説明

ロール体用支持台及びロール体収納設備

【課題】シート材の破損を回避できるロール体用支持台を提供する。
【解決手段】ロール体Aを支持する支持手段11を、ロール体Aの軸心方向においてシート材bから両側に突出する軸部aの両端部を支持する一対の支持体12を備えて構成し、ロール体Aが一対の支持体12にて支持されている状態において、適正位置から軸心方向にずれているシート材bの存否を検出する検出手段16と、検出手段16にて検出された検出情報に基づいて、シート材bが巻回異常状態であるか否かを判別する巻回異常判別手段とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱形状の軸部にシート材が巻回されたロール体を支持する支持手段が、前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部を支持する一対の支持体を備えて構成されているロール体用支持台、及び、そのロール体用支持台が備えられたロール体収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるロール体用支持台は、一対の支持体にて軸部の両端部を支持する形態でロール体を支持するものであり、従来では、スタッカークレーン等の掬い取り装置や収納棚が備えられたロール体収納設備に備えられて、搬送台車にて外部から搬送されてきたロール体を一対の支持体にて支持されるようにロール体用支持台に受け渡し、当該ロール体用支持台に受け渡されたロール体を掬い取り装置が受け取るようにして用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、従来の掬い取り装置は、軸部の両端部におけるシート材が巻回されている箇所と一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を一対の載置体にて支持する形態で、ロール体用支持台から受け取るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−184730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のロール体用支持台は、搬送台車からロール体が受け渡され、当該受け渡されたロール体を掬い取り装置が受け取るようにして用いられているが、搬送台車による搬送時の振動や旋回走行による遠心力等によってシート材が軸部に対して軸心方向に移動してシート材が軸部の適正位置から軸心方向にずれることがある。よって、ロール体用支持台にシート材が軸部の適正位置から軸心方向にずれた状態のロール体が載せられる場合がある。
そして、上記従来の掬い取り装置のようにロール体用支持台からロール体を受け取る場合では、掬い取る装置は、軸部の両端部におけるシート材が巻回されている箇所と一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を一対の載置体にて支持するように受け取る。このとき、シート材が軸部の適正位置から軸部の一端側に向けて軸心方向にずれていると、その軸部の一端側において軸部の支持体にて支持されている箇所とシート材との間隔が狭くなるため、掬い取り装置がロール体を受け取るときに軸部の一端部を支持する載置部がシート材に干渉してシート材が破損する虞がある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、シート材の破損を回避できるロール体用支持台、及び、そのロール体用支持台を備えたロール体収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるロール体用支持台は、円柱形状の軸部にシート材が巻回されたロール体を支持する支持手段が、前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部を支持する一対の支持体を備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記ロール体が前記一対の支持体にて支持されている状態において、前記軸部の適正位置から軸心方向にずれている前記シート材の存否を検出する検出手段と、前記検出手段にて検出された検出情報に基づいて、前記シート材が巻回異常状態であるか否かを判別する巻回異常判別手段とを備えて構成されている点にある。
【0007】
すなわち、一対の支持体にてロール体が支持されており、そのロール体のシート材が軸部の適正位置から軸心方向にずれている状態では、検出手段にてシート材の存在が検出され、ロール体のシート材が適正位置から軸心方向にずれていない状態では、検出手段にてシート材の存在が検出されないようになっている。
