ワイヤロープ探傷装置
【課題】ワイヤロープの欠陥が高いS/N比で検出され、また、ワイヤロープが停止している状態でも欠陥が検出されるワイヤロープ探傷装置を得る。
【解決手段】ワイヤロープ1の長手方向にバイアス磁界を印加してワイヤロープ1を磁化する一対の永久磁石2a,2bと、磁化されたワイヤロープ1を取り囲むように一対の永久磁石2a,2b間に配設され、磁化されたワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出し、漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイル6とを備えワイヤロープ1の欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、交流電源5が接続され、バイアス磁界に重畳して磁化されたワイヤロープ1の長手方向に交番磁界を印加する励磁コイル4と、検出コイル6の出力信号の成分から交流電源5の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路20とを備えたものとする。
【解決手段】ワイヤロープ1の長手方向にバイアス磁界を印加してワイヤロープ1を磁化する一対の永久磁石2a,2bと、磁化されたワイヤロープ1を取り囲むように一対の永久磁石2a,2b間に配設され、磁化されたワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出し、漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイル6とを備えワイヤロープ1の欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、交流電源5が接続され、バイアス磁界に重畳して磁化されたワイヤロープ1の長手方向に交番磁界を印加する励磁コイル4と、検出コイル6の出力信号の成分から交流電源5の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路20とを備えたものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープの欠陥を漏洩磁束を利用して検出するワイヤロープ探傷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤロープ探傷装置は、ワイヤロープを磁化する磁石と、磁石のN極とS極との間に配置された検出コイルとを備えている。ワイヤロープが磁石のN極とS極との間を走行するようにして、ワイヤロープを長手方向に磁化する。そして、検出コイルが磁化されたワイヤロープから漏洩する漏洩磁束を検出することにより、ワイヤロープの欠陥が検査される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−122074号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のようなワイヤロープ探傷装置は、検出コイルに鎖交する漏洩磁束の変化を検出する構成であるので、ワイヤロープの欠陥以外のノイズ成分、例えば、ワイヤロープの振動による漏洩磁束の変動や外来磁気といったノイズを欠陥信号と区別することが難しいという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献1のようなワイヤロープ探傷装置は、ワイヤロープ走行時に検出コイルに生じる速度起電力を検出する方式を採用しているため、ワイヤロープ停止時に欠陥を検出することができないという問題もあった。
【0006】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、ワイヤロープの欠陥が高いS/N比で検出され、また、ワイヤロープが停止している状態でも欠陥が検出されるワイヤロープ探傷装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るワイヤロープ探傷装置は、ワイヤロープの長手方向にバイアス磁界を印加して上記ワイヤロープを磁化する一対の永久磁石と、磁化されたワイヤロープを取り囲むように上記一対の永久磁石間に配設され、上記磁化されたワイヤロープからの漏洩磁束を検出し、上記漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイルとを備えた上記ワイヤロープの欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、
交流電源が接続され、上記バイアス磁界に重畳して上記磁化されたワイヤロープの長手方向に交番磁界を印加する励磁コイルと、
上記検出コイルの出力信号から上記交流電源の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るワイヤロープ探傷装置によれば、ワイヤロープの長手方向にバイアス磁界を印加して上記ワイヤロープを磁化する一対の永久磁石と、磁化されたワイヤロープを取り囲むように上記一対の永久磁石間に配設され、上記磁化されたワイヤロープからの漏洩磁束を検出し、上記漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイルとを備えた上記ワイヤロープの欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、
