ワイヤ・ボンディング・キャピラリ装置及び方法
半導体デバイス製造において、平らな矩形の断面のリボン状ワイヤ(104)などのワイヤを、ワークピース(106)にボンディングするための装置(100)及び方法。ワイヤは、超音波ボンディング・キャピラリ(102)の通路(116)を介して供給され、ボンディング・キャピラリに動作可能に結合されるクランプ押さえ部(118)を介して、ボンディング・キャピラリの係合面(120)に対してクランプされる。ワイヤは、ボンディング・キャピラリのボンディング面(112)に沿ってワークピースにボンディングされ、カッティング・ツール(124)によって、ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間で、少なくとも部分的に、貫入される。カッティング・ツールは、ボンディング面と係合面との間に配置される伸長部材(126)を含み得、更にその末端部(130)に配置されるカッティング・ブレード(128)を有し得る。カッティング・ツールは、更にリング・カッターを含み得、リボン状ワイヤは、その内径の周りに画定されるカッティング面を有するリングを通る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、半導体デバイス及びプロセスに関し、更に特定して言えば、半導体デバイスの製造に関連して、ワイヤ、特に、リボン状又は大型のワイヤなどを、ボンド・パッドなどにボンディングするための装置及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
半導体業界において、ワイヤ・ボンディングは、半導体ダイ又はチップなどの集積回路(IC)を金属リードフレームなどの種々の構造体に電気的に相互接続するために、一般的に行われている。例えば、ウェッジ・ボンディングは、半導体ダイ上のボンディング地点とリードフレームのリード・フィンガーなどの別の地点との間に、薄いアルミニウム又は金ワイヤなどの薄いワイヤをボンディングするために用いられる従来の方法である。従来は、ボンディングを開始するため、ワイヤはボンディング・ツールの端部でIC及び/又はリードフレームに対して押し付けられる。ボンディング・ツールは、数十ミリ秒の周期で超音波振動させられ、ボンディング・ツールの端部の動きの面は、そのボンディングが形成されるべき半導体チップの表面に全般的に平行である。チップの表面に垂直なボンディング・ツールのワイヤに対する静的荷重、及びそのツールの端部の振動で結合されるチップの組み合わせが、ワイヤを塑性的に変形させ、そのため、同時に、ボンディング・ワイヤがチップの又はリードフレームの表面を構成する材料の原子と結合し、従って、ワイヤとチップ又はリードフレームとの間の冷間圧接(cold weld)を提供する。
【0003】
ワイヤ・ボンディングに関連する1つの問題は、ボンディング・プロセス中のワイヤの扱い、及びボンディングが成された後のワイヤの破断又は切断である。これらの機能を行うため、殆どの従来の微細ワイヤ・ウェッジ・ボンディング・ツールは、ボンディングされた基板から離してワイヤをクランプ及び/又は引くことによってワイヤを破断させる。典型的に、小径のワイヤ(直径が0.025インチより小さな円形断面のワイヤ)では、このような引く行為が充分であり、基板に著しい損傷は与えない。しかし、スピード及びICの性能の要求がますます高まっているため、ワイヤの断面積(例えば、リボン状ワイヤの平らな矩形の断面)が、以前用いられていた円形断面のワイヤよりも著しく大きく、そのため、一層大きな電気的電流供給能力をワイヤに提供する、金、アルミニウム、銅金属又は金属合金のリボン状ワイヤなどの大径のワイヤが導入されている。従って、従来のボンディング・ツールがこのような厚いリボン状ワイヤと共に用いられるとき、リボン状ワイヤを破断させるために必要とされる引く力が、チップ及び/又はリードフレームを有害に変形させ易い。その結果、ボンディング・ツールを基板から離して引く前に、リボン状ワイヤを変形させる又は切るため、チップ及び/又はリードフレームに対して刃が押し付けられるものなど、ボンディング・ツールのための種々の構成が考案されている。
【0004】
図1A〜図1Cは、種々の動作中の1つのこのような従来のボンディング・デバイス10を図示し、これらの種々の動作において、リボン状ワイヤ15が、超音波ボンディング・ツール25によって、リードフレーム・フィンガー又は半導体チップなどの基板20にボンディングされる。図1Aに図示するように、ボンディング・ツール25は、リボン状ワイヤ15に対して押し付けられ、そのため、ボンディング・ツールと基板20との間でリボン状ワイヤが圧縮される。この時点で、ボンディング・ツール25は超音波で振動するため、リボン状ワイヤ15は基板20に冷間圧接される。図1Bは、リボン状ワイヤ15に対して押し付けられるカッター30を図示し、カッターは、カッターによって加えられる力Fによってリボン状ワイヤを著しく薄くする又は切る。図1Cは、基板20から離して引かれるボンディング・ツール25を図示し、更に、クランプ35が、基板からリボン状ワイヤ15を引くため、カッター30のほぼ端部40でリボン状ワイヤが完全に切断される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、リボン状ワイヤの従来のボンディングの1つの問題点は、図1Bに図示したリボン状ワイヤ15に対するカッター30の力Fが、典型的に、基板20上の力となり、このカッティング動作によって基板が恒久的に変形及び/又は損傷する可能性があることである。例えば、リボン状ワイヤ15が薄いリードフレーム・フィンガーにボンディングされる場合などにおいて、力Fは(矢印45で図示するように)リードフレーム・フィンガーを著しく変形させ、この変形はカッターが基板20から離れて引かれた後も残る。また、リボン状ワイヤ15が完全に切断されない場合、この引く力は、クランプ35がリボン状ワイヤを引き離すとき、リードフレーム・フィンガーを矢印45とは反対方向に更に湾曲させる可能性がある。代替として、リボン状ワイヤ15がチップにボンディングされる場合などにおいて、切る力Fは、メタライゼーション層又はICの他の層を損傷させる可能性があるなど、チップに悪影響を与え得る。
【0006】
従って、基板への損傷が実質的に最小化される、リボン状ワイヤを基板にボンディングするための信頼性のあるプロセス及び装置が現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本発明は、ワイヤ、特に、一層大きなサイズの又はリボン状のワイヤ、を種々の基板にボンディングするための改良された装置及び方法を提供することによって、従来技術の制約を克服する。
【0008】
