ワイヤハーネス用のプロテクタ
【課題】プロテクタのワイヤハーネス挿通路の出入口に設けたテープ巻き又はタイバンド巻き用の巻付片で、ワイヤハーネスと巻付片との間に空隙が発生しないようにする。
【解決手段】断面L形状とした巻付片の側壁から底壁にかけて、L形状のスリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴に挟まれた領域を可動部分とし、かつ、前記可動部分となる前記側壁の上端と底壁の先端とにタイバンド嵌合凹部を対向して切り欠き、前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記可動部分をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としている。
【解決手段】断面L形状とした巻付片の側壁から底壁にかけて、L形状のスリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴に挟まれた領域を可動部分とし、かつ、前記可動部分となる前記側壁の上端と底壁の先端とにタイバンド嵌合凹部を対向して切り欠き、前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記可動部分をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス用のプロテクタに関し、詳しくは、プロテクタ内を貫通させたワイヤハーネスをプロテクタの出入口に突設した巻付片に粘着テープまたはタイバンドで巻き付けているものにおいて、前記テープ巻付片の形状を改良して、ワイヤハーネスの位置ずれ発生を無くしてワイヤハーネスへの保持力を高めるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索されるワイヤハーネスを、配索経路の所要箇所で経路規制および外部干渉材からの保護を兼ねて、樹脂成型品からなるプロテクタに貫通させている。
該プロテクタは、図9(A)(B)に示すように、樋形状の本体100と蓋101とからなり、本体100にワイヤハーネスW/Hを挿通した後に蓋101を被せ、本体100と蓋101とから形成される貫通穴102にワイヤハーネスW/Hを挿通している。該プロテクタにワイヤハーネスを固定するため、プロテクタの本体100の長さ方向の両端の出入口にテープ巻き片104と105を突設し、該テープ巻き片104、105の外周からワイヤハーネスW/Hの外周面にかけて粘着テープ107A、107Bを巻き付けて固着している。
【0003】
前記テープ巻き片104、105は、本体100の底壁100aを突出させた平板形状とする場合も多いが、ワイヤハーネスへの保持力を高めるために、本体100の一方の側壁100bと底壁100aとを延長して断面L形状とした場合も多い。
【0004】
また、本出願人は、特開平7−322441号公報において図10(A)(B)に示すプロテクタを提供している。該プロテクタでは断面L形状としたテープ巻き片104の側壁104bの先端および底壁104aの先端からそれぞれ可撓性を有する舌状とした電線サポート板150、160を突設している。これら電線サポート片150、160に巻き付ける粘着テープ107により変形させて、ワイヤハーネスの電線群の外周に密着させている。
【0005】
前記図9よび図10に示す略断面L形状としたテープ巻き片を設けたプロテクタでは、図11に示すように、底壁104aと側壁104bとの内面側の境界位置でワイヤハーネスW/Hとの間に空隙Cが発生する。該空隙Cは粘着テープ107を強く巻き付けても無くすことはできない。
また、粘着テープに代えてプロテクタ本体と一体成形した締結バンドまたは別体の樹脂成形品の締結バンド(タイバンド)を巻き付けて締結する場合もあるが、この場合にも空隙Cをなくすことはできない。
【0006】
前記空隙Cが存在することで、ワイヤハーネスW/Hの外周からテープ巻き片の外周にかけて粘着テープやタイバンドを巻き付けてもワイヤハーネスW/Hのずれを無くすことは難しい。ワイヤハーネスW/Hが位置ずれすると、粘着テープの場合にはワイヤハーネスに対する粘着力がなくなり、粘着テープが外れやすくなる。特に、高圧洗浄水がかかると粘着テープは剥がれてしまう可能性が高い。一方、タイバンドで締結している場合、ワイヤハーネスの電線がタイバンドと摺接して電線に損傷が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−322441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネス用のプロテクタにおいて、断面L形状としたテープ巻き片とワイヤハーネスとの間に発生する空隙を無くし、ワイヤハーネスを位置ずれさせないようにして、ワイヤハーネスに対するプロテクタの保持力を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第一の発明として、樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して、粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁から底壁にかけて、L形状のスリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴に挟まれた部分を可動部分とし、かつ、
前記可動部分となる前記側壁の上端と底壁の先端とにタイバンド嵌合凹部を対向して切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記可動部分をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタを提供している。
