説明

ワイヤーライン・ダブルチューブ・コアバーレル・コアリングにおけるコア採取装置及び採取方法

【課題】掘削ビットの到達深度より浅いレベルのコアのみを採取するのではなく、所定の深度まで掘削した固結コア及び特に流出し易い未固結コアサンプル試料を効率よく、精度よく採取することが可能で、浅部のサンプル試料から大深度のサンプル試料の採取を確実に得ることができるコア採取装置。
【解決手段】インナーバーレルの先端に、コアリング手段16、途中にアウターバーレル中でのインナーバーレル位置を調節するための位置調節手段17、および、その上段に該位置調節手段を作動させるピストン手段18、をそれぞれ有するインナーバーレル構成のワイヤーライン方式で用いられるコア採取装置であって、コアリング手段は、アウターバーレルの下端にビット1を、インナーチューブ6の下部にコアリフター5を、該コアリフターの下部に、底開口部を有するバスケット3を、それぞれ有すると共に、バスケットをビットの中から下に押し出して採取コアを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーライン工法によって、軟質叉は未固結の地質サンプリング試料であってもほとんど乱さずに、また簡単かつ確実に採取できるコア採取装置及び採取方法に関する。このコア採取装置及び採取方法は、ボーリングの際、所望時にのみ作動させることができ、コアリングしないときにはボーリング作業遂行に支障を与えず、また、いかなる深度、いかなる地質においてもコア採取可能なものである。
【背景技術】
【0002】
地質のサンプリング採取にはワイヤーラインコアバーレル方式、シングルコアチューブ方式、ダブルチューブコアバーレル方式、コアパック方式等があり、いずれにしても、予め地質を把握していて地質に適した工法で施工しているが、地質の変化によってその都度、掘削工法を変えないと効率の良いコアサンプル試料の採取は困難であった。特に、深度が深い未固結地質でのサンプル試料採取の場合、段取り替えに膨大な日数を費やしているのが現状である。深尺におけるコアサンプル試料採取にはワイヤーライン工法により、コアバーレルをワイヤーラインウインチにより地上に巻き上げ、コアサンプル試料を採取する方法が効率の良い方法であるが、未固結地質の採取はコアリフターでキャッチは不可能であった。また、未固結地質のサンプル採取方法として無水堀工法があるが、サンプリング採取長さは、精々0.1m〜0.3m程度でその都度ロッドの揚降管作業行う必要があるため、手数と長時間を要し、工費が嵩むと言う課題があった。また、無水堀の場合、ビットの焼き付けによりロッドの切断事故は必然的に発生し、最悪の場合、新たにゼロから掘り直しせざるを得ないことがある。本発明によるワイヤーライン工法のピストン式バスケット作動コア採取装置は、未固結又は固結を問わず如何なる地質に対応でき、かつ原則的には如何なる深度にも対応できる方式である。
【0003】
すなわち旧くから、筒状体を土壌中に圧入して土壌試料を筒の空洞中に押し込み、筒状体を地上に引き抜くことにより試料を入手する方式はよく知られており、例えば、つき合わせたときに筒を形成する2つの分割片から構成される簡単なサンプラ(Sampler)も知られている。特許文献1の特開2006−219944号公報には、図10に示されるように、2つの分割片(3,4)を突き合わせて筒状にしたときに、先端へ向かって広がるスリット(5)が当該2つの分割片(3,4)の突き合わせ端部間に形成されるようにしてあり、該2つの分割片(3,4)を突き合わせて構成した筒状のサンプラを先端側から地中へ貫入した後、該2つの分割片(3,4)を縮径方向に締め付けてサンプラを先細り状態にしつつ抜き出すようになっている土壌試料採取装置が記載されている。
また、掘削井中の地質コア採取のためのボーリング装置は、アウタチューブにコアを収納・支持するコア採取手段を着脱可能に内装し、先端にビットが装着されたワイヤラインコアバーレルを地上のボーリング機で回転・給進する構造のワイヤーラインコアバーレル方式のものが多く用いられており、例えば特許文献2の特開2001−90470号公報には、図11に示されるように、掘削孔内に挿入される装置本体(1)のヘッドカバー(4)の外周部から下方へ延びる外筒(5)、該ヘッドカバー(4)の中心部から該外筒(5)の略全長に亘って延びる中心シャフト(6)、及び中心シャフト(6)の下端部に固着されたガイドブロック(7)によって構成すると共に、前記外筒(5)内に上下2つのピストン(8,9)を前記中心シャフト(6)に沿って昇降自在に設け、該上下2つのピストン(8,9)から下方へ延びてその下端部が外筒(5)とガイドブロック(7)との間隙から外へ臨む試料採取筒(10)を設けてなる試料採取装置であって、前記外筒(5)を垂直螺合した複数の筒部(5a,5b)に分割形成して、その分割端部相互を切り離し可能にねじ結合し、前記試料採取筒の上端部を下部ピストン(9)下端部に外嵌してねじにより取外し可能に固定してなり、圧力水の注入により下部ピストン(9)を降下させて、前記試料採取筒(10)を前記外筒(5)から突出させて土壌中に深く食い込ませ、下部ピストン(9)を下端まで降下させることにより、前記外筒の下部に設けられた排出孔(28)から圧力水を排出するように下部ピストン(9)が降下するボーリング試料採取装置が開示されており、さらに、特許文献3の特開平8−60975号公報には、図12に示されるように、アウタチューブ(15,115)の内挿され先端部にビット(11)を有するコアチューブ(19)と、その上端に駆動体(113)を連結し、この駆動体(113)に設けられ下端が常時開跨に付勢されたラッチ対(116)をアウタチューブ(15,115)内壁に設けられたロッキングカップリング(114)の上面にて係止した状態でコアチューブ(19)とビット(11)とを回動させ、アウタチューブ(15,115)を地上の給進装置で給進することにより、コアチューブ(19)内にコアを採取し、また、前記駆動体(113)のラッチ対(116)を、上から摺下したウエイト(118)により駆動体(113)内の(図示していない)溝から外れることにより該駆動体とアウタチューブ(15,115)内壁との係合をはずし、地上のケーブル巻取装置でコアチューブ(19)と駆動体(113)を地上へ巻上げてコアを回収するよう構成した先端駆動式ボーリング装置が開示されており、更にまた、特許文献4の特開2002−266585号公報には、図13に示されるように、ドリルロッドの先端と係合して一体的に回転運動するアウタチューブアセンブリ(10)と、アウタチューブアセンブリ(10)内に挿脱自在に挿入され、着脱機構によってアウタチューブアセンブリ(10)の内部に固定されるインナチューブアセンブリ(20)と、インナチューブアセンブリ(20)内に設けられ、流体圧によって打撃を与えるダウンザホールハンマ(40)と、インナチューブアセンブリ(20)の下端部に設けられ、その内部に土壌試料を採取するコアチューブ(23)と、コアチューブ(23)の上部に設けられ、アウタチューブアセンブリ(10)の回転を許容するスイベル機構(付勢部材(27)を挟んでハンガボディ(28)がスプリングピンなどの軸部材(30),ベアリング(31)及びクッションラバー(32)を介して回転及び軸方向にスライド可能な機構)と、前記ドリルロッドの押込みに伴ってコアチューブ(23)が短縮方向にスライドするとともにダウンザホールハンマ(40)が作動し、コアチューブ(23)が伸長方向にスライドすると、ダウンザホールハンマ(40)が作動停止してブロー状態となるような制御機構とを備え、該制御機構は、前記アウタチューブアセンブリ(10)の下端方向にコアチューブ(23)をスライドさせるように付勢する付勢部材(27)と、コアチューブ(23)が短縮方向にスライドしたとき前記流体圧を密閉し、コアチューブ(23)が伸長方向にスライドしたとき流体圧を開放するバルブ機構(シャフト(26)の軸心に沿って上端面及び下端面に穿孔された左右2個の開口部(26e)を有する流体流路(26d)と、ハンガボディ(28)の軸心に沿って貫通する流体流路(26d)と、バルブ室(28d)の側面に水平に直交方向に4個設けられた開口部(28e)からなる)とから構成され、前記コアチューブ(23)は、コアチューブ内に挿入されて試料を保持するスプリットチューブ(24)と、スプリットチューブ(24)の内部と連通した状態でスプリットチューブ(24)の下端部に着脱自在に装着されるとともに下端が切刃を構成するインナリング(21)と、スプリットチューブ(24)の上端に設けられ、スプリットチューブ(24)をコアチューブ(23)から押出すピストン(25)とを備えているワイヤラインサンプラが記載されている。
【0004】
これらのようなボーリング装置のコアチューブは、通常、図9にて例示されるように、下端にエキステンションチューブを有し、このエキステンションチューブ内に収納されたシュウ内にコアリフターとこれを収めるリフターケースとが収納されている。コアリフター及びリフターケースはともに、下方狭窄型のテイパ構造を有し、また、コアリフターには更に縦方向スリットが設けられていて、このような構造により、リフターケースが上方向に引き揚げられ、コアリフターがリフターケース下方位置にスライドするようにコアリフター外壁面とリフターケース内壁面との相対的位置が動くにつれて、コアリフターのスリットが窄まってコアリフター内径が小さくなり、これにより、その内部に咥え込まれた状態のコア部を強固に握持することになり、かつ、コアリフター自身はそのテイパ外壁面がリフターケースのテイパ内壁面によりしっかり締め付けられて縮径・握持されるので、コアチューブを引き揚げることにより、地中からちぎり取ったコア試料をコアシュー内から回収することができる。しかしながら、このようなコアサンプリング法は、軟質叉は未固結地質のコアサンプリングには適していない。コアリフターの底開口からの試料脱落が問題である。コアリフターの底開口からの試料脱落があるからといって、試料脱落因としての底開口を閉鎖したコアリフターでは、コア試料をコアリフター内に突入させることができない。
【0005】
そこで、引き揚げるときに底開口から脱落し易い軟質叉は未固結地質のコアサンプリングのための技術も提案されている。例えば特許文献5の実開昭55−140583号公報には、図14にて例示されるように、ボーリングロッドの先端に取付けたサンプラヘッド及びサンプリングチューブを収容する充分な長さを有し、ボーリングロッドに対して摺動自在状態及び固定状態の両状態へ自由に切り替えられるサンプリングアダプタを有し、サンプリングチューブ閉鎖用シャッタリングに対し弾性的な膜及びその一端を区画する弾性紐を取付けたサンプリングチューブ閉鎖用シャッタリングを装備して、サンプリングチューブがシャッタリングを過ぎる点まで降下すると紐の弾性により弾性膜が展張されてサンプリングチューブの先端部の大部分を閉鎖するようにしたシャッタ付サンドサンプラが開示されている。
【0006】
また、特許文献6の実開昭52−161688号公報には、図15にて例示されるように、アウタチューブ(1)の先端方向に連結したビットホルダ(2)内のエキステンションチューブ(3)の先端軸方向にシュウ(4)を連結し、このシュウ(4)内に装着固定するスプリットバスケットタイプのスプリング本体(S)をバネ鋼などの金属薄板のプレス加工により切起したフィンガー群(5)とその根部(6)間に係止突起軍を形成したコアバレル用バスケットタイプスプリングが記載されているが、このスプリットバスケットタイプのスプリング本体(S)のための開閉手段を設けることは特に記載されていない。
【0007】
本発明に類似点が比較的あるものとして、特許文献7の特開平1−161129号公報には、図16にて例示(例示中の符号(16)は溝)されるように、円筒状カッテイングシュー(8)で切り取って試料採取管(9)内に取り込んだコア試料の脱落を防止するため、カッテイングシュー(8)の上端面と試料採取管(9)の下端面との間に、円形状の上端側を鋸刃状に形成したコアキャッチャ(10)と、を装着すると共に、コアキャッチャ(10)の刃(20)先のテーパー面と密接するテーパー面を有し下降したときにコアキャッチャ(10)の刃(20)を内壁に沿った起立状態から内部方向に曲げるためのテーパーリング(11)と、該テーパーリング(11)を下降させるための押圧力を試料採取管(9)の下端に与えるピストン(12)と装着し、コア試料を管内に取り込んだ後、ピストン(12)の押圧力により試料採取管(9)の下端を降下させてテーパーリング(11)を下方に向降させてコアキャッチャ(10)の刃(20)を内部方向に曲げることができるコア採取装置が記載されている。しかし、このコア採取装置によれば、コアキャッチャ(10)の刃(20)先の位置はカッテイングシュー(8)の下端よりも常に上部に位置し、而して、採取されるコア試料は、実際に掘削されたレベルよりも上位レベルのものであって、実際に掘削されたコアの全量を採取することができない。
【0008】
ところで、我々は先に、先端にビットを備え内周に係合部を有するボーリングロッドの内部にワイヤーラインにより挿入されてパイロット孔を掘削するためのパイロット孔掘削装置であって、インナー本体と吊下部とストッパと掘削部とを有し、前記インナー本体はボーリングロッドの内部に挿入可能な径を有し、前記吊下部はワイヤーラインにより吊上げ可能であって前記インナー本体の長さ方向に往復運動可能に前記インナー本体の後端に設けられ、前記ストッパは開閉可能に前記インナー本体に設けられ、前記吊下部が先端方向に移動するとき前記係合部と係合可能に開き、前記吊下部が後端方向に移動するとき前記係合部と離脱可能に閉じる構成を有し、前記掘削部はパイロット孔を掘削可能な先端を有し、前記ストッパが前記係合部と係合するとき前記ビットからパイロット孔を掘削可能な長さで突出するよう前記インナー本体の先端に設けられていることを、特徴とするパイロット孔掘削装置を開発、提案(特許文献8の特許第3963861号)したが、本発明は、該先の提案技術の改良に相当するともいうことができ、したがって、該特許公報記載の掘削装置の本体部分をそのまま利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−219944号公報
