ワイパ装置
【課題】洗浄液を配送するための配管ホースの配索作業性及び当該配管ホースの取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上するワイパ装置を得る。
【解決手段】 ワイパ装置10では、アームヘッド12の裏面側に長手方向に沿って収容部26が設けられており、クランプカバー42がアームヘッド12(装着部38)に装着されることで収容部26の一部がカバーされている。さらに、洗浄液を供給する配管ホース46は、クランプカバー42の保持爪54によって直接に保持された状態でアームヘッド12の収容部26内に配索されている。このように、配管ホース46を保持爪54によって保持したクランプカバー42を単にアームヘッド12(装着部38)に装着することで当該配管ホース46をアームヘッド12(収容部26)に沿って配索保持することができる。
【解決手段】 ワイパ装置10では、アームヘッド12の裏面側に長手方向に沿って収容部26が設けられており、クランプカバー42がアームヘッド12(装着部38)に装着されることで収容部26の一部がカバーされている。さらに、洗浄液を供給する配管ホース46は、クランプカバー42の保持爪54によって直接に保持された状態でアームヘッド12の収容部26内に配索されている。このように、配管ホース46を保持爪54によって保持したクランプカバー42を単にアームヘッド12(装着部38)に装着することで当該配管ホース46をアームヘッド12(収容部26)に沿って配索保持することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウインドシールドガラス等を払拭する車両用ワイパ装置は、ワイパアームとこのワイパアームに保持されたワイパブレードとによって構成されている。
【0003】
ワイパアームは、アームヘッドの一端部がピボット軸に固定されており、アームヘッドの他端部にはリテーナが所定角度回動可能に支軸を介して連結されている。これらアームヘッドとリテーナとの間にはスプリングが取り付けられており、常にリテーナをウインドシールドガラス等の払拭面の方向へ付勢している。リテーナの先端部には、アームピースが固着されている。アームピースの先端部は略U字状に屈曲されたフックとなっており、ワイパブレードを連結保持している。一方、ワイパブレードは、払拭面に接触して払拭するブレードラバーと、このブレードラバーを保持する複数の保持レバーとによって構成されている。
【0004】
この車両用ワイパ装置の作動時には、ワイパアーム及びワイパブレードが往復回動することにより、ブレードラバーがウインドシールドガラス面に密着しながら移動して雨滴を払拭する。
【0005】
ところで、従来より、特にガラス面が大きく車両のウォッシャノズルから噴出される洗浄液の着水ポイントまでの距離が遠い場合、噴出される洗浄液がワイパブレードで払拭される目的ポイントにより確実に着水させるため、ワイパアーム若しくはワイパブレードにウォッシャノズルを設けて洗浄液を噴出するようにしたウォッシャノズル付きのワイパ装置が知られている(一例として、特許文献1参照)。
【0006】
このようなウォッシャノズル付きのワイパ装置では、ウォッシャノズルへ洗浄液を配送するための配管ホースをピボット軸付近の車両ボディから導出し、さらに、アームヘッドの外側の側壁に沿って配索穴を形成して当該配管ホースを挿通させることにより、ウォッシャノズルに配管ホースを導いて接続した構造となっている。これにより、ワイパアームのデザイン性や配管ホースの耐候性を向上させている。
【0007】
しかしながら、このような従来のウォッシャノズル付きのワイパ装置における配管ホースの配索構造では、アームヘッドの外側側壁に沿って形成された長くて細い配索穴に配管ホースを通さなければならず、配管ホースの組付け作業性が悪いという欠点があった。
【0008】
また特に、アームヘッドの外側の一方の側壁に配索穴を形成する構造であるため、例えば、同じ車種の自動車であって右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とで共通してアームヘッドを使用しようとすると(配管ホースの導出位置を同じに設定した場合には)、同じ車種でありながら配管ホースは右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでアームヘッドの反対側に位置することになる。このため、ワイパ装置の見栄えが変わってしまうだけでなく、右ハンドル仕様では例えば上反転位置で配管ホースが弛むのに対し、左ハンドル仕様では下反転位置で配管ホースを弛めなければいけない。このため、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれに配管ホースの組付け作業の仕方が異なることになり、作業性が極めて悪くなっていた。
【0009】
この場合、前述の如き不具合を解消するためには、アームヘッドを右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれ別個のもの(配索穴の形成位置がそれぞれに異なって設定されたもの)を用意しなければならず、部品の共通化に対して不利となり、コスト高の要因となってしまう。
【特許文献1】実開平5−16521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、ワイパアームもしくはワイパブレードに設けられたウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホースの配索作業性及び当該配管ホースの取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上するワイパ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明のワイパ装置は、ピボットシャフトに一端が固定されるアームヘッドと、前記アームヘッドに対して払拭面方向に回動可能に軸支されたリテーナと、を有したワイパアームと、前記ワイパアームの先端に取り付けられ払拭面を払拭するワイパブレードと、前記ワイパアームまたはワイパブレードに設けられ、洗浄液を払拭面へ噴出するウォッシャノズルと、前記アームヘッド及びリテーナに沿って配設されると共に前記ウォッシャノズルに接続され洗浄液を配送する配管ホースと、を備えたワイパ装置において、前記払拭面に対向するアームヘッドの裏面側に長手方向に沿って凹状に設けられ、前記配管ホースを収容する収容部と、前記アームヘッドの裏面側に装着されて前記収容部の少なくとも一部をカバーすると共に、前記配管ホースを前記収容部内に配索保持するクランプカバーと、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項1記載の車両用ワイパ装置では、アームヘッドの裏面側に収容部が設けられており、クランプカバーがアームヘッドに装着されることで収容部の少なくとも一部がカバーされる。配管ホースは、この収容部(その内周壁)とクランプカバーとによって挟持されて保持されて、もしくは、クランプカバー自体によって保持されて、アームヘッドの裏面側に長手方向に沿って配索される。
【0013】