交流電源が接続され、上記バイアス磁界に重畳して上記磁化されたワイヤロープの長手方向に交番磁界を印加する励磁コイルと、
上記検出コイルの出力信号から上記交流電源の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路とを備えたものであるので、欠陥信号を高いS/N比で検出でき、また、ワイヤロープが停止している状態でも欠陥を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1によるワイヤロープ探傷装置を示す側面図である。
【図2】図1のワイヤロープの長手方向の中心を通る断面図である。
【図3】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープの磁化状態を説明するグラフである。
【図4】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープとワイヤロープ探傷装置の磁気回路を示す回路図である。
【図5】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置の検出回路の構成を示す回路図である。
【図6】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置に欠陥のあるワイヤロープを一定速度で通過させたときの出力信号を示すグラフである。
【図7】本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態2を示す側面図である。
【図8】実施の形態2によるワイヤロープ探傷装置の検出回路の構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態2におけるワイヤロープ探傷装置の検出信号を示す模式図である。
【図10】本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態3を示す側面図である。
【図11】矩形波電源から高調波の基準信号を出力する回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態1を示す側面図である。本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置は、略直方体形状の強磁性体で構成された磁気ヨーク3と、磁気ヨーク3に所定の間隔で連結され、ワイヤロープ1の長手方向にバイアス磁界を印加してワイヤロープ1を磁化する互いに極性の異なる一対の永久磁石2a、2bと、永久磁石2a、2bの中間部に配置され磁化されたワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出し、この漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイル6と、磁気ヨーク3の外周に巻回され、交流電源5が接続され、バイアス磁界に重畳して磁化されたワイヤロープ1の長手方向に交番磁界を印加する励磁コイル4と、交流電源5と検出コイル6とに接続された検波回路20とを備えている。
【0011】
永久磁石2a,2b及び検出コイル6は、図1では、紙面の上方が開口した略U字状になっているが、走行するワイヤロープ1が、永久磁石2a,2b及び検出コイル6の内周面に当接する形状であればよい。ワイヤロープ1は、永久磁石2a,2b間で磁化され、検出コイル6は、ワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出する。
【0012】
永久磁石2a,2bは、ワイヤロープ1を飽和に近い状態まで磁化することができるようにするため、Nd−Fe−B磁石などの希土類磁石を用いる。なお、略U字状等のワイヤロープと当接する部分は鉄などの強磁性体で構成し、この強磁性体で構成した部分を永久磁石2a,2bに結合してもよい。
【0013】
励磁コイル4は線径φ0.1〜0.3のマグネットワイヤを数百ターン巻回したものである。励磁コイル4に接続された交流電源5は周波数100Hz程度で約100mAの電流が供給されている。
【0014】
検出コイル6は線径φ0.03〜0.1のマグネットワイヤを数百〜数千ターン巻回したものである。検出コイル6は予め小判形状に巻回し熱融着した平板に形成される。その後、平板は、ワイヤロープ1からの漏洩磁束と鎖交することができるように、略U字状に成形される。
【0015】
図2は、図1のワイヤロープの長手方向の中心を通る断面図であり、ワイヤロープ1とワイヤロープ探傷装置内の磁束の流れを模式的に示している。図2に示したように、ワイヤロープ1、永久磁石2a,2b及び磁気ヨーク3によって閉磁路が形成される。ワイヤロープ1は永久磁石2a,2bによって長手方向一方向(図2では左から右)にほぼ飽和状態まで磁化される。ワイヤロープの欠陥7に遮られた磁束はワイヤロープ1が飽和しているため、ワイヤロープ1の外部に漏れ出して漏洩磁束19を生じる。ワイヤロープ1が走行し、欠陥7が検出コイル6の付近を通過する際に漏洩磁束19が検出コイル6と鎖交する。さらに、励磁コイル4に流れる交流電流の磁化作用によって、漏洩磁束19はその大きさが一定の周波数で脈動する。