【特許文献2】特開2001−90470号公報
【特許文献3】特開平8−60975号公報
【特許文献4】特開2002−266585号公報
【特許文献5】実開昭55−140583号公報
【特許文献6】実開昭52−161688号公報
【特許文献7】特開平1−161129号公報
【特許文献8】特許第3963861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術における上記問題点に鑑み、次の4つの課題を解決するところにある。
(1)すなわち先ず、従来のシングルコアチューブ方式、ダブルチューブコアバーレル方式、コアパック方式等は浅い深度においては適しているが、深度が深くなると水頭圧が加わり掘削した深度のコアサンプルがロッド及びコアバーレルから流出してしまうため、深度が深くなると採取率、掘削効率及び掘削精度の減少が生じるという問題点を改善することにあり、また、掘削したボーリングロッド及びコアバーレルをその都度すべて地上に引き上げてサンプル試料を採取し、再度、掘削深度までボーリングロッドを降下して掘削しなければならず、上記、従来方式では作業工程は煩雑で、かつ長い時間を要すという問題点を解決することにある。
(2)また、従来の、ワイヤーライン・ダブルコアバーレル方式は、インナーチューブコアバーレルをワイヤーで回収可能であるが、未固結地質層のサンプル試料採取はコアリフターでキャッチし採取することは不可能であり、そこで、コアリフター及びインナーチューブにコア脱落装置を具備して掘削する方法もあるが、ほとんど良い結果が出ていないという現状を改善することにある。
(3)さらに、上記特許文献7の特開平1−161129号公報記載のコア採取装置におけるような、コアキャッチャ(10)の刃(20)先の位置はカッテイングシュー(8)の下端よりも常に上部に位置し、而して、採取されるコア試料は、実際に掘削されたレベルよりも上位レベルのものであって、実際に掘削されたコアの全量を採取することができないという問題点を改善することにある。
(4)更にまた、従来のワイヤーライン工法にコアパック工法のツールスをワイヤーラインで回収可能な装置(上記特許文献8の特許第3963861号公報参照)を具備して掘削する方法もあるが、この装置においては、コアパック方式の場合ツールスが微弱なため、深度が深くなると微妙な掘削コントロール技術が求められ、コアサンプルの採取率も不安定であるという問題点をその後認識したため、この問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記(1)〜(8)によって解決される。
(1)「インナーバーレル先(下)端にコアリング手段(16)、途中にアウターバーレル中でのインナーバーレル位置を調節するための位置調節手段(17)、および、その上段に該位置調節手段(17)を作動させるピストン手段(18)、をそれぞれ有するインナーバーレル構成のワイラーライン方式で用いられるコア採取装置であって、
前記コアリング手段(16)は、アウターバーレルの下端にビット(1)を、インナーチューブ(6)の下部にコアリフター(5)を、該コアリフター(5)の下部に、底開口部を有するバスケット(3)を、それぞれ有すると共に、前記バスケット(3)を前記ビット(1)の中から下に押し出して前記バスケット(3)中に採取コアを保持し、前記バスケット(3)は、前記底開口部がテーパー状に絞搾可能な非弾性変形材料からなるものであり、前記ビット(1)による掘削時には前記バスケット(3)をインナーチューブ(6)内の上方に待機し、コアリングが所望されるときのみ前記ピストン手段(18)により前記位置調節手段(17)を作動させて下降させることができるものであることを特徴とするインナーバーレル構成のワイラーライン方式で用いられるワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置」;
(2)「前記位置調節手段(17)は、インナーバーレルを、通常、アウターバーレルのアウターチューブ(C)内の途中に係止させてインナーバーレルをそれ以上降下させないようにランディングカラー(7)を固定状態に保持するが、前記ピストン手段(18)から圧力が印加されたときに切断され該固定状態を解き、ランディングカラー(7)のランディングリング(D)までの降下を許容するシャーピン(8)を設けた掘削水送水用ウォターウエイ付きスリーブ(9)を有するものであることを特徴とする前記(1)項に記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置」;
(3)「前記ピストン手段(18)は、ピストンスリーブ(10)上下に通水口(11a)(11b)を有する有底筒状のピストンスリーブ(10)、投下されるスチールボール(15)が着座して孔部を塞ぐ台座(11c)を下部に有し、前記ピストンスリーブ(10)内を下方に摺動してビット水の通水口(11a)(11b)を封鎖する遮水バルブスティンガー(11)、該遮水バルブスティンガー(11)を下方に摺動させるピストンボディ(12)、及び、該ピストンボディ(12)上に設けられたピストンラバー(13)を含み、前記スチールボール(15)を前記遮水バルブスティンガー(11)内に投下することにより、水圧で下方に摺動してピストンスリーブ(10)の通水口(11a)(11b)を塞ぎ、前記位置調節手段(17)を加圧してそのシャーピン(8)を切断するものであることを特徴とする前記(1)項叉は(2)項に記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置」;
(4)「前記インナーチューブ(6)の下端に取り付けた前記バスケット(3)の直上に、固結層のコアを採取可能なリフターケース(4)をも取り付けたダブル採取可能構造であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置」;
(5)「前記インナーバーレル中にボーリングロッド(ワイヤーラインロッド(G))を有し、該ボーリングロッド(G)を揚げ下げすることなく、該ボーリングロッド(G)の中に投入することによって設置可能であり、かつ、コアボーリング終了後,ワイヤーラインウインチによって地上に回収可能な構造であることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置」;
(6)「前記インナーチューブ(6)中の前記バスケット(3)の上方に、地上に回収したサンプル試料を乱さないでインナーチューブから抜き出すことを可能とするスプリットチューブ(6a)を内蔵した三重管構造であることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置」;
(7)「前記バスケット(3)を被覆する伸縮性ある筒状の被覆チューブ(2)をさらに設けたことを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載のピストン式バスケット作動コア採取装置」;
