説明

ロールツーロールシステムにおける高速微細基板整列装置

【課題】 圧電素子を用いて基板とロールとの間の整列誤差を微細にかつ高速に除去する基板整列装置を提供する。
【解決手段】 フレームと、前記フレームに回転可能に装着されて基板を支持するローラーユニットとを備えており、前記ローラーユニットは、メーンローラーと、前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着されて前記基板を整列する少なくとも一つの補助ローラーとを備えることを特徴とする基板整列装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板整列装置に関するもので、より詳細には、基板とロールとの間の整列誤差を微細にかつ高速に除去できる基板整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールツーロール(roll to roll)工程は、紙やフィルムなどの素材をロールに巻いた状態で加工する工程をいうが、このようなロールツーロール工程を印刷に適用することをロールツーロール印刷という。
【0003】
ロールツーロール工程が印刷産業に適用されている例として、包装紙及び新聞紙などの印刷を挙げることができる。すなわち、包装紙に多様な色を印刷しようとするとき、包装紙は多数個のパターンロールを経ながら印刷されるが、包装紙とパターンロールとの間に要求される印刷整列精密度は約0.1mm以上であり、比較的大きな整列誤差があっても問題にならない。
【0004】
上記のように、ロールツーロール工程は、包装紙及び新聞紙などのフレキシブル基板がロールの間を連続的に通過する工程として、高速生産が可能であるので、次世代の工程技術として脚光を浴びている。しかしながら、基板は、空中に浮いた状態でロールを通過するので、外乱に脆弱であり、フレキシブルな基板が使用されるので、張力が不均一であるときに基板の長さが変化することで、大きな整列誤差が発生する。したがって、ロールツーロール工程は、高い整列精密度が要求されるLCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diodes)、OTFT(Organic Thin Film Transistor)、PDP(Plasma Display Panel)及び太陽電池などに適用されることが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、圧電素子を用いて基板とロールとの間の整列誤差を微細にかつ高速に除去する基板整列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例に係る基板整列装置は、フレームと、前記フレームに回転可能に装着されて基板を支持するローラーユニットと、を備えており、前記ローラーユニットは、メーンローラーと、前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着されて前記基板を整列する少なくとも一つの補助ローラーとを備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間に配置され、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーに対して相対運動させる可変装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記可変装置は、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に加圧する第1可変装置と、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーの長さ方向に加圧する第2可変装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記第1可変装置は、前記メーンローラーに結合される第1加圧部材と、前記少なくとも一つの補助ローラーに結合される第2加圧部材と、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材とを連結する第1可変部材とを備えており、前記第1可変部材の長さは、前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に調節されることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1可変部材は、圧電素子を含むことを特徴とする。また、前記第2加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に曲げられるように陥没部を備えることを特徴とする。また、前記第2加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に曲げられるように板スプリングを含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記第2可変装置は、前記メーンローラーに結合される第3加圧部材と、前記少なくとも一つの補助ローラーに結合される第4加圧部材と、前記第3加圧部材と前記第4加圧部材とを連結する第2可変部材とを備えており、前記第2可変部材の長さは、前記メーンローラーの長さ方向に調節されることを特徴とする。