【0016】
図3は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープの磁化状態を説明するグラフである。グラフの横軸は起磁力(アンペアターン)であり、縦軸は磁束であり、グラフはワイヤロープ1の磁化曲線8を模式的に示している。ワイヤロープ1は永久磁石2a,2bの作用(バイアス磁界)によって磁気飽和に近いA点まで磁化され、さらに、励磁コイル4の作用によってA点を中心にB点とC点の間で磁化の強さが交流電源5から出力される電圧信号の周波数で変動する。
【0017】
図4は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープ1とワイヤロープ探傷装置の磁気回路を示す回路図であり、図2の断面図に磁気回路を重ねて描いた模式図である。図4において、磁路抵抗Ra,Rbはワイヤロープ1の一部の磁路抵抗で、それぞれ、永久磁石2a,2bとの当接面から欠陥7までの間の磁路抵抗を表している。また、磁路抵抗Rcは欠陥7の周囲の空間の磁路抵抗を表し、磁路抵抗Rdは欠陥7を除くワイヤロープ1内部の磁路抵抗を表している。起磁力Fdcは永久磁石2a,2bの起磁力を表し、起磁力Facは励磁コイル4の起磁力を表している。図2に示した漏洩磁束19は、図4の磁路抵抗Rcを流れる磁束に相当する。磁路抵抗Rcと磁路抵抗Rdとを流れる磁束の大きさの比は、磁路抵抗Rcと磁路抵抗Rdの逆数の比に比例する。すなわち、磁路抵抗Rdが大きいほど磁路抵抗Rcに流れる磁束(漏洩磁束19)が増加し、検出コイル6による検出が容易になる。一般に強磁性体の磁路抵抗は磁気飽和に近づくほど大きくなるから、バイアス磁界を印加することで磁路抵抗Rdを大きくし、磁路抵抗Rcを流れる漏洩磁束19を相対的に増加させることができる。
【0018】
図5は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置の検波回路20の構成を示す回路図である。図5を用いて検波回路20の作用を説明する。磁化されたワイヤロープ1からの漏洩磁束に対応した出力電圧が検出コイル6から出力され、出力電圧は、まず、抵抗R1,R2とキャパシタCとからなるノーマルモードフィルタ10を通されることで約1kHz以上の高周波ノイズが除去される。次に、高周波ノイズが除去された電圧は、抵抗R3〜R6とオペアンプOPとからなる差動増幅回路11を通されて10〜100倍に増幅され、さらに、乗算器12によって基準信号(この場合は、励磁コイル4へ入力する交流電源5の電圧信号)が乗算される。このとき、交流電源5の電圧信号の周波数(以下、励磁周波数と称す)をf1、差動増幅回路11の出力信号の周波数をf2とすると、乗算器12の出力は、振幅をPとして、P×(cos2πf1t×cos2πf2t)=P×{cos2π(f1−f2)t+cos2π(f1+f2)t}/2となる。したがって、乗算器12の出力は、f1=f2の場合、すなわちf2にf1以外の周波数を含んでいない場合には直流成分(周波数=0)と励磁周波数の2倍周波数(2f1)の交流成分の合成となり、2倍周波数(2f1)の交流波形がオフセットしたような波形(後述の図6(b))が得られる。一方、乗算器12の出力は、f1≠f2、すなわち、f2にf1以外のノイズなどの周波数を含んでいる場合には、両者の周波数の差と和に等しい2つの交流波形の合成となる。乗算器12の出力信号は低いカットオフ周波数(約10Hz)に設定されたローパスフィルタ13を通すことで前述の直流成分(交流電源5が出力する電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅)のみが抽出される。このように、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置の検波回路20は、検出コイル6の出力信号の成分から、励磁周波数に等しい周波数と等しい成分の振幅を検波することができる。
【0019】
図6は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置に欠陥のあるワイヤロープを一定速度で通過させたときの出力信号を示すグラフである。図6において、横軸は時間、縦軸は電圧である。図6(a)は、差動増幅器11からの出力信号である。図6(a)の出力信号中における細かい波が励磁周波数に対応した出力信号であり、振幅が時間軸方向に緩やかに変動しているのは、ワイヤロープ1のストランドの撚りによるものである。1箇所あるスパイク状の信号16,17,18がワイヤロープの欠陥によるものである。図6(b)は、乗算器12の出力信号であり、図6(a)の信号に励磁コイル5への入力信号を乗算したものである。図6(c)は、ローパスフィルタ13の出力信号であり、図6(b)の信号から高周波の成分が除去されてS/N比が向上している。
【0020】
本実施の形態1の構成により、検出コイル6の出力信号の成分中から励磁周波数に等しい周波数の出力電圧の成分の振幅のみを抽出できるようにしたので、ワイヤロープの振動による漏洩磁束の変動や外来磁気によるノイズ(周波数が不定)を打消して、S/N比の高い検出ができるようになる。
【0021】
また、励磁コイル5によって交流磁界を発生させているので、ワイヤロープが停止した状態でも欠陥を検出することができる。
【0022】
実施の形態2.
