説明

ワイヤレス書画システム、およびこれに用いられる書画装置、映像表示装置

【課題】ワイヤレスで好適に映像信号を伝送可能なワイヤレス書画システムおよびこれに用いられる書画装置、映像表示装置を提供する。
【解決手段】ワイヤレス書画システムは、書画装置と映像表示装置を備える。前記書画装置は、被写体を撮影し、前記被写体の映像信号を出力する書画入力手段と、前記書画入力手段から出力された映像信号を送信する第1の無線通信手段とを備える。そして、前記映像表示装置は、前記書画装置から送信された映像信号を受信する第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信手段により受信された映像信号を出力する出力手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影手段により撮影した被写体の映像信号をワイヤレスで伝送可能なワイヤレス書画システム、およびこれに用いられる書画装置、映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被写体の有無又は被写体の動きの有無を検出する被写体検出手段と、検出された結果に応じた制御命令を映像表示装置に送信する送信手段と、被写体の大きさに対応して撮像範囲を切り替える撮像範囲切替手段とを備え、被写体の有無又は被写体の動きの有無が検出されたときには撮像範囲を固定し、様々な大きさの原稿に対応して撮像範囲を切り替え、適正な変倍調整を行う書画カメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−281349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図1に記載のように、書画装置から映像表示装置に被写体の映像信号をケーブルなどの有線により伝送する場合、ケーブルの長さなどにより書画装置と映像表示装置の設置場所が制限されるため、ワイヤレスで映像信号を送信可能な書画装置が求められている。
【0005】
しかし、ワイヤレスで映像信号を送信する場合、カメラ出力の高精細(High-Definition)化が進むに従って書画装置の撮像手段により取得される映像信号のデータサイズが大きくなっているため、データを圧縮しないままでは、例えばIEEE802.11nの規格に準拠した無線通信方式を用いたとしても送信に時間がかかり、書画装置で書類等を撮影してから、その映像を映像表示装置で表示するまでに時間差が生じてしまう可能性がある。一方、データを圧縮して送信する場合、書画装置側での圧縮処理と映像表示装置側での伸張処理に時間を要し、同様に時間差が生じてしまう可能性がある。このような遅延が発生した場合、プレゼンテーションなどを行う場合に使い勝手が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、ワイヤレスで好適に映像信号を伝送可能なワイヤレス書画システムおよびこれに用いられる書画装置、映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ワイヤレス書画システムは、書画装置と映像表示装置を備える。前記書画装置は、被写体を撮影し、前記被写体の映像信号を出力する書画入力手段と、前記書画入力手段から出力された映像信号を送信する第1の無線通信手段とを備える。そして、前記映像表示装置は、前記書画装置から送信された映像信号を受信する第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信手段により受信された映像信号を出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワイヤレスで好適に映像信号を伝送可能なワイヤレス書画システムおよびこれに用いられる書画装置、映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ワイヤレス書画システムの一例を示す図である。
【図2】ワイヤレス書画システムの一例を示す図である。
【図3】ワイヤレス書画システムの一例を示す図である。
【図4】ワイヤレス書画システムの一例を示す図である。
【図5】ミリ波通信手段の構成例を示す図である。
【図6】ミリ波通信手段の構成例を示す図である。
【図7】ワイヤレス書画システムの一例を示す図である。
【図8】アンテナ付ミリ波高周波デバイスの一例を示す図である。
【図9】液晶プロジェクタの一例を示す図である
【図10】液晶プロジェクタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、書画装置と映像表示装置を有するワイヤレス書画システムの一例を示す図である。本例では、圧縮・伸張処理による遅延発生を防止するために、高精細映像を非圧縮で伝送可能なミリ波無線通信を用いて、書画装置から映像表示装置に映像信号を送信する。
【0011】
書画装置100は、CCDカメラ等により台の上に配置された被写体を撮影し、被写体の映像信号を出力する書画入力手段102を備える。書画入力手段102は、アーム101bを介してアーム101aに取り付けられ、書画入力手段102の上部にミリ波通信手段103を配置している。書画入力手段102から出力された映像信号は、ミリ波通信手段103によりワイヤレスで液晶プロジェクタ105に送信される。
【0012】
液晶プロジェクタ105は天井から天井吊り支柱107に取り付けられ、アンテナ付きミリ波高周波半導体デバイス108は投影レンズ106と同じ側、すなわち投影スクリーン104と対向する面に配置されている。書画装置100から送信された映像信号は、図1の例では、主に前方の壁に反射する電波伝搬経路150aや投影スクリーン104で反射する電波伝搬経路150bなどを介して、アンテナ付きミリ波高周波半導体デバイス108により受信され、受信した映像信号は投射レンズ106から投影スクリーン104に投影される。
【0013】