そして、巻回異常判別手段は、検出手段にてシート材の存在が検出されると、その検出手段の検出情報に基づいて巻回異常状態であると判別し、検出手段にてシート材の存在が検出されないと、検出手段の検出情報に基づいて巻回異常状態ではないと判別するようになっている。
【0008】
このように、一対の支持体にて支持されているロール体が巻回異常状態であるか否かを検出手段の検出情報に基づいて巻回異常判別手段にて判別することができるため、例えば、巻回異常判別手段が巻回異常状態であると判別したときは、ロール体を受け渡す装置の作動を停止させてロール体の受け渡しを行わないようにする等の対策を行うことで、巻回異常状態でロール体を受け渡すことによりシート材が破損することを回避することができる。
従って、シート材の破損を回避できるロール体用支持台を提供することができるに至った。
【0009】
本発明にかかるロール体用支持台の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記一対の支持体に支持された前記軸部を軸心周りに回転させる回転操作手段と、前記軸部を軸心周りに設定角度回転操作させるべく前記回転操作手段の作動を制御する回転制御手段とが設けられ、前記検出手段が、前記適正位置に位置する前記シート材に対して軸心方向に隣接する箇所を通過し且つ前記軸部に対して径方向に隣接する箇所を通過するように検出光を投光する投光部及びその検出光を受光する受光部を備えた遮光式の光センサにて構成され、前記巻回異常判別手段が、前記軸部を軸心周りに前記設定角度回転操作される間の前記光センサにて検出された検出情報に基づいて、前記シート材が巻回異常状態であるか否かを判別するように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、検出手段を、適正位置に位置するシート材に対して軸心方向に隣接する箇所を通過し且つ軸部に対して径方向に隣接する箇所を通過するように検出光を投光する投光部及びその検出光を受光する受光部を備えた遮光式の光センサにて構成しているため、検出手段にて、軸部近くにおいて適正位置から軸心方向にずれているシート材の存否を検出することができ、シート材のずれを適確に検出することができる。
【0011】
また、検出手段を投光部及び受光部を備えた遮光式の光センサにて構成しており、検出手段をエリアセンサにて構成した場合に比べて検出手段の小型化を図ることができるため、ロール体をロール体用支持台に対して載せ卸しするときに検出手段が邪魔になり難く、ロール体をロール体用支持台に対して載せ卸しし易いものとなる。
また、検出手段を投光部及び受光部を備えた遮光式の光センサにて構成しているため、検出手段をエリアセンサにて構成した場合に比べてシート材の存否を狭い範囲でしか検出することができないが、回転操作手段にて軸部をシート材とともに回転させることで、軸部の軸心方向視におけるシート材に対して検出光が通過した範囲を広くできるので、検出手段にてシート材の軸心方向のずれを適確に検出することができる。
【0012】
本発明にかかるロール体用支持台の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記投光部と前記受光部とのうちの一方が、前記軸部より上方に設けられ、前記投光部と前記受光部とのうちの他方が、前記軸部より下方に設けられている点にある。
【0013】
すなわち、投光部から投光する検出光は軸部に対して径方向に近接する箇所を通過させるように設けられているため、投光部及び受光部を同じ高さに設けた場合では、これらの高さが一対の支持体と同じような高さとなる。そのため、ロール体用支持台に対してロール体を載せ卸しするときに投光部や受光部が邪魔になり易い。
しかし、本特徴構成のように、投光部と受光部とのうちの一方を軸部より上方に設け、投光部と受光部とのうちの他方を軸部より下方に設けて、投光部と受光部とを上下方向に分散配置することで、これら投光部及び受光部を一対の支持体から上下方向に大きく離すことができるため、ロール体用支持台に対してロール体を載せ卸しするときに投光部や受光部が邪魔になり難くすることができる。
【0014】