(8)「先端の前記バスケット(3)と、前記コアリフター(5)を有するリフターケース(4)と、その上に連結したインナーチューブ(6)と、アウターコアバーレルのランディングリング(D)にインナーバーレルのランディングカラー(7)を固定し、掘削時の水圧では切断しないが前記ピストン手段(18)から印加される圧力で切断されるシャーピン(8)と、前記ピストン手段(18)とを有し、通常インナーコアバーレルに代えてワイヤーライン方式で投入、コアリング掘削が可能であることを特徴とする前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載のピストン式バスケット作動コア採取装置」。
【発明の効果】
【0012】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、掘削ビットの到達深度より浅いレベルのコアのみを採取するのではなく、所定の深度まで掘削した固結コア及び特に流出し易い未固結コアサンプル試料を効率よくまた精度よく採取することが可能で、浅部のサンプル試料から大深度のサンプル試料の採取を確実に得ることができるコア採取装置が提供され、また、大深度層におけるメタンハイブレードの試料採取に貢献できるコア採取装置が提供される。そして、本発明のコア採取装置は、ワイヤーライン・ダブルコアバーレル方式により、従来の通常コア採取装置に代えて、アウタチューブ中に簡単に着脱することができ、着脱のための特別な装置は必要としない。このような本発明のコア採取装置は、未固結コア脱落防止のため、開閉に適した弾性材料を用いたコア脱落機構採用のコアリング手段をコアリフター及びインナーチューブに施すという従来一般的思想のトラウマから脱却できた結果、成し得たものと我々は考えている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明装置の基礎としてのワイヤーラインコアバーレル方式の全体構成の概要を示す。
【図2】本発明のコア採取装置例の全体構成の概要図である。
【図3】本発明のコア採取装置例の拡大詳細図である。
【図4】本発明の装置の作動態様を順次説明する図である。
【図5】本発明の装置の作動態様を順次説明する図である。
【図6】本発明の装置の作動態様を順次説明する図である。
【図7】バスケット(3)を実際に使用する際の絞搾前(A)、絞搾後(B)の具体例を示す写真である。
【図8】バスケット(3)を実際に使用する際の絞搾前(A)、絞搾後(B)の具体例を示す写真である。
【図9】コアリフター、リフターケース、シュウ、及びこれらを受容するインナーバーレルとアウターコアバーレルとの関係を示す図である。
【図10】従来技術の1例を示す図である。
【図11】従来技術の他の1例を示す図である。
【図12】従来技術のさらに他の1例を示す図である。
【図13】従来技術のさらに他の1例を示す図である。
【図14】従来技術のさらに他の1例を示す図である。
【図15】従来技術のさらに他の1例を示す図である。
【図16】従来技術のさらに他の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基き、本発明の実施の形態について詳細かつ具体的に説明するが、以下の説明は、本発明の理解を容易するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。当業者は、このような具体例に基き、本明細書記載の技術思想の範囲内において適宜修正を施すことが可能と信じる。
ここで、図1は、本発明の基礎としての従来のワイヤーラインコアバーレル方式の全体構成の概要を示すものであり、図2および図3は、従来コアバーレル方式(図1)に基づく本発明のコア採取装置例の全体構成の概要を示すものであり、図4は、より詳細な拡大図であり、図5〜図6は、図2、3に示される装置の作動態様を順次説明する図である。
図7、図8は、本発明におけるバスケット(3)を実際に使用する際の絞搾前(A)(伸縮性の被覆性チューブ付き)、絞搾後(B)の具体例を示す写真である。図9は、本発明でも使用され得るコアリフター、リフターケース(但し、リフターケースは本発明においては、バスケット(3)の存在を考慮した特殊なものになっている)、シュウ、及びこれらを受容するインナーバーレルとアウターコアバーレルとの関係を示す図である。
【0015】
理解を助けるため簡略化していうと、本発明の図2のピストン式バスケット作動コア採取装置例は、図1に示される従来のワイヤーラインコアバーレルのうちの先(下端)のビット(A)、順に、その上に位置しリフターケース(H)を内包するコアリフター(I)、コアリフター(I)の上に位置するインナーチューブ(J)、スピンドルシャフト上部のスリーブ(Q)、スピアヘッド(W)を、後に図2を参照して詳細に説明するように改造したものに相当する。すなわち、図2、3に示されるような、先端内壁面にテイパーを設けたビット(1)、伸縮性ある被覆チューブ(2)を被せた非弾性材料(図示される例ではSUS材料を用いているが、スチール製やアルミ製等の金属材料、非弾性の硬質樹脂材料等であってよい)からなる本発明特有のバスケット(3)及びコアリフター(5)を内包せるリフターケース(4)、インナーバーレルをアウターチューブ(C)内の途中のランディングリング(D)に係止させて通常はインナーバーレルをそれ以上降下させないようにランディングカラー(7)を固定状態に保持しているが水圧作動するピストン手段(18)から圧力が印加されたときに切断され固定状態を解くシャーピン(8)を設けた掘削水送水用ウォータウエイ付きスリーブ(9)、その上のピストン手段(18)、このピストン手段を連結するスピアヘッド(14)から基本的になるものということができる。
【0016】
図1に示される従来方式は、本発明の装置を実際に使用する際、本発明装置と入れ替えられる基礎となるものであるので、最初にこの従来装置について説明すると、図1の装置において、アウターコアバーレルは、通常、先(下)端から順に、ビット(A)、リーマー(B)、アウターチューブ(C)、ランディングリング(D)、アダプタカップリング(E)、ロッキングカップリング(F)からなり、一方、インナーバーレルは、リフターケース(H)を内包するコアリフター(I)、インナーチューブ(J)、バックバルブ(K)を下端にスプリング(K1)を上部に有するインナーキャップ(L)、上下のスラストベアリング(M)間に挟まれスピンドルシャフト(P)を貫通するスピンドルベアリング(N)とクッションラバー(O)を含むスイベル機構(アウターコアバーレルと独立して回転及び上下動可能な機構)、スリーブ(Q)、ロックナット(R)、ラッチボディ(S)、ラッチプレート(T)、これらを収容したラッチリトラクテイングケース(U)、スピアヘッド(W)が同軸棒状に一体に形成されている。インナーバーレルは、巻揚げ可能なワイヤーライン(Y)先端の附され開閉型鉤としてのシェル(X1)を有するオーバーショットアセムブリ(X)により、アウターコアバーレル中に挿入され、また引き揚げられる。