ミリ波無線通信は、非圧縮で高精細映像を送信できるという利点がある一方、伝送経路上に障害物などがあったり、ビームフォーミングの領域を外れたりすると、安定した伝送を行うことができないという課題を有する。本例では、ミリ波通信手段103を、書画入力手段102の上部に配置することにより、例えばユーザが書類などの被写体を設置する場合などにも伝送経路を遮られ難く、また、書画装置100の周りに他の物体がある場合でも少なくともアーム101bの長さ分の距離を離すことができるため、直進性の強いミリ波の電波伝搬を行うことができる可能性を高くすることができる。このようにミリ波通信手段103を配置することにより、例えば図2に示すように液晶プロジェクタ105を床に置かれた台120に配置するなど、他の場所に配置した場合であっても、前方の壁に反射する電波伝搬経路150cや前方の投影スクリーン104で反射する電波伝搬経路150dなどを介して、書画装置100から液晶プロジェクタ105に安定した伝送を行うことができる。
【0014】
なお、図1および図2の例では、ミリ波通信手段103を書画入力手段102の上部に配置しているが、これに限定するものではない。例えば、図3及び図4の例に示すように、書画入力手段102が取り付けられているアーム101bが回転するなど、書画入力手段102の傾きを変えることができるように構成する場合、書画入力手段102が下向きあるいは横向きなど、向きを変えて使用される場合に影響を受けることを防止するため、アーム101aの上部にミリ波通信手段103を配置するようにしても良い。
【0015】
また、図1及び図2の例では、図9に示すようにアンテナ付き高周波半導体デバイス108を投影レンズ105の配置面と同じ側に配置した液晶プロジェクタ105を用いている。そして、図3及び図4の例では、図10に示すように、アンテナ付き高周波半導体デバイス108を、例えば液晶プロジェクタ105の上面など、投影レンズ105の配置面と垂直になっている面に配置した液晶プロジェクタ105を用いている。しかし、これらの組み合わせに限定するものではなく、図1及び図2に示す書画装置100と図10に示す液晶プロジェクタ105を組み合わせて用いても良いし、図3及び図4に示す書画装置100と図9に示す液晶プロジェクタ105を組み合わせて用いても良い。図9に示す液晶プロジェクタ105は、主に前面の投影スクリーン側からの反射波を有効に用いて動作し、図10に示す液晶プロジェクタ105は、主に天井あるいは床の反射波を有効に用いて動作するため、使用形態に応じて組み合わせを選択することが望ましい。なお、図9,10において、120は足である。また、図示していないが、アンテナ付き高周波半導体デバイス108は剥き出しではなく、必要なカバーや取り付け穴などを用いて取り付けられても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0016】
図5は、ミリ波通信手段103の構成例を示す図である。ミリ波通信手段103には、内部にアンテナ付き高周波半導体デバイス400がアンテナ面410が水平になるように配置されている。このように、アンテナ面410が水平になるように配置した場合、主に部屋の天井と床方向の反射波を用いてミリ波無線通信を行う場合に有効である。また、図6に示すように、アンテナ面410が垂直になるように配置しても良い。この場合、主に部屋の壁方向の反射を用いたミリ波無線通信に有効である。そのため、書画システムを設置する場所に応じて、使用するミリ波通信手段103を選択することが望ましい。
【0017】
なお、図8(1)に示すように、アンテナ付き高周波半導体デバイス400のアンテナ面410には、アンテナ素子401が複数並んだアレーアンテナが取り付けられている。また、図8(2)に示すように、アンテナ付き高周波半導体デバイス400には、アンテナ素子401の他に、ビームフォーミング手段403と、ミリ波送受信手段が設けられている。ビームフォーミング手段403とミリ波送受信手段403は、例えば図8(1)のアンテナ面410に対して反対面に配置される。アンテナ401はビームフォーミング手段403によって、アンテナ素子401が複数並んだアレーアンテナが制御されて送信アンテナあるいは受信アンテナの指向性パターンが形成され、受信時はアンテナ401で受信したミリ波信号がミリ波送受信手段404へ導かれて受信処理される、また、送信はミリ波送受信手段404からの送信信号がアンテナ401に導かれて発射される。ビームフォーミング手段403は独立した機能ブロックで示したが、これに限らず、アンテナ面410に構成されたりミリ波送受信手段の中に構成されても良い。図示していないが液晶プロジェクタ105側のアンテナ付き高周波半導体デバイス108も図8(1)と図8(2)と同様の構造を持つ。なお、ミリ波送受信手段の情報送信速度は、書画装置100のアンテナ付き高周波半導体デバイス400と液晶プロジェクタ105のアンテナ付き高周波半導体デバイス108は同じ必要はなく、映像信号を送信する書画装置100のアンテナ付き高周波半導体デバイス400から液晶プロジェクタ105のアンテナ付き高周波半導体デバイス108方向への情報送信速度が高い構成をとることにより、電波資源の有効利用が図られる。
【0018】
図5や図6に示すようにアンテナ面410の配置方向や、図8(1)に示すようにアンテナ素子401の方向によって、電波伝搬経路が異なる。そのため、図1等の例において、ミリ波通信手段103を例えば10aあるいは10b方向に回転可能にすることにより、書画装置100と液晶プロジェクタ105を設置した後であっても、ミリ波の電波伝搬経路の最適化を図ることができる。
【0019】
