ワークの支持装置および回転割出機
【課題】一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの加工精度を向上する。
【解決手段】一端が回転駆動装置60の回転軸62に連結されたワークWの他端を支持するためのワークの支持装置70は、ワークWの他端を連結する連結部材3と、一端に連結部材3を設けた支持軸2と、支持軸2を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するフレーム1と、支持軸2に軸線方向の力を加える力発生装置5と、支持軸2の周りに単一の押圧部材6a1が全周に亘って延在してまたは複数の押圧部材6a1が支持軸2の円周方向に均等に配置されるクランプ装置であって、力発生装置5の作動中に押圧部材6a1が支持軸2の半径方向の力を発生することによってフレーム1に対して支持軸2を軸線方向に固定する軸線方向クランプ装置6とを備える。
【解決手段】一端が回転駆動装置60の回転軸62に連結されたワークWの他端を支持するためのワークの支持装置70は、ワークWの他端を連結する連結部材3と、一端に連結部材3を設けた支持軸2と、支持軸2を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するフレーム1と、支持軸2に軸線方向の力を加える力発生装置5と、支持軸2の周りに単一の押圧部材6a1が全周に亘って延在してまたは複数の押圧部材6a1が支持軸2の円周方向に均等に配置されるクランプ装置であって、力発生装置5の作動中に押圧部材6a1が支持軸2の半径方向の力を発生することによってフレーム1に対して支持軸2を軸線方向に固定する軸線方向クランプ装置6とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの他端を支持するためのワークの支持装置に関する。また、ワークの支持装置と、該支持装置に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置と、制御装置とを含む回転割出機に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のワークの支持装置に対向して配置される回転駆動装置としては、工作機械に載置される割出装置や、旋盤等の工作機械の主軸ヘッドが存在する。また、ワークの支持装置に対向して設けられる割出装置としては、工作機械に載置される割出装置や、割出機能を有する複合旋盤等の工作機械の主軸ヘッドが存在する。
【0003】
ワークの支持装置としては、ワークの一端面を保持する旋盤主軸台と対向して配置される心押台がある。特許文献1に記載される心押台では、
フレームが、軸心に心押軸が回転可能に支持されている心押スリーブを支持しており、心押スリーブを軸線方向に移動可能とするため、フレームと心押スリーブとの間には、半径方向の遊びが設けられている。心押スリーブは、油圧シリンダによって往動され、心押軸の先に同軸に設けられる心押センタが、ワークの他端面のセンタ孔に押付けられる。そして、旋盤主軸台の回転軸、心押軸および心押スリーブは、押圧しているワークを介して軸線方向の遊びが解消された状態となり、その状態で工具がもたらす負荷、即ち、工具からの加工力が加わって、ワークが加工される。
【特許文献1】特開平10−6105号公報
【0004】
このように、主軸台の回転軸、心押軸および心押スリーブは、押圧しているワークを介して軸線方向の遊びが解消されるものの、フレームと心押スリーブとの間の半径方向の遊びは解消されない。そのため、心押軸を介して心押スリーブに支持される心押センタは、フレームに対し半径方向に変位可能な状態に置かれる。また、心押センタとワークの他端とは、心押センタがセンタ孔に加える押圧力によって、相対変位が規制されており、半径方向における相対変位が十分に規制されない。従って、ワークの他端は、心押台によって半径方向の変位が十分に規制されておらず、そのため、特にワークの他端近傍の加工時には、ワークは、心押軸の軸線を含む面と交差する方向、例えば、直交する方向の工具から加わる加工力によって半径方向に変位して振動するほか、撓んだり、捩れたりする。ワークは、振動し、また変形した状態で加工されることにより、加工精度が損なわれるほか、旋削加工では、回転フレを生じて加工精度と共に表面粗さが損なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その解決課題は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの加工精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの他端を支持するためのワークの支持装置において、ワークの他端を連結する連結部材と、一端に連結部材を設けた支持軸と、支持軸を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するフレームと、支持軸に軸線方向の力を加える力発生装置と、支持軸の周りに単一の押圧部材が全周に亘って延在してまたは複数の押圧部材が支持軸の円周方向に均等に配置されるクランプ装置であって、力発生装置の作動中に押圧部材が支持軸の半径方向の力を発生することによりフレームに対して支持軸を軸線方向に固定する軸線方向クランプ装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
支持軸はフレームに直接支持されても良いが、回転加工時において、ワークの加工精度を向上するには、請求項2の発明のようにすることが望ましい。即ち、支持装置は、支持軸の半径方向外側に支持軸と同軸に中間軸を備えて、フレームは中間軸と協働して支持軸を軸線方向に移動可能におよび回転可能に支持し、支持軸と中間軸、および中間軸とフレームとのいずれか一方は、転がり軸受を介して相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられ、軸線方向クランプ装置は、他方の両部材のうち半径方向外側部材に押圧部材が支持され、半径方向の力として半径方向内側部材の外周面に押圧力を加える。
【0008】
請求項2の発明において、支持軸は積極的に回転不能に保持されないものであっても良いが、回転駆動装置の回転を停止させた状態でのワークの加工精度を向上するには、請求項3の発明のようにすることが望ましい。即ち、支持装置は、前記一方における相対回転を規制する回転クランプ装置を備える。
【0009】
請求項3の発明において、ワークの一端は、割出機能を有しない回転駆動装置の回転軸に連結されても良いが、割出装置の回転軸に連結されることにより、ワークの支持装置が回転割出機を形成するようにしても良い。即ち、請求項4の発明では、請求項3記載のワークの支持装置と、ワークの一端が連結される回転軸を有し支持装置に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置と、制御装置とを含む回転割出機が設けられ、前記制御装置は、割出装置の回転動作時には回転クランプ装置を作動解除し、割出装置の回転停止時には回転クランプ装置を作動させる。
【0010】
また、回転駆動装置として割出装置が設けられ、支持装置は、軸線方向クランプ装置の押圧部材が、フレームに支持されて半径方向の力として支持軸の外周面に押圧力を加えることによって、フレームに対して支持軸を軸線方向に移動不能におよび回転不能に固定する場合、請求項5の発明のようにすることが望ましい。即ち、請求項1記載のワークの支持装置と、ワークの一端が連結される回転軸を有し支持装置に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置と、制御装置とを含む回転割出機が設けられ、前記支持装置は、軸線方向クランプ装置の前記押圧部材が、フレームに相対回転不能に支持されて半径方向の力として支持軸の外周面に押圧力を加えることによって、フレームに対して支持軸を軸線方向に移動不能におよび回転不能に固定するものであって、前記制御装置は、割出装置の回転動作時には軸線方向クランプ装置を作動解除すると共に力発生装置を作動させ、割出装置の回転停止時には力発生装置の作動中に、軸線方向クランプ装置に作動を開始させる。なお、力発生装置は、軸線方向クランプ装置の作動開始に伴って作動を解除しても良い。
【0011】
回転割出機は、ワークに対する割出回転動作をワークの一端を支持する割出装置にのみ行わせて、支持装置の支持軸がワークを介して従動回転するだけでも良いが、ワークの割出精度を向上するため、およびワークの回転加工(旋削加工、連続回転しながらワークの位相角に対応して行う割出加工)の加工精度を向上させるには、請求項6の発明のようにすることが望ましい。即ち、回転割出機は割出装置と同一の回転動作を支持軸に行わせる駆動装置を備える。
【0012】
駆動装置は、割出装置の駆動モータを共通の駆動源として、伝達機構を介してワークの支持装置にも同一の回転動作を支持軸に行わせるものであっても良いが、装置の簡単化には、請求項7の発明のようにすることが望ましい。即ち、前記駆動装置は割出装置の駆動モータとは別の専用駆動モータを備え、前記駆動装置の制御装置は、割出装置の駆動モータと同期して専用駆動モータを駆動する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの他端が、連結部材を介して支持軸に連結され、力発生装置が支持軸と連結部材とを介してワークの他端を押圧、または牽引中に、軸線方向クランプ装置を作動して支持軸を軸線方向に固定するので、支持軸と前記回転軸とは、ワークを介して、即ち、ワークからの反力によって、軸線方向の遊びが解消された状態となる。また、力発生装置の作動中、軸線方向クランプ装置が作動して、半径方向の力が支持軸の周りに均等に作用するので、支持軸は、半径方向の遊びが解消され、かつ、前記回転軸との同軸が維持される。よって、回転軸と支持軸との同軸が維持されつつ、前記回転軸、ワークおよび支持軸は、互いに一体化されると共に、ワークは、軸線方向にも半径方向にも遊びが解消された回転軸と支持軸に支持される。従って、ワークは、工具から加わる軸線方向の負荷、即ち、軸線方向の加工力に対し、軸線方向に変位や振動することなく加工され、また、他端が、工具から加わる半径方向の負荷、即ち、半径方向の加工力によって、半径方向に振動したり変形することなく同軸を維持して加工される。よって、ワークは高精度に加工される。
【0014】
請求項2の発明は、フレームと中間軸とは協働して支持軸を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するので、支持軸は、軸線方向クランプ装置が作動して軸線方向の変位が規制されても、回転可能であり、ワークは、軸線方向変位、および他端における半径方向変位が共に抑えられた状態で回転可能となる。それ故、ワークの回転加工(旋削加工、連続回転しながらワークの位相角に対応して行う割出加工)が高精度に可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、軸線方向クランプ装置に加えて回転クランプ装置を作動させることにより、支持軸は軸線方向変位に加えて回転が規制され、回転駆動装置の回転を停止させた加工の際に、軸線を含む面と交差する方向、例えば直交する方向の加工力であって、軸線から偏倚した位置で前記面と交差する加工力によって、ワークの他端での回転変位、即ち、ワークの捩れが生ずるのを抑えることができ、ワークは、変形が抑えられた状態で加工されて加工精度が向上する
【0016】
請求項4の発明は、力発生装置の作動中、軸線方向クランプ装置が作動して、支持軸と回転軸とは、軸線方向の遊びが解消された状態となり、また、支持軸は、フレームに対し、同軸を維持しながら半径方向の遊びが解消された状態で、軸線方向の変位が規制される。制御装置は、その状態で、割出装置の回転動作時には回転クランプ装置を作動解除するので、ワークの正確な回転割出および高精度の旋削加工が可能となる。また、制御装置は、上記のその状態で、割出装置の回転停止時には回転クランプ装置を作動するので、支持軸は軸線方向変位に加えて回転が規制され、ワークは、加工力による軸線方向の変位、振動に加えて、加工力による他端での回転変位、即ち、捩れが抑えられ、変形が抑えられた状態で加工されて加工精度が向上する。
【0017】
請求項5の発明は、制御装置は、割出装置の回転動作時には軸線方向クランプ装置を作動解除すると共に、力発生装置を作動させるので、支持軸と回転軸とは、軸線方向の遊びが解消された状態を維持して回転し、ワークの正確な回転割出および高精度の旋削加工が可能となる。また、制御装置は、割出装置の回転停止時には、力発生装置の作動中に軸線方向クランプ装置に作動を開始させるので、支持軸はフレームと同軸状態で、軸線方向変位、振動および回転が規制される。よって、ワークは、割出装置の回転停止時、加工力による軸線方向の変位、振動と他端での回転変位、即ち、捩れが抑えられ、変位、振動、変形が抑えられた状態で加工されて加工精度が向上する。
【0018】
請求項6の発明は、割出装置と同一の回転動作を支持軸に行わせる駆動装置を備えるので、ワークの両端を割出装置と支持装置の双方で回転駆動できることになり、ワークは、捩れが抑えられた状態で回転する。従って、ワークは、割出加工における加工精度、割出精度が向上するほか、回転加工における加工精度が向上する。
【0019】
請求項7の発明は、駆動装置は割出装置の駆動モータとは別の専用駆動モータを備え、前記駆動装置の制御装置は、割出装置の駆動モータと同期して専用駆動モータを駆動し、駆動装置は、割出装置の駆動モータに連結される伝達機構を含まないので、駆動装置が簡単化されると共に、上記の伝達機構を用いた場合に生じる支持軸と回転軸との同期ズレ、即ち、歯車、タイミングプーリ、タイミングベルト、カップリング、シャフト等の伝達機構構成部材の遊び、捩れ等を原因とする支持軸と回転軸との同期ズレを生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
回転割出機50は、図11に示す回転駆動装置としての割出装置60と、該割出装置60に対向して配置され、図1、図4、図7および図8にそれぞれ示すワークの支持装置70と、両装置60、70の制御装置80とを備え、制御装置80は、割出装置60の動作に対応して支持装置70を制御する。回転割出機50は、例えば長尺のワークWにおいて、ワークWの一端を割出装置60で、他端をワークの支持装置70でそれぞれ把持する。
【0021】
本実施形態では、割出装置60は、工作機械、詳細には、砥石、エンドミル、ドリル、タップ等の工具の回転軸や、バイト等の工具のホルダーを有して、工具を数値制御等によって駆動する工作機械のベッドBに載置されるものであるが、割出機能を有する複合旋盤等の主軸台など、ワーク支持部分として、工具駆動部分と共に工作機械を構成する装置であっても良い。
【0022】
割出装置60は、ベッドBの上に載置して固定するボディ61と、ボディ61内に回転可能に支持される回転軸62と、駆動モータ63と、ウォーム減速装置等を有してボディ61内に設けられ、駆動モータ63の回転力を回転軸62に伝達する回転伝達機構(図示省略)と、回転軸62の一端に設けられて割り出し回転する回転テーブル64と、回転テーブル64のワーク載置面にボルト等を介して取り外し可能に設けられ、ワークWの一端が固定されるワーク取付治具65とを備える。
【0023】
図1の全体図、図1の左側詳細図である図2、および図1の右側詳細図である図3に示される実施形態のワークの支持装置70は、ベッドBに載置されて固定されるフレーム1と、フレーム1の内周面に嵌合される中間軸4と、中間軸4の内周面に嵌合され、中間軸4を介してフレーム1に対し軸線方向に移動可能におよび回転可能に支持されるる支持軸2とを含む。フレーム1、正確には中間軸4が嵌合されるフレーム1の内周面と、中間軸4と、支持軸2とは、互いに同軸に形成される。更に、ワークの支持装置70は、ワークWの他端を連結するために支持軸2の一端に設けられる連結部材3と、支持軸2に軸線方向の力を加える力発生装置5と、支持軸2の軸線方向の移動を規制する軸線方向クランプ装置6と、フレーム1と中間軸4との相対回転を規制することにより、支持軸2の回転を規制する回転クランプ装置7と、支持軸2を回転させる駆動装置8とを備える。
【0024】
フレーム1は、ベッドBに載置されるベースプレート1aと、ベースプレート1aにボルトを介して固定されるフレーム本体1bとから構成される。ベースプレート1aが、あり溝形状等の図示しない案内溝に沿ってベッドB上を支持軸2の軸線方向に移動して、図示しないクランプ部材を介してベッドBに固定されることにより、支持装置70は、ワークWの長さに応じて、割出装置60との対向位置が軸線方向に調整される。
【0025】
フレーム本体1bは、中空の複数のフレーム部材1b1〜1b5がボルトを介して互いに締結されて一体物化されており、第一のフレーム部材1b1部分を除く一部円筒体であり、軸線方向をワークWに向かって外周面が段階的に大きくなる中間軸4の収容空間として、内周面が中間軸4に対応して大きくなっている。
【0026】
より詳しく言えば、フレーム本体1bは、ベースプレート1aに固定される第一のフレーム部材1b1と、第一のフレーム部材1b1の反ワーク側端面に固定される円盤状の第二のフレーム部材1b2と、第一のフレーム部材1b1の反ワーク側内周面に嵌合され、フランジ部分がボルト、座金を介して押圧されて第一のフレーム部材1b1に固定される第三のフレーム部材1b3と、第三のフレーム部材1b3の内周面に嵌合され、第二のフレーム部材1b2を介して第一のフレーム部材1b1に固定される第四のフレーム部材1b4と、転がり軸受9としてのクロスローラベアリングの外輪を軸線方向に固定する部材であって、第一のフレーム部材1b1のベアリング外輪嵌合面に嵌合される第五のフレーム部材1b5とで構成される。
【0027】
中間軸4は、フレーム1の半径方向内側に中空円筒状に設けられて、嵌合されるフレーム1の内周面と同軸に設けられ、支持軸2を収容する。中間軸4は、複数の中間軸部材4a〜4c同士がボルトで固定されて一体物化されており、周面が同軸に形成される複数の中間軸部材4a〜4c同士を互いに嵌合させることによって、全ての周面が、フレーム1、正確にはフレーム1の中間軸嵌合面と支持軸2とに同軸に形成される。
【0028】
より詳しく言えば、中間軸4は、第一〜第三の中間軸部材4a〜4cが反ワーク側からワーク側に向かって順に配置されている。第一の中間軸部材4aは、第四のフレーム部材1b4の内周面に嵌合される。第三の中間軸部材4cは、後述する回転クランプ装置7の本体部材7aの内周面に嵌合される。第二の中間軸部材4bは、第一の中間軸部材4aと第三の中間軸部材4cとの間に配設されて第一の中間軸部材4a、第三の中間軸部材4cの各外周面に嵌合されると共に、外周面にウォームホイール8cと転がり軸受9の内輪とがそれぞれ嵌合される。
【0029】
支持軸2は、外周面が反ワーク側からワーク側に向かって段階的に大きく形成されており、反ワーク側に位置する第一の支持軸部材2aとワーク側に位置する第二の支持軸部材2bとを備える。両部材2a、2bは、周面同士が互いに嵌合し、ボルトを介して一体物化される。互いに嵌合する支持軸2の外周面と中間軸4の内周面との間には、隙間、所謂遊びがあり、潤滑油、グリース等の油膜が形成されることにより、支持軸2と中間軸4との円滑な摺接を可能としている。第二の支持軸部材2bのワーク側の端面には、ワークの他端を連結する連結部材3の取付基準孔として、軸心に中穴2b1が開口している。中穴2b1の中間部分には、ブロック2b2がフタとして嵌合されており、支持軸部材2a、2bを締結するボルトの挿通孔を介して、切削液等の異物が内部に進入するのを防止する。
【0030】
連結部材3は、ボルトや半径方向に進退可能な爪を介してワークWを着脱可能に支持軸2に連結するものであり、本実施形態では、連結部材3として手動のチャッキング装置が用いられている。チャッキング装置は、ワーク側が開口する有底円筒形のベース3aと、図示しない進退機構を介してベース3aの円筒部3a1の内周面から半径方向に進出可能な複数の爪3bとを含む。ベース3aの底部3a2のワーク側底面の軸心には、ワークWの他端面に当接する当接面3a3が、底面から突出して設けられる。一方、ベース3aの底部3a2の反ワーク側底面の軸心には、取付基準軸部が底面から突出しており、該軸部が中穴2b1に嵌合されることにより、チャッキング装置は支持軸2に同軸に取り付けられる。複数、例えば3つの爪3bは、支持軸2の軸心を中心として円周を等分、例えば3等分して配置され、支持軸2の軸心から、先端が常に互いに均等に位置してた状態で放射状に延在する。ワークWを連結および連結解除する場合は、専用のハンドルレンチを装着して、図示しない進退機構を操作し、複数の爪3bの先端を軸心から互いに等しい距離に位置させてワークWを把持させることにより、ワークWは支持軸2と同軸に連結される。
【0031】
軸線方向クランプ装置6が、中間軸4のワーク側端部に設けられている。軸線方向クランプ装置6は、フランジ部が第三の中間軸部材4cのワーク側端面にボルトを介して固定される本体部材6aと、本体部材6aの胴部に形成される薄肉リング部6a1と、薄肉リング部6a1の外周面と第三の中間軸部材4cの内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室6bと、第三の中間軸部材4cを外周面から半径方向に貫通して設けられクランプ圧力室6bに連通する流路6cと、第三の中間軸部材4cの外周面に嵌合され、ブラケット6eを介してフレーム1に固定されるジョイント部材6dとを含む。第三の中間軸部材4cの外周面とジョイント部材6dの内周面とを含んで、ロータリージョイントが形成される。流路6cは、前記ロータリージョイントと、ジョイント部材6dの外周面に設けられるコネクタ端子6fと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0032】
軸線方向クランプ装置6は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子6f、ロータリージョイント、流路6cを経てクランプ圧力室6bに供給される。薄肉リング部6a1は中間軸4に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室6bの高圧流体の流体圧によって縮径して、支持軸2の外周面を押圧し、中間軸4と支持軸2との相対移動を規制することにより、中間軸4と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制する。本実施形態の場合、単一の押圧部材、即ち、薄肉リング部6a1が、リング状、即ち環状に形成されて支持軸2の周りを全周に亘って延在して、支持軸2の外周面を均等に押圧することにより、中間軸4と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制しつつ、中間軸4と支持軸2との半径方向の遊びを全周に亘って均等に解消することにより、中間軸4と支持軸2との同軸を実現している。しかし、複数の押圧部材が支持軸2の円周方向に均等に配置されても良く、同様に、中間軸4と支持軸2との半径方向の遊びを全周に亘って均等に解消され、中間軸4と支持軸2との同軸を実現することが可能である。
【0033】
本実施形態の場合、回り止め装置11が設けられており、該装置11は、中間軸4と支持軸2とにおいて、相対回転を規制すると共に軸線方向の相対移動を許容する。回り止め装置11は、支持軸2の外周面を軸線方向に延在する係止溝11aと、係止部材としてのピン11cとを備える。ピン11cは、中間軸4を外周面から半径方向に貫通して係止溝11aに達する貫通孔11bに嵌合されて、更に、係止溝11aに嵌合され、係止溝11aとの嵌合面が、互いに平行な2つの平坦面によって形成される。係止溝11aは、中間軸4と支持軸2との相対移動可能長さを超えて延在する。貫通孔11bにはキャップ11dが螺合されており、ピン11cの抜け出しと、切削液等の異物の内部侵入とを防止する。ピン11cの頭部にはメネジ11eが設けられており、ボルトをねじ込んで中間軸4の外周面から突出する部分を、手で引き抜くことにより、容易に貫通孔11bから取り外すことを可能とし、回り止め装置11を解除してワーク加工することを可能としている。例えば、支持装置70の支持軸2に固定される連結部材3として、本実施形態のようなチャッキング装置を用いずに専用のワーク取付治具を用いているため、取り付け可能なワークWと連結部材3との取付位相が決まっており、ワークWの一端を割出装置60に固定された状態で、ワークWの他端と連結部材3との相対位相が、取り付け可能な取付位相でないため、ワークWの他端を連結部材3に取り付けることができない場合に、回り止め装置11を解除する。即ち、ピン11cを取り外して回り止め装置11を解除し、軸線方向クランプ装置6を解除した状態で連結部材3を手で回転させて、後述の駆動装置8で中間軸4を回転させることなく、連結部材3とワークWの他端との相対位相を取付位相に調整する。
【0034】
回転クランプ装置7がフレーム1のワーク側端部に設けられている。回転クランプ装置7は、フランジ部が第一のフレーム部材1b1のワーク側端面にボルトを介して固定される本体部材7aと、本体部材7aの胴部に形成される薄肉リング部7a1と、薄肉リング部7a1の外周面と第一のフレーム部材1b1の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室7bと、第一のフレーム部材1b1を外周面から半径方向に貫通して設けられクランプ圧力室7bに連通する流路7cとを含む。流路7cは、第一のフレーム部材1b1の外周面に設けられるコネクタ端子7dと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0035】
