説明

ワイヤーハーネス用ファスナー

【課題】ワイヤーハーネスを長期に渡り確実かつ強固に止め付けることができると共に、止め付け作業能率を大幅に向上させることのできるワイヤーハーネス用ファスナーを提供する。
【解決手段】基部4の両側に設けられて、互いに内外方へ拡縮変形して各先端部間の開口部10を開閉可能な一対の支持体5,5の内部に、開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを保持するループ状の保持部7と、保持部内のワイヤーハーネスが基部方向へ移動した際に、保持部の両側部を挟圧状態に支持する一対の支持アーム8が設けられている。両支持体の対向する内面には、該両支持体が縮径方向へ変形した際に、対峙する各先端部が前記保持部の前記ワイヤーハーネス上側の両外側部を互いに近接する方向へ押圧して内方へ反転状態に変形させつつ閉止する一対の突起部9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の電気機器に接続される複数のワイヤーハーネスを結束して車体の所定箇所に止め付けられるワイヤーハーネス用ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワイヤーハーネス用ファスナーとしては従来から数多く提供されており、その一つとして、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
概略を説明すれば、このワイヤーハーネス用ファスナーは、例えば車両に用いられるもので、車体への固定用クリップと共に合成樹脂材によって一体に形成され、硬質な矩形状のベース部と、車体パネルなどのクリップ孔に差し込んで係止するクリップを有するステム部と、一端部が前記ベース部の一端部に一体的に結合されて、例えば複数のワイヤーハーネスを結束する可撓性の結束バンドと、から主として構成されている。
【0004】
前記ベース部の他端部には、前記結束バンドを挿通係止させるバックル部が形成されている一方、前記結束バンドの帯状本体の表面には、前記バックル部の開口縁に形成された係止突部に係止する波形状の係止溝が連続して形成されている。
【0005】
そして、ワイヤーハーネス用ファスナーが、前記クリップを介して車体パネルに固定された後に、複数のワイヤーハーネスを前記ベース部の内側面に当てがいつつ前記結束バンドの先端部を前記バックル部の開口孔に挿通してこの開口孔の反対側から飛び出した先端部を指で摘んで引っ張れば、前記所定箇所の係止溝が係止突部に係止して、各ワイヤーハーネスを結束しつつベース部に保持することが可能になる。
【特許文献1】特開平8−210321号公報など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のワイヤーハーネス用ファスナーにあっては、単にベース部のバックル部の開口孔の係止突部と結束バンドの係止溝との係止状態を得ていることから、車体温度の変化によって前記係止突部と係止溝との係止力が低下して、結束バンドの先端部がバックル部から不用意に抜け出てしまい、この結果、各ワイヤーハーネスがファスナーからばらばらに外れてしまうおそれがある。
【0007】
しかも、各ワイヤーハーネスを結束バンドによって止めるに際しては、例えば、一人の作業者が一方の手で各ワイヤーハーネスをベース部に押し当てた状態で他方の手で結束バンドの先端部をバックル部の開口孔に挿通しなければならず、また、その後、手を持ち替えて結束バンドの先端部を引っ張らなければならないなど、かかるワイヤーハーネスの止め付け作業がきわめて繁雑になり、該止め付け作業能率の低下を招いている。
【0008】
本発明は、前記従来技術の実情に鑑みて案出されたもので、ワイヤーハーネスを長期に渡り確実かつ強固に止め付けることができると共に、止め付け作業能率を大幅に向上させることのできるワイヤーハーネス用ファスナーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、所定の部材に固定される基部と、該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して各先端部間の開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に、前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、両端縁が前記両支持体の対向する内面にそれぞれ結合されて、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを抱持状態に保持する撓み変形可能なループ状の保持部と、対向する端縁が前記保持部の底部側の両側に結合され、前記一方の支持体の縮径方向の変形に伴って前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスが前記基部方向へ移動した際に、前記保持部を挟圧状態に支持する一対の支持アームと、前記両支持体の対向する内面から突き合わせ状態に突設されて、前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスが前記基部方向へ移動した際に、対峙する各先端部が前記保持部の前記ワイヤーハーネス上側の両外側部を互いに近接する方向へ押圧して内方へ反転状態に変形させる一対の突起部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、基部をクリップなどによって所定部材に固定した後、例えば両支持体が互いに拡縮径方向へ弾性変形可能な構造である場合に、該両支持体を予め拡径方向に変形して開口部が開口している状態で、複数のワイヤーハーネスを手で束ねてそのまま前記開口部から保持部の底部側に嵌挿する。