説明

ワイヤレスマイクロホン

【課題】 使用するチャンネルによって音量が変化することなく安定した運用ができるワイヤレスマイクロホンに関するものである。
【解決手段】 音声信号を変調する第1周波数を発振する第1発振回路(13)と、無線媒体の送信周波数を変更する第2周波数を発振する第2発振回路(14)と、第1周波数と第2周波数を混合して出力する混合回路(15)と、混合回路の出力から所定の周波数を濾過するフィルター回路(17)と、を有するワイヤレスマイクロホンによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチャンネルを切り替えて使用することができるワイヤレスマイクロホンであって、特に、使用するチャンネルによって音量が変化することなく安定した運用ができるワイヤレスマイクロホンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音声を電気信号に変換し、この電気信号を変調して送信するワイヤレスマイクロホンにおいて、複数の送信チャンネルの中から任意の送信チャンネルを選択して使用することができるワイヤレスマイクロホンが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなマルチチャンネル対応のワイヤレスマイクロホンは発振周波数を切り替えることができる発振回路を備えており、基本周波数から所定の範囲内において周波数を可変することができ、選択した周波数を使用して音声信号を送信することができるように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平09−107296号公報
【0004】
発振回路において、発振周波数を可変することができる範囲は、基準周波数の数パーセントから、数十パーセントであるので、基準周波数が高くないと複数の送信チャンネルを区別する帯域を確保することができず、多数の送信チャンネルを使用するには、基準周波数を高くする必要がある。そこで、送信周波数よりも高い周波数で発振する発振回路を2つ用いて、第一の高周波を音声信号で変調し、第二の高周波と変調された第一の高周波を混合して、フィルター回路を用いて所定の送信周波数を送信する方式が知られている。
【0005】
上記の従来方式は、第一の高周波を可変させて、送信周波数を変化させている。例えば、第一の高周波を65MHzから67MHzで可変させ、第二の高周波を62.5MHzで固定し、第一の高周波と第二の高周波を混合回路に入力すると、その出力される信号の周波数は、4.5MHz(67MHz−62.5MHz)から、2.5MHz(65MHz−62.5MHz)の間で変化させることができる。このように1つの発振器を用いるときと比較して、周波数の可変範囲を拡大させることができ、これによって、複数の送信チャンネルを使用することができるようになる。
【0006】
発振回路は、入力電圧に応じて所定の周波数を発振する回路であり、理想的な特性は入力電圧に対して発振周波数が比例する、いわゆる直線特性を有することである。しかしながら、実際の発振回路の特性は直線特性にはならず、例えば、入力電圧が低いときは理想的な特性よりも発振周波数が低くなり、入力電圧が高いときは理想的な特性よりも発振周波数が高くなるという誤差が生じる。
【0007】
上記した従来の方式は、変調される第一の高周波によって送信チャンネルを可変させているので、選択された送信周波数(送信チャンネル)によって、変調度特性が異なるため、送信チャンネルを切り替えると、同じレベルの音声信号が入力されたとしても、出力されるレベルが異なるなどのバラつきが生じる。このように、従来のワイヤレスマイクロホンには、使用する送信チャンネルによって、特性のバラつきが生じる要因があり、安定した運用を行うためには送信チャンネル毎に調整回路を設けるなどの対応が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、複数の送信チャンネルを切り替えて使用することができるワイヤレスマイクロホンであって、発振回路の特性に影響を受けることなく、安定した運用を行うことができるワイヤレスマイクロホンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、音波を電気的な音声信号に変換し無線媒体を介して送信するワイヤレスマイクロホンであって、音声信号を変調する第1周波数を発振する第1発振回路と、無線媒体の送信周波数を変更する第2周波数を発振する第2発振回路と、第1周波数と第2周波数を混合して出力する混合回路と、混合回路の出力から所定の周波数を濾過するフィルター回路と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記のワイヤレスマイクロホンにおいて、第1発振回路は、予め設定した周波数を発振する固定発振回路であり、第2発振回路は、所定の範囲で発振周波数を可変することができる可変発振回路であり、混合回路は、可変周波数から固定周波数を減じて出力する回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多チャンネル切り替え方式のワイヤレスマイクロホンにおいて、使用するチャンネルの違いによる音量変化を少なくし、それぞれのチャンネルに音量調整機能を持たせずとも、安定した運用をすることができるようになる。また、本発明によれば、変調周波数特性の変動を防止することができるようになる、
