説明

ワックスを含むO/Wゲル組成物

本発明は、(a)アクリル酸および/またはアクリルアミドおよびその誘導体のホモポリマーまたはコポリマーの群から選択される少なくとも1種のポリマーゲル形成剤0.05〜5重量%と、(b)低くとも30℃の融点を有する少なくとも1種のワックス成分0.1〜10重量%と、(c)25℃で液状である少なくとも1種の油成分1〜30重量%と、(d)水60〜95重量%とを含み、但し、アニオン性またはカチオン性の乳化剤/界面活性剤を含有しない、O/Wゲル組成物に関する。また本発明は、前記組成物の使用およびその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のO/Wゲル製剤、スキンケア製品としてのその使用、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアクリレート系ゲル製剤は、長年にわたって専門家に知られている。これらのゲル製剤の多くは、個人衛生のために使用される界面活性剤含有製品である。すなわち、WO 96/17591およびWO 96/17592には、ポリマーゲル形成剤により安定化された界面活性剤含有スキンクレンジング製剤が記載されている。ゲルは、感覚的に非常に軽く、心地よい清涼感を与えるが、そのケア効果が低いため、通常、スキンケア製品の処方には使用されない。特にポリアクリレート系ゲル製剤は、そのケア効果が長続きしない。さらに、ゲル製剤は塩に敏感なため、肌に塗布した場合、しばしば、塩の存在により崩壊する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、心地よく、軽い感覚特性および良好なケア効果を持ち、肌に塗布した時、崩壊しないゲル製剤を提供することである。本発明が解決しようとする他の課題は、刺激のない製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、このような特性が、通常のカチオン性およびアニオン性の界面活性剤および乳化剤を含有せず、あるゲル形成剤、ワックスおよび油の組合せを含有するO/Wゲルの製剤によって達成できることが見出された。
【0005】
そこで、本発明は、
(a) アクリル酸及び/又はアクリルアミド並びにそれらの誘導体のホモポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーゲル形成剤0.05〜5重量%と、
(b) 少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1種のワックス成分0.1〜10重量%と、
(c) 25℃で液状である油成分1〜30重量%と、
(d) 水60〜95重量%、
を含有し、但し、アニオン性またはカチオン性の乳化剤/界面活性剤を含有しない、O/Wゲル組成物に関する。
【0006】
このタイプの組成物は、皮膚上の塩分に対して非常に安定で、塗布後、皮膚に滑らかで柔らかい感触が残り、非常に良好なケア特性を持つ。これらは、塗布しやすく、広がりやすく、皮膚に容易に吸収され、油状または脂ぎったというよりすべすべした感触を皮膚に残す。比較的大量の乳化剤および界面活性剤を含むものでないため、この組成物の刺激性は低い。
【0007】
本発明による組成物は、いかなる付加的なアニオン性またはカチオン性の界面活性剤/乳化剤も含まない。好ましくは、これらはまた何ら非イオン性エトキシル化界面活性剤/乳化剤を含有せず、若しくは、使用原料から生じ得るそのごく少量を含有する。この量は、全組成物に対して、通常0.5重量%より少なく、好ましくは0.3重量%より少なく、とりわけ0.1重量%より少ない。
【0008】
本発明によるO/Wゲル組成物は、ブルックフィールドRVF粘度計、へリパス (Helipath)付スピンドルTEを用い、4 rpmで測定した20℃での粘度が、50,000〜500,000 mPaであることが好ましい。
【0009】
ゲル形成剤
ゲル形成剤は、アクリル酸および/またはアクリルアミド並びにこれらの誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、またはこれらの物質の混合物の群から選択される。これらのゲル形成剤としては、下記のような市販品が挙げられる:たとえば、Aristoflex(登録商標) AVC、INCI名:アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー;Aristoflex(登録商標) AVC-1、INCI名:アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ビニルホルムアミドコポリマー;Aristoflex(登録商標) HMB、INCI名:アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ベヘネス−25−メタクリレートコポリマー;Pemulen(登録商標) TR-1、INCI名:アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー;Pemulen(登録商標) TR-2:アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー;Carbopol(登録商標) 980、INCI名:カルボマー(たとえば、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、サッカロースのアリルエーテルまたはプロピレンのアリルエーテルで架橋したアクリル酸のホモポリマー);Carbopol(登録商標) ETD2020、INCI名:アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー;Carbopol(登録商標) Ultrez10、INCI名:カルボマー。