【0010】
前記構成のプロテクタでは、一対のスリット穴に挟まれた可動部分を粘着テープまたはタイバンドの巻き付け時にワイヤハーネスの外周面に沿うように湾曲させる。
其の際、スムーズに変形できるように、可動部分の肉厚は前記底壁および側壁の肉厚よりも薄くしてたわみ易くしていることが好ましい。
これにより、断面L形状とした巻付片の角部内面とワイヤハーネスとの間に空隙が生じるのを防止でき、ワイヤハーネスの位置ずれ発生を無くすことができる。
かつ、粘着テープとタイバンドとを選択的に用いることができる利点もある。
【0011】
前記一対のスリット穴に挟まれた可動部分の側壁と底壁の両端部分に、長さ方向に延在する溝を間隔をあけて平行に形成して蛇腹状ヒンジ部を設け、かつ、該蛇腹状ヒンジ部に挟まれた部分は傾斜面としてもよい。
前記のように、可動部分の両端に蛇腹状ヒンジ部を設けると、粘着テープまたはタイバンドの巻き付け時に可動部分がワイヤハーネスの外周面に沿って変形しやすくなり、かつ、側壁と底壁の境界の角部を無くして傾斜面としているため、ワイヤハーネスの外周面に更に添わせやすくすることができる。
【0012】
また、第二の発明として、樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して、粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁と底壁のいずれか一方に、スリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設ける一方、前記側壁と底壁のいずれか他方に両側が前記一対のスリット穴の両方と連続した矩形穴を設け、かつ、前記スリット穴に挟まれた底壁または側壁の先端を前記矩形穴を貫通させて突出させてサポート片として設け、
前記スリット穴と矩形穴を設けると共に前記サポート片を設けた領域を粘着テープ巻き付け領域とし、かつ、
前記スリット穴に挟まれた前記底壁または側壁の先端にタイバンド嵌合凹部を切り欠くと共に、前記矩形穴を設けた前記側壁または底壁の先端の前記タイバンド嵌合凹部と対向した位置にタイバンド嵌合凹部を切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記一対のスリット穴に挟まれた部分および前記サポート片をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタを提供している。
【0013】
前記のように、第二の発明では、可動部分とする一対のスリット穴に挟まれた部分を他方の矩形穴を貫通させて突出させたサポート片とし、該サポート片の先端はフリーであるため、粘着テープまたはタイバンドを締結した時に、前記スリット穴に挟まれた部分からサポート片に連続した部分がワイヤハーネスの外周面に密着するように湾曲させることができる。よって、ワイヤハーネスに対する保持力を高めることができ、ワイヤハーネスの位置ずれ発生を確実に防止できる。
【0014】
さらに、前記第一の発明および第二の発明のいずれも、側壁の上端にヒンジ部を介して上面押さえ片を設け、該上面押さえ片の突出先端側の一部を前記タイバンド嵌合凹部側へ突出させ、該上面押さえ片に粘着テープを巻き付け又はタイバンド巻き付けてワイヤハーネスの上面側を押さえるようにしてもよい。
【0015】
プロテクタ本体には、一方の側壁の先端にヒンジ部を介して蓋を設け、または、別体の蓋を設けているが、本体から突出した前記巻付片は前記蓋で覆われない。よって、前記上面押さえ片を設けて、ワイヤハーネスの上面に被せると、ワイヤハーネスを上方に位置する外部干渉材から保護することができる。
【0016】
前記巻付片の可動部分が粘着テープまたはタイバンドの巻き付け時に巻付力でワイヤハーネスの外面に沿って変形しやすいように、少なくとも可動部分の肉厚は従来の巻付片の肉厚よりも薄くし、0.5mm〜1.0mm程度とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
前記のように、本発明のプロテクタは、ワイヤハーネスを固定するための断面L形状とした粘着テープまたはタイバンドの巻付片に、ワイヤハーネスとの間に空隙を発生させないため、一対のスリット穴を設け、該スリット穴に挟まれた部分を可動部分としている。この可動部分を設けることにより、巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該ワイヤハーネスの外周面から巻付片の前記可動部分の外周面に沿って粘着テープまたはタイバンドを強く巻き付けると、スリット穴に挟まれた可動部分はスムーズにワイヤハーネスの外周面に沿うように湾曲する。これにより、ワイヤハーネスと巻付片との間に空隙が発生せず、ワイヤハーネスが巻付片から位置ずれするのを防止できる。
かつ、ワイヤハーネスが位置ずれしないことにより、粘着テープの粘着力の低下を抑制し、粘着テープに高圧洗浄水がかかっても外れにくくできる。かつ、樹脂成形品のタイバンドを巻き付けた場合に、ワイヤハーネスの電線がタイバンドと摺接して外傷が発生する恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のプロテクタを示し、(A)は要部斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】前記プロテクタにワイヤハーネスを通した状態を示す斜視図である。
【図3】(A)は図2の断面図、(B)はテープで巻き付けた状態の断面図、(C)はテープ巻き状態の斜視図である。