回転クランプ装置7は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子7d、流路7cを経てクランプ圧力室7bに供給される。薄肉リング部7a1はフレーム1に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室7bの高圧流体の流体圧によって縮径して、中間軸4の外周面を押圧し、フレーム1と中間軸4との相対移動を規制することにより、中間軸4の回転を規制する、即ち、中間軸4の回転をクランプする。これにより、回り止め装置11によって中間軸4との相対回転が規制されている支持軸2は、回転がクランプされる。また、ピン11cが取り外されて回り止め装置11が解除されている場合でも、軸線方向クランプ装置6の作動中は、中間軸4と支持軸2とにおいて、軸線方向の相対移動の規制に加えて、相対回転が規制されることから、回り止め装置11が解除されている場合でも、軸線方向クランプ装置6の作動中に回転クランプ装置7を作動することにより、支持軸2の回転をクランプすることが可能である。
【0036】
回転クランプ装置7は、作動解除時、高圧流体を解放することにより、薄肉リング部7a1の内周面は元の径に復帰して、支持軸2の外周面の押圧を解除し、支持軸2は回転可能となる。本実施形態の回転クランプ装置7は、軸線方向クランプ装置6と同様、単一の押圧部材、即ち薄肉リング部7a1が、支持軸2の周りを全周に亘って延在して支持軸2の外周面を均等に押圧する。しかし、回転クランプ装置7は、軸線方向クランプ装置6と異なり、押圧部材が不均等に支持軸2の外周面を押圧する構成、またはフレーム1と支持軸2とのうち一方に支持される押圧部材が、軸線方向に移動して他方の端面を押圧することにより支持軸2の回転をクランプする構成を採ることが可能である。
【0037】
転がり軸受9は、外輪が第一のフレーム部材1b1に嵌合され、内輪が中間軸4を構成する第二の中間軸部材4bに嵌合されている。外輪は、第一のフレーム部材1b1の段部に形成されて軸線と直交する面、即ち、第一のフレーム部材1b1の軸線直交段部面と、第五のフレーム部材1b5とによって軸線方向の移動が規制されている。一方、内輪は、第二の中間軸部材4bの軸線直交段部面と、第三の中間軸部材4cの軸線直交段部面と内輪との間に介在して、第二の中間軸部材4bの内輪嵌合面に嵌合されるスペーサ21とによって、軸線方向の移動が規制されている。また、ローラは、転動体として外輪、内輪の両者を相対回転可能とするほか、両者の軸線方向の相対移動を規制する。従って、支持軸2と中間軸4、および中間軸4とフレーム1とのいずれか一方として、本実施形態では、中間軸4とフレーム1とが、転がり軸受9を介して、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられている。本実施形態の転がり軸受9はクロスローラベアリングであり、1つだけ設けられて、ラジアル荷重、ワーク側からのスラスト荷重、および反ワーク側からのスラスト荷重を受け、中間軸4とフレーム1とを、軸線方向の相対変位不能な状態で、相対回転可能としている。しかし、転がり軸受9は、1つまたは軸線方向に互いに離間した複数のラジアルベアリング、ワーク側からのスラスト荷重を受けるスラストベアリング、および反ワーク側からのスラスト荷重を受けるスラストベアリングとのように、複数の転がり軸受部材によって構成されてもよい。
【0038】
支持軸2は、駆動装置8によって、割出装置60の回転軸62と同期して駆動されている。駆動装置8は、割出装置60の駆動モータ63とは別の図示しない専用駆動モータMと、図示しないカップリングと、フレーム1に内蔵されるウォーム減速機構8aとを含み、中間軸4を回転駆動することにより、中間軸4と相対回転不能な支持軸2を回転駆動する。ウォーム減速機構8aは、フレーム1に支持され前記カップリングを介して専用駆動モータMに連結されるウォーム8bと、中間軸4に固定されてウォーム8bと噛み合うウォームホイール8cとを備える。
【0039】
ワークの支持装置70は、支持軸2に軸線方向の力を加える力発生装置5を備えており、本実施形態では、力発生装置5は支持軸2の軸線方向の移動装置を兼ねている。力発生装置5は、シリンダ部分としての中間軸4の第一の中間軸部材4aと、ピストン部分としての支持軸2の第一の支持軸部材2aとによって、複動タイプの流体圧シリンダ装置を備えており、反ワーク側に前進圧力室5b1とワーク側に後退圧力室5c1とが、ピストン壁を隔てて形成される。図示しない高圧流体源から前進圧力室5b1、後退圧力室5c1に高圧流体を供給するため、ロータリージョイントが、第四のフレーム部材1b4の内周面と、第一の中間軸部材4aの外周面とを含んで形成される。前進圧力室5b1と後退圧力室5c1は、前記ロータリージョイントと、第四のフレーム部材1b4および第一の中間軸部材4aに穿孔される前進流路5b、後退流路5cとを介し、第四のフレーム部材1b4の反ワーク側端面に設けられる各コネクタ端子5d、5eにそれぞれ連通され、パイプ、図示しない電磁開閉弁、レギュレターを経て高圧流体源に接続される。支持軸2の前進時、および一端が割出装置60の回転軸62に連結されているワークWに、連結部材3を介して所定の押圧力を加える際は、高圧流体源から所定の設定圧の高圧流体が、前進圧力室5b1に供給される。また、支持軸2の後退時、および両端が割出装置60の回転軸62と連結部材3とにそれぞれ連結されているワークWを、所定の牽引力で牽引する際は、高圧流体源から所定の設定圧の高圧流体が、後退圧力室5c1に供給される。
【0040】
支持軸2の軸線方向位置検出装置13が、支持装置70の反ワーク側に設けられ、力発生装置5によって進退する支持軸2の許容限界を超えた前進、および後退限を検出する。軸線方向位置検出装置13は、一対の検出子13aと、リング状の被検出子13bとで構成される。一対の検出子13aは、フレーム1に固定されるセンサホルダ13cの軸線方向長孔に固定されており、軸線方向位置を調整可能に設けられる。被検出子13bは、止めネジによって支持軸2に固定される。ワーク側の検出子13aは、ワークWの連結異常、支持装置70の設置位置異常等の異常検出に用いられ、支持軸2が所定長さ以上に前進した場合、例えばワークWの一端と割出装置60の回転軸62とが、正規の状態に連結されておらず、そのため、連結部材3の当接面3a3が所定長さ以上に前進した場合、また、支持装置70が割出装置60から所定距離以上に離間して設置され、同様に当接面3a3が所定長さ以上に前進した場合等に、被検出子13bを検知し、異常検出信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、工作機械の制御装置は、異常検出信号に基づき、運転禁止信号を出力する。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退限を検出し、被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、工作機械の制御装置は、後退完了信号に基づき、高圧流体源からの高圧流体の供給を停止させる。なお、図は説明用のため、一対の検出子13aは、正確な軸線方向位置に描かれていない。また、支持軸2と中間軸4との間には、2つの環状空間が、外周面と内周面、および互いに対向する2つの軸線直交段部面とによって、軸線方向に互いに離間して形成される。2つの環状空間は、共に、支持軸2に穿孔されて支持軸2の反ワーク側端面に開口する空気抜き孔2b3を介して、外気と連通されており、支持軸2の進退に伴う容積変化に対応している。
【0041】
本実施形態の軸線方向クランプ装置6は、作動確認装置12を備え、軸線方向クランプ装置6の不作動状態でワークWが加工されることを避けている。作動確認装置12は、第四のフレーム部材1b4の反ワーク側端面に開口し、第四のフレーム部材1b4と中間軸4とに穿孔されてクランプ圧力室6a1に連通される流路6gと、第四のフレーム部材1b4の内周面と中間軸4の外周面を含んで形成され、第四のフレーム部材1b4の流路6gと中間軸4の流路6gとを連通するロータリージョイントと、復帰バネ12a付きの単動シリンダと、単動シリンダ装置のラム12bに固定される被検出子12gおよび一対の検出子12fとを備える。作動確認装置12は、軸線方向クランプ装置6の作動時、高圧流体のクランプ圧力室6bに実際に加わった流体圧を利用して、復帰バネ12aの付勢力に逆らってラム12bを移動させる装置であり、ラム12bの位置に基づき、軸線方向クランプ装置6の実際の作動、不作動状態が把握される。
【0042】
より詳しく言えば、単動シリンダは、第四のフレーム部材1b4の流路6gに接続される流通孔12hをワーク側端面に有するシリンダ胴12eと、シリンダ胴12eの反ワーク側端に設けられるスリーブ12dと、スリーブ12dの内周面に嵌合されるラム12bと、ラム12bの外周面を囲む復帰バネ12aと、ラム12bのワーク側端面に固定されるワッシャ12iとを含む。ラム12bの反ワーク側には被検出子12gがねじ込まれて軸線方向位置を調整され、被検出子12gは止めネジによって固定されている。スリーブ12dの反ワーク側端面にセンサホルダ12cが固定されて、一対の検出子12fがラム12bの軸線方向に離間して設けられる。
【0043】
図はラム12bがワーク側の限界位置に在る時の状態を表しており、被検出子12gがワーク側の検出子12fと対向して、該検出子12fから不作動確認信号が制御装置80に出力され、クランプ圧力室6bに流体圧が加わってないことが把握される。また、ラム12bが復帰バネ12aの付勢力に抗して反ワーク側に移動し、被検出子12gが反ワーク側の検出子12fと対向すると、反ワーク側の検出子12fから作動確認信号が出力され、制御装置80は、クランプ圧力室6bに所定の設定圧が加わった状態で、軸線方向クランプ装置6が作動していることを把握する。制御装置80は、軸線方向クランプ装置6の作動指令信号を出力したのに、反ワーク側の検出子12fから作動確認信号が入力されない場合、油圧モータやエアコンプレッサ等の高圧流体源、レギュレター、電磁開閉弁等の故障等が考えられ、工作機械の制御装置に運転禁止信号を出力し、ワークWの加工を禁止する。
【0044】
本実施形態では回転クランプ装置7は、作動確認装置を有しないが、軸線方向クランプ装置6と同様に設けてもよい。その場合、制御装置80は、回転クランプ装置7の作動指令の出力時に、作動確認装置のセンサーから作動確認信号が入力されない場合、および回転クランプ装置7の作動停止指令の出力時に、作動確認装置のセンサーから不作動確認信号が入力されない場合、運転禁止指令を出力する。
【0045】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。工作機械のベッドB上に、割出装置60と支持装置70とは互いに対向して配置されると共に、支持装置70は、ベッドB上を移動して、ワークWの長さに対応して割出装置60から所定の距離に固定されると共に、支持装置70は、支持軸2と割出装置60の回転軸62とが同軸上に位置するように、固定される。
【0046】
作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの力発生装置5の作動信号に基づき、前進用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、後退用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開く。これにより、高圧流体が、前進圧力室5b1に高圧流体源から所定の設定圧力で供給されると共に、後退圧力室5c1から排出される。支持軸2が前進し、チャッキング装置の当接面3a3が、ワークWの他端の端面に当接して該端面を、高圧流体の設定圧力に応じた力で押圧する。これにより、割出装置60の回転軸62と支持装置70の支持軸2とは、ワークWを介して、正確にはワークWからの反力によって、軸線方向の遊びが解消される。作業者はチャッキング装置にハンドルレンチを装着して図示しない進退機構を操作し、複数の爪3bを半径方向に移動させて、ワークWの外周面を把持させる。これにより、ワークWの他端は、チャッキング装置を介して支持軸2に固定されて連結される。
【0047】
作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置を介して入力された加工開始信号に基づき、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。軸線方向クランプ装置6の電磁開閉弁の供給弁を開いて、高圧流体源からクランプ圧力室6bに高圧流体を供給する。これにより、本体部材6aの薄肉リング部6a1は縮径して、支持軸2の外周面を均等に押圧することにより、中間軸4と支持軸2との半径方向の遊びが全周に亘って均等に解消され、中間軸4と支持軸2とは、同軸状態で一体化される。これにより、支持軸2は、軸線方向クランプ装置6の作動後も、フレーム1、正確には中間軸4が嵌合されるフレーム1の内周面との同軸が、中間軸4を介して維持される。
【0048】
次に、工作機械の制御装置は、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させながら、所定の回転割出角で停止させる。これにより、回転軸62と、中間軸4と相対回転不能の支持軸2とは、互いに同期回転する。そのため、回転軸62と支持軸2とに一端と他端がそれぞれ支持されるワークWは、例えば、重量物で回転抵抗が大きくても、また、加工前から、または加工中に削られ、捩れ剛性が低くても、更に、重心が軸線から偏倚しており、重力による回転トルクが、回転角によって大きく変化しても、割出回転中、捩れて変形するのが抑えられ、両端共、所定のワーク割出角で停止し、捩れて変形することなく回転割出機50に保持される。
【0049】
制御装置80は、モータ63、Mの停止後、割出装置60の図示しないクランプ装置を作動させ回転軸62をクランプすると共に、回転クランプ装置7の電磁開閉弁の供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、高圧流体源からクランプ圧力室7bに高圧流体を供給して、回転クランプ装置7を作動させ、フレーム1と中間軸4との相対回転を規制する。これにより、支持軸2は、中間軸4を介し、同軸状態でフレーム1と相対変位不能、即ち、相対回転不能、軸線方向の相対変位不能となり、他端がチャッキング装置を介して支持軸2に保持されているワークWは、フレーム1と一体状態となってフレーム1に固定される、即ち、支持装置70に相対変位不能に支持される。
【0050】
ワークWは、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。ワークWには、軸線方向と直交する方向等の軸線方向と交差する方向の加工力、正確には軸線を含む面と直交する方向等の軸線を含む面と交差する方向の加工力が、軸線に向かって、および軸線から偏倚した位置で前記面と交差して加わるほか、軸線方向の加工力が加わる。ワークWには、上記の軸線から偏倚した位置で前記面と交差する加工力によって、捩り応力が作用するが、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持されて回転不能に支持されているため、ワークWは捩れて変形することなく加工可能となる。また、上記の軸線方向の加工力は、ワークWの軸線方向変位として作用するが、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持されて軸線方向に変位不能に支持されているため、ワークWは軸線方向に変位や振動することなく加工される。従って、ワークWは、捩れて変形することなく、また軸線方向に変位や振動することなく加工され、高精度に加工される。
【0051】
工作機械の制御装置は、ワークWの所定のワーク割出角での加工が終了すると、次の所定のワーク割出角での加工のために、次の所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき、回転クランプ装置7の電磁開閉弁において、供給弁を閉じてクランプ圧力室7bへの高圧流体の供給を停止すると共に、排出弁を開いてクランプ圧力室7bの高圧流体の圧力を低下させ、割出装置60のクランプ装置と共に、回転クランプ装置7を作動解除する。次に、制御装置80は、駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させながら、次の所定の割出角で停止させる。制御装置80は、モータ63、Mの停止後、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動させ、前回の所定のワーク割出角の時と同様な状態で、ワークWは加工される。
【0052】
全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動解除すると共に、軸線方向クランプ装置6の電磁開閉弁において、供給弁を閉じてクランプ圧力室6bへの高圧流体の供給を停止すると共に、排出弁を開いてクランプ圧力室6bの高圧流体の圧力を低下させ、軸線方向クランプ装置6を作動解除する。クランプ圧力室6bの圧力低下に伴って、被検出子12gが軸線方向をワーク側に移動して、ワーク側の検出子12fと対向して、該検出子12fから軸線方向クランプ装置6の不作動確認信号が、制御装置80を経て工作機械の制御装置に入力される。工作機械の制御装置は、不作動確認信号に基づき、図示しない加工終了灯を点滅させる。
【0053】
作業者は、加工終了灯の点滅から加工終了を確認し、ワークWの取り外し作業を行う。作業者は、チャッキング装置にハンドルレンチを装着して進退機構を操作し、爪3bを後退させてワークWの把持を解除する。次に、作業者は、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの不作動信号に基づき、力発生装置5の前進用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開き、後退用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じる。これにより、高圧流体が、後退圧力室5c1に高圧流体源から供給されると共に、前進圧力室5b1から排出されて、支持軸2が後退する。支持軸2の後退に伴って、チャッキング装置当接面3a3がワークWの他端の端面から離間し、ワークWは他端が取り外し可能となる。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退に伴って被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、高圧流体源からの高圧流体の供給が停止される。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外す。これにより、加工終了ワークWが回転割出機50から取り外される。
【0054】
回転割出機50は、このように軸線方向クランプ装置6が支持軸2をクランプした状態で、制御装置80が、割出装置60の駆動モータ63と、支持装置70の専用駆動モータMとを互いに同期回転させるので、正確なワーク割出角を得ることができるほか、割出回転中においても、また、所定のワーク割出角での加工中においても、ワークWは、捩れて変形するのが抑えられ、高精度に加工される。更に、本実施形態の場合、力発生装置5が作動して、ワークWを介して支持軸2および割出装置60の回転軸62の軸線方向の遊びが解消されているので、ワークWは、工具からの加工力による軸線方向変位、振動が抑えられ、より高精度に加工される。
【0055】
本実施形態では、作業者が、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作してから作動解除スイッチを操作するまで、力発生装置5は作動しており、ワークWの加工中も作動が維持されている。しかし、力発生装置5は、軸線方向クランプ装置6の作動開始後に、自動で、または作業者が作動解除スイッチを操作することにより手動で、加工中、不作動状態としてもよい。但し、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、軸線方向クランプ装置6によってクランプ状態の支持軸2が後退する恐れがある場合、本実施形態のように、力発生装置5はワークWの工具による加工中も作動が維持されるのが好ましい。即ち、軸線方向クランプ装置6のクランプ力に加えて力発生装置5の押圧力が、衝撃的な軸線方向の加工力に対抗するので、支持軸2の後退を避けることができ、加工精度が維持される。
【0056】
本実施形態では、力発生装置5は流体圧シリンダ装置を用いて構成されている。しかし、例えば、相対回転可能、かつ、軸線方向に相対変位不能に支持軸2と連結される中間部材を設け、トルクモータでボールねじ装置等の運動変換装置を介して中間部材を軸線方向に移動させることにより、支持軸2を軸線方向に移動させると共に、一端が割出装置60に保持されるワークWを介して、支持軸2をトルクモータの設定回転トルクに応じた力で押圧、または牽引する等、流体圧シリンダ装置以外の装置を用いて構成してもよい。
【0057】
本実施形態では、力発生装置5はチャッキング装置当接面3a3がワークWの他端の端面を押圧しており、回転割出機50は、ワークWを軸線方向に圧縮状態で支持することにより、ワークWを介して軸線方向の遊びを解消している。しかし、回転割出機50は、ワークWを軸線方向に牽引して伸長状態で支持することにより、ワークWを介して、正確にはワークWからの反力によって、軸線方向の遊びを解消してもよく、ワークWは、軸線方向の圧縮によって真直度が損なわれるのを避けることができる。
【0058】
その場合、チャッキング装置によるワークWの他端の支持軸2への固定連結作業後、作業者が工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作することにより、工作機械の制御装置から制御装置80に力発生装置5の牽引信号が出力される。制御装置80は、牽引信号に基づき、前進用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開き、後退用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じる。これにより、高圧流体が、後退圧力室5c1に高圧流体源から所定の設定圧力で供給されると共に、前進圧力室5b1から排出される。ワークWは、力発生装置5によって高圧流体の所定の設定圧力に応じた所定の力で牽引され、回転割出機50は、ワークWを軸線方向に所定の力で牽引して伸長状態で支持する。その後、工作機械の制御装置は、制御装置80に軸線方向クランプ装置6の作動開始信号を出力し、制御装置80は、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。これにより、軸線方向に圧縮状態で支持された場合と同様、力発生装置5の作動中に軸線方向クランプ装置6が作動して、支持軸2が同軸状態で軸線方向に固定される。
【0059】
回転割出機50は、ワークWを軸線方向に所定の牽引力で牽引して伸長状態で支持することにより、軸線方向に圧縮状態で支持された場合と同様、軸線方向の遊びを解消した状態で、ワークWを加工する。この場合も同様に、軸線方向クランプ装置6の作動開始後は、力発生装置5を不作動としてもよいが、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、軸線方向クランプ装置6によってクランプ状態の支持軸2が前進する恐れがある場合、力発生装置5はワークWの工具による加工中も作動が維持されるのが好ましい。
【0060】
本実施形態では、ワークWは、他端がチャッキング装置の当接面3a3に当接して加工される。しかし、ワークWは、他端の端面が当接面3a3から離間した状態で把持されて、力発生装置5による軸線方向の力が加わった状態で加工されてもよい。但し、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、ワークWがチャッキング装置と相対変位する恐れがある場合、本実施形態と同様、ワークWは、他端が当接面3a3に当接して加工されるのが好ましい。
【0061】
本実施形態では、連結部材3であるチャッキング装置は、爪3bがワークWの外周面を把持する。しかし、パイプ等、内周面を有するワークWの場合、連結部材として、爪3bが半径方向外側に向かって進出してワークWの内周面を把持するチャッキング装置を用いてもよく、ワークWの外周面に把持基準面がない場合や、外周面にチャッキング跡が生じるのを避けたい場合等に適用される。また、本実施形態では、連結部材としてチャッキング装置を用い爪3bを介してワークWの周面を把持している。しかし、連結部材として、割出装置60の回転軸62に固定されるワーク取付治具65のように、支持軸2にボルト等を介して着脱可能に固定されるワーク取付治具であってもよく、ワークWの他端は、取付基準となる周面または端面が、ボルト、当て金等を介してワーク取付治具に固定されて連結される。
【0062】
回転割出機50は、ワークWを回転停止させて所定のワーク割出角に維持したこのような割出加工のほか、ワークWを旋回加工させながらの割出加工やワークWの旋削加工を、このような割出加工中に、またはこのような割出加工なしに単独で行うことができる。
【0063】
ワークWを旋回加工させながらの割出加工の場合、工作機械の制御装置は、力発生装置5の作動開始後の軸線方向クランプ装置6の作動後に、工具の運動に応じて、制御装置80を介して駆動モータ63と専用駆動モータMとを、互いに同期回転させながら、一方向または正逆2方向に、一定回転速度または遅速回転速度で回転させると共に、回転クランプ装置7および割出装置60のクランプ装置を共に作動しない。これにより、回転軸62と支持軸2とは、互いに同期回転し、回転軸62と支持軸2とに一端と他端がそれぞれ支持されるワークWは、捩れて変形することなく加工される。