本発明の一つの例示的側面に従って、装置は、本体領域及びボンディング領域を有する超音波ボンディング・キャピラリを含み、本体領域は、その中に画定される通路を含む。リボン状ワイヤなどのワイヤは、通路を介して及びボンディング領域に関連するボンディング面に沿って全般的に伸長され、クランプ押さえ部(clamping jaw)が、通路に近接して超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合される。従って、クランプ押さえ部は、通路の係合面とクランプ押さえ部のクランプ面との間でワイヤを選択的につかむように動作し得る。
【0009】
更に、カッティング・ツールが、超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合され、ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間に全般的に配置される。カッティング・ツールは、例えば、超音波ボンディング・キャピラリに対して選択的に突出及び後退するように動作し得、カッティング・ツールは、超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間に配置されたリボン状ワイヤに少なくとも部分的に貫入することが可能である。リボン状ワイヤがボンディング・キャピラリに対して実質的にクランプされる間のボンディング面と係合面との間のリボン状ワイヤのこのような貫入は、先行技術に比べ非常に有利である。その理由は、カッティング・ツールのカッティング行為が、ワークピース上に押し付けるのではなく、全般的に固定及び/又はクランプされた2つの領域間でリボン状ワイヤをカットするためである。
【0010】
本発明の別の例示的側面に従って、1つ又はそれ以上のクランプ押さえ部及びカッティング・ツールは、電気機械アクチュエータなど、1つ又はそれ以上のアクチュエータによって、ボンディング・キャピラリに動作可能に結合される。電気機械アクチュエータは、超音波ボンディング・キャピラリに対してそれぞれクランプ押さえ部やカッティング・ツールを選択的に突出及び後退させるように機能し得る、1つ又はそれ以上のサーボ・モーター、リニア・モーター、ばね型アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、及び油圧アクチュエータを含み得る。カッティング・アクチュエータは、例えば、磁気又は電磁アクチュエータがカッティング・ツールを後退させる間、超音波ボンディング・キャピラリに対してカッティング・ツールを突出させる、又はその逆に動作し得るばねを含み得る。
【0011】
別の例に従って、カッティング・ツールは、一般的にその末端部に画定されるカッター・ブレードを有する伸長部材を含む。カッティング・ツールは、更に、伸長部材の末端部に画定される内側領域を有するリング・カッターを含み得、リボン状ワイヤは一般的にリングの内側領域を通過し、カッティング・ブレードは一般的にリングの内径の周りのカッティング面によって画定される。その後、リング・カッターは、カッター・リングのボンディング・キャピラリに向かう後退時に、リボン状ワイヤに選択的に貫入又はリボン状ワイヤを選択的に切断するように動作し得る。
【実施例】
【0012】
本発明は、集積回路(IC)及び/又はリードフレーム・アッセンブリなど、基板又はワークピースにワイヤをボンディングするための装置及び方法に向けられている。更に特定して言えば、本発明は、矩形の断面のリボン状ワイヤを基板にボンディングするための、丈夫で信頼性の高いデバイス及びプロセスを提供することであって、このデバイス及びプロセスにおいて、従来のボンディング装置及びプロセスで見られた基板に対する損傷又は変形が実質的に緩和される。従って、本発明をこれから図面に関連して記載するが、これらの図面において、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指すために用いられる。
【0013】
図2は、本発明の側面に従ったボンディング・デバイス100の一例の断面図である。ボンディング・デバイス100は、1つ又はそれ以上のICチップ又はリードフレームなどの基板又はワークピース106にリボン状ワイヤ104を超音波でボンディングするための超音波ボンディング・キャピラリ102を含む。超音波ボンディング・キャピラリ102は、例えば、ボンディング・キャピラリに超音波振動を提供するために当業界で既知であるような超音波発振器(図示せず)に動作可能に結合される。超音波ボンディング・キャピラリ102は、本体領域108及びボンディング領域110を含み、超音波ボンディング・キャピラリは、超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面112と、ワークピース106の表面114との間にリボン状ワイヤ104を挟むように動作し得る。ボンディング・キャピラリ102の本体領域108は、例えば、その中に画定される通路116を含み、リボン状ワイヤ104は、更に、通路を介して及びボンディング領域110に関連するボンディング面114に沿って全般的に伸長する。通路116は、スルーホール、チャネル、或いは、本体領域108内に又はそれに沿って画定される種々の他の表面(図示せず)で構成され得、リボン状ワイヤ104は、通路に沿って伸長するように機能し得る。一例において、リボン状ワイヤ104は全般的に断面が矩形であり、通路も全般的に断面が矩形である。
【0014】
図2は、更に、その本体領域110でボンディング・キャピラリ102に動作可能に結合されるクランプ押さえ部118を図示し、クランプ押さえ部は、通路116にも関連する。クランプ押さえ部118は、ボンディング・キャピラリ102の通路116の係合面120と、クランプ押さえ部118のクランプ面122との間でリボン状ワイヤ104を選択的につかむように動作し得る。この例において、通路116の係合面120は全般的に平面であり、通路は、ボンディング・キャピラリ102の本体領域110とクランプ押さえ部118のクランプ面122との間に全般的に画定される。代替として、通路116は、チャネル(図示せず)、又はボンディング・キャピラリ102の本体領域110に関連する他の構造によって画定されてもよく、クランプ押さえ部118は、通路内のリボン状ワイヤ104の動きを実質的につかむ又は妨げるように動作し得る。
【0015】