【図4】テープにかえてバンドで巻き付けた状態を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図5】第2実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図6】(A)は図5のA−A線断面図、(B)はバンド巻き時の可動部分の変形を示す断面図である。
【図7】第3実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図8】(A)は図7(A)のA−A線断面図、(B)はバンド巻き時の可動部分の変形を示す断面図である。
【図9】(A)(B)は従来例を示す図面である。
【図10】(A)(B)は他の従来例を示す図面である。
【図11】従来例の問題点を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のワイヤハーネス用のプロテクタの実施形態を図面を参照して説明する。 本発明の樹脂成形品からなるプロテクタは自動車に配索するワイヤハーネスの所要領域に取り付けられるものである。
以下のいずれの実施形態のプロテクタも、略樋形状の本体と該本体とヒンジ部を介して一体に設けた蓋、または別体の蓋を備え、本体に蓋を被せてワイヤハーネス挿通路を設けている。なお、プロテクタは本体と一体に蓋を設けた場合、本体と蓋とを別体に設けた場合のいずれでもよい。
【0020】
図1乃至図4に第1実施形態のプロテクタを示す。
プロテクタの本体1は底壁1aと両側壁1b、1cとからなる樋形状であり、該底壁1aと両側壁1b、1cでワイヤハーネス挿通路2を囲み、該ワイヤハーネス挿通路2の長さ方向の両端を出入口3として開口している。
前記出入口3となる本体1の長さ方向の両端に断面L形状の巻付片5を突設している。該巻付片5は粘着テープと樹脂成形品のタイバンドのいずれを用いてもよい形状としており、粘着テープとタイバンドとが選択して取り付けられる。
なお、本体1の長さ方向の中間部にワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線出口がある場合には、前記巻付片5と同様な巻付片5を設けてもよい。
【0021】
前記巻付片5は、本体1の底壁1aの先端と一方の側壁1bの先端を突出させて設けた底壁6と側壁7とからなる。巻付片5の底壁6は本体の底壁1aの幅方向の半側部を突設させて形成し、側壁7も本体側壁1bの下半側部を突設して形成している。
【0022】
巻付片5の側壁7から底壁6にかけて、L形状のスリット穴8、9を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴8、9に挟まれた領域を可動部分10としている。前記スリット穴8、9は側壁7の上端7aとの間に距離あけ、かつ、底壁6の先端6aからも距離をあけている。
図1(B)に示すように、スリット穴8、9の間の可動部分10の肉厚t1は、底壁6および側壁7の肉厚t2よりも薄くし(t1<t2)とし、撓み易くしている。
【0023】
前記可動部分10の上部の側壁上端7aと底壁先端6aとに、それぞれタイバンド嵌合凹部11、12を対向して切り欠いている。該タイバンド嵌合凹部11、12の幅は図4に示すタイバンド20のバンド部21を挿通できる大きさとしている。
【0024】
さらに、前記タイバンド嵌合凹部11に隣接した位置の側壁上端7aには薄肉ヒンジ部13を介して上面押さえ片14を突設している。該上面押さえ片14は倒L形状とし、タイバンド嵌合凹部11の上方に突出する突出部14aを設けている。該突出部14aを設けることで、図4(B)に示すように、タイバンド嵌合凹部11にタイバンド20のバンド部21を挿入して巻き付けた時に、倒伏させた上面押さえ片14の突出部14aの上面にバンド部21を巻き付けられるようにしている。
前記上面押さえ片14の肉厚は前記可動部分10の肉厚と同程度の薄さとし、テープまたはバンド巻き時にスムーズに変形するようにしている。
【0025】
さらに、巻付片5の底壁6および側壁7の長さ方向先端には、それぞれリブ6r、7rを設け、粘着テープを巻き付けた時に粘着テープの滑り止めとしている。
【0026】
前記構成としたプロテクタの本体1をワイヤハーネスW/Hに取り付ける工程について説明する。
図2および図3(A)に示すように、本体1のワイヤハーネス挿通路2にワイヤハーネスW/Hの電線群を通す。ついで、前記巻付片5の内面側に挿通するワイヤハーネスW/Hの外周面から巻付片5の外面にかけてタイバンド20または粘着テープ25を巻き付けて固定する。其の際、前以て、ワイヤハーネスW/Hの上面には上面押さえ片14を倒して被せて、該上面押さえ片14の外面にタイバンド20または粘着テープ25を巻き付ける。
【0027】
粘着テープ25を巻き付ける場合は、図3(B)(C)に示すように、巻付片5の可動部分10の外面からワイヤハーネスW/Hの外面、さらに、ワイヤハーネスの上面に被せた上面押さえ片14の外面に沿って巻き付ける。この粘着テープ25の巻き付けにより、タイバンド巻き付け時と同様に可動部分10がワイヤハーネスの外面に沿って変形して密着し、空隙を発生させない。よって、タイバンドでの締結時と同様にワイヤハーネスの位置ずれ発生を防止できる。
【0028】
タイバンド20を巻き付ける場合は、図4に示すように、タイバンド嵌合凹部11、12にタイバンド20のバンド部21を通し、該バンド部21を巻付片5の可動部分10の外面に巻き付けると共に、ワイヤハーネスW/Hの外周面、さらにワイヤハーネスW/Hの上面に被せた上面押さえ片14の外面に巻き付け、タイバンド部20の締結部本体22にバンド部21を通して締結する。
【0029】
