説明

ローラ状部材の清掃用具および清掃方法

【課題】 清掃が必要なときに、簡単に装着して使用することができる、ローラ状部材のための手動操作タイプの清掃用具と、清掃方法とを提供すること。
【解決手段】 清掃用具20として、帯電ローラ(ローラ状部材)11の外周面に沿った内径面を有する一対の半円弧部材21,22と、清掃部材23,24と、操作部27とを備え、一対の半円弧部材21,22が、円弧の垂線方向xに見たときに、その内径面によって円周が形成されるように、半円形部材21,22の互いの弦が向き合わされていて、かつ、円弧の垂線方向xに、帯電ローラ11の直径以上に間隔があけられているものを使用する。清掃時には、一対の半円弧部材21,22を帯電ローラ11の外周面の左右両側に挿入して90°ひねることにより、清掃部材23,24を帯電ローラ11の外周面に当接させて、操作部27を帯電ローラの長さ方向zに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ状部材の清掃用具および清掃方法に関し、特に、レーザビームプリンタ、静電式複写機、ファクシミリなどに使用される帯電ローラ、転写ローラなどを清掃するための清掃用具および清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタ、静電式複写機、ファクシミリなどの電子写真方式による画像形成装置には、帯電ローラ、転写ローラなどのローラ状部材が用いられている。
従来、帯電ローラなどの清掃には、スポンジローラや回転ブラシをあらかじめ当接させておいて、表面を摺擦する方法や、帯電ローラを回転させながら、弾性ブレードを圧接する方法が採用されている。
【0003】
しかし、上記の清掃方法では、スポンジローラ、回転ブラシ、弾性ブレードなどの清掃部材が、ローラ状部材の表面に常時接触することから、経時的に、清掃部材自体や、トナーの外添剤などの異物が、ローラ状部材の表面に食い込んだり、傷を生じさせたりする問題がある。
一方、特許文献1には、帯電ブラシローラの外径とほぼ同径の円筒形に構成された支持体と、該支持体の内周面に設けられ、弾性力を有する部材からなる清掃部材と、つまみとを備える帯電器クリーナが記載されている。同文献に記載の帯電器クリーナは、必要時にのみ帯電ブラシローラの軸方向に沿って移動させるものであって、クリーニング動作を行わないときには退避部に退避させることで、上記清掃部材と帯電ブラシローラとが接触しないようにすることができる。
【特許文献1】特開平8−137207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の帯電器クリーナは、清掃部材が円筒形をしていることから、帯電ブラシローラに対する装着、取り外しなどに手間がかかるという課題がある。特に、クリーニング動作を繰り返し実施して、清掃部材の汚れや劣化によって清掃効果が損なわれたとしても、清掃部材を取り外して、交換することに手間がかかる。
そこで、本発明の目的は、清掃が必要なときに、簡単に装着して使用することができる、ローラ状部材のための手動操作タイプの清掃用具を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、両端が軸受に支持されたローラ状部材に対して着脱が容易な清掃用具を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、ローラ状部材のための清掃方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のローラ状部材の清掃用具は、
清掃すべきローラ状部材の外周面に沿った内径面を有する一対の半円弧部材と、
上記内径面に設けられた清掃部材と、
上記一対の半円弧部材が取り付けられた操作部とを備え、
上記一対の半円弧部材は、各半円弧部材の円弧が一部分をなす円の垂線方向に見たときに、一対の半円弧部材の内径面によって円周が形成されるように、上記円弧を対向させて配置され、かつ、上記垂線方向に、上記清掃すべきローラ状部材の直径以上の間隔をあけて配置されていることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、清掃が必要なときに、ローラ状部材に対して、清掃用具を簡単に装着して使用することができ、手動操作によってローラ状部材のクリーニングを実行することができる。
また、上記の構成によれば、ローラ状部材の両端が軸受に支持されている場合であっても、そのままの状態で、清掃用具を自在かつ容易に着脱することができる。それゆえ、清掃用具が常時接触することによって、ローラ状部材の表面が損傷を受けるという問題が生じることを防止できる。
【0008】
上記ローラ状部材の清掃用具の好適態様としては、上記操作部には、上記一対の半円弧部材を清掃すべきローラ状部材に装着する際に、装着位置を決めるための位置決めガイドが備えられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、操作部を、ローラ状部材の長さ方向に移動させることによってローラ状部材の清掃を実行するのに際して、操作部の移動を容易なものとすることができる。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明に係るローラ状部材の清掃方法は、