このように、単にクランプカバーをアームヘッドに装着することで配管ホースをアームヘッドに沿って配索保持することができるので(換言すれば、アームヘッドの何れか一方の側壁に特別な配索穴を形成して配管ホースを挿通させることにより配索する構成ではないため)、配管ホースの組付け作業性が大幅に向上する。また、配管ホースはアームヘッドの裏面側に長手方向に沿って配索されるため(換言すれば、配管ホースの一部がアームヘッドの側壁の外側に位置した構成ではないため、すなわち、配管ホースの導出位置が何れか一方の側壁に設定された構成ではないため)、配管ホースが右ハンドル仕様のアームヘッドと左ハンドル仕様のアームヘッドとで互いに反対側に位置することがない。このため、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができると共に、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれに配管ホースの組付け作業の仕方(弛み長さの設定等)が異なることがなく(作業が共通化し)、これによっても作業性が向上する。またこのため、当該配管ホースがピボットシャフト付近の車両ボディから導出されている場合に、配管ホースをアームヘッドの側方のどちら側から取り回すかは自由に選択可能となる。さらに、配管ホースがアームヘッドの裏面側(収容部内)に長手方向に沿って配索されるため、見栄えもよい。
【0014】
以上の如く、請求項1記載のワイパ装置では、ワイパアームもしくはワイパブレードに設けられたウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホースの配索作業性及び当該配管ホースの取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上する。
【0015】
請求項2に係る発明のワイパ装置は、請求項1記載のワイパ装置において、前記クランプカバーの内面側には、前記配管ホースを直接に保持する保持爪が形成されている、ことを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の車両用ワイパ装置では、クランプカバーの内面側に形成された保持爪によって配管ホースが直接に保持される。このため、クランプカバー(保持爪)によって配管ホースを保持した後に単にクランプカバーをアームヘッドの裏面側から装着することで配管ホースをアームヘッドに沿って見栄えよく配索保持することができ、組付け作業性が向上すると共に、配管ホースの保持も確実になる。
【0017】
請求項3に係る発明のワイパ装置は、請求項1記載のワイパ装置において、前記アームヘッドには、前記収容部を前記アームヘッド幅方向に一方の側と他方の側とに区分する区分壁が形成され、前記配管ホースは前記区分壁と前記クランプカバーとによって挟持されて保持される、ことを特徴としている。
【0018】
請求項3記載の車両用ワイパ装置では、アームヘッドに形成された区分壁とクランプカバーとによって配管ホースが挟持されて保持される。このため、単にクランプカバーをアームヘッドに装着することで配管ホースをアームヘッドに沿って配索保持することができ、組付け作業性が向上すると共に、配管ホースの保持も確実になる。また、配管ホースの取り回しの自由度(選択の自由度)も確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1には本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置10の構成が裏面図にて示されている。また、図2にはワイパ装置10の主要部の構成が斜視図にて示されており、図3にはワイパ装置10の主要部の構成が図1の3−3線に沿った断面図にて示されている。
【0020】
ワイパ装置10は、ワイパアーム11及びワイパブレードによって構成されている。なお、ワイパブレードについては、一般的な構成のものが適用されるため、詳しい説明を省略する。
【0021】
ワイパアーム11は、アームヘッド12及びリテーナ14を備えている。アームヘッド12は、一対の側壁18及び上壁20を有してその裏面側が下方(払拭面方向)へ向けて開口する断面コ字状に形成されており、その一端部が、車体に設けられた回動軸としてのピボットシャフト(図示省略)に固定されており、常にピボットシャフトと共に回動する。アームヘッド12の裏面側一端部には、前記ピボットシャフトの周囲を囲繞するスカート部16が形成されている。また、アームヘッド12の裏面側には、凹状の収容部26が長手方向に沿って設けられており、後述する配管ホース46の配索用となっている。さらに、アームヘッド12の側壁18及び上壁20一部には、装着部38及び爪受部40が形成されている。
【0022】
また、アームヘッド12の裏面側には、クランプカバー42が装着されている。クランプカバー42は、対向する一対の側壁44及び底壁48によって全体として断面コ字状に形成されており、各側壁44の先端部分にはそれぞれ係止爪50が形成されている。このクランプカバー42は、アームヘッド12の裏面側から装着部38に装着されると共に、係止爪50がアームヘッド12の爪受部40に係止することで(嵌り込むことで)クランプカバー42がアームヘッド12に取り付けられる構成となっている。クランプカバー42がアームヘッド12に装着された状態では、アームヘッド12の裏面側に設けられた前記収容部26の一部がカバーされるようになっている。
【0023】
また、クランプカバー42の底壁48には、その内面側に、配管ホース46を直接に保持する保持爪54が形成されている。すなわち、保持爪54によって配管ホース46を保持した状態でクランプカバー42がアームヘッド12に装着されることにより、配管ホース46がアームヘッド12の収容部26内に配索保持される構成となっている。
【0024】
以上の構成のアームヘッド12の他端部には、リテーナ14がウインドシールドガラスに接近及び離間する方向に所定角度回動可能に支軸を介して連結されている。このリテーナ14は、一対の側壁22及び上壁24を有してその裏面側が下方(払拭面方向)へ向けて開口する断面コ字状に形成されている。
【0025】
さらに、リテーナ14とアームヘッド12との間には、スプリング30が掛け渡されている。このスプリング30は所謂引張りコイルスプリングとされており、そのコイル部がリテーナ14の断面コ字状内に配置されて常にリテーナ14をウインドシールドガラスの払拭面の方向へ付勢している。
【0026】
また、リテーナ14の先端部には、リテーナ14と共にワイパアーム11を構成するアームピース32が固着されている。アームピース32の先端部は略U字状に屈曲されてフック(図示省略)となっており、ワイパブレードをクリップ部材(何れも図示省略)を介して連結保持している。
【0027】
またさらに、上記構成のワイパアーム11には、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36が設けられている。中間ウォッシャノズル34は、リテーナ14の長手方向中間部分においてリテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、リテーナ14に対して回転不能に保持された構成となっている。一方、先端ウォッシャノズル36は、リテーナ14の長手方向先端部分においてリテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、リテーナ14に対して回転不能に保持された構成となっている。
【0028】