本発明にかかるロール体用支持台の第4特徴構成は、第2又は第3特徴構成において、前記一対の支持体の夫々が、前記軸部を支持する複数の回転体を備えて構成され、前記回転操作手段が、前記複数の回転体の全部又は一部を回転駆動させるように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、ロール体におけるシート材の外周面に接触させて当該ロール体を回転させることも考えられるが、このようにするとシート材が破損する虞がある。この点、本実施形態によれば、一対の支持体の夫々が、軸部を支持する複数の回転体を備えて構成されており、回転操作手段にて、複数の回転体の全部又は一部を回転駆動させることで、複数の回転体にて支持されている軸部も回転するようになっている。
よって、一対の支持体における回転体を回転操作手段にて回転駆動させることで、ロール体を回転させることができるので、シート材の外周面を破損させることなくロール体を回転させることができる。
【0016】
本発明にかかるロール体用支持台の第5特徴構成は、第2〜第4特徴構成のいずれか1つにおいて、前記設定角度が、360°以上に設定されている点にある。
【0017】
すなわち、光センサにて適正位置から軸心方向にずれているシート材の存否を検出するときに、軸部を360°以上回転させることで、軸部を回転させることにより軸部の軸心方向視で検出光を通過させることができる全ての範囲に検出光を通過させることができるため、シート材が軸部の適正位置から軸心方向にずれていることを光センサにて適確に検出することができる。
【0018】
本発明にかかるロール体用支持台の第6特徴構成は、第2〜第4特徴構成のいずれか1つにおいて、前記軸部を設定角度回転させたときに、前記軸部の軸心方向視で、前記検出光が通過した範囲を検出範囲とし、前記一対の支持体にて支持されている前記ロール体を、前記軸部における前記シート材が巻回されている箇所と前記一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を支持する形態で掬い取り装置にて掬い取るときに、前記軸部の軸心方向視で、前記シート材と前記掬い取り装置とが重複する範囲を干渉範囲として、前記設定角度が、前記軸部を前記設定角度回転させた後に前記干渉範囲の全部又は一部が前記検出範囲と重複する角度に設定されている点にある。
【0019】
すなわち、設定角度は、軸部を設定角度回転させた後に干渉範囲の全部又は一部が検出範囲と重複する角度に設定されており、検出手段にて、掬い取り装置がシート材に干渉する虞がある干渉範囲の一部又は全部におけるシート材のずれを検出するようになっている。
そして、軸部を回転させることにより軸部の軸心方向視で検出光を通過させることができる全ての範囲を光センサにて検出するのではなく、例えば、軸部を設定角度回転させた後に少なくとも干渉範囲における外周縁部分の全体が検出範囲と重複するようにする等、干渉範囲の全部又は一部が検出範囲と重複するようにして、軸部を回転させることにより軸部の軸心方向視で検出光を通過させることができる一部の範囲を光センサにて検出するものであるため、そのときに軸部を回転させる設定角度は360°より小さくてよく、軸部の回転量を少なくすることができるので、シート材の軸心方向にずれていることを検出するのに要する時間を短くすることができる。
【0020】
本発明にかかるロール体収納設備は、第1〜第6特徴構成のいずれか1つのロール体用支持台が備えられているものであって、その特徴構成は、
前記ロール体を収納する収納部を複数備えた収納棚と、前記ロール体用支持台と前記収納部との間で前記ロール体を搬送するスタッカークレーンとが設けられ、前記スタッカークレーンが、前記軸部における前記シート材が巻回されている箇所と前記一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を支持するように構成されている点にある。
【0021】
すなわち、スタッカークレーンは、軸部におけるシート材が巻回されている箇所と一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を支持するようにロール体用支持台からロール体を受け取るように構成されているため、スタッカークレーンにてロール体を受け取るときにロール体が巻回異常状態であり、シート材が軸部の適正位置から軸部の一端側に向けて軸心方向にずれていると、その軸部の一端側において軸部の支持体にて支持されている箇所とシート材との間隔が狭くなりため、スタッカークレーンがシート材に接触する虞がある。本特徴構成では、巻回異常判別手段にてシート材が巻回異常状態であるか否かを判別することができるので、例えば、巻回異常判別手段が巻回異常状態と判別したときはスタッカークレーンにてロール体を掬い取らないようにする等の対策を行うことで、スタッカークレーンがシート材に接触することによるシート材の破損を回避することができる。