前記タイバンド20の巻き付け時に、スリット穴8、9に挟まれた可動部分10は撓み易くなっているため、タイバンド20による締付力でワイヤハーネスW/Hの外形に沿って湾曲し、図4(B)に示すように可動部分10の底壁6と側壁7はワイヤハーネスW/Hの外面に密着し空隙がなくなる。これにより、ワイヤハーネスW/Hが巻付片5に対して移動して位置ずれが生じるのを防止できる。
【0030】
図5および図6に第2実施形態のプロテクタを示す。
第1実施形態のプロテクタとの相違点はスリット穴8と9に挟まれた可動部分10において、側壁7と連続する上端部分と底壁6と連続する先端部分との両方に、長さ方向に延在する凹部を間隔をあけて平行に設けた蛇腹状ヒンジ部26(26A、26B)を設けている。かつ、蛇腹状ヒンジ部26Aと26Bに挟まれた部分に傾斜面28を設けている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
前記のように、可動部分10の両端に蛇腹状ヒンジ部26Aと26Bを設けると、粘着テープまたはタイバンドを可動部分10に巻き付け時、図6(B)に示すように、蛇腹状ヒンジ部26A、26Bが屈曲し、可動部分10がワイヤハーネスW/Hの外周面に沿ってより変形しやすくなる。
かつ、側壁7と底壁6の境界の角部を無くして傾斜面28としているため、ワイヤハーネスの外周面に更に添わせやすくすることができる。
【0032】
図7および図8に第3実施形態のプロテクタを示す。
該プロテクタは、巻付片5の底壁6には一対のスリット穴32、33を設けているが、側壁7にはスリット穴を設けず、底壁の両側のスリット穴32と33とに両側部分が連通した矩形穴35を大きくあけている。かつ、前記スリット穴32と33に挟まれた底壁6の先端から矩形穴35を貫通させて外方へ突出したサポート片36を突設している。
このように、第3実施形態のプロテクタでは、可動部分10は底壁6のスリット穴32と33に囲まれた部分とサポート片36から形成している。
【0033】
前記スリット穴32と33と矩形穴35を設けると共に前記サポート片36を設けた領域が可動部分10に相当するとともに、粘着テープ巻き付け領域としている。前記サポート片36の肉厚は上面押さえ片14と同程度に薄くして容易にたわむようにしている。
かつ、スリット穴32と33に挟まれた底壁6の先端にタイバンド嵌合凹部12を切り欠くと共に、前記矩形穴35を設けた側壁7の先端に、前記タイバンド嵌合凹部12と対向した位置に、タイバンド嵌合凹部11を切り欠いて設けている。
他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
前記プロテクタにおいても、断面L形状の巻付片5の内面側にワイヤハーネスの電線群を通した後、該電線群の外周から、巻付片5の底壁6のスリット穴32と33の間の可動部分10の外周面、サポート片36の外周面、さらに上面押さえ片14の外面にかけてタイバンド20または粘着テープ25を巻き付ける。この巻き付けにより、一対のスリット穴32と33に挟まれた可動部分10および該部分に連続するサポート片36がワイヤハーネスの外周面に沿って変形し、空隙を発生させない。
【0035】
なお、上記第3実施形態では、側壁7に矩形穴を空けているが、底壁6側に矩形穴を空け、側壁7に一対のスリット穴を設けるとともに、下方へ突出したサポート片を設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 プロテクタの本体
5 巻付片
6 底壁
7 側壁
8、9 スリット穴
10 可動部分
11、12 タイバンド嵌合凹部
14 上面押さえ片
20 タイバンド
25 粘着テープ
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス用のプロテクタに関し、詳しくは、プロテクタ内を貫通させたワイヤハーネスをプロテクタの出入口に突設した巻付片に粘着テープまたはタイバンドで巻き付けているものにおいて、前記テープ巻付片の形状を改良して、ワイヤハーネスの位置ずれ発生を無くしてワイヤハーネスへの保持力を高めるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索されるワイヤハーネスを、配索経路の所要箇所で経路規制および外部干渉材からの保護を兼ねて、樹脂成型品からなるプロテクタに貫通させている。
該プロテクタは、図9(A)(B)に示すように、樋形状の本体100と蓋101とからなり、本体100にワイヤハーネスW/Hを挿通した後に蓋101を被せ、本体100と蓋101とから形成される貫通穴102にワイヤハーネスW/Hを挿通している。該プロテクタにワイヤハーネスを固定するため、プロテクタの本体100の長さ方向の両端の出入口にテープ巻き片104と105を突設し、該テープ巻き片104、105の外周からワイヤハーネスW/Hの外周面にかけて粘着テープ107A、107Bを巻き付けて固着している。
【0003】
前記テープ巻き片104、105は、本体100の底壁100aを突出させた平板形状とする場合も多いが、ワイヤハーネスへの保持力を高めるために、本体100の一方の側壁100bと底壁100aとを延長して断面L形状とした場合も多い。
【0004】
また、本出願人は、特開平7−322441号公報において図10(A)(B)に示すプロテクタを提供している。該プロテクタでは断面L形状としたテープ巻き片104の側壁104bの先端および底壁104aの先端からそれぞれ可撓性を有する舌状とした電線サポート板150、160を突設している。これら電線サポート片150、160に巻き付ける粘着テープ107により変形させて、ワイヤハーネスの電線群の外周に密着させている。
【0005】
前記図9よび図10に示す略断面L形状としたテープ巻き片を設けたプロテクタでは、図11に示すように、底壁104aと側壁104bとの内面側の境界位置でワイヤハーネスW/Hとの間に空隙Cが発生する。該空隙Cは粘着テープ107を強く巻き付けても無くすことはできない。