【0064】
また、ワークWの旋削加工の場合、工作機械の制御装置は、力発生装置5の作動開始後の軸線方向クランプ装置6の作動後に、制御装置80を介して駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させと共に、回転クランプ装置7および割出装置60のクランプ装置を共に作動しない。これにより、回転軸62と支持軸2とは、互いに同期回転し、回転軸62と支持軸2とに一端と他端がそれぞれ支持されるワークWは、捩れて変形することなく旋削加工される。
【0065】
本実施形態では、制御装置80は、回転割出機50の制御装置80として設けられており、回転割出機50を構成する割出装置60と支持装置70とを、互いに連動して制御する。詳細には、制御装置80は、力発生装置5、軸線方向クランプ装置6、回転クランプ装置7を制御するほか、割出装置60の駆動装置の制御装置として駆動モータ63、および支持装置70の駆動装置8の制御装置として専用駆動モータMを制御する。また、制御装置80は工作機械の制御装置に接続されており、工作機械の制御装置からの指令信号に基づき、工作機械と連動して回転割出機50を制御すると共に、センサーからの検出信号に基づき、運転禁止信号等を工作機械の制御装置に出力する。しかし、回転割出機50は、割出装置60の制御装置と、支持装置70の制御装置80とが別々に設けられてもよい。その場合、支持装置70の制御装置80は、割出装置60の制御装置からの直接の制御信号、および割出装置60の制御装置を経て入力される工作機械の制御装置からの制御信号に基づき、支持装置70の各装置を制御する。また、回転割出機50の制御装置80は、工作機械の制御装置に組み込まれてもよく、制御装置全体を省スペース化できる。また、制御装置80は、専用駆動モータMを回転制御しながら、支持装置70の駆動装置8を制御するが、制御装置80とは別に駆動装置8の専用制御装置を設けてもよく、その場合、専用制御装置は、制御装置80からの制御信号に基づき専用駆動モータMを回転制御する。
【0066】
本実施形態では、回転割出機50は工作機械のベッドB上に設置される。しかし、回転割出機50は、工作機械のベッドB以外の例えば、パレット上に、1つまたは複数設置されてもよい。その場合、パレット待機位置が、1つまたは複数、例えば工作機械を挟んで複数設けられ、ワークWは、前記待機位置で回転割出機50に取り付けられる。1つまたは複数の回転割出機50は、パレット搬送装置によって、工作機械の1つまたは複数の所定のワーク加工位置に搬送され、単独加工または同時加工される。加工終了後、パレット搬送装置によって、元の待機位置、または別の待機位置に回転割出機50は搬送され、ワークWの取り外しおよび取り付けが行われる。パレットは1つでもよいが、複数を用いることにより、工作機械は、パレット搬送のための待ち時間が加わるものの、ワーク着脱のための待ち時間が短縮またはなくなり、待ち時間を短縮することができ、加工効率が向上する。
【0067】
次に、本実施形態の変形例のワークの支持装置70Aを、図4の全体図、図4の左側詳細図である図5、および図4の右側詳細図ある図6に示す。本変形例のワークの支持装置70Aは、支持装置70と同様に、割出装置60に対向して配置されて、割出装置60と共に回転割出機50を構成する。本変形例の支持装置70Aは、支持軸2が、割出装置60の駆動モータ63によって、ワークWを介して従動回転する点、連結部材3としてのチャッキング装置が、所謂パワーチャックであり、爪3bが流体圧によって半径方向に進退する点、送り装置30によって割出装置60との対向位置が調整される点で、支持装置70と相違する。本変形例の支持装置70Aは、支持装置70の各部材と同等の機能の部材については、同じ符号が用いられる。
【0068】
フレーム1は、工作機械のベッドBに載置される第一のフレーム部材101と、該フレーム部材101の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第二のフレーム部材102と、該フレーム部材102の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第三のフレーム部材103と、該フレーム部材103の外周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第四のフレーム部材104と、第一のフレーム部材101の内周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定される第五のフレーム部材105とを備える。
【0069】
中間軸4がフレーム1の内周面に嵌合されて設けられている。中間軸4は、フレーム部材103、105にそれぞれ嵌合される第一の中間軸部材141と、該中間軸部材141の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定され第四のフレーム部材104に嵌合される第二の中間軸部材142とを備える。
【0070】
支持軸2が中間軸4の内周面に嵌合されて設けられている。支持軸2は、反ワーク側に設けられる第一の支持軸部材121と、該持軸部材121の外周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定される第二の支持軸部材122とを備え、軸心にパワーチャック装置のための貫通孔が設けられている。
【0071】
転がり軸受9が、フレーム1と中間軸4との間に設けられている。転がり軸受9は、2つのテーパローラベアリングによって構成され、両ベアリングは、第一のフレーム部材101の内周面に設けられる位置決め段部によって軸線方向に互いに離間する。反ワーク側のテーパローラベアリングの外輪、およびワーク側のテーパローラベアリングの外輪は、前記位置決め段部によって、ワーク側または反ワーク側への軸線方向移動がそれぞれ規制されている。一方、ワーク側のテーパローラベアリングの内輪は、第一の中間軸部材141の軸線直交段部面によって、ワーク側への軸線方向移動が規制されている。また、反ワーク側のテーパローラベアリングの内輪は、第一の中間軸部材141に設けられている雄ネジに螺合される予圧ナットによって、反ワーク側への軸線方向移動が規制されている。更に、反ワーク側のテーパローラベアリングのローラは、外輪を介して内輪のワーク側への軸線方向移動を規制し、ワーク側のテーパローラベアリングのローラは、外輪を介して内輪の反ワーク側への軸線方向移動を規制する。従って、本変形例では、支持装置70と同様、中間軸4とフレーム1とが、転がり軸受9を介して、相対回転可能に、かつ、軸線方向に相対変位不能に設けられている。2つのテーパローラベアリングは、前記予圧ナットによって適切な予圧が付与されており、中間軸4とフレーム1とにおいて、円滑な相対回転を実現しつつ、軸線方向の遊びを解消している。なお、前記予圧ナットは、離間して螺合される弛み止めナットが皿ビスを介して軸線方向に牽引しており、螺合ネジ面同士に生ずる摩擦力によって、予圧ナットが回って緩むのを防止している。
【0072】
第一のフレーム部材101の基部には、送り装置30の構成部材として、図示しないボールネジナットが取り付けられており、ボールネジナットのネジ溝に沿ってボールが埋め込まれている。また、送り装置30の構成部材として、ボールネジ軸31が、支持装置70Aの軸線方向、正確にはフレーム1の内周面の軸線方向と平行に延在し、工作機械のベッドBに立設される図示しないサポータによって回転可能、かつ、軸線方向に変位不能に支持されている。フレーム1は、モータでまたは作業者がハンドルでボールネジ軸31を回転させることにより、ベッドBに設けられている図示しないあり溝形状の案内溝に沿ってベッドB上を軸線方向に移動し、支持装置70Aは、割出装置60との対向位置が調整される。
【0073】
軸線方向クランプ装置6は、フランジ部が第一の中間軸部材141のワーク側端面にボルトを介して固定される本体部材6aと、本体部材6aの胴部に形成される薄肉リング部6a1と、薄肉リング部6a1の外周面と第一の中間軸部材141の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室6bと、第一の中間軸部材141と第二の中間軸部材142とに設けられ、クランプ圧力室6bと第二の中間軸部材142の外周面とに両端がそれぞれ開口する流路6cとを含む。第二の中間軸部材142の外周面と第四のフレーム部材104とを含んで、ロータリージョイントが形成される。流路6cは、前記ロータリージョイントと、第二のフレーム部材102の外周面に設けられるコネクタ端子6fと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0074】
軸線方向クランプ装置6は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子6f、ロータリージョイント、流路6cを経てクランプ圧力室6bに供給される。薄肉リング部6a1は中間軸4に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室6bの高圧流体の流体圧によって縮径して、支持軸2の外周面を押圧し、中間軸4と支持軸2との相対移動を規制することにより、中間軸4と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制する。
【0075】
本変形例の場合も、回り止め装置11が設けられており、該装置11は、中間軸4と支持軸2とにおいて、相対回転を規制すると共に軸線方向の相対移動を許容する。回り止め装置11は、支持軸2の外周面を軸線方向に延在する係止溝11aと、係止部材としてのピン11cとを備える。ピン11cは、中間軸4を外周面から半径方向に貫通して係止溝11aに達する貫通孔11bに嵌合されて、更に、係止溝11aに嵌合され、係止溝11aとの嵌合面が、互いに平行な2つの平坦面によって形成される。係止溝11aは、中間軸4と支持軸2との相対移動可能長さを超えて延在する。
【0076】
回転クランプ装置7は、第三のフレーム部材103に形成される薄肉リング部7a1と、薄肉リング部7a1の外周面と第二のフレーム部材102の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室7bと、第二のフレーム部材102を外周面から半径方向に貫通して設けられクランプ圧力室7bに連通する流路7cとを含む。流路7cは、第二のフレーム部材102の外周面に設けられるコネクタ端子7dと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0077】
回転クランプ装置7は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子7d、流路7cを経てクランプ圧力室7bに供給される。薄肉リング部7a1はフレーム1に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室7bの高圧流体の流体圧によって縮径して、中間軸4の外周面を押圧し、フレーム1と中間軸4との相対変位を規制することにより、中間軸4の回転を規制する、即ち、中間軸4の回転をクランプする。これにより、回り止め装置11によって中間軸4との相対回転が規制されている支持軸2は、回転がクランプされる。
【0078】
力発生装置5は、シリンダ部分としての中間軸4の第二の中間軸部材142と、ピストン部分としての支持軸2の第一の支持軸部材121とによって、複動タイプの流体圧シリンダ装置を備えており、反ワーク側に前進圧力室5b1とワーク側に後退圧力室5c1とが、ピストン壁を隔て形成される。図示しない高圧流体源から前進圧力室5b1、後退圧力室5c1に高圧流体を供給するため、ロータリージョイントが、第四のフレーム部材104の内周面と、第二の中間軸部材142の外周面とを含んで形成される。前進圧力室5b1と後退圧力室5c1は、前記ロータリージョイントと、第四のフレーム部材104および中間軸部材142に穿孔される前進流路5b、後退流路5cとを介し、第四のフレーム部材104の外周面に設けられる各コネクタ端子5d、5eにそれぞれ連通され、パイプ、図示しない電磁開閉弁、レギュレターを経て高圧流体源に接続される。
【0079】
連結部材3としてのチャッキング装置は、第二の支持軸部材122の外周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定されるベース3cと、ベース3cのワーク側端面にボルトを介して固定され軸心に向かう複数の放射状案内溝を有する爪案内部材3d、前記放射状案内溝に嵌合される突起部を有する複数の爪保持部材3fと、各爪保持部材3fの半径方向内側にそれぞれ固定される複数の爪3bと、爪案内部材3dのワーク側端面に固定されワーク側端面に当接面3a3が形成される当接面部材3eと、爪保持部材3fを介して複数の爪3bを半径方向に移動させる爪進退装置14と、ワークWの当接面3a3の当接を確認する着座確認装置15とを含む。
【0080】
爪進退装置14は、支持軸2の軸心の貫通孔に嵌合されるドローバー14aと、ドローバー14aのワーク側端部の外周面に設けられる雄ネジに螺合すると共に、ベース3cの内周面に嵌合されるピースホルダ14bと、ピースホルダ14bに固定される複数の傾斜片14cと、ベース3cに円周を等分して形成されて軸線方向に延在する複数の放射状溝にそれぞれ収容され、ベース3cに設けられるピン14fによって軸支される複数の係合片14gと、ケーシング14d1が第一の支持軸部材121の反ワーク側端部にシリンダホルダ14eを介してボルトで固定され、ピストンロッド14d2がドローバー14aの反ワーク側端部の外周面に設けられる雄ネジに螺合する回転流体圧シリンダ装置14dと、ピストンロッド14d2の反ワーク側端部の外周面に嵌合され、図示しない回転規制部材を介してフレーム1と相対回転不能、軸線方向に相対移動可能に設けられているロータリージョイント装置14hとを含む。ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1には、各パイプ、各電磁開閉弁、レギュレターを経て、エア供給源15gにそれぞれ接続される把持作動コネクタ端子14iと、把持解除コネクタ端子14jとが、設けられている。
【0081】
また、着座確認装置15は、ベース3cのワーク側端面にボルトを介して固定されるピースホルダ15bと、ピースホルダ15bの挿通孔に嵌合されるスライドピース15aと、スライドピース15aを付勢して当接面部材3eの当接面3a3から突出させるバネ15cと、前記ロータリージョイント装置14hとを含む。高圧空気の流路15dが、ピストンロッド14d2、支持軸2、ピースホルダ15b、スライドピース15aに形成されており、ピストンロッド14d2のロータリージョイント装置14hとの嵌合面と、スライドピース15aのワーク側端面とにそれぞれ開口することにより、エア噴出口が、スライドピース15aのワーク側端面に形成される。エア供給源15gからの高圧空気が、レギュレターと、電磁開閉弁と、および圧力センサ15eが分岐接続されるパイプとを経て、ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1に設けられているコネクタ端子15fに供給され、ロータリージョイント装置14h、流路15dを経て、スライドピース15aのエア噴出口から噴出する。
【0082】
本変形例の支持装置70Aでも、支持装置70と同様、支持軸2の軸線方向位置検出装置13が、支持装置70Aの反ワーク側に設けられ、力発生装置5によって進退する支持軸2の限界を超える前進、後退限を検出する。本変形例の軸線方向位置検出装置13は、一対の検出子13aと、リング状の被検出子13bとを含む。一対の検出子13aは、フレーム1に固定されるセンサホルダ13cの軸線方向長孔に固定されており、軸線方向位置を調整可能に設けられる。被検出子13bは、シリンダホルダ14eの外周面に固定されおり、シリンダホルダ14eを介して支持軸2に固定される。ワーク側の検出子13aは、ワークWの連結異常、支持装置70Aの設置異常等の検出に用いられ、支持軸2が所定長さ以上に前進した場合に、被検出子13bを検知し、異常検出信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力する。工作機械の制御装置は、異常検出信号に基づき、運転禁止信号を出力する。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退限を検出し、被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、工作機械の制御装置は、後退完了信号に基づき、高圧流体源からの高圧流体の供給を停止させる。なお、図は説明用のため、一対の検出子13aは、軸線方向位置が正確に記載されていない。
【0083】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。作業者は、ハンドルでボールネジ軸31を回転させ、支持装置70AをベッドBの案内溝に沿って移動させ、割出装置60との対向位置を、ワークWの長さに応じて調整する。
【0084】
作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの力発生装置5の作動信号に基づき、前進用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、後退用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開く。これにより、高圧流体が、前進圧力室5b1に高圧流体源から所定の設定圧力で供給されると共に、後退圧力室5c1から排出される。制御装置80は、同時に、着座確認装置15の電磁開閉弁を開き、スライドピース15aのエア噴出口からエアを噴出させる。支持軸2が前進し、チャッキング装置の当接面3a3が、ワークWの他端の端面に当接して該端面を、高圧流体の設定圧力に応じた力で押圧する。これにより、エア噴出口からのエア噴出が妨げられ、パイプ内のエア圧が上昇する。エア圧は圧力センサ15eによって計測される。制御装置80は、入力された圧力センサ15eの計測値が、閾値を超えると、工作機械の図示しない着座完了灯を点滅させる。割出装置60の回転軸62と支持装置70Aの支持軸2とは、ワークWを介して、正確にはワークWからの反力によって、軸線方向の遊びが解消される。また、フレーム1に設けられているボールネジナットとボールネジ軸31との軸線方向の遊びも、フレーム1を介して加わるワークWからの反力によって解消される。
【0085】
作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの爪進退装置14の作動信号に基づき、把持作動用の電磁開閉弁を開くと共に、把持解除用の電磁開閉弁を閉じる。エア供給源15gからレギュレター、電磁開閉弁、パイプ、把持作動コネクタ端子14iを経て、高圧空気がロータリージョイント装置14hに供給される。高圧空気は、ロータリージョイント装置14hを介してピストンロッド14d2に穿孔される図示しない流路に入り、回転流体圧シリンダ装置14dの図示しないドローバー後退用圧力室に供給される。ピストンロッド14d2に連結されているドローバー14aは、支持軸2の貫通孔を反ワーク方向に移動し、ピースホルダ14bに固定されている複数の傾斜片14cは、反ワーク方向に移動する。係合片14gは傾斜片14cの反ワーク方向移動に伴って回動し、係合凹部を有する爪保持部材3fを半径方向内側に移動させる。複数の爪保持部材3fは、爪案内部材3dの複数の放射状案内溝にそれぞれ案内されており、複数の爪3bは、ワークWの外周面をエア設定圧に応じた押圧力で把持する。これにより、ワークWの他端は支持軸2に固定されて連結される。
【0086】
なお、爪進退装置14には、ドローバー移動量検出装置14kが設けられており、ドローバー14aの後退限界を超える後退、および前進完了を検出する。ドローバー移動量検出装置14kは、ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1に、センサホルダ14k1を介して軸線方向位置を調整可能に取り付けられる一対の近接センサ14k2、14k3と、ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1に固定される中空円筒14k4とを備える。中空円筒14k4は、ピストンロッド14d2と同軸に固定され、反ワーク側端部の外周面に、半径方向外側に突出する環状の被検出子が形成される。ワーク側の近接センサ14k2は、ドローバー14aの後退限界を超える後退を検出すると、制御装置80に把持不良信号を出力する。即ち、複数の爪3bが、半径方向内側の移動限界位置に在ること、そのため、ワークWが所定の押圧力で把持されていない恐れがあり、爪3b等の調整または交換が必要なことが検出され、制御装置80は工作機械の制御装置に運転禁止信号を出力する。反ワーク側の近接センサ14k3は、後述の加工終了後のワークWの把持解除時、ドローバー14aの前進完了を検出し、制御装置80に爪後退完了信号を出力し、制御装置80は、回転流体圧シリンダ装置14dの図示しないドローバー前進用圧力室への高圧空気の供給を停止する。
【0087】
作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置を介して入力された加工開始信号に基づき、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。軸線方向クランプ装置6の電磁開閉弁の供給弁を開いて、高圧流体源からクランプ圧力室6bに高圧流体を供給する。
【0088】
次に、工作機械の制御装置は、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63を所定の回転割出角で停止させる。
【0089】
制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60の図示しないクランプ装置を作動させ回転軸62をクランプすると共に、回転クランプ装置7の電磁開閉弁の供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、高圧流体源からクランプ圧力室7bに高圧流体を供給して、回転クランプ装置7を作動させ、フレーム1と中間軸4との相対回転を規制する。これにより、ワークWは、フレーム1と一体状態となってフレーム1に固定される、即ち、支持装置70Aに相対変位不能に支持される。
【0090】
ワークWは、一端と他端が割出装置60と支持装置70Aとにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。
【0091】
工作機械の制御装置は、ワークWの所定のワーク割出角での加工が終了すると、次の所定のワーク割出角での加工のために、次の所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動解除する。次に、制御装置80は、駆動モータ63を回転させ次の所定の割出角で停止させる。制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動させ、前回の所定のワーク割出角の時と同様な状態で、ワークWは加工される。
【0092】
全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動解除すると共に、軸線方向クランプ装置6を作動解除する。
【0093】
作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動解除スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの爪進退装置14の作動解除信号に基づき、把持作動用の電磁開閉弁を閉じると共に、把持解除用の電磁開閉弁を開く。把持解除コネクタ端子14jから、高圧空気がロータリージョイント装置14hに供給される。高圧空気は、ロータリージョイント装置14hを介してピストンロッド14d2に穿孔される図示しない流路に入り、回転流体圧シリンダ装置14dの図示しないドローバー前進用圧力室に供給される。ピストンロッド14d2に連結されているドローバー14aは、ワーク方向に移動し、ピースホルダ14bに固定されている複数の傾斜片14cは、ワーク方向に移動する。係合片14gは傾斜片14cのワーク方向移動に伴って回動し、爪保持部材3fを半径方向外側に移動させ、複数の爪3bは、ワークWの外周面から半径方向外側に後退して、ワークWの把持が解除される。
【0094】
作業者は、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作する。高圧流体が、後退圧力室5c1に高圧流体源から供給されると共に、前進圧力室5b1から排出されて、支持軸2が後退する。支持軸2の後退に伴って、当接面部材3eの当接面3a3がワークWの他端の端面から離間し、ワークWは他端が取り外し可能となる。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退に伴って被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、高圧流体源からの高圧流体の供給が停止される。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外し、加工終了のワークWが回転割出機50から取り外される。
【0095】