この場合、例えば図7に示すように、投影スクリーン104に受信信号の強度や品質を表示し、ユーザにミリ波通信手段103の向きを回転させたり、書画装置100や液晶プロジェクタ105の配置を変更することを促すことができる。具体的には、液晶プロジェクタ105に、ミリ波無線通信の信号強度あるいはビット誤り率やパケット誤り率などの信号品質を測定する手段を設け、リモコン300で無線信号レベルの表示ボタン301が押されると、受信した信号強度あるいは信号品質を例えばバーグラフ112で表示する。書画装置100のユーザーは、バーグラフ112を見ながら、ミリ波通信手段103を回転させて、バーグラフ112が最大あるいは最良になるように調整することにより、効率よく調整することができる。また、ユーザによる手動調整に限らず、信号強度あるいは信号品質が最適になるように液晶プロジェクタ105からミリ波通信手段103の回転を指示する制御信号を送信し、自動的にミリ波通信手段103の位置調整を行うようにしても良い。
【0020】
以上説明したように、本例によれば、ミリ波無線通信により非圧縮の映像信号を伝送するため、圧縮伸張処理に時間を要することなく、高精細の映像信号であっても、ワイヤレスであっても好適に伝送することができる。
【0021】
なお、以上の説明では、映像表示装置として、書画装置から受信した映像信号を投射レンズから投影スクリーンに投影する液晶プロジェクタを例に説明を行ったが、これに限定するものではない。映像表示装置にディスプレイを備え、書画装置から受信した映像信号を表示するようにしても良い。また、映像表示装置とは別にディスプレイを設け、書画装置から受信した映像信号を有線あるいは無線によりディスプレイに送信するようにしても良い。また、ミリ波通信手段の設置場所は、図1や図3等の場所を限定するものではなく、例えば、アーム101bに搭載しても良い。
【符号の説明】
【0022】
100 書画装置
102 書画入力手段
103 ミリ波通信手段
104 投影スクリーン
105 液晶プロジェクタ
106 液晶プロジェクタの投射レンズ
108 アンテナ付きミリ波高周波半導体デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書画装置と映像表示装置を備えたワイヤレス書画システムであって、
前記書画装置は、被写体を撮影し、前記被写体の映像信号を出力する書画入力手段と、前記書画入力手段から出力された映像信号を送信する第1の無線通信手段と、を備え、
前記映像表示装置は、前記書画装置から送信された映像信号を受信する第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信手段により受信された映像信号を出力する出力手段と、を備えていることを特徴とするワイヤレス書画システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信手段および第2の無線通信手段は、ミリ波無線通信により通信を行う無線通信手段であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス書画システム。
【請求項3】
前記第1の無線通信手段は、前記書画入力手段の上部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤレス書画システム。
【請求項4】
前記書画装置は、前記被写体を置く配置台と、前記配置台に垂直方向に設けれた第1のアームと、前記第1のアームに接続された第2のアームと、を有し、
前記書画入力手段は前記第2のアームの一方に回転可能に搭載されており、前記第1の無線通信手段は前記第1のアームの上部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤレス書画システム。
【請求項5】
前記映像表示装置は、前記第2の無線通信手段により受信した映像信号の信号強度または信号品質を測定する測定手段を備え、
前記測定手段により測定した信号強度または信号品質を示す情報を前記出力手段により出力あるいは前記第2の無線通信手段により前記書画装置に送信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のワイヤレス書画システム。
【請求項6】
被写体を置く配置台と、
前記配置台に置かれた被写体を撮影し、前記被写体の映像信号を出力する書画入力手段と、
前記書画入力手段から出力された映像信号をミリ波無線通信により送信する無線通信手段と、
を備えていることを特徴とする書画装置。
【請求項7】
前記無線通信手段は、前記書画入力手段の上部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の書画装置。
【請求項8】
前記書画装置は、前記配置台に垂直方向に設けれた第1のアームと、前記第1のアームに接続された第2のアームと、を有し、
前記書画入力手段は前記第2のアームの一方に回転可能に搭載されており、前記第1の無線通信手段は前記第1のアームの上部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の書画装置。
【請求項9】
撮影した被写体の映像信号を送信する書画装置と通信可能な映像表示装置であって、
前記書画装置から送信された映像信号をミリ波無線通信により受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段により受信された映像信号を出力する出力手段と、
を備えていることを特徴とする映像表示装置。
【請求項10】
前記映像表示装置は、前記無線通信手段により受信した映像信号の信号強度または信号品質を測定する測定手段を備え、
前記測定手段により測定した信号強度または信号品質を示す情報を前記出力手段により出力あるいは前記無線通信手段により前記書画装置に送信することを特徴とする請求項9に記載の映像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−234146(P2011−234146A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102830(P2010−102830)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】