本発明のクランプ押さえ部118は、電気機械アクチュエータ(図示せず)に動作可能に結合され得、電気機械アクチュエータは、クランプ押さえ部を後退及び/又は突出させるように動作し得、そのため、リボン状ワイヤ104をそれぞれつかむ及び/又は解放する。例えば、クランプ押さえ部118は、サーボ・モーターなどのモーター(図示せず)に動作可能に結合され得、モーターは、クランプ押さえ部を係合面120に対して選択的に突出及び後退させるように動作し得る。クランプ押さえ部118は、更に、1つ又はそれ以上のばね(図示せず)に結合され得、1つ又はそれ以上のばねは、更に、係合面120に対してクランプ押さえ部を実質的に突出又は後退させるように機能し得る。代替として、クランプ押さえ部118は、空気圧又は油圧アクチュエータ(図示せず)に動作可能に結合され得、空気圧又は油圧アクチュエータが、係合面120に対してクランプ押さえ部を突出及び後退させるように動作してもよい。従って、ボンディング・キャピラリ102の係合面120に対してクランプ押さえ部118を突出及び/又は後退させるように動作し得る任意のアクチュエータが、本発明の範囲に含まれるように企図されている。クランプ押さえ部は、ボンディング・キャピラリ102と全般的に一体化され、ボンディング・キャピラリ102の係合面120は、以下に説明するように、一般に、ボンディング面114に近接していることにも注意されたい。
【0016】
本発明の別の例示的側面に従って、ボンディング・デバイス100は、更に、カッティング・ツール124を含み、カッティング・ツールは、更に、ボンディング・キャピラリ102に動作可能に結合される。カッティング・ツール124は、例えば、ボンディング面114とボンディング・キャピラリ102の係合面120との間に全般的に配置され、カッティング・ツールは、ボンディング・キャピラリに対して選択的に突出及び後退するように動作し得る。カッティング・ツール124は、例えば、伸長部材126を含み、その末端部130にカッティング・ブレード128が全般的に画定される。カッティング・ブレード128は、例えば、図2に図示するように平坦化されてもよく、又は代わりに、カッティング・ツールの末端部130の或る地点(図示せず)に集束してもよい。本発明に従って、カッティング・ブレード128が、せん断状にクランプ押さえ部118のクランプ面122を過ぎて突出されるとき、カッティング・ツール124は、ボンディング面114と超音波ボンディング・キャピラリ102の係合面120との間のリボン状ワイヤ104に、少なくとも部分的に、貫入するように動作し得る。
【0017】
別の例では、カッティング・ツール124は、図3に図示するようなリング・カッター132を含む。リング・カッター132は、例えば、図2のカッティング・ツール124の末端部130に配置されるリング134を含み、リボン状ワイヤ104は、全般的に、リングの内側領域136を通る。図3のリング・カッター132は、図2のカッティング・ブレード128に類似する方式で選択的に突出及び後退するように動作し得るが、リング・カッターのカッティング面138は、ボンディング・キャピラリ102の本体領域110に向かって後退されるとき、全般的にリボン状ワイヤを通るように動作し得る。従って、図3のリング・カッターは、ボンディング・キャピラリの係合面120に対して引き寄せられるように動作し得、そのため、少なくとも部分的に、リボン状ワイヤ104に貫入する。
【0018】
本発明の別の例示的側面に従って、図2のカッティング・ツール124は、電気機械アクチュエータ、サーボ・モーター、又は、クランプ押さえ部118に関連して説明したものなどの他のアクチュエータなど、カッティング・アクチュエータ(図示せず)に動作可能に結合される。カッティング・ツール124は、例えば、磁気アクチュエータ(図示せず)及びばね(図示せず)に結合され得、磁気アクチュエータは、カッティング・ツールを後退させる(例えば、カッティング・ツールの末端部130をボンディング・キャピラリ102の本体領域108に向かって引く)ように動作し得、ばねは、カッティング・ツールに戻る力を提供するように動作し得、それにより、カッティング・ツールの末端部を突出させる又はその元の位置に戻す。
【0019】
図4、及び図5A〜図5Fは、本発明の一実施例に従って、例示のボンディング装置に適用される、リボン状ワイヤを基板にボンディングするための方法200の工程を図示する。事象の図示する順序は、特定の要求に適合するよう適切に変更することができることを理解されたい。方法200は、リボン状ワイヤがボンディング・キャピラリを介して供給される動作205で開始する。図5Aに図示するように、クランプ押さえ部118が全般的に突出されるとき、リボン状ワイヤ104がボンディング・キャピラリ102の通路116を介して供給され、そのため、全般的に、通路を介してリボン状ワイヤが先に送られることが可能となる。図4の動作210において、リボン状ワイヤは、ボンディング・キャピラリに対してクランプされ、動作210の結果を図5Bに図示する。例えば、クランプ押さえ部118は、リボン状ワイヤ104をクランプ押さえ部のクランプ面122とボンディング・キャピラリ102の係合面120との間に全般的に挟む。
【0020】
図4の動作215において、リボン状ワイヤは、ボンディング・キャピラリ102の超音波振動によって、ワークピース106に図5Bのリボン状ワイヤ104を冷間圧接することなどによって、ワークピースにボンディングされる。一例において、リボン状ワイヤ104が、ワークピース106に全般的にボンディングされると、リボン状ワイヤは、図4の動作220において、カッティング・ツール124によってカットされ得る。図5C〜図5Dは、ボンディング・キャピラリ102の本体領域108から突出するカッティング・ツール124を図示し、図5Dにおいて、カッティング・ツール124は、リボン状ワイヤ104を完全に切断する。図3のリング・カッター132が、代わりに用いられてもよく、この場合、リング・カッターは、図5A〜図5Fのリボン状ワイヤ104をカットするため、ボンディング・キャピラリに向かって後退されることに注意されたい。カッティング・ツール124が、リボン状ワイヤ104に少なくとも部分的に貫入すると(図5Dではリボン状ワイヤを切断するように図示される)、ボンディング・ツール100は、図5Eに図示するように、ワークピース106から持ち上げられ得、そのため、図5Fに図示するように、ワークピースを損傷させたり、湾曲させたり、又は別の悪影響を与えたりすることなく、リボン状ワイヤのワークピースへの確実な接合140を提供する。
【0021】
このため、本発明は、リボン状ワイヤなどのワイヤをワークピースにボンディングするための装置及び方法を提供し、ワイヤのカッティング又は切断は、ワークピースを著しく変形させない方式で成される。ボンディング・キャピラリと実質的に一体化されたカッティング・ツール及びクランプ押さえ部を提供することにより、リボン状ワイヤ又はワークピースの付加的なクランプ又は保持が必要とされず、リードフレーム・フィンガーを湾曲させることなく又はICチップの表面を損傷させることなく、リボン状ワイヤのボンディング及びカッティングが成され得る。また、本発明は、ボンディング位置間で容易に回転され得るボンディング・デバイスを提供し、そのため、リボン状ワイヤのボンディング位置間の、効率的で信頼性の高いボンディングを提供する。