【0012】
また、前記第2可変部材は、圧電素子を含むことを特徴とする。また、前記第2可変部材は、圧電素子と、前記圧電素子の長さ変化量を増幅させる増幅機構とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、前記第4加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に曲げられるように陥没部を備えることを特徴とする。また、前記第4加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に曲げられるように板スプリングを含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記少なくとも一つの補助ローラーは、前記メーンローラーの長さ方向に沿って多数個設置され、前記多数個の補助ローラーが前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着されることを特徴とする。
【0015】
また、前記多数個の補助ローラーのうち少なくとも何れか一つを前記メーンローラーに対して相対運動させる可変装置を備えることを特徴とする。
【0016】
また、前記フレームを前記基板の進行方向または前記基板の進行方向と交差する方向に移動させたり、前記フレームを回転させるステージを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の実施例に係る基板整列装置は、前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間で、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーに対して相対運動させる可変装置を備えており、前記可変装置は、前記基板の進行方向に前記少なくとも一つの補助ローラーを加圧する第1可変装置と、前記基板の進行方向に対して垂直な方向に前記少なくとも一つの補助ローラーを加圧する第2可変装置とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、前記第1可変装置は、前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間に支持される第1可変部材を備えており、前記第1可変部材の長さは、前記基板の進行方向に可変することを特徴とする。
【0019】
また、前記第2可変装置は、前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間に支持される第2可変部材を備えており、前記第2可変部材の長さは、前記基板の進行方向に対して垂直な方向に可変することを特徴とする。
【0020】
本発明の実施例に係るロールツーロール工程を用いた工程装置は、基板と、前記基板にパターンを形成するパターンロールと、前記基板と前記パターンロールを整列させる基板整列装置とを備えており、前記基板整列装置は、前記パターンロールの前方に設置されるメーンローラーと、前記基板を支持し、前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着される補助ローラーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例に係る基板整列装置は、微細整列を通して整列精密度を高めることで、LCD、OLEDなどをロールツーロール工程を用いて製造することができる。
【0022】
また、本発明の実施例に係る基板整列装置は、速い応答速度を有する圧電素子を用いることで、高速に整列誤差を除去することができる。
【0023】
また、本発明の実施例に係る基板整列装置は、ロールツーロール工程のみならず、基板の搬送工程などで発生しうる誤差を除去するのに使用されることで、より正確な工程を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係るロールツーロール工程を概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施例に係る基板整列装置の粗動整列を示した図である。
【図3】本発明の実施例に係る基板整列装置の微細整列を示した図である。
【図4】本発明の実施例に係る第1可変装置を示した図である。
【図5】本発明の実施例に係る第2可変装置を示した図である。
【図6】本発明の実施例に係る第2加圧部材を示した図である。
【図7】本発明の実施例に係る第4加圧部材を示した図である。
【図8】本発明の実施例に係る第1可変部材及び第2可変部材を示した図である。
【図9】本発明の実施例に係る基板にMD方向の整列誤差が発生した場合を示した図である。
【図10】本発明の実施例に係る基板にCMD方向の整列誤差が発生した場合を示した図である。