【0010】
ポリマーは、架橋されていても、されていなくてもよい。架橋ポリマーが好ましく使用される。本発明によれば、ポリアクリレートおよびポリアクリルアミドが好ましい。ポリアクリル酸ナトリウムは、特に好ましい。本発明によれば、最も好ましいポリマーは、Cosmedia(登録商標) SPの名称で市販されている。本発明によれば、ポリマーは、組成物全体に対して、0.05〜5重量%の量で使用される。組成物全体に対して、0.1〜4重量%の量が好ましく、0.5〜3重量%の量が特に好ましく、0.5〜2重量%の量が特に最も好ましい。
【0011】
ワックス成分
ワックスは、一般に、以下の特性を有する、天然または合成物質およびそれらの混合物であると理解されている。固体であるか硬脆性稠度を有し、粗いないし細かな結晶質で、透明ないし不透明であり、30℃を超える温度で分解することなく溶融する。融点をわずかに超える温度でも、粘度が低く、糸引きがなく、稠度および溶解度は、温度に非常に大きく依存する。本発明によれば、30℃またはそれ以上で溶解するワックス成分またはワックス成分の混合物が使用できる。これらは、本発明による組成物中、合計0.1〜10重量%の量で存在する。本発明の好ましい態様では、ワックス成分の含有率は、組成物全体に対して0.2〜5重量%である。組成物全体に対して、0.5〜4重量%の量が好ましく、0.5〜2重量%の量が特に好ましい。組成物全体に対して0.5〜1.5重量%のワックス成分の含有量の範囲内で全体的な感覚特性が最適であるので、この含有量が特に最も好ましい。O/Wゲル組成物の別の好ましい態様は、ワックス成分(b)の融点が40℃〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の範囲にあることを特徴とする。これは、この範囲で最高の感覚効果が得られるからである。
【0012】
本発明によれば、ワックス様稠度を有する脂肪および脂肪様物質も、それが所要の融点を有する場合はワックスとして使用し得る。これらは、とりわけ脂肪(トリグリセリド)、モノおよびジグリセリド、天然および合成ワックス、脂肪およびワックスアルコール、脂肪酸、脂肪アルコールと脂肪酸のエステル並びに脂肪酸アミドまたはこれらの物質の混合物を包含する。
【0013】
本発明における脂肪は、トリアシルグリセロール、すなわち、グリセロールと脂肪酸とのトリエステルであると理解される。これらは、非分岐状未置換飽和脂肪酸成分を含有するのが好ましい。また、これらは混合エステル、すなわち、グリセロールと種々の脂肪酸とのトリエステルであってもよい。本発明に従って、いわゆる部分水添によって得られる硬化油脂を使用してもよく、これらは稠度因子として特に適切である。植物性硬化油脂、たとえば、硬化ひまし油、ピーナッツ油、大豆油、ナタネ油、綿実油、大豆油、ひまわり油、パーム油、パーム核油、アマニ油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ごま油、ココアバターおよびココナッツ脂が好ましい。
【0014】
適切な脂肪は、特に、グリセロールとC12-60脂肪酸、特にC12-36脂肪酸とのトリエステルである。これらとして、水素化ひまし油や、たとえばCutina(登録商標) HRという名前で市販されている、グリセロールとヒドロキシステアリン酸とのトリエステルが挙げられる。トリステアリン酸グリセロール、トリベヘン酸グリセロール(たとえば、Syncrowax(登録商標) HRC)、トリパルミチン酸グリセロールまたはSyncrowax(登録商標) HGLCの名前で知られているトリグリセリド混合物もまた、ワックス成分または混合物の全体としての融点が30℃以上である場合には、適切である。
【0015】
本発明によれば、適切な付加的ワックス成分として、特に、モノおよびジグリセリド、およびこれら部分グリセリドの混合物が挙げられる。本発明において使用に適したグリセリド混合物として、Cognis Deutschland GmbH & Co. KGより市販されている、製品Novata(登録商標) ABおよびNovata(登録商標) B(C12-18モノ、ジ、およびトリグリセリドの混合物)およびCutina(登録商標) MDまたはCutina(登録商標) GMS(ステアリン酸グリセリル)が挙げられる。
【0016】
モノ、ジおよびトリグリセリドの混合エステルおよび混合物は、比較的結晶化しにくい傾向を持ち、したがって本発明の組成物の性能を改良するので、本発明の目的に特に好適である。
【0017】