【0022】
本発明に関連する技術の習熟者であれば、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した例に、種々の付加、削除、置換、及び他の改変が成され得ることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1A(先行技術)は、ボンディング・プロセス中の種々の位置での従来のワイヤ・ボンディング装置を図示する。
【図1B】図1B(先行技術)は、ボンディング・プロセス中の種々の位置での従来のワイヤ・ボンディング装置を図示する。
【図1C】図1C(先行技術)は、ボンディング・プロセス中の種々の位置での従来のワイヤ・ボンディング装置を図示する。
【図2】図2は、本発明の1つの側面に従った一例のボンディング装置の断面図である。
【図3】図3は、本発明の別の例示的側面に従ったリング・カッターの平面図を図示する。
【図4】図4は、本発明に従ってワイヤを半導体デバイスにボンディングするための一例の方法のフローチャートである。
【図5A】図5Aは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5B】図5Bは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5D】図5Dは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5E】図5Eは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5F】図5Fは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、半導体デバイス及びプロセスに関し、更に特定して言えば、半導体デバイスの製造に関連して、ワイヤ、特に、リボン状又は大型のワイヤなどを、ボンド・パッドなどにボンディングするための装置及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
半導体業界において、ワイヤ・ボンディングは、半導体ダイ又はチップなどの集積回路(IC)を金属リードフレームなどの種々の構造体に電気的に相互接続するために、一般的に行われている。例えば、ウェッジ・ボンディングは、半導体ダイ上のボンディング地点とリードフレームのリード・フィンガーなどの別の地点との間に、薄いアルミニウム又は金ワイヤなどの薄いワイヤをボンディングするために用いられる従来の方法である。従来は、ボンディングを開始するため、ワイヤはボンディング・ツールの端部でIC及び/又はリードフレームに対して押し付けられる。ボンディング・ツールは、数十ミリ秒の周期で超音波振動させられ、ボンディング・ツールの端部の動きの面は、そのボンディングが形成されるべき半導体チップの表面に全般的に平行である。チップの表面に垂直なボンディング・ツールのワイヤに対する静的荷重、及びそのツールの端部の振動で結合されるチップの組み合わせが、ワイヤを塑性的に変形させ、そのため、同時に、ボンディング・ワイヤがチップの又はリードフレームの表面を構成する材料の原子と結合し、従って、ワイヤとチップ又はリードフレームとの間の冷間圧接(cold weld)を提供する。
【0003】
ワイヤ・ボンディングに関連する1つの問題は、ボンディング・プロセス中のワイヤの扱い、及びボンディングが成された後のワイヤの破断又は切断である。これらの機能を行うため、殆どの従来の微細ワイヤ・ウェッジ・ボンディング・ツールは、ボンディングされた基板から離してワイヤをクランプ及び/又は引くことによってワイヤを破断させる。典型的に、小径のワイヤ(直径が0.025インチより小さな円形断面のワイヤ)では、このような引く行為が充分であり、基板に著しい損傷は与えない。しかし、スピード及びICの性能の要求がますます高まっているため、ワイヤの断面積(例えば、リボン状ワイヤの平らな矩形の断面)が、以前用いられていた円形断面のワイヤよりも著しく大きく、そのため、一層大きな電気的電流供給能力をワイヤに提供する、金、アルミニウム、銅金属又は金属合金のリボン状ワイヤなどの大径のワイヤが導入されている。従って、従来のボンディング・ツールがこのような厚いリボン状ワイヤと共に用いられるとき、リボン状ワイヤを破断させるために必要とされる引く力が、チップ及び/又はリードフレームを有害に変形させ易い。その結果、ボンディング・ツールを基板から離して引く前に、リボン状ワイヤを変形させる又は切るため、チップ及び/又はリードフレームに対して刃が押し付けられるものなど、ボンディング・ツールのための種々の構成が考案されている。
【0004】
図1A〜図1Cは、種々の動作中の1つのこのような従来のボンディング・デバイス10を図示し、これらの種々の動作において、リボン状ワイヤ15が、超音波ボンディング・ツール25によって、リードフレーム・フィンガー又は半導体チップなどの基板20にボンディングされる。図1Aに図示するように、ボンディング・ツール25は、リボン状ワイヤ15に対して押し付けられ、そのため、ボンディング・ツールと基板20との間でリボン状ワイヤが圧縮される。この時点で、ボンディング・ツール25は超音波で振動するため、リボン状ワイヤ15は基板20に冷間圧接される。図1Bは、リボン状ワイヤ15に対して押し付けられるカッター30を図示し、カッターは、カッターによって加えられる力Fによってリボン状ワイヤを著しく薄くする又は切る。図1Cは、基板20から離して引かれるボンディング・ツール25を図示し、更に、クランプ35が、基板からリボン状ワイヤ15を引くため、カッター30のほぼ端部40でリボン状ワイヤが完全に切断される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、リボン状ワイヤの従来のボンディングの1つの問題点は、図1Bに図示したリボン状ワイヤ15に対するカッター30の力Fが、典型的に、基板20上の力となり、このカッティング動作によって基板が恒久的に変形及び/又は損傷する可能性があることである。例えば、リボン状ワイヤ15が薄いリードフレーム・フィンガーにボンディングされる場合などにおいて、力Fは(矢印45で図示するように)リードフレーム・フィンガーを著しく変形させ、この変形はカッターが基板20から離れて引かれた後も残る。また、リボン状ワイヤ15が完全に切断されない場合、この引く力は、クランプ35がリボン状ワイヤを引き離すとき、リードフレーム・フィンガーを矢印45とは反対方向に更に湾曲させる可能性がある。代替として、リボン状ワイヤ15がチップにボンディングされる場合などにおいて、切る力Fは、メタライゼーション層又はICの他の層を損傷させる可能性があるなど、チップに悪影響を与え得る。