以上の構成の中間ウォッシャノズル34には、配管ホース46の一端が連結されている。この配管ホース46は、車体内に設けられた図示を省略したウォッシャタンクにウォッシャポンプを介して接続されており、ピボットシャフトの近傍に設けられた車両ボディのホース取出し口から車体外へ引き出され、さらに、アームヘッド12の裏面側に導入され、前述したクランプカバー42の保持爪54に保持されて収容部26内に配索されている。さらに、アームヘッド12の収容部26に沿って配索された配管ホース46は、前述したスプリング30のコイル部を貫通してリテーナ14先端側に導出されて中間ウォッシャノズル34に接続された構成となっている。さらに、中間ウォッシャノズル34には補助ホース52の一端が連結されており、この補助ホース52の他端は先端ウォッシャノズル36に接続されている。これにより、配管ホース46を介して中間ウォッシャノズル34に洗浄液を配送することができると共に、補助ホース52を介して先端ウォッシャノズル36に洗浄液を配送することができる構成である。
【0029】
次に本第1の実施の形態の作用を説明する。
【0030】
上記構成のワイパ装置10では、ピボットシャフトの回動に伴ってワイパアーム11が往復回動することにより、ワイパブレードが往復回動してウインドシールドガラス面の雨滴等を払拭する。またしかも、このワイパ装置10では、ワイパアーム11に中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36が一体に設けられているため、ワイパブレードの払拭範囲が大きくても、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36から噴出される洗浄液を、ワイパブレードで払拭される目的ポイントに確実に着水させることができる。
【0031】
さらにここで、このワイパ装置10では、アームヘッド12の裏面側に長手方向に沿って収容部26が設けられており、クランプカバー42がアームヘッド12(装着部38)に装着されることで収容部26の一部がカバーされている。さらに、洗浄液を供給する配管ホース46は、クランプカバー42の保持爪54によって直接に保持された状態でアームヘッド12の収容部26内に配索されている。
【0032】
このように、配管ホース46を保持爪54によって保持したクランプカバー42を単にアームヘッド12(装着部38)に装着することで当該配管ホース46をアームヘッド12(収容部26)に沿って配索保持することができるので(換言すれば、アームヘッド12の何れか一方の側壁18に特別な配索穴等を形成して配管ホース46を挿通させることにより配索する構成ではないため)、配管ホース46の組付け作業性が大幅に向上し、しかも、配管ホース46の保持も確実になる。
【0033】
また、配管ホース46はアームヘッド12の裏面側(収容部26)に長手方向に沿って配索されるため(換言すれば、配管ホース46の一部がアームヘッド12の側壁18の外側に位置した構成ではないため、すなわち、配管ホース46の導出位置が何れか一方の側壁18に設定された構成ではないため)、配管ホース46が右ハンドル仕様のアームヘッド12と左ハンドル仕様のアームヘッド12とで互いに反対側に位置することがない。このため、アームヘッド12を右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができると共に、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれに配管ホース46の組付け作業の仕方(弛み長さの設定等)が異なることがなく(作業が共通化し)、これによっても作業性が向上する。
【0034】
またこのため、当該配管ホース46がピボットシャフト付近の車両ボディから導出されている場合に、配管ホース46をアームヘッド12の側方のどちら側から取り回すかは自由に選択可能となる。さらに、配管ホース46がアームヘッド12の裏面側(収容部26内)に長手方向に沿って配索されるため、見栄えもよい。
【0035】
以上説明した如く、本第1の実施の形態に係るワイパ装置10では、ワイパアーム11に設けられたウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホース46の配索作業性及び当該配管ホース46の取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッド12を右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上する。
【0036】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0037】
なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の部品には前記第1の実施の形態と同一の符号を付与しその説明を省略する。
【0038】
図4には、第2の実施の形態に係るワイパ装置60の主要部の構成が図2に対応した斜視図にて示されている。また、図5には、このワイパ装置60の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている
ワイパ装置60は、基本的に前記第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の構成であるが、アームヘッド12の側壁18には、装着部62及び爪受部64が形成されている。すなわち、爪受部64は、上壁20ではなく側壁18に形成された構成となっている。また、ワイパ装置60では、クランプカバー42に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー66が装着されている。このクランプカバー66は、各側壁44の先端部分にそれぞれ係止爪68が形成されており、前記側壁18に形成された爪受部64に嵌合する構成である。
【0039】
この第2の実施の形態に係るワイパ装置60においてもは、前述した第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の作用効果を奏する。
【0040】
次に、図6には、第3の実施の形態に係るワイパ装置70の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている
ワイパ装置70は、基本的に前記第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の構成であるが、クランプカバー42に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー72が装着されている。このクランプカバー72は、前記保持爪54が省略された構成となっている。
【0041】
一方、アームヘッド12には、上壁20の裏面側(収容部26側)に区分壁74が突出形成されている。この区分壁74は、収容部26をアームヘッド12の幅方向に一方の側と他方の側とに区分している。さらに、配管ホース46は、この区分壁74とクランプカバー72とによって挟持されて保持された構成となっている。
【0042】
第3の実施の形態に係るワイパ装置70は、前述した第1の実施の形態に係るワイパ装置10と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0043】
また特に、アームヘッド12に形成された区分壁74とクランプカバー72とによって配管ホース46が挟持されて保持されるため、単にクランプカバー72をアームヘッド12に装着することで配管ホース46をアームヘッド12に沿って配索保持することができ、組付け作業性が向上すると共に、配管ホース46の保持も確実になる。また、配管ホース46の取り回しの自由度(選択の自由度)も確保することができる。