本発明による使用に適した脂肪アルコールとして、C12-50脂肪アルコール、とりわけ、天然油脂およびワックスから得られるC12-24脂肪アルコール、たとえば、ミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコールまたはミリシルアルコールが挙げられる。本発明によれば、非分岐状の飽和脂肪アルコールが好ましい。しかし、分枝または非分枝の不飽和脂肪アルコールも、それが所要の融点を有する場合には、本発明の目的でワックス成分として使用してもよい。他の適切な脂肪アルコールは、天然油脂の還元において得られる脂肪アルコールカット、たとえば、牛脂、ピーナッツ油、ナタネ油、綿実油、大豆油、ひまわり油、パーム核油、アマニ油、ひまし油、コーン油、ナタネ油、ごま油、ココアバターおよびココナッツ油が挙げられる。しかし、合成アルコール、たとえば、チーグラー合成による直鎖の偶数鎖脂肪アルコール(Alfol(登録商標))またはオキソ合成による部分分岐状アルコール(Dobanol(登録商標))を使用してもよい。たとえば、Cognis Deutschland GmbH からLanette(登録商標) 16(C16アルコール)、Lanette(登録商標) 14(C14アルコール)、Lanette(登録商標) O(C16/18アルコール)およびLanette(登録商標) 22(C18/22アルコール)の名前で市販されているC14-18脂肪アルコールは、本発明の目的に特に好適である。脂肪アルコールは、トリグリセリドと比較して、皮膚上におけるより乾いた感覚を組成物に与え、したがって、トリグリセリドより好ましい。
【0018】
また、C14-40脂肪酸またはそれらの混合物を、ワックス成分として使用してもよい。これらには、たとえば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸、およびエレオステアリン酸、および置換脂肪酸、たとえば、12−ヒドロキシステアリン酸、および脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドが含まれる。このリストは、純粋に例示であることを意図し、何ら限定的な特性を持つものではない。
【0019】
本発明において使用に適するワックスとして、天然植物性ワックス、たとえば、カンデリラワックス、カルナウバワックス、日本ロウ、エスパルト草ワックス、コルクワックス、グアルマワックス、米ぬか油ワックス、サトウキビワックス、やしロウ、モンタンワックス、ヒマワリワックス、フルーツワックス、たとえば、オレンジワックス、レモンワックス、グレープフルーツワックス、ベイベリーワックス、および、動物性ワックス、たとえば、みつロウ、シェラックワックス、鯨ロウ、ウールワックスおよび尾脂が挙げられる。本発明によれば、水素化または硬化ワックスの使用が都合のよい場合がある。また、本発明において使用できる天然ワックスとして、鉱物ワックス、たとえば、セレシンおよびオゾケライト、石油化学ワックス、たとえば、ワセリン、パラフィンワックス、およびマイクロワックスが挙げられる。他の適切なワックス成分は、化学変性ワックス、とりわけ、たとえば、モンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素化ホホバワックスのような硬質ワックスである。本発明において使用される合成ワックスとして、たとえば、ワックス様ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが挙げられる。植物性ワックスが、本発明の目的に好ましい。
【0020】
また、ワックス成分を、飽和および/または不飽和の、分岐状および/または非分岐状のアルカンカルボン酸と、飽和および/または不飽和の、分岐状および/または非分岐状のアルコールとのワックスエステルの群、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸(たとえば、12−ヒドロキシステアリン酸)と、飽和および/または不飽和の、分岐状および/または非分岐状のアルコールとのエステルの群、および長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択してもよい。該エステルの例として、ステアリン酸C16-40アルキル、ステアリン酸C20-40アルキル(たとえば、Kesterwach(登録商標) K82H)、ダイマー酸のC20-40ジアルキルエステル、ヒドロキシステアロイルステアリン酸C18-38アルキルまたはエルカ酸C20-40アルキル、アルキルカルボン酸とペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールとのエステル、またはペンタエリスリトールオリゴマーのエステル混合物が挙げられる。C30-50アルキルみつロウ、クエン酸トリステアリル、クエン酸トリイソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、クエン酸トリラウリル、ジパルミチン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジ(12−ヒドロキシステアリン酸)エチレングリコール、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸セテアリルおよびベヘン酸ベヘニルもまた使用できる。
【0021】