【0017】
これら各部分の役割を詳細に説明する。コアリングビット(A)は、コアリン地層により様々な種類がある。また、リーマー(リーミングシェル)(B)は、通常、コアリングビットより外径が0.4mm〜1.0mm程度大きくできており、アウターチューブ(C)は、ワイヤーライン・ダブルチューブコアバーレルの二重管のうち、外側の管を言い動力の伝達をビット、リーマーに与える。別名アウターバーレルともいわれる。
【0018】
ランディングリング(D)は、前記のように、ワイヤーライン・ダブルチューブコアバーレルの内側のインナーチューブアセムブリーに付随し一部分が外径を大きくできているスリーブ(Q)を、ロッド内に投入したとき、このランディングリング(D)と係合したら適正にセットできる基準点となるストッパーである。また、アダプタカップリング(E)は、アウターチューブ(C)の直上に接続してあり、ランディングリング(D)の固定、及びラッチプレート(T)がスプリングで開いたときのスペースを取るため、アウターバーレルの雌ねじ内径を長く取っている。ロッキングカップリング(F)は、アダプタカップリング(D)の直上に接続してあり、雄ねじ谷径の端面にはラッチプレート(T)の廻り止めのための切欠きを取ってあり、また、インナーチューブコアバーレルの持ち上がり防止のストッパーの役割をもする。
【0019】
ワイヤーラインロッド(G)は、内径がインナーチューブコアバーレル・アッセンブリー及びオーバショットアセムブリが通過できる寸法である。リフターケース(H)は、インナーチューブコアバーレルのインナーチューブ(J)の下端に取り付け、内面はテーパーに加工してあり、コアリフター(I)が収納できる。コアリフター(I)は、インナーチューブコアバーレルのリフターケース(H)の内側に収納され、パイプ状で、外径はリフターケース(H)のテーパーに加工してある。また、一ヵ所を縦割りにして、内外径が大きくも小さくもなり、ビット(A)内径より内径を1mm程度小さくしてあるので、コアリング掘削したコアサンプルがインナーチューブ(J)に上ると、リフターケース(H)のテーパーの大きい方向にコアリフターも持ち上がる構造で、ロッド(G)を上昇させると、コアリフターはコアサンプルをキャッチしリフターケース(H)のテーパーの小さい径の方向にスライドし、コアサンプルを更に確実にキャッチする構造である。
【0020】
インナーチューブ(J)は、コアリング掘削したサンプルを収納できるスペースを有するパイプでコアコンテナの役目をする。バックバルブ(K)は、コアリングしたコアがインナーチューブに収納された際、インナーチューブ内の孔内水の流出を防止するバルブでストローの原理を摘要したものであるが、実際には期待できる効果は得難いのが現状である。インナーキャップ(L)は、インナーチューブの直上に接続してあり、インナーチューブがアウターチューブバーレルと共に回転しないようにしたベアリングコンテナの役割
を果たす。スラストベアリング(M)は、コアリングの際コアサンプルがリフター、インナーチューブ内に詰まった場合スラスト荷重でインナーチューブの共回りを緩和する役目を果たす。
【0021】
スピンドルベアリング(N)は、アウターチューブバーレルの回転をニュートラルにする役割を果たし、クッションラバー(O)は、アウターチューブバーレルが孔底に着座した場合の衝撃緩和のためのものである。スピンドルシャフト(P)は、インナーコアバーレルを一体化にするためのシャフトであり、アウターバーレルのコアリングビットとインナーコアバーレルの先端部のクリアランスを調整するためのものである。
【0022】
スリーブ(Q)は、アウターコアバーレルとインナーコアバーレルの基準点の位置決めをするランディングリング(D)と係合するように、外径を一部大きくしてある。また、掘削水の通り穴、又は溝が切ってある。ロックナット(R)は、ラッチプレート(T)の位置調整を固定するナットである。ラッチボディ(S)は、スリーブ(Q)の直上に接続し、ラッチプレート(T)を取り付けて、ねじりバネでラッチプレート(T)が開閉できるスペース溝を施している構造のものである。ラッチプレート(T)は、ラッチボディ(S)に図示してないピンで係合してあり、ねじりバネにより自由に開閉し、アウターバーレルのアダプタカップリング(E)、及びロッキングカップリング(F)と係合するもので、インナーコアバーレルの持ち上がりを防止し、アウターバーレルの回転と共に回りインナーコアバーレルの摩耗を防ぎ安定にインナーコアバーレルを保持させる働きをする。
【0023】
ラッチリトラクティングケース(U)は、ラッチボディ(S)を収納するパイプ状のケースで、上下に自由にスライドできるようにピンで係合されている。ケースの2ヵ所にはラッチプレート(T)が飛び出るように窓状の溝が切ってある。ケースが下に位置するとラッチプレートはケースの外側に飛び出ており、ワイヤーラインで引き上げるとケースは上方向にスライドし、ラッチプレートを内側に収納することによって、アダプタカップリング(E)及びロッキングカップリング(F)の係合が解除され、当該装置をワイヤーラインで地上に回収できる。
【0024】
固定ピン(V)は、ラッチリトラクティングケース(U)とスピアヘッド(W)を固定するものであり、スピアヘッド(W)は、インナーチューブコアバーレルをアウターバーレルから引き上げる時、オーバーショットアセムブリ(X)のドックが喰いつくように内径の一部分を大きく加工してある。オーバーショットアセムブリ(X)は、ワイヤーラインで降下しスピアヘッド(W)に係合されるとリフテングドックアセムブリーを内蔵したシェル(X1)が開き喰い付きインナーチューブコアバーレルを回収する工具である。シェル(X1)は、オーバーショットアセムブリ(X)の先端にあり、二枚の殻が板バネにより開閉する構造で、スピアヘッドの内径に係合すると殻が開き喰いつく構造であり、ワイヤーライン(Y)を介して、オーバーショットアセムブリ(X)の先端を連結した当該コアリング装置をアウターバーレル内からワイヤーラインウインチで地上に回収する。
【0025】
図2、図3の本発明装置の1例について説明すると、このコア採取装置は、下端にビット(1)を連結し上部に、通常状態でインナーバーレルをアウタコアバーレルのランディングリング(D)に係合させてそれ以上にインナーバーレルを降下させない位置調節手段(17)を有するインナーバーレル構成のワイラーライン方式で用いられるコア採取装置であって、前記インナーバーレルの一部を構成するインナーチューブ(6)の下部にコアリフター(5)を、該コアリフター(5)の下部に、底開口部を有するバスケット(3)を、それぞれ有すると共に、バスケット(3)を前記ビット(1)の中から下に押し出して前記バスケット(3)中に採取コアを保持させるピストン手段(18)を有し、バスケット(3)は、ボーリング時にはインナーチューブ(6)内の上方に待機し、コアリングが所望の時のみ下降させることができ、かつ、前記底開口部がテーパー状に絞搾可能な非弾性変形材料からなるものである。