従って、シート材の破損を回避できるロール体用支持台を備えたロール体収納設備を提供する点にある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ロール体収納設備の平面図
【図2】ロール体を示す図
【図3】ロール体用支持台の正面図
【図4】ロール体用支持台の側面図
【図5】ロール体と移載装置とを示す図
【図6】検出範囲と干渉範囲と検出対象範囲とを示す図
【図7】制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ロール体収納設備には、ロール体Aを支持するロール体用支持台1、ロール体Aを収納する収納部2を縦横に複数備えた収納棚3、及び、ロール体用支持台1と収納棚3の収納部2との間でロール体Aを搬送するスタッカークレーン4(掬い取り装置に相当)が設けられている。
そして、ロール体収納設備は、搬送台車(図示せず)にて外部から搬送されてきたロール体Aがロール体用支持台1に受け渡され、その受け渡されたロール体Aをスタッカークレーン4にて受け取って収納部2に収納するようになっている。また、スタッカークレーン4にて収納部2から取り出されたロール体Aがロール体用支持台1に卸され、その卸されたロール体Aを搬送台車にて掬い取って外部に搬送するようになっている。
【0024】
図2に示すように、ロール体Aは、ロール体Aの軸心部に位置する円柱形状の軸部としてのコアaと、そのコアaに巻回された印刷原紙や各種フィルム原反等のシート材bとで構成されており、コアaはシート材bから軸心方向の両側に突出している。ちなみに、図2(a)は、ロール体Aのシート材bがコアaに対して適正位置に位置している状態を示している。図2(b)及び図2(c)は、ロール体Aのシート材bがコアaに対して適正位置から軸心方向にずれている状態を示しており、図2(b)は、シート材bにおける周方向の全体が軸心方向にずれている状態、図2(c)は、シート材bにおける周方向の一部が軸心方向にずれている状態を示している。
【0025】
そして、図6に示すように、ロール体収納設備には、管理コントローラ7と、管理コントローラ7の指令に基づいてスタッカークレーン4の作動を制御するクレーンコントローラ8と、管理コントローラ7の指令に基づいてロール体用支持台1の作動を制御する支持台コントローラ9とが設けられている。
【0026】
図3及び図4に示すように、ロール体用支持台1は、ロール体Aを支持する支持手段11を備えており、支持手段11は、一対の支持体12を備えて構成されている。この一対の支持体12は、シート材bの軸心方向の長さより広い間隔で且つコアaの軸心方向の長さより狭い間隔で設けられており、一対の支持体12にて、シート材bから両側に突出するコアaの両端部を支持するように構成されている。
【0027】
スタッカークレーン4は、収納棚3の前方を走行する走行台車及びそれに立設された支柱に沿って昇降移動する昇降台が設けられており、その昇降台にフォーク式の移載装置13が支持されている。
移載装置13は、一対の載置体14を備えて構成されている。図1及び図3に示すように、一対の載置体14は、シート材bの長手方向の長さより広い間隔で且つ一対の支持体12の間隔より狭い間隔で設けられており、一対の載置体14にて、コアaにおけるシート材bが巻回されている箇所と一対の支持体12にて支持される箇所との間の箇所を支持するように構成されている。
尚、収納部2では、ロール体用支持台1の一対の支持体12と同じ間隔でシート材bから両側に突出するコアaの両端部を支持するように構成されている。
【0028】
そして、ロール体用支持台1にて支持されているロール体Aを掬い取るときのスタッカークレーン4の作動について説明すると、図5(a)に示すようにコアaの下方に載置体14が位置するように移載装置13を突出作動させた後、図5(b)の仮想線で示すように載置体14がコアaに接触するまで昇降台を上昇移動させ、さらに昇降台を上昇移動させて載置体14にてコアaを載置支持し、その後、移載装置13を引退作動させることで、ロール体用支持台1に支持されているロール体Aを移載装置13にて掬い取るようになっている。また、ロール体用支持台1にロール体Aを卸すときのスタッカークレーン4の作動は、掬い取るときとは逆の動きをすることで、ロール体Aをロール体用支持台1に卸すようになっている。
尚、収納部2のロール体Aを掬い取るときや収納部2にロール体Aを卸すときは、ロール体用支持台1に対してロール体Aを掬い取るときや卸すときと同様であるため、説明は省略する。
【0029】
次に、ロール体用支持台1について説明を加える。