【図11】本発明の実施例に係る基板にMD方向とCMD方向との間の角による誤差が発生した場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例に係る基板整列装置を添付された図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施例に係るロールツーロール工程を概略的に示した図である。図1に示すように、本発明の実施例では、ロールツーロール工程を用いて基板10を連続的に移動させながら工程を行う。単一装備で連続的な工程を行うので、高速生産が可能である。基板10の移送経路には、工程を行うために多数の工程段階が備わる。例えば、巻き戻しロール11から巻き取りロール12までに該当する基板10の移送経路には、感光層形成部20、整列部30、ナノインプリンティング部40及び除去部50などの多数の工程段階が順次的に備わる。
【0027】
感光層形成部20は、基板10に液状の感光性物質を塗布することで感光層を形成する。すなわち、感光層形成部20は、塗布ユニット21及びコーティングロール22を備えており、塗布ユニット21は、液状の感光性樹脂を基板10上に塗布し、コーティングロール22は、塗布された感光性物質をローリングしながら基板10上に平坦にコーティングさせる。
【0028】
ナノインプリンティング部40は、感光層形成部20で形成される感光層にパターンを形成する。すなわち、流動性のある液状の感光性樹脂に、所定のパターンが彫られたパターンロール41で圧力を加えながら紫外線を照射して光硬化を行うことで、感光層にパターンを形成する。ナノインプリンティング部40は、パターンロール41、ニップロール42及び紫外線照射ユニット43を備えている。ニップロール42は、パターンロール41との間隔を調節することで、パターンロール41が基板10の感光層に加える相対圧力を調節する。また、紫外線照射ユニット43は、パターンが転写された基板10の感光層に紫外線を照射して硬化を行う。
【0029】
除去部50は、基板の感光層などをエッチングするエッチングユニット51、エッチング液を洗浄する洗浄ユニット52及び洗浄終了後に乾燥する乾燥ユニット53を備えている。これらエッチングユニット51、洗浄ユニット52及び乾燥ユニット53は、公知の技術によって動作するものであるので、それぞれの機能及び動作に対する詳細な説明は省略する。
【0030】
また、本発明の実施例に係る基板10としては、ポリイミド、PETなどのように柔軟性を有するフィルムタイプの基材が好ましい。しかしながら、このようなフレキシブル基板10の場合、外乱によって正常な移送経路から逸脱する憂慮がある。特に、基板10にパターンを形成するナノインプリンティング部40を通過する間に基板10とパターンロール41との間に整列誤差が発生する場合、基板10の誤った位置にパターンが形成されるようになる。そのため、基板10がナノインプリンティング部40を通過する前に整列部30を通過するようにし、基板10とパターンロール41との間に発生する整列誤差を防止または減少できるようにする。
【0031】
整列部30は、基板整列装置31を備えており、基板整列装置31の構成を説明する前に、ロールツーロール工程における整列に対して説明する。ロールツーロール工程における整列は、大きく基板の進行方向(Machine Direction;以下、MDという。)の整列と、基板の進行方向に対して垂直な方向(Cross Machine Direction;以下、CMDという。)の整列とに分けられる。
【0032】
また、MD方向の整列とCMD方向の整列を行うにおいて、非常に大きな整列誤差が発生した場合に行われる粗動(coarse)整列と、非常に小さい整列誤差が発生した場合に行われる微細(Fine)整列とに分けられる。
【0033】
MD方向の整列とCMD方向の整列を行うにおいて、本発明の実施例に係る基板整列装置31の粗動整列を行う場合を先に説明した後、微細整列を行う場合を詳細に説明する。
【0034】
図2は、本発明の実施例に係る基板整列装置の粗動整列を示した図である。図2に示すように、本発明の実施例に係る基板整列装置31は、フレーム32と、フレーム32に回転可能に装着されるローラーユニット33とを備えている。そして、ローラーユニット33に基板10が支持される。
【0035】
基板整列装置31は、フレーム32を移動させるためにフレーム32の下部に設置されるステージ35を備えている。ステージ35は、粗動整列を行う場合に動作する。基板10とパターンロール41との間の整列誤差が非常に大きい場合、基板10とパターンロール41との間の整列誤差を減少させるために相対的に大きい移動量が必要である。このとき、ステージ35は、フレーム32をMD方向またはCMD方向に移動させることで、基板10とパターンロール41との整列を行う。
【0036】
さらに、ローラーユニット33をフレーム32上で移動させることで、基板10とパターンロール41との間の整列誤差を減少させることも可能である。すなわち、ローラーユニット33とフレーム32との間に別途の装置を設置し、この装置を通してローラーユニット33をMD方向またはCMD方向に移動させることで、基板10とパターンロール41との整列を行う。このように比較的大きい移動量が必要であるとき、フレーム32またはローラーユニット33を移動させることで、基板10とパターンロール41との間の整列誤差を減少させることを粗動整列という。
【0037】