本発明の好適な態様では、少なくとも30℃の融点を有するワックス成分(b)は、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールエステル、トリペンタエリスリトールエステル、C14−22脂肪アルコール、とりわけC16-18脂肪アルコール、およびこれらの物質の部分グリセリドまたは混合物の群から選択される。別の好適な態様では、エステルは、飽和または不飽和及び/又は分枝または非分枝のC6-22脂肪酸(好ましくはC14-22脂肪酸、とりわけC16-22脂肪酸)のペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールエステル、またはこれらのエステル混合物であり、0.3重量%未満のC17脂肪酸エステルが存在する。
【0022】
特に好適なエステルは、ペンタエリスリトールと、C16脂肪酸40〜50重量%とC18脂肪酸45〜55重量%を含有する脂肪酸混合物との反応によって得られ、(a)モノエステル5〜35重量%、(b)ジエステル20〜50重量%、および(c)トリエステルおよび場合によりテトラエステル25〜50重量%の含有量百分率を有するペンタエリスリトールエステルである。とりわけ、ペンタエリスリトールと、C16脂肪酸40〜50重量%とC18脂肪酸45〜55重量%を含有する脂肪酸混合物との反応によって得られ、次のエステル分布:(a)モノエステル12〜19重量%、(b)ジエステル25〜35重量%および(c)トリエステル30〜40重量%およびテトラエステル6〜11重量%、を有するペンタエリスリトールエステルは好適である。
【0023】
油成分
本発明によるO/Wゲルは、25℃で液状の油成分、またはそのような油成分の混合物を、組成物全体に対して1〜30重量%含む。油成分は、合計量3〜20重量%で存在し、好ましくは5〜15重量%、とりわけ7〜12重量%で存在する。適切な油成分として、たとえば、25℃で液状であることを条件に、以下に記載する化合物群が挙げられる。特に、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコール系のゲルベアルコール、直鎖または分岐状の飽和または不飽和C6-22脂肪酸と、直鎖または分岐状の飽和または不飽和C6-22脂肪アルコール、特に2−エチルヘキサノールとのエステルが挙げられる。例として、以下のものが記載される。ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ココカプリレート/カプレート。他の適切なエステルとして、たとえば、C18-38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐状の飽和または不飽和C6-22脂肪アルコールとのエステル、直鎖および/または分岐状の飽和および/または不飽和脂肪酸と多価アルコール(たとえば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、トリグリセリドまたはトリグリセリド混合物、モノ−、ジ−およびトリグリセリド混合物、C6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、C2-12ジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐状の飽和または不飽和アルコール、または2〜10個の炭素原子および2〜6個の水酸基と含むポリオール、植物油、分岐状の第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖炭酸ジアルキル、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコール系ゲルベ炭酸塩とのエステル、安息香酸と直鎖および/または分岐状のC6-22アルコール(たとえばCetiol(登録商標) AB)とのエステル、アルキル基1個につき6〜22個の炭素原子を含有する直鎖または分岐状の、対称または非対称ジアルキルエーテル、たとえば、ジ−n−オクチルエーテル(Cetiol(登録商標) OE)、またはエポキシ化脂肪酸エステルとポリオール、炭化水素、たとえば、パラフィンまたは鉱油、シリコーンオイル、およびオリゴ−またはポリ−α−オレフィンとの開環生成物が挙げられる。
【0024】
本発明によれば、炭酸ジアルキルおよびトリグリセリドまたはその混合物が、油成分として好ましい。炭酸ジアルキルは、対称でも非対称でも、分岐状でも非分岐状でも、飽和でも不飽和でもよく、従来から知られているエステル交換反応で製造することができる。本発明によれば、6〜24個の炭素原子を含むアルキル鎖を持つ炭酸ジアルキル、特に炭酸ジ−n−オクチルまたは炭酸ジ−(2−エチルヘキシル)、またはその混合物が特に適切である。中でも、炭酸ジ−n−オクチルが好ましい。
【0025】
本発明における使用に適切な炭化水素は、8〜40個の炭素原子の鎖長を有する。これらは、分岐状でも非分岐状でも、飽和でも不飽和でもよい。中でも、分岐状飽和C8-40アルカンが好ましい。純物質および混合物のいずれも使用できる。混合物は、通常、異なる異性体化合物の混合物である。C10-30、好ましくはC12-20、とりわけC16-20アルカンを含む組成物は特に適切であり、これらの中でも、アルカンの合計量に対して少なくとも10重量%の分岐状アルカンを含むアルカンの混合物が、特に好ましい。アルカンとして分岐状の飽和アルカンが好ましい。1重量%を超える5,8−ジエチルドデカンおよび/または1重量%を超えるジデセンを含むアルカンの混合物は、特に適切である。