次に、前記両支持体の外側部を例えば指で摘んで内方(縮径方向)へ強制的に変形させると、両支持体がロック機構によってロックされる。これに伴い、両支持アームが、固定端部を支点として互いに一端部が押し開かれるように外方へ回動すると共に、各突起部の先端部が互いに突き合わせ方向に移動して保持部の両側部を互いに近接する方向へ押圧する。このため、該保持部は、両側部付近から内方へ反転状態に変形してΩ形状になって開口部側を閉じるように撓み変形する。これにより、各ワイヤーハーネスは、全体が保持部の底部側で包み込まれるように保持される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、所定の部材に固定される基部と、該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して各先端部間の開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に、前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、前記基部の両支持体側の内側上面に形成された一対の係止溝と、前記両支持体の対向する内面にそれぞれ設けられて、内側にワイヤーハーネスを嵌挿保持する半円弧状の一対の保持部と、を備え、前記各保持部は、両支持体の前記基部側の対向内面に互いにほぼ突き合わせ状態に突設された突起部を有し、該各突起部の先端部下面には、前記両支持体が縮径方向へ変形して前記ワイヤーハーネスが前記各突起部を介して前記基部方向へ移動した際に、前記各係止溝に係止する一対の係止部が設けられ、該各係止部が各係止溝にそれぞれ係止したときに、前記各突起部の先端が互いに弾接状態に突き合わされるように構成したことを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、請求項1の発明と同じように、基部を例えばクリップなどによって所定部材に固定した後、両支持体が予め拡径方向に変形して開口部が開口している状態で、複数のワイヤーハーネスを手で束ねてそのまま前記開口部から保持部の底部に嵌挿させ、続いて両支持体の各外側面を指で摘んで内方(縮径方向)へ強制的に変形させると、前記各係止溝に各突起部の各係止部が係入して係合状態を得ると同時に、前記各突起部の先端縁が互いに弾接状態に突き合わされると、この突き合わせによって各突起部にはそれぞれほぼ軸線外方への反力が作用して、この各反力が各係止部に伝達される。このため、該各係止部は各係止溝に対して前記各反力方向への係止力が増加されて、前記ロック機構のロック力と相俟って内部のワイヤーハーネスを強固に保持することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記保持部の両端縁を前記両支持体の先端部側の内面に一体に結合して前記一方の支持体が外方へ拡径状態にあるときは、前記保持部がほぼU字形状になるように形成する共に、前記一方の支持体が内方へ縮径変形して前記ロック機構によりロックされた状態では、前記両突起部の各先端部が保持部の両側部を互いに反対方向から突き合わせ状態に押圧して反転状態に変形させることにより、前記保持部の開口部側を閉止状態に形成して前記ワイヤーハーネス全体を包囲状態に保持したことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記各支持アームを、対向するほぼL字形状に折曲形成すると共に、各他端縁を前記各突起部の前記基部側の側面に一体に結合し、前記両支持体の縮径変形時に、前記各突起部の各先端部側が基部方向へ倒れ変形すると同時に前記各支持アームの各一端縁が互いに突き合わせ状態に対峙して前記保持部の底部側の両側部を挟圧するように形成したことを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記少なくとも一方の支持体が内方へ縮径変形して前記ロック機構によりロックされた状態では、前記両突起部の各先端部が保持部の両側部を互いに反対方向から突き合わせ状態に押圧して反転状態に変形させることにより、前記保持部の開口部側を閉止して底部側が菱形形状となるように形成して、該底部内に前記ワイヤーハーネス全体を包囲状態に保持したことを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の発明にあっては、前記ロック機構は、前記一方側の支持体の先端部に形成されて、先端部内側に形成された嘴形状のロック用溝と、他方側の支持体の先端部に形成されて、前記両先端部が互いに縮径方向へ重合状態に移動した際に、背面に形成された係止端が前記ロック用溝の端縁に係止する嘴形状のロック爪と、を備え、前記ロック用溝の端縁とロック爪の係止端とを、前記両支持体の拡径方向に対してほぼ直角に形成すると共に、前記ロック用溝の先端側に、先端縁を外方へ押し上げることによって前記ロック用溝とロック爪との係止状態を解除する解除用突起を一体に設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記両支持体の先端部の内面に、該両支持体が縮径変形して前記ロック機構によってロックされた際に、両支持体に拡径方向の反力を与えて前記ロック機構のロック係止力を高める係止力付与機構を設けたことを特徴としている。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記支持体の基部との付け根部付近に、該支持体の拡縮径方向への変形を容易にする薄肉部を形成したことを特徴としている。
