石(「GC 精密研磨用微粉#320[JIS R 6001(1998)]」、材質は炭化ケイ素、結合剤はレジノイド、砥粒の形状は球状)を、その軸線を中心にしてゴム硬化体と同方向に回転数1,500rpmで回転させ、砥石の周側面をゴム硬化体の表面に接触させた。次いで、砥石を、250mm/minの速度で、ゴム硬化体の表面をゴム硬化体の軸線方向に一端から他端まで連続して移動させて、1回目のゴム硬化体調整加工(研磨加工)を施した。ゴム硬化体の除去量はゴム硬化体の厚さ方向に1.3mmであった。
【0090】
次いで、しばらく時間をおいた後、再度、ゴム硬化体を回転数160rpmで回転させ、同じ砥石を、その軸線を中心にしてゴム硬化体と同方向に回転数1,600rpmで回転させ、砥石の周側面をゴム硬化体の表面に接触させた。次いで、砥石を、160mm/minの速度で、ゴム硬化体の表面をゴム硬化体の軸線方向に一端から他端まで連続して移動させて、2回目のゴム硬化体調整加工(研磨加工)を施し、ローラ1aを作製した。ゴム硬化体の除去量はゴム硬化体の厚さ方向に0.2mmであり、1回目及び2回目のゴム硬化体調整加工における合計除去量は1.5mmであった。
【0091】
(実施例2)
ゴム硬化体の外径を23mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.2mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.3mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1bを作製した。
(実施例3)
ゴム硬化体の外径を23mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.0mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.5mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1cを作製した。
(実施例4)
ゴム硬化体の外径を23mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.8mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.7mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1dを作製した。
(実施例5)
ゴム硬化体の外径を23mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.5mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.0mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1eを作製した。
(実施例6)
ゴム硬化体の外径を23mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.3mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.2mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1fを作製した。
【0092】
(比較例1)
ゴム硬化体の外径を21mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工を行わず、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.5mmになるように、2回目のゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1gを作製した。
(比較例2)
ゴム硬化体の外径を21.4mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工を行わず、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.7mmになるように、2回目のゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ローラ1hを作製した。
【0093】
このようにして作製したローラ1a〜1hの各弾性層3における外径精度、振れ(測定点は弾性層の中央部と両端部から5mmの外周面との三点)、表面粗さRz及び表面粗さ精度、並びに、ローラ1a〜1hにおいて、1回目のゴム硬化体調整加工を施した後のゴム硬化体の表面粗さRzを前記方法により測定し、その結果を表1に示した。図3に示される画像形成装置において、高品質の画像を形成するには、通常、外径精度は±0.25%の範囲内、振れは0.50%以下、表面粗さRzは1〜9μm、表面粗さ精度は70%以下、及び、表面粗さRzは10〜500μmであるのがよい。
【0094】
【表1】

【0095】
(実施例7)
実施例1と同様にしてプライマー層が形成された軸体2を作製した。次いで、ビニル基含有シリコーン生ゴム及びシリカ系充填材を含むシリコーンゴム組成物「KE−904FU」(信越化学工業株式会社製:商品名)100質量部と、付加反応架橋剤「C−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)2.0質量部と、発泡剤アゾビス−イソブチロニトリル「KEP−13」(信越化学工業株式会社製:商品名)2.5質量部と、付加反応触媒としての白金触媒適量と、反応制御剤「R−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤「C−3」(信越化学工業株式会社製:商品名)適量と、耐熱性向上剤「KEP−12」(信越化学工業株式会社製:商品名)1.0質量部とを、二本ロールで十分に混練して、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物を調整した。
【0096】
次いで、プライマー層を形成した軸体2と付加反応型発泡シリコーンゴム組成物とを押出機でクロスヘッドを使用して一体化して分出し、次いで、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて、250℃、10分間加熱した。その後、さらに、ギヤオーブン中で、200℃で7時間にわたって、発泡架橋後の付加反応型発泡シリコーンゴム組成物を二次加熱し、常温にて1時間放置した。このようにして、軸体2の外周面に外径35mmのゴム硬化体を形成した。
【0097】
次いで、得られたゴム硬化体を軸体ごと円筒研削盤にセットして、回転数160rpmで回転させた。回転するゴム硬化体に、外径405mm、軸線方向の長さ50mmの円柱状を成す砥石(「GC 精密研磨用微粉#320[JIS R 6001(1998)]」、材質は炭化ケイ素、結合剤はレジノイド、砥粒の形状は球状)を、その軸線を中心にしてゴム硬化体と逆方向に回転数1,500rpmで回転させ、砥石の周側面をゴム硬化体の表面に接触させた。次いで、砥石を、250mm/minの速度で、ゴム硬化体の表面をゴム硬化体の軸線方向に一端から他端まで連続して移動させて、1回目のゴム硬化体調整加工(研磨加工)を施した。ゴム硬化体の除去量はゴム硬化体の厚さ方向に1.9mmであった。
【0098】
次いで、しばらく時間をおいた後、再度、ゴム硬化体を回転数160rpmで回転させ、同じ砥石を、その軸線を中心にしてゴム硬化体と逆方向に回転数1,600rpmで回転させ、砥石の周側面をゴム硬化体の表面に接触させた。次いで、砥石を、250mm/minの速度で、ゴム硬化体の表面をゴム硬化体の軸線方向に一端から他端まで連続して移動させて、2回目のゴム硬化体調整加工(研磨加工)を施し、ローラ1iを作製した。ゴム硬化体の除去量はゴム硬化体の厚さ方向に0.6mmであり、1回目及び2回目のゴム硬化体調整加工における合計除去量は2.5mmであった。