また、粘着テープに代えてプロテクタ本体と一体成形した締結バンドまたは別体の樹脂成形品の締結バンド(タイバンド)を巻き付けて締結する場合もあるが、この場合にも空隙Cをなくすことはできない。
【0006】
前記空隙Cが存在することで、ワイヤハーネスW/Hの外周からテープ巻き片の外周にかけて粘着テープやタイバンドを巻き付けてもワイヤハーネスW/Hのずれを無くすことは難しい。ワイヤハーネスW/Hが位置ずれすると、粘着テープの場合にはワイヤハーネスに対する粘着力がなくなり、粘着テープが外れやすくなる。特に、高圧洗浄水がかかると粘着テープは剥がれてしまう可能性が高い。一方、タイバンドで締結している場合、ワイヤハーネスの電線がタイバンドと摺接して電線に損傷が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−322441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネス用のプロテクタにおいて、断面L形状としたテープ巻き片とワイヤハーネスとの間に発生する空隙を無くし、ワイヤハーネスを位置ずれさせないようにして、ワイヤハーネスに対するプロテクタの保持力を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第一の発明として、樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して、粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁から底壁にかけて、L形状のスリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴に挟まれた部分を可動部分とし、かつ、
前記可動部分となる前記側壁の上端と底壁の先端とにタイバンド嵌合凹部を対向して切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記可動部分をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタを提供している。
【0010】
前記構成のプロテクタでは、一対のスリット穴に挟まれた可動部分を粘着テープまたはタイバンドの巻き付け時にワイヤハーネスの外周面に沿うように湾曲させる。
其の際、スムーズに変形できるように、可動部分の肉厚は前記底壁および側壁の肉厚よりも薄くしてたわみ易くしていることが好ましい。
これにより、断面L形状とした巻付片の角部内面とワイヤハーネスとの間に空隙が生じるのを防止でき、ワイヤハーネスの位置ずれ発生を無くすことができる。
かつ、粘着テープとタイバンドとを選択的に用いることができる利点もある。
【0011】
前記一対のスリット穴に挟まれた可動部分の側壁と底壁の両端部分に、長さ方向に延在する溝を間隔をあけて平行に形成して蛇腹状ヒンジ部を設け、かつ、該蛇腹状ヒンジ部に挟まれた部分は傾斜面としてもよい。
前記のように、可動部分の両端に蛇腹状ヒンジ部を設けると、粘着テープまたはタイバンドの巻き付け時に可動部分がワイヤハーネスの外周面に沿って変形しやすくなり、かつ、側壁と底壁の境界の角部を無くして傾斜面としているため、ワイヤハーネスの外周面に更に添わせやすくすることができる。
【0012】
また、第二の発明として、樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して、粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁と底壁のいずれか一方に、スリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設ける一方、前記側壁と底壁のいずれか他方に両側が前記一対のスリット穴の両方と連続した矩形穴を設け、かつ、前記スリット穴に挟まれた底壁または側壁の先端を前記矩形穴を貫通させて突出させてサポート片として設け、
前記スリット穴と矩形穴を設けると共に前記サポート片を設けた領域を粘着テープ巻き付け領域とし、かつ、
前記スリット穴に挟まれた前記底壁または側壁の先端にタイバンド嵌合凹部を切り欠くと共に、前記矩形穴を設けた前記側壁または底壁の先端の前記タイバンド嵌合凹部と対向した位置にタイバンド嵌合凹部を切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記一対のスリット穴に挟まれた部分および前記サポート片をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタを提供している。
【0013】
前記のように、第二の発明では、可動部分とする一対のスリット穴に挟まれた部分を他方の矩形穴を貫通させて突出させたサポート片とし、該サポート片の先端はフリーであるため、粘着テープまたはタイバンドを締結した時に、前記スリット穴に挟まれた部分からサポート片に連続した部分がワイヤハーネスの外周面に密着するように湾曲させることができる。よって、ワイヤハーネスに対する保持力を高めることができ、ワイヤハーネスの位置ずれ発生を確実に防止できる。
【0014】
さらに、前記第一の発明および第二の発明のいずれも、側壁の上端にヒンジ部を介して上面押さえ片を設け、該上面押さえ片の突出先端側の一部を前記タイバンド嵌合凹部側へ突出させ、該上面押さえ片に粘着テープを巻き付け又はタイバンド巻き付けてワイヤハーネスの上面側を押さえるようにしてもよい。
【0015】