図7は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態2を示す側面図である。図7に示したように、この実施の形態2のワイヤロープ探傷装置は、励磁コイル4に互いに周波数が異なる複数の交流電源5a,5bを直列接続している。この実施の形態2において、例えば、交流電源5aの周波数は1kHzとし、交流電源5bの周波数は100Hzとする。
【0023】
図8は、本実施の形態2におけるワイヤロープ探傷装置の検波回路20の構成を示す回路図である。図8に示したように、乗算器とローパスフィルタからなる検波回路を2個設ける。乗算器12aにはオペアンプOP1を通して交流電源5aの周波数の電圧信号が入力される。乗算器12bにはオペアンプOP2を通して交流電源5bの周波数の電圧信号が入力される。ローパスフィルタ13a,13bのカットオフ周波数は、直流成分が通過できればよいので約10Hzに設定する。この検波回路20により、ローパスフィルタ13a,13bからはそれぞれ、検出コイル6の出力信号のうち1kHz成分の振幅に比例する信号と100Hz成分の振幅に比例する信号が判別回路22に出力される。個々の出力波形は実施の形態1と同様である。
【0024】
本実施の形態2のワイヤロープ探傷装置によれば、ワイヤロープ1の欠陥7が表面から深い部分にあるか浅い部分にあるかを判別できる。なぜなら、表皮効果によって高周波数の磁界はワイヤロープ1の表面付近の浅い部分にしか侵入できないが、低周波数の磁界はワイヤロープ1の表面から深い部分にも侵入できるからである。
【0025】
図9は、本実施の形態2におけるワイヤロープ探傷装置の検出信号を示す模式図であり、図9(a)は、断線がワイヤロープ1の表面付近の浅い部分にある場合であり、図9(b)は、断線がワイヤロープ1の表面から深い部分にある場合である。図9(a)に示したように、表面付近に欠陥がある場合には、高周波数による検出信号と低周波数による検出信号の両方とが現れるが、図9(b)に示したように、深い位置に欠陥がある場合には、高周波数による検出信号は現れず、低周波数による検出信号が現れる。両検出信号は、判別回路22に入力され、両方の検出信号がある場合には欠陥が浅い位置にあると判断され、低周波数による検出信号のみがある場合には、欠陥が深い位置にあると判断される。
【0026】
実施の形態3.
図10は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態3を示す側面図である。図10に示したように、複数の交流電源を直列接続する替わりに、交流電源に矩形波の交流電圧を発生する矩形波電源5cを用いることによって上記実施の形態2と同様の効果が得られる。その理由は、矩形波の交流電圧は基本周波数の奇数次の高調波を含むため、1個の電源で複数の周波数の交流電源を印加したのと同様の効果が得られるからである。
【0027】
図11は、矩形波電源5cと検出コイル6に接続された矩形波検波回路20aを示す回路図である。図11に示したように、矩形波電源5cの奇数倍次の周波数を通過するバンドパスフィルタ(BPF)21を矩形波電源5cに並列接続し、高調波の基準信号を乗算器12a1〜12anに出力することができる。また、検出コイル6の出力信号がノーマルモードフィルタ10及び差動増幅器11を通って、各乗算器12a1〜12anに出力され、各乗算器12a1〜12anの出力は各周波数f〜(2n+1)fに対応するローパスフィルタ13a1〜13anを通って矩形波判別回路22aに入力され、矩形波判別回路22aにおいて各周波数f〜(2n+1)における検出信号から、欠陥7の深さをより細かく調べることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係るワイヤロープ探傷装置は、昇降機等に用いられているワイヤロープの欠陥を設置現場において検出するのに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ワイヤロープ、2a,2b 磁石、3 磁気ヨーク、4 励磁コイル、
5,5a,5b 交流電源、5c 矩形波電源、6 検出コイル、7 欠陥、
8 磁化曲線、10 ノーマルモードフィルタ、11 差動増幅器、
12,12a1〜12an 乗算器、13,13a1〜13an ローパスフィルタ、
14〜18,18a〜18d 検出信号、19 漏洩磁束、Ra〜Rd 磁路抵抗、
Fac,Fdc 起磁力、R1〜R6 抵抗、C キャパシタ、
OP,OP1、OP2 オペアンプ、20 検波回路、20a 矩形波検波回路、