しかしながら、このような粗動整列の場合、フレーム32とローラーユニット33の質量が大きいので、反応速度が遅く、基板10とパターンロール41との間の整列誤差を除去するのに長い時間がかかる。さらに、フレーム32とローラーユニット33を移動させるために動力の大きい駆動モーターを使用すべきであるが、このような駆動モーターは、微細に制御することが難しい。
【0038】
以下、本発明の実施例に係る基板整列装置31の速い速度で微細に整列可能な微細整列に対して詳細に説明する。
【0039】
図3は、本発明の実施例に係る基板整列装置の微細整列を示した図である。図3に示すように、本発明の実施例に係る基板整列装置31は、フレーム32及びローラーユニット33を備えており、ローラーユニット33は、フレーム32に回転可能に装着されるメーンローラー60と、メーンローラー60に対して相対運動可能に装着される補助ローラー70とを備えている。
【0040】
メーンローラー60は、フレーム32の長さ方向に沿って配置され、フレーム32の両側壁34には、メーンローラー60の回転軸61が挿入される。メーンローラー60は、一般的なACモーターまたはDCモーターを用いて駆動される。
【0041】
補助ローラー70は、可変装置80を通してメーンローラー60に対して相対運動可能に設置される。すなわち、可変装置80は、補助ローラー70をメーンローラー60に対してMD方向またはCMD方向に移動させるので、基板10のMD方向またはCMD方向への移動が可能である。さらに、二つの補助ローラー70がメーンローラー60に設置されており、左側に設けられた第1補助ローラー71が停止し、右側に設けられた第2補助ローラー72が回転している場合、補助ローラー70上に置かれた基板10が回転するようになる。このとき、基板10は、MD方向とCMD方向との間角θに沿って回転する。
【0042】
結局、補助ローラー70は、メーンローラー60に従属して一緒に移動しながら、可変装置80が動作する場合、メーンローラー60とは独立的に移動する。
【0043】
以下、可変装置80を通して補助ローラー70がメーンローラー60に対して相対運動する場合を詳細に説明する。
【0044】
図4は、本発明の実施例に係る第1可変装置を示した図である。図3及び図4に示すように、本発明の実施例に係る第1可変装置81が補助ローラー70をメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に相対回転させると、基板10がMD方向に移動するようになる。
【0045】
第1可変装置81は、メーンローラー60に結合される第1加圧部材91と、補助ローラー70に結合される第2加圧部材92と、第1加圧部材91と第2加圧部材92を連結する第1可変部材110とを備えている。第1可変部材110は、何れか一方向に長さが伸縮する特性を有するが、このとき、第1可変部材110が設置される方向は、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向で、第1可変部材110が伸縮する方向をいう。
【0046】
第1可変部材110は、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に設置されるので、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に伸縮するようになる。図4を参照すると、第1可変部材110が伸びて第1加圧部材91と第2加圧部材92を加圧する場合、第2加圧部材92が第1加圧部材91から徐々に離隔し、第2加圧部材92と結合された補助ローラー70は、メーンローラー60に対して相対回転をする。これと反対に、第1可変部材110が縮む場合、第2加圧部材92が第1加圧部材91に徐々に近づき、第2加圧部材92と結合された補助ローラー70は、メーンローラー60に対して以前と反対方向に相対回転をする。このとき、基板10は、補助ローラー70によって支持されているので、補助ローラー70の相対回転によってMD方向に往復移動することができる。このような点を用いて、基板10とパターンロール41との間にMD方向の整列誤差が発生する場合、補助ローラー70をメーンローラー60に対して相対回転させることで、MD方向の整列誤差を除去または減少することができる。これに関しては、後ほど詳細に説明する。
【0047】
図5は、本発明の実施例に係る第2可変装置82を示した図である。図3及び図5に示すように、本発明の実施例に係る第2可変装置82が補助ローラー70をメーンローラー60の長さ方向に相対回転させると、基板10がCMD方向に移動するようになる。
【0048】
第2可変装置82は、メーンローラー60に結合される第3加圧部材93と、補助ローラー70に結合される第4加圧部材94と、第3加圧部材93と第4加圧部材94を連結する第2可変部材120とを備えている。第2可変部材120は、何れか一方向に長さが伸縮する特性を有するが、このとき、第2可変部材120が設置される方向は、メーンローラー60の長さ方向で、第2可変部材120が伸縮する方向をいう。
【0049】