次に、別の変形例のワークの支持装置70Bを、図7に模式的に示す。本変形例のワークの支持装置70Bは、支持装置70、70Aと同様、割出装置60に対向して配置されて、割出装置60と共に回転割出機50を構成する。支持装置70、70Aと比較し、支持装置70、70Aでは、転がり軸受9を介して、中間軸4とフレーム1とが、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられているのに対し、本変形例は転がり軸受9を介して、支持軸2と中間軸4とが、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられている点で、支持装置70、70Aと異なる。
【0096】
支持装置70Bは、支持装置70Aと同様な送り装置30によって、ワークWの長さに応じて割出装置60との対向位置が調整される。
【0097】
力発生装置5として、フレーム1をシリンダ、中間軸4をピストンとする流体圧シリンダ装置が形成されており、反ワーク側に位置する前進圧力室5b1、ワーク側に位置する後退圧力室5c1に、図示しない高圧流体源からの高圧流体が、フレーム1に形成される前進流路5b、後退流路5cを介して、それぞれ供給可能に設けられる。このように、本変形例では、力発生装置5は流体圧シリンダ装置を用いて構成されている。しかし、トルクモータでボールねじ装置等の運動変換装置を用いて中間軸4を軸線方向に移動させ、支持軸2をトルクモータの設定回転トルクに応じた力で押圧、または牽引する等、流体圧シリンダ装置以外の装置を用いて構成してもよい。
【0098】
軸線方向クランプ装置6が、フレーム1に設けられて模式的に描かれている。軸線方向クランプ装置6は、フレーム1に形成される環状のクランプ圧力室6bに、図示しない高圧流体源からの高圧流体が、フレーム1に形成される流路6cを介して供給されることにより、薄肉リング部6a1が縮径して中間軸4の外周面を把持し、フレーム1と中間軸4との相対移動を規制することにより、軸線方向クランプ装置6は、フレーム1と中間軸4との軸線方向の相対移動を規制する。
【0099】
フレーム1と中間軸4との回り止め装置11が、設けられており、係止部材11cとしてツバ付ピンが、フレーム1に設けられる貫通孔11bに挿通されて、中間軸4の外周面に設けられてフレーム1と中間軸4との相対移動限界以上に軸線方向に延在する係止溝11aに、先端が嵌合する。本変形例の回り止め装置11は、支持装置70と同様、係止部材11cを取り外すことが可能であり、場合によっては、作動を解除することができる。
【0100】
中間軸4の内周面と支持軸2の外周面との間には、転がり軸受9として、2つのベアリングが軸線方向に離間して配設されている。反ワーク側のベアリングの外輪は、中間軸4の軸線直交段部面によって反ワーク側への移動方向変位が規制され、ワーク側のベアリングの外輪は、中間軸4の内周面に固定されるストップリング1gによって、ワーク側への軸線方向変位が規制されている。また、2つのベアリングの内輪は、支持軸2の軸線直交段部面と、支持軸2の外周面に固定されるストップリング1gと、ディスタンスカラー1fとによって、ワーク側、反ワーク側共、移動方向変位が規制されている。ベアリングの外輪と内輪は、転動体を介して、軸線方向変位が規制されている。従って、支持軸2と中間軸4とは、転がり軸受9を介して、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられている。なお、本変形例は、模式的に記載されているため、転がり軸受9としてラジアルベアリングを用いているが、実際の装置では、クロスローラベアリング、テーパローラベアリング等、ラジアル荷重のほか、スラスト荷重を受ける転がり軸受9が用いられる。また、転がり軸受9の外輪、内輪の軸線方向の変位を規制するのに、ストップリング1gを用いているが、スラスト荷重を受けることができないため、実際の装置では、支持装置70、70Aのように、軸線直交段部面、予圧ナット等が用いられる。
【0101】
回転クランプ装置7が、中間軸4に設けられて模式的に描かれている。回転クランプ装置7は、中間軸4に形成される環状のクランプ圧力室7bに、図示しない高圧流体源からの高圧流体が、中間軸4に形成される流路7cを介して供給されることにより、薄肉リング部7a1が縮径して支持軸2の外周面を把持し、中間軸4と支持軸2との相対移動を規制することにより、中間軸4と支持軸2との相対回転を規制する。従って、係止部材11cが取り外されて回り止め装置11が不作動状態であっても、軸線方向クランプ装置6の作動によって、フレーム1と軸線方向の相対移動のほか、相対回転が規制されている中間軸4を介して、支持軸2は、フレーム1と相対回転不能、即ち回転不能にクランプされる。
【0102】
支持軸2のワーク側端部には、連結部材3としてチャッキング装置が固定されており、連結部材3は、ベース3a、複数の爪3b、当接面3a3を含む。
【0103】
支持軸2の駆動装置8が設けられて模式的に描かれている。駆動装置8は、ブラケット8dを介して中間軸4に取り付けられる専用駆動モータM、歯車機構8fを含み、歯車機構8fは、支持軸2に固定される歯車8f1と、専用駆動モータMの回転軸に固定される歯車8f2とを含む。
【0104】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。作業者は、ハンドルでボールネジ軸31を回転させ、支持装置70BをベッドBの案内溝に沿って移動させ、割出装置60との対向位置を、ワークWの長さに応じて調整する。作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの力発生装置5の作動信号に基づき、高圧流体を前進圧力室5b1に供給する。中間軸4と共に支持軸2が前進し、当接面3a3が、ワークWの他端の端面を高圧流体の設定圧に応じた力で押圧する。これにより、割出装置60の回転軸62と支持装置70Bの支持軸2とは、ワークWを介して、軸線方向の遊びが解消される。また、フレーム1に設けられているボールネジナットとボールネジ軸31との軸線方向の遊びも、フレーム1を介して加わるワークWからの反力によって解消される。作業者は、連結部材3の爪進退機構を操作して、複数の爪3bでワークWの外周面を把持する。次に、作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置を介して入力された加工開始信号に基づき、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。次に、工作機械の制御装置は、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させながら、所定の回転割出角で停止させる。制御装置80は、モータ63、Mの停止後、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動させる。ワークWは、割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置、回転クランプ装置7および軸線方向クランプ装置6を解除する。作業者は、連結部材3の爪進退機構を操作して、複数の爪3bを後退させ、ワークWのチャッキングを解除する。工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作し、高圧流体が、後退圧力室5c1に供給され、中間軸4と共に支持軸2が後退し、当接面3a3がワークWの他端の端面から離間する。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外す。
【0105】
回転割出機50は、このように軸線方向クランプ装置6が中間軸4をクランプした状態で、制御装置80が、割出装置60の駆動モータ63と、支持装置70の専用駆動モータMとを互いに同期回転させるので、正確なワーク割出角を得ることができるほか、割出回転中においても、また、所定のワーク割出角での加工中においても、ワークWは、捩れて変形するのが抑えられ、高精度に加工される。更に、本変形例の場合、力発生装置5が作動して、ワークWを介して支持軸2および割出装置60の回転軸62の軸線方向の遊びが解消されているので、ワークWは、工具からの加工力による軸線方向変位、振動が抑えられ、より高精度に加工される。
【0106】
次に、実施形態の更なる別の変形例のワークの支持装置70Cを、図8の全体図、図8の左側詳細図である図9、および図8の右側詳細図である図10に示す。更なる変形例の支持装置70Cは、支持装置70、70A、70Bと同様、割出装置60に対向して配置されて、割出装置60と共に回転割出機50を構成する。支持装置70Aと同様、連結部材3としてのチャッキング装置は、所謂パワーチャッキング装置として爪進退装置14を備えるほか、同様に、ワークWの当接面3a3の当接を確認する着座確認装置15を備える。しかし、本変形例の支持装置70Cは、中間軸4を備えておらず、支持軸2が、フレーム1の内周面を直接、または焼結含有メタル等の滑り軸受22を介して、摺接する点で、支持装置70Aと異なる。本変形例では、後述のように、フレーム1の内周面に滑り軸受22として焼結含有メタルが圧入されており、支持軸2は、滑り軸受22を介してフレーム1の内周面を摺接する。
【0107】
フレーム1は、工作機械のベッドBに載置される第一のフレーム部材201と、該フレーム部材201の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第二のフレーム部材202と、第一のフレーム部材201の内周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定される第三のフレーム部材203と、第二のフレーム部材202の内周面に圧入される第四のフレーム部材204と、第二のフレーム部材202の反ワーク側端面にボルトを介して固定され、第二のフレーム部材202と第四のフレーム部材204との軸線方向の相対位置決め部材として設けられる第五のフレーム部材205とを備える。第四のフレーム部材204は、第二のフレーム部材202との嵌合面から第三のフレーム部材203のワーク側端まで軸線方向に延在しており、フレーム1は、第四のフレーム部材204の半径方向外側を軸線方向に延在してワーク側が開口する支持軸2の収容空間206が、環状に形成される。第一のフレーム部材201および第三のフレーム部材203の内周面には、焼結含有メタルが滑り軸受22としてそれぞれに圧入されている。
【0108】
支持軸2は、滑り軸受け22の内周面に嵌合されて前記収容空間206に挿通される第一の支持軸部材221と、第四のフレーム部材204の軸線貫通孔に挿通され、ワーク側端外周面が第一のフレーム部材201に嵌合されると共に、ワーク側端に形成される軸線直交段部面がボルトを介して第一のフレーム部材201に固定される第二の支持軸部材222と、互いに接して第一のフレーム部材201の内周面にそれぞれ嵌合され、反ワーク側に配設される第3の支持軸部材223と、ワーク側に配設される第4の支持軸部材224と、胴部が第3の支持軸部材223の内周面に嵌合され、フランジ部が第一の支持軸部材221の反ワーク側端面にボルトを介して固定されることにより、第一の支持軸部材221とで第3の支持軸部材223、第4の支持軸部材224を狭持する第五の支持軸部材225とを備える。
【0109】
本変形例の軸線方向クランプ装置6は、フランジ部が第一のフレーム部材201の軸線直交段部面にボルトを介して固定される本体部材6aと、本体部材6aの胴部に形成される薄肉リング部6a1と、薄肉リング部6a1の外周面と第一のフレーム部材201の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室6bと、第一のフレーム部材201に設けられて第一のフレーム部材201の反ワーク側端面とクランプ圧力室6bとにそれぞれ開口する流路6cとを含む。流路6cは、第一のフレーム部材201の反ワーク側端面に設けられるコネクタ端子6fと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0110】
軸線方向クランプ装置6は、作動時、高圧流体源から高圧流体が、パイプ、コネクタ端子6f、流路6cを経てクランプ圧力室6bに供給される。薄肉リング部6a1はフレーム1に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室6bの高圧流体の流体圧によって縮径して、支持軸2の外周面を押圧し、フレーム1と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制するほか、フレーム1と支持軸2との相対回転を規制する。
【0111】
本変形例の力発生装置5は、シリンダ部分としての第3の支持軸部材223と、ピストン部分としての第四のフレーム部材204とを含む複動タイプの流体圧シリンダ装置を備え、該流体圧シリンダ装置は、ピストン部分がフレーム1で固定部材であるため、固定ピストン部分に対しシリンダ部分が摺動するタイプに構成される。第3の支持軸部材223の反ワーク側に固定される第五の支持軸部材225と、第3の支持軸部材223の反ワーク側に固定される第四の支持軸部材224とが、第四のフレーム部材204の外周面に摺接可能に嵌合されており、第四のフレーム部材204と第五の支持軸部材225とを、互いに対向するシリンダヘッドとして、ワーク側に前進圧力室5b1、反ワーク側に後退圧力室5c1が、第四のフレーム部材204に形成されるピストン壁を隔てて、それぞれ設けられる。前進圧力室5b1と後退圧力室5c1とは、第四のフレーム部材204と第二のフレーム部材202とに穿孔される前進流路5b、後退流路5cとを介し、第二のフレーム部材202外周面に設けられる各コネクタ端子5d、5eにそれぞれ連通され、パイプ、図示しない電磁開閉弁、レギュレターを経て高圧流体源に接続される。なお、第二のフレーム部材202、第四のフレーム部材204の互いの嵌合面には、前進流路5bおよび後退流路5cに対応してそれぞれ2つの円周溝が形成されており、圧入位相に関係なく、前進流路5bおよび後退流路5cは、第二のフレーム部材202側と第四のフレーム部材204側とが接続される。
【0112】
本変形例の連結部材3としてのチャッキング装置は、支持軸2のワーク側端部に、支持装置70Aと同様な構成で設けられており、爪進退装置14、着座確認装置15を支持装置70Aと同様に備える。本変形例の爪進退装置14は、支持装置70Aと同様、ドローバー移動量検出装置14kを有する。また、本変形例でも、支持装置70、70Aと同様、支持軸2の軸線方向位置検出装置13が、支持装置70Cの反ワーク側に設けられている。
【0113】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の作動スイッチを操作し、力発生装置5を作動させる。割出装置60の回転軸62と支持装置70の支持軸2とは、ワークWを介して、軸線方向の遊びが解消される。また、フレーム1に設けられているボールネジナットとボールネジ軸31との軸線方向の遊びも、フレーム1を介して加わるワークWからの反力によって解消される。
【0114】
作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動スイッチを操作する。ワークWの他端はチャッキング装置で把持されて支持軸2に連結される。
【0115】
作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。工作機械の制御装置は、加工開始スイッチからの加工開始信号に基づき、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63を所定の回転割出角で停止させる。
【0116】
制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60の図示しないクランプ装置を作動させ回転軸62をクランプすると共に、軸線方向クランプ装置6を作動させる。ワークWは、連結部材3、支持軸2を介してフレーム1と一体状態となってフレーム1に固定される。
【0117】
ワークWは、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。工作機械の制御装置は、ワークWの所定のワーク割出角での加工が終了すると、次の所定のワーク割出角での加工のために、次の所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と軸線方向クランプ装置6とを作動解除する。次に、制御装置80は、駆動モータ63を回転させ、次の所定の割出角で停止させる。制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60のクランプ装置と軸線方向クランプ装置6とを作動させ、前回の所定のワーク割出角の時と同様な状態で、ワークWは加工される。
【0118】
全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と軸線方向クランプ装置6とを作動解除する。作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動解除スイッチを操作して、ワークWの把持を解除する。次に、作業者は、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作して、支持軸2を後退させる。後退完了後、高圧流体源からの高圧流体の供給が停止される。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外し、加工終了のワークWが回転割出機50から取り外される。
【0119】
本変形例では、作業者が、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作してから作動解除スイッチを操作するまで、力発生装置5は作動しており、ワークWの加工中も作動が維持されている。しかし、力発生装置5は、軸線方向クランプ装置6の作動開始後に、自動で、または作業者が作動解除スイッチを操作することにより手動で、所定のワーク割出角で停止加工中は、不作動状態としてもよい。但し、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、軸線方向クランプ装置6によってクランプ状態の支持軸2が後退する恐れがある場合、本変形例のように、力発生装置5はワークWの加工中も作動が維持されるのが好ましい。
【0120】
回転割出機50は、ワークWを回転停止させて所定のワーク割出角に維持したこのような割出加工のほか、ワークWを旋回加工させながらの割出加工やワークWの旋削加工を、このような割出加工中に、またはこのような割出加工なしに単独で行うことができる。ワークWを旋回加工させながらの割出加工やワークWの旋削加工の場合、力発生装置5を作動させると共に、軸線方向クランプ装置6を作動させず、不作動状態とする。また、支持装置70、70A、70Bを用いた回転割出機50と同様、力発生装置5でワークWを押圧しながら加工するほか、力発生装置5でワークWを牽引しながら加工してもよい。
【0121】
本発明は上記の実施形態および変形例のいずれにも限定されるものでなく、本発明の請求範囲を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】ワークの支持装置の実施形態の全体を示す。
【図2】図1のワークの支持装置の左半分を示す。
【図3】図1のワークの支持装置の右半分を示す。
【図4】ワークの支持装置の実施形態の変形例の全体を示す。
【図5】図4のワークの支持装置の左半分を示す。
【図6】図4のワークの支持装置の右半分を示す。
【図7】ワークの支持装置の実施形態の別の変形例を模式的に示す。
【図8】ワークの支持装置の実施形態の更なる別の変形例の全体を示す。
【図9】図8のワークの支持装置の左半分を示す。
【図10】図9のワークの支持装置の右半分を示す。
【図11】回転割出機の割出装置を示す。
【符号の説明】
【0123】
50回転割出機、Bベッド、60割出装置(回転駆動装置)、61ボディ、62回転軸、
63駆動モータ、64回転テーブル、65ワーク取付治具、Wワーク、
70支持装置、70A支持装置、70B支持装置、70C支持装置、80制御装置、
1フレーム、1aベースプレート、1bフレーム本体、1b1第一のフレーム部材、
1b2第二のフレーム部材、1b3第三のフレーム部材、1b4第四のフレーム部材、
1b5第五のフレーム部材、1fディスタンスカラー、1gストップリング、
2支持軸、2a第一の支持軸部材、2b第二の支持軸部材、2b1中穴、
2b2ブロック、2b3空気抜き孔、
3連結部材、3aベース、3b爪、3a1円筒部、3a2底部、3a3当接面、
3cベース、3d爪案内部材、3e当接面部材、3f爪保持部材、
4中間軸、4a第一の中間軸部材、4b第二の中間軸部材、4c第三の中間軸部材、
5力発生装置、5b前進流路、5c後退流路、5b1前進圧力室、5c1後退圧力室、
5dコネクタ端子、5eコネクタ端子、
6軸線方向クランプ装置、6a本体部材、6a1薄肉リング部、6bクランプ圧力室、
6c流路、6dジョイント部材、6eブラケット、6fコネクタ端子、6g流路、
7回転クランプ装置、7a本体部材、7a1薄肉リング部、7bクランプ圧力室、
7c流路、7dコネクタ端子、
8駆動装置、8aウォーム減速機構、8bウォーム、8cウォームホイール、
8dブラケット、
8f歯車機構、8f1歯車、8f2歯車、M専用駆動モータ、
9転がり軸受、
11回り止め装置、11a係止溝、11b貫通孔、11cピン、11dキャップ、
11eメネジ、
12作動確認装置、12a復帰バネ、12bラム、12cセンサホルダ、
12dスリーブ、12eシリンダ胴、12f検出子、12g被検出子、12h流通孔、
12iワッシャ、
13軸線方向位置検出装置、13a検出子、13b被検出子、13cセンサホルダ、
14爪進退装置、14aドローバー、14bピースホルダ、14c傾斜片、
14d回転流体圧シリンダ装置、14d1ケーシング、14d2ピストンロッド、
14eシリンダホルダ、14fピン、14g係合片、14hロータリージョイント装置、14h1ケーシング、14i把持作動コネクタ端子、14j把持解除コネクタ端子、
14kドローバー移動量検出装置、14k1センサホルダ、14k2近接センサ、
14k3近接センサ、14k4中空円筒、
15着座確認装置、15aスライドピース、15bピースホルダ、15cバネ、
15d流路、15e圧力センサ、15fコネクタ端子、15gエア供給源、
21スペーサ、22滑り軸受、31ボールネジ軸、30送り装置、
101第一のフレーム部材、102第二のフレーム部材、103第三のフレーム部材、
103、104第四のフレーム部材、105第五のフレーム部材、
121第一の支持軸部材、122第二の支持軸部材、
141第一の中間軸部材、142第二の中間軸部材、
201第一のフレーム部材、202第二のフレーム部材、203第三のフレーム部材、
204第四のフレーム部材、205第五のフレーム部材、206収容空間、
221第一の支持軸部材、222第二の支持軸部材、223第3の支持軸部材、
224第4の支持軸部材、225第五の支持軸部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの他端を支持するためのワークの支持装置に関する。また、ワークの支持装置と、該支持装置に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置と、制御装置とを含む回転割出機に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のワークの支持装置に対向して配置される回転駆動装置としては、工作機械に載置される割出装置や、旋盤等の工作機械の主軸ヘッドが存在する。また、ワークの支持装置に対向して設けられる割出装置としては、工作機械に載置される割出装置や、割出機能を有する複合旋盤等の工作機械の主軸ヘッドが存在する。
【0003】
ワークの支持装置としては、ワークの一端面を保持する旋盤主軸台と対向して配置される心押台がある。特許文献1に記載される心押台では、
フレームが、軸心に心押軸が回転可能に支持されている心押スリーブを支持しており、心押スリーブを軸線方向に移動可能とするため、フレームと心押スリーブとの間には、半径方向の遊びが設けられている。心押スリーブは、油圧シリンダによって往動され、心押軸の先に同軸に設けられる心押センタが、ワークの他端面のセンタ孔に押付けられる。そして、旋盤主軸台の回転軸、心押軸および心押スリーブは、押圧しているワークを介して軸線方向の遊びが解消された状態となり、その状態で工具がもたらす負荷、即ち、工具からの加工力が加わって、ワークが加工される。
【特許文献1】特開平10−6105号公報
【0004】
このように、主軸台の回転軸、心押軸および心押スリーブは、押圧しているワークを介して軸線方向の遊びが解消されるものの、フレームと心押スリーブとの間の半径方向の遊びは解消されない。そのため、心押軸を介して心押スリーブに支持される心押センタは、フレームに対し半径方向に変位可能な状態に置かれる。また、心押センタとワークの他端とは、心押センタがセンタ孔に加える押圧力によって、相対変位が規制されており、半径方向における相対変位が十分に規制されない。従って、ワークの他端は、心押台によって半径方向の変位が十分に規制されておらず、そのため、特にワークの他端近傍の加工時には、ワークは、心押軸の軸線を含む面と交差する方向、例えば、直交する方向の工具から加わる加工力によって半径方向に変位して振動するほか、撓んだり、捩れたりする。ワークは、振動し、また変形した状態で加工されることにより、加工精度が損なわれるほか、旋削加工では、回転フレを生じて加工精度と共に表面粗さが損なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その解決課題は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの加工精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの他端を支持するためのワークの支持装置において、ワークの他端を連結する連結部材と、一端に連結部材を設けた支持軸と、支持軸を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するフレームと、支持軸に軸線方向の力を加える力発生装置と、支持軸の周りに単一の押圧部材が全周に亘って延在してまたは複数の押圧部材が支持軸の円周方向に均等に配置されるクランプ装置であって、力発生装置の作動中に押圧部材が支持軸の半径方向の力を発生することによりフレームに対して支持軸を軸線方向に固定する軸線方向クランプ装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