21 バンドパスフィルタ、22 判別回路、22a 矩形波判別回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープの欠陥を漏洩磁束を利用して検出するワイヤロープ探傷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤロープ探傷装置は、ワイヤロープを磁化する磁石と、磁石のN極とS極との間に配置された検出コイルとを備えている。ワイヤロープが磁石のN極とS極との間を走行するようにして、ワイヤロープを長手方向に磁化する。そして、検出コイルが磁化されたワイヤロープから漏洩する漏洩磁束を検出することにより、ワイヤロープの欠陥が検査される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−122074号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のようなワイヤロープ探傷装置は、検出コイルに鎖交する漏洩磁束の変化を検出する構成であるので、ワイヤロープの欠陥以外のノイズ成分、例えば、ワイヤロープの振動による漏洩磁束の変動や外来磁気といったノイズを欠陥信号と区別することが難しいという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献1のようなワイヤロープ探傷装置は、ワイヤロープ走行時に検出コイルに生じる速度起電力を検出する方式を採用しているため、ワイヤロープ停止時に欠陥を検出することができないという問題もあった。
【0006】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、ワイヤロープの欠陥が高いS/N比で検出され、また、ワイヤロープが停止している状態でも欠陥が検出されるワイヤロープ探傷装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るワイヤロープ探傷装置は、ワイヤロープの長手方向にバイアス磁界を印加して上記ワイヤロープを磁化する一対の永久磁石と、磁化されたワイヤロープを取り囲むように上記一対の永久磁石間に配設され、上記磁化されたワイヤロープからの漏洩磁束を検出し、上記漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイルとを備えた上記ワイヤロープの欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、
交流電源が接続され、上記バイアス磁界に重畳して上記磁化されたワイヤロープの長手方向に交番磁界を印加する励磁コイルと、
上記検出コイルの出力信号から上記交流電源の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るワイヤロープ探傷装置によれば、ワイヤロープの長手方向にバイアス磁界を印加して上記ワイヤロープを磁化する一対の永久磁石と、磁化されたワイヤロープを取り囲むように上記一対の永久磁石間に配設され、上記磁化されたワイヤロープからの漏洩磁束を検出し、上記漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイルとを備えた上記ワイヤロープの欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、
交流電源が接続され、上記バイアス磁界に重畳して上記磁化されたワイヤロープの長手方向に交番磁界を印加する励磁コイルと、
上記検出コイルの出力信号から上記交流電源の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路とを備えたものであるので、欠陥信号を高いS/N比で検出でき、また、ワイヤロープが停止している状態でも欠陥を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1によるワイヤロープ探傷装置を示す側面図である。
【図2】図1のワイヤロープの長手方向の中心を通る断面図である。
【図3】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープの磁化状態を説明するグラフである。
【図4】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープとワイヤロープ探傷装置の磁気回路を示す回路図である。
【図5】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置の検出回路の構成を示す回路図である。
【図6】実施の形態1のワイヤロープ探傷装置に欠陥のあるワイヤロープを一定速度で通過させたときの出力信号を示すグラフである。
【図7】本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態2を示す側面図である。
【図8】実施の形態2によるワイヤロープ探傷装置の検出回路の構成を示す回路図である。
【図9】実施の形態2におけるワイヤロープ探傷装置の検出信号を示す模式図である。
【図10】本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態3を示す側面図である。