【0019】
請求項9に記載の発明は、前記両支持体の外側部に、縮径方向への変形時に指を掛ける指掛け突部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、両支持体をロック機構によってロックすると、各突起部などによって保持部がワイヤーハーネス全体を包み込むように保持することから、該ワイヤーハーネスを確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0021】
しかも、前記両支持体をワンタッチでロックすることによってワイヤーハーネスを保持することができるので、かかるワイヤーハーネスの止め付け作業がきわめて容易になり、該作業能率の向上が図れる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、係止部が両突起部の反力を介して係止溝に対して強固に係止されるため、ロック機構のロック作用と相俟ってワイヤーハーネスを保持部内に確実かつ強固に保持することができる。
【0023】
また、この発明もワイヤーハーネスをワンタッチで保持することができるので、止め付け作業能率の向上が図れる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、保持部の開口部側を両突起部によって閉止することによって保持部の底部側でワイヤーハーネス全体を包囲状態に囲繞したため、ワイヤーハーネスをより確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0025】
請求項4及び5に記載の発明によれば、各支持アームによって保持部の底部側の両側部を挟み込むように押圧して、前記保持部内のワイヤーハーネスを直接的に挟持することから、該ワイヤーハーネスに対する保持力が増加する。したがって、ワイヤーハーネスを自動的により確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、両支持体をロック機構のロック用溝とロック爪との強固な係止状態によって確実なロック状態が得られると共に、両支持体のロックを解除するには、解除用突起を利用して簡単に解除することができる。このため、該ワイヤーハーネスの交換作業などを容易に行うことが可能になる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、係止力付与機構によってロック機構のロック係止力がさらに高まるため、各支持体を介して保持部の保持力を安定に維持することが可能になる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、各薄肉部によって両支持体の縮径変形が容易になり、止め付け作業性がより向上する。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、指掛け部によって両支持体の縮径変形作業をさらに容易に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係るワイヤーハーネス用ファスナーの実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0031】
図1〜図2は請求項1に記載された発明に対応する実施形態を示し、ワイヤーハーネス用ファスナーは、車両に適用されたもので、ファスナー本体1と、該ファスナー本体1の図中下端部に一体に形成されたクリップ2とを合成樹脂材によって一体に形成され、このクリップ2は、車体パネル3の所定箇所に穿設された円形状の固定用孔3aに挿通固定されるようになっている。
【0032】
前記ファスナー本体1は、全体が矩形薄型形状に形成されていると共に、左右対称形状に形成されており、下部中央に前記クリップ2が一体に固定された平板状の硬質な基部4と、該基部4の両端部から立ち上がり状に設けられて、拡縮径方向へ弾性変形可能な円弧状の一対の支持体5,5と、該支持体5,5の縮径方向の変形時に両支持体5,5をロックするロック機構6と、前記両支持体5,5内に設けられて、内部にワイヤーハーネスHを保持する撓み変形可能なループ状の保持部7と、各一端部8a、8aが前記保持部7の底部7a側の両側に結合された一対の支持アーム8、8と、前記支持体5,5の対向内面から内方へほぼ水平方向へ対峙状態に設けられて、前記保持部7の両外側面7b、7bを突き合わせ状態に押圧する一対の突起部9,9とを備えている。
【0033】
前記一対の支持体5,5は、基端部5a、5aが前記基部4の両端部に一体に結合されていると共に、上端部の各先端部5b、5bの間には、両支持体5,5が拡径方向へ変形している際、つまり自然状態(以下同じ)において開口部10が形成されている。
【0034】
また、支持体5,5は、基端部5a、5a付近に該支持体5,5の拡縮径変形を容易にする薄肉部5c、5cが形成されていると共に、両外側部には、支持体5,5を指で摘んで互いにロック方向、つまり内方(縮径方向)へ変形させるための、指掛け部5d、5dが一体に形成されている。
【0035】
さらに、前記一方側支持体5の先端部5b内面に、支持突起12が反対の支持体5の内面方向に向かって突設されている一方、他方側支持体5の先端部5bの内面に両支持体5,5が最大に縮径変形した際に、前記支持突起12の先端が弾接する当接面13が形成されており、これら支持突起12と当接面13とによって係止力付与機構が構成されている。