【0006】
従って、基板への損傷が実質的に最小化される、リボン状ワイヤを基板にボンディングするための信頼性のあるプロセス及び装置が現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本発明は、ワイヤ、特に、一層大きなサイズの又はリボン状のワイヤ、を種々の基板にボンディングするための改良された装置及び方法を提供することによって、従来技術の制約を克服する。
【0008】
本発明の一つの例示的側面に従って、装置は、本体領域及びボンディング領域を有する超音波ボンディング・キャピラリを含み、本体領域は、その中に画定される通路を含む。リボン状ワイヤなどのワイヤは、通路を介して及びボンディング領域に関連するボンディング面に沿って全般的に伸長され、クランプ押さえ部(clamping jaw)が、通路に近接して超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合される。従って、クランプ押さえ部は、通路の係合面とクランプ押さえ部のクランプ面との間でワイヤを選択的につかむように動作し得る。
【0009】
更に、カッティング・ツールが、超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合され、ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間に全般的に配置される。カッティング・ツールは、例えば、超音波ボンディング・キャピラリに対して選択的に突出及び後退するように動作し得、カッティング・ツールは、超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間に配置されたリボン状ワイヤに少なくとも部分的に貫入することが可能である。リボン状ワイヤがボンディング・キャピラリに対して実質的にクランプされる間のボンディング面と係合面との間のリボン状ワイヤのこのような貫入は、先行技術に比べ非常に有利である。その理由は、カッティング・ツールのカッティング行為が、ワークピース上に押し付けるのではなく、全般的に固定及び/又はクランプされた2つの領域間でリボン状ワイヤをカットするためである。
【0010】
本発明の別の例示的側面に従って、1つ又はそれ以上のクランプ押さえ部及びカッティング・ツールは、電気機械アクチュエータなど、1つ又はそれ以上のアクチュエータによって、ボンディング・キャピラリに動作可能に結合される。電気機械アクチュエータは、超音波ボンディング・キャピラリに対してそれぞれクランプ押さえ部やカッティング・ツールを選択的に突出及び後退させるように機能し得る、1つ又はそれ以上のサーボ・モーター、リニア・モーター、ばね型アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、及び油圧アクチュエータを含み得る。カッティング・アクチュエータは、例えば、磁気又は電磁アクチュエータがカッティング・ツールを後退させる間、超音波ボンディング・キャピラリに対してカッティング・ツールを突出させる、又はその逆に動作し得るばねを含み得る。
【0011】
別の例に従って、カッティング・ツールは、一般的にその末端部に画定されるカッター・ブレードを有する伸長部材を含む。カッティング・ツールは、更に、伸長部材の末端部に画定される内側領域を有するリング・カッターを含み得、リボン状ワイヤは一般的にリングの内側領域を通過し、カッティング・ブレードは一般的にリングの内径の周りのカッティング面によって画定される。その後、リング・カッターは、カッター・リングのボンディング・キャピラリに向かう後退時に、リボン状ワイヤに選択的に貫入又はリボン状ワイヤを選択的に切断するように動作し得る。
【実施例】
【0012】
本発明は、集積回路(IC)及び/又はリードフレーム・アッセンブリなど、基板又はワークピースにワイヤをボンディングするための装置及び方法に向けられている。更に特定して言えば、本発明は、矩形の断面のリボン状ワイヤを基板にボンディングするための、丈夫で信頼性の高いデバイス及びプロセスを提供することであって、このデバイス及びプロセスにおいて、従来のボンディング装置及びプロセスで見られた基板に対する損傷又は変形が実質的に緩和される。従って、本発明をこれから図面に関連して記載するが、これらの図面において、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指すために用いられる。
【0013】
図2は、本発明の側面に従ったボンディング・デバイス100の一例の断面図である。ボンディング・デバイス100は、1つ又はそれ以上のICチップ又はリードフレームなどの基板又はワークピース106にリボン状ワイヤ104を超音波でボンディングするための超音波ボンディング・キャピラリ102を含む。超音波ボンディング・キャピラリ102は、例えば、ボンディング・キャピラリに超音波振動を提供するために当業界で既知であるような超音波発振器(図示せず)に動作可能に結合される。超音波ボンディング・キャピラリ102は、本体領域108及びボンディング領域110を含み、超音波ボンディング・キャピラリは、超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面112と、ワークピース106の表面114との間にリボン状ワイヤ104を挟むように動作し得る。ボンディング・キャピラリ102の本体領域108は、例えば、その中に画定される通路116を含み、リボン状ワイヤ104は、更に、通路を介して及びボンディング領域110に関連するボンディング面114に沿って全般的に伸長する。通路116は、スルーホール、チャネル、或いは、本体領域108内に又はそれに沿って画定される種々の他の表面(図示せず)で構成され得、リボン状ワイヤ104は、通路に沿って伸長するように機能し得る。一例において、リボン状ワイヤ104は全般的に断面が矩形であり、通路も全般的に断面が矩形である。
【0014】
図2は、更に、その本体領域110でボンディング・キャピラリ102に動作可能に結合されるクランプ押さえ部118を図示し、クランプ押さえ部は、通路116にも関連する。クランプ押さえ部118は、ボンディング・キャピラリ102の通路116の係合面120と、クランプ押さえ部118のクランプ面122との間でリボン状ワイヤ104を選択的につかむように動作し得る。この例において、通路116の係合面120は全般的に平面であり、通路は、ボンディング・キャピラリ102の本体領域110とクランプ押さえ部118のクランプ面122との間に全般的に画定される。代替として、通路116は、チャネル(図示せず)、又はボンディング・キャピラリ102の本体領域110に関連する他の構造によって画定されてもよく、クランプ押さえ部118は、通路内のリボン状ワイヤ104の動きを実質的につかむ又は妨げるように動作し得る。