【0044】
次に、図7には第4の実施の形態に係るワイパ装置80の主要部の構成が斜視図にて示されている。また、図8にはワイパ装置80の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている。
【0045】
ワイパ装置80は、基本的に前記第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の構成であるが、クランプカバー42に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー82が装着されている。このクランプカバー82には、一対の側壁44に支持ピン84が突出形成された構成となっている。
【0046】
一方、アームヘッド12は、前記第1の実施の形態において側壁18及び上壁20一部に設けられた装着部38及び爪受部40は省略されており、さらに、側壁18には支持孔86が形成されている。この支持孔86にクランプカバー82の支持ピン84が嵌入することで、クランプカバー82がアームヘッド12に装着される構成となっている。
【0047】
第4の実施の形態に係るワイパ装置80においても、前述した第1の実施の形態に係るワイパ装置10と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0048】
なお、前記第4の実施の形態においては、保持爪54によって配管ホース46を保持すると共に支持孔86に支持ピン84が嵌入することでアームヘッド12に装着される構成のクランプカバー82について説明したが、配管ホース46を保持する構成(態様)はこれに限るものではない。
【0049】
例えば、図9(A)に示すクランプカバー83の如く、その中央部分に薄肉板状で断面水滴状の保持部85が設けられ、しかも、支持ピン84に代えて係止爪87が形成された構成としてもよい。このクランプカバー83においても、当該保持部85によって配管ホース46を保持することにより、前記第4の実施の形態に係るクランプカバー82と同様の作用効果を奏する。また、図10に示す如く、クランプカバー88の如く、その中央部分に薄肉板状で湾曲して形成された保持部89が設けられた構成としてもよい。
【0050】
なお、アームヘッド12の側壁18に形成された支持孔86は所謂貫通孔とするに限らず、図9(B)に示す如く、凹溝状の支持孔91とする構成としてもよい。
【0051】
次に、図11には第5の実施の形態に係るワイパ装置90の主要部の構成が図3(図8)に対応した断面図にて示されている。
【0052】
ワイパ装置90は、基本的に前記第4の実施の形態に係るワイパ装置80と同様の構成であるが、クランプカバー82に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー92が装着されている。このクランプカバー92には、前記保持爪54が省略された構成となっている。
【0053】
一方、アームヘッド12には、上壁20の裏面側(収容部26側)に区分壁74が突出形成されている。この区分壁74は、収容部26をアームヘッド12の幅方向に一方の側と他方の側とに区分している。さらに、配管ホース46は、この区分壁74とクランプカバー92とによって挟持されて保持された構成となっている。
【0054】
第5の実施の形態に係るワイパ装置90は、前述した第4の実施の形態に係るワイパ装置80と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0055】
次に、図12には第6の実施の形態に係るワイパ装置100の主要部の構成が斜視図にて示されている。また、図13にはワイパ装置100の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている。
【0056】
ワイパ装置100は、前述した各実施の形態に係るワイパ装置と基本的に同様の構成であるが、クランプカバー42等に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー102が装着されている。このクランプカバー102は、底板部104と筒部106とによって全体として側面視T字形に形成されている。
【0057】
一方、アームヘッド12には、上壁20の裏面側(収容部26側)に支持突起108が突出形成されている。この支持突起108がクランプカバー102の筒部106に嵌入することで、クランプカバー102がアームヘッド12に装着される構成となっている。
【0058】
第6の実施の形態に係るワイパ装置100においても、前述した各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
また特に、配管ホース46をクランプカバー102の筒部106に溶着させると、配管ホース46を確実に固定することができるのみならず、配管ホース46の摩耗をも防止することもでき、一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の構成を示す裏面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図2に対応した斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図2に対応した斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置のクランプカバーの変形例を示す図8に対応した断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置のクランプカバーの変形例を示す図8に対応した断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図2に対応した斜視図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【符号の説明】
【0061】
10・・・ワイパ装置、11・・・ワイパアーム、12・・・アームヘッド、14・・・リテーナ、26・・・収容部、34・・・中間ウォッシャノズル、36・・・先端ウォッシャノズル、42・・・クランプカバー、46・・・配管ホース
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウインドシールドガラス等を払拭する車両用ワイパ装置は、ワイパアームとこのワイパアームに保持されたワイパブレードとによって構成されている。
【0003】
ワイパアームは、アームヘッドの一端部がピボット軸に固定されており、アームヘッドの他端部にはリテーナが所定角度回動可能に支軸を介して連結されている。これらアームヘッドとリテーナとの間にはスプリングが取り付けられており、常にリテーナをウインドシールドガラス等の払拭面の方向へ付勢している。リテーナの先端部には、アームピースが固着されている。アームピースの先端部は略U字状に屈曲されたフックとなっており、ワイパブレードを連結保持している。一方、ワイパブレードは、払拭面に接触して払拭するブレードラバーと、このブレードラバーを保持する複数の保持レバーとによって構成されている。
【0004】