また、ビット(1)は、その内壁面にバスケット(3)が摺擦しつつ押し下げられたとき前記底部開口を円錐状に絞り込む下方窄形のテーパー部を有する。
ピストン手段(18)は、水圧により作動してインナーチューブ(6)を押し下げその下端のバスケット(3)を、ビット(1)のテーパー部で摺擦して前記底開口部をテーパー状に絞搾しつつ、ビット(1)の中から外に押し下げるものであり、このコアリング(コア採取)装置は、オーバーショットアセムブリ(X)を介してワイヤーライン(Y)で地上回収可能なピストン式バスケット作動コア採取装置である。
【0026】
図2、3から理解されるように、このコアリング装置は、インナーバーレル先(下)端にコアリング手段(16)、途中にアウターバーレル中でのインナーバーレル位置を調節するための位置調節手段(17)、および、その上段に該位置調節手段(17)を作動させるピストン手段(18)、をそれぞれ有するインナーバーレル構成のワイラーライン方式で用いられるコア採取装置であって、コアリング手段(16)は、アウターバーレルの下端にビット(1)を、インナーチューブ(6)の下部にコアリフター(5)を、該コアリフター(5)の下部に、底開口部を有するバスケット(3)を、それぞれ有すると共に、前記バスケット(3)を前記ビット(1)の中から下に押し出して前記バスケット(3)中に採取コアを保持し、前記バスケット(3)は、前記底開口部がテーパー状に絞搾可能な非弾性変形材料からなるものであり、前記ビット(1)による掘削時には前記バスケット(3)をインナーチューブ(6)内の上方に待機し、コアリングが所望されるときのみ前記ピストン手段(18)により前記位置調節手段(17)を作動させて下降させることができる。
そして、図7、図8にて示されるように、本発明におけるバスケット(3)は、実際に使用して底部がよく絞搾されるものであることが理解される。
【0027】
位置調節手段(17)は、インナーバーレルを、通常、アウターバーレルのアウターチューブ(C)内の途中に係止させてインナーバーレルをそれ以上降下させないようにランディングカラー(7)を固定状態に保持するが、水圧作動する前記ピストン手段(18)から圧力が印加されたときに切断され該固定状態を解き、ランディングカラー(7)の降下を許容するシャーピン(8)を設けた掘削水送水用ウォーターウエイ付きスリーブ(9)を有するものである。シャーピン(8)が切断されると、ランディングカラー(7)はランディングリング(D)まで降下する。更に加圧すると、バスケット(3)はビット(1)内面のテーパー部に沿ってバスケット(3)の先端部が円錐状に縮まり、掘削したコアサンプル試料を包み込む。もし、その時点の地質が固結層の場合、リフターケース(4)に内装しているコアリフター(5)が固結地質のコアをキャッチできるダブル構造にしてある。
【0028】
また、ピストン手段(18)は、ピストンスリーブ(10)上下に通水口(11a)(11b)を有する有底筒状のピストンスリーブ(10)、投下されるスチールボール(15)が着座して孔部を塞ぐ台座(11c)を下部に有し、前記ピストンスリーブ(10)内を下方に摺動してビット水の通水口(11a)(11b)を封鎖する遮水バルブスティンガー(11)、該遮水バルブスティンガー(11)を下方に摺動させるピストンボディ(12)、及び、該ピストンボディ(12)上に設けられたピストンラバー(13)を含み、前記スチールボール(15)を遮水バルブスティンガー(11)内に投下することにより、水圧で下方に摺動してピストンスリーブ(10)の通水口(11a)(11b)を塞ぎ、前記位置調節手段(17)を加圧してそのシャーピン(8)を切断する。
【0029】
このコアリング装置の各部位についてさらに説明すると、ビット(1)は、形状として、掘削水で未固結サンプルを洗い流さないように、ウォーターウェイを取っている。特に内面はバスケット(3)がスムーズに円錐状に縮むように加工してある。特殊被覆チューブ(2)は、バスケット(3)の切り欠き部より掘削水によるサンプル試料が洗い流されるのを防止するための伸縮性フィルムやゴムの筒状体叉は伸縮性ある布帛製の筒状体であってよい。
このように、本発明において、不可欠ではないが、このような伸縮性ある被覆チューブ(2)を、バスケット(3)に被覆しておくと、バスケット(3)の底開口部が絞搾したときに、これに追随して被覆チューブ(2)の底も窄まるので、採取された流動性あるコア試料の流出をより効果的に避けることができる。
【0030】
バスケット(3)は、地質の状態に合わせ、水圧で容易に円錐状に変形できるような構造であり、リフターケース(4)は、地質が固結状の場合、バスケットではコアサンプルを保持、切断できない地質層に対応したコアリフターを収納するケースである。
コアリフター(5)は、リフターケースに収納し前記地質のコアサンプルを確実にキャッチするものである。
【0031】
このコアリング装置の各部位についてさらに説明すると、ビット(1)は、形状として、掘削水で未固結サンプルを洗い流さないように、ウォーターウェイを取っている。特に内面はバスケット(3)がスムーズに円錐状に縮むように加工してある。特殊被覆チューブ(2)は、バスケット(3)の切り欠き部より掘削水によるサンプル試料が洗い流されるのを防止するための伸縮性あるフィルムやゴム叉は布帛製のものであってよい。
【0032】
インナーチューブ(6)は、掘削したコアサンプル(試料)を撹乱しないで収納するものであり、スプリットチューブ(6a)は、本発明において不可欠ではないが、採取サンプルが未固結の場合、地上でインナーチューブ(6)から抜き出す場合、できるだけ乱さないで取り出せるようにパイプを縦割に二分割してある。
【0033】
ランディングカラー(7)は、アウターコアバーレルのランディングリング(D)に係合しそれ以上下に行かないようにシャーピン(8)で固定してある。シャーピン(8)は、ランディングカラー(7)を固定し、掘削時の水圧で切断しないように任意の切断荷重に設定してあり、バスケット(3)作動時の水圧で切断した場合、孔内に残留しないように脱落防止の措置が施してある。スリーブ(9)は、上記、ランディングカラー(7)、シャーピン(8)が係合できる構造で、掘削水がビット先まで送水できるように、ウォーターウェイを設けてある。
【0034】
ピストンスリーブ(10)は、遮水バルブスティンガー(11)のスライドスペースを設けてあり、内径は精密加工を施し、高圧水を送っても漏れない構造である。遮水バルブスティンガー(11)は、通常掘削時の送水は内径より本装置のアニュラー(外周)を経てビット先端に送水される。スチールボール(15)を投入することによって図4の台座に係合し、本装置のアニュラー(外周)には送水が遮断され、シャーピンを切断し、バスケットを円錐状に変形させる。又、図2、3、図6に示すピストンラバー(13)でロッド(G)内径をシールしても、通水口(孔)(11a)(11b)を有してあるので本装置は孔内水の抵抗なくロッド(G)を上下可能な構造である。
【0035】