【0015】
本発明のクランプ押さえ部118は、電気機械アクチュエータ(図示せず)に動作可能に結合され得、電気機械アクチュエータは、クランプ押さえ部を後退及び/又は突出させるように動作し得、そのため、リボン状ワイヤ104をそれぞれつかむ及び/又は解放する。例えば、クランプ押さえ部118は、サーボ・モーターなどのモーター(図示せず)に動作可能に結合され得、モーターは、クランプ押さえ部を係合面120に対して選択的に突出及び後退させるように動作し得る。クランプ押さえ部118は、更に、1つ又はそれ以上のばね(図示せず)に結合され得、1つ又はそれ以上のばねは、更に、係合面120に対してクランプ押さえ部を実質的に突出又は後退させるように機能し得る。代替として、クランプ押さえ部118は、空気圧又は油圧アクチュエータ(図示せず)に動作可能に結合され得、空気圧又は油圧アクチュエータが、係合面120に対してクランプ押さえ部を突出及び後退させるように動作してもよい。従って、ボンディング・キャピラリ102の係合面120に対してクランプ押さえ部118を突出及び/又は後退させるように動作し得る任意のアクチュエータが、本発明の範囲に含まれるように企図されている。クランプ押さえ部は、ボンディング・キャピラリ102と全般的に一体化され、ボンディング・キャピラリ102の係合面120は、以下に説明するように、一般に、ボンディング面114に近接していることにも注意されたい。
【0016】
本発明の別の例示的側面に従って、ボンディング・デバイス100は、更に、カッティング・ツール124を含み、カッティング・ツールは、更に、ボンディング・キャピラリ102に動作可能に結合される。カッティング・ツール124は、例えば、ボンディング面114とボンディング・キャピラリ102の係合面120との間に全般的に配置され、カッティング・ツールは、ボンディング・キャピラリに対して選択的に突出及び後退するように動作し得る。カッティング・ツール124は、例えば、伸長部材126を含み、その末端部130にカッティング・ブレード128が全般的に画定される。カッティング・ブレード128は、例えば、図2に図示するように平坦化されてもよく、又は代わりに、カッティング・ツールの末端部130の或る地点(図示せず)に集束してもよい。本発明に従って、カッティング・ブレード128が、せん断状にクランプ押さえ部118のクランプ面122を過ぎて突出されるとき、カッティング・ツール124は、ボンディング面114と超音波ボンディング・キャピラリ102の係合面120との間のリボン状ワイヤ104に、少なくとも部分的に、貫入するように動作し得る。
【0017】
別の例では、カッティング・ツール124は、図3に図示するようなリング・カッター132を含む。リング・カッター132は、例えば、図2のカッティング・ツール124の末端部130に配置されるリング134を含み、リボン状ワイヤ104は、全般的に、リングの内側領域136を通る。図3のリング・カッター132は、図2のカッティング・ブレード128に類似する方式で選択的に突出及び後退するように動作し得るが、リング・カッターのカッティング面138は、ボンディング・キャピラリ102の本体領域110に向かって後退されるとき、全般的にリボン状ワイヤを通るように動作し得る。従って、図3のリング・カッターは、ボンディング・キャピラリの係合面120に対して引き寄せられるように動作し得、そのため、少なくとも部分的に、リボン状ワイヤ104に貫入する。
【0018】
本発明の別の例示的側面に従って、図2のカッティング・ツール124は、電気機械アクチュエータ、サーボ・モーター、又は、クランプ押さえ部118に関連して説明したものなどの他のアクチュエータなど、カッティング・アクチュエータ(図示せず)に動作可能に結合される。カッティング・ツール124は、例えば、磁気アクチュエータ(図示せず)及びばね(図示せず)に結合され得、磁気アクチュエータは、カッティング・ツールを後退させる(例えば、カッティング・ツールの末端部130をボンディング・キャピラリ102の本体領域108に向かって引く)ように動作し得、ばねは、カッティング・ツールに戻る力を提供するように動作し得、それにより、カッティング・ツールの末端部を突出させる又はその元の位置に戻す。
【0019】
図4、及び図5A〜図5Fは、本発明の一実施例に従って、例示のボンディング装置に適用される、リボン状ワイヤを基板にボンディングするための方法200の工程を図示する。事象の図示する順序は、特定の要求に適合するよう適切に変更することができることを理解されたい。方法200は、リボン状ワイヤがボンディング・キャピラリを介して供給される動作205で開始する。図5Aに図示するように、クランプ押さえ部118が全般的に突出されるとき、リボン状ワイヤ104がボンディング・キャピラリ102の通路116を介して供給され、そのため、全般的に、通路を介してリボン状ワイヤが先に送られることが可能となる。図4の動作210において、リボン状ワイヤは、ボンディング・キャピラリに対してクランプされ、動作210の結果を図5Bに図示する。例えば、クランプ押さえ部118は、リボン状ワイヤ104をクランプ押さえ部のクランプ面122とボンディング・キャピラリ102の係合面120との間に全般的に挟む。
【0020】
図4の動作215において、リボン状ワイヤは、ボンディング・キャピラリ102の超音波振動によって、ワークピース106に図5Bのリボン状ワイヤ104を冷間圧接することなどによって、ワークピースにボンディングされる。一例において、リボン状ワイヤ104が、ワークピース106に全般的にボンディングされると、リボン状ワイヤは、図4の動作220において、カッティング・ツール124によってカットされ得る。図5C〜図5Dは、ボンディング・キャピラリ102の本体領域108から突出するカッティング・ツール124を図示し、図5Dにおいて、カッティング・ツール124は、リボン状ワイヤ104を完全に切断する。図3のリング・カッター132が、代わりに用いられてもよく、この場合、リング・カッターは、図5A〜図5Fのリボン状ワイヤ104をカットするため、ボンディング・キャピラリに向かって後退されることに注意されたい。カッティング・ツール124が、リボン状ワイヤ104に少なくとも部分的に貫入すると(図5Dではリボン状ワイヤを切断するように図示される)、ボンディング・ツール100は、図5Eに図示するように、ワークピース106から持ち上げられ得、そのため、図5Fに図示するように、ワークピースを損傷させたり、湾曲させたり、又は別の悪影響を与えたりすることなく、リボン状ワイヤのワークピースへの確実な接合140を提供する。