この車両用ワイパ装置の作動時には、ワイパアーム及びワイパブレードが往復回動することにより、ブレードラバーがウインドシールドガラス面に密着しながら移動して雨滴を払拭する。
【0005】
ところで、従来より、特にガラス面が大きく車両のウォッシャノズルから噴出される洗浄液の着水ポイントまでの距離が遠い場合、噴出される洗浄液がワイパブレードで払拭される目的ポイントにより確実に着水させるため、ワイパアーム若しくはワイパブレードにウォッシャノズルを設けて洗浄液を噴出するようにしたウォッシャノズル付きのワイパ装置が知られている(一例として、特許文献1参照)。
【0006】
このようなウォッシャノズル付きのワイパ装置では、ウォッシャノズルへ洗浄液を配送するための配管ホースをピボット軸付近の車両ボディから導出し、さらに、アームヘッドの外側の側壁に沿って配索穴を形成して当該配管ホースを挿通させることにより、ウォッシャノズルに配管ホースを導いて接続した構造となっている。これにより、ワイパアームのデザイン性や配管ホースの耐候性を向上させている。
【0007】
しかしながら、このような従来のウォッシャノズル付きのワイパ装置における配管ホースの配索構造では、アームヘッドの外側側壁に沿って形成された長くて細い配索穴に配管ホースを通さなければならず、配管ホースの組付け作業性が悪いという欠点があった。
【0008】
また特に、アームヘッドの外側の一方の側壁に配索穴を形成する構造であるため、例えば、同じ車種の自動車であって右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とで共通してアームヘッドを使用しようとすると(配管ホースの導出位置を同じに設定した場合には)、同じ車種でありながら配管ホースは右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでアームヘッドの反対側に位置することになる。このため、ワイパ装置の見栄えが変わってしまうだけでなく、右ハンドル仕様では例えば上反転位置で配管ホースが弛むのに対し、左ハンドル仕様では下反転位置で配管ホースを弛めなければいけない。このため、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれに配管ホースの組付け作業の仕方が異なることになり、作業性が極めて悪くなっていた。
【0009】
この場合、前述の如き不具合を解消するためには、アームヘッドを右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれ別個のもの(配索穴の形成位置がそれぞれに異なって設定されたもの)を用意しなければならず、部品の共通化に対して不利となり、コスト高の要因となってしまう。
【特許文献1】実開平5−16521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、ワイパアームもしくはワイパブレードに設けられたウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホースの配索作業性及び当該配管ホースの取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上するワイパ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明のワイパ装置は、ピボットシャフトに一端が固定されるアームヘッドと、前記アームヘッドに対して払拭面方向に回動可能に軸支されたリテーナと、を有したワイパアームと、前記ワイパアームの先端に取り付けられ払拭面を払拭するワイパブレードと、前記ワイパアームまたはワイパブレードに設けられ、洗浄液を払拭面へ噴出するウォッシャノズルと、前記アームヘッド及びリテーナに沿って配設されると共に前記ウォッシャノズルに接続され洗浄液を配送する配管ホースと、を備えたワイパ装置において、前記払拭面に対向するアームヘッドの裏面側に長手方向に沿って凹状に設けられ、前記配管ホースを収容する収容部と、前記アームヘッドの裏面側に装着されて前記収容部の少なくとも一部をカバーすると共に、前記配管ホースを前記収容部内に配索保持するクランプカバーと、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項1記載の車両用ワイパ装置では、アームヘッドの裏面側に収容部が設けられており、クランプカバーがアームヘッドに装着されることで収容部の少なくとも一部がカバーされる。配管ホースは、この収容部(その内周壁)とクランプカバーとによって挟持されて保持されて、もしくは、クランプカバー自体によって保持されて、アームヘッドの裏面側に長手方向に沿って配索される。
【0013】
このように、単にクランプカバーをアームヘッドに装着することで配管ホースをアームヘッドに沿って配索保持することができるので(換言すれば、アームヘッドの何れか一方の側壁に特別な配索穴を形成して配管ホースを挿通させることにより配索する構成ではないため)、配管ホースの組付け作業性が大幅に向上する。また、配管ホースはアームヘッドの裏面側に長手方向に沿って配索されるため(換言すれば、配管ホースの一部がアームヘッドの側壁の外側に位置した構成ではないため、すなわち、配管ホースの導出位置が何れか一方の側壁に設定された構成ではないため)、配管ホースが右ハンドル仕様のアームヘッドと左ハンドル仕様のアームヘッドとで互いに反対側に位置することがない。このため、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができると共に、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれに配管ホースの組付け作業の仕方(弛み長さの設定等)が異なることがなく(作業が共通化し)、これによっても作業性が向上する。またこのため、当該配管ホースがピボットシャフト付近の車両ボディから導出されている場合に、配管ホースをアームヘッドの側方のどちら側から取り回すかは自由に選択可能となる。さらに、配管ホースがアームヘッドの裏面側(収容部内)に長手方向に沿って配索されるため、見栄えもよい。
【0014】
以上の如く、請求項1記載のワイパ装置では、ワイパアームもしくはワイパブレードに設けられたウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホースの配索作業性及び当該配管ホースの取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッドを右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上する。
【0015】
請求項2に係る発明のワイパ装置は、請求項1記載のワイパ装置において、前記クランプカバーの内面側には、前記配管ホースを直接に保持する保持爪が形成されている、ことを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の車両用ワイパ装置では、クランプカバーの内面側に形成された保持爪によって配管ホースが直接に保持される。このため、クランプカバー(保持爪)によって配管ホースを保持した後に単にクランプカバーをアームヘッドの裏面側から装着することで配管ホースをアームヘッドに沿って見栄えよく配索保持することができ、組付け作業性が向上すると共に、配管ホースの保持も確実になる。
【0017】