支持軸はフレームに直接支持されても良いが、回転加工時において、ワークの加工精度を向上するには、請求項2の発明のようにすることが望ましい。即ち、支持装置は、支持軸の半径方向外側に支持軸と同軸に中間軸を備えて、フレームは中間軸と協働して支持軸を軸線方向に移動可能におよび回転可能に支持し、支持軸と中間軸、および中間軸とフレームとのいずれか一方は、転がり軸受を介して相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられ、軸線方向クランプ装置は、他方の両部材のうち半径方向外側部材に押圧部材が支持され、半径方向の力として半径方向内側部材の外周面に押圧力を加える。
【0008】
請求項2の発明において、支持軸は積極的に回転不能に保持されないものであっても良いが、回転駆動装置の回転を停止させた状態でのワークの加工精度を向上するには、請求項3の発明のようにすることが望ましい。即ち、支持装置は、前記一方における相対回転を規制する回転クランプ装置を備える。
【0009】
請求項3の発明において、ワークの一端は、割出機能を有しない回転駆動装置の回転軸に連結されても良いが、割出装置の回転軸に連結されることにより、ワークの支持装置が回転割出機を形成するようにしても良い。即ち、請求項4の発明では、請求項3記載のワークの支持装置と、ワークの一端が連結される回転軸を有し支持装置に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置と、制御装置とを含む回転割出機が設けられ、前記制御装置は、割出装置の回転動作時には回転クランプ装置を作動解除し、割出装置の回転停止時には回転クランプ装置を作動させる。
【0010】
また、回転駆動装置として割出装置が設けられ、支持装置は、軸線方向クランプ装置の押圧部材が、フレームに支持されて半径方向の力として支持軸の外周面に押圧力を加えることによって、フレームに対して支持軸を軸線方向に移動不能におよび回転不能に固定する場合、請求項5の発明のようにすることが望ましい。即ち、請求項1記載のワークの支持装置と、ワークの一端が連結される回転軸を有し支持装置に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置と、制御装置とを含む回転割出機が設けられ、前記支持装置は、軸線方向クランプ装置の前記押圧部材が、フレームに相対回転不能に支持されて半径方向の力として支持軸の外周面に押圧力を加えることによって、フレームに対して支持軸を軸線方向に移動不能におよび回転不能に固定するものであって、前記制御装置は、割出装置の回転動作時には軸線方向クランプ装置を作動解除すると共に力発生装置を作動させ、割出装置の回転停止時には力発生装置の作動中に、軸線方向クランプ装置に作動を開始させる。なお、力発生装置は、軸線方向クランプ装置の作動開始に伴って作動を解除しても良い。
【0011】
回転割出機は、ワークに対する割出回転動作をワークの一端を支持する割出装置にのみ行わせて、支持装置の支持軸がワークを介して従動回転するだけでも良いが、ワークの割出精度を向上するため、およびワークの回転加工(旋削加工、連続回転しながらワークの位相角に対応して行う割出加工)の加工精度を向上させるには、請求項6の発明のようにすることが望ましい。即ち、回転割出機は割出装置と同一の回転動作を支持軸に行わせる駆動装置を備える。
【0012】
駆動装置は、割出装置の駆動モータを共通の駆動源として、伝達機構を介してワークの支持装置にも同一の回転動作を支持軸に行わせるものであっても良いが、装置の簡単化には、請求項7の発明のようにすることが望ましい。即ち、前記駆動装置は割出装置の駆動モータとは別の専用駆動モータを備え、前記駆動装置の制御装置は、割出装置の駆動モータと同期して専用駆動モータを駆動する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、一端が回転駆動装置の回転軸に連結されたワークの他端が、連結部材を介して支持軸に連結され、力発生装置が支持軸と連結部材とを介してワークの他端を押圧、または牽引中に、軸線方向クランプ装置を作動して支持軸を軸線方向に固定するので、支持軸と前記回転軸とは、ワークを介して、即ち、ワークからの反力によって、軸線方向の遊びが解消された状態となる。また、力発生装置の作動中、軸線方向クランプ装置が作動して、半径方向の力が支持軸の周りに均等に作用するので、支持軸は、半径方向の遊びが解消され、かつ、前記回転軸との同軸が維持される。よって、回転軸と支持軸との同軸が維持されつつ、前記回転軸、ワークおよび支持軸は、互いに一体化されると共に、ワークは、軸線方向にも半径方向にも遊びが解消された回転軸と支持軸に支持される。従って、ワークは、工具から加わる軸線方向の負荷、即ち、軸線方向の加工力に対し、軸線方向に変位や振動することなく加工され、また、他端が、工具から加わる半径方向の負荷、即ち、半径方向の加工力によって、半径方向に振動したり変形することなく同軸を維持して加工される。よって、ワークは高精度に加工される。
【0014】
請求項2の発明は、フレームと中間軸とは協働して支持軸を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するので、支持軸は、軸線方向クランプ装置が作動して軸線方向の変位が規制されても、回転可能であり、ワークは、軸線方向変位、および他端における半径方向変位が共に抑えられた状態で回転可能となる。それ故、ワークの回転加工(旋削加工、連続回転しながらワークの位相角に対応して行う割出加工)が高精度に可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、軸線方向クランプ装置に加えて回転クランプ装置を作動させることにより、支持軸は軸線方向変位に加えて回転が規制され、回転駆動装置の回転を停止させた加工の際に、軸線を含む面と交差する方向、例えば直交する方向の加工力であって、軸線から偏倚した位置で前記面と交差する加工力によって、ワークの他端での回転変位、即ち、ワークの捩れが生ずるのを抑えることができ、ワークは、変形が抑えられた状態で加工されて加工精度が向上する
【0016】
請求項4の発明は、力発生装置の作動中、軸線方向クランプ装置が作動して、支持軸と回転軸とは、軸線方向の遊びが解消された状態となり、また、支持軸は、フレームに対し、同軸を維持しながら半径方向の遊びが解消された状態で、軸線方向の変位が規制される。制御装置は、その状態で、割出装置の回転動作時には回転クランプ装置を作動解除するので、ワークの正確な回転割出および高精度の旋削加工が可能となる。また、制御装置は、上記のその状態で、割出装置の回転停止時には回転クランプ装置を作動するので、支持軸は軸線方向変位に加えて回転が規制され、ワークは、加工力による軸線方向の変位、振動に加えて、加工力による他端での回転変位、即ち、捩れが抑えられ、変形が抑えられた状態で加工されて加工精度が向上する。
【0017】
請求項5の発明は、制御装置は、割出装置の回転動作時には軸線方向クランプ装置を作動解除すると共に、力発生装置を作動させるので、支持軸と回転軸とは、軸線方向の遊びが解消された状態を維持して回転し、ワークの正確な回転割出および高精度の旋削加工が可能となる。また、制御装置は、割出装置の回転停止時には、力発生装置の作動中に軸線方向クランプ装置に作動を開始させるので、支持軸はフレームと同軸状態で、軸線方向変位、振動および回転が規制される。よって、ワークは、割出装置の回転停止時、加工力による軸線方向の変位、振動と他端での回転変位、即ち、捩れが抑えられ、変位、振動、変形が抑えられた状態で加工されて加工精度が向上する。
【0018】
請求項6の発明は、割出装置と同一の回転動作を支持軸に行わせる駆動装置を備えるので、ワークの両端を割出装置と支持装置の双方で回転駆動できることになり、ワークは、捩れが抑えられた状態で回転する。従って、ワークは、割出加工における加工精度、割出精度が向上するほか、回転加工における加工精度が向上する。
【0019】
請求項7の発明は、駆動装置は割出装置の駆動モータとは別の専用駆動モータを備え、前記駆動装置の制御装置は、割出装置の駆動モータと同期して専用駆動モータを駆動し、駆動装置は、割出装置の駆動モータに連結される伝達機構を含まないので、駆動装置が簡単化されると共に、上記の伝達機構を用いた場合に生じる支持軸と回転軸との同期ズレ、即ち、歯車、タイミングプーリ、タイミングベルト、カップリング、シャフト等の伝達機構構成部材の遊び、捩れ等を原因とする支持軸と回転軸との同期ズレを生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
回転割出機50は、図11に示す回転駆動装置としての割出装置60と、該割出装置60に対向して配置され、図1、図4、図7および図8にそれぞれ示すワークの支持装置70と、両装置60、70の制御装置80とを備え、制御装置80は、割出装置60の動作に対応して支持装置70を制御する。回転割出機50は、例えば長尺のワークWにおいて、ワークWの一端を割出装置60で、他端をワークの支持装置70でそれぞれ把持する。
【0021】
本実施形態では、割出装置60は、工作機械、詳細には、砥石、エンドミル、ドリル、タップ等の工具の回転軸や、バイト等の工具のホルダーを有して、工具を数値制御等によって駆動する工作機械のベッドBに載置されるものであるが、割出機能を有する複合旋盤等の主軸台など、ワーク支持部分として、工具駆動部分と共に工作機械を構成する装置であっても良い。
【0022】
割出装置60は、ベッドBの上に載置して固定するボディ61と、ボディ61内に回転可能に支持される回転軸62と、駆動モータ63と、ウォーム減速装置等を有してボディ61内に設けられ、駆動モータ63の回転力を回転軸62に伝達する回転伝達機構(図示省略)と、回転軸62の一端に設けられて割り出し回転する回転テーブル64と、回転テーブル64のワーク載置面にボルト等を介して取り外し可能に設けられ、ワークWの一端が固定されるワーク取付治具65とを備える。
【0023】
図1の全体図、図1の左側詳細図である図2、および図1の右側詳細図である図3に示される実施形態のワークの支持装置70は、ベッドBに載置されて固定されるフレーム1と、フレーム1の内周面に嵌合される中間軸4と、中間軸4の内周面に嵌合され、中間軸4を介してフレーム1に対し軸線方向に移動可能におよび回転可能に支持されるる支持軸2とを含む。フレーム1、正確には中間軸4が嵌合されるフレーム1の内周面と、中間軸4と、支持軸2とは、互いに同軸に形成される。更に、ワークの支持装置70は、ワークWの他端を連結するために支持軸2の一端に設けられる連結部材3と、支持軸2に軸線方向の力を加える力発生装置5と、支持軸2の軸線方向の移動を規制する軸線方向クランプ装置6と、フレーム1と中間軸4との相対回転を規制することにより、支持軸2の回転を規制する回転クランプ装置7と、支持軸2を回転させる駆動装置8とを備える。
【0024】
フレーム1は、ベッドBに載置されるベースプレート1aと、ベースプレート1aにボルトを介して固定されるフレーム本体1bとから構成される。ベースプレート1aが、あり溝形状等の図示しない案内溝に沿ってベッドB上を支持軸2の軸線方向に移動して、図示しないクランプ部材を介してベッドBに固定されることにより、支持装置70は、ワークWの長さに応じて、割出装置60との対向位置が軸線方向に調整される。
【0025】
フレーム本体1bは、中空の複数のフレーム部材1b1〜1b5がボルトを介して互いに締結されて一体物化されており、第一のフレーム部材1b1部分を除く一部円筒体であり、軸線方向をワークWに向かって外周面が段階的に大きくなる中間軸4の収容空間として、内周面が中間軸4に対応して大きくなっている。
【0026】
より詳しく言えば、フレーム本体1bは、ベースプレート1aに固定される第一のフレーム部材1b1と、第一のフレーム部材1b1の反ワーク側端面に固定される円盤状の第二のフレーム部材1b2と、第一のフレーム部材1b1の反ワーク側内周面に嵌合され、フランジ部分がボルト、座金を介して押圧されて第一のフレーム部材1b1に固定される第三のフレーム部材1b3と、第三のフレーム部材1b3の内周面に嵌合され、第二のフレーム部材1b2を介して第一のフレーム部材1b1に固定される第四のフレーム部材1b4と、転がり軸受9としてのクロスローラベアリングの外輪を軸線方向に固定する部材であって、第一のフレーム部材1b1のベアリング外輪嵌合面に嵌合される第五のフレーム部材1b5とで構成される。
【0027】
中間軸4は、フレーム1の半径方向内側に中空円筒状に設けられて、嵌合されるフレーム1の内周面と同軸に設けられ、支持軸2を収容する。中間軸4は、複数の中間軸部材4a〜4c同士がボルトで固定されて一体物化されており、周面が同軸に形成される複数の中間軸部材4a〜4c同士を互いに嵌合させることによって、全ての周面が、フレーム1、正確にはフレーム1の中間軸嵌合面と支持軸2とに同軸に形成される。
【0028】
より詳しく言えば、中間軸4は、第一〜第三の中間軸部材4a〜4cが反ワーク側からワーク側に向かって順に配置されている。第一の中間軸部材4aは、第四のフレーム部材1b4の内周面に嵌合される。第三の中間軸部材4cは、後述する回転クランプ装置7の本体部材7aの内周面に嵌合される。第二の中間軸部材4bは、第一の中間軸部材4aと第三の中間軸部材4cとの間に配設されて第一の中間軸部材4a、第三の中間軸部材4cの各外周面に嵌合されると共に、外周面にウォームホイール8cと転がり軸受9の内輪とがそれぞれ嵌合される。
【0029】
支持軸2は、外周面が反ワーク側からワーク側に向かって段階的に大きく形成されており、反ワーク側に位置する第一の支持軸部材2aとワーク側に位置する第二の支持軸部材2bとを備える。両部材2a、2bは、周面同士が互いに嵌合し、ボルトを介して一体物化される。互いに嵌合する支持軸2の外周面と中間軸4の内周面との間には、隙間、所謂遊びがあり、潤滑油、グリース等の油膜が形成されることにより、支持軸2と中間軸4との円滑な摺接を可能としている。第二の支持軸部材2bのワーク側の端面には、ワークの他端を連結する連結部材3の取付基準孔として、軸心に中穴2b1が開口している。中穴2b1の中間部分には、ブロック2b2がフタとして嵌合されており、支持軸部材2a、2bを締結するボルトの挿通孔を介して、切削液等の異物が内部に進入するのを防止する。
【0030】
連結部材3は、ボルトや半径方向に進退可能な爪を介してワークWを着脱可能に支持軸2に連結するものであり、本実施形態では、連結部材3として手動のチャッキング装置が用いられている。チャッキング装置は、ワーク側が開口する有底円筒形のベース3aと、図示しない進退機構を介してベース3aの円筒部3a1の内周面から半径方向に進出可能な複数の爪3bとを含む。ベース3aの底部3a2のワーク側底面の軸心には、ワークWの他端面に当接する当接面3a3が、底面から突出して設けられる。一方、ベース3aの底部3a2の反ワーク側底面の軸心には、取付基準軸部が底面から突出しており、該軸部が中穴2b1に嵌合されることにより、チャッキング装置は支持軸2に同軸に取り付けられる。複数、例えば3つの爪3bは、支持軸2の軸心を中心として円周を等分、例えば3等分して配置され、支持軸2の軸心から、先端が常に互いに均等に位置してた状態で放射状に延在する。ワークWを連結および連結解除する場合は、専用のハンドルレンチを装着して、図示しない進退機構を操作し、複数の爪3bの先端を軸心から互いに等しい距離に位置させてワークWを把持させることにより、ワークWは支持軸2と同軸に連結される。
【0031】
軸線方向クランプ装置6が、中間軸4のワーク側端部に設けられている。軸線方向クランプ装置6は、フランジ部が第三の中間軸部材4cのワーク側端面にボルトを介して固定される本体部材6aと、本体部材6aの胴部に形成される薄肉リング部6a1と、薄肉リング部6a1の外周面と第三の中間軸部材4cの内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室6bと、第三の中間軸部材4cを外周面から半径方向に貫通して設けられクランプ圧力室6bに連通する流路6cと、第三の中間軸部材4cの外周面に嵌合され、ブラケット6eを介してフレーム1に固定されるジョイント部材6dとを含む。第三の中間軸部材4cの外周面とジョイント部材6dの内周面とを含んで、ロータリージョイントが形成される。流路6cは、前記ロータリージョイントと、ジョイント部材6dの外周面に設けられるコネクタ端子6fと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0032】
軸線方向クランプ装置6は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子6f、ロータリージョイント、流路6cを経てクランプ圧力室6bに供給される。薄肉リング部6a1は中間軸4に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室6bの高圧流体の流体圧によって縮径して、支持軸2の外周面を押圧し、中間軸4と支持軸2との相対移動を規制することにより、中間軸4と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制する。本実施形態の場合、単一の押圧部材、即ち、薄肉リング部6a1が、リング状、即ち環状に形成されて支持軸2の周りを全周に亘って延在して、支持軸2の外周面を均等に押圧することにより、中間軸4と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制しつつ、中間軸4と支持軸2との半径方向の遊びを全周に亘って均等に解消することにより、中間軸4と支持軸2との同軸を実現している。しかし、複数の押圧部材が支持軸2の円周方向に均等に配置されても良く、同様に、中間軸4と支持軸2との半径方向の遊びを全周に亘って均等に解消され、中間軸4と支持軸2との同軸を実現することが可能である。
【0033】
本実施形態の場合、回り止め装置11が設けられており、該装置11は、中間軸4と支持軸2とにおいて、相対回転を規制すると共に軸線方向の相対移動を許容する。回り止め装置11は、支持軸2の外周面を軸線方向に延在する係止溝11aと、係止部材としてのピン11cとを備える。ピン11cは、中間軸4を外周面から半径方向に貫通して係止溝11aに達する貫通孔11bに嵌合されて、更に、係止溝11aに嵌合され、係止溝11aとの嵌合面が、互いに平行な2つの平坦面によって形成される。係止溝11aは、中間軸4と支持軸2との相対移動可能長さを超えて延在する。貫通孔11bにはキャップ11dが螺合されており、ピン11cの抜け出しと、切削液等の異物の内部侵入とを防止する。ピン11cの頭部にはメネジ11eが設けられており、ボルトをねじ込んで中間軸4の外周面から突出する部分を、手で引き抜くことにより、容易に貫通孔11bから取り外すことを可能とし、回り止め装置11を解除してワーク加工することを可能としている。例えば、支持装置70の支持軸2に固定される連結部材3として、本実施形態のようなチャッキング装置を用いずに専用のワーク取付治具を用いているため、取り付け可能なワークWと連結部材3との取付位相が決まっており、ワークWの一端を割出装置60に固定された状態で、ワークWの他端と連結部材3との相対位相が、取り付け可能な取付位相でないため、ワークWの他端を連結部材3に取り付けることができない場合に、回り止め装置11を解除する。即ち、ピン11cを取り外して回り止め装置11を解除し、軸線方向クランプ装置6を解除した状態で連結部材3を手で回転させて、後述の駆動装置8で中間軸4を回転させることなく、連結部材3とワークWの他端との相対位相を取付位相に調整する。
【0034】
回転クランプ装置7がフレーム1のワーク側端部に設けられている。回転クランプ装置7は、フランジ部が第一のフレーム部材1b1のワーク側端面にボルトを介して固定される本体部材7aと、本体部材7aの胴部に形成される薄肉リング部7a1と、薄肉リング部7a1の外周面と第一のフレーム部材1b1の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室7bと、第一のフレーム部材1b1を外周面から半径方向に貫通して設けられクランプ圧力室7bに連通する流路7cとを含む。流路7cは、第一のフレーム部材1b1の外周面に設けられるコネクタ端子7dと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0035】
回転クランプ装置7は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子7d、流路7cを経てクランプ圧力室7bに供給される。薄肉リング部7a1はフレーム1に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室7bの高圧流体の流体圧によって縮径して、中間軸4の外周面を押圧し、フレーム1と中間軸4との相対移動を規制することにより、中間軸4の回転を規制する、即ち、中間軸4の回転をクランプする。これにより、回り止め装置11によって中間軸4との相対回転が規制されている支持軸2は、回転がクランプされる。また、ピン11cが取り外されて回り止め装置11が解除されている場合でも、軸線方向クランプ装置6の作動中は、中間軸4と支持軸2とにおいて、軸線方向の相対移動の規制に加えて、相対回転が規制されることから、回り止め装置11が解除されている場合でも、軸線方向クランプ装置6の作動中に回転クランプ装置7を作動することにより、支持軸2の回転をクランプすることが可能である。
【0036】
回転クランプ装置7は、作動解除時、高圧流体を解放することにより、薄肉リング部7a1の内周面は元の径に復帰して、支持軸2の外周面の押圧を解除し、支持軸2は回転可能となる。本実施形態の回転クランプ装置7は、軸線方向クランプ装置6と同様、単一の押圧部材、即ち薄肉リング部7a1が、支持軸2の周りを全周に亘って延在して支持軸2の外周面を均等に押圧する。しかし、回転クランプ装置7は、軸線方向クランプ装置6と異なり、押圧部材が不均等に支持軸2の外周面を押圧する構成、またはフレーム1と支持軸2とのうち一方に支持される押圧部材が、軸線方向に移動して他方の端面を押圧することにより支持軸2の回転をクランプする構成を採ることが可能である。
【0037】
転がり軸受9は、外輪が第一のフレーム部材1b1に嵌合され、内輪が中間軸4を構成する第二の中間軸部材4bに嵌合されている。外輪は、第一のフレーム部材1b1の段部に形成されて軸線と直交する面、即ち、第一のフレーム部材1b1の軸線直交段部面と、第五のフレーム部材1b5とによって軸線方向の移動が規制されている。一方、内輪は、第二の中間軸部材4bの軸線直交段部面と、第三の中間軸部材4cの軸線直交段部面と内輪との間に介在して、第二の中間軸部材4bの内輪嵌合面に嵌合されるスペーサ21とによって、軸線方向の移動が規制されている。また、ローラは、転動体として外輪、内輪の両者を相対回転可能とするほか、両者の軸線方向の相対移動を規制する。従って、支持軸2と中間軸4、および中間軸4とフレーム1とのいずれか一方として、本実施形態では、中間軸4とフレーム1とが、転がり軸受9を介して、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられている。本実施形態の転がり軸受9はクロスローラベアリングであり、1つだけ設けられて、ラジアル荷重、ワーク側からのスラスト荷重、および反ワーク側からのスラスト荷重を受け、中間軸4とフレーム1とを、軸線方向の相対変位不能な状態で、相対回転可能としている。しかし、転がり軸受9は、1つまたは軸線方向に互いに離間した複数のラジアルベアリング、ワーク側からのスラスト荷重を受けるスラストベアリング、および反ワーク側からのスラスト荷重を受けるスラストベアリングとのように、複数の転がり軸受部材によって構成されてもよい。
【0038】
支持軸2は、駆動装置8によって、割出装置60の回転軸62と同期して駆動されている。駆動装置8は、割出装置60の駆動モータ63とは別の図示しない専用駆動モータMと、図示しないカップリングと、フレーム1に内蔵されるウォーム減速機構8aとを含み、中間軸4を回転駆動することにより、中間軸4と相対回転不能な支持軸2を回転駆動する。ウォーム減速機構8aは、フレーム1に支持され前記カップリングを介して専用駆動モータMに連結されるウォーム8bと、中間軸4に固定されてウォーム8bと噛み合うウォームホイール8cとを備える。
【0039】