【0021】
このため、本発明は、リボン状ワイヤなどのワイヤをワークピースにボンディングするための装置及び方法を提供し、ワイヤのカッティング又は切断は、ワークピースを著しく変形させない方式で成される。ボンディング・キャピラリと実質的に一体化されたカッティング・ツール及びクランプ押さえ部を提供することにより、リボン状ワイヤ又はワークピースの付加的なクランプ又は保持が必要とされず、リードフレーム・フィンガーを湾曲させることなく又はICチップの表面を損傷させることなく、リボン状ワイヤのボンディング及びカッティングが成され得る。また、本発明は、ボンディング位置間で容易に回転され得るボンディング・デバイスを提供し、そのため、リボン状ワイヤのボンディング位置間の、効率的で信頼性の高いボンディングを提供する。
【0022】
本発明に関連する技術の習熟者であれば、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した例に、種々の付加、削除、置換、及び他の改変が成され得ることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1A(先行技術)は、ボンディング・プロセス中の種々の位置での従来のワイヤ・ボンディング装置を図示する。
【図1B】図1B(先行技術)は、ボンディング・プロセス中の種々の位置での従来のワイヤ・ボンディング装置を図示する。
【図1C】図1C(先行技術)は、ボンディング・プロセス中の種々の位置での従来のワイヤ・ボンディング装置を図示する。
【図2】図2は、本発明の1つの側面に従った一例のボンディング装置の断面図である。
【図3】図3は、本発明の別の例示的側面に従ったリング・カッターの平面図を図示する。
【図4】図4は、本発明に従ってワイヤを半導体デバイスにボンディングするための一例の方法のフローチャートである。
【図5A】図5Aは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5B】図5Bは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5D】図5Dは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5E】図5Eは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【図5F】図5Fは、本発明に従ったボンディング・プロセス中の種々の位置での一例のボンディング装置の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤをボンディングするための装置であって、
本体領域及びボンディング領域を有する超音波ボンディング・キャピラリであって、本体領域が、その中に画定される通路を有し、通路を介して及びボンディング領域に関連するボンディング面に沿って、全般的に延びるワイヤを受けるように適合される、超音波ボンディング・キャピラリ、
超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合され、通路に関連する、クランプ押さえ部(clamping jaw)であって、通路の係合面とクランプ押さえ部のクランプ面との間でワイヤを選択的につかむように機能し得る、クランプ押さえ部、及び
超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合され、ボンディング面と係合面との間に全般的に配置される、カッティング・ツールであって、カッティング・ツールが、超音波ボンディング・キャピラリに対して選択的に突出及び後退するように機能し得、ボンディング面と超音波ボンディング・キャピラリの係合面との間のワイヤに少なくとも部分的に貫入する、カッティング・ツール、
を含む装置。
【請求項2】
全般的に矩形の断面を有する平らなワイヤをボンディングするように、適合、構成、及び寸法合わせされた、請求項1に記載の装置であって、通路が、リボン状ワイヤを受けるために全般的に矩形の断面を有する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、クランプ押さえ部が、超音波ボンディング・キャピラリに対してクランプ押さえ部を選択的に突出及び後退させるように機能し得るクランピング・アクチュエータに動作可能に結合される、装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の装置であって、カッティング・ツールが、超音波ボンディング・キャピラリに対してカッティング・ツールを選択的に突出及び後退させるように機能し得るカッティング・アクチュエータに動作可能に結合される、装置。
【請求項5】
請求項3に従属する請求項4に記載の装置であって、クランピング・アクチュエータが、クランプ押さえ部に動作可能に結合されるサーボ・モーターを含み、カッティング・アクチュエータが、それに結合されるサーボ・モーターを含み、サーボ・モーターが、カッティング・ブレードを選択的に突出及び後退させるように機能し得る、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、カッティング・アクチュエータが、超音波ボンディング・キャピラリに対してカッティング・ツールを突出及び後退させるように機能し得るばねを含む、装置。
【請求項7】
請求項1、2又は3に記載の装置であって、カッティング・ツールが、ワイヤがそこを通るように寸法合わせされる内側領域を備えたリングを画定する末端部を有する伸長部材、及びリングの内径の周りのカッティング面によって全般的に画定されるカッティング・ブレードを含む、装置。
【請求項8】
ワイヤをワークピースにボンディングするための方法であって、
超音波ボンディング・キャピラリの通路を介してワイヤを供給し、
超音波ボンディング・キャピラリの係合面に対してワイヤをクランプし、
超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面に沿ってワイヤをワークピースにボンディングし、及び
超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間のワイヤをカッティングする
ことを含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、ワイヤが、全般的に矩形の断面を有する平らなワイヤである、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、ワイヤをカッティングすることが、超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間のワイヤをカッティング・ブレードが少なくとも部分的に通ることを含む、方法。