ピストンボディ(12)は、ピストンラバー(13)を固定するボディであり、スピアヘッド(14)と接続なり、中間には通水口(12a)を有してあるのでピストンラバー(13)でロッド(G)内径をシールしていても、孔内水の背圧をクリアできる構造である。
ピストンラバー(13)は、当該装置のシャーピン(8)切断及び、バスケット(3)を円錐変形させる役割を有する。
【0036】
スピアヘッド(14)は、当該コアリング装置をワイヤーラインで回収する際、オーバーショットアセムブリ(X)が係合したとき、吊り揚げ可能にするため、内径に引っ掛かり部を設けてある。
【0037】
本発明のコアリング装置を実際に用いるには、図1に記載の従来のワイヤーライン方式に、図2、図3の符号(1)〜(14)の上記部品を具備した当該装置をボーリングロッド(G)内に投入し、図3のランディングリング(D)部にスライドカラー(別名ランディングカラー(7))が係合しセット完了となる。この状態で所定深度を掘削したら、図5のスチールボール(15)を地上からケリーコックバルブを閉じ、予めケリーロッドの任意の位置に接続しているプラグサブ(ケリーロッドとボーリングロッドを接続しているねじを戻さないで、地上部でスチールボールをロッド(G)内に投入できる穴を有しているプラグの付いたサブ)からボーリングロッド内に投下する。遮水バルブスティンガー(11)の台座(11c)にスチールボール(15)が到達すると本装置のコアバーレルへの送水を閉塞し、ポンプで送水すると、ボーリングロッド(G)内に圧力が徐々に加わりシャーピン(8)が切断するとともに、スライドカラー(7)が下方にスライドする。更に加圧すると、バスケット(3)はビット(1)内面のテーパー部に沿ってバスケット(3)の先端部が円錐状に縮まり、掘削したコアサンプル試料を包み込む。もし、その時点の地質が固結層の場合、リフターケース(4)に内装しているコアリフター(5)が固結地質のコアをキャッチできるダブル構造にしてある。後はケリーロッドを上昇させると掘削したコアを切断する。図5のように、オーバーショットアセムブリ(X)を介したワイヤーライン(Y)と共に投下し、当該装置をワイヤーラインウインチで地上に回収しコア採取する。本装置は浅部から大深度、海底でも対応できる。
【0038】
当該コア採取装置は、従来のワイヤーライン・ダブルコアバーレル工法のアウターバーレル編成(A)〜(G)をすべて地上に揚管することなく、当該装置インナーバーレル構成(2)〜(14)に切り換え、ロッド内に投入するだけで簡単に切り換えが可能である。
【0039】
当該コアリング装置には、前記のように、バスケット(3)の開口部に前記特殊被覆チューブ(2)を被せ、掘削中の送水により未固結サンプルの洗流を防止するようにしてある。
【0040】
当該コア採取装置は、ボーリングロッド内に本装置を投下するだけでランディングリング(D)にスライドカラー(7)が到達すると、ラッチプレート(T)がオートマチックにスプリング機構により開き、本装置の持ち上がりを防止する構造である。尚、アダプタカップリング(E)の内径はロッキングカップリング(F)内径より大きく加工してある。
【0041】
当該装置には、ピストン機構(ピストン手段(18)が具備してあり、スチールボール(15)を投下するだけで簡単に作動できる構造である。
【0042】
当該装置のピストン機構は通常のコアリングにも支障がなく、本装置をワイヤーラインで回収する場合、スワッピング現象を防止する前記(10)〜(14)の構成により孔内水を汲み上げることのない構造になっている。通水口(11a)は図4の掘削中はピストンスリーブ(10)内に位置し、当該装置を投入時の図2、図3及び、当該装置の回収時の図5に記載のスチールボール(15)で遮水状態でも遮水バルブスティンガー(11)は上にスライドできる構造であるので、ピストンラバー(13)がロッド(G)内径をシールしても、孔内水は通水口(12a)から入り、(11a)(11b)から当該装置のアニュラー(外周)に孔内水が出るのでスワッピング現象は発生しない構造である。
【0043】
当該装置にスプリットチューブ(6a)を内蔵することにより、未固結サンプル試料を地上に回収してから、インナーチューブ(6)から取り出す際、コア抜きピン(6b)にプラグをねじ込みインナーチューブ(6)のねじとハンドポンプのレジューサを介し送水するとスプリットチューブ(6a)はインナーチューブ(6)からサンプルを乱さないで取り出すことが可能である。
【0044】
当該装置のシャーピン(8)はビスであるためリセットは簡単に交換できる。
【符号の説明】
【0045】
(図10について)
1 土壌採取装置
2 サンプラ
3 分割片
3a 突き合わせ端部
3b カッター
3c フランジ
3d リブ
4 分割片
4a 突き合わせ端部
4b カッター
4c フランジ
4d リブ
5 スリット
6 案内板
7 係止具
7a 把持手段
7b 傾斜側面
8 囲繞治具
8a 分割部材
8b 分割部材
8c 溝
9 ボルト
10 クランプ
10’ クランプ
11 フック
X−X 断面
Y−Y 断面
(図11について)
1 装置本体
2 連結管
3 掘削孔
4 ヘッドカバー
5 外筒
5a 上側筒部
5b 下側筒部
5o 上下両筒部のねじ結合箇所
6 中心軸
7 ガイドブロック
8 上部ピストン
9 下部ピストン
10 試料採取筒
15 ビス
28 排出孔
(図12について)
11 ビット
12 エクステンションチューブ
14 ガイド
15 アウタチューブ
17 スプライン
19 コアチューブ
20 ケーブル巻取装置
22 ウォタースイベルアセンブリ
27 スプリットブッシュ
30 給進装置
31 口元管
33 ベース
34 アウタチューブホルダ
36 油圧ジャッキ
37 油圧チャック
38 ヘッドシーブ
39 マスト
112 レジューサ
113 駆動体
114 ロッキングカップリング
115 コネクチングヘッド(アウタチューブ)
116 ラッチ
117 ラッチブッシュ
118 メッセンジャ
119 ケーブル
119a ワイヤロープ
119b 動力線
119c 信号線
210 ホイスト
(図13について)
10 アウタチューブアセンブリ
11 コアビット
11a チップ
11b 排気口
12 アウタチューブ
13、15 ハンガリング
14 サブ
16 ガイドカップリング
17 カラー
18 カップリング
18a (圧縮空気の流れ方向の)矢印
20 インナチューブアセンブリ
21 インナリング
22、29、55 (Oリングなどの)シール
23 インナチューブ(コアチューブ)
24 スプリットチューブ(内管)
25 ピストン
26 シャフト
26a (シャフト26の)枢軸
26b ガイド溝
26c (シャフト26の)上端部
26d、28c、42b、46d 流体流路
26e、28e、46e 開口部
27 (スプリングなどの)付勢部材
28 ハンガボディ
28a、42a 打撃面
28b 衝撃伝達部(段差)
28d バルブ室
30、33、47 (スプリングピンなどの)軸部材
31 ベアリング
32 クッションラバー
40 ダウンザホールハンマ
41 ケーシング