【0036】
前記ロック機構6は、一方側の支持体5の先端部5b内側に形成されたほぼ嘴形状のロック用溝6aと、他方側の支持体5の先端部5bの背面に形成されて、両支持体5,5が互いに縮径方向へ変形して各先端部5b、5bが重合状態に移動した際に、前記ロック用溝6aに係止する嘴形状のロック爪6bと、を備えている。前記ロック用溝6aは、先端縁6cが僅かに凹状に形成されて、両支持体5,5の互いに外方への引っ張り方向の力が作用すると、前記ロック爪6bの突起状の後端縁6dが食い込み状に係止するようになっている。
【0037】
また、一方側の先端部5bの前記ロック用溝6aよりも先端側には、前記ロック用溝6aにロック爪6bが係止したロック状態時に、先端縁を所定のマイナスドライバーなどで引っかけて持ち上げることによりロック状態を解除する解除用突起11が一体に設けられている。
【0038】
前記保持部7は、ほぼ全体が薄肉に形成されて比較的自由に弾性変形可能になっており、一端部7bが前記支持突起12の先端に一体に結合されていると共に、他端部7bが前記当接面13の下端縁に一体に結合されている。また、保持部7は、自然状態では前記底部7aが下方へ膨出形成されていると共に、両側部は開かれて内部と前記開口部10が連続した開放状態になっている。
【0039】
前記一対の支持アーム8,8は、ほぼL字形状にそれぞれ形成されて対向配置され、各他端部8b、8bが前記突起部9,9の図中下面に下方向から結合されていると共に、前記保持部7の両側部に結合された前記各一端部8a、8aの近傍と他端部8b、8b自体には、前記支持体5,5の拡縮径方向の変形作用に追従して容易な変形を得るための薄肉部8c、8cがそれぞれ形成されている。
【0040】
前記一対の突起部9、9は、各基端部が前記支持体5,5の対向内面の前記各指掛け部5d、5dがほぼ対応する位置に結合されていると共に、ほぼ円弧状の各先端縁9a、9aが自然状態において前記保持部7の両外側面に一定の隙間を介して対峙している。
【0041】
前記クリップ2は、図1及び図2に示すように、前記ファスナー本体1の基部4に首部14を介して結合された中空状のステム部15と、前記首部14の直下にほぼ同軸上に突設された押し出し部16とから主として構成されている。
【0042】
前記ステム部15は、全体が弾性変形可能に形成され、前記首部14から左右に二股状に分岐されて下方へ延出した一対の支持脚17、17と、該各支持脚17、17の下端縁から一対の連結片18、18を互いに内方へ連続して設けられて、前記固定用孔3a内に挿通される一対の脚片19、19とを備えている。
【0043】
前記各支持脚17は、それぞれ湾曲状に折曲形成されていると共に、首部14の付け根部及び両肩部付近の上面に上方への容易な折曲性を確保するための薄肉部17a、17bがそれぞれ形成されている。
【0044】
前記各連結片18,18は、容易な撓み変形を確保するために、下面に複数の薄肉部18aが波形状に形成され、自然状態では、図1に示すように、支持脚17,17の下端縁に結合された外端縁から内方へ行くにしたがって僅かに上方へ立ち上がり形成されている。
【0045】
前記各脚片19、19は、前記各連結片18,18の内端縁に結合された弾性変形可能な蛇腹部と、該蛇腹部の下端に一体に設けられた係止爪19a、19aとから構成され、この係止爪19a、19aは、前記固定用孔3aの孔縁に係止可能なように錨状に形成されている。また、前記蛇腹部と係止爪19a、19aとの結合部の外側面には、該係止爪19a、19aが内方へ比較的容易に弾性変形可能とする蟻溝19b、19bがそれぞれ形成されている。また、前記両蛇腹部は、自然状態では、図1及び図2に示すように逆ハ字形状に拡開変形して、両係止爪19a、19aを互いに近接させるように保持している。
【0046】
一方、前記押し出し部16は、ほぼ2枚の平板状に形成され、内部中央に内方への弾性変形を確保する空間部16aが形成されていると共に、自然状態では下端縁が前記脚片19,19の係止爪19a、19aの直上に位置している。また、押し出し部16は、両外側面に脚片19,19を固定用孔3aに挿通した際に、前記蛇腹部の凹部に係止する突起16b、16が一体に設けられていると共に、下部両側には、前記両係止爪19a、19aを押し開く凸部16c、16cが設けられている。
【0047】
以下、本実施の形態の作用について説明する。
【0048】
まず、車体パネル3の固定用孔3aにワイヤーハーネス用ファスナーを取り付けるには、図1に示すように、ファスナー本体1を持ってクリップ2の前記脚片19、19を係止爪19a、19aから固定用孔3aの外側孔縁に当てがい、そのままファスナー本体1を押し下げると、図3に示すように、前記押し出し部16の先端部が両蛇腹部及び係止爪19a、19a間に入り込んで両脚片19,19を押し広げつつ各係止爪19a、19aから順に両脚片19,19全体が固定用孔3a内に入り込む。
【0049】
このとき、連結片18,18は、車体パネル3の上面形状に倣って平坦状に変形すると共に、支持脚17、17も上面の一部が基部4の下面で押圧されて潰れ変形する。
【0050】
この状態においては、ファスナー本体1側では、両支持体5,5が拡径方向に弾性変形して開口部10が開成された状態にあり、また保持部7の上端部も開いているので、複数(この場合8本)のワイヤーハーネスHを前記開口部10から保持部7内へまとめて嵌挿させる。
【0051】
次に、前記両支持体5,5の指掛け部5d、5dを片手の2本指で摘んで両支持体5,5を縮径方向へ変形させると、図4に示すように、各先端部5b、5bが互いに重合状態になってロック爪6bがロック用溝6a内に係入しつつ弾発状態に係止して両者5,5が連結ロックされる。