【請求項11】
請求項8、9又は10に記載の方法であって、更に、リング・カッターを通してワイヤを供給することを含み、カッティング・ブレードが、リング・カッターの内径によって全般的に画定され、ワイヤをカッティングすることが、超音波ボンディング・キャピラリに向かってカッティング・ブレードを後退させることを含む、方法。
【請求項12】
請求項8、9又は10に記載の方法であって、ワイヤをカッティングすることが、カッティング・ブレードを係合面とボンディング面との間で超音波ボンディング・キャピラリから離して突出させることを含む、方法。
【請求項1】
ワイヤをボンディングするための装置であって、
本体領域及びボンディング領域を有する超音波ボンディング・キャピラリであって、本体領域が、その中に画定される通路を有し、通路を介して及びボンディング領域に関連するボンディング面に沿って、全般的に延びるワイヤを受けるように適合される、超音波ボンディング・キャピラリ、
超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合され、通路に関連する、クランプ押さえ部(clamping jaw)であって、通路の係合面とクランプ押さえ部のクランプ面との間でワイヤを選択的につかむように機能し得る、クランプ押さえ部、及び
超音波ボンディング・キャピラリに動作可能に結合され、ボンディング面と係合面との間に全般的に配置される、カッティング・ツールであって、カッティング・ツールが、超音波ボンディング・キャピラリに対して選択的に突出及び後退するように機能し得、ボンディング面と超音波ボンディング・キャピラリの係合面との間のワイヤに少なくとも部分的に貫入する、カッティング・ツール、
を含む装置。
【請求項2】
全般的に矩形の断面を有する平らなワイヤをボンディングするように、適合、構成、及び寸法合わせされた、請求項1に記載の装置であって、通路が、リボン状ワイヤを受けるために全般的に矩形の断面を有する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、クランプ押さえ部が、超音波ボンディング・キャピラリに対してクランプ押さえ部を選択的に突出及び後退させるように機能し得るクランピング・アクチュエータに動作可能に結合される、装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の装置であって、カッティング・ツールが、超音波ボンディング・キャピラリに対してカッティング・ツールを選択的に突出及び後退させるように機能し得るカッティング・アクチュエータに動作可能に結合される、装置。
【請求項5】
請求項3に従属する請求項4に記載の装置であって、クランピング・アクチュエータが、クランプ押さえ部に動作可能に結合されるサーボ・モーターを含み、カッティング・アクチュエータが、それに結合されるサーボ・モーターを含み、サーボ・モーターが、カッティング・ブレードを選択的に突出及び後退させるように機能し得る、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、カッティング・アクチュエータが、超音波ボンディング・キャピラリに対してカッティング・ツールを突出及び後退させるように機能し得るばねを含む、装置。
【請求項7】
請求項1、2又は3に記載の装置であって、カッティング・ツールが、ワイヤがそこを通るように寸法合わせされる内側領域を備えたリングを画定する末端部を有する伸長部材、及びリングの内径の周りのカッティング面によって全般的に画定されるカッティング・ブレードを含む、装置。
【請求項8】
ワイヤをワークピースにボンディングするための方法であって、
超音波ボンディング・キャピラリの通路を介してワイヤを供給し、
超音波ボンディング・キャピラリの係合面に対してワイヤをクランプし、
超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面に沿ってワイヤをワークピースにボンディングし、及び
超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間のワイヤをカッティングする
ことを含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、ワイヤが、全般的に矩形の断面を有する平らなワイヤである、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、ワイヤをカッティングすることが、超音波ボンディング・キャピラリのボンディング面と係合面との間のワイヤをカッティング・ブレードが少なくとも部分的に通ることを含む、方法。
【請求項11】
請求項8、9又は10に記載の方法であって、更に、リング・カッターを通してワイヤを供給することを含み、カッティング・ブレードが、リング・カッターの内径によって全般的に画定され、ワイヤをカッティングすることが、超音波ボンディング・キャピラリに向かってカッティング・ブレードを後退させることを含む、方法。
【請求項12】
請求項8、9又は10に記載の方法であって、ワイヤをカッティングすることが、カッティング・ブレードを係合面とボンディング面との間で超音波ボンディング・キャピラリから離して突出させることを含む、方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【公表番号】特表2008−543115(P2008−543115A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515980(P2008−515980)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/022530
【国際公開番号】WO2006/135773
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(501229528)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (111)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/022530
【国際公開番号】WO2006/135773
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(501229528)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (111)
【Fターム(参考)】
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