請求項3に係る発明のワイパ装置は、請求項1記載のワイパ装置において、前記アームヘッドには、前記収容部を前記アームヘッド幅方向に一方の側と他方の側とに区分する区分壁が形成され、前記配管ホースは前記区分壁と前記クランプカバーとによって挟持されて保持される、ことを特徴としている。
【0018】
請求項3記載の車両用ワイパ装置では、アームヘッドに形成された区分壁とクランプカバーとによって配管ホースが挟持されて保持される。このため、単にクランプカバーをアームヘッドに装着することで配管ホースをアームヘッドに沿って配索保持することができ、組付け作業性が向上すると共に、配管ホースの保持も確実になる。また、配管ホースの取り回しの自由度(選択の自由度)も確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1には本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置10の構成が裏面図にて示されている。また、図2にはワイパ装置10の主要部の構成が斜視図にて示されており、図3にはワイパ装置10の主要部の構成が図1の3−3線に沿った断面図にて示されている。
【0020】
ワイパ装置10は、ワイパアーム11及びワイパブレードによって構成されている。なお、ワイパブレードについては、一般的な構成のものが適用されるため、詳しい説明を省略する。
【0021】
ワイパアーム11は、アームヘッド12及びリテーナ14を備えている。アームヘッド12は、一対の側壁18及び上壁20を有してその裏面側が下方(払拭面方向)へ向けて開口する断面コ字状に形成されており、その一端部が、車体に設けられた回動軸としてのピボットシャフト(図示省略)に固定されており、常にピボットシャフトと共に回動する。アームヘッド12の裏面側一端部には、前記ピボットシャフトの周囲を囲繞するスカート部16が形成されている。また、アームヘッド12の裏面側には、凹状の収容部26が長手方向に沿って設けられており、後述する配管ホース46の配索用となっている。さらに、アームヘッド12の側壁18及び上壁20一部には、装着部38及び爪受部40が形成されている。
【0022】
また、アームヘッド12の裏面側には、クランプカバー42が装着されている。クランプカバー42は、対向する一対の側壁44及び底壁48によって全体として断面コ字状に形成されており、各側壁44の先端部分にはそれぞれ係止爪50が形成されている。このクランプカバー42は、アームヘッド12の裏面側から装着部38に装着されると共に、係止爪50がアームヘッド12の爪受部40に係止することで(嵌り込むことで)クランプカバー42がアームヘッド12に取り付けられる構成となっている。クランプカバー42がアームヘッド12に装着された状態では、アームヘッド12の裏面側に設けられた前記収容部26の一部がカバーされるようになっている。
【0023】
また、クランプカバー42の底壁48には、その内面側に、配管ホース46を直接に保持する保持爪54が形成されている。すなわち、保持爪54によって配管ホース46を保持した状態でクランプカバー42がアームヘッド12に装着されることにより、配管ホース46がアームヘッド12の収容部26内に配索保持される構成となっている。
【0024】
以上の構成のアームヘッド12の他端部には、リテーナ14がウインドシールドガラスに接近及び離間する方向に所定角度回動可能に支軸を介して連結されている。このリテーナ14は、一対の側壁22及び上壁24を有してその裏面側が下方(払拭面方向)へ向けて開口する断面コ字状に形成されている。
【0025】
さらに、リテーナ14とアームヘッド12との間には、スプリング30が掛け渡されている。このスプリング30は所謂引張りコイルスプリングとされており、そのコイル部がリテーナ14の断面コ字状内に配置されて常にリテーナ14をウインドシールドガラスの払拭面の方向へ付勢している。
【0026】
また、リテーナ14の先端部には、リテーナ14と共にワイパアーム11を構成するアームピース32が固着されている。アームピース32の先端部は略U字状に屈曲されてフック(図示省略)となっており、ワイパブレードをクリップ部材(何れも図示省略)を介して連結保持している。
【0027】
またさらに、上記構成のワイパアーム11には、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36が設けられている。中間ウォッシャノズル34は、リテーナ14の長手方向中間部分においてリテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、リテーナ14に対して回転不能に保持された構成となっている。一方、先端ウォッシャノズル36は、リテーナ14の長手方向先端部分においてリテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、リテーナ14に対して回転不能に保持された構成となっている。
【0028】
以上の構成の中間ウォッシャノズル34には、配管ホース46の一端が連結されている。この配管ホース46は、車体内に設けられた図示を省略したウォッシャタンクにウォッシャポンプを介して接続されており、ピボットシャフトの近傍に設けられた車両ボディのホース取出し口から車体外へ引き出され、さらに、アームヘッド12の裏面側に導入され、前述したクランプカバー42の保持爪54に保持されて収容部26内に配索されている。さらに、アームヘッド12の収容部26に沿って配索された配管ホース46は、前述したスプリング30のコイル部を貫通してリテーナ14先端側に導出されて中間ウォッシャノズル34に接続された構成となっている。さらに、中間ウォッシャノズル34には補助ホース52の一端が連結されており、この補助ホース52の他端は先端ウォッシャノズル36に接続されている。これにより、配管ホース46を介して中間ウォッシャノズル34に洗浄液を配送することができると共に、補助ホース52を介して先端ウォッシャノズル36に洗浄液を配送することができる構成である。
【0029】
次に本第1の実施の形態の作用を説明する。
【0030】
上記構成のワイパ装置10では、ピボットシャフトの回動に伴ってワイパアーム11が往復回動することにより、ワイパブレードが往復回動してウインドシールドガラス面の雨滴等を払拭する。またしかも、このワイパ装置10では、ワイパアーム11に中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36が一体に設けられているため、ワイパブレードの払拭範囲が大きくても、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36から噴出される洗浄液を、ワイパブレードで払拭される目的ポイントに確実に着水させることができる。
【0031】
さらにここで、このワイパ装置10では、アームヘッド12の裏面側に長手方向に沿って収容部26が設けられており、クランプカバー42がアームヘッド12(装着部38)に装着されることで収容部26の一部がカバーされている。さらに、洗浄液を供給する配管ホース46は、クランプカバー42の保持爪54によって直接に保持された状態でアームヘッド12の収容部26内に配索されている。
【0032】
このように、配管ホース46を保持爪54によって保持したクランプカバー42を単にアームヘッド12(装着部38)に装着することで当該配管ホース46をアームヘッド12(収容部26)に沿って配索保持することができるので(換言すれば、アームヘッド12の何れか一方の側壁18に特別な配索穴等を形成して配管ホース46を挿通させることにより配索する構成ではないため)、配管ホース46の組付け作業性が大幅に向上し、しかも、配管ホース46の保持も確実になる。