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るワイヤレスマイクロホンの実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るワイヤレスマイクロホンの実施例を示すブロック図である。図1において、ワイヤレスマイクロホン1は、音声を電気信号に変換するマイクロホン11、変換された電気信号(以下「音声信号」とする)を所定のレベルに増幅するアンプ12、音声信号によって変調される基準信号を所定の周波数で供給し、この基準信号を音声信号によって変調した第1周波数信号を出力する第1発振回路13、第1周波数信号の周波数を送信周波数に変換するための所定の周波数を有する第2周波数信号を供給する第2発振回路14、第1周波数信号と第2周波数信号を混合して出力する混合回路15、必要な周波数を取り出すフィルター回路16から出力される信号を所定のレベルに増幅するアンプ17、前記出力信号を送信するアンテナ18、を有してなる。
【0013】
ワイヤレスマイクロホン1において、マイクロホン11に入力された音声は電気信号である音声信号に変換されて出力され、アンプ12によって所定のレベルに増幅される。第1発振回路13は、あらかじめ規定した周波数を発振する固定周波数発振回路であって、例えば水晶発振回路である。第1発振回路13において、アンプ12から入力された音声信号によって上記の固定周波数である基準信号を変調して、第1周波数信号を生成し、これを混合回路15に出力する。
【0014】
第2発振回路14は、送信周波数を可変させるために、所定の範囲で発振周波数を可変させることができる可変発信回路であって、例えば、PLL方式の発振回路である。第2発振回路14は、図1において、図示しない送信チャンネル選択スイッチと、この選択スイッチの状態を検知して、第2発振周波数を設定する制御回路によって、所定の範囲で周波数を可変させることができる。
【0015】
混合回路15は、第1発振回路から出力された第1周波数信号と、第2発振回路から供給される第2周波数信号を混合して出力する。例えば、上記の第1周波数が62.5MHzであって、第2周波数が65MHzから67MHzの間で可変可能であるとき、混合回路15から出力される信号の周波数(送信周波数)は2.5MHz(65MHz−62.5MHz)から4.5MHz(67MHz−62.5MHz)の間で可変される周波数を出力する。
【0016】
混合回路15から出力される信号をフィルター回路16によって濾過して所定の周波数の信号を得て、アンプ17によって増幅してアンテナ18から送信することで、所定の送信チャンネルを使用するワイヤレスマイクロホンとして動作させることができる。
【0017】
上記のような構成を有するワイヤレスマイクロホン1によれば、音声信号によって変調される基準信号の周波数は、第一発振回路によって固定されているので、送信周波数によって変調度が変化することがなく、送信チャンネルによって音量がバラつくなどの従来方式の欠点を解消したワイヤレスマイクロホンを得ることができる。
なお、上記のアンテナ18の代わりに、赤外線LEDを用いることで、本発明に係るワイヤレスマイクロホンは赤外線ワイヤレスマイクロホンとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るワイヤレスマイクロホンの実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0019】
11 アンテナ
13 第1発振回路
14 第2発振回路
15 混合回路
16 フィルター回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を電気的な音声信号に変換し無線媒体を介して送信するワイヤレスマイクロホンであって、
上記音声信号によって変調される第1周波数を発振する第1発振回路と、
上記無線媒体の送信周波数を変更する第2周波数を発振する第2発振回路と、
上記第1周波数と上記第2周波数を混合して出力する混合回路と、
上記混合回路の出力から所定の周波数を濾過するフィルター回路と、を有することを特徴とするワイヤレスマイクロホン。
【請求項2】
上記第1発振回路は、予め設定した周波数を発振する固定発振回路であり、
上記第2発振回路は、所定の範囲で発振周波数を可変することができる可変発振回路であり、
上記混合回路は、可変周波数から固定周波数を減じて出力する回路であることを特徴とする請求項1記載のワイヤレスマイクロホン。
【請求項3】
上記第1発振回路は、水晶発振器であり、
上記第2発振回路は、PLL方式の発振器であることを特徴とする請求項1記載のワイヤレスマイクロホン。
【請求項4】
上記無線媒体は、赤外線であること特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のワイヤレスマイクロホン。
【請求項5】
上記無線媒体は、電波であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のワイヤレスマイクロホン。

【図1】
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