第2可変部材120は、メーンローラー60の長さ方向に設置されるので、メーンローラー60の長さ方向に伸縮するようになる。図5を参照すると、第2可変部材120が伸びて第3加圧部材93と第4加圧部材94を加圧する場合、第4加圧部材94が第3加圧部材93から徐々に離隔し、第4加圧部材94と結合された補助ローラー70は、メーンローラー60に対して相対回転をする。これと反対に、第2可変部材120が縮む場合、第4加圧部材94が第3加圧部材93に徐々に近づき、第4加圧部材94と結合された補助ローラー70は、メーンローラー60に対して以前と反対方向に相対回転をする。このとき、基板10は、補助ローラー70によって支持されているので、CMD方向に往復移動することができる。このような点を用いて、基板10とパターンロール41との間にCMD方向の整列誤差が発生する場合、補助ローラー70をメーンローラー60に対して相対回転させることで、CMD方向の整列誤差を除去または減少することができる。これに関しては、後ほど詳細に説明する。
【0050】
図6A及び図6Bは、本発明の実施例に係る第2加圧部材を示した図で、図7A及び図7Bは、本発明の実施例に係る第4加圧部材を示した図である。
【0051】
図3乃至図7を参考にすると、図3及び図4に示すように、基板整列装置31がMD方向の整列誤差を除去するために補助ローラー70をメーンローラー60に対して相対回転させる方向は、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向で、図3及び図5に示すように、基板整列装置31がCMD方向の整列誤差を除去するために補助ローラー70をメーンローラー60に対して相対回転させる方向は、メーンローラー60の長さ方向である。すなわち、補助ローラー70は、メーンローラー60の長さ方向への相対移動が可能であり、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向への相対回転が可能でなければならない。
【0052】
このために、図6Aに示すように、補助ローラー70と連結される第2加圧部材92を形成し、図7Aに示すように第4加圧部材94を形成する。図6Aに示すように、第2加圧部材92に形成される陥没部92aは、メーンローラー60の長さ方向に沿って陥没形成される。すなわち、陥没部92aが形成される部分は、メーンローラー60の長さ方向に沿って相対的に小さい厚さt1を有し、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に沿って相対的に大きい厚さT2を有する。これによって、第2加圧部材92をメーンローラー60の長さ方向に加圧する場合、第2加圧部材92は、メーンローラー60の長さ方向に曲げられるようになる。これと反対に、第2加圧部材92をメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に加圧する場合、第2加圧部材92は、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に曲げられなくなる。
【0053】
また、図6Aの陥没部92aの代わりに、図6Bに示すように、第2加圧部材92は、本体部92bとヘッド部92cとの間に板スプリング92a’を含んで形成される。板スプリング92a’は、第2加圧部材92がメーンローラー60の長さ方向に曲げられることを可能にすることができる。
【0054】
図7Aに示すように、第4加圧部材94に形成される陥没部94aは、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に沿って陥没形成される。すなわち、陥没部94aが形成される部分は、メーンローラー60の長さ方向に沿って相対的に大きい厚さT3を有し、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に沿って相対的に小さい厚さt4を有する。これによって、第4加圧部材94をメーンローラー60の長さ方向に加圧する場合、第4加圧部材94は、メーンローラー60の長さ方向に曲げられなくなる。これと反対に、第4加圧部材94をメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に加圧する場合、第4加圧部材94は、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に曲げられるようになる。
【0055】
また、図7Aの陥没部94aの代わりに、図7Bに示すように、第4加圧部材94は、本体部94bとヘッド部94cとの間に板スプリング94a’を含んで形成される。板スプリング94a’は、第4加圧部材94がメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に曲げられることを可能にすることができる。
【0056】
結局、第1可変装置81がメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に第1加圧部材91と第2加圧部材92を加圧する場合、補助ローラー70と結合された第2加圧部材92がメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に曲げられないので、補助ローラー70は、第2加圧部材92を通して力を受ける。これと同時に、補助ローラー70に結合された第4加圧部材94がメーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向に曲げられるので、補助ローラー70は、第2加圧部材92を通して受けた力によって、第4加圧部材94が曲げられる程度にメーンローラー60に対して回転するようになる。