【0026】
本発明によるO/Wゲル組成物の好ましい態様は、(a)少なくとも1種のポリアクリレート0.05〜5重量%と、(b)少なくとも1種の、ペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールのエステル0.1〜10重量%と、(c)少なくとも1種の油成分1〜30重量%と、(d)水60〜95重量%とを含有する。特に好適なo/wゲル組成物は、(a)少なくとも1種のポリアクリル酸ナトリウム0.05〜5重量%、(b)ステアリン酸及び/又はパルミチン酸に基づく少なくとも1種のペンタエリスリチル部分エステルまたはジペンタエリスリチル部分エステル0.1〜10重量%、(c)25℃で液状の脂肪酸エステルまたは炭酸ジアルキルまたはその混合物から選択される少なくとも1種の油成分1〜30重量%、および(d)水60〜95重量%を含有する。
【0027】
別の好ましい態様は、(a)少なくとも1種のポリアクリル酸ナトリウム0.5〜2重量%と、(b)ステアリン酸およびパルミチン酸に基づくペンタエリスリチルエステルまたはジペンタエリスリチルエステル、C16-18脂肪アルコール及び/又はC16-18部分グリセリドの群から選択される融点が少なくとも30℃である少なくとも1種のワックス成分0.5〜2.0重量%と、(c)25℃で液状の脂肪酸エステル、トリグリセリド、炭酸ジアルキル、炭化水素、ジアルキルエーテル、またはこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の油成分7〜12重量%と、(d)水60〜95重量%とを含有するO/Wゲル組成物である。
【0028】
また、本発明は、本発明によるO/Wゲル組成物を製造する方法であって、a)ゲル形成剤またはゲル形成剤の混合物(a)を、ワックスおよび油成分を含む液状油相に分散し、続いて得られた分散物を水相で乳化する、またはb)ゲル形成剤またはゲル形成剤の混合物を水相中で膨潤させ、全体を液状油相と混合する、またはc)ゲル形成剤またはゲル形成剤の混合物を、分子量<1,000ダルトンの低分子量ポリオールまたはポリオール混合物中で膨潤させ、全体を水相で処理し、液状油相で処理する方法に関する。
【0029】
また、本発明は、本発明によるO/Wゲル組成物のボディケアのための使用に関する。また、本発明は、請求項1に記載のゲル組成物を含有するゲル組成物の耐塩性を改良するためのワックスの使用にも関する。
【0030】
他の任意の助剤および添加物
化粧品製剤は、その意図する用途に応じて、たとえば、以下に例示する他の増粘剤、過脂化剤、安定剤、ポリマー、レシチン、リン脂質、生体活性剤、UV保護剤、抗酸化剤、脱臭剤、フィルム形成剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油、染料のような多くの他の助剤および添加物を含有する。個々の添加物が使用される量は、意図する用途によって決定される。
【0031】
他の適切な増粘剤として、たとえば、Aerosil(登録商標)タイプ(親水性シリカ)、多糖類、とりわけ、キサンタンガム、グアガム、寒天、アルギネートおよびタイローズ、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよび、たとえばBentone(登録商標) GelVS-5PC(Rheox)のようなベントナイトが挙げられる。
【0032】
本発明におけるUV保護剤は、たとえば、室温で液状または結晶であり、紫外線を吸収することができ、吸収されたエネルギーをより長波長の放射、たとえば熱として放出できる有機物質(光フィルター)である。UV-Bフィルターは、油溶性であっても水溶性であってもよい。代表的なUV-Aフィルターは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体である。また、該UV-AおよびUV-Bフィルターを、もちろん、混合物として使用してもよい。たとえば、4−t−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標) 1789)のようなベンゾイルメタン誘導体と、2−シアノ−3,3−フェニルケイ皮酸−2−エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)、およびケイ皮酸エステル、好ましくは4−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルエステルおよび/または4−メトキシケイ皮酸プロピルエステルおよび/または4−メトキシケイ皮酸イソアミルエステルとの組合せが挙げられる。これらのような組合せは、しばしば、たとえば、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、およびグルコースアンモニウム塩のような水溶性フィルターと組み合わされる。
【0033】
記載した可溶性物質の他に、不溶性光遮断顔料、すなわち、微分散した金属酸化物または塩も、この目的のために使用できる。適切な金属酸化物の例として、特に、酸化亜鉛および二酸化チタンが挙げられる。