【0052】
このとき、前記各支持体5,5の内方への変形に伴い、同じく図4に示すように、前記支持突起12の先端縁が対向する当接面13に当接して保持部7の一端部7b、7b側を互いに当接させる。同時に、両支持アーム8,8が、固定端部である他端部8b、8bを支点として両一端部8a、8aが互いに押し開かれるように外方へ回動すると共に、各突起部9,9の先端縁9a、9aが互いに突き合わせ方向に移動して保持部7の両側部を互いに近接する方向へ押圧する。このため、該保持部7は、両側部付近から内方へ反転するように弾性変形して逆Ω形状になって開口部10側を閉止する。これにより、各ワイヤーハーネスHは、全体が保持部7の菱形形状の底部7a側で包囲状態に保持される。
【0053】
このとき、ファスナー本体1を僅かに引き上げ形になることから、クリップ2側では、図4に示すように、支持脚17,17や連結片18,18がほぼ原形状に復帰すると共に、両係止爪19a、19aが押し出し部16の両凸部16c、16cによって外方へ押し広げられて、固定用孔3aの下側孔縁に係止する。
【0054】
このように、本実施の形態では、両支持体5,5をロック機構6によって連結ロックすると、各支持アーム8,8と突起部9,9によって保持部7がワイヤーハーネスHの全体を挟圧状態に包み込んで結束状態に保持することから、該ワイヤーハーネスHを確実かつ強固に保持することが可能になる。したがって、車体の雰囲気温度が高くなっても、各支持体5,5が変形して分離されることなく各ワイヤーハーネスHを長期に亘り安定して保持することが可能になる。
【0055】
特に、各ワイヤーハーネスHを結束状態に保持することにより該各ワイヤーハーネスHからの外方への反力(抵抗力)が発生し、この反力に対する支持アーム8,8や突起部9,9の挟持力が増加するので保持力が高くなる。
【0056】
しかも、前記両支持体7,7をワンタッチでロックすることができるので、ワイヤーハーネスHの止め付け作業がきわめて容易になり、該作業能率の向上が図れる。
【0057】
また、本実施の形態では、両指掛け部5d、5dによって両支持体5,5の縮径変形作業を行うので、この作業を容易に行うことが可能になる。
【0058】
さらに、前述のように、保持部7の開口部10側を両突起部9,9によって閉止することによって保持部7の底部7a側でワイヤーハーネスH全体を包囲状態に囲繞したため、ワイヤーハーネスHをより確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0059】
特に、各支持アーム8,8によって保持部7の底部7a側の両側部を挟み込むように押圧して、前記保持部7内のワイヤーハーネスHを直接的に挟持することから、該ワイヤーハーネスHに対する保持力が増加する。したがって、ワイヤーハーネスHを自動的により確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0060】
また、両支持体7、7をロック機構6のロック用溝6aとロック爪6bとの強固な係止状態によって各支持体7,7に図4の矢印で示すような両外方向及び上方向への引っ張り力が作用しても確実なロック状態が得られる。とりわけ、前記支持体5,5がロックされた状態では、前記支持突起12が当接面13に弾接してロック用溝6aとロック爪6bに開き方向(図4の小矢印方向)への反力が作用することから、該ロック用溝6aとロック爪6bとの係止力が十分に大きくなる。
【0061】
一方、両支持体5,5のロックを解除するには、解除用突起11の底面と一方の支持体5の上面との間に例えばマイナスドライバーなどの先端を差し込んで持ち上げると、解除用突起11が開かれてロック爪6bに対するロック用溝6aの係止力が開放されて両支持体5,5の連結ロック状態を簡単に解除することができる。このため、該ワイヤーハーネスHの交換作業などを容易に行うことが可能になる。
【0062】
また、前記各ワイヤーハーネスHが保持された状態では、両支持体5,5が互いに縮径変形してファスナー本体1がコンパクトになる。このため、各支持体5,5の外面とこれら周辺の他の車体部品との干渉などが防止できると共に、かかるワイヤーハーネス用ファスナーを狭い場所にも自由に取り付けることが可能になり、汎用性が向上する。
【0063】
そして、車体の解体などにおいて、リサイクルのためにワイヤーハーネスHとワイヤーハーネス用ファスナーとを分離する場合には、図5に示すように、ファスナー本体1を上方へ(矢印方向)へ強く引っ張ると、クリップ2の各係止爪19a、19aが固定用孔3aの下側孔縁に引っ掛かって蛇腹部との間の各蟻溝19b、19bを介して互いに内方へ弾性変形する。このため、該各係止爪19a、19aが比較的容易に固定用孔3aから抜け出すことが可能になる。これによって、リサイクルのための分離作業が容易になる。
【0064】
前記ステム部15の支持脚17、17と連結片18,18の弾性変形作用によって、図6に示すように、板厚L、L1が種々異なる車体パネル3にも十分に対応することが可能である。
【0065】
また、前記ワイヤーハーネスHの本数に関わりなく保持することが可能であり、例えば図7に示すようにワイヤーハーネスHが1本の場合、図8に示すように2本の場合、図9に示すように4本の場合、図10に示すように6本の場合など、いずれの本数の場合でも、各支持アーム8,8や各突起部9,9を介して保持部7によってこれらの各ワイヤーハーネスHを包囲状態に支持することから、常に強固かつ確実に保持することが可能になる。