【0099】
(実施例8)
ゴム硬化体の外径を35mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.7mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.8mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1jを作製した。
(実施例9)
ゴム硬化体の外径を35mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.3mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.2mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1kを作製した。
(実施例10)
ゴム硬化体の外径を35mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.0mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.5mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1lを作製した。
(実施例11)
ゴム硬化体の外径を35mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.5mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が2.0mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1mを作製した。
(実施例12)
ゴム硬化体の外径を35mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工における除去量が0.3mm、及び、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が2.2mmになるように、ゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1nを作製した。
【0100】
(比較例3)
ゴム硬化体の外径を32.4mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工を行わず、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.2mmになるように、2回目のゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1oを作製した。
(比較例4)
ゴム硬化体の外径を33mmに調整して、1回目のゴム硬化体調整加工を行わず、2回目のゴム硬化体調整加工における除去量が1.5mmになるように、2回目のゴム硬化体加工条件を変更した以外は、実施例7と同様にして、ローラ1pを作製した。
【0101】
このようにして作製した1i〜1pの弾性層3における外径精度、振れ(測定点は弾性層の中央部と両端部から5mmの二点)を前記方法により測定し、その結果を表2に示した。図3に示される画像形成装置において、高品質の画像を形成するには、通常、外径精度は±0.25%の範囲内、振れは0.80%以下であるのがよい。
【0102】
【表2】

【0103】
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜6によれば、外径精度と振れとに優れた寸法精度を有し、表面精度の高い弾性層を備えたローラ1a〜1fを、また、実施例7〜12によれば、外径精度と振れとに優れた寸法精度を有する弾性層を備えたローラ1i〜1nを、生産性よく製造することができた。特に、実施例2〜5によれば、寸法精度及び表面精度のきわめて高い弾性層を備えたローラ1b〜1eを、また、実施例8〜11によれば、寸法精度のきわめて高い弾性層を備えたローラ1j〜1mを、生産性よく製造することができた。これに対して、比較例1及び2のローラ1g及び1hは弾性層の寸法精度及び表面精度が低く、また、比較例3及び4のローラ1o及び1pは表面精度が低く、図3に示される画像形成装置に用いられるローラとしては不適であった。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、この発明に係るローラの製造方法により製造されるローラの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、この発明に係るローラの製造方法により製造されるローラの別の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は、この発明に係るこの発明に係るローラの製造方法により製造されるローラが装着される画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、弾性層の振れを説明する説明図であり、図4(a)はローラの正面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1A、1B、1C ローラ
2 軸体
2C 軸体の中心軸
3、3B 半導電性弾性層
3C 弾性層の中心点
4 コート層
6 転写搬送ベルト
7 定着ベルト
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 像担持体
12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y クリーニング手段
16 記録体
20B、20C、20M、20Y 現像手段
21B、21C、21M、21Y、34 筐体
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体
24B、24C、24M、24Y 現像剤規制部材
30 定着装置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 無端ベルト支持ローラ
35 開口部
41 カセット
42 支持ローラ
B、C、M、Y 現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の外周面にゴム組成物を硬化してゴム硬化体を形成し、前記ゴム硬化体の軸線方向表面に砥石を移動させるゴム硬化体調整加工を、少なくとも2回施して、弾性層を形成することを特徴とするローラの製造方法。
【請求項2】
前記ゴム硬化体調整加工のうち最後に施されるゴム硬化体調整加工において、前記ゴム硬化体は、厚さ方向に0.3〜1.0mm除去されることを特徴とする請求項1に記載のローラの製造方法。
【請求項3】
前記ゴム組成物は、発泡剤を含有し、
前記ゴム硬化体調整加工のうち最後に施されるゴム硬化体調整加工において、前記ゴム硬化体は、厚さ方向に0.8〜2.0mm除去されることを特徴とする請求項1に記載のローラの製造方法。
【請求項4】
前記弾性層の外周面に樹脂組成物を硬化してコート層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−203616(P2008−203616A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40678(P2007−40678)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【復代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
【Fターム(参考)】