【0034】
また、前記の2種の第一の日焼け防護因子に加えて、抗酸化剤タイプの第二の日焼け防護因子を使用してもよい。抗酸化剤タイプの第二の日焼け防護因子は、紫外線が皮膚中に侵入した時に開始される光化学反応鎖を遮断する。
【0035】
本発明では、生体活性剤は、たとえば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびそのフラグメント化生成物、β−グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、擬セラミド、エッセンシャルオイル、植物エキス、たとえば、アンズ抽出物、バンバラマメ抽出物、およびビタミン複合体である。
【0036】
消臭成分は、体臭を相殺したり、隠したり、消したりする。体臭は、アポクリン発汗に対する皮膚細菌の作用によって起こり、不快な臭いの分解生成物を生じる。したがって、適切な消臭成分として、特に、細菌阻害剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤および臭気マスク剤が挙げられる。
【0037】
適切な防虫剤として、たとえば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ペンタン−1,2−ジオールまたは、Insect Repellent(登録商標) 3535としてMerck KGaAによって市販されている3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)−プロピオン酸エチルエステル)、およびブチルアセチルアミノプロピオン酸がある。
【0038】
適切なセルフタンニング剤は、ジヒドロキシアセトンである。メラニンの形成を抑え、脱色剤に使用されるチロシン阻害剤の適切なものとして、たとえば、アルブチン、フェルラ酸、コージ酸、クマリン酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)がある。
【0039】
更に、ヒドロトロープ、たとえば、エタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールも、流れ特性を改良するために使用してもよい。適切なポリオールとしては、2〜15個の炭素原子と少なくとも2個の水酸基を含有するものが好ましい。
【0040】
適切な防腐剤として、たとえば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、Surfacine(登録商標)の名前で知られている銀錯体、およびKosmetikverordnungの付属者尾6、パートAおよびBに列挙されている他の群の化合物が挙げられる。
【0041】
適切な香油は、天然および合成香料の混合物である。天然香料として、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブ、および草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物が挙げられる。動物性原料、たとえば、ジャコウネコおよびビーバー、さらにエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素タイプの合成香料化合物もまた、適切である。
【0042】
適切な染料は、化粧品用として適切であり、認可されている全ての物質である。例として、コチニールレッドA(C.I.16255)、パテントブルーV(C.I.42051)、インジゴチン(C.I.73015)、クロロフィリン(C.I.75810)、キノリンイエロー(C.I.47005)、二酸化チタン(C.I.77891)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)およびマダーレーキ(C.I.58000)がある。これらの染料は、通常、混合物全体に対して0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【実施例】
【0043】
以下の表に示す量は、組成物全体に対する市販の物質の重量%で表す。
【0044】
【表1】

【0045】
++=優秀; +=非常に良好; 0=良好 −=中等; −−=不満足
被験群:10人の経験のある訓練を受けたボランティア
【0046】
予め20℃にした10μlの前記組成物を、マイクロピペットによって、ボランティアの前腕の毛のない側に塗布し、反対側の手の指ですり込んだ。吸収の間およびその後の感覚特性を評価した。
【0047】
官能試験は、''Cosmetic Lipids and the Skin Barrier''(Marcel Dekker、ニューヨーク、2002;Thomas Foerster編、第319〜352頁)中に記載されているように、10人のボランティアで行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) アクリル酸及び/又はアクリルアミド並びにそれらの誘導体のホモポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーゲル形成剤0.05〜5重量%と、