【図11】矩形波電源から高調波の基準信号を出力する回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態1を示す側面図である。本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置は、略直方体形状の強磁性体で構成された磁気ヨーク3と、磁気ヨーク3に所定の間隔で連結され、ワイヤロープ1の長手方向にバイアス磁界を印加してワイヤロープ1を磁化する互いに極性の異なる一対の永久磁石2a、2bと、永久磁石2a、2bの中間部に配置され磁化されたワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出し、この漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイル6と、磁気ヨーク3の外周に巻回され、交流電源5が接続され、バイアス磁界に重畳して磁化されたワイヤロープ1の長手方向に交番磁界を印加する励磁コイル4と、交流電源5と検出コイル6とに接続された検波回路20とを備えている。
【0011】
永久磁石2a,2b及び検出コイル6は、図1では、紙面の上方が開口した略U字状になっているが、走行するワイヤロープ1が、永久磁石2a,2b及び検出コイル6の内周面に当接する形状であればよい。ワイヤロープ1は、永久磁石2a,2b間で磁化され、検出コイル6は、ワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出する。
【0012】
永久磁石2a,2bは、ワイヤロープ1を飽和に近い状態まで磁化することができるようにするため、Nd−Fe−B磁石などの希土類磁石を用いる。なお、略U字状等のワイヤロープと当接する部分は鉄などの強磁性体で構成し、この強磁性体で構成した部分を永久磁石2a,2bに結合してもよい。
【0013】
励磁コイル4は線径φ0.1〜0.3のマグネットワイヤを数百ターン巻回したものである。励磁コイル4に接続された交流電源5は周波数100Hz程度で約100mAの電流が供給されている。
【0014】
検出コイル6は線径φ0.03〜0.1のマグネットワイヤを数百〜数千ターン巻回したものである。検出コイル6は予め小判形状に巻回し熱融着した平板に形成される。その後、平板は、ワイヤロープ1からの漏洩磁束と鎖交することができるように、略U字状に成形される。
【0015】
図2は、図1のワイヤロープの長手方向の中心を通る断面図であり、ワイヤロープ1とワイヤロープ探傷装置内の磁束の流れを模式的に示している。図2に示したように、ワイヤロープ1、永久磁石2a,2b及び磁気ヨーク3によって閉磁路が形成される。ワイヤロープ1は永久磁石2a,2bによって長手方向一方向(図2では左から右)にほぼ飽和状態まで磁化される。ワイヤロープの欠陥7に遮られた磁束はワイヤロープ1が飽和しているため、ワイヤロープ1の外部に漏れ出して漏洩磁束19を生じる。ワイヤロープ1が走行し、欠陥7が検出コイル6の付近を通過する際に漏洩磁束19が検出コイル6と鎖交する。さらに、励磁コイル4に流れる交流電流の磁化作用によって、漏洩磁束19はその大きさが一定の周波数で脈動する。
【0016】
図3は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープの磁化状態を説明するグラフである。グラフの横軸は起磁力(アンペアターン)であり、縦軸は磁束であり、グラフはワイヤロープ1の磁化曲線8を模式的に示している。ワイヤロープ1は永久磁石2a,2bの作用(バイアス磁界)によって磁気飽和に近いA点まで磁化され、さらに、励磁コイル4の作用によってA点を中心にB点とC点の間で磁化の強さが交流電源5から出力される電圧信号の周波数で変動する。
【0017】
図4は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置におけるワイヤロープ1とワイヤロープ探傷装置の磁気回路を示す回路図であり、図2の断面図に磁気回路を重ねて描いた模式図である。図4において、磁路抵抗Ra,Rbはワイヤロープ1の一部の磁路抵抗で、それぞれ、永久磁石2a,2bとの当接面から欠陥7までの間の磁路抵抗を表している。また、磁路抵抗Rcは欠陥7の周囲の空間の磁路抵抗を表し、磁路抵抗Rdは欠陥7を除くワイヤロープ1内部の磁路抵抗を表している。起磁力Fdcは永久磁石2a,2bの起磁力を表し、起磁力Facは励磁コイル4の起磁力を表している。図2に示した漏洩磁束19は、図4の磁路抵抗Rcを流れる磁束に相当する。磁路抵抗Rcと磁路抵抗Rdとを流れる磁束の大きさの比は、磁路抵抗Rcと磁路抵抗Rdの逆数の比に比例する。すなわち、磁路抵抗Rdが大きいほど磁路抵抗Rcに流れる磁束(漏洩磁束19)が増加し、検出コイル6による検出が容易になる。一般に強磁性体の磁路抵抗は磁気飽和に近づくほど大きくなるから、バイアス磁界を印加することで磁路抵抗Rdを大きくし、磁路抵抗Rcを流れる漏洩磁束19を相対的に増加させることができる。
【0018】