ロール体用支持台1は、ロール体Aを支持する一対の支持体12にて構成された支持手段11と、ロール体Aが一対の支持体12にて支持されている状態において、適正位置から軸心方向にずれているシート材bの存否を検出する検出手段16と、一対の支持体12に支持されたコアaを軸心周りに回転させる回転操作手段としての電動モータ17とを備えて構成されている。
【0030】
一対の支持体12の夫々は、コアaを支持する2つの回転体12aを備えて構成されている。この2つの回転体12aは、その回転軸心が支持するコアaの軸心方向に沿う状態で且つ軸心方向と直交する水平方向に沿って同じ高さに並設されており、2つの回転体12aの間にコアaが位置する状態でコアaを支持するように構成されている。
そして、電動モータ17が、一対の支持体12の夫々に対応して一対設けられており、一対の電動モータ17の夫々が、2つの回転体12aの一方を回転駆動させるように構成されており、一方の回転体12aを回転駆動させることで、一方の回転体12aにて接触支持されているコアaを回転させるとともにコアaを接触支持している回転自在な他方の回転体12bも回転させるように構成されている。
【0031】
検出手段16は、ロール体Aが一対の支持体12にて支持されている状態において、コアaの適正位置に位置するシート材bに対してコアaの軸心方向に隣接する箇所を通過(図3参照)し且つコアaに対して径方向に隣接する箇所を通過(図4参照)するように検出光を投光する投光部としての投光器18a及びその検出光を受光する受光部としての受光器18bとを備えた単光軸で遮光式の光センサ18にて構成されている。
そして、投光器18aが、シート材bより上方で且つシート材bよりスタッカークレーン4の移動経路側に設けられ、受光器18bが、シート材bより下方で且つシート材bよりスタッカークレーン4の移動経路側とは反対側に設けられている。また、投光器18aは、投光する検出光がコアaの上方を通過するように設けられている。
ちなみに、上述の如く投光器18aと受光器18bとを夫々設けた分離透過型の光センサ18であり、光センサ18は、コアaの両端部の夫々に対応して設けられている。
【0032】
支持台コントローラ9は、検出手段16にて検出された検出情報に基づいて、シート材bが巻回異常状態であるか否かを判別する巻回異常判別手段9aをプログラム形式で備えている。また、支持台コントローラ9は、コアaを軸心周りに設定角度回転操作させるべく電動モータ17の作動を制御する回転制御手段9bをプログラム形式で備えている。ちなみに、回転制御手段9bは、電動モータ17を設定角度に対応する回転量だけ回転させることで、コアaを軸心周りに設定角度回転操作するように構成されている。
【0033】
巻回異常判別手段9aは、コアaが軸心周りに設定角度回転操作される間の光センサ18にて検出された検出情報に基づいて、シート材bが巻回異常状態であるか否かを判別するように構成されている。
つまり、コアaが軸心周りに設定角度回転操作される間、投光器18aからの投光を受光器18bにて受光され続けた場合は、シート材bはコアaの適正位置からずれていないとして、シート材bが巻回適正状態であると判別する、一方、コアaが軸心周りに設定角度回転操作される間、検出光がシート材bにて遮蔽されて受光器18bにて受光されないときが存在した場合は、シート材bがコアaの適正位置からコアaの軸心方向にずれているとして、シート材bが巻回異常状態であると判別するように構成されている。
【0034】
次に、巻回異常状態であるか否かを判別するためにコアaを回転させる設定角度について説明する。
コアaを設定角度回転させたときに、コアaの軸心方向視で、検出光が通過した範囲を検出範囲E1とし、一対の支持体12にて支持されているロール体Aをスタッカークレーン4にて掬い取るときに、コアaの軸心方向視で、シート材bとスタッカークレーン4とが重複する範囲を干渉範囲E2として、設定角度が、コアaを設定角度回転させた後に干渉範囲E2の一部の検出対象範囲E3が検出範囲E1と重複する角度(本実施形態では120°)に設定されている。
【0035】
検出範囲E1について説明を加えると、コアaを一対の支持体に支持させた後、コアaを回転させる前では、コアaの軸心方向視で検出光が通過する範囲は図6(a)において一点鎖線で示す範囲であり、この直線状の範囲が検出範囲E1となる。そして、コアaを回転させるに伴ってコアaの軸心方向視でシート材bの端面において検出光が通過した範囲が拡大していき、コアaを設定角度回転させた後は、その回転させる間にコアaの軸心方向視で検出光が通過した範囲は図6(b)において斜線で示す範囲となり、この範囲がコアaを設定角度回転させた後の検出範囲E1となる。