【0066】
つまり、前記保持部7は、ワイヤーハーネスHの本数によってその菱形の基本形状が内角を変化させつつ各ワイヤーハーネスHを常に包囲状態で保持するため、その保持力が高くなり、たとえ各ワイヤーハーネスHに上方向への強い力が加わっても各突起部9,9間から抜け出すことはない。
【0067】
図11〜図14は請求項2に記載した発明に対応する第1の実施の形態を示し、ファスナー本体1の基部4や両支持体5,5、ロック機構6及びクリップ2などの基本構成は、先の実施の形態と同様であるから、これらの具体的な説明は省略する。
【0068】
すなわち、前記基部4の両支持体5,5側の内側上面に一対の係止溝20、20が形成されていると共に、前記両支持体5,5の対向する内面に、内側にワイヤーハーネスである2本のケーブルK、Kを嵌挿保持する半円弧状の一対の保持部21、21が設けられている。
【0069】
前記係止溝20,20は、連続して形成されて全体がほぼ矩形長溝状に形成されていると共に、各内端縁に折り返し状の突部20a、20aが一体に形成されている。
【0070】
前記各保持部21、21は、半円弧状の内径が前記各ケーブルK、Kの外径よりも僅かに小さく形成されて、該各ケーブルK,Kを挟圧状態に保持するようになっており、両支持体5,5の前記基部4側の対向内面に、互いにほぼ突き合わせ状態に突設された突起部22、22を一体に有している。この各突起部22,22の先端部下面には、前記両支持体5,5の縮径方向への弾性変形に伴って前記両ケーブルK,Kが前記各突起部22,22を介して前記基部4方向へ移動した際に、前記各係止溝20,20に係止する一対の係止部である係止突部22a、22aが一体に設けられている。
【0071】
また、各突起部22,22は、各係止突部22a、22aが各係止溝20,20にそれぞれ係止したときに、前記各突起部22,22の先端面22b、22bが互いに弾接状態に突き合わされるように構成されている。
【0072】
なお、前記一方側の支持体5の内面の開口部10付近には、先の実施の形態と同様に前記支持突起12が設けられている一方、他方側の支持体5の内面には、前記支持突起12が弾接可能な当接面13が形成されている。
【0073】
以下、本実施の形態の作用について説明すると、まず、図12及び図13に示すように、先の実施の形態と同様、前記基部4をクリップ2によって車体パネル3に固定用孔3aを介して固定した後、両支持体5,5が自然状態で予め拡径方向へ弾性変形して開口部10が開口している際に、2本のケーブルK、Kを手で束ねてそのまま前記開口部10から各保持部21,21内に押し込んで保持させる。
【0074】
その後、両支持体5,5の各指掛け部5d、5dを指で摘んで内方(縮径方向)へ強制的に変形させると、図14に示すように、前記各係止溝20,20に各突起部22、22の各係止突部22a、22aが係入して係合状態を得ると同時に、前記各突起部22,22の先端縁22b、22bが互いに弾接状態に突き合わされる。
【0075】
この突き合わせが行われると、各突起部22,22には、それぞれほぼ軸線外方(図14の矢印方向)への反力が作用し、この各反力が各係止突部22a、22aに伝達される。このため、該各係止突部22a、22aは、各係止溝20,20に対して前記各反力方向への係止力が増加されて、前記各突部20a、20aに強く係止する。このため、前記支持突起12と当接面13との弾接による前記ロック機構6の強い係止力と相俟って内部のケーブルK,Kを強固に保持することができる。
【0076】
しかも、単に両支持体5,5を互いに縮径方向へ弾性変形させる操作だけで、各ケーブルK、Kを強固に保持できるので、その止め付け作業がきわめて容易になる。他の構成は、先の実施の形態と同様であるから同じ作用効果が得られる。
【0077】
図16〜図19は請求項2の発明の第2の実施の形態を示し、基本構成は前記第1の実施の形態とほぼ同様であって、異なるところは、両支持体5,5の間に共同して一つの保持部31を設けた点にある。
【0078】
つまり、ファスナー本体1は、全体に径方向に小さく形成され、基部4の幅長さWが先のものより短く設定されていると共に、各支持体5,5の対向幅も小さく設定されて、それぞれの内面に前記一つの保持部31を構成する半円弧状の一対の保持部位31a、31aが形成されている。
【0079】
また、前記一対の係合溝20,20や一対の突起部22,22は、長さ方向が短くなっただけで、構造は第1の実施の形態と同様である。
【0080】
したがって、この実施の形態によれば、図17〜図19に示すように、前述と同様に、前記基部4をクリップ2によって車体パネル3に固定用孔3aを介して固定した後、両支持体5,5が自然状態で予め拡径方向へ弾性変形して開口部10が開口している際に、1本のケーブルKをそのまま前記開口部10から各保持部位31a,31a間に押し込んで保持させる。
【0081】
その後、両支持体5,5の各指掛け部5d、5dを指で摘んで内方(縮径方向)へ強制的に変形させると、図19に示すように、前記各係止溝20,20に各突起部21、21の各係止突部22a、22aが係入して係合状態を得ると同時に、前記各突起部22,22の先端縁22b、22bが互いに弾接状態に突き合わされる。
【0082】
この突き合わせが行われると、各突起部21,21には、それぞれほぼ軸線外方(図19の矢印方向)への反力が作用し、この各反力が各係止突部22a、22aに伝達される。このため、該各係止突部22a、22aは、各係止溝20,20に対して前記各反力方向への係止力が増加されて、前記各突部20a、20aに強く係止する。このため、前記支持突起12と当接面13との弾接による前記ロック機構6の強い係止力と相俟って内部のケーブルKを強固に保持することができる。