【0033】
また、配管ホース46はアームヘッド12の裏面側(収容部26)に長手方向に沿って配索されるため(換言すれば、配管ホース46の一部がアームヘッド12の側壁18の外側に位置した構成ではないため、すなわち、配管ホース46の導出位置が何れか一方の側壁18に設定された構成ではないため)、配管ホース46が右ハンドル仕様のアームヘッド12と左ハンドル仕様のアームヘッド12とで互いに反対側に位置することがない。このため、アームヘッド12を右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができると共に、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とでそれぞれに配管ホース46の組付け作業の仕方(弛み長さの設定等)が異なることがなく(作業が共通化し)、これによっても作業性が向上する。
【0034】
またこのため、当該配管ホース46がピボットシャフト付近の車両ボディから導出されている場合に、配管ホース46をアームヘッド12の側方のどちら側から取り回すかは自由に選択可能となる。さらに、配管ホース46がアームヘッド12の裏面側(収容部26内)に長手方向に沿って配索されるため、見栄えもよい。
【0035】
以上説明した如く、本第1の実施の形態に係るワイパ装置10では、ワイパアーム11に設けられたウォッシャノズルに洗浄液を配送するための配管ホース46の配索作業性及び当該配管ホース46の取り廻しの自由度が向上すると共に、アームヘッド12を右ハンドル仕様及び左ハンドル仕様で共通の部品とすることができ、見栄えも向上する。
【0036】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0037】
なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の部品には前記第1の実施の形態と同一の符号を付与しその説明を省略する。
【0038】
図4には、第2の実施の形態に係るワイパ装置60の主要部の構成が図2に対応した斜視図にて示されている。また、図5には、このワイパ装置60の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている
ワイパ装置60は、基本的に前記第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の構成であるが、アームヘッド12の側壁18には、装着部62及び爪受部64が形成されている。すなわち、爪受部64は、上壁20ではなく側壁18に形成された構成となっている。また、ワイパ装置60では、クランプカバー42に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー66が装着されている。このクランプカバー66は、各側壁44の先端部分にそれぞれ係止爪68が形成されており、前記側壁18に形成された爪受部64に嵌合する構成である。
【0039】
この第2の実施の形態に係るワイパ装置60においてもは、前述した第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の作用効果を奏する。
【0040】
次に、図6には、第3の実施の形態に係るワイパ装置70の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている
ワイパ装置70は、基本的に前記第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の構成であるが、クランプカバー42に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー72が装着されている。このクランプカバー72は、前記保持爪54が省略された構成となっている。
【0041】
一方、アームヘッド12には、上壁20の裏面側(収容部26側)に区分壁74が突出形成されている。この区分壁74は、収容部26をアームヘッド12の幅方向に一方の側と他方の側とに区分している。さらに、配管ホース46は、この区分壁74とクランプカバー72とによって挟持されて保持された構成となっている。
【0042】
第3の実施の形態に係るワイパ装置70は、前述した第1の実施の形態に係るワイパ装置10と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0043】
また特に、アームヘッド12に形成された区分壁74とクランプカバー72とによって配管ホース46が挟持されて保持されるため、単にクランプカバー72をアームヘッド12に装着することで配管ホース46をアームヘッド12に沿って配索保持することができ、組付け作業性が向上すると共に、配管ホース46の保持も確実になる。また、配管ホース46の取り回しの自由度(選択の自由度)も確保することができる。
【0044】
次に、図7には第4の実施の形態に係るワイパ装置80の主要部の構成が斜視図にて示されている。また、図8にはワイパ装置80の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている。
【0045】
ワイパ装置80は、基本的に前記第1の実施の形態に係るワイパ装置10と同様の構成であるが、クランプカバー42に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー82が装着されている。このクランプカバー82には、一対の側壁44に支持ピン84が突出形成された構成となっている。
【0046】
一方、アームヘッド12は、前記第1の実施の形態において側壁18及び上壁20一部に設けられた装着部38及び爪受部40は省略されており、さらに、側壁18には支持孔86が形成されている。この支持孔86にクランプカバー82の支持ピン84が嵌入することで、クランプカバー82がアームヘッド12に装着される構成となっている。
【0047】
第4の実施の形態に係るワイパ装置80においても、前述した第1の実施の形態に係るワイパ装置10と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0048】
なお、前記第4の実施の形態においては、保持爪54によって配管ホース46を保持すると共に支持孔86に支持ピン84が嵌入することでアームヘッド12に装着される構成のクランプカバー82について説明したが、配管ホース46を保持する構成(態様)はこれに限るものではない。
【0049】
例えば、図9(A)に示すクランプカバー83の如く、その中央部分に薄肉板状で断面水滴状の保持部85が設けられ、しかも、支持ピン84に代えて係止爪87が形成された構成としてもよい。このクランプカバー83においても、当該保持部85によって配管ホース46を保持することにより、前記第4の実施の形態に係るクランプカバー82と同様の作用効果を奏する。また、図10に示す如く、クランプカバー88の如く、その中央部分に薄肉板状で湾曲して形成された保持部89が設けられた構成としてもよい。
【0050】
なお、アームヘッド12の側壁18に形成された支持孔86は所謂貫通孔とするに限らず、図9(B)に示す如く、凹溝状の支持孔91とする構成としてもよい。
【0051】