プロテクタ本体には、一方の側壁の先端にヒンジ部を介して蓋を設け、または、別体の蓋を設けているが、本体から突出した前記巻付片は前記蓋で覆われない。よって、前記上面押さえ片を設けて、ワイヤハーネスの上面に被せると、ワイヤハーネスを上方に位置する外部干渉材から保護することができる。
【0016】
前記巻付片の可動部分が粘着テープまたはタイバンドの巻き付け時に巻付力でワイヤハーネスの外面に沿って変形しやすいように、少なくとも可動部分の肉厚は従来の巻付片の肉厚よりも薄くし、0.5mm〜1.0mm程度とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
前記のように、本発明のプロテクタは、ワイヤハーネスを固定するための断面L形状とした粘着テープまたはタイバンドの巻付片に、ワイヤハーネスとの間に空隙を発生させないため、一対のスリット穴を設け、該スリット穴に挟まれた部分を可動部分としている。この可動部分を設けることにより、巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該ワイヤハーネスの外周面から巻付片の前記可動部分の外周面に沿って粘着テープまたはタイバンドを強く巻き付けると、スリット穴に挟まれた可動部分はスムーズにワイヤハーネスの外周面に沿うように湾曲する。これにより、ワイヤハーネスと巻付片との間に空隙が発生せず、ワイヤハーネスが巻付片から位置ずれするのを防止できる。
かつ、ワイヤハーネスが位置ずれしないことにより、粘着テープの粘着力の低下を抑制し、粘着テープに高圧洗浄水がかかっても外れにくくできる。かつ、樹脂成形品のタイバンドを巻き付けた場合に、ワイヤハーネスの電線がタイバンドと摺接して外傷が発生する恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のプロテクタを示し、(A)は要部斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】前記プロテクタにワイヤハーネスを通した状態を示す斜視図である。
【図3】(A)は図2の断面図、(B)はテープで巻き付けた状態の断面図、(C)はテープ巻き状態の斜視図である。
【図4】テープにかえてバンドで巻き付けた状態を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図5】第2実施形態のプロテクタを示す斜視図である。
【図6】(A)は図5のA−A線断面図、(B)はバンド巻き時の可動部分の変形を示す断面図である。
【図7】第3実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図8】(A)は図7(A)のA−A線断面図、(B)はバンド巻き時の可動部分の変形を示す断面図である。
【図9】(A)(B)は従来例を示す図面である。
【図10】(A)(B)は他の従来例を示す図面である。
【図11】従来例の問題点を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のワイヤハーネス用のプロテクタの実施形態を図面を参照して説明する。 本発明の樹脂成形品からなるプロテクタは自動車に配索するワイヤハーネスの所要領域に取り付けられるものである。
以下のいずれの実施形態のプロテクタも、略樋形状の本体と該本体とヒンジ部を介して一体に設けた蓋、または別体の蓋を備え、本体に蓋を被せてワイヤハーネス挿通路を設けている。なお、プロテクタは本体と一体に蓋を設けた場合、本体と蓋とを別体に設けた場合のいずれでもよい。
【0020】
図1乃至図4に第1実施形態のプロテクタを示す。
プロテクタの本体1は底壁1aと両側壁1b、1cとからなる樋形状であり、該底壁1aと両側壁1b、1cでワイヤハーネス挿通路2を囲み、該ワイヤハーネス挿通路2の長さ方向の両端を出入口3として開口している。
前記出入口3となる本体1の長さ方向の両端に断面L形状の巻付片5を突設している。該巻付片5は粘着テープと樹脂成形品のタイバンドのいずれを用いてもよい形状としており、粘着テープとタイバンドとが選択して取り付けられる。
なお、本体1の長さ方向の中間部にワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線出口がある場合には、前記巻付片5と同様な巻付片5を設けてもよい。
【0021】
前記巻付片5は、本体1の底壁1aの先端と一方の側壁1bの先端を突出させて設けた底壁6と側壁7とからなる。巻付片5の底壁6は本体の底壁1aの幅方向の半側部を突設させて形成し、側壁7も本体側壁1bの下半側部を突設して形成している。
【0022】
巻付片5の側壁7から底壁6にかけて、L形状のスリット穴8、9を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴8、9に挟まれた領域を可動部分10としている。前記スリット穴8、9は側壁7の上端7aとの間に距離あけ、かつ、底壁6の先端6aからも距離をあけている。
図1(B)に示すように、スリット穴8、9の間の可動部分10の肉厚t1は、底壁6および側壁7の肉厚t2よりも薄くし(t1<t2)とし、撓み易くしている。
【0023】
前記可動部分10の上部の側壁上端7aと底壁先端6aとに、それぞれタイバンド嵌合凹部11、12を対向して切り欠いている。該タイバンド嵌合凹部11、12の幅は図4に示すタイバンド20のバンド部21を挿通できる大きさとしている。
【0024】
さらに、前記タイバンド嵌合凹部11に隣接した位置の側壁上端7aには薄肉ヒンジ部13を介して上面押さえ片14を突設している。該上面押さえ片14は倒L形状とし、タイバンド嵌合凹部11の上方に突出する突出部14aを設けている。該突出部14aを設けることで、図4(B)に示すように、タイバンド嵌合凹部11にタイバンド20のバンド部21を挿入して巻き付けた時に、倒伏させた上面押さえ片14の突出部14aの上面にバンド部21を巻き付けられるようにしている。