【0083】
しかも、単に両支持体5,5を互いに縮径方向へ弾性変形させる操作だけで、ケーブルKを強固に保持できるので、その止め付け作業がきわめて容易になる。
【0084】
本発明は、前記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えばファスナー本体1は、前記構成のクリップ2だけではなく、種々のクリップに適用できることは勿論のこと、例えば、基部4の下面に両面接着テープを接着して、対象部材にかかる両面テープによって固定するようにしたものであってもよい。また、対象部材としては、車体に限らず家電製品や事務機器などの何れの装置や機器類に適用することが可能である。
【0085】
また、ワイヤーハーネスとしては、何れの種類のものでもよく、またその外径の大きさ如何に拘わらず各種のものに適用することが可能である。
【0086】
さらに、両支持体5,5を縮径方向へ弾性変形させる手段としては、前記各実施の形態のように、両指掛け部5d、5dを摘んで内方へ弾性変形させる以外に、ワイヤーハーネスHやケーブルKを開口部10からそれぞれの保持部7、21、31内に上から押し込む力を利用して両支持体5,5を互いに縮径方向へ変形させることも可能である。
【0087】
また、前記各支持体5,5は、両方とも弾性変形するのではなく、一方側を固定状態にしておいて、他方側のみを内方へ弾性変形させて一方側の支持体5にロックさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】請求項1に記載の発明に対応した実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図2】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図3】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける作用を示す正面図である。
【図4】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付けた状態を示す正面図である。
【図5】同ワイヤーハーネス用ファスナーを固定用孔から引き抜く状態を示す正面図である。
【図6】同ワイヤーハーネス用ファスナーを板厚の異なる部材に取り付けた状態を示す正面図である。
【図7】同ワイヤーハーネス用ファスナーに1本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図8】同ワイヤーハーネス用ファスナーに2本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図9】同ワイヤーハーネス用ファスナーに4本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図10】同ワイヤーハーネス用ファスナーに6本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図11】請求項2に記載の発明に対応した第1の実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図12】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期状態を示す正面図である。
【図13】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図14】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す正面図である。
【図16】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期状態を示す正面図である。
【図17】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図18】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図19】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付けた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0089】
1…ファスナー本体
2…クリップ
3…車体パネル(所定部材)
3a…固定用孔
4…基部
5、5…支持体
5b、5b…先端部
6…ロック機構
7…保持部
8、8…支持アーム
9、9…突起部
10…開口部
20、20…係合溝
21,21・31…保持部
22、22…突起部
22a、22a…係合突部
22b、22b…先端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して各先端部間の開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に、前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
両端縁が前記両支持体の対向する内面にそれぞれ結合されて、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを抱持状態に保持する撓み変形可能なループ状の保持部と、