(b) 少なくとも30℃の融点を有する少なくとも1種のワックス成分0.1〜10重量%と、
(c) 25℃で液状である油成分1〜30重量%と、
(d) 水60〜95重量%、
を含有し、但し、アニオン性またはカチオン性の乳化剤/界面活性剤を含有しない、O/Wゲル組成物。
【請求項2】
少なくとも30℃の融点を有するワックス成分(b)は、全組成物を基準に0.2〜5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載のO/Wゲル組成物。
【請求項3】
少なくとも30℃の融点を有するワックス成分(b)は、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールエステル、トリペンタエリスリトールエステル、C12-14脂肪アルコール、とりわけC16-18脂肪アルコール、およびこれらの物質の部分グリセリドまたは混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のO/Wゲル組成物。
【請求項4】
ワックス成分(b)は、40℃〜80℃の融点を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のO/Wゲル組成物。
【請求項5】
少なくとも30℃の融点を有するワックス成分(b)は、飽和または不飽和及び/又は分枝または非分枝のC6-22脂肪酸(好ましくはC14-22脂肪酸)と、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールのエステル、またはこれらのエステルの混合物の群から選択され、存在するC17脂肪酸エステルが0.3重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のO/Wゲル組成物。
【請求項6】
エステルは、ペンタエリスリトールのC16脂肪酸40〜50重量%とC18脂肪酸45〜55重量%を含有する脂肪酸混合物殿反応によって得られ、(a)5〜35重量%モノエステル、(b)ジエステル20〜50重量%および(c)トリエステルおよび場合によりテトラエステル25〜50重量%の含有量百分率を有するペンタエリスリトールのエステルであることを特徴とする、請求項5に記載のO/Wゲル組成物。
【請求項7】
(a) 少なくとも1種のポリアクリレート0.05〜5重量%と、
(b) ペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールの少なくとも1種のエステル0.1〜10重量%と、
(c) 少なくとも1種の油成分1〜30重量%と、
(d) 水60〜95重量%、
を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のO/Wゲル組成物。
【請求項8】
(a) 少なくとも1種のポリアクリル酸ナトリウム0.05〜5重量%と、
(b) ステアリン酸及び/又はパルミチン酸に基づく少なくとも1種のペンタエリスリトール部分エステルまたはジペンタエリスリトール部分エステル0.1〜10重量%と、
(c) 25℃で液状の脂肪酸エステル或いは炭酸ジアルキルまたはそれらの混合物から選択される少なくとも1種の油成分1〜30重量%と、
(d) 水60〜95重量%、
を含有することを特徴とする、請求項7に記載のO/Wゲル組成物。
【請求項9】
ブルックフィールドRVF粘度計(ヘリパス付きスピンドル TE、4 r.p.m.)で測定された20℃での粘度が50,000〜500,000mPa.sであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のO/Wゲル組成物。
【請求項10】
a)ゲル形成剤またはゲル形成剤混合物をワックスと油成分を含有する液状油相中に分散させ、および得られた分散体を次いで水相で乳化させること、またはb)ゲル形成剤またはゲル形成剤混合物を水相中で膨潤させ、および全体を液状油相と混合すること、またはc)ゲル形成剤またはゲル形成剤混合物を1,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量ポリオールまたはポリオール混合物中で膨潤させ、および全体を水相および液状油相で処理すること、のいずれかを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のo/wゲル組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のo/wゲル組成物の、ボディケアのための使用。
【請求項12】
請求項1に記載のゲル形成剤を含有するゲル組成物の耐塩性を向上させるための、ワックスの使用。

【公表番号】特表2007−531779(P2007−531779A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506693(P2007−506693)
【出願日】平成17年3月26日(2005.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003235
【国際公開番号】WO2005/097057
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】