【0036】
干渉範囲E2について説明を加えると、コアaの軸心方向視で、シート材bとスタッカークレーン4とが重複する範囲として、ロール体Aを掬い取るべくスタッカークレーン4を作動させている間(移載装置13を突出移動させている間及び昇降台を上昇移動させている間)に、コアaの軸心方向視で、シート材bとスタッカークレーン4、特に、スタッカークレーン4における移載装置13とが重複する範囲を干渉範囲E2としている。ちなみに、図6(a)において斜線で示す範囲が干渉範囲E2となる。
【0037】
検出対象範囲E3は、シート材bがコアaの設定位置からコアaの軸心方向にずれているか否かを特に検出する必要がある範囲であり、コアaを設定角度回転させた後の検出範囲E1と干渉範囲E2とがコアaの軸心方向視で重複する範囲である。本実施形態では図6(b)においてグレー色に塗った部分を検出対象範囲E3としている。
【0038】
そして、シート材bの外周縁部に着目すると、コアaを反時計回りに設定角度回転させることで、最初に検出光が通過していた部分P0は、コアaの回転に伴って反時計回りに移動してP1を通過し、P2まで移動する。よって、シート材bの外周縁部については、P0からP2までが検出範囲E1となる。
そして、P2は、干渉範囲E2の外周縁部における回転方向の下流側端P1より下流側に位置しており、干渉範囲E2の外周縁部の全体が検出範囲E1と重複するようになっている。
【0039】
そして、支持台コントローラ9は、コアaが設定角度回転している途中に光センサ18にてシート材bが検出された場合は、巻回異常状態と判別して、管理コントローラ7に巻回異常情報を送信し、コアaが設定角度回転している途中に光センサ18にてシート材bが検出されない場合は、巻回正常状態と判別して、管理コントローラ7に巻回正常情報を送信するように構成されている。
管理コントローラ7は、巻回正常情報を受信すると、ロール体Aを収納棚3に入庫する入庫指令情報をクレーンコントローラ8に送信し、クレーンコントローラ8は、入庫指令情報に基づいてロール体用支持台1に支持されているロール体Aを収納棚3に入庫するべく、スタッカークレーン4の作動を制御するように構成されている。また、管理コントローラ7は、巻回異常情報を受信すると、入庫指令情報をクレーンコントローラ8に送信せず、ロール体用支持台1に支持されているロール体Aをスタッカークレーン4にて掬い取らないようになっている。
【0040】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、投光部を、軸部より上方で且つ軸部よりスタッカークレーン4の移動経路側に設け、受光部を、軸部より下方で且つ軸部よりスタッカークレーン4の移動経路側とは反対側に設けたが、投光部を、軸部より下方に設けてもよく、軸部よりスタッカークレーン4の移動経路側とは反対側に設けてもよく、また、受光部を、軸部より上方に設けてもよく、軸部よりスタッカークレーン4の移動経路側に設けてもよい。
よって、例えば、投光部を、軸部より上方で且つスタッカークレーン4の移動経路側とは反対側に設け、受光部を、軸部より上方で且つスタッカークレーン4の移動経路側に設けて、これら投光部と受光部とを同じ高さに設けてもよい。
【0041】
(2) 上記実施形態では、検出手段16を、投光部及び受光部を備えた光センサ18にて構成したが、検出手段16を、投光部及び受光部を複数備えたエリアセンサにて構成してもよい。
また、上記実施形態では、光センサ18を分離透過型としたが、軸部より下方で且つスタッカークレーン4の移動経路側に投光部及び受光部としての投受光器を設け、軸部より上方で且つスタッカークレーン4の移動経路側とは反対側に反射板を設けて、光センサ18を回帰反射型としてもよい。
【0042】
(3) 上記実施形態では、巻回異常判別手段9aが、軸部を軸心周りに設定角度回転操作される間の光センサ18にて検出された検出情報に基づいて、シート材bが巻回異常状態であるか否かを判別するように構成したが、巻回異常判別手段9aが、軸部を回転させることなく停止させた状態で光センサ18にて検出された検出情報に基づいて、シート材bが巻回異常状態であるか否かを判別するように構成してもよい。
【0043】
(4) 上記実施形態では、設定角度を120°としたが、この設定角度を適宜変更してもよい。
具体的には、軸部を一回転させるべく設定角度を360°又はそれ以上に設定してもよい。
【0044】