ワークの支持装置70は、支持軸2に軸線方向の力を加える力発生装置5を備えており、本実施形態では、力発生装置5は支持軸2の軸線方向の移動装置を兼ねている。力発生装置5は、シリンダ部分としての中間軸4の第一の中間軸部材4aと、ピストン部分としての支持軸2の第一の支持軸部材2aとによって、複動タイプの流体圧シリンダ装置を備えており、反ワーク側に前進圧力室5b1とワーク側に後退圧力室5c1とが、ピストン壁を隔てて形成される。図示しない高圧流体源から前進圧力室5b1、後退圧力室5c1に高圧流体を供給するため、ロータリージョイントが、第四のフレーム部材1b4の内周面と、第一の中間軸部材4aの外周面とを含んで形成される。前進圧力室5b1と後退圧力室5c1は、前記ロータリージョイントと、第四のフレーム部材1b4および第一の中間軸部材4aに穿孔される前進流路5b、後退流路5cとを介し、第四のフレーム部材1b4の反ワーク側端面に設けられる各コネクタ端子5d、5eにそれぞれ連通され、パイプ、図示しない電磁開閉弁、レギュレターを経て高圧流体源に接続される。支持軸2の前進時、および一端が割出装置60の回転軸62に連結されているワークWに、連結部材3を介して所定の押圧力を加える際は、高圧流体源から所定の設定圧の高圧流体が、前進圧力室5b1に供給される。また、支持軸2の後退時、および両端が割出装置60の回転軸62と連結部材3とにそれぞれ連結されているワークWを、所定の牽引力で牽引する際は、高圧流体源から所定の設定圧の高圧流体が、後退圧力室5c1に供給される。
【0040】
支持軸2の軸線方向位置検出装置13が、支持装置70の反ワーク側に設けられ、力発生装置5によって進退する支持軸2の許容限界を超えた前進、および後退限を検出する。軸線方向位置検出装置13は、一対の検出子13aと、リング状の被検出子13bとで構成される。一対の検出子13aは、フレーム1に固定されるセンサホルダ13cの軸線方向長孔に固定されており、軸線方向位置を調整可能に設けられる。被検出子13bは、止めネジによって支持軸2に固定される。ワーク側の検出子13aは、ワークWの連結異常、支持装置70の設置位置異常等の異常検出に用いられ、支持軸2が所定長さ以上に前進した場合、例えばワークWの一端と割出装置60の回転軸62とが、正規の状態に連結されておらず、そのため、連結部材3の当接面3a3が所定長さ以上に前進した場合、また、支持装置70が割出装置60から所定距離以上に離間して設置され、同様に当接面3a3が所定長さ以上に前進した場合等に、被検出子13bを検知し、異常検出信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、工作機械の制御装置は、異常検出信号に基づき、運転禁止信号を出力する。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退限を検出し、被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、工作機械の制御装置は、後退完了信号に基づき、高圧流体源からの高圧流体の供給を停止させる。なお、図は説明用のため、一対の検出子13aは、正確な軸線方向位置に描かれていない。また、支持軸2と中間軸4との間には、2つの環状空間が、外周面と内周面、および互いに対向する2つの軸線直交段部面とによって、軸線方向に互いに離間して形成される。2つの環状空間は、共に、支持軸2に穿孔されて支持軸2の反ワーク側端面に開口する空気抜き孔2b3を介して、外気と連通されており、支持軸2の進退に伴う容積変化に対応している。
【0041】
本実施形態の軸線方向クランプ装置6は、作動確認装置12を備え、軸線方向クランプ装置6の不作動状態でワークWが加工されることを避けている。作動確認装置12は、第四のフレーム部材1b4の反ワーク側端面に開口し、第四のフレーム部材1b4と中間軸4とに穿孔されてクランプ圧力室6a1に連通される流路6gと、第四のフレーム部材1b4の内周面と中間軸4の外周面を含んで形成され、第四のフレーム部材1b4の流路6gと中間軸4の流路6gとを連通するロータリージョイントと、復帰バネ12a付きの単動シリンダと、単動シリンダ装置のラム12bに固定される被検出子12gおよび一対の検出子12fとを備える。作動確認装置12は、軸線方向クランプ装置6の作動時、高圧流体のクランプ圧力室6bに実際に加わった流体圧を利用して、復帰バネ12aの付勢力に逆らってラム12bを移動させる装置であり、ラム12bの位置に基づき、軸線方向クランプ装置6の実際の作動、不作動状態が把握される。
【0042】
より詳しく言えば、単動シリンダは、第四のフレーム部材1b4の流路6gに接続される流通孔12hをワーク側端面に有するシリンダ胴12eと、シリンダ胴12eの反ワーク側端に設けられるスリーブ12dと、スリーブ12dの内周面に嵌合されるラム12bと、ラム12bの外周面を囲む復帰バネ12aと、ラム12bのワーク側端面に固定されるワッシャ12iとを含む。ラム12bの反ワーク側には被検出子12gがねじ込まれて軸線方向位置を調整され、被検出子12gは止めネジによって固定されている。スリーブ12dの反ワーク側端面にセンサホルダ12cが固定されて、一対の検出子12fがラム12bの軸線方向に離間して設けられる。
【0043】
図はラム12bがワーク側の限界位置に在る時の状態を表しており、被検出子12gがワーク側の検出子12fと対向して、該検出子12fから不作動確認信号が制御装置80に出力され、クランプ圧力室6bに流体圧が加わってないことが把握される。また、ラム12bが復帰バネ12aの付勢力に抗して反ワーク側に移動し、被検出子12gが反ワーク側の検出子12fと対向すると、反ワーク側の検出子12fから作動確認信号が出力され、制御装置80は、クランプ圧力室6bに所定の設定圧が加わった状態で、軸線方向クランプ装置6が作動していることを把握する。制御装置80は、軸線方向クランプ装置6の作動指令信号を出力したのに、反ワーク側の検出子12fから作動確認信号が入力されない場合、油圧モータやエアコンプレッサ等の高圧流体源、レギュレター、電磁開閉弁等の故障等が考えられ、工作機械の制御装置に運転禁止信号を出力し、ワークWの加工を禁止する。
【0044】
本実施形態では回転クランプ装置7は、作動確認装置を有しないが、軸線方向クランプ装置6と同様に設けてもよい。その場合、制御装置80は、回転クランプ装置7の作動指令の出力時に、作動確認装置のセンサーから作動確認信号が入力されない場合、および回転クランプ装置7の作動停止指令の出力時に、作動確認装置のセンサーから不作動確認信号が入力されない場合、運転禁止指令を出力する。
【0045】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。工作機械のベッドB上に、割出装置60と支持装置70とは互いに対向して配置されると共に、支持装置70は、ベッドB上を移動して、ワークWの長さに対応して割出装置60から所定の距離に固定されると共に、支持装置70は、支持軸2と割出装置60の回転軸62とが同軸上に位置するように、固定される。
【0046】
作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの力発生装置5の作動信号に基づき、前進用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、後退用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開く。これにより、高圧流体が、前進圧力室5b1に高圧流体源から所定の設定圧力で供給されると共に、後退圧力室5c1から排出される。支持軸2が前進し、チャッキング装置の当接面3a3が、ワークWの他端の端面に当接して該端面を、高圧流体の設定圧力に応じた力で押圧する。これにより、割出装置60の回転軸62と支持装置70の支持軸2とは、ワークWを介して、正確にはワークWからの反力によって、軸線方向の遊びが解消される。作業者はチャッキング装置にハンドルレンチを装着して図示しない進退機構を操作し、複数の爪3bを半径方向に移動させて、ワークWの外周面を把持させる。これにより、ワークWの他端は、チャッキング装置を介して支持軸2に固定されて連結される。
【0047】
作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置を介して入力された加工開始信号に基づき、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。軸線方向クランプ装置6の電磁開閉弁の供給弁を開いて、高圧流体源からクランプ圧力室6bに高圧流体を供給する。これにより、本体部材6aの薄肉リング部6a1は縮径して、支持軸2の外周面を均等に押圧することにより、中間軸4と支持軸2との半径方向の遊びが全周に亘って均等に解消され、中間軸4と支持軸2とは、同軸状態で一体化される。これにより、支持軸2は、軸線方向クランプ装置6の作動後も、フレーム1、正確には中間軸4が嵌合されるフレーム1の内周面との同軸が、中間軸4を介して維持される。
【0048】
次に、工作機械の制御装置は、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させながら、所定の回転割出角で停止させる。これにより、回転軸62と、中間軸4と相対回転不能の支持軸2とは、互いに同期回転する。そのため、回転軸62と支持軸2とに一端と他端がそれぞれ支持されるワークWは、例えば、重量物で回転抵抗が大きくても、また、加工前から、または加工中に削られ、捩れ剛性が低くても、更に、重心が軸線から偏倚しており、重力による回転トルクが、回転角によって大きく変化しても、割出回転中、捩れて変形するのが抑えられ、両端共、所定のワーク割出角で停止し、捩れて変形することなく回転割出機50に保持される。
【0049】
制御装置80は、モータ63、Mの停止後、割出装置60の図示しないクランプ装置を作動させ回転軸62をクランプすると共に、回転クランプ装置7の電磁開閉弁の供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、高圧流体源からクランプ圧力室7bに高圧流体を供給して、回転クランプ装置7を作動させ、フレーム1と中間軸4との相対回転を規制する。これにより、支持軸2は、中間軸4を介し、同軸状態でフレーム1と相対変位不能、即ち、相対回転不能、軸線方向の相対変位不能となり、他端がチャッキング装置を介して支持軸2に保持されているワークWは、フレーム1と一体状態となってフレーム1に固定される、即ち、支持装置70に相対変位不能に支持される。
【0050】
ワークWは、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。ワークWには、軸線方向と直交する方向等の軸線方向と交差する方向の加工力、正確には軸線を含む面と直交する方向等の軸線を含む面と交差する方向の加工力が、軸線に向かって、および軸線から偏倚した位置で前記面と交差して加わるほか、軸線方向の加工力が加わる。ワークWには、上記の軸線から偏倚した位置で前記面と交差する加工力によって、捩り応力が作用するが、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持されて回転不能に支持されているため、ワークWは捩れて変形することなく加工可能となる。また、上記の軸線方向の加工力は、ワークWの軸線方向変位として作用するが、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持されて軸線方向に変位不能に支持されているため、ワークWは軸線方向に変位や振動することなく加工される。従って、ワークWは、捩れて変形することなく、また軸線方向に変位や振動することなく加工され、高精度に加工される。
【0051】
工作機械の制御装置は、ワークWの所定のワーク割出角での加工が終了すると、次の所定のワーク割出角での加工のために、次の所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき、回転クランプ装置7の電磁開閉弁において、供給弁を閉じてクランプ圧力室7bへの高圧流体の供給を停止すると共に、排出弁を開いてクランプ圧力室7bの高圧流体の圧力を低下させ、割出装置60のクランプ装置と共に、回転クランプ装置7を作動解除する。次に、制御装置80は、駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させながら、次の所定の割出角で停止させる。制御装置80は、モータ63、Mの停止後、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動させ、前回の所定のワーク割出角の時と同様な状態で、ワークWは加工される。
【0052】
全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動解除すると共に、軸線方向クランプ装置6の電磁開閉弁において、供給弁を閉じてクランプ圧力室6bへの高圧流体の供給を停止すると共に、排出弁を開いてクランプ圧力室6bの高圧流体の圧力を低下させ、軸線方向クランプ装置6を作動解除する。クランプ圧力室6bの圧力低下に伴って、被検出子12gが軸線方向をワーク側に移動して、ワーク側の検出子12fと対向して、該検出子12fから軸線方向クランプ装置6の不作動確認信号が、制御装置80を経て工作機械の制御装置に入力される。工作機械の制御装置は、不作動確認信号に基づき、図示しない加工終了灯を点滅させる。
【0053】
作業者は、加工終了灯の点滅から加工終了を確認し、ワークWの取り外し作業を行う。作業者は、チャッキング装置にハンドルレンチを装着して進退機構を操作し、爪3bを後退させてワークWの把持を解除する。次に、作業者は、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの不作動信号に基づき、力発生装置5の前進用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開き、後退用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じる。これにより、高圧流体が、後退圧力室5c1に高圧流体源から供給されると共に、前進圧力室5b1から排出されて、支持軸2が後退する。支持軸2の後退に伴って、チャッキング装置当接面3a3がワークWの他端の端面から離間し、ワークWは他端が取り外し可能となる。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退に伴って被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、高圧流体源からの高圧流体の供給が停止される。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外す。これにより、加工終了ワークWが回転割出機50から取り外される。
【0054】
回転割出機50は、このように軸線方向クランプ装置6が支持軸2をクランプした状態で、制御装置80が、割出装置60の駆動モータ63と、支持装置70の専用駆動モータMとを互いに同期回転させるので、正確なワーク割出角を得ることができるほか、割出回転中においても、また、所定のワーク割出角での加工中においても、ワークWは、捩れて変形するのが抑えられ、高精度に加工される。更に、本実施形態の場合、力発生装置5が作動して、ワークWを介して支持軸2および割出装置60の回転軸62の軸線方向の遊びが解消されているので、ワークWは、工具からの加工力による軸線方向変位、振動が抑えられ、より高精度に加工される。
【0055】
本実施形態では、作業者が、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作してから作動解除スイッチを操作するまで、力発生装置5は作動しており、ワークWの加工中も作動が維持されている。しかし、力発生装置5は、軸線方向クランプ装置6の作動開始後に、自動で、または作業者が作動解除スイッチを操作することにより手動で、加工中、不作動状態としてもよい。但し、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、軸線方向クランプ装置6によってクランプ状態の支持軸2が後退する恐れがある場合、本実施形態のように、力発生装置5はワークWの工具による加工中も作動が維持されるのが好ましい。即ち、軸線方向クランプ装置6のクランプ力に加えて力発生装置5の押圧力が、衝撃的な軸線方向の加工力に対抗するので、支持軸2の後退を避けることができ、加工精度が維持される。
【0056】
本実施形態では、力発生装置5は流体圧シリンダ装置を用いて構成されている。しかし、例えば、相対回転可能、かつ、軸線方向に相対変位不能に支持軸2と連結される中間部材を設け、トルクモータでボールねじ装置等の運動変換装置を介して中間部材を軸線方向に移動させることにより、支持軸2を軸線方向に移動させると共に、一端が割出装置60に保持されるワークWを介して、支持軸2をトルクモータの設定回転トルクに応じた力で押圧、または牽引する等、流体圧シリンダ装置以外の装置を用いて構成してもよい。
【0057】
本実施形態では、力発生装置5はチャッキング装置当接面3a3がワークWの他端の端面を押圧しており、回転割出機50は、ワークWを軸線方向に圧縮状態で支持することにより、ワークWを介して軸線方向の遊びを解消している。しかし、回転割出機50は、ワークWを軸線方向に牽引して伸長状態で支持することにより、ワークWを介して、正確にはワークWからの反力によって、軸線方向の遊びを解消してもよく、ワークWは、軸線方向の圧縮によって真直度が損なわれるのを避けることができる。
【0058】
その場合、チャッキング装置によるワークWの他端の支持軸2への固定連結作業後、作業者が工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作することにより、工作機械の制御装置から制御装置80に力発生装置5の牽引信号が出力される。制御装置80は、牽引信号に基づき、前進用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開き、後退用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じる。これにより、高圧流体が、後退圧力室5c1に高圧流体源から所定の設定圧力で供給されると共に、前進圧力室5b1から排出される。ワークWは、力発生装置5によって高圧流体の所定の設定圧力に応じた所定の力で牽引され、回転割出機50は、ワークWを軸線方向に所定の力で牽引して伸長状態で支持する。その後、工作機械の制御装置は、制御装置80に軸線方向クランプ装置6の作動開始信号を出力し、制御装置80は、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。これにより、軸線方向に圧縮状態で支持された場合と同様、力発生装置5の作動中に軸線方向クランプ装置6が作動して、支持軸2が同軸状態で軸線方向に固定される。
【0059】
回転割出機50は、ワークWを軸線方向に所定の牽引力で牽引して伸長状態で支持することにより、軸線方向に圧縮状態で支持された場合と同様、軸線方向の遊びを解消した状態で、ワークWを加工する。この場合も同様に、軸線方向クランプ装置6の作動開始後は、力発生装置5を不作動としてもよいが、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、軸線方向クランプ装置6によってクランプ状態の支持軸2が前進する恐れがある場合、力発生装置5はワークWの工具による加工中も作動が維持されるのが好ましい。
【0060】
本実施形態では、ワークWは、他端がチャッキング装置の当接面3a3に当接して加工される。しかし、ワークWは、他端の端面が当接面3a3から離間した状態で把持されて、力発生装置5による軸線方向の力が加わった状態で加工されてもよい。但し、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、ワークWがチャッキング装置と相対変位する恐れがある場合、本実施形態と同様、ワークWは、他端が当接面3a3に当接して加工されるのが好ましい。
【0061】
本実施形態では、連結部材3であるチャッキング装置は、爪3bがワークWの外周面を把持する。しかし、パイプ等、内周面を有するワークWの場合、連結部材として、爪3bが半径方向外側に向かって進出してワークWの内周面を把持するチャッキング装置を用いてもよく、ワークWの外周面に把持基準面がない場合や、外周面にチャッキング跡が生じるのを避けたい場合等に適用される。また、本実施形態では、連結部材としてチャッキング装置を用い爪3bを介してワークWの周面を把持している。しかし、連結部材として、割出装置60の回転軸62に固定されるワーク取付治具65のように、支持軸2にボルト等を介して着脱可能に固定されるワーク取付治具であってもよく、ワークWの他端は、取付基準となる周面または端面が、ボルト、当て金等を介してワーク取付治具に固定されて連結される。
【0062】
回転割出機50は、ワークWを回転停止させて所定のワーク割出角に維持したこのような割出加工のほか、ワークWを旋回加工させながらの割出加工やワークWの旋削加工を、このような割出加工中に、またはこのような割出加工なしに単独で行うことができる。
【0063】
ワークWを旋回加工させながらの割出加工の場合、工作機械の制御装置は、力発生装置5の作動開始後の軸線方向クランプ装置6の作動後に、工具の運動に応じて、制御装置80を介して駆動モータ63と専用駆動モータMとを、互いに同期回転させながら、一方向または正逆2方向に、一定回転速度または遅速回転速度で回転させると共に、回転クランプ装置7および割出装置60のクランプ装置を共に作動しない。これにより、回転軸62と支持軸2とは、互いに同期回転し、回転軸62と支持軸2とに一端と他端がそれぞれ支持されるワークWは、捩れて変形することなく加工される。
【0064】
また、ワークWの旋削加工の場合、工作機械の制御装置は、力発生装置5の作動開始後の軸線方向クランプ装置6の作動後に、制御装置80を介して駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させと共に、回転クランプ装置7および割出装置60のクランプ装置を共に作動しない。これにより、回転軸62と支持軸2とは、互いに同期回転し、回転軸62と支持軸2とに一端と他端がそれぞれ支持されるワークWは、捩れて変形することなく旋削加工される。
【0065】
本実施形態では、制御装置80は、回転割出機50の制御装置80として設けられており、回転割出機50を構成する割出装置60と支持装置70とを、互いに連動して制御する。詳細には、制御装置80は、力発生装置5、軸線方向クランプ装置6、回転クランプ装置7を制御するほか、割出装置60の駆動装置の制御装置として駆動モータ63、および支持装置70の駆動装置8の制御装置として専用駆動モータMを制御する。また、制御装置80は工作機械の制御装置に接続されており、工作機械の制御装置からの指令信号に基づき、工作機械と連動して回転割出機50を制御すると共に、センサーからの検出信号に基づき、運転禁止信号等を工作機械の制御装置に出力する。しかし、回転割出機50は、割出装置60の制御装置と、支持装置70の制御装置80とが別々に設けられてもよい。その場合、支持装置70の制御装置80は、割出装置60の制御装置からの直接の制御信号、および割出装置60の制御装置を経て入力される工作機械の制御装置からの制御信号に基づき、支持装置70の各装置を制御する。また、回転割出機50の制御装置80は、工作機械の制御装置に組み込まれてもよく、制御装置全体を省スペース化できる。また、制御装置80は、専用駆動モータMを回転制御しながら、支持装置70の駆動装置8を制御するが、制御装置80とは別に駆動装置8の専用制御装置を設けてもよく、その場合、専用制御装置は、制御装置80からの制御信号に基づき専用駆動モータMを回転制御する。
【0066】
本実施形態では、回転割出機50は工作機械のベッドB上に設置される。しかし、回転割出機50は、工作機械のベッドB以外の例えば、パレット上に、1つまたは複数設置されてもよい。その場合、パレット待機位置が、1つまたは複数、例えば工作機械を挟んで複数設けられ、ワークWは、前記待機位置で回転割出機50に取り付けられる。1つまたは複数の回転割出機50は、パレット搬送装置によって、工作機械の1つまたは複数の所定のワーク加工位置に搬送され、単独加工または同時加工される。加工終了後、パレット搬送装置によって、元の待機位置、または別の待機位置に回転割出機50は搬送され、ワークWの取り外しおよび取り付けが行われる。パレットは1つでもよいが、複数を用いることにより、工作機械は、パレット搬送のための待ち時間が加わるものの、ワーク着脱のための待ち時間が短縮またはなくなり、待ち時間を短縮することができ、加工効率が向上する。
【0067】
次に、本実施形態の変形例のワークの支持装置70Aを、図4の全体図、図4の左側詳細図である図5、および図4の右側詳細図ある図6に示す。本変形例のワークの支持装置70Aは、支持装置70と同様に、割出装置60に対向して配置されて、割出装置60と共に回転割出機50を構成する。本変形例の支持装置70Aは、支持軸2が、割出装置60の駆動モータ63によって、ワークWを介して従動回転する点、連結部材3としてのチャッキング装置が、所謂パワーチャックであり、爪3bが流体圧によって半径方向に進退する点、送り装置30によって割出装置60との対向位置が調整される点で、支持装置70と相違する。本変形例の支持装置70Aは、支持装置70の各部材と同等の機能の部材については、同じ符号が用いられる。
【0068】
フレーム1は、工作機械のベッドBに載置される第一のフレーム部材101と、該フレーム部材101の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第二のフレーム部材102と、該フレーム部材102の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第三のフレーム部材103と、該フレーム部材103の外周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第四のフレーム部材104と、第一のフレーム部材101の内周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定される第五のフレーム部材105とを備える。