【0057】
これと反対に、第2可変装置82がメーンローラー60の長さ方向に第3加圧部材93と第4加圧部材94を加圧する場合、補助ローラー70と結合された第4加圧部材94がメーンローラー60の長さ方向に曲げられないので、補助ローラー70は、第4加圧部材94を通して力を受ける。これと同時に、補助ローラー70に結合された第2加圧部材92がメーンローラー60の長さ方向に曲げられるので、補助ローラー70は、第4加圧部材94を通して受けた力によって、第2加圧部材92が曲げられる程度にメーンローラー60に対して移動するようになる。
【0058】
図8は、本発明の実施例に係る第1可変部材及び第2可変部材を示した図である。
【0059】
図3を参照すると、第1可変部材110が設置される方向は、メーンローラー60の長さ方向に対して交差する方向で、第2可変部材120が設置される方向は、メーンローラー60の長さ方向である。ここで、上述したように、第1可変部材110と第2可変部材120が設置される方向は、第1可変部材110と第2可変部材120が伸縮する方向を意味する。このように、第1可変部材110と第2可変部材120は、設置される方向がそれぞれ異なるだけで、その構造が同一であるので、以下では、第1可変部材110を例に挙げて説明する。
【0060】
図8に示すように、本発明の実施例に係る第1可変部材110は、圧電素子111及び圧電素子111を取り囲む増幅機構112を備えている。
【0061】
圧電素子111は、外部から機械的変形を加えると、電気分極が表れる現象を用いる素子で、このような現象を用いることで、圧電素子111に電圧を加えて長さを伸縮することができる。また、圧電素子111は、高い帯域幅を有するので、高速に駆動される。これは、整列誤差を速い時間内に除去または減少し、安定化できることを意味する。
【0062】
増幅機構112は、圧電素子111の変位を増幅させる機構である。増幅機構112は、略六角形状に形成されるもので、互いに対称的な二つの側面部113及び二つの支持部114を備えており、側面部113と支持部114を連結する4個の斜辺部115を備えている。圧電素子111の両側端部は、二つの側面部113にそれぞれ結合される。また、図3に示すように、二つの支持部114のうち何れか一つは第1加圧部材91に結合され、他の一つは第2加圧部材92に結合される。
【0063】
圧電素子111に電圧を加えて長さを伸ばす場合、二つの側面部113が互いに遠ざかり、二つの支持部114が互いに近づく。これによって、第1加圧部材91と第2加圧部材92が互いに近づく。その反対に、圧電素子111に電圧を加えて長さを縮む場合、二つの側面部113が互いに近づき、二つの支持部114が互いに遠ざかる。これによって、第1加圧部材91と第2加圧部材92が互いに遠ざかる。第1加圧部材91と第2加圧部材92との間の間隔が遠ざかるか近づくにつれて、上述したように、補助ローラー70がメーンローラー60に対して相対回転をする。
【0064】
以下、本発明の実施例に係る基板整列装置31の動作に対して説明する。
【0065】
図1を参照すると、一般的に、基板10は、表示領域と非表示領域に区分される。表示領域には、多数個のゲートライン及び多数個のデータラインが互いに交差して配列されるが、これらが互いに交差する部分には薄膜トランジスタなどが備わる。非表示領域には、ゲートラインとデータラインに駆動信号を印加するためのパッドが形成される。特に、基板10の非表示領域に整列マークが形成されるが、整列マークをパターニングする過程や基板の熱及び湿度変形によって誤差が発生しうる。これら整列マークを用いて、基板10とパターンロール41との間の整列誤差を除去することができる。
【0066】
すなわち、基板整列装置31は、誤差測定部36を備えており、この誤差測定部36を通して整列マークの位置を確認することで、基板10の大きさ変化などを感知及び測定し、信号を出力するようになる。例えば、誤差測定部36は、整列マークの間の距離を測定することで、基板10にMD方向、CMD方向及びMD方向とCMD方向との間の角θに沿ってどれだけの誤差が発生したかを測定する。ここで、誤差測定部36としては、整列マークの位置及び変位を確認するためにCCDカメラが使用される。
【0067】
さらに、基板整列装置31は、制御部37を備えており、この制御部37を通して基板10のMD方向、CMD方向及びMD方向とCMD方向との間の角θによる整列誤差に対して圧電素子111に加えられる電圧を出力する。
【0068】
図9は、本発明の実施例に係る基板10にMD方向の整列誤差が発生した場合を示した図である。図9に示すように、本発明の実施例に係る基板10にパターニングされているX表示は整列マークを表し、これに対応するO表示は、パターンマークとして、整列誤差が発生していない場合、整列マークXが位置すべき位置を表す。図9は、基板10の進行方向、すなわち、MD方向の誤差を示している。このとき、誤差測定部36は、CCDカメラなどを用いて整列マークXとパターンマークOとの間の誤差(または変位)を測定し、信号を出力する。