前記上面押さえ片14の肉厚は前記可動部分10の肉厚と同程度の薄さとし、テープまたはバンド巻き時にスムーズに変形するようにしている。
【0025】
さらに、巻付片5の底壁6および側壁7の長さ方向先端には、それぞれリブ6r、7rを設け、粘着テープを巻き付けた時に粘着テープの滑り止めとしている。
【0026】
前記構成としたプロテクタの本体1をワイヤハーネスW/Hに取り付ける工程について説明する。
図2および図3(A)に示すように、本体1のワイヤハーネス挿通路2にワイヤハーネスW/Hの電線群を通す。ついで、前記巻付片5の内面側に挿通するワイヤハーネスW/Hの外周面から巻付片5の外面にかけてタイバンド20または粘着テープ25を巻き付けて固定する。其の際、前以て、ワイヤハーネスW/Hの上面には上面押さえ片14を倒して被せて、該上面押さえ片14の外面にタイバンド20または粘着テープ25を巻き付ける。
【0027】
粘着テープ25を巻き付ける場合は、図3(B)(C)に示すように、巻付片5の可動部分10の外面からワイヤハーネスW/Hの外面、さらに、ワイヤハーネスの上面に被せた上面押さえ片14の外面に沿って巻き付ける。この粘着テープ25の巻き付けにより、タイバンド巻き付け時と同様に可動部分10がワイヤハーネスの外面に沿って変形して密着し、空隙を発生させない。よって、タイバンドでの締結時と同様にワイヤハーネスの位置ずれ発生を防止できる。
【0028】
タイバンド20を巻き付ける場合は、図4に示すように、タイバンド嵌合凹部11、12にタイバンド20のバンド部21を通し、該バンド部21を巻付片5の可動部分10の外面に巻き付けると共に、ワイヤハーネスW/Hの外周面、さらにワイヤハーネスW/Hの上面に被せた上面押さえ片14の外面に巻き付け、タイバンド部20の締結部本体22にバンド部21を通して締結する。
【0029】
前記タイバンド20の巻き付け時に、スリット穴8、9に挟まれた可動部分10は撓み易くなっているため、タイバンド20による締付力でワイヤハーネスW/Hの外形に沿って湾曲し、図4(B)に示すように可動部分10の底壁6と側壁7はワイヤハーネスW/Hの外面に密着し空隙がなくなる。これにより、ワイヤハーネスW/Hが巻付片5に対して移動して位置ずれが生じるのを防止できる。
【0030】
図5および図6に第2実施形態のプロテクタを示す。
第1実施形態のプロテクタとの相違点はスリット穴8と9に挟まれた可動部分10において、側壁7と連続する上端部分と底壁6と連続する先端部分との両方に、長さ方向に延在する凹部を間隔をあけて平行に設けた蛇腹状ヒンジ部26(26A、26B)を設けている。かつ、蛇腹状ヒンジ部26Aと26Bに挟まれた部分に傾斜面28を設けている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
前記のように、可動部分10の両端に蛇腹状ヒンジ部26Aと26Bを設けると、粘着テープまたはタイバンドを可動部分10に巻き付け時、図6(B)に示すように、蛇腹状ヒンジ部26A、26Bが屈曲し、可動部分10がワイヤハーネスW/Hの外周面に沿ってより変形しやすくなる。
かつ、側壁7と底壁6の境界の角部を無くして傾斜面28としているため、ワイヤハーネスの外周面に更に添わせやすくすることができる。
【0032】
図7および図8に第3実施形態のプロテクタを示す。
該プロテクタは、巻付片5の底壁6には一対のスリット穴32、33を設けているが、側壁7にはスリット穴を設けず、底壁の両側のスリット穴32と33とに両側部分が連通した矩形穴35を大きくあけている。かつ、前記スリット穴32と33に挟まれた底壁6の先端から矩形穴35を貫通させて外方へ突出したサポート片36を突設している。
このように、第3実施形態のプロテクタでは、可動部分10は底壁6のスリット穴32と33に囲まれた部分とサポート片36から形成している。
【0033】
前記スリット穴32と33と矩形穴35を設けると共に前記サポート片36を設けた領域が可動部分10に相当するとともに、粘着テープ巻き付け領域としている。前記サポート片36の肉厚は上面押さえ片14と同程度に薄くして容易にたわむようにしている。
かつ、スリット穴32と33に挟まれた底壁6の先端にタイバンド嵌合凹部12を切り欠くと共に、前記矩形穴35を設けた側壁7の先端に、前記タイバンド嵌合凹部12と対向した位置に、タイバンド嵌合凹部11を切り欠いて設けている。
他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
前記プロテクタにおいても、断面L形状の巻付片5の内面側にワイヤハーネスの電線群を通した後、該電線群の外周から、巻付片5の底壁6のスリット穴32と33の間の可動部分10の外周面、サポート片36の外周面、さらに上面押さえ片14の外面にかけてタイバンド20または粘着テープ25を巻き付ける。この巻き付けにより、一対のスリット穴32と33に挟まれた可動部分10および該部分に連続するサポート片36がワイヤハーネスの外周面に沿って変形し、空隙を発生させない。
【0035】
なお、上記第3実施形態では、側壁7に矩形穴を空けているが、底壁6側に矩形穴を空け、側壁7に一対のスリット穴を設けるとともに、下方へ突出したサポート片を設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 プロテクタの本体
5 巻付片
6 底壁
7 側壁
8、9 スリット穴
10 可動部分
11、12 タイバンド嵌合凹部
14 上面押さえ片
20 タイバンド