41a、52b ガイド長孔
42 ハンマ
43 フィードチューブ
44 アッパバルブ
45 バルブホルダ
46 メーンシャフト
46a 段差
46b、52a 切欠き部
46c シール固持溝
50 着脱機構(クランプ装置)
51 ラッチ
52 ラッチケース
53 スピア
53a (スピアの)下方部
60、61 (アウタチューブアセンブリとインナチューブアセンブリの隙間)空間
101 ドリルロッド
102 ボーリングヘッド
103 エアスイベル
104 エア配管
105 ガイドセル
106 クランプ
110 ワイヤライン
111 オーバショット
120 走行台車
121 ホイスト
130 土壌(試料)
G 地盤
(図14について)
1 ボーリングロッド
2 サンプラヘッド
3 サンプリングチューブ
4 ピストンロッド
5 ピストン
6 サンプリングアダプタ
7 ストッパ
8 シャッタリング
9 筒状体
10 筒状体
11 環状リング
12 膜
15 ボーリング孔
(図15について)
1 アウタチューブ
2 ビットホルダ
3 エキステンションチューブ
4 シュウ
5 フィンガー群
6 根部
11 嵌合溝
12 嵌合溝
S スプリットバスケットタイプのスプリング本体
(図16について)
8 円筒状カッテイングシュー
9 試料採取管
10 コアキャッチャ
11 テーパーリング
12 ピストン
15 試料
16 溝
20 刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーバーレルの先端に、コアリング手段(16)、途中にアウターバーレル中でのインナーバーレル位置を調節するための位置調節手段(17)、および、その上段に該位置調節手段(17)を作動させるピストン手段(18)、をそれぞれ有するインナーバーレル構成のワイラーライン方式で用いられるコア採取装置であって、
前記コアリング手段(16)は、アウターバーレルの下端にビット(1)を、インナーチューブ(6)の下部にコアリフター(5)を、該コアリフター(5)の下部に、底開口部を有するバスケット(3)を、それぞれ有すると共に、前記バスケット(3)を前記ビット(1)の中から下に押し出して前記バスケット(3)中に採取コアを保持し、前記バスケット(3)は、前記底開口部がテーパー状に絞搾可能な非弾性変形材料からなるものであり、前記ビット(1)による掘削時には前記バスケット(3)をインナーチューブ(6)内の上方に待機し、コアリングが所望されるときのみ前記ピストン手段(18)により前記位置調節手段(17)を作動させて下降させることができるものであることを特徴とするインナーバーレル構成のワイラーライン方式で用いられるワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置。
【請求項2】
前記位置調節手段(17)は、インナーバーレルを、通常、アウターバーレルのアウターチューブ(C)内の途中に係止させてインナーバーレルをそれ以上降下させないようにランディングカラー(7)を固定状態に保持するが、前記ピストン手段(18)から圧力が印加されたときに切断され該固定状態を解き、ランディングカラー(7)のランディングリング(D)までの降下を許容するシャーピン(8)を設けた掘削水送水用ウォターウエイ付きスリーブ(9)を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置。
【請求項3】
前記ピストン手段(18)は、ピストンスリーブ(10)上下に通水口(11a)(11b)を有する有底筒状のピストンスリーブ(10)、投下されるスチールボール(15)が着座して孔部を塞ぐ台座(11c)を下部に有し、前記ピストンスリーブ(10)内を下方に摺動してビット水の通水口(11a)(11b)を封鎖する遮水バルブスティンガー(11)、該遮水バルブスティンガー(11)を下方に摺動させるピストンボディ(12)、及び、該ピストンボディ(12)上に設けられたピストンラバー(13)を含み、前記スチールボール(15)を前記遮水バルブスティンガー(11)内に投下することにより、水圧で下方に摺動してピストンスリーブ(10)の通水口(11a)(11b)を塞ぎ、前記位置調節手段(17)を加圧してそのシャーピン(8)を切断するものであることを特徴とする請求項1叉は2に記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置。
【請求項4】
前記インナーチューブ(6)の下端に取り付けた前記バスケット(3)の直上に、固結層のコアを採取可能なリフターケース(4)をも取り付けたダブル採取可能構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置。
【請求項5】
前記アウターバーレルにボーリングロッド(G)を有し、該ボーリングロッド(G)を揚げ下げすることなく、該ボーリングロッドの中に投入することによって設置可能であり、かつ、コアボーリング終了後,ワイヤーラインウインチによって地上に回収可能な構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置。
【請求項6】
前記インナーチューブ(6)中の前記バスケット(3)の上方に、地上に回収したサンプル試料を乱さないでインナーチューブから抜き出すことを可能とするスプリットチューブ(6a)を内蔵した三重管構造であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のワイラーライン方式で用いられるバスケット作動コア採取装置。
【請求項7】
前記バスケット(3)を被覆する伸縮性ある筒状の被覆チューブ(2)をさらに設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のピストン式バスケット作動コア採取装置。
【請求項8】
先端の前記バスケット(3)と、前記コアリフター(5)を有するリフターケース(4)と、その上に連結したインナーチューブ(6)と、アウターコアバーレルのランディングリング(D)にインナーバーレルのランディングカラー(7)を固定し、掘削時の水圧では切断しないが前記ピストン手段(18)から印加される圧力で切断されるシャーピン(8)と、前記ピストン手段(18)とを有し、通常インナーコアバーレルに代えてワイヤーライン方式で投入、コアリング掘削が可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のピストン式バスケット作動コア採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−174466(P2010−174466A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16276(P2009−16276)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(595103049)株式会社明間ボーリング (1)
【Fターム(参考)】