【0069】
制御部37は、誤差測定部36の信号を受けた後、第1可変装置81の圧電素子111に電圧を印加する。圧電素子111に電圧が印加されると、第1可変装置81は、補助ローラー70をメーンローラー60に対してMD方向に回転させる。したがって、補助ローラー70に支持される基板10もMD方向に進行するので、整列マークXとパターンマークOが互いに一致し、両者間の整列誤差が除去または減少される。
【0070】
ただし、整列マークXとパターンマークOとの間の誤差が非常に大きいことから、比較的大きな移動量が要求される場合、ステージ35を用いてフレーム32をMD方向に移動させるべきである。
【0071】
図10は、本発明の実施例に係る基板にCMD方向の整列誤差が発生した場合を示した図である。図10は、整列マークXとパターンマークOの位置を考慮するとき、基板10の進行方向に対して垂直な方向の整列誤差を示している。誤差測定部36は、整列マークXとパターンマークOとの間の誤差を測定し、制御部37に信号を出力する。このとき、制御部37は、基板10をCMD方向に移動させるべきであるので、第2可変装置82の圧電素子111に電圧を印加する。圧電素子111に電圧が印加されると、第2可変装置82は、補助ローラー70をメーンローラー60に対してCMD方向に移動させる。したがって、補助ローラー70に支持される基板10もCMD方向に進行するので、整列マークXとパターンマークOが互いに一致し、両者間の整列誤差が除去または減少される。
【0072】
ただし、整列マークXとパターンマークOとの間の誤差が非常に大きいことから、比較的大きな移動量が要求される場合、ステージ35を用いてフレーム32をCMD方向に移動させるべきである。
【0073】
図11は、本発明の実施例に係る基板にMD方向とCMD方向との間の角による誤差が発生した場合を示した図である。図11に示すように、左側にある整列マークXとパターンマークOは一致するが、右側にある整列マークXとパターンマークOは互いに一致しない。すなわち、図11は、基板10のMD方向とCMD方向との間の角θによる整列誤差を示している。誤差測定部36は、整列マークXとパターンマークOとの間の誤差を測定し、制御部37に信号を出力する。
【0074】
制御部37は、基板10をMD方向とCMD方向との間の角θに沿って回転させるべきであるので、図3に示すように、第1補助ローラー71側に設けられる第1可変装置81の圧電素子111に電圧を印加せずに、第2補助ローラー72側に設けられる第1可変装置81の圧電素子111に電圧を印加する。この場合、第2補助ローラー72は、第1可変装置81によってメーンローラー60に対して相対回転をする。基板10は、第1補助ローラー71と第2補助ローラー72によって支持されるので、第1補助ローラー71は停止し、第2補助ローラー72は回転する場合、基板10は、MD方向とCMD方向との間の角θに沿って回転することが可能である。これによって、整列マークXとパターンマークOが互いに一致し、両者間の整列誤差が除去または減少される。
【0075】
ただし、図11の場合においても、整列マークXとパターンマークOとの間の誤差が非常に大きいことから、比較的大きな移動量が要求されると、ステージ35を用いてフレーム32をMD方向とCMD方向との間の角θに沿って回転させるべきである。
【符号の説明】
【0076】
10 基板
32 フレーム
33 ローラーユニット
34 側壁
35 ステージ
60 メーンローラー
61 回転軸
70 補助ローラー
71 第1補助ローラー
72 第2補助ローラー
80 可変装置
81 第1可変装置
82 第2可変装置
91 第1加圧部材
92 第2加圧部材
93 第3加圧部材
94 第4加圧部材
110 第1可変部材
120 第2可変部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに回転可能に装着されて基板を支持するローラーユニットと、を備えており、
前記ローラーユニットは、
メーンローラーと、前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着されて前記基板を整列する少なくとも一つの補助ローラーと、を備えることを特徴とする基板整列装置。
【請求項2】
前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間に配置され、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーに対して相対運動させる可変装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板整列装置。
【請求項3】
前記可変装置は、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に加圧する第1可変装置と、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーの長さ方向に加圧する第2可変装置と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の基板整列装置。