次に、図11には第5の実施の形態に係るワイパ装置90の主要部の構成が図3(図8)に対応した断面図にて示されている。
【0052】
ワイパ装置90は、基本的に前記第4の実施の形態に係るワイパ装置80と同様の構成であるが、クランプカバー82に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー92が装着されている。このクランプカバー92には、前記保持爪54が省略された構成となっている。
【0053】
一方、アームヘッド12には、上壁20の裏面側(収容部26側)に区分壁74が突出形成されている。この区分壁74は、収容部26をアームヘッド12の幅方向に一方の側と他方の側とに区分している。さらに、配管ホース46は、この区分壁74とクランプカバー92とによって挟持されて保持された構成となっている。
【0054】
第5の実施の形態に係るワイパ装置90は、前述した第4の実施の形態に係るワイパ装置80と基本的に同様の作用効果を奏する。
【0055】
次に、図12には第6の実施の形態に係るワイパ装置100の主要部の構成が斜視図にて示されている。また、図13にはワイパ装置100の主要部の構成が図3に対応した断面図にて示されている。
【0056】
ワイパ装置100は、前述した各実施の形態に係るワイパ装置と基本的に同様の構成であるが、クランプカバー42等に代えて、アームヘッド12にはクランプカバー102が装着されている。このクランプカバー102は、底板部104と筒部106とによって全体として側面視T字形に形成されている。
【0057】
一方、アームヘッド12には、上壁20の裏面側(収容部26側)に支持突起108が突出形成されている。この支持突起108がクランプカバー102の筒部106に嵌入することで、クランプカバー102がアームヘッド12に装着される構成となっている。
【0058】
第6の実施の形態に係るワイパ装置100においても、前述した各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
また特に、配管ホース46をクランプカバー102の筒部106に溶着させると、配管ホース46を確実に固定することができるのみならず、配管ホース46の摩耗をも防止することもでき、一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の構成を示す裏面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図2に対応した斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図2に対応した斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置のクランプカバーの変形例を示す図8に対応した断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るワイパ装置のクランプカバーの変形例を示す図8に対応した断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図2に対応した斜視図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係るワイパ装置の主要部の構成を示す図3に対応した断面図である。
【符号の説明】
【0061】
10・・・ワイパ装置、11・・・ワイパアーム、12・・・アームヘッド、14・・・リテーナ、26・・・収容部、34・・・中間ウォッシャノズル、36・・・先端ウォッシャノズル、42・・・クランプカバー、46・・・配管ホース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボットシャフトに一端が固定されるアームヘッドと、前記アームヘッドに対して払拭面方向に回動可能に軸支されたリテーナと、を有したワイパアームと、
前記ワイパアームの先端に取り付けられ払拭面を払拭するワイパブレードと、
前記ワイパアームまたはワイパブレードに設けられ、洗浄液を払拭面へ噴出するウォッシャノズルと、
前記アームヘッド及びリテーナに沿って配設されると共に前記ウォッシャノズルに接続され洗浄液を配送する配管ホースと、
を備えたワイパ装置において、
前記払拭面に対向するアームヘッドの裏面側に長手方向に沿って凹状に設けられ、前記配管ホースを収容する収容部と、
前記アームヘッドの裏面側に装着されて前記収容部の少なくとも一部をカバーすると共に、前記配管ホースを前記収容部内に配索保持するクランプカバーと、
を備えたことを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
前記クランプカバーの内面側には、前記配管ホースを直接に保持する保持爪が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記アームヘッドには、前記収容部を前記アームヘッド幅方向に一方の側と他方の側とに区分する区分壁が形成され、前記配管ホースは前記区分壁と前記クランプカバーとによって挟持されて保持される、ことを特徴とする請求項1記載のワイパ装置。
【請求項1】
ピボットシャフトに一端が固定されるアームヘッドと、前記アームヘッドに対して払拭面方向に回動可能に軸支されたリテーナと、を有したワイパアームと、
前記ワイパアームの先端に取り付けられ払拭面を払拭するワイパブレードと、
前記ワイパアームまたはワイパブレードに設けられ、洗浄液を払拭面へ噴出するウォッシャノズルと、
前記アームヘッド及びリテーナに沿って配設されると共に前記ウォッシャノズルに接続され洗浄液を配送する配管ホースと、
を備えたワイパ装置において、
前記払拭面に対向するアームヘッドの裏面側に長手方向に沿って凹状に設けられ、前記配管ホースを収容する収容部と、
前記アームヘッドの裏面側に装着されて前記収容部の少なくとも一部をカバーすると共に、前記配管ホースを前記収容部内に配索保持するクランプカバーと、
を備えたことを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
前記クランプカバーの内面側には、前記配管ホースを直接に保持する保持爪が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記アームヘッドには、前記収容部を前記アームヘッド幅方向に一方の側と他方の側とに区分する区分壁が形成され、前記配管ホースは前記区分壁と前記クランプカバーとによって挟持されて保持される、ことを特徴とする請求項1記載のワイパ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−7971(P2006−7971A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188210(P2004−188210)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【出願人】(000230515)日本ワイパブレード株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【出願人】(000230515)日本ワイパブレード株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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