【0069】
中間軸4がフレーム1の内周面に嵌合されて設けられている。中間軸4は、フレーム部材103、105にそれぞれ嵌合される第一の中間軸部材141と、該中間軸部材141の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定され第四のフレーム部材104に嵌合される第二の中間軸部材142とを備える。
【0070】
支持軸2が中間軸4の内周面に嵌合されて設けられている。支持軸2は、反ワーク側に設けられる第一の支持軸部材121と、該持軸部材121の外周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定される第二の支持軸部材122とを備え、軸心にパワーチャック装置のための貫通孔が設けられている。
【0071】
転がり軸受9が、フレーム1と中間軸4との間に設けられている。転がり軸受9は、2つのテーパローラベアリングによって構成され、両ベアリングは、第一のフレーム部材101の内周面に設けられる位置決め段部によって軸線方向に互いに離間する。反ワーク側のテーパローラベアリングの外輪、およびワーク側のテーパローラベアリングの外輪は、前記位置決め段部によって、ワーク側または反ワーク側への軸線方向移動がそれぞれ規制されている。一方、ワーク側のテーパローラベアリングの内輪は、第一の中間軸部材141の軸線直交段部面によって、ワーク側への軸線方向移動が規制されている。また、反ワーク側のテーパローラベアリングの内輪は、第一の中間軸部材141に設けられている雄ネジに螺合される予圧ナットによって、反ワーク側への軸線方向移動が規制されている。更に、反ワーク側のテーパローラベアリングのローラは、外輪を介して内輪のワーク側への軸線方向移動を規制し、ワーク側のテーパローラベアリングのローラは、外輪を介して内輪の反ワーク側への軸線方向移動を規制する。従って、本変形例では、支持装置70と同様、中間軸4とフレーム1とが、転がり軸受9を介して、相対回転可能に、かつ、軸線方向に相対変位不能に設けられている。2つのテーパローラベアリングは、前記予圧ナットによって適切な予圧が付与されており、中間軸4とフレーム1とにおいて、円滑な相対回転を実現しつつ、軸線方向の遊びを解消している。なお、前記予圧ナットは、離間して螺合される弛み止めナットが皿ビスを介して軸線方向に牽引しており、螺合ネジ面同士に生ずる摩擦力によって、予圧ナットが回って緩むのを防止している。
【0072】
第一のフレーム部材101の基部には、送り装置30の構成部材として、図示しないボールネジナットが取り付けられており、ボールネジナットのネジ溝に沿ってボールが埋め込まれている。また、送り装置30の構成部材として、ボールネジ軸31が、支持装置70Aの軸線方向、正確にはフレーム1の内周面の軸線方向と平行に延在し、工作機械のベッドBに立設される図示しないサポータによって回転可能、かつ、軸線方向に変位不能に支持されている。フレーム1は、モータでまたは作業者がハンドルでボールネジ軸31を回転させることにより、ベッドBに設けられている図示しないあり溝形状の案内溝に沿ってベッドB上を軸線方向に移動し、支持装置70Aは、割出装置60との対向位置が調整される。
【0073】
軸線方向クランプ装置6は、フランジ部が第一の中間軸部材141のワーク側端面にボルトを介して固定される本体部材6aと、本体部材6aの胴部に形成される薄肉リング部6a1と、薄肉リング部6a1の外周面と第一の中間軸部材141の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室6bと、第一の中間軸部材141と第二の中間軸部材142とに設けられ、クランプ圧力室6bと第二の中間軸部材142の外周面とに両端がそれぞれ開口する流路6cとを含む。第二の中間軸部材142の外周面と第四のフレーム部材104とを含んで、ロータリージョイントが形成される。流路6cは、前記ロータリージョイントと、第二のフレーム部材102の外周面に設けられるコネクタ端子6fと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0074】
軸線方向クランプ装置6は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子6f、ロータリージョイント、流路6cを経てクランプ圧力室6bに供給される。薄肉リング部6a1は中間軸4に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室6bの高圧流体の流体圧によって縮径して、支持軸2の外周面を押圧し、中間軸4と支持軸2との相対移動を規制することにより、中間軸4と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制する。
【0075】
本変形例の場合も、回り止め装置11が設けられており、該装置11は、中間軸4と支持軸2とにおいて、相対回転を規制すると共に軸線方向の相対移動を許容する。回り止め装置11は、支持軸2の外周面を軸線方向に延在する係止溝11aと、係止部材としてのピン11cとを備える。ピン11cは、中間軸4を外周面から半径方向に貫通して係止溝11aに達する貫通孔11bに嵌合されて、更に、係止溝11aに嵌合され、係止溝11aとの嵌合面が、互いに平行な2つの平坦面によって形成される。係止溝11aは、中間軸4と支持軸2との相対移動可能長さを超えて延在する。
【0076】
回転クランプ装置7は、第三のフレーム部材103に形成される薄肉リング部7a1と、薄肉リング部7a1の外周面と第二のフレーム部材102の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室7bと、第二のフレーム部材102を外周面から半径方向に貫通して設けられクランプ圧力室7bに連通する流路7cとを含む。流路7cは、第二のフレーム部材102の外周面に設けられるコネクタ端子7dと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0077】
回転クランプ装置7は、作動時、高圧流体源から高圧流体として高圧空気または高圧作動油が、パイプ、コネクタ端子7d、流路7cを経てクランプ圧力室7bに供給される。薄肉リング部7a1はフレーム1に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室7bの高圧流体の流体圧によって縮径して、中間軸4の外周面を押圧し、フレーム1と中間軸4との相対変位を規制することにより、中間軸4の回転を規制する、即ち、中間軸4の回転をクランプする。これにより、回り止め装置11によって中間軸4との相対回転が規制されている支持軸2は、回転がクランプされる。
【0078】
力発生装置5は、シリンダ部分としての中間軸4の第二の中間軸部材142と、ピストン部分としての支持軸2の第一の支持軸部材121とによって、複動タイプの流体圧シリンダ装置を備えており、反ワーク側に前進圧力室5b1とワーク側に後退圧力室5c1とが、ピストン壁を隔て形成される。図示しない高圧流体源から前進圧力室5b1、後退圧力室5c1に高圧流体を供給するため、ロータリージョイントが、第四のフレーム部材104の内周面と、第二の中間軸部材142の外周面とを含んで形成される。前進圧力室5b1と後退圧力室5c1は、前記ロータリージョイントと、第四のフレーム部材104および中間軸部材142に穿孔される前進流路5b、後退流路5cとを介し、第四のフレーム部材104の外周面に設けられる各コネクタ端子5d、5eにそれぞれ連通され、パイプ、図示しない電磁開閉弁、レギュレターを経て高圧流体源に接続される。
【0079】
連結部材3としてのチャッキング装置は、第二の支持軸部材122の外周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定されるベース3cと、ベース3cのワーク側端面にボルトを介して固定され軸心に向かう複数の放射状案内溝を有する爪案内部材3d、前記放射状案内溝に嵌合される突起部を有する複数の爪保持部材3fと、各爪保持部材3fの半径方向内側にそれぞれ固定される複数の爪3bと、爪案内部材3dのワーク側端面に固定されワーク側端面に当接面3a3が形成される当接面部材3eと、爪保持部材3fを介して複数の爪3bを半径方向に移動させる爪進退装置14と、ワークWの当接面3a3の当接を確認する着座確認装置15とを含む。
【0080】
爪進退装置14は、支持軸2の軸心の貫通孔に嵌合されるドローバー14aと、ドローバー14aのワーク側端部の外周面に設けられる雄ネジに螺合すると共に、ベース3cの内周面に嵌合されるピースホルダ14bと、ピースホルダ14bに固定される複数の傾斜片14cと、ベース3cに円周を等分して形成されて軸線方向に延在する複数の放射状溝にそれぞれ収容され、ベース3cに設けられるピン14fによって軸支される複数の係合片14gと、ケーシング14d1が第一の支持軸部材121の反ワーク側端部にシリンダホルダ14eを介してボルトで固定され、ピストンロッド14d2がドローバー14aの反ワーク側端部の外周面に設けられる雄ネジに螺合する回転流体圧シリンダ装置14dと、ピストンロッド14d2の反ワーク側端部の外周面に嵌合され、図示しない回転規制部材を介してフレーム1と相対回転不能、軸線方向に相対移動可能に設けられているロータリージョイント装置14hとを含む。ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1には、各パイプ、各電磁開閉弁、レギュレターを経て、エア供給源15gにそれぞれ接続される把持作動コネクタ端子14iと、把持解除コネクタ端子14jとが、設けられている。
【0081】
また、着座確認装置15は、ベース3cのワーク側端面にボルトを介して固定されるピースホルダ15bと、ピースホルダ15bの挿通孔に嵌合されるスライドピース15aと、スライドピース15aを付勢して当接面部材3eの当接面3a3から突出させるバネ15cと、前記ロータリージョイント装置14hとを含む。高圧空気の流路15dが、ピストンロッド14d2、支持軸2、ピースホルダ15b、スライドピース15aに形成されており、ピストンロッド14d2のロータリージョイント装置14hとの嵌合面と、スライドピース15aのワーク側端面とにそれぞれ開口することにより、エア噴出口が、スライドピース15aのワーク側端面に形成される。エア供給源15gからの高圧空気が、レギュレターと、電磁開閉弁と、および圧力センサ15eが分岐接続されるパイプとを経て、ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1に設けられているコネクタ端子15fに供給され、ロータリージョイント装置14h、流路15dを経て、スライドピース15aのエア噴出口から噴出する。
【0082】
本変形例の支持装置70Aでも、支持装置70と同様、支持軸2の軸線方向位置検出装置13が、支持装置70Aの反ワーク側に設けられ、力発生装置5によって進退する支持軸2の限界を超える前進、後退限を検出する。本変形例の軸線方向位置検出装置13は、一対の検出子13aと、リング状の被検出子13bとを含む。一対の検出子13aは、フレーム1に固定されるセンサホルダ13cの軸線方向長孔に固定されており、軸線方向位置を調整可能に設けられる。被検出子13bは、シリンダホルダ14eの外周面に固定されおり、シリンダホルダ14eを介して支持軸2に固定される。ワーク側の検出子13aは、ワークWの連結異常、支持装置70Aの設置異常等の検出に用いられ、支持軸2が所定長さ以上に前進した場合に、被検出子13bを検知し、異常検出信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力する。工作機械の制御装置は、異常検出信号に基づき、運転禁止信号を出力する。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退限を検出し、被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、工作機械の制御装置は、後退完了信号に基づき、高圧流体源からの高圧流体の供給を停止させる。なお、図は説明用のため、一対の検出子13aは、軸線方向位置が正確に記載されていない。
【0083】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。作業者は、ハンドルでボールネジ軸31を回転させ、支持装置70AをベッドBの案内溝に沿って移動させ、割出装置60との対向位置を、ワークWの長さに応じて調整する。
【0084】
作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの力発生装置5の作動信号に基づき、前進用電磁開閉弁において供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、後退用電磁開閉弁において供給弁を閉じると共に排出弁を開く。これにより、高圧流体が、前進圧力室5b1に高圧流体源から所定の設定圧力で供給されると共に、後退圧力室5c1から排出される。制御装置80は、同時に、着座確認装置15の電磁開閉弁を開き、スライドピース15aのエア噴出口からエアを噴出させる。支持軸2が前進し、チャッキング装置の当接面3a3が、ワークWの他端の端面に当接して該端面を、高圧流体の設定圧力に応じた力で押圧する。これにより、エア噴出口からのエア噴出が妨げられ、パイプ内のエア圧が上昇する。エア圧は圧力センサ15eによって計測される。制御装置80は、入力された圧力センサ15eの計測値が、閾値を超えると、工作機械の図示しない着座完了灯を点滅させる。割出装置60の回転軸62と支持装置70Aの支持軸2とは、ワークWを介して、正確にはワークWからの反力によって、軸線方向の遊びが解消される。また、フレーム1に設けられているボールネジナットとボールネジ軸31との軸線方向の遊びも、フレーム1を介して加わるワークWからの反力によって解消される。
【0085】
作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの爪進退装置14の作動信号に基づき、把持作動用の電磁開閉弁を開くと共に、把持解除用の電磁開閉弁を閉じる。エア供給源15gからレギュレター、電磁開閉弁、パイプ、把持作動コネクタ端子14iを経て、高圧空気がロータリージョイント装置14hに供給される。高圧空気は、ロータリージョイント装置14hを介してピストンロッド14d2に穿孔される図示しない流路に入り、回転流体圧シリンダ装置14dの図示しないドローバー後退用圧力室に供給される。ピストンロッド14d2に連結されているドローバー14aは、支持軸2の貫通孔を反ワーク方向に移動し、ピースホルダ14bに固定されている複数の傾斜片14cは、反ワーク方向に移動する。係合片14gは傾斜片14cの反ワーク方向移動に伴って回動し、係合凹部を有する爪保持部材3fを半径方向内側に移動させる。複数の爪保持部材3fは、爪案内部材3dの複数の放射状案内溝にそれぞれ案内されており、複数の爪3bは、ワークWの外周面をエア設定圧に応じた押圧力で把持する。これにより、ワークWの他端は支持軸2に固定されて連結される。
【0086】
なお、爪進退装置14には、ドローバー移動量検出装置14kが設けられており、ドローバー14aの後退限界を超える後退、および前進完了を検出する。ドローバー移動量検出装置14kは、ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1に、センサホルダ14k1を介して軸線方向位置を調整可能に取り付けられる一対の近接センサ14k2、14k3と、ロータリージョイント装置14hのケーシング14h1に固定される中空円筒14k4とを備える。中空円筒14k4は、ピストンロッド14d2と同軸に固定され、反ワーク側端部の外周面に、半径方向外側に突出する環状の被検出子が形成される。ワーク側の近接センサ14k2は、ドローバー14aの後退限界を超える後退を検出すると、制御装置80に把持不良信号を出力する。即ち、複数の爪3bが、半径方向内側の移動限界位置に在ること、そのため、ワークWが所定の押圧力で把持されていない恐れがあり、爪3b等の調整または交換が必要なことが検出され、制御装置80は工作機械の制御装置に運転禁止信号を出力する。反ワーク側の近接センサ14k3は、後述の加工終了後のワークWの把持解除時、ドローバー14aの前進完了を検出し、制御装置80に爪後退完了信号を出力し、制御装置80は、回転流体圧シリンダ装置14dの図示しないドローバー前進用圧力室への高圧空気の供給を停止する。
【0087】
作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置を介して入力された加工開始信号に基づき、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。軸線方向クランプ装置6の電磁開閉弁の供給弁を開いて、高圧流体源からクランプ圧力室6bに高圧流体を供給する。
【0088】
次に、工作機械の制御装置は、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63を所定の回転割出角で停止させる。
【0089】
制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60の図示しないクランプ装置を作動させ回転軸62をクランプすると共に、回転クランプ装置7の電磁開閉弁の供給弁を開くと共に排出弁を閉じ、高圧流体源からクランプ圧力室7bに高圧流体を供給して、回転クランプ装置7を作動させ、フレーム1と中間軸4との相対回転を規制する。これにより、ワークWは、フレーム1と一体状態となってフレーム1に固定される、即ち、支持装置70Aに相対変位不能に支持される。
【0090】
ワークWは、一端と他端が割出装置60と支持装置70Aとにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。
【0091】
工作機械の制御装置は、ワークWの所定のワーク割出角での加工が終了すると、次の所定のワーク割出角での加工のために、次の所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動解除する。次に、制御装置80は、駆動モータ63を回転させ次の所定の割出角で停止させる。制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動させ、前回の所定のワーク割出角の時と同様な状態で、ワークWは加工される。
【0092】
全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動解除すると共に、軸線方向クランプ装置6を作動解除する。
【0093】
作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動解除スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの爪進退装置14の作動解除信号に基づき、把持作動用の電磁開閉弁を閉じると共に、把持解除用の電磁開閉弁を開く。把持解除コネクタ端子14jから、高圧空気がロータリージョイント装置14hに供給される。高圧空気は、ロータリージョイント装置14hを介してピストンロッド14d2に穿孔される図示しない流路に入り、回転流体圧シリンダ装置14dの図示しないドローバー前進用圧力室に供給される。ピストンロッド14d2に連結されているドローバー14aは、ワーク方向に移動し、ピースホルダ14bに固定されている複数の傾斜片14cは、ワーク方向に移動する。係合片14gは傾斜片14cのワーク方向移動に伴って回動し、爪保持部材3fを半径方向外側に移動させ、複数の爪3bは、ワークWの外周面から半径方向外側に後退して、ワークWの把持が解除される。
【0094】
作業者は、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作する。高圧流体が、後退圧力室5c1に高圧流体源から供給されると共に、前進圧力室5b1から排出されて、支持軸2が後退する。支持軸2の後退に伴って、当接面部材3eの当接面3a3がワークWの他端の端面から離間し、ワークWは他端が取り外し可能となる。反ワーク側の検出子13aは、支持軸2の後退に伴って被検出子13bを検知すると、後退完了信号を、制御装置80を経て工作機械の制御装置に出力し、高圧流体源からの高圧流体の供給が停止される。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外し、加工終了のワークWが回転割出機50から取り外される。
【0095】
次に、別の変形例のワークの支持装置70Bを、図7に模式的に示す。本変形例のワークの支持装置70Bは、支持装置70、70Aと同様、割出装置60に対向して配置されて、割出装置60と共に回転割出機50を構成する。支持装置70、70Aと比較し、支持装置70、70Aでは、転がり軸受9を介して、中間軸4とフレーム1とが、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられているのに対し、本変形例は転がり軸受9を介して、支持軸2と中間軸4とが、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられている点で、支持装置70、70Aと異なる。
【0096】
支持装置70Bは、支持装置70Aと同様な送り装置30によって、ワークWの長さに応じて割出装置60との対向位置が調整される。
【0097】
力発生装置5として、フレーム1をシリンダ、中間軸4をピストンとする流体圧シリンダ装置が形成されており、反ワーク側に位置する前進圧力室5b1、ワーク側に位置する後退圧力室5c1に、図示しない高圧流体源からの高圧流体が、フレーム1に形成される前進流路5b、後退流路5cを介して、それぞれ供給可能に設けられる。このように、本変形例では、力発生装置5は流体圧シリンダ装置を用いて構成されている。しかし、トルクモータでボールねじ装置等の運動変換装置を用いて中間軸4を軸線方向に移動させ、支持軸2をトルクモータの設定回転トルクに応じた力で押圧、または牽引する等、流体圧シリンダ装置以外の装置を用いて構成してもよい。
【0098】
軸線方向クランプ装置6が、フレーム1に設けられて模式的に描かれている。軸線方向クランプ装置6は、フレーム1に形成される環状のクランプ圧力室6bに、図示しない高圧流体源からの高圧流体が、フレーム1に形成される流路6cを介して供給されることにより、薄肉リング部6a1が縮径して中間軸4の外周面を把持し、フレーム1と中間軸4との相対移動を規制することにより、軸線方向クランプ装置6は、フレーム1と中間軸4との軸線方向の相対移動を規制する。
【0099】
フレーム1と中間軸4との回り止め装置11が、設けられており、係止部材11cとしてツバ付ピンが、フレーム1に設けられる貫通孔11bに挿通されて、中間軸4の外周面に設けられてフレーム1と中間軸4との相対移動限界以上に軸線方向に延在する係止溝11aに、先端が嵌合する。本変形例の回り止め装置11は、支持装置70と同様、係止部材11cを取り外すことが可能であり、場合によっては、作動を解除することができる。
【0100】
中間軸4の内周面と支持軸2の外周面との間には、転がり軸受9として、2つのベアリングが軸線方向に離間して配設されている。反ワーク側のベアリングの外輪は、中間軸4の軸線直交段部面によって反ワーク側への移動方向変位が規制され、ワーク側のベアリングの外輪は、中間軸4の内周面に固定されるストップリング1gによって、ワーク側への軸線方向変位が規制されている。また、2つのベアリングの内輪は、支持軸2の軸線直交段部面と、支持軸2の外周面に固定されるストップリング1gと、ディスタンスカラー1fとによって、ワーク側、反ワーク側共、移動方向変位が規制されている。ベアリングの外輪と内輪は、転動体を介して、軸線方向変位が規制されている。従って、支持軸2と中間軸4とは、転がり軸受9を介して、相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられている。なお、本変形例は、模式的に記載されているため、転がり軸受9としてラジアルベアリングを用いているが、実際の装置では、クロスローラベアリング、テーパローラベアリング等、ラジアル荷重のほか、スラスト荷重を受ける転がり軸受9が用いられる。また、転がり軸受9の外輪、内輪の軸線方向の変位を規制するのに、ストップリング1gを用いているが、スラスト荷重を受けることができないため、実際の装置では、支持装置70、70Aのように、軸線直交段部面、予圧ナット等が用いられる。
【0101】
回転クランプ装置7が、中間軸4に設けられて模式的に描かれている。回転クランプ装置7は、中間軸4に形成される環状のクランプ圧力室7bに、図示しない高圧流体源からの高圧流体が、中間軸4に形成される流路7cを介して供給されることにより、薄肉リング部7a1が縮径して支持軸2の外周面を把持し、中間軸4と支持軸2との相対移動を規制することにより、中間軸4と支持軸2との相対回転を規制する。従って、係止部材11cが取り外されて回り止め装置11が不作動状態であっても、軸線方向クランプ装置6の作動によって、フレーム1と軸線方向の相対移動のほか、相対回転が規制されている中間軸4を介して、支持軸2は、フレーム1と相対回転不能、即ち回転不能にクランプされる。
【0102】
支持軸2のワーク側端部には、連結部材3としてチャッキング装置が固定されており、連結部材3は、ベース3a、複数の爪3b、当接面3a3を含む。
【0103】