図5は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置の検波回路20の構成を示す回路図である。図5を用いて検波回路20の作用を説明する。磁化されたワイヤロープ1からの漏洩磁束に対応した出力電圧が検出コイル6から出力され、出力電圧は、まず、抵抗R1,R2とキャパシタCとからなるノーマルモードフィルタ10を通されることで約1kHz以上の高周波ノイズが除去される。次に、高周波ノイズが除去された電圧は、抵抗R3〜R6とオペアンプOPとからなる差動増幅回路11を通されて10〜100倍に増幅され、さらに、乗算器12によって基準信号(この場合は、励磁コイル4へ入力する交流電源5の電圧信号)が乗算される。このとき、交流電源5の電圧信号の周波数(以下、励磁周波数と称す)をf1、差動増幅回路11の出力信号の周波数をf2とすると、乗算器12の出力は、振幅をPとして、P×(cos2πf1t×cos2πf2t)=P×{cos2π(f1−f2)t+cos2π(f1+f2)t}/2となる。したがって、乗算器12の出力は、f1=f2の場合、すなわちf2にf1以外の周波数を含んでいない場合には直流成分(周波数=0)と励磁周波数の2倍周波数(2f1)の交流成分の合成となり、2倍周波数(2f1)の交流波形がオフセットしたような波形(後述の図6(b))が得られる。一方、乗算器12の出力は、f1≠f2、すなわち、f2にf1以外のノイズなどの周波数を含んでいる場合には、両者の周波数の差と和に等しい2つの交流波形の合成となる。乗算器12の出力信号は低いカットオフ周波数(約10Hz)に設定されたローパスフィルタ13を通すことで前述の直流成分(交流電源5が出力する電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅)のみが抽出される。このように、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置の検波回路20は、検出コイル6の出力信号の成分から、励磁周波数に等しい周波数と等しい成分の振幅を検波することができる。
【0019】
図6は、本実施の形態1のワイヤロープ探傷装置に欠陥のあるワイヤロープを一定速度で通過させたときの出力信号を示すグラフである。図6において、横軸は時間、縦軸は電圧である。図6(a)は、差動増幅器11からの出力信号である。図6(a)の出力信号中における細かい波が励磁周波数に対応した出力信号であり、振幅が時間軸方向に緩やかに変動しているのは、ワイヤロープ1のストランドの撚りによるものである。1箇所あるスパイク状の信号16,17,18がワイヤロープの欠陥によるものである。図6(b)は、乗算器12の出力信号であり、図6(a)の信号に励磁コイル5への入力信号を乗算したものである。図6(c)は、ローパスフィルタ13の出力信号であり、図6(b)の信号から高周波の成分が除去されてS/N比が向上している。
【0020】
本実施の形態1の構成により、検出コイル6の出力信号の成分中から励磁周波数に等しい周波数の出力電圧の成分の振幅のみを抽出できるようにしたので、ワイヤロープの振動による漏洩磁束の変動や外来磁気によるノイズ(周波数が不定)を打消して、S/N比の高い検出ができるようになる。
【0021】
また、励磁コイル5によって交流磁界を発生させているので、ワイヤロープが停止した状態でも欠陥を検出することができる。
【0022】
実施の形態2.
図7は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態2を示す側面図である。図7に示したように、この実施の形態2のワイヤロープ探傷装置は、励磁コイル4に互いに周波数が異なる複数の交流電源5a,5bを直列接続している。この実施の形態2において、例えば、交流電源5aの周波数は1kHzとし、交流電源5bの周波数は100Hzとする。
【0023】
図8は、本実施の形態2におけるワイヤロープ探傷装置の検波回路20の構成を示す回路図である。図8に示したように、乗算器とローパスフィルタからなる検波回路を2個設ける。乗算器12aにはオペアンプOP1を通して交流電源5aの周波数の電圧信号が入力される。乗算器12bにはオペアンプOP2を通して交流電源5bの周波数の電圧信号が入力される。ローパスフィルタ13a,13bのカットオフ周波数は、直流成分が通過できればよいので約10Hzに設定する。この検波回路20により、ローパスフィルタ13a,13bからはそれぞれ、検出コイル6の出力信号のうち1kHz成分の振幅に比例する信号と100Hz成分の振幅に比例する信号が判別回路22に出力される。個々の出力波形は実施の形態1と同様である。
【0024】
本実施の形態2のワイヤロープ探傷装置によれば、ワイヤロープ1の欠陥7が表面から深い部分にあるか浅い部分にあるかを判別できる。なぜなら、表皮効果によって高周波数の磁界はワイヤロープ1の表面付近の浅い部分にしか侵入できないが、低周波数の磁界はワイヤロープ1の表面から深い部分にも侵入できるからである。
【0025】
図9は、本実施の形態2におけるワイヤロープ探傷装置の検出信号を示す模式図であり、図9(a)は、断線がワイヤロープ1の表面付近の浅い部分にある場合であり、図9(b)は、断線がワイヤロープ1の表面から深い部分にある場合である。図9(a)に示したように、表面付近に欠陥がある場合には、高周波数による検出信号と低周波数による検出信号の両方とが現れるが、図9(b)に示したように、深い位置に欠陥がある場合には、高周波数による検出信号は現れず、低周波数による検出信号が現れる。両検出信号は、判別回路22に入力され、両方の検出信号がある場合には欠陥が浅い位置にあると判断され、低周波数による検出信号のみがある場合には、欠陥が深い位置にあると判断される。
【0026】
実施の形態3.