上記本発明の清掃用具を用いたローラ状部材の清掃方法であって、
清掃すべきローラ状部材を清掃可能な状態にし、
上記ローラ状部材の近傍にある挿入口から上記清掃用具の一対の半円弧部材を挿入し、
上記ローラ状部材の外周面の左右両側に挿入された上記一対の半円弧部材を位置決めし、
上記位置決めした状態において、上記清掃用具の操作部を所定の方向へ90°ひねり、それによって、上記一対の半円弧部材の各内径面に設けられた清掃部材が上記ローラ状部材の外周面に当接し、
その後、上記操作部を、上記ローラ状部材の長さ方向に移動させることによってローラ状部材の清掃を行うことを特徴とする。
【0010】
上記の方法によれば、清掃すべきローラ状部材に対して、清掃用具を簡単に装着して使用することができ、容易にかつ自在に、手動操作によるローラ状部材のクリーニングを実行することができる。また、上記の方法によれば、ローラ状部材の両端が軸受に支持されている状態であっても、そのままの状態で、清掃用具を配置することができる。しかも、清掃用具の着脱が自在であることから、清掃用具が常時接触することによってローラ状部材の表面に損傷が生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クリーニングを実行するときにのみ、清掃用具をローラ状部材の表面に接触させればよく、ローラ状部材の表面に傷がつくなどの不具合が発生することを抑制できる。しかも、清掃用具の構成やクリーニングを実行するための方法を、いずれも簡易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明において、ローラ状部材の清掃用具は、清掃すべきローラ状部材の外周面に沿った内径面を有する一対の半円弧部材と、上記内径面に設けられた清掃部材と、上記一対の半円弧部材が取り付けられた操作部と、を備えている。
また、上記一対の半円弧部材は、各半円弧部材の円弧が一部分をなす円の垂線方向に見たときに、一対の半円弧部材の内径面によって円周が形成されるように、上記円弧を対向させて配置され、かつ、上記垂線方向に、上記清掃すべきローラ状部材の直径以上の間隔をあけて配置されている。
【0013】
清掃すべきローラ状部材としては、特に限定されるものではないが、例えば、電子写真方式による画像形成装置に用いられる帯電ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、レジストローラ、定着ローラ、加圧ローラなどが挙げられる。
清掃部材としては、特に限定されないが、弾性を有する部材であることが好ましく、具体的には、例えば、スポンジ、ブラシなどが挙げられる。
【0014】
以下、清掃すべきローラ状部材として、電子写真方式による画像形成装置の帯電ローラを例に挙げて、本発明を説明する。
図1は、電子写真方式による画像形成装置における感光ドラムユニットの一実施形態を示す断面図であって、図2は、図1に示す帯電ローラ11を感光ドラム10から引き離した状態を示す断面図である。また、図3は、図1に示す感光ドラムユニットのうち、帯電ローラ11の近傍を拡大して示している。
【0015】
図1に示す画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム10と、感光ドラム10の表面に接触して電圧を印加する帯電ローラ11と、感光ドラム10の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段(図示せず)と、感光ドラム10上にトナーを付着させる現像ローラ12と、被転写体13に対して感光ドラム10上のトナーを転移させる転写ローラ14と、感光ドラム10上に残留したトナーを除去するクリーニングブレード15とを備えている。
【0016】
図4〜図6は、本発明に係るローラ状部材の清掃用具の一実施形態を示す図であって、図7は、上記清掃用具の使用状態の一例を示している。
図4〜図6に示す清掃用具20は、帯電ローラ11の外周面に沿った内径面を有する一対の半円弧部材21,22と、半円弧部材の内径面に設けられた清掃部材23,24と、一対の半円弧部材21,22から伸びた一対のアーム25,26と、一対のアーム25,26の先端が取り付けられた操作部27とを備えている。
【0017】
また、清掃用具20の一対の半円弧部材21,22は、各半円弧部材の円弧が一部分をなす円の垂線方向xに見たときに、一対の半円弧部材21,22の内径面によって円周が形成されるように、半円弧部材21,22の互いの弦が向き合わされて配置されている(図5(b)参照)。さらに、一対の半円弧部材21,22は、円弧の垂線方向xに、帯電ローラ11の直径以上に間隔Lがあけられている(図5(a)参照)。
【0018】
図4〜図6に示す清掃用具20を用いて、帯電ローラ11の外周面を清掃するには、まず、図2に示すように、帯電ローラ11の軸16に取り付けられたバー17を引き上げることによって、帯電ローラ11を感光ドラム10から引き離して、清掃可能な状態とする。次いで、図3に示すように、帯電ローラ11を覆うフレーム18の天面に設けられた挿入口19から、清掃用具20を挿入方向yに挿入する。その際、清掃用具20は、半円弧部材の円弧が一部分をなす円の垂線方向xと、帯電ローラ11の長さ方向zが直交するように挿入する。ここで、清掃用具20の一対の半円弧部材21,22は、上記のとおり、上記垂線方向xにおいて、帯電ローラ11の直径以上に間隔Lがあけられていることから、一対の半円弧部材21,22によって帯電ローラ11を跨ぐように挿入することができる。