対向する端縁が前記保持部の底部側の両側に結合され、前記一方の支持体の縮径方向の変形に伴って前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスが前記基部方向へ移動した際に、前記保持部を挟圧状態に支持する一対の支持アームと、
前記両支持体の対向する内面から突き合わせ状態に突設されて、前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスが前記基部方向へ移動した際に、対峙する各先端部が前記保持部の前記ワイヤーハーネス上側の両外側部を互いに近接する方向へ押圧して内方へ反転状態に変形させる一対の突起部と、を備えたことを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項2】
所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して各先端部間の開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に、前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記基部の両支持体側の内側上面に形成された一対の係止溝と、
前記両支持体の対向する内面にそれぞれ設けられて、内側にワイヤーハーネスを嵌挿保持する半円弧状の一対の保持部と、を備え、
前記各保持部は、両支持体の前記基部側の対向内面に互いにほぼ突き合わせ状態に突設された突起部を有し、
該各突起部の先端部下面には、前記両支持体が縮径方向へ変形して前記ワイヤーハーネスが前記各突起部を介して前記基部方向へ移動した際に、前記各係止溝に係止する一対の係止部が設けられ、
該各係止部が各係止溝にそれぞれ係止したときに、前記各突起部の先端が互いに弾接状態に突き合わされるように構成したことを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項3】
前記保持部の両端縁を前記両支持体の先端部側の内面に一体に結合して前記一方の支持体が外方へ拡径状態にあるときは、前記保持部がほぼU字形状になるように形成する共に、前記一方の支持体が内方へ縮径変形して前記ロック機構によりロックされた状態では、前記両突起部の各先端部が保持部の両側部を互いに反対方向から突き合わせ状態に押圧して反転状態に変形させることにより、前記保持部の開口部側を閉止状態に形成して前記ワイヤーハーネス全体を包囲状態に保持したことを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項4】
前記各支持アームを、対向するほぼL字形状に折曲形成すると共に、各他端縁を前記各突起部の前記基部側の側面に一体に結合し、前記両支持体の縮径変形時に、前記各突起部の各先端部側が基部方向へ倒れ変形すると同時に前記各支持アームの各一端縁が互いに突き合わせ状態に対峙して前記保持部の底部側の両側部を挟圧するように形成したことを特徴とする請求項1または3に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項5】
前記少なくとも一方の支持体が内方へ縮径変形して前記ロック機構によりロックされた状態では、前記両突起部の各先端部が保持部の両側部を互いに反対方向から突き合わせ状態に押圧して反転状態に変形させることにより、前記保持部の開口部側を閉止して底部側が菱形形状となるように形成して、該底部内に前記ワイヤーハーネス全体を包囲状態に保持したことを特徴とする請求項1、3、4のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記一方側の支持体の先端部に形成されて、先端部内側に形成されたほぼ嘴形状のロック用溝と、他方側の支持体の先端部に形成されて、前記両先端部が縮径方向へ重合状態に移動した際に、背面に形成された係止端が前記ロック用溝の端縁に係止する嘴形状のロック爪と、を備え、
前記ロック用溝の端縁とロック爪の係止端とを、前記両支持体の拡径方向に対してほぼ直角に形成すると共に、前記ロック用溝の先端側に、先端縁を外方へ押し上げることによって前記ロック用溝とロック爪との係止状態を解除する解除用突起を一体に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項7】
前記両支持体の先端部の内面に、該両支持体が縮径変形して前記ロック機構によってロックされた際に、両支持体に拡径方向の反力を与えて前記ロック機構のロック係止力を高める係止力付与機構を設けたことを特徴とする請求項1、2または6のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項8】
前記支持体の基部との付け根部付近に、該支持体の拡縮径方向への変形を容易にする薄肉部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項9】
前記両支持体の外側部に、縮径方向への変形時に指を掛ける指掛け突部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−118803(P2008−118803A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301035(P2006−301035)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(599101564)株式会社 善建築設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】