図10は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の実施の形態3を示す側面図である。図10に示したように、複数の交流電源を直列接続する替わりに、交流電源に矩形波の交流電圧を発生する矩形波電源5cを用いることによって上記実施の形態2と同様の効果が得られる。その理由は、矩形波の交流電圧は基本周波数の奇数次の高調波を含むため、1個の電源で複数の周波数の交流電源を印加したのと同様の効果が得られるからである。
【0027】
図11は、矩形波電源5cと検出コイル6に接続された矩形波検波回路20aを示す回路図である。図11に示したように、矩形波電源5cの奇数倍次の周波数を通過するバンドパスフィルタ(BPF)21を矩形波電源5cに並列接続し、高調波の基準信号を乗算器12a1〜12anに出力することができる。また、検出コイル6の出力信号がノーマルモードフィルタ10及び差動増幅器11を通って、各乗算器12a1〜12anに出力され、各乗算器12a1〜12anの出力は各周波数f〜(2n+1)fに対応するローパスフィルタ13a1〜13anを通って矩形波判別回路22aに入力され、矩形波判別回路22aにおいて各周波数f〜(2n+1)における検出信号から、欠陥7の深さをより細かく調べることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係るワイヤロープ探傷装置は、昇降機等に用いられているワイヤロープの欠陥を設置現場において検出するのに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ワイヤロープ、2a,2b 磁石、3 磁気ヨーク、4 励磁コイル、
5,5a,5b 交流電源、5c 矩形波電源、6 検出コイル、7 欠陥、
8 磁化曲線、10 ノーマルモードフィルタ、11 差動増幅器、
12,12a1〜12an 乗算器、13,13a1〜13an ローパスフィルタ、
14〜18,18a〜18d 検出信号、19 漏洩磁束、Ra〜Rd 磁路抵抗、
Fac,Fdc 起磁力、R1〜R6 抵抗、C キャパシタ、
OP,OP1、OP2 オペアンプ、20 検波回路、20a 矩形波検波回路、
21 バンドパスフィルタ、22 判別回路、22a 矩形波判別回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープの長手方向にバイアス磁界を印加して上記ワイヤロープを磁化する一対の永久磁石と、磁化されたワイヤロープを取り囲むように上記一対の永久磁石間に配設され、上記磁化されたワイヤロープからの漏洩磁束を検出し、上記漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイルとを備えた上記ワイヤロープの欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、
交流電源が接続され、上記バイアス磁界に重畳して上記磁化されたワイヤロープの長手方向に交番磁界を印加する励磁コイルと、
上記検出コイルの出力信号から上記交流電源の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路とを備えたことを特徴とするワイヤロープ探傷装置。
【請求項2】
上記交流電源は、互いに周波数が異なり上記励磁コイルに直列接続された複数個の交流電源であり、上記検波回路は、上記検出コイルの出力信号から上記複数個の交流電源それぞれの周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する複数個の検波回路であり、上記複数個の検波回路の検出信号から上記ワイヤロープの深さ方向における欠陥の位置を判別する判別回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ探傷装置。
【請求項3】
上記交流電源は、矩形波の交流電圧を発生する矩形波電源であり、上記検波回路は、上記検出コイルの出力信号から上記矩形波電源の基本周波数の奇数次に相当する周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する矩形波検波回路であり、上記矩形波検波回路の検出信号から上記ワイヤロープの深さ方向における欠陥の位置を判別する矩形波判別回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ探傷装置。
【請求項1】
ワイヤロープの長手方向にバイアス磁界を印加して上記ワイヤロープを磁化する一対の永久磁石と、磁化されたワイヤロープを取り囲むように上記一対の永久磁石間に配設され、上記磁化されたワイヤロープからの漏洩磁束を検出し、上記漏洩磁束に対応する電圧を出力する検出コイルとを備えた上記ワイヤロープの欠陥を検出するワイヤロープ探傷装置において、
交流電源が接続され、上記バイアス磁界に重畳して上記磁化されたワイヤロープの長手方向に交番磁界を印加する励磁コイルと、
上記検出コイルの出力信号から上記交流電源の電圧信号の周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する検波回路とを備えたことを特徴とするワイヤロープ探傷装置。
【請求項2】
上記交流電源は、互いに周波数が異なり上記励磁コイルに直列接続された複数個の交流電源であり、上記検波回路は、上記検出コイルの出力信号から上記複数個の交流電源それぞれの周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する複数個の検波回路であり、上記複数個の検波回路の検出信号から上記ワイヤロープの深さ方向における欠陥の位置を判別する判別回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ探傷装置。
【請求項3】
上記交流電源は、矩形波の交流電圧を発生する矩形波電源であり、上記検波回路は、上記検出コイルの出力信号から上記矩形波電源の基本周波数の奇数次に相当する周波数と等しい周波数の成分の振幅を抽出する矩形波検波回路であり、上記矩形波検波回路の検出信号から上記ワイヤロープの深さ方向における欠陥の位置を判別する矩形波判別回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ探傷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−103177(P2012−103177A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253343(P2010−253343)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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