25 粘着テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁から底壁にかけて、L形状のスリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴に挟まれた領域を可動部分とし、かつ、
前記可動部分となる前記側壁の上端と底壁の先端とにタイバンド嵌合凹部を対向して切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記可動部分をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項2】
前記一対のスリット穴に挟まれた可動部分の側壁と底壁の両端部分に、長さ方向に延在する溝を間隔をあけて平行に形成して蛇腹状ヒンジ部を設け、かつ、該蛇腹状ヒンジ部に挟まれた部分は傾斜面としている請求項1に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項3】
樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して、粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁と底壁のいずれか一方に、スリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設ける一方、前記側壁と底壁のいずれか他方に両側が前記一対のスリット穴の両方と連続した矩形穴を設け、かつ、前記スリット穴に挟まれた底壁または側壁の先端を前記矩形穴を貫通させて突出させてサポート片として設け、
前記スリット穴と矩形穴を設けると共に前記サポート片を設けた領域を粘着テープ巻き付け領域とし、かつ、
前記スリット穴に挟まれた前記底壁または側壁の先端にタイバンド嵌合凹部を切り欠くと共に、前記矩形穴を設けた前記側壁または底壁の先端の前記タイバンド嵌合凹部と対向した位置にタイバンド嵌合凹部を切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記一対のスリット穴に挟まれた部分および前記サポート片をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項4】
前記巻付片の側壁の上端にヒンジ部を介して上面押さえ片を設け、該上面押さえ片の突出先端側の一部を前記タイバンド嵌合凹部側へ突出させ、該上面押さえ片に粘着テープを巻き付け又はタイバンド巻き付けてワイヤハーネスの上面側を押さえる構成としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項1】
樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁から底壁にかけて、L形状のスリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設け、該一対のスリット穴に挟まれた領域を可動部分とし、かつ、
前記可動部分となる前記側壁の上端と底壁の先端とにタイバンド嵌合凹部を対向して切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記可動部分をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項2】
前記一対のスリット穴に挟まれた可動部分の側壁と底壁の両端部分に、長さ方向に延在する溝を間隔をあけて平行に形成して蛇腹状ヒンジ部を設け、かつ、該蛇腹状ヒンジ部に挟まれた部分は傾斜面としている請求項1に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項3】
樹脂成形品からなり、プロテクタ本体に設けられたワイヤハーネス挿通路の出入口に連続して、粘着テープまたはタイバンド巻付用の断面L形状とした巻付片を備え、
前記巻付片の側壁と底壁のいずれか一方に、スリット穴を長さ方向に間隔をあけて一対設ける一方、前記側壁と底壁のいずれか他方に両側が前記一対のスリット穴の両方と連続した矩形穴を設け、かつ、前記スリット穴に挟まれた底壁または側壁の先端を前記矩形穴を貫通させて突出させてサポート片として設け、
前記スリット穴と矩形穴を設けると共に前記サポート片を設けた領域を粘着テープ巻き付け領域とし、かつ、
前記スリット穴に挟まれた前記底壁または側壁の先端にタイバンド嵌合凹部を切り欠くと共に、前記矩形穴を設けた前記側壁または底壁の先端の前記タイバンド嵌合凹部と対向した位置にタイバンド嵌合凹部を切り欠き、
前記断面L形状の巻付片の内面側にワイヤハーネスの電線群を通し、該電線群の外周から前記巻付片の外周面に粘着テープまたはタイバンドを巻き付けた時に、前記一対のスリット穴に挟まれた部分および前記サポート片をワイヤハーネスの外周面に沿って変形させる形状としていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項4】
前記巻付片の側壁の上端にヒンジ部を介して上面押さえ片を設け、該上面押さえ片の突出先端側の一部を前記タイバンド嵌合凹部側へ突出させ、該上面押さえ片に粘着テープを巻き付け又はタイバンド巻き付けてワイヤハーネスの上面側を押さえる構成としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−250522(P2011−250522A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118751(P2010−118751)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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