また、設定角度を、干渉範囲E2の内周縁部の一部に検出範囲E1と重複しない範囲が生じるものの、干渉範囲E2の外周縁部の全体が検出範囲E1と重複するように、軸部を設定回転角度回転させた後に干渉範囲E2の一部が検出範囲E1と重複する角度に設定したが、設定角度を、干渉範囲E2の内周縁部の一部及び外周縁部の一部に検出範囲E1と重複しない範囲が生じるように、軸部を設定回転角度回転させた後に干渉範囲E2の一部が検出範囲E1と重複する角度(例えば90°)に設定してもよい。
また、設定角度を、軸部を設定回転角度回転させた後に干渉範囲E2の全部が検出範囲E1と重複する角度(例えば180°)に設定してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ロール体用支持台
2 収納部
3 収納棚
4 スタッカークレーン(掬い取り装置)
9a 巻回異常判別手段
9b 回転制御手段
11 支持手段
12 支持体
12a 回転体
16 検出手段
17 回転操作手段
18 光センサ
18a 投光部
18b 受光部
A ロール体
a 軸部
b シート材
E1 検出範囲
E2 干渉範囲
E3 設定範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱形状の軸部にシート材が巻回されたロール体を支持する支持手段が、前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部を支持する一対の支持体を備えて構成されているロール体用支持台であって、
前記ロール体が前記一対の支持体にて支持されている状態において、前記軸部の適正位置から軸心方向にずれている前記シート材の存否を検出する検出手段と、
前記検出手段にて検出された検出情報に基づいて、前記シート材が巻回異常状態であるか否かを判別する巻回異常判別手段とを備えて構成されているロール体用支持台。
【請求項2】
前記一対の支持体に支持された前記軸部を軸心周りに回転させる回転操作手段と、
前記軸部を軸心周りに設定角度回転操作させるべく前記回転操作手段の作動を制御する回転制御手段とが設けられ、
前記検出手段が、前記適正位置に位置する前記シート材に対して軸心方向に隣接する箇所を通過し且つ前記軸部に対して径方向に隣接する箇所を通過するように検出光を投光する投光部及びその検出光を受光する受光部を備えた遮光式の光センサにて構成され、
前記巻回異常判別手段が、前記軸部を軸心周りに前記設定角度回転操作される間の前記光センサにて検出された検出情報に基づいて、前記シート材が巻回異常状態であるか否かを判別するように構成されている請求項1記載のロール体用支持台。
【請求項3】
前記投光部と前記受光部とのうちの一方が、前記軸部より上方に設けられ、前記投光部と前記受光部とのうちの他方が、前記軸部より下方に設けられている請求項2記載のロール体用支持台。
【請求項4】
前記一対の支持体の夫々が、前記軸部を支持する複数の回転体を備えて構成され、
前記回転操作手段が、前記複数の回転体の全部又は一部を回転駆動させるように構成されている請求項2又は3記載のロール体用支持台。
【請求項5】
前記設定角度が、360°以上に設定されている請求項2〜4のいずれか1項に記載のロール体用支持台。
【請求項6】
前記軸部を設定角度回転させる間に、前記軸部の軸心方向視で、前記検出光が通過した範囲を検出範囲とし、
前記一対の支持体にて支持されている前記ロール体を、前記軸部における前記シート材が巻回されている箇所と前記一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を支持する形態で掬い取り装置にて掬い取るときに、前記軸部の軸心方向視で、前記シート材と前記掬い取り装置とが重複する範囲を干渉範囲として、
前記設定角度が、前記軸部を前記設定角度回転させた後に前記干渉範囲の全部又は一部が前記検出範囲と重複する角度に設定されている請求項2〜4のいずれか1項に記載のロール体用支持台。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のロール体用支持台が備えられたロール体収納設備であって、
前記ロール体を収納する収納部を複数備えた収納棚と、
前記ロール体用支持台と前記収納部との間で前記ロール体を搬送するスタッカークレーンとが設けられ、
前記スタッカークレーンが、前記軸部の両端部における前記シート材が巻回されている箇所と前記一対の支持体にて支持される箇所との間の箇所を支持するように構成されているロール体収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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