【0019】
清掃用具20を挿入後、図6に示すように、一対の半円弧部材21,22を帯電ローラ11の外周面の左右両側に挿入した状態で位置決めして、その状態において、清掃用具20の操作部27を、図6中に白抜き矢印で示す方向へ90°ひねる。これによって、帯電ローラ11の両側にある半円弧部材21,22が90°ひねられて、一対の半円弧部材21,22の各内径面に設けられた清掃部材23,24を、帯電ローラ11の周面に当接させることができる(図7参照)。
【0020】
帯電ローラ11の外周面の清掃は、帯電ローラ11の外周面に、清掃用具20の清掃部材23,24を当接させた状態で、操作部27を、帯電ローラ11の長さ方向zに移動することによって実施できる。
本発明のローラ状部材の清掃用具を、帯電ローラ11の清掃用具として使用する場合において、清掃部材23,24には、例えば、発泡ウレタンなどのスポンジや、ナイロン繊維からなるブラシなどが挙げられる。また、清掃部材23,24には、必要に応じて洗浄溶液、研磨剤などを含浸、付着させることができる。
【0021】
清掃用具20の操作部27を、帯電ローラ11の長さ方向zに移動する際には、操作部27に取り付けられた取っ手28を把持して行えばよい。また、例えば、図6および図7に示すように、操作部27に備えられた位置決めガイド29を、帯電ローラ11を覆うフレーム18に設けられた案内溝30に係合させることが好ましい。この場合、帯電ローラ11の長さ方向zに沿って操作部27を摺動させる操作が行いやすくなる。
【0022】
清掃用具20を、帯電ローラ11から取り外す場合は、図5を参照して説明した取り付け操作と逆の動作を実施すればよい。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】感光ドラムユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図2】感光ドラムと帯電ローラとを引き離した状態を示す断面図である。
【図3】帯電ローラと、その軸受と、軸受を保持するフレームとを示す斜視図である。
【図4】本発明のローラ状部材の清掃用具の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4に示すローラ状部材の清掃用具を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図6】図4に示すローラ状部材の清掃用具の清掃部材をローラ状部材に当接させる方法を示す説明図である。
【図7】図4に示すローラ状部材の清掃用具の使用状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0024】
11 帯電ローラ
20 清掃用具
21,22 半円弧部材
23,24 清掃部材
27 ホルダ
29 位置決めガイド
30 案内溝
x 垂線方向
z 長さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃すべきローラ状部材の外周面に沿った内径面を有する一対の半円弧部材と、
上記内径面に設けられた清掃部材と、
上記一対の半円弧部材が取り付けられた操作部とを備え、
上記一対の半円弧部材は、各半円弧部材の円弧が一部分をなす円の垂線方向に見たときに、一対の半円弧部材の内径面によって円周が形成されるように、上記円弧を対向させて配置され、かつ、上記垂線方向に、上記清掃すべきローラ状部材の直径以上の間隔をあけて配置されていることを特徴とする、ローラ状部材の清掃用具。
【請求項2】
上記操作部には、上記一対の半円弧部材を清掃すべきローラ状部材に装着する際に、装着位置を決めるための位置決めガイドが備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の清掃用具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の清掃用具を用いたローラ状部材の清掃方法であって、
清掃すべきローラ状部材を清掃可能な状態にし、
上記ローラ状部材の近傍にある挿入口から上記清掃用具の一対の半円弧部材を挿入し、
上記ローラ状部材の外周面の左右両側に挿入された上記一対の半円弧部材を位置決めし、
上記位置決めした状態において、上記清掃用具の操作部を所定の方向へ90°ひねり、それによって、上記一対の半円弧部材の各内径面に設けられた清掃部材が上記ローラ状部材の外周面に当接し、
その後、上記操作部を、上記ローラ状部材の長さ方向に移動させることによってローラ状部材の清掃を行うことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−23674(P2006−23674A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203819(P2004−203819)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】