【請求項4】
前記第1可変装置は、前記メーンローラーに結合される第1加圧部材と、前記少なくとも一つの補助ローラーに結合される第2加圧部材と、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材とを連結する第1可変部材と、を備えており、
前記第1可変部材の長さは、前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に調節されることを特徴とする請求項3に記載の基板整列装置。
【請求項5】
前記第1可変部材は、圧電素子を含むことを特徴とする請求項4に記載の基板整列装置。
【請求項6】
前記第2加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に曲げられるように陥没部を備えることを特徴とする請求項4に記載の基板整列装置。
【請求項7】
前記第2加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に曲げられるように板スプリングを含むことを特徴とする請求項4に記載の基板整列装置。
【請求項8】
前記第2可変装置は、前記メーンローラーに結合される第3加圧部材と、前記少なくとも一つの補助ローラーに結合される第4加圧部材と、前記第3加圧部材と前記第4加圧部材を連結する第2可変部材と、を備えており、
前記第2可変部材の長さは、前記メーンローラーの長さ方向に調節されることを特徴とする請求項3に記載の基板整列装置。
【請求項9】
前記第2可変部材は、圧電素子を含むことを特徴とする請求項8に記載の基板整列装置。
【請求項10】
前記第2可変部材は、圧電素子と、前記圧電素子の長さ変化量を増幅させる増幅機構と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の基板整列装置。
【請求項11】
前記第4加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に曲げられるように陥没部を備えることを特徴とする請求項8に記載の基板整列装置。
【請求項12】
前記第4加圧部材は、前記メーンローラーの長さ方向に対して交差する方向に曲げられるように板スプリングを含むことを特徴とする請求項8に記載の基板整列装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つの補助ローラーは、前記メーンローラーの長さ方向に沿って多数個設置され、前記多数個の補助ローラーが前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着されることを特徴とする請求項1に記載の基板整列装置。
【請求項14】
前記多数個の補助ローラーのうち少なくとも何れか一つを前記メーンローラーに対して相対運動させる可変装置を備えることを特徴とする請求項13に記載の基板整列装置。
【請求項15】
前記フレームを前記基板の進行方向または前記基板の進行方向と交差する方向に移動させたり、前記フレームを回転させるステージを備えることを特徴とする請求項1に記載の基板整列装置。
【請求項16】
前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間で、前記少なくとも一つの補助ローラーを前記メーンローラーに対して相対運動させる可変装置を備えており、
前記可変装置は、前記基板の進行方向に前記少なくとも一つの補助ローラーを加圧する第1可変装置と、前記基板の進行方向に対して垂直な方向に前記少なくとも一つの補助ローラーを加圧する第2可変装置と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板整列装置。
【請求項17】
前記第1可変装置は、前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間に支持される第1可変部材を備えており、前記第1可変部材の長さは、前記基板の進行方向に可変することを特徴とする請求項16に記載の基板整列装置。
【請求項18】
前記第2可変装置は、前記メーンローラーと前記少なくとも一つの補助ローラーとの間に支持される第2可変部材を備えており、前記第2可変部材の長さは、前記基板の進行方向に対して垂直な方向に可変することを特徴とする請求項16に記載の基板整列装置。
【請求項19】
基板と、
前記基板にパターンを形成するパターンロールと、
前記基板と前記パターンロールを整列させる基板整列装置と、を備えており、
前記基板整列装置は、
前記パターンロールの前方に設置されるメーンローラーと、
前記基板を支持し、前記メーンローラーに対して相対運動可能に装着される補助ローラーと、を備えることを特徴とするロールツーロールを用いた工程装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−76938(P2010−76938A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191851(P2009−191851)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】