支持軸2の駆動装置8が設けられて模式的に描かれている。駆動装置8は、ブラケット8dを介して中間軸4に取り付けられる専用駆動モータM、歯車機構8fを含み、歯車機構8fは、支持軸2に固定される歯車8f1と、専用駆動モータMの回転軸に固定される歯車8f2とを含む。
【0104】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。作業者は、ハンドルでボールネジ軸31を回転させ、支持装置70BをベッドBの案内溝に沿って移動させ、割出装置60との対向位置を、ワークWの長さに応じて調整する。作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置からの力発生装置5の作動信号に基づき、高圧流体を前進圧力室5b1に供給する。中間軸4と共に支持軸2が前進し、当接面3a3が、ワークWの他端の端面を高圧流体の設定圧に応じた力で押圧する。これにより、割出装置60の回転軸62と支持装置70Bの支持軸2とは、ワークWを介して、軸線方向の遊びが解消される。また、フレーム1に設けられているボールネジナットとボールネジ軸31との軸線方向の遊びも、フレーム1を介して加わるワークWからの反力によって解消される。作業者は、連結部材3の爪進退機構を操作して、複数の爪3bでワークWの外周面を把持する。次に、作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。制御装置80は、工作機械の制御装置を介して入力された加工開始信号に基づき、軸線方向クランプ装置6の作動を開始する。次に、工作機械の制御装置は、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63と専用駆動モータMとを互いに同期回転させながら、所定の回転割出角で停止させる。制御装置80は、モータ63、Mの停止後、割出装置60のクランプ装置と回転クランプ装置7とを作動させる。ワークWは、割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置、回転クランプ装置7および軸線方向クランプ装置6を解除する。作業者は、連結部材3の爪進退機構を操作して、複数の爪3bを後退させ、ワークWのチャッキングを解除する。工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作し、高圧流体が、後退圧力室5c1に供給され、中間軸4と共に支持軸2が後退し、当接面3a3がワークWの他端の端面から離間する。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外す。
【0105】
回転割出機50は、このように軸線方向クランプ装置6が中間軸4をクランプした状態で、制御装置80が、割出装置60の駆動モータ63と、支持装置70の専用駆動モータMとを互いに同期回転させるので、正確なワーク割出角を得ることができるほか、割出回転中においても、また、所定のワーク割出角での加工中においても、ワークWは、捩れて変形するのが抑えられ、高精度に加工される。更に、本変形例の場合、力発生装置5が作動して、ワークWを介して支持軸2および割出装置60の回転軸62の軸線方向の遊びが解消されているので、ワークWは、工具からの加工力による軸線方向変位、振動が抑えられ、より高精度に加工される。
【0106】
次に、実施形態の更なる別の変形例のワークの支持装置70Cを、図8の全体図、図8の左側詳細図である図9、および図8の右側詳細図である図10に示す。更なる変形例の支持装置70Cは、支持装置70、70A、70Bと同様、割出装置60に対向して配置されて、割出装置60と共に回転割出機50を構成する。支持装置70Aと同様、連結部材3としてのチャッキング装置は、所謂パワーチャッキング装置として爪進退装置14を備えるほか、同様に、ワークWの当接面3a3の当接を確認する着座確認装置15を備える。しかし、本変形例の支持装置70Cは、中間軸4を備えておらず、支持軸2が、フレーム1の内周面を直接、または焼結含有メタル等の滑り軸受22を介して、摺接する点で、支持装置70Aと異なる。本変形例では、後述のように、フレーム1の内周面に滑り軸受22として焼結含有メタルが圧入されており、支持軸2は、滑り軸受22を介してフレーム1の内周面を摺接する。
【0107】
フレーム1は、工作機械のベッドBに載置される第一のフレーム部材201と、該フレーム部材201の内周面に嵌合されて反ワーク側端面にボルトを介して固定される第二のフレーム部材202と、第一のフレーム部材201の内周面に嵌合されてワーク側端面にボルトを介して固定される第三のフレーム部材203と、第二のフレーム部材202の内周面に圧入される第四のフレーム部材204と、第二のフレーム部材202の反ワーク側端面にボルトを介して固定され、第二のフレーム部材202と第四のフレーム部材204との軸線方向の相対位置決め部材として設けられる第五のフレーム部材205とを備える。第四のフレーム部材204は、第二のフレーム部材202との嵌合面から第三のフレーム部材203のワーク側端まで軸線方向に延在しており、フレーム1は、第四のフレーム部材204の半径方向外側を軸線方向に延在してワーク側が開口する支持軸2の収容空間206が、環状に形成される。第一のフレーム部材201および第三のフレーム部材203の内周面には、焼結含有メタルが滑り軸受22としてそれぞれに圧入されている。
【0108】
支持軸2は、滑り軸受け22の内周面に嵌合されて前記収容空間206に挿通される第一の支持軸部材221と、第四のフレーム部材204の軸線貫通孔に挿通され、ワーク側端外周面が第一のフレーム部材201に嵌合されると共に、ワーク側端に形成される軸線直交段部面がボルトを介して第一のフレーム部材201に固定される第二の支持軸部材222と、互いに接して第一のフレーム部材201の内周面にそれぞれ嵌合され、反ワーク側に配設される第3の支持軸部材223と、ワーク側に配設される第4の支持軸部材224と、胴部が第3の支持軸部材223の内周面に嵌合され、フランジ部が第一の支持軸部材221の反ワーク側端面にボルトを介して固定されることにより、第一の支持軸部材221とで第3の支持軸部材223、第4の支持軸部材224を狭持する第五の支持軸部材225とを備える。
【0109】
本変形例の軸線方向クランプ装置6は、フランジ部が第一のフレーム部材201の軸線直交段部面にボルトを介して固定される本体部材6aと、本体部材6aの胴部に形成される薄肉リング部6a1と、薄肉リング部6a1の外周面と第一のフレーム部材201の内周面との間に形成される環状のクランプ圧力室6bと、第一のフレーム部材201に設けられて第一のフレーム部材201の反ワーク側端面とクランプ圧力室6bとにそれぞれ開口する流路6cとを含む。流路6cは、第一のフレーム部材201の反ワーク側端面に設けられるコネクタ端子6fと、パイプとを介して、図示しない高圧流体源に連通される。
【0110】
軸線方向クランプ装置6は、作動時、高圧流体源から高圧流体が、パイプ、コネクタ端子6f、流路6cを経てクランプ圧力室6bに供給される。薄肉リング部6a1はフレーム1に設けられる押圧部材として作用し、クランプ圧力室6bの高圧流体の流体圧によって縮径して、支持軸2の外周面を押圧し、フレーム1と支持軸2との軸線方向の相対移動を規制するほか、フレーム1と支持軸2との相対回転を規制する。
【0111】
本変形例の力発生装置5は、シリンダ部分としての第3の支持軸部材223と、ピストン部分としての第四のフレーム部材204とを含む複動タイプの流体圧シリンダ装置を備え、該流体圧シリンダ装置は、ピストン部分がフレーム1で固定部材であるため、固定ピストン部分に対しシリンダ部分が摺動するタイプに構成される。第3の支持軸部材223の反ワーク側に固定される第五の支持軸部材225と、第3の支持軸部材223の反ワーク側に固定される第四の支持軸部材224とが、第四のフレーム部材204の外周面に摺接可能に嵌合されており、第四のフレーム部材204と第五の支持軸部材225とを、互いに対向するシリンダヘッドとして、ワーク側に前進圧力室5b1、反ワーク側に後退圧力室5c1が、第四のフレーム部材204に形成されるピストン壁を隔てて、それぞれ設けられる。前進圧力室5b1と後退圧力室5c1とは、第四のフレーム部材204と第二のフレーム部材202とに穿孔される前進流路5b、後退流路5cとを介し、第二のフレーム部材202外周面に設けられる各コネクタ端子5d、5eにそれぞれ連通され、パイプ、図示しない電磁開閉弁、レギュレターを経て高圧流体源に接続される。なお、第二のフレーム部材202、第四のフレーム部材204の互いの嵌合面には、前進流路5bおよび後退流路5cに対応してそれぞれ2つの円周溝が形成されており、圧入位相に関係なく、前進流路5bおよび後退流路5cは、第二のフレーム部材202側と第四のフレーム部材204側とが接続される。
【0112】
本変形例の連結部材3としてのチャッキング装置は、支持軸2のワーク側端部に、支持装置70Aと同様な構成で設けられており、爪進退装置14、着座確認装置15を支持装置70Aと同様に備える。本変形例の爪進退装置14は、支持装置70Aと同様、ドローバー移動量検出装置14kを有する。また、本変形例でも、支持装置70、70Aと同様、支持軸2の軸線方向位置検出装置13が、支持装置70Cの反ワーク側に設けられている。
【0113】
回転割出機50を用いてワークWを加工する加工手順を、以下に説明する。作業者は、ワークWの一端を、割出装置60の回転軸62のワーク取付治具65に、固定して連結した後、工作機械の操作パネル上の作動スイッチを操作し、力発生装置5を作動させる。割出装置60の回転軸62と支持装置70の支持軸2とは、ワークWを介して、軸線方向の遊びが解消される。また、フレーム1に設けられているボールネジナットとボールネジ軸31との軸線方向の遊びも、フレーム1を介して加わるワークWからの反力によって解消される。
【0114】
作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動スイッチを操作する。ワークWの他端はチャッキング装置で把持されて支持軸2に連結される。
【0115】
作業者は、工作機械の操作パネル上の加工開始スイッチを操作する。工作機械の制御装置は、加工開始スイッチからの加工開始信号に基づき、所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき駆動モータ63を所定の回転割出角で停止させる。
【0116】
制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60の図示しないクランプ装置を作動させ回転軸62をクランプすると共に、軸線方向クランプ装置6を作動させる。ワークWは、連結部材3、支持軸2を介してフレーム1と一体状態となってフレーム1に固定される。
【0117】
ワークWは、一端と他端が割出装置60と支持装置70とにそれぞれ相対変位不能に支持された状態で、工作機械の工具によって加工される。工作機械の制御装置は、ワークWの所定のワーク割出角での加工が終了すると、次の所定のワーク割出角での加工のために、次の所定の割出角信号を制御装置80に出力する。制御装置80は、割出角信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と軸線方向クランプ装置6とを作動解除する。次に、制御装置80は、駆動モータ63を回転させ、次の所定の割出角で停止させる。制御装置80は、駆動モータ63の停止後、割出装置60のクランプ装置と軸線方向クランプ装置6とを作動させ、前回の所定のワーク割出角の時と同様な状態で、ワークWは加工される。
【0118】
全ての所定のワーク割出角での加工が終了すると、制御装置80は、工作機械の制御装置からの加工終了信号に基づき、割出装置60のクランプ装置と軸線方向クランプ装置6とを作動解除する。作業者は、工作機械の操作パネル上の爪進退装置14の作動解除スイッチを操作して、ワークWの把持を解除する。次に、作業者は、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動解除スイッチを操作して、支持軸2を後退させる。後退完了後、高圧流体源からの高圧流体の供給が停止される。作業者は、割出装置60のワーク取付治具65からワークWを取り外し、加工終了のワークWが回転割出機50から取り外される。
【0119】
本変形例では、作業者が、工作機械の操作パネル上の力発生装置5の作動スイッチを操作してから作動解除スイッチを操作するまで、力発生装置5は作動しており、ワークWの加工中も作動が維持されている。しかし、力発生装置5は、軸線方向クランプ装置6の作動開始後に、自動で、または作業者が作動解除スイッチを操作することにより手動で、所定のワーク割出角で停止加工中は、不作動状態としてもよい。但し、ワークWに衝撃的な加工力が軸線方向に加わり、そのため、軸線方向クランプ装置6によってクランプ状態の支持軸2が後退する恐れがある場合、本変形例のように、力発生装置5はワークWの加工中も作動が維持されるのが好ましい。
【0120】
回転割出機50は、ワークWを回転停止させて所定のワーク割出角に維持したこのような割出加工のほか、ワークWを旋回加工させながらの割出加工やワークWの旋削加工を、このような割出加工中に、またはこのような割出加工なしに単独で行うことができる。ワークWを旋回加工させながらの割出加工やワークWの旋削加工の場合、力発生装置5を作動させると共に、軸線方向クランプ装置6を作動させず、不作動状態とする。また、支持装置70、70A、70Bを用いた回転割出機50と同様、力発生装置5でワークWを押圧しながら加工するほか、力発生装置5でワークWを牽引しながら加工してもよい。
【0121】
本発明は上記の実施形態および変形例のいずれにも限定されるものでなく、本発明の請求範囲を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】ワークの支持装置の実施形態の全体を示す。
【図2】図1のワークの支持装置の左半分を示す。
【図3】図1のワークの支持装置の右半分を示す。
【図4】ワークの支持装置の実施形態の変形例の全体を示す。
【図5】図4のワークの支持装置の左半分を示す。
【図6】図4のワークの支持装置の右半分を示す。
【図7】ワークの支持装置の実施形態の別の変形例を模式的に示す。
【図8】ワークの支持装置の実施形態の更なる別の変形例の全体を示す。
【図9】図8のワークの支持装置の左半分を示す。
【図10】図9のワークの支持装置の右半分を示す。
【図11】回転割出機の割出装置を示す。
【符号の説明】
【0123】
50回転割出機、Bベッド、60割出装置(回転駆動装置)、61ボディ、62回転軸、
63駆動モータ、64回転テーブル、65ワーク取付治具、Wワーク、
70支持装置、70A支持装置、70B支持装置、70C支持装置、80制御装置、
1フレーム、1aベースプレート、1bフレーム本体、1b1第一のフレーム部材、
1b2第二のフレーム部材、1b3第三のフレーム部材、1b4第四のフレーム部材、
1b5第五のフレーム部材、1fディスタンスカラー、1gストップリング、
2支持軸、2a第一の支持軸部材、2b第二の支持軸部材、2b1中穴、
2b2ブロック、2b3空気抜き孔、
3連結部材、3aベース、3b爪、3a1円筒部、3a2底部、3a3当接面、
3cベース、3d爪案内部材、3e当接面部材、3f爪保持部材、
4中間軸、4a第一の中間軸部材、4b第二の中間軸部材、4c第三の中間軸部材、
5力発生装置、5b前進流路、5c後退流路、5b1前進圧力室、5c1後退圧力室、
5dコネクタ端子、5eコネクタ端子、
6軸線方向クランプ装置、6a本体部材、6a1薄肉リング部、6bクランプ圧力室、
6c流路、6dジョイント部材、6eブラケット、6fコネクタ端子、6g流路、
7回転クランプ装置、7a本体部材、7a1薄肉リング部、7bクランプ圧力室、
7c流路、7dコネクタ端子、
8駆動装置、8aウォーム減速機構、8bウォーム、8cウォームホイール、
8dブラケット、
8f歯車機構、8f1歯車、8f2歯車、M専用駆動モータ、
9転がり軸受、
11回り止め装置、11a係止溝、11b貫通孔、11cピン、11dキャップ、
11eメネジ、
12作動確認装置、12a復帰バネ、12bラム、12cセンサホルダ、
12dスリーブ、12eシリンダ胴、12f検出子、12g被検出子、12h流通孔、
12iワッシャ、
13軸線方向位置検出装置、13a検出子、13b被検出子、13cセンサホルダ、
14爪進退装置、14aドローバー、14bピースホルダ、14c傾斜片、
14d回転流体圧シリンダ装置、14d1ケーシング、14d2ピストンロッド、
14eシリンダホルダ、14fピン、14g係合片、14hロータリージョイント装置、14h1ケーシング、14i把持作動コネクタ端子、14j把持解除コネクタ端子、
14kドローバー移動量検出装置、14k1センサホルダ、14k2近接センサ、
14k3近接センサ、14k4中空円筒、
15着座確認装置、15aスライドピース、15bピースホルダ、15cバネ、
15d流路、15e圧力センサ、15fコネクタ端子、15gエア供給源、
21スペーサ、22滑り軸受、31ボールネジ軸、30送り装置、
101第一のフレーム部材、102第二のフレーム部材、103第三のフレーム部材、
103、104第四のフレーム部材、105第五のフレーム部材、
121第一の支持軸部材、122第二の支持軸部材、
141第一の中間軸部材、142第二の中間軸部材、
201第一のフレーム部材、202第二のフレーム部材、203第三のフレーム部材、
204第四のフレーム部材、205第五のフレーム部材、206収容空間、
221第一の支持軸部材、222第二の支持軸部材、223第3の支持軸部材、
224第4の支持軸部材、225第五の支持軸部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が回転駆動装置(60)の回転軸(62)に連結されたワーク(W)の他端を支持するためのワークの支持装置(70)において、
ワーク(W)の他端を連結する連結部材(3)と、
一端に連結部材(3)を設けた支持軸(2)と、
支持軸(2)を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するフレーム(1)と、
支持軸(2)に軸線方向の力を加える力発生装置(5)と、
支持軸(2)の周りに単一の押圧部材(6a1)が全周に亘って延在してまたは複数の押圧部材(6a1)が支持軸(2)の円周方向に均等に配置されるクランプ装置であって、力発生装置(5)の作動中に押圧部材(6a1)が支持軸(2)の半径方向の力を発生することによりフレーム(1)に対して支持軸(2)を軸線方向に固定する軸線方向クランプ装置(6)とを備えることを特徴とするワークの支持装置。
【請求項2】
支持軸(2)の半径方向外側に支持軸(2)と同軸に中間軸(4)を備えて、フレーム(1)は中間軸(4)と協働して支持軸(2)を軸線方向に移動可能におよび回転可能に支持し、
支持軸(2)と中間軸(4)、および中間軸(4)とフレーム(1)とのいずれか一方は、転がり軸受(9)を介して相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられ、
軸線方向クランプ装置(6)は、他方の両部材のうち半径方向外側部材に押圧部材(6a1)が支持され、半径方向の力として半径方向内側部材の外周面に押圧力を加えることを特徴とする請求項1記載のワークの支持装置。
【請求項3】
前記一方における相対回転を規制する回転クランプ装置(7)を備えることを特徴とする請求項2記載のワークの支持装置。
【請求項4】
請求項3記載のワークの支持装置(70)と、ワーク(W)の一端が連結される回転軸(62)を有し支持装置(70)に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置(60)と、制御装置とを含む回転割出機(50)が設けられ、
前記制御装置は、割出装置(60)の回転動作時には回転クランプ装置(7)を作動解除し、割出装置(60)の回転停止時には回転クランプ装置(7)を作動させることを特徴とする回転割出機。
【請求項5】
請求項1記載のワークの支持装置(70)と、ワーク(W)の一端が連結される回転軸(62)を有し支持装置(70)に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置(60)と、制御装置(80)とを含む回転割出機(50)が設けられ、
前記支持装置(70)は、軸線方向クランプ装置(6)の前記押圧部材(6a1)が、フレーム(1)に支持されて半径方向の力として支持軸(2)の外周面に押圧力を加えることによって、フレーム(1)に対して支持軸(2)を軸線方向に移動不能におよび回転不能に固定するものであって、
前記制御装置(80)は、割出装置(60)の回転動作時には軸線方向クランプ装置(6)を作動解除すると共に力発生装置(5)を作動させ、割出装置(60)の回転停止時には、力発生装置(5)の作動中に軸線方向クランプ装置(6)に作動を開始させることを特徴とする回転割出機。
【請求項6】
回転割出機(50)は割出装置(60)と同一の回転動作を支持軸(2)に行わせる駆動装置(8)を備えることを特徴とする請求項4または5記載の回転割出機。
【請求項7】
前記駆動装置(8)は割出装置(60)の駆動モータ(63)とは別の専用駆動モータ(M)を備え、
前記駆動装置(8)の制御装置(80)は、割出装置(60)の駆動モータ(63)と同期して専用駆動モータ(M)を駆動すること特徴とする請求項6記載の回転割出機。
【請求項1】
一端が回転駆動装置(60)の回転軸(62)に連結されたワーク(W)の他端を支持するためのワークの支持装置(70)において、
ワーク(W)の他端を連結する連結部材(3)と、
一端に連結部材(3)を設けた支持軸(2)と、
支持軸(2)を軸線方向に移動可能および回転可能に支持するフレーム(1)と、
支持軸(2)に軸線方向の力を加える力発生装置(5)と、
支持軸(2)の周りに単一の押圧部材(6a1)が全周に亘って延在してまたは複数の押圧部材(6a1)が支持軸(2)の円周方向に均等に配置されるクランプ装置であって、力発生装置(5)の作動中に押圧部材(6a1)が支持軸(2)の半径方向の力を発生することによりフレーム(1)に対して支持軸(2)を軸線方向に固定する軸線方向クランプ装置(6)とを備えることを特徴とするワークの支持装置。
【請求項2】
支持軸(2)の半径方向外側に支持軸(2)と同軸に中間軸(4)を備えて、フレーム(1)は中間軸(4)と協働して支持軸(2)を軸線方向に移動可能におよび回転可能に支持し、
支持軸(2)と中間軸(4)、および中間軸(4)とフレーム(1)とのいずれか一方は、転がり軸受(9)を介して相対回転可能にかつ軸線方向の相対変位不能に設けられ、
軸線方向クランプ装置(6)は、他方の両部材のうち半径方向外側部材に押圧部材(6a1)が支持され、半径方向の力として半径方向内側部材の外周面に押圧力を加えることを特徴とする請求項1記載のワークの支持装置。
【請求項3】
前記一方における相対回転を規制する回転クランプ装置(7)を備えることを特徴とする請求項2記載のワークの支持装置。
【請求項4】
請求項3記載のワークの支持装置(70)と、ワーク(W)の一端が連結される回転軸(62)を有し支持装置(70)に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置(60)と、制御装置とを含む回転割出機(50)が設けられ、
前記制御装置は、割出装置(60)の回転動作時には回転クランプ装置(7)を作動解除し、割出装置(60)の回転停止時には回転クランプ装置(7)を作動させることを特徴とする回転割出機。
【請求項5】
請求項1記載のワークの支持装置(70)と、ワーク(W)の一端が連結される回転軸(62)を有し支持装置(70)に対向して設けられる回転駆動装置としての割出装置(60)と、制御装置(80)とを含む回転割出機(50)が設けられ、
前記支持装置(70)は、軸線方向クランプ装置(6)の前記押圧部材(6a1)が、フレーム(1)に支持されて半径方向の力として支持軸(2)の外周面に押圧力を加えることによって、フレーム(1)に対して支持軸(2)を軸線方向に移動不能におよび回転不能に固定するものであって、
前記制御装置(80)は、割出装置(60)の回転動作時には軸線方向クランプ装置(6)を作動解除すると共に力発生装置(5)を作動させ、割出装置(60)の回転停止時には、力発生装置(5)の作動中に軸線方向クランプ装置(6)に作動を開始させることを特徴とする回転割出機。
【請求項6】
回転割出機(50)は割出装置(60)と同一の回転動作を支持軸(2)に行わせる駆動装置(8)を備えることを特徴とする請求項4または5記載の回転割出機。
【請求項7】
前記駆動装置(8)は割出装置(60)の駆動モータ(63)とは別の専用駆動モータ(M)を備え、
前記駆動装置(8)の制御装置(80)は、割出装置(60)の駆動モータ(63)と同期して専用駆動モータ(M)を駆動すること特徴とする請求項6記載の回転割出機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−208201(P2009−208201A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54210(P2008−54210)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000149066)オークマ株式会社 (476)
【出願人】(000215109)津田駒工業株式会社 (226)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000149066)オークマ株式会社 (476)
【出願人】(000215109)津田駒工業株式会社 (226)
【Fターム(参考)】
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